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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私的本の情報メモ(6月) 

もうそろそろ梅雨に入るかという季節なのですねえ。
引きこもり生活のおかげで、一カ月くらい時間をスキップしてしまったような感覚です。

さて来月分の新刊購入予定メモ。
新刊発売日をきちんと心待ちにできる状況ってありがたいことですね。


『本好きの下剋上第五部女神の化身 Ⅱ』香月美夜 6月10日

『メニューをどうぞ 4』汐邑雛 6月10日

『金星特急番外篇 花を追う旅』嬉野君 6月10日

『出張料理人ぶたぶた』矢崎存美 6月10日

『女王の化粧師 2(電子書籍)』千花鶏 6月15日

『天使がのぞきみ 5』もとなおこ 6月16日

『十二夜の魔法使い』もとなおこ 6月16日

『Babel I 少女は言葉の旅に出る』古宮九時 6月17日

『Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙』古宮九時 6月17日

『コレットは死ぬことにした 16』幸村アルト 6月19日

『ゆきうさぎのお品書き あらたな季節の店開き』小湊悠貴 6月19日

『谷中びんづめカフェ竹善 3』竹岡葉月 6月19日

『Landreaall 35』おがきちか 6月25日

『大奥 18』よしながふみ 6月26日


わあああ、なんだかいっぱいありますね!!!
ちょっとこれを一カ月にすべて読むのは無理な気がします(早)。ゆっくり時間をかけて楽しんでいきたいです。
『本好きの下剋上』と『Unnamed Memory』の新刊がひと月にどーんと来るとか、幸せに気が遠くなりそうです……私は受け止め切れるか!(笑)UMの5巻目の表紙が素敵すぎないでしょうか。
『ゆきうさぎのお品書き』は完結巻とのこと。なんだか寂しいけれど、最後までふくふく幸せな物語を楽しみにしています。
なにげに『金星特急』の番外編が新刊に!!今からドキドキしてしまいます。再び彼らの物語を読める幸せ。
『女王の化粧師』も電子版ですが待望の続編!!わあ~嬉しいです楽しみにしています!


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

私のお気に入り、ラブコメディ 

この前書いた「私のお気に入り、美しいロマンス(→こちら)」に続いて、ラブコメ風お気に入りロマンス作品の記事です。
どこからが純愛ものでどこからがラブコメなのか、限りなく曖昧ですが。
いずれにせよ、私が心から大好きなラブロマンスということは変わりませんので!
可愛らしいラブコメを読み心ときめく時間は至福です。

この記事も小説、漫画、オンライン小説とりまぜて。
だいたい上の作品の方が新しめ。


『腐男子先生!!!!!』瀧ことは



小説版全三巻。
腐女子女子高生のあげはちゃんがイベントで出会ったのはなんと高校のイケメン生物の先生で、しかも自分のサークルの信者だった、という。
ふたりの怒涛のオタクトークの通じ合っている様が最高に楽しそうです。
文章の切れ味というかセンスが絶妙。先生のオタク名言の数々は必読です。そこまでばしっと言い切られるとそういうものかと思っちゃうよ(笑)。
そしてタイトルから勝手に想像していた話とは全然違っていて、かなりまっとうな生徒と先生の年の差ものラブコメ(未満?)。
恋愛に少しずつ近づいているようでまだ恋愛ではないような、ふたりのもどかしい距離感が絶妙。
あげはちゃんがとてもいいこでとても可愛い。先生も相当面倒くさいけれど可愛い。
一歩間違えれば禁断の恋なのだけど、明るくて軽やかなノリが最後まで失われないのも良い。お互いがお互いをとても大切にしています。


『おいしいベランダ。』竹岡葉月



シリーズ八巻刊行。
女子大生まもりちゃんと、マンションのお隣の住人デザイナーの亜潟さんが、ベランダ菜園に熱をあげてふたりで世話をしたりご飯を作って食べたりしているお話。
イケメンだけどデリカシーがなく毒舌で普段はジャージ姿の亜潟さんと、ちょっとずぼらでちょっと真面目で可愛い、まあ普通の女子大生のまもりちゃん。ふたりとも飾らず自然な姿で一緒にいて仲良く楽し気なところが好きです。
シリーズが進むごとになかなか楽しくときめくラブコメになってゆきます。亜潟さんの(実は本人も無意識だった)べた惚れっぷりが良い。
そしてベランダ菜園の新鮮な野菜やハーブ等を使用したご飯もいちいち美味しそうです。


『皇妃エリザベートのしくじり人生やり直し』江本マシメサ



江本マシメサさんのラブコメ作品は大好きな作品がいくつもあるのですが、今回は最近出たこちらを。
歴史もの少女小説の王道パターンを江本マシメサさんが描かれていてとても楽しかったです!
一回目の悲劇の人生からの教訓で頑張って勉強して、賢く教養あふれる少女になったシシィ。(でも恋の駆け引きめいたことにはうといので色々失敗している)
ゾフィーと和解できたのが良いエピソードでした。江本さんの描かれる姑ポジションの女性は毎回味があって大好き。
真面目で堅物な皇帝陛下のアプローチが色々涙ぐましいです。いやー、まあ、こうなるよね(笑)。
そしてウィーンのカフェめぐりと美味しいケーキの描写がとても楽しいので甘いものが好きな方にもおすすめです。



あと一作押すならば、現代日本が舞台の『長崎、オランダ坂の洋館カフェ』かなあ。
長崎の郷土菓子がまた美味しそうですしほんのりラブコメ要素もたまらないのですよ。
こちらは普段いわゆる少女小説をあまり読まない方にもおススメしたい♪


『恋するシェイクスピア 十二夜』吉村りりか



シェイクスピアの喜劇『十二夜』を原作に少女小説風味にアレンジされた一冊。
普通に王道パターン少女小説として面白かったです。
兄の姿に男装して人嫌いの公爵様に仕え、彼の人となりを知るにつれ恋してしまうヴァイオラがとても可愛い。
オリヴィアのおうちの家族や使用人たちがまたクセの強い人たちで、ヴァイオラの兄も登場してどんどん混線していってどうなることかと思いましたが、最後は気持ちのいいハッピーエンドで良かったです。
雲屋ゆきおさんの華のある挿絵がとてもはまってます。
これを読んでから原作の『十二夜』も読みました。言葉が美しいなあとうっとりしました。


『青薔薇伯爵と男装の執事』和泉統子



全三巻。
雲屋ゆきおさんの麗しの挿絵に心惹かれた少女小説読みの方は、読んで損はなしです!!
美形で有能だけど口が悪い貧乏伯爵家の当主と、善良で天然な男装執事の、あまりにかみ合わない会話が最初はちょっと読みづらかったですが、お互いへの執着心や自覚なしの想いがだんだん透けて見えてきて、このふたり可愛すぎる。
アンのご主人様への尊敬できらきら輝く大きな瞳がとても魅力的です。
使用人達や伯爵家周りの人々も強烈に個性的ですが、皆いい人で和みました。微妙な役回りで登場したオリーブ様が最強じゃない?
複雑すぎる人間関係とそれぞれの思惑の行方は。お約束ですがすれ違い続けていた恋人や家族たちの想いが辛い。
文句なしの幸せなハッピーエンドですのでぜひ読んでみてください。
単行本なのでちょっと値が張るのですが、雲屋さんの美しいイラストを存分に堪能できるので全然ありだと思います。


『トナリは何を食う人ぞ』ふじつか雪



料理が下手な女子大生すずなちゃんが、ひょんなことからお隣に住む料亭の息子の瀬戸君に料理を習いはじめるお話。
全三巻+続編あり。
なんてことない普段のごはんと真面目で奥手なすずなちゃんの恋心の行方。さらりと気負わず楽しく読めるラブコメです。
瀬戸君は、「ロールキャベツ男子」という表現がこれほどぴったりはまる男子は他にはいない、と言いますか……(笑)。
続編の社会人同棲編『ほろよい』シリーズも楽しいです。べたべた甘々です。これこそ読んでいて幸せいっぱいおなかいっぱい。


『テラモリ』iko



全十巻。
スーツ屋さんが舞台のお仕事ものラブコメ。
とにかく忙しくて厳しくて大変でつぶれてしまいそうな日常で、新人アルバイトの陽ちゃんがちょっとずつ成長して頑張っていく様が読んでいてとても好きでした。
お店のメンバー達が皆格好良くてお仕事に信念を持っていて素敵!
後半パートに入るにつれラブコメ(年の差)が最高に盛り上がってきてきゅんきゅんです。副店長いい年して純情で可愛い……。
主役カップル以外の恋愛模様も好きです。心にしみる。柳川君達には幸せになってほしいな~。
スーツ屋さんのお仕事豆知識も良いです。私みたいな最低限の身だしなみすらあやしい人間にとっては特に。


『朝まで待てません!』田中メカ



二巻刊行。
漫画編集者さんカップルのお仕事ラブコメ。
大友さんも水落さんも私好みのキャラでとても楽しい……!
漫画編集者さんと漫画家さんの日常が垣間見えるのも楽しい作品です。
ライバルなのだけど編集者としての信念を一番に分かち合えるふたりが大好きで格好いいです。
田中メカさんのラブコメは他に『七時巻目ラプソディー』と『七月の魔法使い』の二作品が私の一押しです♪
何度読み返しても幸せですよ。ふふふ。


『十二秘色のパレット』草川為



全六巻。
南国オパルで、美しい鳥を相棒に仕事をする「色彩の魔術師」パレット。
パレット養成学校の落ちこぼれ娘セロと、失敗ばかりの彼女のアフターケアで関わることが多い校医グエル先生、周りのキャラたちのゆるい日常ファンタジー漫画。プラスラブコメ。
パレットの相棒の鳥たちがかわいいし仕事っぷりがファンタスティックで色味のイメージも美しくて、草川先生の作品の中でも私はこのシリーズが特にお気に入りです。
ラブコメもゆるいですがちゃんとあります。ローテンションで無表情なグエル先生のラブの重さがじわじわくる。
Twitterで目にして私もはっとしたのですが、『本好きの下剋上』の主役カップルが好きな方には、このシリーズのカップルもとても良いと思うのです……(まあ読んでみてください。現在は電子書籍で読めます)


『女の子は余裕!』ひかわきょうこ



ひかわきょうこさんの読み切り学園ものラブコメ。
一見平凡ながら、個性的なお友達二人やお姉さんを上手くフォローしつつ、いざという時は最強な友美ちゃんが素敵すぎる。
そして男鹿先輩が格好良すぎる。格好いいとしか言えません……(語彙力不足)。
読んでいて非常に幸せになる可愛いお話ですのでぜひぜひ。


『美貌の果実』川原泉



川原泉先生の短編集。
ゆる~い川原先生節にほんわり淡いロマンスも楽しめる短編が多いこの巻が私は本当に好きです。
ラブコメとしては『大地の貴族』『美貌の果実』『森には真理が落ちている』が好きです。
亀になってしまった少女と家族にわだかまりを抱えた少年の会話は、何度読んでも泣ける……。
牛と馬に応援される身分違いの恋だったり、田舎のワイナリーの葡萄の精さんと幼女が結び付けたご縁だったり、ふふふ、やっぱりいいなあ。
私の年の差ロマンス好みの根っこの一つは、十代の頃から読み続けてきた川原泉先生作品ではないかと思っています。
(『笑う大天使』も良き年の差ものですよ!)


恋をおしえて』(深見鈴鹿)
この前も記事にしたばかりですが何度もご紹介してしまいます。
私が人生ではじめてはまったオンライン小説であると同時に、人生ではじめてはまった「学園ものラブコメ」でもあります。
高校生だった当時の私は『勾玉三部作』の影響でファンタジーもの、歴史ものにぞっこんで、学園ものにはあまり関心を抱いていなかったんですよね……。
そんな私の認識を180度ひっくり返した面白さでした。その後大学生になってからも、大学のPC端末で空き時間に一心になって続編の更新を追っかけていました。
佳乃ちゃんと花乃ちゃん、どちらの恋がお好きでしょうか?
あと私、佳乃ちゃんの親友の夕子ちゃんのその後の人生と恋が、未だに気になって気になって仕方ありません。
ちなみに『恋おし』とほぼ同時期に『彼氏彼女の事情』にはまった私は、そのまま花とゆめコミックスの学園恋愛ものの沼に沈みました……。


ナインカウント』(Tiny garden
こちらはいわゆる『営業課シリーズ』三部作の最後の一作。
『一日五分間の彼』も『主任とルーキー、七歳差』も大好きなのですが、三作目の安井さんのかっこつけの一途で純情な愛に全てを持っていかれてしまいました……!!(笑)
一度は破局した元カノが忘れられずに彼女の好物の豆腐を黙々と食べ続けている安井さんが、かわいそうで健気で泣ける。
ヒロイン視点の表エピソードと安井さん視点の裏エピソード、両面から物語を楽しめるのが良いのです。
結構ボリュームありますが、ひと息に読んじゃいますよ。おススメです。
読んでいるとお豆腐料理を食べたくなってきます。健康的。
安井さんの同期と後輩男子がそれぞれヒーローの前二作品も一押しです。
『一日五分間の彼』は麺類を食べたくなってきますし、『主任とルーキー』は魚料理とケーキを食べたくなってくるかな。
書籍化もされている『隣の席の佐藤さん』も良きラブコメですよねえ。
佐藤さんと山口君のクラスメイト達が主役のシリーズもの等もサイト様にあるので、お好きな方はぜひ読んでみてください。
名前だけ登場していた斉木さんや柄沢さんがヒロインのお話もステキですよ♪


この前もそうでしたが、記事を書いているうちにどんどん盛り上がってきてどんどんふくらんでゆく……。
あれもこれもまだまだご紹介したいのですが、一日経っても終わらない気がするので、この辺りで一旦区切りをつけておきます。
最後まで読んでくださり感謝です。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 本の話題・おすすめ本など

『流転の貴妃 或いは塞外の女王』喜咲 冬子 




後宮の貴妃であった紅玉は、北方の遊牧民族の新王への贈り物として、嫁ぐのを命じられた。
故郷を離れ孤独に出発した紅玉を待ち受けていたのは、嫁ぎ先の氏族と敵対する者たちによる襲撃。
戦利品として囚われた紅玉は、族長の息子のアマルという少年の妻になることに——。


オレンジ文庫の新作。
『愛を綴る』と同時に発売された作品ですよね。私この作品もずっと気になっていたのです。
ようやく実際に手に取って読んでみました。

中華風の世界が舞台の物語。
これは『王昭君』の逸話がモデルなのかしら。ところどころ設定がかぶるところがありました。

ヒロインの紅玉が美味しいお菓子に目がなくて、いっぱい食べてふくよかになってしまい……という嘆きからはじまり、軽いコメディなお話かな、と最初思っていたのですが。
ほぼそのままのノリは保ちつつ、どんどん壮大な物語になってゆき、気づけば夢中になって最後まで読み切ってしまいました。
すごく面白かったです!!!
異国の地でも、持ち前の機転と商才で自らの道を切り開いていく紅玉の姿が、格好良く痛快でした。
年下の夫のアマルも努力家の天才で、ふたりで異文化のギャップにひとつひとつ向かい合いつつ共に歩む姿が良かった。
途中の襲撃とかシビアで心が折れそうになりましたが。ふたりと仲間達でたくましく頑張る姿に救われました。
ほどよくロマンスもありときめきました。他のライト文芸レーベルにもありそうなあらすじながら、読んでみるとコバルト文庫の流れをくむオレンジ文庫らしさをきちんと感じられるのが、私的には嬉しかったです。
表紙イラストそのままの、さわやかな風を心地よく感じられるようなラストでした。
そしてお菓子が美味しそうです(笑)。


ちょっとネタバレまじりの感想を。


序盤で後宮の入ったはいいものの、お菓子の食べ過ぎでふくよか=醜女の烙印を押されてしまう紅玉。
甘いものに目がない私は、この時点でヒロインに好感を持ちました(笑)。
後宮内でもお菓子を作り続け、ふくよかさが原因で異民族にお嫁に出されることになってしまい悔い嘆いても、食への執着をやめようとはしない、絶妙な開き直りっぷりがなんかいい。

草原に来て早々に襲撃にあい、当初と違う氏族の元に捕らえられ嫁することになった紅玉=エウラ。
戦利品として略奪されてきた割には女性たちの態度が柔らかくて、ちょっとほっとしました。
族長の妻のひとり、イシェンの朗らかさと気遣いにはかなり救われました。キトラさんも優しい。フィリンちゃんフィオンちゃん可愛い。
女性達の容姿が異国感にあふれていて、なんか、こういうの好きです。挿絵があると嬉しかったな。
装飾品を許可もなく分けあって笑い合っている姿は確かに常識が違うと思ったけれど……。
そして結婚することになった年下の少年アマルとの、ぎこちなさすぎる生活がスタート。
一日二食生活を嘆く紅玉。まあ、気持ちはわかるかな……。
バズーの肉包が輝いてましたね。

紅玉が少しずつトクトア族の暮らしに馴染んできたところで襲った悲劇。
しんどかった……。アマルの頼もしさと愛情に救われました。
そして紅玉の、商才を持っての夫との別離生活がはじまります。
己がトクトア族に悲劇をもたらしてしまった、火種を持ち込んでしまった、自分次第で故郷にも累が及ぶかも、という不安や自責をずっと胸に込めつつも、自分自身の力でアマルのため、皆のために走り回る紅玉の姿は、かなり格好良かったです。
(シリアスな状況下でも美味しいものへの執着と追及は別物で、そこで月餅にのめり込むのが紅玉です)

権力者によっての紅玉の身の扱いは、最初から最後まであまりに軽くて身勝手で、何とも言えなかったですが。
紅玉自身を好いて守ってくれる人が草原にいてくれて、本当に良かった。
誰よりアマルが絶対に守り抜いてくれると信じられるのが格好いいし頼もしいよ。
バズーの華人達の絆にもぐっときました。

そう、はじめは愛のない結婚だった、紅玉と年下の旦那のアマルのふたりがね、良いのですよ!!
最初少年だったアマル、実は武芸に優れ頭も切れるし人望もあり、不器用ながらも一途。ひたすら一途……。
ふたりとも言葉が足りなくてずっとすれ違っているのですが、ふたをあけてみれば、アマルの一途な愛情にじーんときました。
最初の方は紅玉を守るべきかよわき妻として扱おうとしていたアマルが、最後には紅玉の才覚を認めて共に暮らす道を作りだしてくれたのが、なんというか、とても素敵なのですよね。
アマルの立場で妻を何人も娶るのはむしろ当然なのでしょうに……尊敬するお父様だってそうだったのに……泣けますね。
ラストのアマルの独白にまたきゅんときてしまいました。最初からアマルは紅玉一筋だったのか!
もしかしてだからこそ、トクトア族の人々は南人である紅玉に、最初から態度が優しかったのかな。特にキトラさん。(微笑ましく思い返すと同時にしんみり)

ガルバお兄さんもイシェンもテティイさんも、皆無事で最後まで紅玉の頼もしい味方であってくれて、良かったです。
私もイシェンのこと誤解していました……草原の民の女として当然の意識を持っているイシェンにまで「いやよ」と言われてしまうアマルの一途さよ。周囲の人にも丸わかりだったのですね。ふふふ。

イシェンといえば、彼女の「誰だって、冬を越せそうもない羊より、冬を越せそうな羊の方が好きよ」という台詞は、良かったですね。
ラストのアマルの褒め言葉も、彼にとっては最高の褒め言葉ですし(笑)。
(でもそこでもう痩せてるとか肥えてるとかもう言われるのうんざり!と紅玉が怒ってしまうのもまあ分かる。紅玉の身には色々なことがありすぎました……)

月餅と肉包を食べたくなってきました。
絡の包み焼き?もおいしそう。チーズパイみたいなものかな。

一冊ですっきりきれいにまとまっていますし、中華風なお話がお好きな方に特におすすめです。
異文化交流譚&ほんのり少女小説成分もあってたまらないですよ。


ここ数日の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 喜咲冬子 

私のお気に入り、美しい恋物語 

皆さま連休いかがお過ごしでしょうか。
私は引きこもり生活を相変わらず満喫しています。

こういうときだからこそ、美しくて切なくて胸がきゅうっとして、読み終えるとうっとり幸せな気持ちになれるラブロマンス、純愛ものを読みたくて。
いつも読ませていただいているブログ様の記事に触発され、私もブログにリストアップしていこうと思います。

数年前にも類似のお気に入りのラブロマンス紹介記事を何本か書いていたので、比較的新しい作品メインで挙げていこうかな。
小説、漫画、オンライン小説とりまぜて。
だいたいの感覚で上の方の作品が新しめのものです。


『愛を語るなら密やかに』おむ・ザ・ライス



2巻目まで刊行。
マフィアの家のぼっちゃんとお付きのメイドさんの身分差ものラブコメ。
とはいえ今のところマフィア要素はあまりないかな。
絵が繊細で美しくて艶っぽくて、ふとした表情やしぐさや花の色香が……たまらないです。
話が進むごとにミアとハルの背景が、明確な説明なしに少しずつほのめかされていくのも、素敵です。
いつも坊ちゃまにつれないミアの、内心の複雑な気持ちがとても切ない。
お願いですから幸せな結末を望みます。
現在二巻目が発売されたばかりで、連休明けに新刊を受け取りに行けるのが心の楽しみです。


『百年浪漫ねむり姫』十鳥さる



これぞ私の愛する花とゆめコミックス!という作品に出逢えました。
絵もストーリーも繊細で可愛らしくて、正統派乙女チック。とても良かったです。
時間ネタと身分違いの恋と和風レトロモダンと、私好みの要素詰め合わせの表題作。
どんな悲しいことがあっても、柚月さんの決して揺るがない一途な想いがまばゆく、そしてそんな彼女への想いもまた一途で、切なすぎる。


『愛を綴る』森りん



侯爵家のメイドとして働きはじめた少女は、森で助けてくれた青年に字を教わり始める。
19世紀末の英国が舞台の、身分差もの純愛少女小説。(←私が好きな気配しかしない)
フェイスとルシアン、お互いの視点(日記、手紙含む)が交互に語られ相手に少しずつ惹かれていく様が切々とせまってきて、もう。たまらないです。
明るく無邪気で危なっかしいけど賢いフェイスが魅力的。お坊ちゃまだけどフェイスにひたすら一途なルシアンも良い。
私もうこのお話が好きすぎて、三回は読み返したかも。
若干設定が読む人を選ぶかもしれませんが、身分差もの少女小説がお好きな方は、一度読んでみていただきたいです。
一冊でとてもきれいにまとまっていますよ。
思い出すだけで泣ける……。


『隠れ姫いろがたり』深山くのえ



全二巻。
安定の深山くのえさん&あきさん少女小説です。平安時代もの。
高貴な姫宮ながら庶民として育った複雑な身の上の純子(いとこ)さんと、日陰の宮様だけど特に悲観するでもなく淡々と生きている堅物で現実家な理登(あやなり)さん。
教育係とその生徒として出会ったふたりがしだいに心通わせてゆく様が、本当にほのぼのと心温まり良いものでした。
秘められた恋で何度も邪魔が入るけれど、純子さんひたむきに健気に頑張るし、理登さんが予想外に大胆な手段で頑張ってて格好良かった。ふたりの逢瀬の理登の淡々と直球な会話がときめいてしかたない。
しっとり雅な良き少女小説です。深山さんルルル文庫は『舞姫恋風伝』も『桜嵐恋絵巻』も『浪漫邸へようこそ』も『乙女なでしこ恋手帖』も皆良質のラブロマンスですのでおすすめです。好きな人はずっと好きです(←私です)


『下鴨アンティーク』白川紺子



全八巻。
京都を舞台にアンティーク着物を巡る不思議ありミステリー。
現代京都の(いわば)生粋のお姫様・鹿野ちゃんがとても可愛らしくお兄ちゃんの良鷹さんと同居人の慧さんとの三人暮らしの雰囲気も素敵。
白川先生ならではのていねいで上品で大人風味のロマンティックを存分に堪能できます。
各話ごとに着物にまつわるエピソードが語られ、古典文学や草花や素敵なモチーフに彩られた様々な恋物語。宝石箱のようです。ままならず辛い恋もなかにはあるのだけれど。
ヒロインの鹿野ちゃんが幼いころからずっと慕っている慧さんとのじれじれな年の差ロマンスも、たいへんときめきます。
ふたりが一緒にお台所でご飯を作っている場面が大好きなのです。
白川紺子先生、一冊ものラブロマンスならば、コバルト文庫の『若奥様、ときどき魔法使い。』が幸せ度ではとても良いと思います。



落ちこぼれ魔女ローズとエリート魔法使いのレン、周囲が何と言おうとも、初々しくラブラブ甘々な若夫婦です。
可愛らしくファンタジックなラブロマンス。
年上の冷静沈着な旦那様が「うれしい」ときの感情表現が、かわいい……!!


『ひみつの小説家の偽装結婚』仲村つばき



コバルト文庫らしいしみじみと品のある良き少女小説でした。挿絵も素敵です。
セシリアの小説家としての生き様が不器用なほど真っすぐで力強くて応援したくなる。
堅物で人付き合いが苦手だけど根は優しい読書好きなクラウスも好き。
ふたりが読書の話題をきっかけに少しずつ距離を縮めていく様が、王道ながらに良かったです。
主人公たちの性格も相まって、ロマンスとしては糖分控えめですが、最後の展開にきゅんときました。
セシリアと作者仲間フレデリカのお互い高め合う友情がまた良い。お菓子おいしそう。


『傍観者の恋』ナツ



両片思いの恋と友情の少女小説。あきさんの表紙にぴんときたら読んで損はないですよ。
ヒロインでお話の語り手のレイチェルが読み込むごとに心優しく素敵な女の子で、幼馴染で偽装結婚を持ちかけた夫のノアと、その姉アリシアを心から愛し大事にしていて、彼女の葛藤が切なくて。
ダンスの場面のふたりの表情とかたまらない……!!
アリシアとレイチェルの友情が、何より最高です。


『英国マザーグース物語』久賀理世



全六巻。
英国ヴィクトリア朝ものミステリー仕立ての少女小説。
純愛がメイン!というとちょっと違うかもしれないのですが。(特に最初の方はミステリーがメイン。でもマザーグースの詩に絡められた謎もロマンティックです)
いえ、私の中で、「今までいちばん心に刺さった年の差ものラブロマンス」って、この作品なんですよね。
ふたりがお互いを想っているがゆえ愛情表現の差ですれ違ってしまった場面がラブラブなのに切なすぎて泣きました。(ネタばれ回避のため分かり辛い)
お転婆少女だけど内面は繊細なセシルと、兄の友人でひょうひょうとスマートな青年ジュリアンの偽装パートナー生活を、まあ、一度読んでみてくださいまし。
ラストシーンの幸福感はお約束します。


『BLANCA エディルフォーレの花嫁』スイ



正統派純愛もの少女小説。年の差ものとしても正統派。
ブランカの一人称の独特のリズムや言葉遣い、読んでいて響きの美しさに酔いしれます。
ブランカとリユンの出会いから、少しずつ強く優しく美しく成長していくブランカ、ふたりに訪れる転機……八年の軌跡の物語。
出てくる人たちがあったかくて優しくてミルクのシチューみたいにおなかがほっこりしてきます。
痛いくらいの切なさとのさじ加減が絶妙です。
保護者と子供だったふたりの関係が甘く変わっていく様にどきどき。かといってすぐラブラブな展開になるわけでもなく……。


長靴をはいた侍女』霧島まるは
私が小説家になろうさんで初めて読んだ小説で、今でも私の心の宝物。
雨が降る日だけ、主人の恋文の配達役を担う「長靴をはいた侍女」ロニ。
彼女自身がある日みつけた小さな恋の奇跡の物語。
短めのお話で胸がきゅうっと幸せになれます。たまらない。


輻射点、ペルセウス』(Tiny garden)
現代日本における身分差もの&年の差ものロマンス。
社長令息の冷徹な青年早良さんが、仕事先で出会った田舎出身の女子大生あかりさんに、はじめての恋をするお話。
住む世界の違うはずのふたりが同じ街でぎこちなく距離を縮めていく様にときめきます。早良さん視点で見るあかりさんの愛らしいこと。
タイトルも素敵ですよね。その世界そのままです。おすすめです。


時々山椒時々砂糖』(Barroco)
皮肉屋のパン屋の勤労娘のみちるさんと、裏表の激しい美少年叶君。
幼馴染で友人ではなく恋人でもないのだけれど、家族以上に相手の事を理解しているふたり。
ケンカばかりしているふたりと見守る周囲の日常。
『女王の化粧師』が今とても熱い!!!作者さまのサイトの方にある現代青春もの。
私はこちらで一番最初に読んだこの作品が、一番「純愛もの」だと今も思っていまして。
ふたりの関係が甘くないんだけどひりひりした切実さと愛おしさが混じり合ってて、関係性の変化にどぎまぎ。
時系列がときどき入り混じっているのがミソです。
みちるさん作のケーキがおいしそうすぎるのですが……。
純愛ものでもう一つ挙げるなら『さやけくこひたもう』もたいへんおすすめです。


あとやっぱりこちらも外せないですね。当ブログ的に。
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木祐子




英国ヴィクトリア朝を舞台に、「恋のドレス」で大評判の縫い子の少女・クリスと、公爵令息のシャーロックの身分違いの恋を最後まで描き切った一大傑作です。
ドレスと貴婦人たちの描写の細やかさにうっとりし、主役カップルの恋のもどかしさとせつなさと愛おしさにときに涙しときめき……最高です。
全二十九巻の大作ですが、初期の「恋のドレス屋さん」時代のほわほわ可愛い辺りまで、まずは読んでみるのも良いかもしれません。
『あなたに眠る花の香』あたりまでかな。(←こちらは短編集なので一番最初にこちらを読むのも良いと思います。表題作がまさに美しい純愛物語でとても好きです)


途中からこのセレクトの基準がどんどん迷子になってきたというかよくわからなくなってきましたが、とにかく私が全力をかけておススメ!!!ということにはどの作品も変わりありませんので、もしひとつでもご興味を持たれましたら、ぜひぜひ。
しかし年の差ものと身分差ものの割合の高いこと(笑)。見事に私の好みが反映された記事になりました。
書いているうちにどんどん盛り上がってきたので、後日また別の切り口からセレクトした記事を作りにくるかもしれません。


ここ数日の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 本の話題・おすすめ本など

4月の読書メーターまとめ 

5月ですね。ゴールデンウィークですね。
今日になってこのあたりも急に気温が上がってきました。
数日前まで冷え性の私は朝晩毛布にくるまっていたのに……。

さて先月分の読書メーターまとめを追記より。

ブログに書いていない作品で特に良かったもの
小説 『わが家は祇園の拝み屋さん』『活版印刷三日月堂』
まんが 『百年浪漫ねむり姫』

今回の『拝み屋さん』シリーズは東京出張完結編で、前世からの伏線もいくつも回収されてゆきとても読み応えがありました。
ご縁と祈りが力になるのなら、私も世の安寧を祈りたい。
ちょっとひさしぶり?においしそうな和菓子で和めたのも良かったです。
『活版印刷三日月堂』の静かで淡々とぬくもりのある人間ドラマが良かった。心が読んでいて穏やかになりました。
Twitterで教えていただいた『百年浪漫ねむり姫』は、私が愛する花とゆめコミックスの流れをくむ傑作だと思いました。
絵もお話も可愛くて繊細で切なくて最高です。
『愛を綴る』もそうでしたが、自分の感性にぴたっとはまる純愛物語は、控えめにいって最高ですね。

連休中掃除もしたいし本も読みたいけど、今から掃除のやる気が全くわかなくて、どうしたものか(笑)。
自分のペースで生きようと思います。(いつもと同じ)


ここ二日間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

『廃墟の片隅で春の詩を歌え』全3巻 仲村 つばき 










コバルト文庫電子オリジナルシリーズ全三巻。
革命により王政が倒れた国、イルバス。
国王夫妻と王子らは処刑され、生き残ったのは三人の王女達のみ。末娘のアデールは、特に過酷な辺境の地・リルベクに立つ「廃墟の塔」に幽閉されて少女時代を過ごしてきた。
希望のない厳しい生活を送るアデールの元にある日、長姉・ジルダの命を受けたという青年・エタンが現れる。
彼によって塔から助け出されたアデールは、王政復古の波が生まれつつある激動の世界に降り立ち波に飲み込まれてゆく——。

未だに電子書籍に馴染み切れないもので、このシリーズもずっと気になりつつ、試しに一巻目を購入してみても、読みだすのに結構間をあけていたのですが。
読みはじめたらもう、すごく面白かった!!!
一巻目を読了した時点で、ためらわず二巻目と三巻目も購入。
一巻目も面白かったけれど、二巻目、三巻目と進むにつれて物語がどんどん勢いを増してゆき、夢中で読み切ってしまいました。

実に正統派な少女の成長もの&王宮陰謀もの少女小説でした。
かっちりと安定感のある文体と物語の構成は、まさにコバルト文庫はこうでなくては!という感じ。風景や心理描写も丁寧で美しい。
そして非常に骨太で変な甘さがなく、緊張感あふれる展開の連続。戦争の場面も結構リアルです。
シリアス!でも少女小説らしいやわらかさや華やかさやロマンスもきちんとあります。
この容赦のないジェットコースター展開は、須賀しのぶさんの『流血女神伝』に通ずるものがあるなあ。

ヒロインのアデールが、その生い立ちと長きにわたる幽閉生活で心を折られ続け生気のない少女であったのが、徐々に息を吹き返して、本来の賢くて優しくて強い彼女によみがえってゆく様が、とても心に響きました。
厳しい環境に置かれていた分、しぶとさや精神の強さがすごいです。
上手くいかなくても失敗しても、唇をかみしめなお前へ進んでゆける強さ。
加えて生来の人を惹きつける独特の愛嬌、柔らかで優しい雰囲気。それでいてけして理不尽に折れない。しなやか。
ときに自身を冷たく踏みつけられてもなお、家族や周囲の人々を大切に想い、守り愛する心。
ああ、アデール格好良すぎます。
はじめはアデールを軽く見ていたような周囲が、時が経つにつれアデールに心を奪われ、ひとり、またひとり手を差し伸べてゆくのが、すごくよくわかります。

強烈な個性を持つ姉二人や姉の忠臣エタン、イルバスに戻って姉の命で政略結婚した幼馴染の夫グレン、周囲の人々も読みこむごとに魅力的でした。
威圧的で怖いけれど、実は幼いころからアデールを一途に想っていたグレンの不器用な優しさが、じわじわきました。堅物な軍人である彼の愛は一途でとにかく重い。
アデールにとって常に一定の距離の立ち位置であり続けたエタンもまた、はじめは得体のしれない……と思っていたのですが、読むごとに好きになっていきました。こちらはつかみどころのない風のような人物。
アデールを庇護し教育する一方で彼女を冷たく突き放すジルダ、氷の女王のような彼女の心の動きも読みどころ。
アデールを取り巻く愛憎劇も、すっごく面白かったです。
何度も心ときめき辛くて涙があふれました。
アデールにどこまでも忠実に仕え続けるアンナと明るくおしゃべり好きなガブリエラ、ふたりの侍女もお気に入り。


追記以下でネタばれ感想を語っていくことにします。というか叫ばせて、どうか。

はああ、しかし表紙イラストも登場人物イラストも、美しくて大人っぽくて雰囲気がとても良いです。
この方はもしかして『ひみつの小説家の偽装結婚』のイラストも描かれていた方ですね?あの作品も私大好きなのですよね。
まだ電子書籍に慣れていない身としては、書籍でも発売してくれたらいいのにと正直ちょっと思っちゃいます……。(特に自分の好きな場面を後から読み返すのがやり辛いです)
でもそんなのをすべて吹き飛ばしてしまうくらいに、すごく良かったです。おすすめです!!!
冷たく厳しい世界に、カナリアの春の詩を。平和の祈りを。


追記以下は本当に思いっきりネタばれを叫んでいるので、くれぐれもご注意くださいませ。(心配なので繰り返す)

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 仲村つばき