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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私的本の情報メモ(5月) 

上着がそろそろいらないかしら……くらいにあたたかくなってきました。
いつの間にかソメイヨシノは散ってしまい、ところどころで八重桜を見つけてはほっこり。

さて来月の新刊購入予定メモメモ。

『ブライディ家の押しかけ花婿』白川紺子 4月28日

『身代わり伯爵と終幕の続き』清家未森 5月1日

『はるかな空の東』村山早紀 5月9日

『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する』友麻碧 5月15日

『かくりよの宿飯六 あやかしお宿に新米入りました。』友麻碧 5月15日

『コレットは死ぬことにした 7』幸村アルト 5月19日

『嘘解きレトリック 8』都戸利津 5月19日

『契約結婚はじめました。 椿屋敷の偽夫婦』白川紺子 5月20日

『わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢』望月麻衣 5月25日

うわあ、どうしよう、『はるかな空の東』の文庫版が出る…本当に出るみたい。
中学時代の図書室で出会って以来何度も借りては読み返してきた私の大切な大切な物語。
夢ではなかろうか。と未だに半信半疑な自分がいます。
あとは、『身代わり伯爵』シリーズの番外編集!待ってましたー!!楽しみすぎる。
友麻碧さん&白川紺子さんの新刊×2冊も非情に楽しみ。豪華なラインナップですねえ。

楽しみな本を読むために4月もあと少しがんばりますか……。
あ、あとかつくらを買ってこなければ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『京都寺町三条のホームズ7 ~贋作師と声なき依頼~』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ本編7巻目。
高校三年生、受験も意識しだした葵。ホームズこと清貴との距離を不器用にもゆっくりと縮めていく日々を送っていた。
そんなある日、贋作師の円生が、二人の前に再び現れる。清貴に「白磁の香合」の鑑定を依頼した円生は、清貴の「本物だ」という言葉を否定して去ってゆく。
それからしばらくして円生は、学校帰りの葵の前に姿を現し——。

ガイドブックの後は本編を。
表紙のお着物でおめかし姿の葵ちゃんがきれいです、素敵すぎます!おめかし葵ちゃんの隣でふふんと得意そうな清貴君のスーツ姿も決まっています(笑)。背景のお庭の緑も美しくて染み入るよう。

ガイドブックの感想に書いたように、私はエブリスタ版で、書籍版の先のエピソードにあたる部分も読んでおりまして。
今回のサブタイトルとあらすじで、「ああ、やっぱりこの展開がくるのか……。」と、覚悟を決めていました。
覚悟を決めたつもりではいたけれど、後半部分を実際に読んでいくとやっぱり辛くて、胸を抉られました。
今までのラブラブ幸せモードから一気に暗転しますからね……。
救いはこの巻一冊でとりあえずの決着がついたことです。あああ、本当に良かった!!葵ちゃんやっぱり最高のヒロインです。
ネット版に比べて書籍版は、文章やエピソードがしっかり練られていて、一冊の本としてとことん満足のできる仕様になっているのが、素晴らしいと思いました。
前半パートのふたりのラブラブエピソードも好きです~♪

というわけで、以降はネタばれふくみの感想を。


『プロローグ』
清貴とオーナーの美術品買い付けや上田さんと組んでのお仕事、ゴージャスだなあ、こういう世界もあるのだなあ~と興味深く読みました。
ミュシャのリトグラフとエーデルワイスのブレスレットウォッチに清貴君が込めた、葵ちゃんへの愛のメッセージに、きゅんときました。再会の優しいキスの場面も良かったです。初々しくもお互いをこんなに大切に想い愛し合っているふたりに、心が洗われる思いです……。
葵ちゃんが変な風に誤解してしまった家頭家のおうち事情もなんというかすごい。
店長の抜け加減にいい感じに和みました(笑)。

『その心は』
エブリスタ版でも好きだったエピソード。加筆部分が効いていて嬉しかったです。
お茶会に備えてはじまった葵ちゃんのお着物生活と、そんな葵ちゃんの所作の変化に戸惑うホームズさんのふたりの図がたいへん美味しいお話です(笑)。
美恵子さんのお店を実際にのぞき見られたのも嬉しかったり。
書籍版のホームズさんの「いちゃいちゃ」は初々しいなあ……(笑)。でも「おいで」って、確かにとても力のある言葉だな。
お茶会の前に訪れた高桐院の場所の描写がとても素敵でした。細川忠興とガラシヤ夫妻のエピソードをかみしめてふたり佇んでいる場面が、なんというかとても印象的で。このふたりの愛情も、きっとどれだけ年月が経っても変わらないんだろうな、とそんな感じでそっと余韻が残るというか。
和菓子屋さんの松風もおいしそうです。(私も実は松風をいただいたことがない……。)
斎藤家のお茶室選びは、このお家の人たちを前とは別な角度で見ることができて、一人一人を人間として身近に感じて好きになれた感じがしたのが、良かったなと思いました。左京さんもあれはあれで得難い才能なんだよな。
千利休と秀吉のエピソードの解釈も興味深かった。

『砂上の楼閣』
子守りホームズさんの図はちょっと笑えましたが、円生の再訪、葵への接触、そして……。
葵ちゃんに冷たいことばをぶつけても当の本人には清貴君の真意は分かってしまっていて、それでも本当にどうしようもない清貴君と葵ちゃん。辛すぎる……。手をつなぎキスをするにもいっぱいいっぱいの初々しい葵ちゃんの口から出てきた台詞にもびっくりしつつ。

『言葉という呪』
店長が葵ちゃんに差し伸べる手が優しくて、ふたりの未来に確かにつながっていて、読んでいて胸があつくなりました。店長の穏やかな懐深さに救われました。カンニングペーパーに和む。
言葉って本当に力があり怖いものなんだな。
それにしても書籍版ではこの時期の葵ちゃん思いっきり受験生じゃないですか……そっちの方向でも読んでいてひやひやしました。
甘い飲み物は優しい思い出を連れてくる、とブラックコーヒーを飲む葵ちゃんが切ない。

『望月のころ』
円生と清貴君、そして葵ちゃん、三人の間での決着。
しずかにぴりぴりしたはりつめた空気の中でのお話でした。
これまで目的不明、正体不明で恐ろしいとしか思えなかった円生の過去の背景が、明かされてゆき。
どうして贋作を作り続けてきたのか、出家したのか、清貴をライバル視するようになったのか……。パズルのピースがはまっていくごとに、胸が苦しくなりました。
円生のメッセージを清貴君がきちんと受け止めて彼のための奔走し、そして円生の苦しい心を葵ちゃんが一生懸命解きほぐし、あの結末を迎えられて、良かったな。
というか、葵ちゃんの精神面での成長が著しい。ひとりで円生の心情をたどりああいう方向に導いた葵ちゃんに、鳥肌が立つくらいでした。
そしてなんといっても葵ちゃんの「清貴君、おいで」ですよね。もうほんっとうによかったですよね!!(涙)
第一話のホームズさん側から発せられた「おいで」と書籍版では対応していて、よりお話の流れが納得のいくものとして補強されていたというか、とても良かったです。読んでいて目頭が熱くなりました。

『エピローグ』
葵ちゃん無事に大学合格できて本当によかった!
そして「蔵」でのアルバイト生活も無事に復活してホームズさんとの仲も元に戻って本当の本当に良かったです。
円生の贈り物の中国の風景画とそこに嫉妬する清貴、そんな彼に葵ちゃんがかけた言葉がまた良かったです。
秋人さんの憶測までは行ってないにしろ、着実にこのふたりの距離感は縮んだ気がします。
柳原先生の弟子として現れた円生、小松さんが持ち込んできた新たな依頼、次の物語へのつながりもぽつぽつ残るラスト。
(ところで好江さんとオーナーのふたりは、あれからどうなったかな?こちらもちょっと気になる。)

あとがきを読んで何よりうれしかったのは、このシリーズ、葵ちゃんの大学生編も読めるんですね!!
やったー!嬉しすぎる~!!(ごろごろごろ)
大学生になった葵ちゃんと院を修了した清貴君ではまたお互いの関係性が微妙に違うものになるでしょうし、いったいどんなストーリー展開をしていくのか、今から読めるのが楽しみで待ちきれないです(笑)。やっぱりいちばん気になるのはふたりの仲の進展……。

作中で右近さんたちにきれいになったと言われている葵ちゃんだけど、ホームズさんみたいな彼氏に、こんな風に常に宝物のように大切に扱われ慈しまれていたら、それはもう、色々な意味で素敵な女性に成長していくこと間違いないでしょう。と、読んでいてひとり嬉しくうなずいていました(笑)。ホームズさんの側にいて自発的に学び糧にして成長していける子でもあるし。
失恋も、彼女をより成長させたのだなと思います。結果的に。
大学生になってこれからどんどんきれいになって魅力を増してゆく葵ちゃんに、内心気が気でないホームズさんという未来が、今から目に見えるようです……。やっぱりどんな手を使っても女子大に行かせればよかったって後悔していそう(笑)。

……そんな好き勝手な空想を繰り広げつつ(笑)、本当に今回も面白かったです♪な一冊でした。
やっぱりすでに今から続きが読みたくてそわそわしています。

前も書いたかもしれませんが、このシリーズはエブリスタ版(ネット版。文庫の最後の方にアドレス等載っています)でも読むことができまして、主に清貴君と葵ちゃんの関係性において完全な別物、パラレルワールド。お好きな方はこっちも読まれると楽しいですよ♪
書籍版に馴染んでいるとひっくり返るくらい甘々ラブラブで、若干人を選びそうですが、お好きな方はぜひぜひ。
エピソードの順番も前後したりゆるやかにつながったりしていてそういうのを読んでいて発見できるのも二重に美味しいです。

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ6.5 ~ホームズと歩く京都~』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』公式ガイドブック。
葵のお誕生日パーティーの夜を描いた書きおろし中編『バースデーの夜に』収録。

発売をもうほんとに楽しみに楽しみに待ちわびていた『京都寺町三条のホームズ』シリーズ、6.5巻&7巻、同時発売!!
2冊同時に入手できるなんて嬉しさもひとしおです♪

まずはこちらの公式ガイドブックの方から読みはじめてみました。
6.5巻というだけあり、順番としては、7巻目よりもこちらの方から読んでいった方が良さそうです。

表紙の清水寺と桜と清貴君と葵ちゃんの振り返り姿がとても決まっている!と最初からニコニコしながら読みはじめる。
『蔵』のモデルのような骨董品店、寺町三条のご近所さんのお店、吉田山荘のカフェ、祇園のチョコレートのカフェ、カラー口絵の充実っぷりに嬉しくなりつつ。
ええと、結論から言いますと、期待以上の充実した中身に、大満足のガイドブックでした。
どのコーナーも一工夫がこらされていて読み物として面白く、シリーズのファンにとっては心にくい演出ばかり。

順番に感想メモ的につらつらと。

イラスト付き登場人物紹介、秋人さんと円生がそれぞれ違うタイプの美男子でびっくり!格好いい~!!
オーナーの渋い雰囲気も格好良かったです。あと好江さんお綺麗!お若い!
欲を言えば呉服屋の美人姉妹の香織さん佐織さんのふたりのイラストも拝みたかったかな。
あと地図が何枚もついていて、このシリーズを読むたびに京都の普通のガイドブックを借りてきては地図や各種寺院の紹介と突き合わせていた私的には、何とも嬉しくありがたい。

書きおろし中編。葵ちゃんのお誕生日パーティー。
書籍版を6巻目まで読んだ後にエブリスタ版も最後まで読み切った私的には、清貴君の初々しさがちょっと懐かしくも新鮮でした(笑)。(エブリスタ版は本当にもうびっくりするほど甘々なので……。)
葵ちゃんがプレゼントされたワンピースがどんな感じか気になっていたので描写があって嬉しかったです。ホームズさんの目利きっぷりがすごい。
お誕生日パーティーは、ろうそくを吹き消した後の暗闇で、一瞬葵ちゃんに額を合わせてお祝いの言葉をささやいた清貴君の場面が、ロマンティックでとてもきゅんときました。
あと葵ちゃんが焼いたマフィンと聞くや秋人さんから俊足で奪い返した姿としれっと不敵な決め台詞がなんというかもうすごい破壊力ですね!
こと葵ちゃんのことに関しては人格が変わるホームズさんが、読んでいて面白くときめいて仕方ありません(笑)。
蔵関係のメンバー総出演でにぎやかなのも良かったです。
葵ちゃんとホームズさんがお付き合いを始めたのを、オーナーや店長はじめ清貴君に近しい人たちが心から喜び祝福しているのが伝わってくるのが、いいですね。葵ちゃんほんとうにいいこですもん。気持ちはわかる(笑)。
モナ・リザの薀蓄話が披露されるのも家頭家、清貴君らしいです。私自身も興味深く面白く読みました。

舞台案内。
単なる紹介文の羅列ではなく、シリーズ既刊の各場面での清貴君視点が何か所も挿入されていて、これがまあ、楽しいしときめくしで、読んでいてにまにまして大変でした。清貴君視点って本文には基本ほとんど出てこないので貴重なのです。
二巻目のホームズさんの「牽制」ってそういうことだったのか。とようやく納得。
葵ちゃんはここで知らず清貴君を救っていたんだな。いやー、清貴君が葵ちゃんにかなわないのがなんか、分かる(笑)。
あと四巻目のカカオマーケット、葵ちゃんの悪気ない台詞にホームズさんが粉砕しているのがちょっとおかしく笑ってしまった……。でもそれは葵ちゃんは気づかないよ。分かりにくいよ。
特に三十三間堂に行ってみたくなりました。

特別掌編も楽しかったです。ふふふ。
私は『宮下香織の懸念』が特にお気に入り。ホームズさんの見た目に騙されてない(笑)賢くてしっかり者で友人思いの香織ちゃんやっぱり好きです。葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるホームズさんが(以下同文)。
『愛しき旋律』の父子の距離感も好きです。擦れている清貴君の女性観に少々ぎょっとしたり。
お弁当ネタのお話も好きだなあ。感激して神社に行くところが清貴君らしすぎて笑える。これはエブリスタ版のエピソードを読んでからの方が楽しめそうな気が。

四コマ漫画は、名字と名前をくっつけてひとりつっぷしているホームズさんと妄想の中身のネタが微笑ましく可愛らしすぎました……。利休君すら呆れ気味なのも笑える。

最後の質問コーナーも気になっていたところいくつかに回答が得られて最後まで満足度高い。
清貴君の想いにオーナーと店長がいつから気づいていたのか?とのふたりそれぞれの回答には、納得。それを受けての三巻目&四巻目のはじめだったのね。
清貴君の怖いものがオーナーなのはなるほどねえと思いましたが、葵ちゃんに嫌われるのが怖いというところが、彼の可愛いところですね(笑)。あんなに普段怖いものなしでスマートに生きている清貴君が……。恋は盲目としか。
あと秋人さんが「ホームズのライバルキャラにもならなかった」という下りで吹き出し、秋人さんが「俺もう幸せなんだけど?」と言い切るラストに爆笑でした。いやー、秋人さん相変わらず和みますねえ。

吉田山荘のカフェのケーキの写真がおいしそう。そしてふたばの豆餅と阿舎利餅も食べたい!店長行きつけの喫茶店もちょっと気になります。
それにしても、読んでいると本当に京都に行きたくなりました。そしてこのシリーズのゆかりの場所めぐりをしたくなる。
大満足の一冊でした♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

拍手メッセージ返信・4月その2 

この記事は、4月5日、4月7日にそれぞれいただいた拍手メッセージへの返信記事になります。
たいへん遅くなりまして申し訳ないです……。
追記以下に収納してありますのでよろしくお願いいたします。


拍手のみぽちりとくださった皆さま方も、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 拍手メッセージ返信

『傍観者の恋』ナツ 




レイチェルは、病弱な大親友アリシアのそばにいるために、そして何より片想いの相手でアリシアの弟・ノアと別れたくないために、ノアにかりそめの結婚を持ちかける。ノアが姉のアリシアに禁断の想いを寄せていると知りながら。
報われない恋心と罪悪感に苦しみながらも二人のそばにいられて幸せなレイチェルだったが、次第に変化していくノアの態度と言葉、幸せに笑いながらも確実に弱っていくアリシアに、レイチェルの心は乱れ——。

小説家になろうさんの書籍化作品。
ナツさんの作品は『ナタリア姫と忠実な騎士』『リセアネ姫と亡国の侍女』など何作かを読ませていただいていてとても好きで、この『傍観者の恋』もずっと気になっていたお話だったところに、書籍化の情報が。
しかもイラストあきさんじゃないですか!
改めてあらすじを読んでみるとたいそう心惹かれる感じで、そして実際に目にしたあきさんの表紙イラストがあまりに美しく、この組み合わせは、やっぱり読むしかない。

実際に読んでみて、期待以上にすごくすごくステキなお話でしたー!!!
書籍を大切に大切に最後まで読んで、ネット版も一通り読んでみて、そして書籍版をもう一度読み返して、ずっと浸っていました。
落ち着いて品のある文章と作品世界がまず良いです。
異世界ファンタジーですが不思議要素は全くなく、どこかヴィクトリア朝っぽいアッパーミドルの階級の世界のお話と言うか。
私は読んでいて大好きな『赤毛のアン』シリーズの世界を重ね合わせていました。
表紙イラストのイメージもあるのかもしれませんが、どこかセピア色がかった、懐かしくてあたたかい作品世界の雰囲気が、とても好きだなと思いました。

じれったいすれ違いの恋、契約(年の差)結婚、そして女の子の友情もの、私好みの要素がぎゅぎゅっと詰まっていて、さすがナツさん!と読んでいて何度もうなずいてしまいました(笑)。
なにより女の子の友情ものですよ!私、『リセアネ姫と亡国の侍女』のダブルヒロインの友情がなにより大好きだったんですよー!!(力説)そんな私が、かたい絆で結ばれたレイチェルとアリシアのふたりを、気にいらないわけがない!!
ほわほわ甘く幸せなばかりのお話ではなく、胸を切られるような切ない展開もあり、読んでいて辛くて何度も涙がこぼれそうになるのですが、その切なさもすべて内包した大きな幸福感がひたひたと胸に押し寄せるラストが、本当に良かったです。


ここからはちょっとネタバレありの感想を。


ヒロインでお話の語り手のレイチェルが、読み込むごとに心優しく素敵な女の子で、ノアとアリシアを心から愛し大事にしていて、彼女が偽りの生活に苦しみ悩んでいる様が辛くて辛くて、もう。
そして偽りの生活に苦しみ報われない恋をしているのは、ノアもまた同じという。
なんだかこう書いていると辛いばかりのお話にも思えるのですが、アリシアとレイチェルとノアが三人で暮らしている様は、なんというか、まぶしくて優しい光で満ちていて、お互いがお互いを心からいとおしみ大切にし合って生活している様も心の底から真実で。
読んでいる私もきれいなもので心を満たされるような気持ちになれました。
もちろん嫉妬もするし暗い感情も抱くのですが、それでも暗い気持ちを自分の心の内に秘めて、実際には相手の幸せを思って行動するレイチェルが、尊いです。(まあそれがさらなるすれ違いの要因になってゆくのはもどかしいのですが……。)
レイチェルやノアの場合、いちばん憎むのは、醜い気持ちを抱く自分自身なので。もう本当にそんなに自分を痛めつけなくていいから……!と読んでいて何度思ったことか。

アリシアはレイチェルとノアが愛し崇拝するように美しく優しく穢れをしらぬ完璧な天使だけれど、誰より天使なのはレイチェルだと、私は思いますよね。なんというかアリシアとはまた違うタイプの、生身の普通の女の子としての、奇跡のような心根の美しさの持ち主。
レイチェルの一人称からはなかなか見えてこないけれど、読みこむうちに、アリシアとノアの姉弟が二人とも、世界で一番レイチェル大好き!!になった理由がよーく分かってくるというか。
あきさんのイラストのレイチェルが本当にいいですよね。そばかすの散った顔立ちの素朴な愛らしさよ。
湖遊びに出かけた先で不甲斐ない弟にしっかりしてよ!とたしなめるアリシアの一連の台詞がとても好きだなあ。
私ももう本当にノア、しっかりしてくれー!!と思いながら読んでいたので、アリシアはよく言ってくれました。
ノアも優しくて穏やかな美貌の理想の王子様で、私好みの大好きなヒーローだったんですけれどね。年下なのを気にして彼女を守ろうと必死に頑張る姿も格好良かったし。ただやっぱり私はレイチェルの味方でレイチェルの立場で読んでしまうので、ノア、もうすこししっかり……(以下略)

アリシアが他界し離婚しようとするノアのことを案じてやせた身でふらふら行動に起こすレイチェルはもう見ていられなかったけれど、雨降って地固まったようで、吹っ切れたノアとようやく心通じ合わせられて、本当に良かったです。
ノア視点でのエピソードの、彼の気持ちの変化の様がまたいい。姉に思慕を抱いていた彼が、共に暮らしレイチェルの優しい心根に接するうちに、しだいにレイチェルをひとりの女性として愛するようになってゆく様が、とても自然に書かれていて、ああ、なんだかとても素敵です。
アリシアのことを「姉さん」と呼んだノアとそれを受け止めたアリシアの二人の場面も好きでした。
(もっともノアは自覚する前からレイチェルのことを意識していたのだと思いますけれどね。ブライアンのことを初期から敵視しているし、レイチェルを悪く言う友人はあっさり遠ざけるし、いろいろ)
後半になってくると、ノア、レイチェルのこともう好きすぎだよね……といっそ気の毒になってくるくらいでしたが。これで想いが通じていないのだからもどかしいったらありません。

ナツさんのお話で私が好きな要素のひとつが兄弟姉妹愛、家族愛なのですが、やっぱりこの作品でも。
特にいい味出していたのはオースティンでした。レイチェルとノアをいじりつついじめつつ、他人が二人にちょっかいを出すときっちり制裁を加えるとか、最高なお兄ちゃんじゃないですか……(笑)。マリアン嬢の件のオースティンのやり方は鮮やかすぎました。
ふたりが一番つらい時にあえて厳しいことを言ってたきつける役目を買って出てくれるのもいいですね。
レイモンドとオースティンとノアの三兄弟のお買い物風景、さぞかしうるわしいんだろうなあ。想像するだけでうっとり。
レイチェルとそのお父さんのふたり家族のあたたかなきずなも良かったです。
あとアビーとトマスの忠義者使用人夫婦も好きだったし(やっぱり奥様命になりますよね、それは)、マリアン嬢もなんだかんだいいひとだったし、ノアを大人の余裕でからかっていたブライアンも茶目っ気があり格好良くって好きでした。(イラストが格好いい!)

本編がシリアスだった分、後日談で甘々エピソードを補充できて、幸せでした。ふふふ。
でもあれが自分たちにとっての新婚旅行だったから!というのは譲らないレイチェルがいて、やっぱりレイチェルいいなと思いました。
ラストのアリシアの手紙もとても良かった。本当に、「手紙って素敵ね。声は記憶から薄れていくけど、文字は残っていくのだもの」(314頁)
「お茶のほしい人はだあれ?」とレイチェルが微笑んでおずおずと手をあげるアリシアの二人の姿が、目を閉じれば思い浮かぶような。

あきさんの挿絵がまた秀逸なのです。単行本サイズなので美しいイラストが大きなサイズで堪能できてさらに眼福。
いちばん最初の、ブライアンに敵意を燃やすノアと必死に間に入っているレイチェルの困り笑いの表情と、あといちばん最後の、ノアの告白をいっぱいに目を見開いて聞き入っているレイチェルの表情、この二枚が特に私のお気に入りでした。
あとドレスや髪形や各種装飾品の細やかな描写がさすがお見事。
表紙イラストの三人、あとがきを読んでいて、そうか、これは本来ならありえない幸せなショットなのか……と改めて見返すと、またじんとくるものがありました。

ウェブ版のお話も少し展開が違ったり後日談エピソードがあったり、こちらも楽しませていただきました。

正統派少女小説、じれじれ両片思い、女の子の友情ものがお好きな方にはとてもおすすめ♪
これはふだんネット小説を読まれない方にもおすすめしたいです。

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: ナツ 

拍手メッセージ返信・3月&4月 

この記事は、3月26日~4月1日にそれぞれいただいた拍手メッセージへの返信になります。
追記以下、どうぞお読みください~。
(今回から文字の色を反転させるのはなしにいたしました。)

拍手のみぽちりとくださった皆さまも、本当にどうもありがとうございました♪
特にブログ8周年の記事に、毎日のように反応をいただけて、このブログは本当に果報者だなあと、改めて嬉しく感激しておりました。

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カテゴリ: 拍手メッセージ返信