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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『Babel I 少女は言葉の旅に出る』古宮 九時 




現代日本の女子大学生の雫は、夏休みのある日突然異世界の砂漠に迷い込んでしまった。
途方に暮れる彼女に手を差し伸べたのは、魔法文字を研究する魔法士の青年・エリク。
日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指すふたり。
旅路の同行者となってくれたエリクが雫に求めたのは、雫の世界の文字をおしえること——。


『Unnamed Memory』書籍版五巻目発売と同時に、『Babel』の書籍版一巻目もまた、この世に生み出されました。
こちらは電撃文庫版で数年前二巻目まですでに出ていた作品ではありますが、再び手に取ることができて、とても嬉しいです!!
今度こそは完結まで書籍化されそうな気配がするので嬉しいです。最後まで行けると私は信じています。

『Unnamed Memory』もそうでしたが、驚きの分厚さの一冊です。
単行本サイズのため一層ボリューミーで、確かに「本は使いようによっては鈍器になりうるなあ」とUMの書籍と二冊重ねて持っていると特にしみじみ実感してしまいました。
表紙イラストの雫さんが可愛い。電撃文庫版のイラストが好きだったので、イラストレーターさんが変わらぬままだったのも嬉しいです。
エリクも格好いいです!確かにイラストパワーアップされていて眼福です。
こう、文庫サイズより大きいサイズでイラストを鑑賞できるのって、嬉しいですね。

中身の物語もやっぱりとっても面白かったです~!!!
UMと同じく、一週間くらいかけてじっくり少しずつ読み進めていきました。
UMのスピーディーに大事件がぽんぽん起こっていく展開に比べると、Babelはややのんびりマイペース。誠実に生きる毎日の積み重ね。(いや、大事件も何回も起こるんですけどね)
文庫版の記憶に比べても驚きのボリュームです。かなりの加筆がある気がします。
あれ、こんなエピソードあったっけ?新事実発見!と読んでいて何度も思いました。
(私が忘れているだけというパターンも結構ありそう)
(設定集Wikiが……ちょっと恋しい……)

文系女子大生の雫と、研究者肌の魔法士の青年エリクの、お互いの異文化に関する突っ込み満載の会話が妙に味があって面白くて、じわじわはまってゆきます。
ああ、やっぱり私はこのふたりの組み合わせが、とても好きだなあ。
旅の間何度もやってる言葉勉強会の描写も面白くて、色々ささいな違和感にドキドキします。
エリクの知的好奇心旺盛さと頭の回転の速さには恐れ入ります。
日本語と英語とドイツ語まで勉強するのか。すごいなエリク。
雫もエリクほどではないかもしれませんが、勤勉で学問に対しての姿勢がとても真摯。異世界に持ち込んでしまった大学の本をこんなに大切に持ち歩いている彼女の真面目さが尊いです。

特にエリクなんか淡々とローテンションでそっけなく思えるのだけど、実はとても真摯で人が好くて優しい人間ですよね。
優秀で華のある姉妹にコンプレックスを抱きつつも精神が真っすぐで、自分の無力さを知りつつなお人に手を差し伸べずにいられない雫の人としての在り様も、とても好き。
旅の間にお互いがいつの間にかとても大切な存在になっているのが、最後の戦いの場面の端々からうかがえて、じんわりと胸が温かくなりました。

異世界で、不安を胸に隠してずぶとく頑張って生きている雫、でも特別な力を何も持たない彼女の内心の不安ははかりしれなくて。
そんな彼女が、お互いの窮地に無条件で相手を助けにゆくのだと迷いなく思える、たったひとりの存在は、どんなに尊いことか。
エリクだって突出した特別な力はないのだけれど、頭脳と精神を持って限界までギリギリ頑張って戦うふたりの姿は、UMのふたりとはまた違う形でとても凛々しく格好いいなと思いました。
こう、雫の心情の描写が豊富にあり丁寧に読み進めていただけに、ふたりの絆に感じ入らずにはいられませんでした。
妙齢の男女とはいえ糖分はなくそこはさらりとしているのも、ふたりらしいなと思います。
保護者兼パートナー、かな。

『はじまりの言葉』
町のはずれに図書館がある世界ってそれだけで好感を持ってしまいます。
雫がパン屋でバイトしている!という設定も面白い。
三百年前の妙な事件、背後に存在するらしき魔法大国ファルサスの意図。フィストリアの名前が出てきました!
今UMの書籍最新巻まで読んでいる方だったら、この時代の世界地図はどういう風に感じられるんだろう。
「雫」の名乗りの場面は後々までの大事な場面ですよね。緊張しました。

『転がる水滴』
魔法大国ファルサスはこうエリク視点から語られるとちょっときな臭いですよね。
アンネリとロズサーク!
UMを読んでいると感覚が麻痺してきますがやはり転移陣は非常に難易度の高い術のようです。

『失われた王妃』
メアが登場。寄る辺なき表情を浮かべた彼女がやるせない。
ネビス湖の伝説に隠された真実も、切なかったです。確かにかつてのティナーシャが生きていた時代を思うとこんな殺伐とした事件はごろごろ転がっていそう。
『桃太郎』の擬音が「変な詠唱」になるのには吹き出してしまいました。
雫の危機にあたりまず町の資料館に行くエリクがやっぱりエリクだな~と思いました。少年ナイス。
色々あれどもここで雫とメアが出会えたことは本当に良かったなと思うのでした。
メアがかわいい。癒されます。

『天にそびゆ』
ターキスの出生の秘密なんてあったの?とびっくりしたエピソード。
雫が語る『バベルの塔』は意味深ですよねえ。イカ焼きからクラーケンに脱力してしまいました。

『禁じられた夢想』
雫とエリクのふたりの共同作業に基づく魔法構成図の場面が興味深かったです。
「3Dで描いた非常に複雑な建築物の骨組み」……構成ってそういうものなのか。具体的にイメージすると面白い。
ティナーシャはもっと複雑な魔法構成をぽんぽん作っていたってことですよね。さすが努力天才型の魔女……。
アヴィエラのイラストが美人さんでした。

そしてカンデラのお城の禁呪事件のあれこれ。
また例の蛇が出てきました。ティナーシャの時とは違い(当然ですが)雫視点だとめちゃくちゃ怖い!!
血まみれた絶望的な状況下でも歯を食いしばって走り続ける雫の姿に、読んでいる私も胸が痛くなりつつ勇気をもらえるようでした。
雫の武器は優れた方向感覚とガッツ、精神の在り様。ことば。
魔法も武器も使えない文系日本人女子学生であるままで、こんな異常事態の中それでも何かをなそうと走り回る雫。
すごい。

うさんくさく何度も雫に絡んで登場してくるターキスも、だんだん頼もしいひとだな?と思えてきます。なんだかんだ人にやさしくあることを知っている。
とは対照的なのがカイト。雫のような人間にとっては絶望的に相性が悪い人間なんですよね、きっと。
エリクと雫が再会してからの安心感がとても良かったです。やっぱりこのふたりはそろっていなければ。といっても一旦また離れ離れですが。
エリクの「うん。頑張ったね。ありがとう」の台詞に泣きました。
そしてこの状況下でお弁当を広げる二人!
ん、「おにぎり」??この世界って「お米」が普通に存在しているんでしたっけ??(記憶が不確か)

どんどん状況が悪くなっていく中でも、ターキスとリディアのぽんぽん遠慮ないやりとりが面白かった。
この時点ではファルサスの兄妹より、ターキスとリディアの方がオスカーとティナーシャのふたりを彷彿とさせるというか、なんというか。
実力に基づく鷹揚さというのが、ターキスはオスカーに通ずるものがあるなと思いました。少し。ちまっとした女の子を構いたがるところとか!
あの魔法士長の最後の姿に、それでも雫の言葉は、何かを残しえたし物事をほんの少しでも変えられたのだと、思いたいです。

ラストに出てきた例の謎の二人。
なんというか、UMをラストまで読み通した記憶を一旦抹消させて新鮮な思いでこの辺読んでみたいな、とかちょっとだけ思いました。
もしかして『無名の薔薇』辺りのエピソードは、一部書籍版『Babel』に統合されたりするんでしょうか?ロズサーク王とファルサス王の関係もちらっとほのめかされたりしましたし。

「異質な棘」と言われた雫の存在、この時点では淡い、いくつかの不可解な要素。
第二巻でファルサスに辿り着いてからの展開に今から緊張感を覚えます。
秋に読めるのですね??楽しみ~!!!
魚卵は何と言おうとも美味しいですよね。

久しぶりに『Babel』のふたりのやりとりの面白さを堪能したので、懐かしくなってサイトの方の『柔らかな羽』『幸福の色』を読み返してきました。(先走りすぎ)
幸せで優しい気持ちになれました。
(↑くれぐれも本編読了後にお読みくださいね!!!)


この二日ぐらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: Memoriae シリーズ

タグ: no-seenflower  古宮九時 

6月の読書メーターまとめ 

7月です。梅雨空。
2020年も半分終わってしまったなんて本当かな。
ファンタジー小説の世界みたいに現実味がありません。SF?

なにはともあれ月初ですので、先月分の読書メーターまとめを追記より。

ブログに書いていない作品で良かったもの
小説  『メニューをどうぞ』『コンビニたそがれ堂』『極彩色の食卓』『ひざまずく騎士に、彼女は冷たい』
まんが  『天使がのぞきみ』『Landreaall』

先月は読書量はやや少なかったかもしれないけれど、読んだ作品全部素敵でした。
いっそ全部ということで!!!
『メニューをどうぞ』の栞さんと殿下の関係性がやっぱりとっても好きです~もだもだします。恋愛未満のような恋愛のようなあるいは定義できないもっと大きな感情の結びつきのような、このへんの微妙な関係性を描く作品が、私はやはり大好きなのですよね。ものすごく気になるところで終わっているので、ど、どうか続きを。
『コンビニたそがれ堂』ほろ苦くてせつない印象の巻だったかな。三話目の女の子達の友情のお話に胸がきゅうっとしめつけられました。
『極彩色の食卓』読んでいる間思い切り影響されて、カニカマ卵チーズサンドイッチをお弁当に作り続けました(笑)。美しい料理は美味しいのですね。
『ひざまずく騎士に、彼女は冷たい』私の性癖にストレートに刺さりました。境遇を頑なに受け入れられないシオンの気持ちは分かるしその中でも徐々に伝わる彼女の優しさがいい。不器用なロマンスにもきゅんとしました。キキョウさんが好きです。
『天使がのぞきみ』最終巻。双子達が最終巻で揃ったのが良かった。もとなおこ先生の作品の中では比較的シリアスが控えめで、穏やかで優しい世界のものがたりだった気がします。主役カップルには幸せになってもらいたいです。
ランドリオールの女の子達がとてもとても好きです~!!!元気いっぱいのイオンちゃんが特に好き!!


この約一週間の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: 読書メーターまとめ(月別)

『Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙』古宮 九時 




オスカーの呪いをついに解いたティナーシャ。
彼女はトゥルダールに戻り、女王として即位する。
別々の道を歩きはじめたふたり。しかし思いがけない形でふたりの決意は交差する。
そして幼き日のオスカーに呪いをかけた張本人である「沈黙の魔女」がついに現れ——。


『Unnamed Memory』第二幕の中の巻。
同時発売の『Babel』一巻目とあわせると、いや単体でも驚きの分厚さです。ずっしり。
読んでも読んでも長い間大好きな物語に浸っていられる、素晴らしい仕様になっています。
私はUMのこの巻を、約一週間かけて少しずつ読んでいきました。
あっという間に読了してしまったら勿体なくないですか??(←ファン心理)

まずは表紙イラストの、ティナーシャを見つめるオスカーの表情に撃沈しました……。
深い、あまりに深い愛情に満ち満ちた、穏やかな眼差し。
安心しきって彼の膝で眠るティナーシャの姿も良きです。
ここは、ファルサスの部屋かな?トゥルダール?部屋の調度品も品が良くて雰囲気がとても良いです。ふたりがそれぞれ大国の主なのを象徴しているお部屋だな。
窓から差し込む光の加減も素敵。そこにオスカーの表情がぼんやり浮かび上がっているのも。
お花をまとった黒猫の置物が可愛くて意味深。

カラー口絵をめくったらいきなりこのやりとりなの、たまらないですね。
オスカー正統派王子様!(いや、王様か!)青と白の豪華なドレスのティナーシャの「は?」という表情も良いです。
そして目次部分のこれはラヴィニアのイラストですね?クールビューティーでイメージぴったりで素敵!!

相変わらず魔法や禁呪絡みの不穏な戦いは数あれど、確かに「束の間の平穏」ではあるかな、という第五巻。
いやティナーシャは血みどろで戦い死にかけてるのは相変わらずなのですが、魔女やら最上位魔族やらぽんぽん登場してくるのですが、でもオスカーとティナーシャふたりそろっていればなんとかのりきれるでしょ、という信頼が、読者の私にもすでに生まれていますので。
『約束の折り返し』は何度読んでも好きです。うふふ。
書籍版はここの辺り結構加筆があるのかな。オスカーの心情が丁寧に書かれていてより一層ときめいて読むことができました。
ふたりの心情やこの時点でのささやかな日常の描写が増えているからか、Web版より確かにふたりの初々しいラブラブを安心して読むことができた気がします。
オスカーもティナーシャも、想いの重さではいい勝負ですよ。


では追記以下にネタばれ感想をつぶやいていきますね。

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カテゴリ: Memoriae シリーズ

タグ: 古宮九時 

私的本の情報メモ(7月) 

気温が上がって湿度も高くて身にこたえる日々ですが、皆さま体調崩されていないでしょうか。
私は未だテレワークの空白期を引きずっているのか、毎日気持ちと身体が重たく日常についていくのがちょっぴりしんどいです。
なんというか、朝の電車で座れなくなってしまったのが、いちばんこたえている気がします。
今までそんなの当たり前だったんですけどね~。楽な方に一度慣れてしまうとあとが辛い典型です。
そんな中ですが、気がつけば紫陽花の花がグラデーションも美しくあちらこちらに咲いていて、この時期の楽しみですね。

さて来月の新刊購入予定メモをいつも通りに。

『満月珈琲店の星詠み』望月麻衣 7月8日

『横濱魔女学校2 月蝕の夜の子守歌』白鷺あおい 7月13日

『カイニスの金の鳥 3』秦和生 7月17日


来月の購入予定はちょっと控えめですね。今のところ。
当初の懸念通り、今月の豊作すぎた新刊購入分をまだ三分の一も読めていない現状なので、むしろありがたいです。読みます。
しかし『横濱魔女学校』も『カイニスの金の鳥』も続きがとっても気になります。楽しみ~!
あと倉本由布さんの新刊が、なんと古代タイムスリップもの児童書?らしくて、読みたさ加減に心がぐらぐらと揺れています。

市立図書館にもようやく行けるようになったの、嬉しいですね。色々制限ありとはいえ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 新刊メモ(月別)

『女王の化粧師 2』(書籍版)千 花鶏 




『女王の化粧師』ビーズログ書籍版2巻目。電子版。
自らの化粧道具を壊したマリアージュに怒りをぶつけてしまったダイ。
使用人達に冷たい態度を取られ辞めさせられるのも覚悟したダイは、ヒースによって化粧道具調達に屋敷の外へ連れ出される。
花街時代の親しい人との再会やヒース自身の励ましを得て、改めてマリアージュと向かい合いたいと願うダイ。
しかし彼女はダイと直接話をするのをかたくなに拒んでいて——。


『女王の化粧師』祝・2巻目発売!!!
電子書籍というかたちですが、続きが無事に出てとても嬉しいです。
特にこの時期に新刊の知らせを聞くことができて、私はどんなに嬉しかったか。
おめでとうございます~♪

表紙イラストが今回も豪華で息をのんでしまいました。
(表紙イラストはスマートフォン画面よりPC画面で大きく表示させる方が、断然美しく感動的ですね)
アルヴィーは結構すっきりした美貌の持ち主だったんだな。とか(なんとなく私の中ではもっと女性的な華やいだ格好をしているイメージでした。髪もふわふわウェーブのちょうどマリアージュ様みたいな感じ?)
ダイの憂い顔の表情が相変わらず麗しい。簡素な身なりで十代そこそこの容姿でこの色香……ぞくっとします。
アリシュエル様とマリアージュ様のふたりもそれぞれのイメージ通りで美しいです。髪型やドレスが細部まで凝っていて素敵。
薔薇の花が似合うお話だなと改めて思いました。
作中でもダイがたとえていましたが、何よりマリアージュ様のイメージは薔薇の花。

お話、序幕のここまで来ましたね。ついに。
面白くなってきましたねえ。(にまにまと笑みを浮かべつつ)


(書籍版レベルの)ネタばれ感想をさくさくっと。


一巻目に引き続き、Web版に比べて細部の文章がすっきり整えられ、いわゆる「ビーズログ文庫」少女小説的な読み心地になっているのが、流石です。起家先生の挿絵のイメージ通りの正統派少女小説。
Web版のあの独特の熱量を孕んだ世界観、読み心地も大好きなので、二粒美味しいということですね。
はじめて読む人なら書籍版の方がよりすっと馴染みやすいのかもしれません。
(そして続きが気になってきたらWeb版もぜひ読んでみてくださいませ!!)

ダイに冷たく当たっていたミズウィーリのお屋敷の人達が、マリアージュ自身の変化を経て、少しずつ一体となり雰囲気が良い風に変わっていく様が、読んでいてじーんと感動的でした。
マリアージュ様の変化のきっかけはダイの言動ですからね。
屋敷に不和を起こしてしまったと落ち込んでいたダイのあのことばに、マリアージュ様はちゃんと向かい合い、考え、答えを出してくれました。
どんなにそれが得難いことなのか。
ダイという異分子を排除しようとする皆の態度が読んでいて段々辛くなってきただけに、ローラに対してマリアージュ様が放った言葉は、胸に来ました。

そんな辛い日々のダイに常に味方でいてくれていた、朗らかなティティアンナの友情も沁みましたし。
なによりヒースの気遣いが優しいですね。あれ、ヒースって序盤からこんなに分かりやすく優しい人でしたっけ(混乱)
故郷のヒースの花のことについて触れる場面が何度読んでも好きです。
『秘密の花園』のイメージがダイレクトに重なります。確かに男の人の名前というと不思議な気もするけれど、ヒースにはぴったりはまっています。
アルヴィナの住み家もとても彼女らしいです。
ダイには優しくて親切なお姉さんみたいな役どころで、しかし謎が多くて底知れないアルヴィー。
彼女の今後の活躍が楽しみです。
今回の彼女のお仕事っぷりの描写も興味深く読みました。

ローラさんとのその後も読めて良かったです。一本筋が通った厳しくも格好いいお人でした。確かにどうしようもなく変われないものは変われないんだ。
あとティティとダイの友情も尊いです。恋人のエピソードも好き。
せめてティティには(なるべく)普通に幸せな人生を歩んでほしいです。

マリアージュ様とダイが和解してからのもう一つのメインイベント、ガートルード家での社交の場。
ここは確かに私がうっすら覚えているWeb版の流れと色々違いますね。
ダイの役どころの責任が増している気がします。頑張れダイ。
アリシュエル様やロディマスや、ややこしい人達に好かれる傾向にあるマリアージュ様も、がんばって!!
幼いころも変な大人に絡まれるアリシュエル様を助けていたというマリアージュ様に改めて惚れてしまいました。
ダイを自分が守るべき存在として当然としてあるマリアージュ様が本当に好きですね。
それにしても着飾ったダイの美貌は本当に危険。この時点ですでにこんなに危険……。(後々の展開を思い出しつつ)

ダイの「秘密」について、全然気づいていなかったヒースがやっぱりうっかり可愛いです。こんなに頭が切れる、ダイに一番近い場所にいる人物だったのに……。
ダイの手に暗闇の中触れるヒースの場面が、Web版の時点から抑えきれぬ色香が漂ってきて、どきどきして大好きなのです。
ダイの本名をひとりだけ独占して呼ぶヒースにもどきどきします。
子供時代から時をとめてしまっているというダイの幼い身体にというのがまた、複雑な艶を増している気がします。
この場面にだけ挿絵があるというのもときめきポイント!

最後の番外編もWebで大好きなお話だったので嬉しいです。
マリアージュ様とダイとでは、ヒースに感じているうさんくささレベルが、全然違う!(笑)
いかにヒースは(無意識下で)ダイに甘くて優しいのかが分かろうというものです。
Web版を最新話まで読んだ身としては、化粧をするダイの姿にヒースがどのような気持ちを抱いていたのか、初読時では分からなかったものも重なってくるので、一層じわじわっときました。

ここまで読んでしまったらほんと、書籍版の三巻目以降も、一層強く望まずにはいられません。
できれば書籍版で読みたいというのが本音ですが、電子版でも良いです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
ヒースとダイの甘い幸せな日々を、ぜひに。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 千花鶏 

『本好きの下剋上 第五部「女神の化身Ⅱ」』香月 美夜 




『本好きの下剋上』第五部第二弾。
ダンケルフェルガーとの共同研究は順調に進み、一方、王族との関わりも意図せず深めていくローゼマイン。
最終的に王まで巻き込んで貴族院で奉納式を行ったローゼマインは、ますます周囲の注目を浴びてゆく。
次にやってきたのはダンケルフェルガーの兄妹とのお茶会、イラスト交渉、そしてなんとローゼマイン自身をかけた嫁取りディッター。
エーレンフェストの保護者達やアーレンスバッハのフェルディナンドの頭を悩ますローゼマインの騒動はますます勢いを増してゆく——。


『本好きの下剋上』の書籍版の新刊。うう、無事に発売日がやってきて読むことができてすっごく嬉しい。
表紙イラストが非常に格好いいです。
嫁取りディッター!エーレンフェスト&ダンケルフェルガーの兄妹達の構図が緊迫感あふれていてドキドキします。
ライデンシャフトの槍を持つローゼマイン様が表情から勇ましい。虹色魔石の髪飾りが何気に存在感あります(それはまあ、フェルディナンド製の悪辣なお守りですしね!)
レスティラウト様はもちろんヴィルフリート兄様の横顔が大人びて格好良くてはっとしました。
カラー口絵の扉の前に立つローゼマインとシュバルツ&ヴァイス、ファンタジックで美しいけれどひやひやする……今後の展開を思うと……。

上にも挙げましたが今回のメインはダンケルフェルガーとの嫁取りディッター、そして王族と貴族院の図書館との関わりでしょうか。
第五部も、まだこの辺りはまあ普通の(ローゼマイン比)学生生活で、さほど心が辛くないですね。
今後の展開への片鱗がそこかしこにあって「おおう……」と読んでいてなりますが。
「それはまずいよローゼマイン様!」と何度も思いつつ、でもローゼマイン様の本への情熱は止められるわけもなく。
ダンケルフェルガー成分が今巻もたっぷりで楽しく読めました。ローゼマイン様とハンネローレ様の仲良しっぷりは心の癒しです。


では書籍版ネタばれ含みの感想をぽつぽつと。
(複雑に細やかに張り巡らされた各種設定や展開の考察は、お詳しいファンの皆様にお任せします。
私が語ってることは色々思い違いや忘れていることが多々あると思うので、ごめんなさい。
本来細かい設定をすみずみまで読みこむの大好き人間なので、完璧に把握したうえで語り尽くしたいのですが、時間が有限で悔しい……)


プロローグはフェルディナンド様視点。
ディートリンデ様とゲオルギーネ様が不在だからかどうか、思っていたより雰囲気は和やか。
手紙の検閲ってこんな風に人前で読まれてしまうのか。それは確かにちょっと恥ずかしい。
アーレンスバッハ特産の果物を使ってのお菓子の改良、詳細を私に教えてほしかった!(フェルディナンド様興味ないね……)
ダンケルフェルガーがロウレのカトルカールでしょう、温暖な気候の地での果物なら、パイナップルとかマンゴーとかバナナとか柑橘系とか?(発想が貧困)シナモンやナツメグや甘い香りの香辛料を組み合わせてカトルカールを焼いても良いな~。お砂糖が特産ならざらめ糖を底に敷いて焼いてカステラ風とか。
お菓子に空想が逸れすぎたので戻します。
そうか、フェルディナンド様は「あえて」王族に情報がある程度渡るように操作していたんですね。ローゼマインを警戒視させて図書館に近づけないようにさせるため。自分の保身も兼ね合わせつつローゼマインの安全を必死ではかろうとするフェルディナンド様の姿にぐっときました。
挿絵のシリアスなフェルディナンド様とエックハルト兄様が格好いいです。

そして本編。
ジギスヴァルト王子が挿絵でも初登場。三王子様がついにそろいました。
後の短編も読んでいると、良くも悪くも純粋培養の「王子様」な人だな~という印象でした。まあ彼の立場からしたらローゼマインとフェルディナンド様が怪しく見えるのもある程度は無理ないか。アナスタージウス王子は実際のローゼマインと何度も関わりエグランティーヌ様のこともあった分彼女を理解してくれてて大分マシなんだな。というかジギスヴァルト王子はグルトリスハイトに関してそういう考え方をしていたのですね~。なるほど。

図書館の地下書庫へ。どきどき。この時点までくると、ローゼマインの本に関して警戒心が全て吹き飛び突撃していく姿がもう危うくて、平常心を保って読むことができません。でもまあ今のローゼマインに言ったって分からないだろうしな。ううう。
四十三の神々のご加護を賜ったってすごいですね。これと奉納式を経れば王族の方たちが彼女を取り込む形に方針を転換させたの(多分)、分かるな。危険分子なのだけど、もはやそれを上回る価値がある子な気がする。(ずーん……)
王の継承の儀式が興味深かったです。第五部終盤のあれを読み返してこなければ。

あと奉納式。Webではリュールラディ視点で最後まで進んでいったので、今回ちょこちょこ発見があり面白かったです。
まさか王まで出てくるとはびっくりですよね!確かにすごく疲れていそうな表情のお人でした。
「ツェントに癒しを贈りたかったのです」とまっすぐな気遣いを見せるローゼマインの人柄を王族の人達はもっと汲んでほしいですよね!(彼女はフェルディナンド様に重ね合わせてしまいどうしても、ということだったのでしょうが)
しかし本当にもうここまでくると、聖女様としか言いようがないなあローゼマインは。
最後のリュールラディ視点短編でのローゼマインとハルトムートの挿絵が、神々しいまでの美しさでどきりとしました。
ハルトムートが大活躍。だけど裏では色々ハルトムートでおかしかったです。
コルドゥラ様がクラリッサに言った「エアヴェルミーンを失ったエーヴィリーベ」とかダンケルフェルガー&クラッセンブルクに伝わっているという「メスティオノーラ」の逸話とか、大領地のみに伝わっている神話の片鱗がぽつぽつ浮かび上がってくるのが面白いです。
この段階で「じじさま」が誰なのか、誰も正解に結び付けられていない状態なのが、今はなんというか意味深。
マティアスとラウレンツが聖杯を持って図書館の魔術具に注いでいる挿絵が好きです。ふたりともローゼマイン様に比べて体格がいいなあ。男の子だなあ。
オルタンシア様がどこまでラオブルート寄りなのかどこまで「図書館」側の人間なのか、気になってしまいます。

ダンケルフェルガー勢とのやり取りは、王族に比べれば肩の力を抜いて読むことができます。
レスティラウト様とハンネローレ様の兄妹が、読めば読むほど好きになってきました。
案外妹を可愛がっていて妹に弱いレスティラウト様が可愛いですね。ハンネローレ様の「お母様に言いつけますよ」が強い。
鎮めの儀式で杖を回しているハンネローレ様の挿絵がとても好きです。可愛らしいし格好良いです!さすがダンケルフェルガーのお姫様。
集計とおしゃべりの場面、フィリーネの仕事の速さにクラリッサが驚いている場面が好き。大領地の上級文官見習いに感心されるフィリーネの仕事っぷりに彼女の努力と成長がうかがえてじーんときました。
レオノーレとローデリヒも頑張ってた!そうでしょそうでしょ、ローゼマイン様の側近達は皆優秀でしょう!(謎目線の自慢)
緊張しているグレーティアをさりげなく息抜きさせようと仕事をふるローゼマイン様もさりげないけれど好き。ローゼマイン様のこういうところを側近達は見ているから、振り回され続けても彼女は側近達からちゃんと慕われ愛されているんだろうな。と思います。

和んでいたところに降ってわいてきました、嫁取りディッター。(なにそれ聞いたことがない!)
欲しいものを得るためには手段を選ばぬしつこいディッター大好き大領地、やっかいな側面が出てきました!
歴史ある大領地の柔軟性と交渉術、王族への強気な姿勢に、ただただ圧倒されました。
ローゼマインの価値について、確かに分かっていなかったんだけど、それを素直に認めてそのうえで「家族」を守ろうとディッターを受けて立ってくれるヴィルフリート兄様、やっぱり格好いいな。
それにしてもレスティラウト様のあの条件、何気にかつてのローゼマインなら、迷いなく飛びついていたのではないでしょうか。
「第一夫人兼司書」としてなら、明らかにエーレンフェストよりダンケルフェルガーで暮らす方が楽しいし。蔵書もすごくたくさんあるだろうし予算も潤沢だろうし、製本印刷業もエーレンフェストより好きにやらせてくれそうだし。
と、ぱっと思うけれど、でもやっぱりレスティラウト様では、平民との絆を大切にするローゼマインのやり方は完全には理解できないんだろうな。家族と今の形を保つことも難しいだろうし。
そのへんを何かの手段で解決できれば、ダンケルフェルガーへのお嫁入りは、決して悪くないルートだったんだけどな~。
大領地の次期アウブの第一夫人に望まれる、しかもアウブ夫妻も領地のメンバーも大歓迎しているって、すごくない?ローゼマイン様。

ともあれディッター場面へ。
指揮官レオノーレが格好良くてレオノーレ大好きな私的には最高でした。女の子が総指揮をとって男の子も皆何の違和感もなく従える社会ってなんかいいですね。
ユーディットも大活躍だったしブリュンヒルデも頑張っていたし、エーヴィリーベの剣を出したヴィルフリート兄様もかなり格好良かった!トラウゴットもかつてより成長していてそれもちょっと感慨深かったです。
エーレンフェスト陣はすっごく頑張っていたけれど、やはりダンケルフェルガーは手ごわい。
ローゼマイン様かなり危ういところまで行きましたね。ひやっとしました。
というところに思わぬところから横やりが。
Web版を読んでいるときは正直意味がよくわからなかったんですが、うわー、きな臭い。こういうときにはルーフェン先生はすごく頼もしいな。

そんな混乱した状況下で、ハンネローレ様とヴィルフリート兄様のふたりの行動で終わっていたディッター。
このふたりの挿絵がまるでロマンティックな恋物語のはじまりのよう。ハンネローレ様の淡い恋心ともまだいえないような気持ちが今後どう作用していくか、ある程度分かっているだけに、なかなか心にぐさっときます。
ハンネローレ様のこの行動が、決して批判されるばかりではなく見方によってはむしろ称賛されるというのが、改めて特殊な領地だなダンケルフェルガー。(この欲しいものは手段を選ばずつかみ取れ、勝ち取れ!という領地の気風が、ローゼマイン様の破天荒さもまた受け入れられる余地があるということか)
コルドゥラ様はハンネローレ様の気持ちが完全に恋ではないのをある程度分かっていて、それでもハンネローレ様の立場を守ろうと、とっさにああ発言したのではないかと個人的には思いました。
レスティラウト君もハンネローレ様のことそこは怒ってないよね。案外良いお兄ちゃん。
ダンケルフェルガーにおけるディッターの重さ、神聖さが尋常ではないですね。

場をおさめにやってきたアナスタージウス王子とのやりとり、レスティラウト様が強気でびっくりしました。
これこそが大領地の領主候補生の態度ということなら、確かにローゼマイン様はこっち向きなのか……。
むしろとっさに謝罪し何でも受け入れると言ってしまうヴィルフリート兄様との対比が、ちょっと切なくなってしまいました。
エーレンフェスト、確かに力をつけて発想も先進的になってきているのは、ローゼマインと彼女の側近たちだけなんだな……。そっか……。(私はレオノーレやハルトムートなんかは特にローゼマインの発想に付いていけていると思っている)
何気にアナスタージウス王子の「ローゼマインを巡る争いがあれば、王族がその身柄を引き受ける」って、とんでもないこと言っていますね。
もうこの時点でローゼマインは取りこまれ決定だったのか。うわー……。
エグランティーヌ様がローゼマインの事を「メスティオノーラの化身」発言の補強をしていたのも、これ関連だったのかしら。
むしろ前巻の時点で、ローゼマインが王族に取りこまれる、その前にうちが!と作戦会議をしていたダンケルフェルガーもすごいなと思いました。
まあ、王族に取りこまれて終わってしまうルートよりは、ダンケルフェルガーの第一夫人として尊重され好きに事業を動かせるルートの方が、ローゼマインにとってはずっと幸せだと思うし、レスティラウト様もローゼマインにいくらかは惚れているし大切にしてくれるでしょうし、ハンネローレ様との友情は確実に途切れないし。ね。
もうここまできてしまうと、エーレンフェストとヴィルフリート兄様では、ローゼマインを守り切れないか。現実が辛い。
(逆にここまで王子に強気に言えるダンケルフェルガーなら守り切れたということか)

ディッターの場面を読んでいて思ったのですが、「祝福」は自分にはかけられないって、ローゼマインは強い力を持ち何でもできるし困っている人を助けられるけれど、自分自身は助けられないしむしろ虚弱な身を削って人助けをしているってことですよね。
それってとても聖女らしい一方、ぞっとすることだなとも思いました。
ローゼマイン様一人称だとそういうのってほとんど分からないけれど、ローゼマインは実は危機に瀕している人を守るためには全然自分の身を大切にしないというか、ためらわない子だと思います。思えばシャルロッテのときもそうだった。
やっぱりフェルディナンド様がいない今の状態の彼女、危なすぎない?しんどい……と顔色を悪くして退場していく彼女の姿に、先行きを案じずにはいられませんでした。

番外編であと触れてなかったのはジルヴェスター視点のエピソードかな。
レーベレヒトとハルトムート父子のやりとりが何気におもしろかったです。
レーベレヒトって案外今のハルトムートのことを全然分かっていなかったんだな。ハルトムートも父の事を一切無視しているし、この父子関係どうなってるんだろう。まあ似た者親子といえばそうかもしれない。
ローゼマイン様のためなら神殿業務も完璧にやり切りますのでご安心ください!わたしを貴族院にいかせてください、ぜひぜひ!!というハルトムートが相変わらず優秀でローゼマイン様至上主義すぎて、読んでいてなんだか心が和んでしまいました。
今の状況のジルヴェスターにとって、安心して良いと思える場所がひとつでもあるって確かにいいことなんじゃないかな。
クラリッサとの縁は、レーベレヒトもハルトムートも良縁だと意見が一致しているのは良かったです。

特典SSはラオブルートの部下ロヤリテート視点。
この人自身は常識ある一騎士というところかな。
「どこかの某系王族の姫君」……云々すごく大事な情報じゃないですか?もっと詳しく!!
ラスト四行辺りが本気で怖いです。どこまで情報が隠蔽され人が蝕まれているんでしょう。

追記以下にWeb版読了込みのつぶやきメモ感想があります。


その前に、この二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 本好きの下剋上シリーズ

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