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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。』友麻 碧 




人とあやかしが共に住まう町・浅草で、前世「茨木童子」だった記憶を持つ女子高生・茨木真紀は、持ち前の面倒見の良さから、今日もあやかしたちの起こす厄介ごとを解決する日々を送っている。
前世での夫で「酒呑童子」であった同級生の甘酒馨たちも巻き込んで、花火大会に山遊び、学園祭に、色々なイベントを駆け巡る真紀。
そんな折、以前の騒動から彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れて……。

『浅草鬼嫁日記』、『かくりよの宿飯』共々楽しみにしていた第二巻目が出ました!
表紙イラストの和装真紀ちゃんと馨くんの構図が格好良く、ふたりの絆を感じさせるのがなんともときめきます。
まさに「青春を謳歌する」と言った感じの真紀ちゃんの不敵でたのしげな表情が良いですね!
(それにしても由理がいないなーと思っていたら、まさか、そんなところに……。)

実際に読んでみてもやっぱりこのお話面白い~!楽しいエピソードや設定てんこ盛り、なんでもありのお話のぶっ飛び具合が絶妙。
なんといっても真紀ちゃんが相変わらず色々な意味で最強で、格好良すぎる!どこまでもついてゆきたい(笑)。
ありとあらゆるあやかしたちに慕われている真紀ちゃん、彼女のこの面倒見の良さと情のあつさ、腕っぷしの強さ諸々鑑みれば、納得……。浅草のあやかしたちすべてのお母さんみたいです。女子高生だけど。
その一方で、前世からの記憶、そして現世での死んでしまった両親のことが織りなす切なくてやるせない雰囲気もあり。
今回は特に、真紀ちゃんのこの明るくてしぶとくて強い面と、もろく繊細で弱い一面の両方が前面に出てきていて、ギャップが印象的だったように思います。

ときに弱さをぽろりと出してもそれでも明るくて強い真紀ちゃんが健在なのは、やっぱりきっと、馨君の存在があるからこそ、なのでしょう。
真紀ちゃんと馨君、前巻に比べていっそう「夫婦」感がにじみ出ていて、当たり前のようにアパート通い婚同居状態で食卓を共にし、将来の話はもうほとんど結婚前提で。
前世から苦楽を分かち合いお互いを知り尽くしてきていて、普通に長年連れ添った夫婦以上にしっくり馴染んでいるこのふたりの距離感が、ときめいてもう……!!ごろごろごろ。
あれですね、馨君が一巻目に比べて夫婦と言われるのに文句を言わなくなり抵抗感も薄れてきている感じなのが、いっそう甘さを強調しているんですよね(笑)。
そして真紀が落ち込んだときに当たり前のように側にいて、彼女の心身すべてを無言で支え守っている馨君がもう本当に「夫」そのもので、格好良くって。じーんときました。台風の夜の場面は特にしみいりました。

やっぱり私は前世ネタ、平安時代ネタが大好物なので、茨姫関係の切ないエピソードがとりわけ胸にぐっときました。
前世での両親がああいう風に終わってしまったからこそ、現世においてちょっと変わった娘でも惜しみなく愛情を注いでくれた両親に、今にしてちょっと複雑な想いを抱いたり、真紀ちゃんの心の揺れが、いじましかった。
あと茨姫が酒呑童子に攫われてから夫婦になるまでの短い過去の回想エピソード、傷ついてなかなか心を開けなかった茨姫に、不器用に愛情を示しアプローチする酒呑童子のふたりの姿に、ときめいて仕方がなかったです。
その後、前世でもやっぱりこんな感じのぶっ飛んだ夫婦になったんだろうなあ。ふふふ。
そしてだからこそ、スイがちょっと言及していた、かつて酒呑童子が先に死んでからの茨木童子のことに思いをはせると、何とも言えずに辛くて切ない。

各種イベントごとはわいわいにぎやかで楽しかったです!
特に盛り上がったのは学園祭。河童の乱舞がすごい……。あとがきも読んで、作者さん、本当にかっぱお好きなんだなあ……愛が伝わってきてこちらも楽しい気分になりました。
大黒先輩の正体が予想以上に大物でびっくり仰天だったり。由理子ちゃんの女装の決まりっぷりと活躍っぷりに盛大な拍手を送ったり。
副会長も最後まで読めばあれで潔いところもあるのね、となんか後味よく終われて良かったです。からっと引きずらない勝負事は良いものです。文化部チームの地味なチームワークお見事だったな。キウイ大福も意外に美味しそう。
由理のおうちの山遊びも良かったな。馨君の水着押しがすごくてびっくりしてしまった……本当に真紀ちゃんと馨君の距離感って独特で時に読めない(笑)。若葉ちゃん可愛かったです。

あとあやかし成分が今回もてんこ盛り!
ペンギン姿のおもちとミカの鳥さんコンビに和みました。表紙のイラストが可愛すぎる。どっちも真紀ちゃん大好きなスイとミカのでこぼこなやりとりも和みました。
真紀ちゃんとミカとおもちでメロンパンのわけあいっこしている場面がお気に入りでした。焼きたてメロンパン美味しいに決まってる~!
神様となっていた牛御前も、お母さま大好きで色々したたかでお美しそうで気にいりました。女は強いですね!
真紀ちゃんにもふもふされて照れているクールビューティー・ルーも可愛い……。彼女のことがうまく収まって良かったな。まさにみんなのチームワークの賜物という感じでした。

陰陽局と、あと津場木茜君の事情も、ちょっと見えてきましたね。
真紀と馨の敵か否か、ちょっと読めない感じがしますねえ。あそこでアルバイトとして現れた馨君まさにヒーローで格好良かった……。ミカの決意も格好良かった。見直しちゃいました。
茜君は、つんつんしているけれど根は素直ないいこだな。
津場木史郎の呪いについてちょっと出てきましたが、読んでもいまいちよくわからない。半分くらいは何かこじつけに思えなくもなく。あれ??(笑)
なんにせよ、茜君と葵が親戚なのは、これではっきりしましたね。葵ちゃん、きっと津場木家がこういう家系であることを、知らないんだろうな。
本当に史郎さん、過去にいったい何をやらかしたのやら。

そんな真紀と馨たちの賑やかで楽しい生活に、ラストで波乱のきざしが。
晴明や源頼光は、過去の茨姫とは、単純に敵味方と言い切れない複雑な因縁があるようで、どう転がっていくのかなあ。気になります。
あと眷属のひとりだったというリンのことも、気がかり。

『かくりよの宿飯』ほどではなくてもやっぱりご飯がおいしそうなこのシリーズ、最初に出てきた真紀ちゃんの冷やし中華や麻婆豆腐ネタに、ひどく心惹かれました。葵ちゃんだけでなく、真紀ちゃんの作る家庭料理もまた美味しそうなんですよね~。
しゅうまいや雷おこしなんかも食べたくなってきました。

続きはしばらく待つことになりそうですが、今からまた楽しみです♪


カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『ちどり亭にようこそ~京都の小さなお弁当屋さん~』十三 湊 




京都は姉小路通沿いにこじんまりと建つ、仕出し弁当屋「ちどり亭」。
店主の花柚(はなゆ)は若く美しい女性だが、なぜか毎週お見合いをしている。
いつも残念な結果に終わるのを「お見合いがライフワークなの」と答える、お茶目な人でもある。
そんな彼女が食べる人のため心をこめて丁寧に作るお弁当は、人を笑顔に幸せにするもので——。

京都を舞台に、小さな仕出しお弁当屋「ちどり亭」をめぐる人々が織りなす日常の物語。
店主は花柚さんといって、由緒ある旧家の年若いお嬢様、無邪気なかわいらしいひとで、お料理への情熱は人一倍。
物語の語り手は、ちどり亭の学生アルバイト・彗太君。お店の前で行き倒れていたのを拾われたのがきっかけで花柚さんに料理を習いはじめアルバイトとして雇われ、ふたりでお店を回している。今風の学生さんのノリながら人が好く素直で勉強熱心、ちょっと不憫体質(苦笑)。
このふたりのキャラがまずとてもいい。

作品設定やあらすじのイメージそのままおっとりはんなり優しい物語で、食生活をメインに人の生活の営みも丁寧に書かれていて、読んでいてとても心地がよくて、じんわりと癒されました。
ていねいに作られるお弁当も美味しそうで、一品一品きっちり手間と心がこもっていてそれでいてあくまで家庭料理の延長線という感じで背伸びした感じもなく、なにより花柚さんと彗太くんが料理を作っている姿がいきいきと楽しそうで、これまた癒される。読んでいて元気をもらえます。

なんというか、つまり、とってもとってもお気に入りの作品でした!!!
ヒロインの花柚さん、「花柚」さんと書いて「はなゆ」さんと呼ぶ名前からして、可愛すぎる~!まさに現代京都のお嬢様、お見合いマスターと自分で言ってたり自分のお弁当を毎朝私って天才!と自画自賛していたり、それだけに料理への情熱は並々ならぬものがあったり、割烹着にお着物姿も口調も、すべてが可愛らしくて、すっかりファンになってしまいました。
花柚さんの影響で、ちょうど作業用エプロンを買おうとしていてうっかり割烹着を買ってしまったのは私です。使いでよくて気にいっています。
彗太君とのかけあいもテンポよく楽しいしふたりで協力し合って店を回している姿もいい。

「食べものをみんな人任せにしていてはいけない」
「栄養も大切だけど、それよりも大事なのは、自分で自分の生活をオーガナイズすることよ」
この花柚さんのシンプルな教えが、読んでいるとじわじわと効いてきます。
読んでいると、心がすっと整う感じがして、自分自身のお弁当生活のはげみにもなるし、とてもとても良かった。
日々のお弁当作りがなんだか毎日楽しみになってきて、結果(自分比)美味しいお弁当をお昼に食べられるし、いいことづくめ(笑)。

花柚さんと彗太君、それぞれのロマンスのエピソードもちゃーんとあるのも、私好みで心憎い。
彗太君の片想いのお相手菜月ちゃん、彼女もまた程良く今どきの大学生で読んでいくごとにとってもいいこで、菜月ちゃんの失恋は分かってはいたけれど切なかった。(このあたりでお弁当ストーカーしていた彗太君がなにげにすごかった……。でも確かにお弁当にこんな工夫を常にできちゃう彼女は、手強すぎる、かも。)
菜月ちゃんに彗太君が作るオムライスがね、食べる人への真心がこもっていて、とてもいい。卵に酢を入れるのか、覚えておこう。
その後花柚さんに共にお弟子としてお料理を習う関係になったふたりのすがたには良い感じでほのぼのしました。彗太君いいこだな……不憫だけど……。

一方の花柚さんのロマンスのお相手は、破談になったかつての婚約者。
どんなに口では何気なく装い否定していても、相手が店に来ると、ふわふわ舞い上がっているのを隠せていない花柚さんが、可愛くってもう!
やっぱり名家のあととり総一郎さんのえらっそうだけれど実は真面目でていねいなお人柄、はっきり口にはしないけれど実はこの人もまた花柚さんひとすじでベタ惚れなんじゃないの?と疑惑がだんだん確信に変わっていくところとか、最高にときめくんですけれど!(笑)

ちどり亭のパラサイト(現代の貴族?)美津彦さんも、ぐうたらだけど気遣いもできるなんだかんだいいひとだし、花柚さんのお料理の師匠もぴっと背筋が伸びた格好のいい人だったし、脇役キャラもそれぞれ魅力的で、ひとつひとつのエピソードもていねいでよく練られていてどれも印象深かったし、春の素材をメインに用いたお弁当もそれぞれとってもおいしそう!
私も花柚さんのお弟子さんになりたい……せめて彼女の「お弁当練習帖」ノートをのぞいてみたい。
だしまき卵を上手に作れるようになるの、憧れます。


あまりに良かったので、二巻目もさっそく読みました。
宝物のように、大切に大切に、少しずつ読んでゆきました。



今度は夏の物語。
「人間は、何かを生産せんならん。料理でも、日記でも」とか「きれいなものは食べても太らない」とか、読んでいくとちゃんと理由があってやはり名言。どんな食べ物でもバランスよくが大事って当たり前のように思えるけれど大事だな。
彗太君と菜月ちゃんたちの後輩・小川野乃香ちゃん、彗太君の前ではじめて素を出した彼女はなかなか強烈でした……。
彗太君と花柚さんの協力で、いい方向に向かっていって、良かったな。
彼女の登場で、彗太君と菜月ちゃんも上手い具合にまとまって、何より。野乃香ちゃんがちょっと不憫だけど。茗荷の甘酢漬けの色は確かにとても綺麗ですよねえ。
黒岩さんとメイちゃんの親子もいいキャラしていました。
それにしても彗太君はアルバイトさんとしてお弟子として花柚さんに鍛えられて、成長したなあ。としみじみしました。

かと思えば、花柚さん達カップルに途中から暗雲がたちこめはらはらしましたが、お店のことかー。これは確かに難しい。
花柚さんと彗太君がふたりで店を回している姿がやっぱり好きだったもので、最終的にふたりがああいう選択をしてくれて、心から良かったなあと思いました。
やっぱりえらっそうでしかめつらしいものの、実はやっぱり花柚さんにべた惚れな総一郎さんにいつでもときめいて仕方がないです。
桃を贈り続ける総一郎さんに文句を言いつついただく花柚さん、はたから見ていてもどかしい。
だいぶ浮世離れしている大人カップルですが、彼らなりにしっかりラブラブしている姿にきゅんきゅんです。意図せずふたりの場面を邪魔してしまう彗太君が不憫だ……。
胡麻すり胡麻豆腐作りに、持ちよりおにぎりお弁当、あと彗太君の冷やし中華にマヨネーズも何気に印象的でした。
私も名古屋に来て友人が当たり前に冷やし中華にマヨネーズをかけていたのがカルチャーショックだったな……。

みんなみんな笑顔で幸せになれる二冊でした。
お弁当作りしている、もしくはお弁当作りこれからしてみようかな、とか言う人には特におすすめ。
これで完結しているのかしら。続きがもしあるならぜひ読んでみたいのですが。

カテゴリ: 日常のお話

タグ: 十三湊 

『契約結婚はじめました~椿屋敷の偽夫婦~』白川 紺子 




寿町四丁目にある通称「椿屋敷」に住む柊一は、若いのに隠居暮らしをしているようだと「若隠居」と呼ばれている。
そんな彼のもとに嫁いできたのは、十九歳の香澄。
新婚で仲睦まじいふたりの間には、しかし秘密が。
ふたりは利害の一致から結婚をした、いわゆる「偽装夫婦」なのである——。

白川紺子さんのオレンジ文庫の新作。
最近白川紺子さんの新刊がハイペースで刊行されている気がして、こんなに贅沢していて良いのでしょうか……(笑)。
ブログに感想を書くには至っていないのですが、コバルト文庫の方の作品もほぼすべて読んでいます。好きです!

今回のこのお話も、とてもとても素敵な一冊でした。読んでいてほこほこと幸せになれる物語。
『下鴨アンティーク』とも通ずるものがある、コバルト文庫よりも上品な少しお姉さん向け少女小説、といった風情。
白川さんが書かれる少女小説と一般文芸の境目のような、ロマンティックさのさじ加減が、私の中で絶妙にぴたりとはまるのです。読んでいてたまらないですよ~きゅんきゅんです。
契約結婚、年の差カップル、伝統のあるおうちの家族の愛の物語、私好みの要素が満載なのも素晴らしい。
椿屋敷というだけあり、椿の花の薀蓄話が各話ごとにふんだんに語られているのも、安定の白川紺子さんタッチでロマンティックで素敵でした。
あと若妻の香澄さんが作るご飯やお菓子の類が全部おいしそうです!(重要)

読みはじめてみると、物語の語り手が「椿屋敷」という「家」だった!という、なかなか衝撃的な出だし(笑)。
今までほぼ読んだことがない設定で、新鮮味があって良かったです。
椿屋敷にとって、柊一は先祖代々見守っている、頭が切れる穏やかでちょっと感情が読めない青年で、香澄さんはそんな彼に嫁いできたばかりの気立てがよく優しい奥さんで、まるで親戚や家族のようなあたたかでちょっととぼけたような感じが読んでいて心地よかった。
表紙の淡いタッチの椿の花々とたたずむ若夫婦の雰囲気がほのぼのあたたかくノスタルジックで、そういうイメージにぴったり。

そんな見守りモードで語られる、柊一さんと香澄さんの偽装夫婦ならではの(?)安定した仲睦まじい生活と距離感、そこからお互い少しずつ気持ちに色がついてゆく様が、読んでいてもう甘酸っぱくてたまらなかったです!
くるくるよく働き柊一さんに尽くす新妻・香澄さんが可愛すぎて、ずっと読み続けて見守っていたい。穏やかで優しくて周囲の人たちにも慕われている柊一さんもいい旦那さんだ。
そんなふたりそれぞれに、偽装結婚に至った複雑な事情の影が、見え隠れしつつなのも、気になりつつ。
こんなに頭が切れるのに女心と自分自身の気持ちには疎い柊一さんが、途中ものすごくじれったくなりつつも!(笑)、おさまりのよいラストで良かったです。

『水曜日の魔女』
茉優ちゃんいじましくていいこだな……。姉妹の関係って、大人になっても、確かにこういうことあるよねっと読んでいて思いました。離れていた方が上手くいくことがあるというのも分かる。
ママレード入りマフィンや鶏の南蛮漬けがおいしそう。「疲れた時にはお酢を使ったものを」と香澄さんの心遣いにきゅんとしました。

『月の光』
在りし日の恋人たちの思い出を高校生のふたりと柊一たち夫婦で紐解いてゆく……という流れが少し切なさ苦さも混じりつつロマンティック。奈穂ちゃんの複雑な想いや後悔がぐっと胸に迫りました。由紀也君もいいこだな。
香澄さんが頑張ったタルトタタンが美味しそうで私も食べたくなってきました。


栗きんとんとモンブランくらい違います、とわかるようなわからないような喩えをする。
「どっちが栗きんとんでどっちがモンブラン?」
「わたしは栗きんとんの方が好きですね」
そういう話ではないような。
「ふうん、僕も栗きんとんが好きだな」

121頁のこの会話がなんだかとってもときめきます……!!


『花いくさ』
香澄さんの婚約者襲来!自体は意外とあっさり解決(?)しましたが、「花いくさ」親友ふたりの結婚騒動は、なかなかシビア。
「仲がよかろうとよくなかろうと、離れられない間柄」というのは、なんか、なんとなく、分かる。
椿がカギになっていた幼い日の想いが明らかになる場面が、表面的な騒動の奥から深く美しい色がじわじわとにじみ出てきたかのような、ぐっとくるものがありました。みんなそれぞれ辛くて苦しくて切ない。
歩美さんが香澄さん達のお鍋に救われた場面も印象的で、分かるわかる。彼女も吹っ切れたようで本当に良かった。
あと絢さんがいろいろ格好良すぎました。エッグノッグもおいしそうだなあ。

『追憶の椿』
笙子さんの急襲、若夫婦に暗雲が。
笙子さんはかなり強烈なおばさんでしたが、彼女はどことなく『赤毛のアンシリーズ』のマリラを思わせるものがあって、なんだか、読んでいて不思議な親しみが。いつも無条件で優しかったマシュウは違い、厳しく現実的で頑固だけれど人一倍情が深く、不器用ながらにアンに愛情を注ぎ続けたマリラ。香澄の複雑な気持ちも分かるし色々ありましたが、最終的にはあのかたちで落ち着いて、良かったな。
柊一さんの女心の分からなさはちょっと致命的でした(苦笑)。香澄さんも強く出られないからもどかしいこと!
檀くんと柊一さんの間の複雑な想いも、そういうことか……。ううん、こちらもどちらの気持ちも分かるし、やるせない。そんな確執があってなお現在お互い仲良くしているこのふたりがいいなあ。
電話でのやり取りから香澄さんがいなくなって寂しい柊一さんの姿から、色々もどかしい。
あとラスト、笙子さんと晶紀さんが主に柊一さんにちくちく嫌味めいたことを口にしている場面に笑っちゃいましたし、端々に香澄さんへの愛を感じて、きゅんとしました。
晶紀さん、婚約者であった香澄さんがこういうことになってあっさり引き下がりそのままか……と思いきや、実は長期戦の心づもりだったのか?あ、侮れない……。
まあこの煮えきらない柊一さんをたきつけるには、これくらいずけずけ言ってもらえるくらいでちょうどよかったんじゃないかしら、と思いました(笑)。
檀君の千鳥屋のどらやきのお土産にもほっこり。

『すみれ荘にて』
番外編。
うわああ、檀君頑張れ……!!
彼も想いが報われてほしいな。

もっとこの若夫婦を見守っていたいですし、周囲の人たちのことも気になりますし、柊一さん自身の仕事の話も具体的に読んでみたいですし(なんだか今回ほとんど具体的に語られていないような)、できれば続きが読みたいです。読めると嬉しいなあ。
ひとまず来月は『下鴨アンティーク』の新刊が読めるとのこと、今からたいへん待ち遠しいです。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。』友麻 碧 




ライバル宿の「折尾屋」からようやく「天神屋」に帰ってきた葵。
食事処「夕がお」を再開し、すっかり気心の知れる仲間となった天神屋の皆と一緒に、秋の味覚を堪能したり、新作お土産菓子を考えたり、にぎやかな日々を過ごしていた。
そんなある日、葵は大旦那様から果樹園デートに誘われた。いつものお誘いと変わらないはずが、折尾屋での件を経た葵は、大旦那様のことをもっと知りたいという自分に気づき——。


『かくりよの宿飯』シリーズ六巻目。
折尾屋編前後編を経て、ようやく舞台が天神屋に戻ってきました!
ホームに帰ってきた安心感があって、気心の知れたメンバーとのたわいないやりとりや信頼関係が、読んでいてとても良かったです。
季節は秋で今(五月)とはちょっとずれているのですが、葵の作るご飯はやっぱりひたすらおいしそうで、夜に読んでいるとどんどんお腹が減ってくるので困っちゃいました(笑)。
あと葵と大旦那様のふたりの関係に、ここにきてようやく若干の進展が!読んでいてごろごろときめいて仕方がなかったです(笑)。
料理に関してはあやかし相手に一歩も引かずに不敵な葵ですが、自分自身の恋心やそういう駆け引きには疎くて、彼女と大旦那様との不器用な心の通わせ合いが読んでいてもどかしくとても可愛いかったです。
しかしそんな和やかな日々がまた一気に突き崩されてしまったラスト一連の流れ!!
徐々に明らかになってきた隠世のあやかしたちの勢力図もなかなか複雑で、どうなってしまうのやら。

序盤の新米イベント。気心の知れたメンバーと美味しい炊き立てご飯をひたすら楽しむ場が読んでて楽しく心和む……。卵かけごはんに鮭フレークに自家製なめたけの魅惑。
そして大旦那様との果樹園デート。味覚狩りは楽しいしなんだか天神屋ならではという感じがします。途中トラブルが入り若干(?)変な方向にいってしまいましたが。
ちょっとマヨネーズを入れた卵焼きとおにぎりのお弁当がまた美味しそう。
そして山賊退治のために葵が腕を振るった、山羊チーズのピザ(焼き豚きのことさつまいもりんごの二種類)がおいしそうすぎる~。私はスイーツピザの方にシロップをかけていただきたいです。
単なる誤解による人さらい事件ではなく、きな臭い事情もからんでいて、そういうときに大旦那様はやはりとても頼れる。
葵に指示され嬉しそうに手伝いに精を出している大旦那様とのギャップが良いですね(笑)。
あと美女を侍らせる山賊の姿に、史郎さんを思い出してなんともって、史郎さんは隠世でいったいどんな生活をしていたんだ……。
あとアイちゃんの化け姿を提案した葵にときめきました。わあ、葵は無自覚だろうけれど読んでいるこちらも恥ずかしい(笑)。表紙のはつらつとした可愛い女の子はアイちゃんだったんですね!

折尾屋の秀吉とねねちゃんが婚約というおめでたいニュースに続き、春日のおうち事情にびっくり仰天。
ぱたぱたよく動き気が利き要領も良く可愛い春日はお気に入りキャラだったので、天神屋を去ることになってしまうというのは寂しかったけれど、葵と二人で頑張っている姿を今回たくさん読めて嬉しかったな。
春日自身の初恋の君がお相手のようで、それならばひとまずは素直に彼女の幸せを応援したい。
でもなかなか大変な道なのでしょうね……。そこのところ踏まえてお涼も春日のこと心配していて、ラストの一連の春日とお涼のやり取りが、とても良かったなと思いました。お涼はなんだかんだ言って格好良く仕事ができて頼れる若女将の器なんですよねえ。
春日が事あるごとに、葵を同じ八葉の嫁として将来も交流があるだろうから、みたいなことを当然のように言っていて、それに戸惑いつつもなんか否定もできない葵のとまどいと距離感にもときめいたり。
地獄まんじゅう開発エピソードも面白く読みました。というかこの蒸しケーキのようなおまんじゅう絶対美味しいですよ。米粉と酒種生地でたまごにチーズも入れて、温泉の蒸気で蒸して日持ちするようにも工夫して……ああ、こういうの読んでいるの私すごく楽しい。天神屋のメンバーの絶妙なサポートでどんどん商品化に向け改良されていくのも楽しい。

あと葵とお涼と春日と静奈ちゃんのぶりしゃぶ女子会エピソードも楽しかったです。程良く闇テイストで、でも女子会ってまあそんなもんですよね(笑)。気心の知れたメンバーで美味しいものをつつきつつぶっちゃけトークってなんでこんなに楽しいんでしょう。
ぶりしゃぶもおいしそうでしたがデザートのぶどうのカスタードタルトが美味しそうすぎてもうどうしましょう!というレベルでした。
ひたすらぶっちゃけるお涼と大人しくても言うことは言う静奈ちゃんとか色々楽しかったです。
銀次さんの秘密、春日それ本当にどうやって知ったんだ……。

大旦那様の秘密の空中庭園の場面は、どきどきしました。
大旦那様自身のことはいまだに謎だらけで、葵は分からないことだらけで、それでも大旦那様のことを知りたいと思う。という葵のとまどいとか色々せまってきて。
大旦那様の本心はやっぱりなかなか読めずもどかしいけれど、これまで葵をずっと陰日向でささえ続けてきた優しさや気配りを思うと、正体が極悪非道な鬼なんて、そんな言葉通りとはとても思えないんですよね。
葵も現世にはあまり未練なさそうだし(それはそれで悲しいことだけれど)、このままお嫁入りしてもいいんじゃないかときっともう天神屋のメンバー全員そう思っているけれど(それを認めさせた葵の実力が本当にすごい)、うー、どうなるのかしら。

大旦那様と違って、私かぼちゃが大好きなもので、秋祭りイベントのかぼちゃ尽くしメニューにもときめきました。
かぼちゃと七味唐辛子でぴりっとさせたメンチカツ、豆乳カボチャスープに隠世ツナのコッペパンサンドの組み合わせ、皆美味しそうです。たまらない。あと自家製ほしぶどうと手作りバタークリームのコッペパンサンドも非常に心惹かれる。

新キャラの(←すみません、間違いです。3巻ですでに登場されていました。)千秋さん、程良く力が抜ける感じのいいひとだったな。
暁が妹からの手紙を読んでいる場面もほのぼのしました。鈴蘭さん相変わらず史郎さん大好きで幸せなんだな。
銀次さん、今回出番少な目でしたが、やっぱり葵をしっかり支えてくれる彼の存在は読んでいるととても安心する。彼の本心を思うと切ない感じがしますが……。
チビは安定のチビでした。

それにしてもあのラストはいったいどう転がっていくのか!
雷獣がやはり本気でいけ好かなくてどうしようかと思いましたが、そうだ、天神屋なので白夜さんがいてくれたんだった(笑)。
当座はしのげたけれど、根本的な解決になっていない感じで、うーん、不安が募ります。
黄金童子様のこと、津場木史郎の呪いの件と大旦那様との約束、大旦那様の明かされていない秘密、あと葵の過去の回想にちらりと出てきた茜少年のつながりなど、気がかりなことがたくさんです。続きがとても気になる。
葵は今後自分の身の振り方について、どんな選択をするのかなあ。

『浅草鬼嫁日記』の二巻目も同時発売で買ってきましたので、これから読みます。楽しみ!!


ここ最近の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『はるかな空の東』村山 早紀 




幼い日の記憶がない少女ナルが最近夢に見るのは、月が三つ浮かぶ世界で城に幽閉された長い髪の少女。
私とよく似た顔で微笑むあなたはだれ?予言に導かれて、魔術師や吟遊詩人が生きる異世界へやってきたナルを待っていたのは、伝え語りに隠された真実と、未来に託されたはるかな願い。
生まれ落ちた時から重い宿命をになうことになった少女の、歌と魔法に彩られた冒険と成長の物語がはじまる——。


※昔からとても思い入れがある作品ゆえ、以下の私の感想は自分自身の昔語りも込みです。
あと過去に感想記事(こちら)とか美味しい物語の記事(こちら)とかも書いているので、一応リンクを。


中学生時代に図書館で借りて読んだのが出会いで、それから何度も図書館で借りては読み、今でも私にとってとてもとても大切な物語。
あれから大人になって村山早紀先生のお話をたくさん読むことができる幸運にめぐまれて、それでもやっぱり今でも村山先生の作品の中で一番好きなのは、ゆるぎなく、この『はるかな空の東』です。
「日本の作家さんが描かれる長編ファンタジー小説ってこんなに面白いんだ!」と、当時の私にカルチャーショックと喜びを与えてくれた物語。
ほんの少し前に、ハードカバー版が今でもネットで注文できるのにようやく気づいて、今私の手元にはこちらもちゃんと存在しています。

村山先生の過去の作品がいくつも新装版として出てゆくたびに、「ああ、はるかな空の東もいつか文庫化されたら良いのに。そしてもっともっとたくさんのひとに、この作品の面白さを伝えて共に分かちあいたいのに」と、ずうっと思ってきました。
とうとう実現しました。うれしい。未だに夢を見ているようです。
そして後日談も収録されると聞いて。そわそわ気になって仕方がなかった。

ハードカバー版は村山先生ご本人のそれはそれは美しい挿絵がふんだんにページに織り込まれていて挿絵も物語を構成する重要アイテムなのですが、文庫本のこの表紙イラストもまた、ハードカバー版の雰囲気も漂わせて絵本の一場面のような完成された美しさがあって、とても素敵です。
個人的に特に気にいっているのはイラストの縁取りの部分。

紋章の歌姫、さだめを持って生まれた双子姫、お城に仕える魔術師たち、美しく平和な花の都、貴種流離譚、神話や伝説が息づく世界、悲しい過去を持ち長い時を生きてきた魔術師、もうとにかく今の私の好みポイントの原型はすべてこのお話に備わってるんじゃないかしら、という(笑)。
魔術よりも音楽の方が力がある世界観がなかでも素敵です。中学生のころ吹奏楽部員だった私は、だからこそよけいにこの物語に共感を覚えたのだと思う。
美しくて強さと弱さを併せ持つ水晶姫サーヤ・クリスタライアは私の心の中に強烈な憧れのイメージを残し、今でも、私の中で一番高貴な宝石といえば、紫水晶ですから。
(ただしロマンス色はほぼ皆無。当時の私にとってはロマンスよりも女の子の友情ものの方が切実に求めるもので、この物語はそこがまたとても良かった)

何度も繰り返し読んでいる故に、本編はまるで、ナルやハヤミさんたちと同年齢の少女であった過去の自分自身の心を旅していくような感覚で、読み進めていきました。
プロローグのハヤミさんの回想の「おひさまの昇るほうから」の場面で、すでに涙腺が決壊しました。死ぬのは辛くて苦しいし、大切な人にはいつも笑顔で幸せでいてほしい、そんなシンプルな心情が胸にぐいぐいせまってくる。
あと最初の伝説の抜粋がいくつか書かれているところの「ある若者の日記」、敏い王に導いてもらえるそれだけのことで、本当に人は幸福になれるのか?神によって人は救われるのか?こんなことを考えるのは、私ひとりだろうか?という下りが、昔は読み飛ばしていたのだけれど、今の私にはすごく響きました。

ナルにトオヤ、ハヤミさんにサーヤさん、ユリアにミオさん、沙由里ちゃん、魅力的な女の子(女の人)キャラが、何人も出てきて活躍しているのが、何よりも魅力的!!
ハヤミさんやミオさんが高校生の年代なんてびっくりですよね。未だにハヤミさんたちは年上の頼れるお姉さんキャラというイメージでしか読めない。
でもでもハヤミさんもサーヤさんも、勇敢で正義感あふれる凛々しく戦うお嬢さんで、かなり無謀ですね(笑)。これは周りの人ははらはら気が休まらないだろうなあ。青ざめた大沢さんにたしなめられているハヤミさんの図に苦笑い。でもそうですよね、ハヤミさん、まだまだ大沢さんに「ハヤミちゃん」と呼ばれるのがごく自然な歳の女の子だったんですものね。

ナルと沙由里、ユリア、それぞれの友情がやはりとても好きでした。
「前世で私がつらくて悲しかったときに、あなたが助けてくれたから」の台詞のリレー。
昔の私は完全にナルに同調して読んでいたので沙由里やユリアの屈託ない明るさ人懐こさにひかれたけれど、今読んでいると、相手のことを心より思い自分の危険も顧みず助け素敵な台詞をつむぐナルという女の子も、友達思いの最高に素敵な女の子だと思いました。千年の歌姫とか王女様とかそんなの抜きで、ひとりのふつうの女の子として。
あとハヤミさんとミオさんの友情も好きです。無鉄砲に突っ走る格好いいハヤミさんとおっとりストッパーをかけるふんわり女の人らしいミオさんの相性がいい。

若干惜しむらくは、やっぱり大好きだった村山先生の挿絵の数々が文庫版では収録されていないこと……仕方がないことなのですが。
でも各場面ごとの挿絵はなんだか私だいたいもうイメージがまぶたに焼き付いてしまっていて、黒髪なびかせ微笑みながら弦楽器を奏でるサーヤ、大ピンチのなか颯爽と登場したハヤミさん、ラストの手に取を取り合う双子姉妹のイラストなどは、もう読んでいるだけで脳内で勝手にイメージ補完が(笑)。あの場面のナルの衣装は本当に可愛らしかった!(と、手元のハードカバー版を読み返しつつ確認)

絶望的な場面で、それでもナルたちが絶望的な戦いに打ち勝てたのは、奇跡が起こったのはなぜだったのかなと(あの最初の若者の日記も思い返しつつ)ぼんやり考えて。
それは伝説の力というよりは、たとえば人が人を強く思う心、愛する心、傷ついても失敗しても立ち上がり前回よりよりよくしたいと努力し続けること、そういうのものの積み重ねがどんどん重なって行き、すなわち奇跡を呼び寄せたと、そういうことじゃないのかな。とか上手く言えないのですがそんなことを今回読み返していて思いました。
私にとってもっとも印象的だった「奇跡」は、あのクライマックスの戦いの場面のハヤミさんの「ばかやろう」と、彼女の愛情にこたえたトオヤのふたり。
あと声を失ったナルにサーヤがフルートの存在を指し示し、紋章を譲り渡す場面もすごく良いです。好きすぎる。

と、ここまでが本編の感想で。
書きおろし部分のミオ視点の後日談エピソード『朝』。
……あまりにその内容が衝撃的すぎて、思わず三度読みしました。本編がいったんすべて吹っ飛ぶくらいに!
ええええええー!!!(言語化できない)
こ、これは、本編も初読の方が読まれてどう感じられるのか、私には全く分からないや。私はこの物語への思い入れがあまりに強すぎるので、なんというか客観的に状況を判断できないよ……(笑)。
何か語ろうとすると救いようのないネタバレな感じなので、以下は追記にたたむことにします。
思い入れがありすぎて長々しいです。ご注意を!


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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

『ヴィヴィア・バベルと屍人姫』(World -Memoriae-) 

私が愛するno-seen flowerさまのMemoriae シリーズ内の、某長編シリーズ完結後の番外編収録の同人誌。

『ヴィヴィア・バベルと屍人姫』

「ヴィヴィア・バベル」という人名がタイトルに入っているのを見たら、読まないという選択肢はない。
通販が早々にはじまっているのにだいぶたってから気づき、お取り寄せして読ませていただきました。

童話調の表紙イラストがとてもとても素敵です。
可愛らしくて繊細でやわらかなタッチに、ホラー成分も自然に組み込まれていて。ひとつの世界が編み上げられている。

お話は中編で今までのご本に比べても薄め。
ただし内容自体はさくさくと読める……類のものではなく、なんといいますか、このシリーズ特有の「得体のしれないざらっとした何か」のお目見え編、というか。後味もそんなにはよくないかな……。
ただヴィヴィアさんとか例のあのひととかの日常の物語という側面もあり、やはりファン的には読めて良かった!!やっぱりこのひとたち大好きだー!!というお話でもありました。
なにより今この名前を名乗って彼女が生きて日々を過ごしているというそれ自体が、何よりうれしいこと。といいますか。

どこの切り口からいってもネタバレを踏んでしまうのがこのシリーズなので、追記以下に、ネタバレ込みでちょっとだけ感想を語ってみます。

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カテゴリ: オンライン小説

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