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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私的本の情報メモ(3月) 

確かに今年は暖冬だとは思いますがやっぱり寒いです。
今日も朝はわりとあたたかかったので油断して外に出たら、昼過ぎに雪が舞ってきて凍えそうでした。
もう梅がぽつりぽつりと咲いていますねえ。
主に電車の窓から眺めるばかりですが。

2月があと一週間ないことに気づいたので来月の新刊購入予定メモメモ。

『赤髪の白雪姫 22』あきづき空太 3月5日

『君は春に目を醒ます 5』縞あさと 3月5日

『本好きの下剋上第五部Ⅰ 女神の化身』香月美夜 3月10日

『君と僕の大切な話 7』ろびこ 3月13日

『メイデーア転生物語2 この世界に怖いものなどない救世主』友麻碧 3月14日

『浅草鬼嫁日記八 あやかし夫婦は吸血鬼と踊る。』友麻碧 3月14日

『茉莉花官吏伝 八 三司の奴は詩をうたう』石田リンネ 3月15日

『腐男子先生!!!!! 3』瀧ことは 3月15日

『わが家は祇園の拝み屋さん12 つなぐ縁と満月に降る雨』望月麻衣 3月24日

『腐男子先生!!!!! 5(コミックス)』結城あみの 3月

『コンビニたそがれ堂 9』村山早紀 3月


リストアップすると結構ありますねえ。
『本好きの下剋上』書籍版もとうとう最終章の第五部。第五部完結まであと何年かかるんだろう……でもこの勢いならラストまで書籍化ちゃんとされるかな。ミュリエラとオルタンシア様のキャラクターデザイン素敵だったな~グレーティアも楽しみです。
Webで初読時は「女神の化身とはなんぞや?」と不思議でしたが、読み終えてみると確かに言葉通りでした。
あの怒涛の戦いの展開に辿り着くまでが辛いんですよね。ううう。とりあえずダンケルフェルガーの兄妹の活躍とか楽しみ。
あと『腐男子先生!!!!!』小説版3巻目出るのね??完結ですって???
あらすじを読む感じでは、Web版の展開が少しはしょられるのかしら。気になる~ラブコメってちゃんと書いてあるのでそこは信じています!!(笑)楽しみ♪
友麻碧さんの新刊がどーんと2冊出るのも豪華ですねえ。
自分のペースで楽しんで読んでゆきたいと思います。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。4 花ざかりの王宮の妃たち』友麻 碧 



「千国」に迷い込んでから二年。千歳は仙人の薬師・零先生の弟子として働きながら、初恋の相手・透李王子と想いを交わし合い結婚を控えていた。
師匠の側を離れるのをためらう千歳だが、次第に王宮の兄弟王子の妃達とも親しくなり、頼られていく。
そんな中、王に呼び出された千歳は、謀反の罪で幽閉中の前王妃・香華の最後の願いを叶えるよう命ぜられて——。


『鳥居の向こうは、知らない世界でした。』シリーズ第四弾。
大好きなシリーズなのでゆっくり刊行ペースを待ちわびておりました。

ピンク色のお花がいっぱいに広がる表紙が、華やかで明るい気持ちになれて素敵です!
千歳のたたずまいや表情も、しっかり落ち着いたものになった気がします。

作者さんの他シリーズに比べてライトノベルっぽくないというか、ほのかに文学の香りが漂う中華風異世界ものファンタジー、そうそう、この世界観が、私はやっぱりとても好きなのです。読んでいて心安らぎました。
前巻ラストからの流れもあり、より少女小説的ロマンティックさも増してきましたよねえ。いいですねいいですね!!
ほどよく優しくて心地よくて親しみやすい異世界の描写は、これはやはり安心の友麻さん作品クオリティ。
身体によいごはんやお茶やデザートもおいしそう!

トーリさんこと透李殿下と想いを通じ合わせ、お妃としての未来を考えつつもためらいもある千歳ちゃん。
零先生は放っておいたら不摂生する人っぽいしお妃になるということは簡単なことではなく、彼女の揺れる気持ちもダイレクトに響きます。
そんな彼女がこの巻で、トーリさんの兄弟王子のお妃達や前王妃と関わり合いを持つことになり、また妹弟子の少女とも出会い、彼女たちの心に触れながら自らの道を見据えていくことになる流れが、自然で良かったな。と思いました。
あと王族の名代冠花という制度が素敵です。

まず千歳が出会ったのは玉玲様。青火王子のお妃様。
なんというか勇ましくて格好良くて素敵な方だな!青火王子とそんな馴れ初めだったとは知りませんでした。なんだかトーリさんと血のつながりを感じる。
開けた思想を持ちつつちょっと危ういものを感じるのも確かに。千歳と一緒に物事を立案することでちょうどいいバランスになるかもしれないなと思いました。
次に出会ったのはメグナミ姫様。左京様に嫁いできた地方の豪族出身のお姫様。
照れ屋で臆病だけど可愛らしくて優しい女の子で、はじめは誤解があったものの、旦那様への贈り物をせっせと作って渡す姿が可愛すぎて心ときめきました!!
メグナミ姫様にはしゅんと弱気な左京様もちょっとおかしくて可愛かったです。
あの左京様も幸せな家庭を持つことができそうで、良かったなあとほろっときました。
オクラやお野菜の天ぷらをトウモロコシの炊き込みご飯の上に載せたオクラ天丼って絶対に美味しそう。
メグナミ姫様が秋葵の花を自ら選んだというのにもきゅんときました。

そして玉玲様の「学校」をきっかけに千歳と出会った貧しい移民の少女・蓮蓮。
親を亡くし張りつめていたひとりぼっちの彼女が、なんだかんだで零先生の弟子に迎え入れられて、ほっとしました。
千歳が零先生と対峙して述べた「答え」に、じんときてしまいました。
千歳がぴんときたくらいなので、彼女の中にも無限の可能性というか物語が詰まっていそう。
蓮の実ご飯も蓮の実餡のロールケーキみたいなお菓子もぽくぽくして美味しそうです。

後半パートの香華様のエピソードはやはりシビアでした。
『月の峠』の歌詞が、美しくももの悲しく切ない。
自らも傷つき悩みつつもなんとか香華の心に寄り添おうと奔走する千歳さん、辛いけれど彼女の本領発揮だよなあ、とも確かに感じました。
ラストの青焔の園でのコンサートの場面が、ただただ印象的でした。
トーリさんが語る母親の最後も辛すぎる……。

そしてついに未来の約束をした千歳とトーリさん。
自分の母親があんな最後だったからこそ、彼も相当葛藤したんだろうな……。
それを踏まえての真直ぐでのびやかで優しい愛の言葉が染み入りました。

その後の零先生との別れの場面も泣きました。
普段毒舌辛口な先生がぽろっとこぼした褒め言葉……じーん。
零先生は過去にどれだけしんどい経験を経て今千国でこうして薬師をしているのだろう。想いをはせてしまいました。
千歳さんも一巻目の彼女に比べると、まるで別人のように生き生きと仕事に励む素敵な娘になったなあ。

今回出そろった千国の王や王子、その妃達は皆いい人達で、こんな人達が新しい千国のために奔走していくのなら、未来にも希望が持てるなと感じました。
「霞桜の君」の未来も幸せなものでありますよう。

きれいにお話がまとまりましたが、これって完結?なのかしら?
もっと色々細部のエピソードが気になるし常風国とのいざこざも決着ついていないし主人公夫婦の未来の活躍もみたいし蓮蓮の頑張りも読みたいし、続刊もぜひとも読みたいですお願いします。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『恋をし恋ひば かんなり草紙』深山 くのえ 




両親を亡くし財産も失い、今は女房仕えをしてひっそりと暮らしている、元大納言家の娘・沙羅。
ある日の夜、女御の飼い猫に付き添いひとり庭を眺めていた沙羅の前に、宿直装束姿の男が現れる。
沙羅に話しかけてきた彼の名は、かつての許嫁のもので——。


深山くのえさんの新作。平安時代もの!!
発売前からとても楽しみにしていました。

久しぶりに安定の深山くのえさん少女小説を堪能できました。
薄幸の健気な女の子が恋をして幸せをつかむまでの、しっとり雅な王道ラブロマンス。
う~ん、これぞ深山くのえさん。やっぱり良いんですよね。うっとり。

話がそれますが、ちなみに、少女小説とは。
この前の『皇妃エリザベートのしくじり人生やり直し』でも思いましたが、レーベルがなんとかは私にはよくわからないので、実際に私が読んでみて少女小説だと思ったら、少女小説だと思うことにしました。
(まあ、コバルト文庫とかルルル文庫とかに比べると、主人公の年齢は若干高めかな。あのエリザベートも特殊な身の上だったし)

なんといっても平安時代のお話の作りや各種設定、雰囲気がとてもしっかりしていて格調が高くて、安心して物語にひたれるのが良かったです。
これは安定の深山さん作品クオリティ。
序盤、月夜にヒロインとヒーローが出会う場面、猫の鳴き声、緊迫したふたりの距離感。ひっそり静かな宮中の空気の余韻のようなものが、文字の間からさらさら零れ落ちてくるかのよう。
女御たちの実家や登場人物達の身分や諸々の固有名詞が、全く違和感なくすうっと馴染んで読めるのって、なかなかすごいと思うんです。雅やかな雰囲気にうっとり。
それでいて読みやすい文章でさらさらと楽しめます。

沙羅は主を亡くし没落した大納言家の姫君で、従姉妹の女御の女房として静かに暮らしています。
基本受け身で全てにおいて控えめな彼女で、元気いっぱいのヒロインがお好きであれば正直物足りないかと思うのですが、平安時代に生きる高貴な姫君として考えるなら、むしろとてもしっくり馴染むと思います。
彼女が内に持つ優しさと寂しさにきゅっとなります。
猫がいちばん懐いているところに彼女の人柄がうかがえます。(名前のイメージ通りというか、ヒロインのもうひとりの騎士みたいな素敵な猫様です)
最初頑なに拒み全てを諦めていた沙羅が、朝蔭の情熱と優しさに少しずつ心を開き、恋に落ちてゆく様が、王道ながら素敵です。
控えめな中にも芯はしっかり譲れないものを持ってるのが随所で垣間見えるの、いいですよね。

ヒーローの朝蔭も、最初は育ちのいい貴公子と思っていたのが、主に父親の事で、彼なりに影を背負って生きてきたことがだんだんわかってくるのが、良かったです。
沙羅に語る以上に沙羅のことを昔から想っていて、でもそれを沙羅に必要以上には語らない。彼女への心遣いゆえ。
彼のこういうところがとても好きです。
拒み続ける沙羅にも、強引にならない程度にぐいぐい押していく彼のアプローチはなかなかときめきました。分かりやすいんだけどスマートで、全然嫌味じゃないんですよねえ。
三日通っての通例をきちんと守るところとか、わあ、『落窪物語』の世界ですね!!
ちなみに恋愛が進む段階も『落窪物語』っぽいです。
こういう各種設定がいかにも平安時代にありそうなものばかりなのがひとつひとつ心にくい。
従者の好郷も結構いい性格をしつつも有能で主思いでお気に入り。

ちなみに沙羅と朝蔭が結ばれるまでの障害に、朝蔭の父が勝手に決めた他所の姫との縁談があるのですが、そちらの姫には想いあった恋人がきちんと存在していて、朝蔭はそちらのふたりの恋の後押しまで(ついでに)やってのけていました。
さりげなく書かれているけれど朝蔭、かなり有能じゃない?
そしてできればこちらの恋人達のエピソードももう少し読みたかったな。

実はすべての元凶だったといえなくもない朝蔭の父親は、いわゆる「心がない」お人。
何を言っても心に全く響かない、愛も思いやりも全くない、真っ黒。
朝蔭はこんな父親の下よくこんなにまっすぐに育ったな……いや、むしろだからこその心に染みる優しさを持ち合わせるようになったのかな。彼にとっては初恋の姫への想いが、相当に救いだったのではないか。
彼が父と本格的に対立し一歩も引かない姿勢を見せた場面、格好良かったです。
そしてお母様もついに一矢報いました。彼女もこれまでの人生でどれだけ辛い思いをしてきたのか……想像すると辛すぎる。
そんな妻子の行動を全部沙羅に押し付けて呪いの言葉を吐きに来たのは、最低でしたが。
あんなことをあんなふうに言われたら、どんな気丈な女性であっても心折れますよ……。

火事の事もありどうなるかと思いましたが、ハッピーエンドに落ち着いて、良かったです。
沙羅も沙羅なりにものすごく頑張ったと思います。そこであきらめちゃだめだ!と私も思いましたが(笑)。でも繰り返すけど朝蔭の父にあんな風に言われた後では心が折れて捨て鉢になるのも仕方ない……。
朝蔭が読者の信頼に足る誠実な愛を持つ青年で、本当に良かったです。

沙羅が女房仕えをしている梅壺の女御のところは、女御様も女房仲間達も、穏やかで落ち着きがある雰囲気で、なんだか居心地が良いですね。
子供は可愛い姫宮で、世継ぎの皇子争いとも無縁で女主人が特に野心を持っておらず、親が健在で経済的にも特に困っておらず。これくらいのお妃様が、宮中ではいちばん幸せに心穏やかに過ごせるのかなあと、ちょっと思ったりしました。
キラキラした表舞台にたったり、国母になったりするのが幸せとは限らないよね。ほんと。
こういう、設定が比較的穏やか~なところも、大人風味な少女小説ならではなのかもしれません。

平安時代に普通に存在して平安時代の貴族の少女達が自然に感情移入できるのは、むしろこういう大人しいお姫様がヒロイン設定の恋物語なんじゃないかな、と読んでいて想像しちょっと楽しくなりました。
欲を言うならこの内容でもう少し巻数をかけてじっくり色々なエピソードを味わいつつふたりのロマンスを追いたかったな。
とはいえ一話できれいにまとまった良きロマンスでした。
深山くのえさん、今後もぜひこのようなかたちで平安時代もの(に限らず)少女小説を書いていただきたいなあ。
読書メーターの感想欄を拝見している限り、同じように考えている古参のファンは結構たくさんいる気がします。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 歴史もの

タグ: 深山くのえ 

『皇妃エリザベートのしくじり人生やりなおし』江本 マシメサ 



オーストリア皇妃エリザベートは暗殺者の凶刃に倒れ六十年の生涯を閉じ、亡霊となってハプスブルク家の終焉を見届ける。
ところが気が付くと、一回目の人生の記憶を持ったまま、六歳の少女の時代に逆戻りしていた。
今度の人生は不幸な道を歩みたくないエリザベートは、運命の分岐点だったフランツ・ヨーゼフとの出会いを回避し見初められることのないよう、一転してガリ勉少女になることに——。


江本マシメサさんが描かれた、かの有名なエリザベートがヒロインの少女小説。
歴史もの少女小説が大好きな私は、新刊情報で目にしてから、読めるのをとても楽しみにしていました。
宵マチさんの表紙が甘くて繊細でロマンティックでいかにも少女小説で素敵です。

いやあ、王道パターンの少女小説って楽しいですねえ!!!
なんかひさしぶりにしみじみそう思いました。
(二見サラ文庫がいわゆる少女小説レーベルなのかは分からないですが、私がこの本を読んだ感じでは、中の挿絵がない以外はほぼ百パーセント少女小説)

今はやりの悪役令嬢転生ものと歴史もの少女小説の融合といいますか。
これまで考えたことなかったけれど、確かにこの二つは相性良さそう。
これに江本マシメサさん作品の持ち味がほどよくミックスされて、とても私好みの作品になっておりました。

序盤で語られる一回目の人生の回想が辛かった。とても辛かった。
そんな記憶を持ったまま、バイエルンでのびのびと育った少女時代に時が巻き戻ったエリザベート(シシィ)、心の傷は自然と家族の愛情で癒され、一度目の人生の不幸を回避すべく、決意して行動します。
お勉強をして武芸も身に着けることで、陛下に見初められるような少女にならないようにしよう!と。
そんなので上手くいくのか?と若干思わないでもなかったのですが、がんばってお勉強して知識を身に着けて、世界情勢を自分自身できちんと考えられるようになったシシィの姿は、読んでいてとても好感が持てました。
真面目に頑張る賢い女の子は私の好みストレートです。はい。
そんなシシィは、一回目の人生で何がハプスブルク家の不幸の原因だったのか、色々な面から考えることができるようになり、回避策も色々思いつきます。

そして最大の転換点である陛下との結婚だけは避けようと、頑張るシシィ。
まあしかしそこは運命といいますか、結局少し違う形ではあるものの、ふたりは出逢ってしまいます。
その年のプリンセスらしさはなくとも、真摯に相手のための実際的なアドバイスをするシシィ。いやこれはこれで相手の心に残っちゃうよね……。
なんかこの、知識と経験を兼ね備えた賢い娘でありながらも、恋愛の駆け引きを分かっておらず、それどころか相手に無意識に好意を抱いていて幸せになってほしいという思いが根っこにあるような、色々詰めが甘いアンバランスなシシィが、ひどく魅力的で可愛い。
なんというかシシィは、前世でも、陛下の事をちゃんと心から想っていたんだろうな。と。
そしてこんなシシィに陛下が心を奪われるのも必然というか。
ふたりは文通を続けていくことに。(文通はいいのねシシィ。結局距離が縮まっていくんじゃないの?とか色々読みながら突っ込むのがちょっとたのしいです)

特に良かったのが、知識を身に着けることで、姑ゾフィーの前世での厳しい態度には理由があったのだと、シシィが気づいたところでした。
ゾフィーさま、最初のうちこそ冷たかったけれど、シシィの賢さに触れるうちに、かえって彼女こそが皇妃にふさわしい、と考えるようになってゆくのです。この展開良いですね。
私そもそも江本マシメサさん作品のお姑さんポジションの女性が、いつも大好きなんです。みんな面倒くさい性格と深い愛情を持っていて、何とも言えない味があって。
そんな作者様のゾフィーが愛すべき女性だったのは必然でした。
ゾフィーとシシィの母のルドウィーカの間にある姉妹の複雑な感情もなんか良かったです。

バイエルンの王太子の少年ルートヴィヒのお世話係になるシシィ。聡明で甘えん坊のルートヴィヒとシシィが本当の姉弟みたいで可愛い。
再会した陛下の気持ちは、案の定……ですよね。そうなりますよね!ふふっ。
シシィのために街でお菓子を買い求める陛下が実に可愛いです。
真面目で堅物な青年の恋心は重い。シシィを忘れられるわけもなかった陛下も、王道パターンできゅんときました。
ルートヴィヒやゾフィー達、最終的には家族たちにも見守られながら(お父様意外と強かった)、シシィ達は収まるべきところに収まりました。
いかにも少女小説なハッピーエンドで良いものです。
なんというか、今世のシシィと陛下なら、確かな知識と愛情を持っているし、何があっても幸せには暮らしていけるんじゃないかな。と自然にそう思えました。

シシィの家族たちも愛情深いだけでなく、妙な(笑)味があって良かったです。
年頃の娘相手に、結婚生活についてそれぞれ辛辣な意見を述べるお父様とお母様がなかなか好きです。なんだかんだいっていい夫婦なように思える。
あとヘレーネお姉様に秘密を打ち明けるとは思わなかった。そして打ち明けられたお姉様の妹への真摯なアドバイスが良かったです。
結婚さえすればハッピーエンドではないってシシィがすでに分かってるところが、読んでいてほどよくリアリティがあるんですよね。
我が身の事を真摯に案じられた陛下の弟君達も、これはシシィに惚れ込んじゃいますよね。無邪気なのは罪だな……。

あとこのお話の読みどころは、ウィーンのカフェめぐり!!美味しそうなお菓子の数々!!!
ゲルストナーのスミレのシャーベット、ゼリーでかためた苺のケーキ「エルドベール・スフレトルテ」、「黄金の小屋根のチョコレート」、生クリームたっぷりのコーヒーに五層のチョコレートケーキにチーズケーキに……。どうしましょう、ものすごくケーキを食べたくなってきました。
少女のエリザベートに詳細なケーキのレポートの手紙を送ってくる陛下が健気で可愛いではありませんか。
ウィーンやバイエルンや色んな地域の描写がさらりとあるのも興味深くて、図書館でウィーンのガイドブックを借りてきて読みこんでしまいました。

私はもともとエリザベート皇妃やこの辺の世界史にそんなに詳しくないのでほぼ気にならなかったですが、あくまで少女小説なので、展開とかはゆるーく楽しむのが良いかと思います。
歴史におけるこうだったらいいのに、実はこういう真実だったら面白いのに、と好きに色々想像を膨らませられるの、歴史もの少女小説の醍醐味だと思います。
あ、須賀しのぶさんの『帝冠の恋』を読み返したくなってきました。(これもまた良き歴史もの少女小説です。ゾフィーがヒロイン)

江本マシメサさん、もっとこんな感じの少女小説書いてくださらないかしら。

カテゴリ: 歴史もの

タグ: 江本マシメサ 

1月の読書メーターまとめ 

いつの間にか2月になっていました。
今年はやっぱり暖かい日が多いかな。
ただ私自身が年々冷え性になってゆくので寒さは毎日身にしみる……。
そろそろ意識して運動しなければいけないのかなあ。
歩くぐらいしかやる気がないけれど。

さて先月分の読書メーターまとめを追記より。

ブログに書いていない作品で特に良かったもの
小説  ゆきうさぎのお品書き うちのレシピ
まんが  文明開化とアンティーク 大奥 ブスに花束を。

『ゆきうさぎのお品書き』年越しにバレンタインに、季節のタイミングもぴったりの新刊で一層楽しめました。
ショコラマカロンいいな~マカロンはちょっと気軽に作れないけれどおいしそう!!カレーも食べたくなってきました。
『うちのレシピ』瀧羽麻子さんの安定のあたたかな家族の物語。そして出てくる洋食がとにかくおいしそう。
『文明開化とアンティーク』1巻目を読み終えたらなんかはまってしまって4巻まで一気読みしました。
明治の横浜の雰囲気たっぷりでアンティークの描写も程よく細やかで、少女漫画としても楽しかったです。
『京都寺町三条のホームズ』好きな方には合っているかも。
どこかの時代で横浜の霧島堂と京都の蔵が関わりをもつ機会があって、今でも店主同士つながりがあるんじゃないかしら、と勝手に想像を膨らませてしまいました。紙のコミックスは絶版ですが、電子なら。
『大奥』上様の笑顔とお人柄が本当に可愛らしくて癒される……押し寄せる不幸の影がせつない。和宮さんと天璋院と瀧山と四人そろうと、なんかこんな時代でもこんな人達が江戸にいるのなら、これからどうなろうと希望が持てるなあ、という思えてきます。
『ブスに花束を。』、花ちゃんと上野君の遠回りすれ違いまくりの関係についに決着が!!いつの間にか強い友情で結ばれている女子達がとても良かった。

先月はわりとブログ書けたので、良かったです。


この一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

『京都寺町三条のホームズ13 麗しの上海楼』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ第十三弾。
富豪の娘であるジウ・イーリンに請われて、美術展での鑑定のために、円生、小松と三人で上海にやってきた清貴。
優雅な滞在になるはずが、祖父の家頭誠司の不可解な態度を漏れ聞き気になる清貴。
そして突然、かつて関わったことがある菊川史郎から、ニューヨークにいる葵に関わる脅しのメッセージが届いて——。


『京都寺町三条のホームズ』さん、待ってましたの新刊です。
今回はなんと、ファンにはたいへん嬉しい二カ月連続刊行のようでして。
今回の清貴君の上海編、そして来月は葵ちゃんのニューヨーク編になるようです。
そのため今回は最初から最後まで清貴君視点がメイン。
葵ちゃんの出番がほぼなかったのが私としてはちょっと寂しかったのですが、でも今回も読み応えがあってすごく面白かったです。
(清貴君サイドからのほんのちょっとの甘いやりとりがそれぞれがつんときました)
最初の短いエピソード以外は舞台が「京都」ですらないのですが、ばっちり本編中の本編、重要なエピソードでした!!!

私今回の新刊の舞台が「上海」と知ったときから、ひそかにとても楽しみにしていたのです。
なぜかというと、私が今までの一生で唯一行ったことがある海外が、まさに「上海」だから。
勝手に運命を感じて一人心の中で盛り上がってました(笑)。
作品に出てきた外灘と豫園は、ばっちり行きました。景色も覚えています。
わ~!!懐かしい!!!
外灘は左手に西洋風の時代を感じさせる建築物に右手に近代的なタワーが並ぶ背景が独特で面白くて、豫園は本当に古の中国の雰囲気たっぷりの観光地。(ものすごい観光客でしたが)
高級なキラキラした世界と庶民的な世界が混在していて、なんだかこのシリーズのイメージにもあってる。夜の車から眺める夜景が日本とは色使いとかが違っていて妙に異国感があったなあ。とか。
地下鉄のシステムが最初よくわからなくて、小松さんのとまどいが個人的に共感できました(笑)。
えーと、数年前に行った私のイメージとしては、円生が語っていたかつての上海のイメージが3割、この三人が今巻で実感していた現在の上海のイメージが7割、くらいだったかな。

表紙イラストの清貴君はひとりたたずんでどことなく寂しげ。寂しげな表情に色香が……。
そしてカラー口絵の一転したコスプレ(?)とラブラブモードにひっくり返りそうになりました。
葵ちゃん可愛すぎる。
このカラー口絵は本編を読了してから改めて眺めると、しみじみ最高だと思います。

最初のエピソードは秋人さんがホームズさん達に持ち込んできた、ささやかな謎解き。
とらやの土産をめぐるあれこれ、そういうのはたから読んでいる分には楽しいです。
紅子さんと桜子さん元気でパワーを感じるところが良いな。そして秋人さんがあっけらかんとホームズさんに抱く友情と信頼が、秋人さんやっぱり大物だな~と思わずにいられませんでした。
小松さんが覗いてしまった清貴君と葵ちゃんにどきどき。

そして上海にやってきたホームズさん、円生、小松さん。
前の巻ほどのトゲは感じなかったものの、まあそんな仲良しとばかりはいかない三人。でも今回は大分まとめて一つのチームっぽかったです。
特に遠く離れた地にいる葵ちゃんの危機を前にして、清貴君はもちろん円生も小松さんもそれぞれの能力をフルに使って奮闘していて、頼れる男性たちが非常に格好良かった!!!
そして円生の人生の転機となるエピソードでもありました。
まさかそうつながるとは思ってもいなかった。やられました。言われてみれば名前もちゃんとそれっぽい!
途中まで、柳原先生も清貴君も円生の選ぶ世界についてえらくドライだな……と思っていたのですが、なるほどそういうことか。
それをこういうかたちで気づかせてやった清貴君、彼の手腕もやはり只者ではないということでしょう。
誠司さんのやけに弱気なあれこれが私も読んでいてもやもやして気がかりだったのですが、そういうことだったのか。いやはや。
そのあたりのことも見出したのであれば、ジウ氏も確かに良い目を持っていらっしゃる。
祖父の事をかなり心配していた清貴君でもあったので、ほっとしました。
曼荼羅や茶碗の薀蓄も興味深かった。

思えばかつて清貴君の元に送られてきた中国が舞台の絵、私とても好きだったんだよなあ。
文章だけなのに絵の中のゆったり雅で美しいイメージが広がってくるような感じがして。
清貴君と葵ちゃんの仲の重要なシーンだったことも相まって、印象深い。
あそこからここまでつながる伏線だったのですねえ。

史郎さんやっぱり心がないえぐい画策をしてきましたね……。
最大の弱みをにぎられた清貴君がどう出るのかハラハラドキドキでしたが、周囲の助力も得つつ頭脳と知識をフル活用していくつも綱渡りをして反撃を成功させた清貴君、さすが。格好良かったです。
カラー口絵二枚目にもあった「色仕掛け」には、目が点に(笑)。
史郎さん、私が思っていたより「小」悪党だったかな。
あの態度かなりイラッと来ましたが、最後には、まったく良い気味でした。
守るべき葵ちゃんがいるというのは、弱みにもなるけれど、それまでよりずっと人として大きく強くなるということでもあるなあ。とか思いました。
そして史郎さんとの戦いの最中はきりっとした態度を崩さなかった清貴君が、勝手に会いに行ったら葵ちゃんに怒られて嫌われるかも……とかになるととたんにしゅんと弱気になってしまうの、相変わらずで微笑ましかったです。安定のホームズさん。

善良な小市民小松さんも地味に活躍していました。
いや、彼のネット関係情報収集手腕は只者ではないけれどさ。あのホームズさんが一目置いて頼っているくらいですから!
彼の視点のおかげで物語がだいぶマイルドになっていた気がします。
円生も大分葛藤し苦しんでいましたが、一皮むけましたよね。
あと葵ちゃんがほぼ登場しなかった分、ちょっとヒロインっぽかったイーリンさん。
彼女もまた複雑な生い立ちの女の子だったんだなと思いました。イーリンさん自身は全然悪くないのにやりきれない。
彼女も最終的には家族とやや歩み寄れたようで、良かったな。
円生とイーリンさんが二人で語らう場面が何だか好きでした。

今私は記憶の中の観光客でごった返している豫園の風景からなんとかして人混みを抜いて、愛らしい女官のシルエットを配置して自分なりの絵のイメージを作ってみようと頑張っているところです(笑)。

対になるという来月の葵ちゃんのニューヨーク編が楽しみです~!!!
葵ちゃんの活躍はもちろん、急きょボディーガードになった利休君の格好も気になるところです。

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣