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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。2~群青の花と、異界の迷い子~』友麻 碧 




異界に迷い込んだ女子大生・千歳は、千国の薬師・零の弟子として働く日々。
千歳が弾くピアノは青い光を放つ花を咲かせ、王宮から重宝されていた。
そんなある日、千歳は鳥居を超えてきたという異母弟の優(すぐる)と再会する。
日本の家ではぎこちないばかりの関係だった二人は、千国で共に過ごすうちに、少しずつ心の距離を縮めてゆく——。

一巻目に惚れ込んでしまった『鳥居の向こうは、知らない世界でした』の第二巻!
楽しみにしていました~!続きが読めてとても嬉しい。
表紙の青色の光と花が美しく幻想的で読む前から期待をかきたてられました。

二巻目も、異世界の千国の描写はどこか懐かしく慕わしく、ピアノや文学作品の香りがする各描写は品よくロマンティックで、千歳が作る薬膳料理は美味しそうで、人の優しさ温もりが心に染み入る、極上の物語になっていました。
『かくりよの宿飯シリーズ』といい、この作者さんの物語の異世界の描かれ方が、きっと私のツボにぴたりとはまっているのだと思います。
異世界の各設定を読んでいると本当にワクワク楽しいし、そこまでシリアスすぎず読み心地が良く親しみやすい感じなのがマル。
(ちなみに私が今まで読んできた異世界もので同じくツボにはまったのはたとえば川瀬夏菜さんの少女漫画。あの親しみやすさがいい)
『かくりよ~』に比べてこちらはしゅっとした格調の高さがあるというか、読んでいてすんなり心地よさに浸れます。
それにしても異世界でピアノを弾く薄幸のつつましい美少女……なんて絵になる私好みの設定。

さて二巻目のキーポイントは、千歳さんを探して異世界に自ら迷い込んでしまった異母弟の優君。
青火王子にひろわれ千歳と再会した優君、日本の家庭ではぎこちない関係であった二人が、異世界で共に過ごすうちに徐々に心の距離を縮めて、本当の姉弟になっていく過程が、読んでいてじんわり心が温かくなり、とても良かったです。
自分もけっこうひどい目にあってきたみたいなのに、千歳さんに再会して美しく生き生きと暮らしている彼女の姿にまず安堵する優君、優しいいい子だな……。
弟のために馴染みのある日本の料理を工夫してこしらえる千歳さんの真心も沁みました。ハマグリごはんにほうれん草の胡麻和えおいしそうだな。

印象的だったのは音無夫人のエピソード。
日本人であったかりそめの夫を懐かしみ恨むでもなく思い出を大切にまどろんでいる夫人の姿がとても優しくて切なくて。
彼女の夢の中で世界をまたいで重なっている星空を共に眺めるふたりが幸せそうで楽しそうで、どうして二人の道は分かれてしまったのだろうと、想わずにいられなかったです。
重なり合うのは『銀河鉄道の夜』、美しいリンドウの花の群れと果たされなかった「一緒に行こう」の約束、海の事故、その後明らかになった悲しい真実。
シノさんと千歳さんが共同で作ったエビ雲吞とあんかけ炒飯もおいしそうでした。

青火王子は最初は怖くてとっつきづらいひとかと思っていたけれど、意外とトーリさんと対等の兄弟関係を結んでいるようで、優君もなんだかんだ馴染んでいたし、悪い人じゃないんですね。
千歳さんを馬鹿にした青火王子に零先生とトーリさんがすかさず反撃する場面が好き(笑)。千歳さんは千国で確かに自分の居場所を作り上げていて、それをこの二人に力強く肯定してもらえて、とても良かった。
優君に日本の絵を描かせて異国のことを知りたいとキラキラした知的好奇心を持つ青火王子、なんかいいな。
もっとも個人的には千歳さんにもう少し優しくしてほしいものですが。まあ、女の人に厳しくなるのも彼の境遇では仕方ないような気もする。

ヴァーユさん、優君、新キャラを迎え入れつつ、千歳と零先生の師匠とお弟子の生活もまたしっくり馴染んできていて、それもまた良かった。千歳さん認められてきてますね!
胡椒饅頭とか中華風のお餅入りパンケーキとかとてもおいしそうです。海苔巻きおにぎりが食べられるって嬉しいですね。
なにげない日常の生活のこまごまとした描写が相変わらずこの作品の大きな魅力です。
零先生と二人のお出かけのときに食べていたお弁当も地味にとてもおいしそうでした。

千歳さんとは別のアプローチで千国に馴染んでいく優君の姿も良いものでした。
王子様たちや零先生となんだかんだ仲良くなっているし。絵の才能で重宝されているし。優君の飲物おいしそうだし。
彼もまた千国で生き生きと楽し気にしていて、千歳さんもそれを見ていて楽しそうで、ほっこり。
それでも彼は、日本に「帰る」方の人間で。
千歳さんとの別れの場面、お互いの呼び方が変わった場面が、とても印象的で胸を打ちました。
ただこの異世界で生きるあなたの永遠の幸せを願う。自分の価値観を押し付けることもなく祝福を残して去り、父親に想いを確かに届けて帰る優君、別れ際に優しく導きの言葉をのこした千歳さん、そんな二人の姿が、優しくて、切なくて、美しかったです。

あとこの巻の青い焔草と千歳さんの絆のお話も幻想的で美しくてぐっときました……!!
本当に千歳さんはすっかり焔草を手懐けちゃってますね。
淡く光る染織物の描写がまた美しくてロマンティック。きっとお世辞ではなく千歳さんには抜群に似合っていると想像しています。

蝶姫ちゃんもトーリさんも元気そうで良かった。
トーリさんと千歳さんがやっぱりいい雰囲気な感じがするのですが、この王宮の人間関係を思うと、ちょっと将来的に厳しそうですよね……どうなるのかなあ。トーリさん自身千歳さんをお母さんみたいな境遇にさせたくないでしょうし。
ガジュマルの木の空き地でお茶している二人、お互いがお互いに、今日はあなたに会えると思って、というのが、すごく良い感じなのに~!(もどかしい)お妃に間違えられた場面もときめきましたし。
あ、あと水出しレモン珈琲というのもおいしそうです。優君すごい。

日本とこの異世界との関係、異世界人のこと、零先生たち仙人のこと、外国のこと、少しずつピースがつながってゆき、千夏さんの日記の謎もあり、まだまだこの世界で気になることはたくさん。
なので、また続きが読めると、とてもとても嬉しいです。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。』友麻 碧 




人とあやかしが共に住まう町・浅草で、前世「茨木童子」だった記憶を持つ女子高生・茨木真紀は、持ち前の面倒見の良さから、今日もあやかしたちの起こす厄介ごとを解決する日々を送っている。
前世での夫で「酒呑童子」であった同級生の甘酒馨たちも巻き込んで、花火大会に山遊び、学園祭に、色々なイベントを駆け巡る真紀。
そんな折、以前の騒動から彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れて……。

『浅草鬼嫁日記』、『かくりよの宿飯』共々楽しみにしていた第二巻目が出ました!
表紙イラストの和装真紀ちゃんと馨くんの構図が格好良く、ふたりの絆を感じさせるのがなんともときめきます。
まさに「青春を謳歌する」と言った感じの真紀ちゃんの不敵でたのしげな表情が良いですね!
(それにしても由理がいないなーと思っていたら、まさか、そんなところに……。)

実際に読んでみてもやっぱりこのお話面白い~!楽しいエピソードや設定てんこ盛り、なんでもありのお話のぶっ飛び具合が絶妙。
なんといっても真紀ちゃんが相変わらず色々な意味で最強で、格好良すぎる!どこまでもついてゆきたい(笑)。
ありとあらゆるあやかしたちに慕われている真紀ちゃん、彼女のこの面倒見の良さと情のあつさ、腕っぷしの強さ諸々鑑みれば、納得……。浅草のあやかしたちすべてのお母さんみたいです。女子高生だけど。
その一方で、前世からの記憶、そして現世での死んでしまった両親のことが織りなす切なくてやるせない雰囲気もあり。
今回は特に、真紀ちゃんのこの明るくてしぶとくて強い面と、もろく繊細で弱い一面の両方が前面に出てきていて、ギャップが印象的だったように思います。

ときに弱さをぽろりと出してもそれでも明るくて強い真紀ちゃんが健在なのは、やっぱりきっと、馨君の存在があるからこそ、なのでしょう。
真紀ちゃんと馨君、前巻に比べていっそう「夫婦」感がにじみ出ていて、当たり前のようにアパート通い婚同居状態で食卓を共にし、将来の話はもうほとんど結婚前提で。
前世から苦楽を分かち合いお互いを知り尽くしてきていて、普通に長年連れ添った夫婦以上にしっくり馴染んでいるこのふたりの距離感が、ときめいてもう……!!ごろごろごろ。
あれですね、馨君が一巻目に比べて夫婦と言われるのに文句を言わなくなり抵抗感も薄れてきている感じなのが、いっそう甘さを強調しているんですよね(笑)。
そして真紀が落ち込んだときに当たり前のように側にいて、彼女の心身すべてを無言で支え守っている馨君がもう本当に「夫」そのもので、格好良くって。じーんときました。台風の夜の場面は特にしみいりました。

やっぱり私は前世ネタ、平安時代ネタが大好物なので、茨姫関係の切ないエピソードがとりわけ胸にぐっときました。
前世での両親がああいう風に終わってしまったからこそ、現世においてちょっと変わった娘でも惜しみなく愛情を注いでくれた両親に、今にしてちょっと複雑な想いを抱いたり、真紀ちゃんの心の揺れが、いじましかった。
あと茨姫が酒呑童子に攫われてから夫婦になるまでの短い過去の回想エピソード、傷ついてなかなか心を開けなかった茨姫に、不器用に愛情を示しアプローチする酒呑童子のふたりの姿に、ときめいて仕方がなかったです。
その後、前世でもやっぱりこんな感じのぶっ飛んだ夫婦になったんだろうなあ。ふふふ。
そしてだからこそ、スイがちょっと言及していた、かつて酒呑童子が先に死んでからの茨木童子のことに思いをはせると、何とも言えずに辛くて切ない。

各種イベントごとはわいわいにぎやかで楽しかったです!
特に盛り上がったのは学園祭。河童の乱舞がすごい……。あとがきも読んで、作者さん、本当にかっぱお好きなんだなあ……愛が伝わってきてこちらも楽しい気分になりました。
大黒先輩の正体が予想以上に大物でびっくり仰天だったり。由理子ちゃんの女装の決まりっぷりと活躍っぷりに盛大な拍手を送ったり。
副会長も最後まで読めばあれで潔いところもあるのね、となんか後味よく終われて良かったです。からっと引きずらない勝負事は良いものです。文化部チームの地味なチームワークお見事だったな。キウイ大福も意外に美味しそう。
由理のおうちの山遊びも良かったな。馨君の水着押しがすごくてびっくりしてしまった……本当に真紀ちゃんと馨君の距離感って独特で時に読めない(笑)。若葉ちゃん可愛かったです。

あとあやかし成分が今回もてんこ盛り!
ペンギン姿のおもちとミカの鳥さんコンビに和みました。表紙のイラストが可愛すぎる。どっちも真紀ちゃん大好きなスイとミカのでこぼこなやりとりも和みました。
真紀ちゃんとミカとおもちでメロンパンのわけあいっこしている場面がお気に入りでした。焼きたてメロンパン美味しいに決まってる~!
神様となっていた牛御前も、お母さま大好きで色々したたかでお美しそうで気にいりました。女は強いですね!
真紀ちゃんにもふもふされて照れているクールビューティー・ルーも可愛い……。彼女のことがうまく収まって良かったな。まさにみんなのチームワークの賜物という感じでした。

陰陽局と、あと津場木茜君の事情も、ちょっと見えてきましたね。
真紀と馨の敵か否か、ちょっと読めない感じがしますねえ。あそこでアルバイトとして現れた馨君まさにヒーローで格好良かった……。ミカの決意も格好良かった。見直しちゃいました。
茜君は、つんつんしているけれど根は素直ないいこだな。
津場木史郎の呪いについてちょっと出てきましたが、読んでもいまいちよくわからない。半分くらいは何かこじつけに思えなくもなく。あれ??(笑)
なんにせよ、茜君と葵が親戚なのは、これではっきりしましたね。葵ちゃん、きっと津場木家がこういう家系であることを、知らないんだろうな。
本当に史郎さん、過去にいったい何をやらかしたのやら。

そんな真紀と馨たちの賑やかで楽しい生活に、ラストで波乱のきざしが。
晴明や源頼光は、過去の茨姫とは、単純に敵味方と言い切れない複雑な因縁があるようで、どう転がっていくのかなあ。気になります。
あと眷属のひとりだったというリンのことも、気がかり。

『かくりよの宿飯』ほどではなくてもやっぱりご飯がおいしそうなこのシリーズ、最初に出てきた真紀ちゃんの冷やし中華や麻婆豆腐ネタに、ひどく心惹かれました。葵ちゃんだけでなく、真紀ちゃんの作る家庭料理もまた美味しそうなんですよね~。
しゅうまいや雷おこしなんかも食べたくなってきました。

続きはしばらく待つことになりそうですが、今からまた楽しみです♪


カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。』友麻 碧 




ライバル宿の「折尾屋」からようやく「天神屋」に帰ってきた葵。
食事処「夕がお」を再開し、すっかり気心の知れる仲間となった天神屋の皆と一緒に、秋の味覚を堪能したり、新作お土産菓子を考えたり、にぎやかな日々を過ごしていた。
そんなある日、葵は大旦那様から果樹園デートに誘われた。いつものお誘いと変わらないはずが、折尾屋での件を経た葵は、大旦那様のことをもっと知りたいという自分に気づき——。


『かくりよの宿飯』シリーズ六巻目。
折尾屋編前後編を経て、ようやく舞台が天神屋に戻ってきました!
ホームに帰ってきた安心感があって、気心の知れたメンバーとのたわいないやりとりや信頼関係が、読んでいてとても良かったです。
季節は秋で今(五月)とはちょっとずれているのですが、葵の作るご飯はやっぱりひたすらおいしそうで、夜に読んでいるとどんどんお腹が減ってくるので困っちゃいました(笑)。
あと葵と大旦那様のふたりの関係に、ここにきてようやく若干の進展が!読んでいてごろごろときめいて仕方がなかったです(笑)。
料理に関してはあやかし相手に一歩も引かずに不敵な葵ですが、自分自身の恋心やそういう駆け引きには疎くて、彼女と大旦那様との不器用な心の通わせ合いが読んでいてもどかしくとても可愛いかったです。
しかしそんな和やかな日々がまた一気に突き崩されてしまったラスト一連の流れ!!
徐々に明らかになってきた隠世のあやかしたちの勢力図もなかなか複雑で、どうなってしまうのやら。

序盤の新米イベント。気心の知れたメンバーと美味しい炊き立てご飯をひたすら楽しむ場が読んでて楽しく心和む……。卵かけごはんに鮭フレークに自家製なめたけの魅惑。
そして大旦那様との果樹園デート。味覚狩りは楽しいしなんだか天神屋ならではという感じがします。途中トラブルが入り若干(?)変な方向にいってしまいましたが。
ちょっとマヨネーズを入れた卵焼きとおにぎりのお弁当がまた美味しそう。
そして山賊退治のために葵が腕を振るった、山羊チーズのピザ(焼き豚きのことさつまいもりんごの二種類)がおいしそうすぎる~。私はスイーツピザの方にシロップをかけていただきたいです。
単なる誤解による人さらい事件ではなく、きな臭い事情もからんでいて、そういうときに大旦那様はやはりとても頼れる。
葵に指示され嬉しそうに手伝いに精を出している大旦那様とのギャップが良いですね(笑)。
あと美女を侍らせる山賊の姿に、史郎さんを思い出してなんともって、史郎さんは隠世でいったいどんな生活をしていたんだ……。
あとアイちゃんの化け姿を提案した葵にときめきました。わあ、葵は無自覚だろうけれど読んでいるこちらも恥ずかしい(笑)。表紙のはつらつとした可愛い女の子はアイちゃんだったんですね!

折尾屋の秀吉とねねちゃんが婚約というおめでたいニュースに続き、春日のおうち事情にびっくり仰天。
ぱたぱたよく動き気が利き要領も良く可愛い春日はお気に入りキャラだったので、天神屋を去ることになってしまうというのは寂しかったけれど、葵と二人で頑張っている姿を今回たくさん読めて嬉しかったな。
春日自身の初恋の君がお相手のようで、それならばひとまずは素直に彼女の幸せを応援したい。
でもなかなか大変な道なのでしょうね……。そこのところ踏まえてお涼も春日のこと心配していて、ラストの一連の春日とお涼のやり取りが、とても良かったなと思いました。お涼はなんだかんだ言って格好良く仕事ができて頼れる若女将の器なんですよねえ。
春日が事あるごとに、葵を同じ八葉の嫁として将来も交流があるだろうから、みたいなことを当然のように言っていて、それに戸惑いつつもなんか否定もできない葵のとまどいと距離感にもときめいたり。
地獄まんじゅう開発エピソードも面白く読みました。というかこの蒸しケーキのようなおまんじゅう絶対美味しいですよ。米粉と酒種生地でたまごにチーズも入れて、温泉の蒸気で蒸して日持ちするようにも工夫して……ああ、こういうの読んでいるの私すごく楽しい。天神屋のメンバーの絶妙なサポートでどんどん商品化に向け改良されていくのも楽しい。

あと葵とお涼と春日と静奈ちゃんのぶりしゃぶ女子会エピソードも楽しかったです。程良く闇テイストで、でも女子会ってまあそんなもんですよね(笑)。気心の知れたメンバーで美味しいものをつつきつつぶっちゃけトークってなんでこんなに楽しいんでしょう。
ぶりしゃぶもおいしそうでしたがデザートのぶどうのカスタードタルトが美味しそうすぎてもうどうしましょう!というレベルでした。
ひたすらぶっちゃけるお涼と大人しくても言うことは言う静奈ちゃんとか色々楽しかったです。
銀次さんの秘密、春日それ本当にどうやって知ったんだ……。

大旦那様の秘密の空中庭園の場面は、どきどきしました。
大旦那様自身のことはいまだに謎だらけで、葵は分からないことだらけで、それでも大旦那様のことを知りたいと思う。という葵のとまどいとか色々せまってきて。
大旦那様の本心はやっぱりなかなか読めずもどかしいけれど、これまで葵をずっと陰日向でささえ続けてきた優しさや気配りを思うと、正体が極悪非道な鬼なんて、そんな言葉通りとはとても思えないんですよね。
葵も現世にはあまり未練なさそうだし(それはそれで悲しいことだけれど)、このままお嫁入りしてもいいんじゃないかときっともう天神屋のメンバー全員そう思っているけれど(それを認めさせた葵の実力が本当にすごい)、うー、どうなるのかしら。

大旦那様と違って、私かぼちゃが大好きなもので、秋祭りイベントのかぼちゃ尽くしメニューにもときめきました。
かぼちゃと七味唐辛子でぴりっとさせたメンチカツ、豆乳カボチャスープに隠世ツナのコッペパンサンドの組み合わせ、皆美味しそうです。たまらない。あと自家製ほしぶどうと手作りバタークリームのコッペパンサンドも非常に心惹かれる。

新キャラの(←すみません、間違いです。3巻ですでに登場されていました。)千秋さん、程良く力が抜ける感じのいいひとだったな。
暁が妹からの手紙を読んでいる場面もほのぼのしました。鈴蘭さん相変わらず史郎さん大好きで幸せなんだな。
銀次さん、今回出番少な目でしたが、やっぱり葵をしっかり支えてくれる彼の存在は読んでいるととても安心する。彼の本心を思うと切ない感じがしますが……。
チビは安定のチビでした。

それにしてもあのラストはいったいどう転がっていくのか!
雷獣がやはり本気でいけ好かなくてどうしようかと思いましたが、そうだ、天神屋なので白夜さんがいてくれたんだった(笑)。
当座はしのげたけれど、根本的な解決になっていない感じで、うーん、不安が募ります。
黄金童子様のこと、津場木史郎の呪いの件と大旦那様との約束、大旦那様の明かされていない秘密、あと葵の過去の回想にちらりと出てきた茜少年のつながりなど、気がかりなことがたくさんです。続きがとても気になる。
葵は今後自分の身の振り方について、どんな選択をするのかなあ。

『浅草鬼嫁日記』の二巻目も同時発売で買ってきましたので、これから読みます。楽しみ!!


ここ最近の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。 癒しの薬園と仙人の師匠』友麻 碧 




孤独な女子大生・千歳は、二十歳の誕生日に、神社の鳥居を越えて「千国」という異界に迷い込む。
イケメン仙人薬師・零に拾われて彼の弟子になった千歳。口は悪いが面倒見のいい零師の下で修業し薬膳料理を作る日々を過ごすうち、次第に自分の居場所を見出してゆく。
しかしそんな中、夢で自分を探す家族の姿を目撃し——。

『かくりよの宿飯』シリーズや『浅草鬼嫁日記』を楽しく読ませていただいている友麻碧さんの新作。
薬膳メインの異世界トリップもの和風ファンタジー小説でした。

うわあ、このお話、ものっすごく良かった!!!
今まで読んできた作者さんのお話の中でいちばん好き!
世界観もキャラクターもすべてが慕わしく、読んでいて楽しくて心癒されました。お料理もおいしそうだし小物遣いも絶妙。
なにより、不遇な生い立ちの心根の美しい娘さんが、ひとの優しさに触れて生き生きとよみがえってゆくお話が私は好きすぎる。
現実世界の私がちょうど心の中に抱いていた寂しさとかやるせなさとか、そういう感情にダイレクトに響いてくる物語でした。
先週ちまちま読み進めてゆき読書が本当に楽しくて、ヒロインの弟の姉への愛情とかピアノとかいろいろなものが心にぶわっと押し寄せてきて、読み終えて涙があふれました。心が浄化されました。ほんとうによかった。

表紙イラスト、物語を読み終えた後で眺めていると、またじわじわきますね……。
千歳が美少女で零先生がイケメンで、千華街のはなやかであたたかみのある橙色の色味が絶品です。少し微笑みを浮かべたような千歳の表情がいい。


ここから先は若干ネタバレ注意でお願いします~。


中華風の日本といくらかつながりのある「千国」の世界観が、まずはとても良かったです。
異国情緒ふんだんで、どこか懐かしくてあたたかくて優しくて。
そんなにシリアス過ぎないきさくで親しみやすい描写は『かくりよの宿飯』にも通ずる作者さんの持ち味だなと思いました。
『星の王子様』やヘッセの作品の一部が引用されていたり黒ウサギが『不思議の国のアリス』ちっくだったり、いくらか文学的な香りがするのが、作品世界をより魅力的なものにしていて、また良し。
千国の初代の王様が日本人かあ。なんだかとてもときめく設定です。
華ランタンや着物や料理や不思議なお花や、各種アイテムの描写がとにかく読んでいて非常に楽しくて、ワクワクしました!
音楽を聞かせて育てる不思議の花のランタンで灯りをまかなっているとか素敵にロマンティックな設定。
あと豆狛という生き物の存在自体が可愛すぎる!
どこかのんびりとしていて異邦人の千歳もおおむねおおらかに受け入れる人々の気質、生活の描写も良かった。
まあ、王宮内の人間模様などは、シリアスそうでしたが。

ヒロインの千歳さんは産みの母を亡くして新しい家庭には馴染めず色々なものを諦めて生きていて、彼女の孤独に胸がきゅっと痛くなりました。
異世界に来てしまっても感情の起伏の乏しさで心が死んでいるような淡々としている感じが辛かった。
そんな彼女が零先生のお弟子になり、美味しくて身体によい薬膳料理や人に優しいお薬を作りだしていく毎日の中で、徐々に生気を取り戻して生まれ変わってゆく様が、読んでいる私も心癒されてほんっとうに良かったです!
優しさと賢さと勇気を備え、修行を怠らずに研鑽を積み重ね、やがて身に着けた自分の力で何度も人を救ってゆく千歳さんは、なんて素敵なヒロインなんだろう。大好きです。
黒髪ロングヘアの薄幸の美女設定も私好みストレートで美味しい(笑)。
千歳さんに零先生が買ってくれた千国のお着物はすっごく似合うだろうな!ふたりのお買い物場面好きでした。

毒舌で過保護なイケメンおじいちゃん仙人零先生も、読んでいくごとに味が出てきてにまにま(笑)。安本丹!を連発し修行の師としてはとても厳しいけれど、千歳のことをまるで孫娘みたいに大切にし過保護な零先生が本当にツボでした。遠足のおやつ……(笑)。
赤毛の爽やかなイケメントーリさんも大好き!笑顔で辛い境遇もやり過ごす彼の強さが痛々しくもあるのですが、同時にとても凛々しく惹かれました。
千歳と零先生とトーリさん、三角関係では全然ない三人がそれぞれ「家族」として楽し気な時間を共に過ごしている感じが、良かった~!一緒に千歳のご飯を食べている場面がどれもとても好き。
「家族」という言葉にじわじわ静かに感動している千歳さんが本当にいじましくていとしくて。
(ところでこの世界の人の寿命事情が若干気になる。零先生が特殊なのかな?)

男勝りで王女様の武官になった商家のお嬢様・花南さんも、花南さんが仕える主のいい意味で型破りなお姫様・蝶姫ちゃんも、千歳が仲良くなった女の子の脇役キャラもみんなよかったです。可愛らしくてきゅんきゅんです(笑)。
かつての零先生のお弟子緋澄さんも、なんだかひたひたと怖い人だったけれど、トーリさんの話を聞いていると単純に悪人という訳でもない気がします。(でもやっぱり不安感ばりばりですが……。)

千国の生活に馴染んできた千歳を揺るがしたのは、異国の少年エド君が運んできた「ピアノ」と見捨てられたと思い込んでいた家族の存在。
零先生の言葉もあり思い悩んでいた千歳は眺めていてまた辛かったですが、連れてこられた王宮で、大事な人と居場所を救うためにピアノを弾き「奇跡」を引き起こし、同時に自分の人生の選択をなした彼女、すごく良い場面でした。すべての描写が美しい。美しくて優しい。
その後での零先生と確かな家族となる会話もしみじみ良かったです。

このお話に何回か挿入される異母弟の優君視点が、また泣ける……。
千歳の母と父、優たちの母の三人の間で、過去にどんなことがあったんでしょうね……。なんにせよこんな大人の事情に巻き込まれ散々傷つけられ放り出された千歳が不憫すぎる。
異母姉を大切にできなかったことを後悔し、行方不明になった彼女を必死に探し、ただただ姉の幸せを願う優君の姿は、シンプルに胸を打ちました。
お父さんもなんか色々ダメだったけれど、千歳へのメールと毎夜の涙は、やっぱり切ない。千歳を大事に思っている家族がこちらの世界にもちゃんといたことが、物語の大いなる救いでした。
ラストで千歳の母の衝撃の事実が発覚し(まさかそうつながるとは思わなかった)、優君自身が異世界にゆく流れになるのかな?とても気になります。
優君は血のつながりにも疑問を持っていますが、耳のかたちとかの描写もあったし、まあ、血はちゃんとつながっているんじゃないかしらと私は思ってます。
千歳の生まれた場所は、でもきっと千国なんだろうな。名前が「千歳」だしな。お母さまの名前を貰ったのもあるだろうけれど。
そう考えると、千歳がこの世界で生きる選択をしたということにも、深みが増すというか。上手く言えませんが。

『かくりよの宿飯』ほどお料理メインではなかったですが、千歳が作りだす身体に優しい薬膳料理もまた、読んでいてすごく美味しそうで魅力的でした。身体に優しい料理は読んでいて心も癒されるなあ。
きんぴらごぼうを炒める順番もちゃんと修行の一環で、私も学ぶところが多いです(笑)。
きんぴらの卵とじとトマトスープ、土鍋ご飯の朝ごはん、白きくらげ肉あん入りでんぷん団子に薬草ゼリーのおやつの時間、はちみつミルク珈琲や杏仁珈琲、さいころポークジンジャーに塩レモンの肉団子スープで夕ご飯、みんなおいしそう……食卓を囲む場面がまた楽しそう。
あとリンネおばあさんのパイナップルケーキとか。私昔台湾のお土産でいただいたパイナップルケーキの美味しさに感動してから大好きなんですよね!食べたいなあ。
あと豆腐花みたいなエキゾチックな屋台のおやつもおいしそうだし、最初に出てきたトーリさんが買ってきてくれた肉ちまきもおいしそう。千華街を私も買い食いに繰り出したいです。
花と果実の飲物の清涼感もたまらなかったなあ。あとチョコレートはこちらの世界にも伝わっているんですね!蝶姫さまのパイナップルチョコレートすてきでした。
千歳が作りだすのは料理だけでなくお薬も重要で、使う人にやさしい日焼け止めの発想は、千歳ならではだなあと思いました。
彼女の薬草園を舞台にしたお弟子さんライフ各描写がとても楽しかったですよ。

どうやら続編も出るの決定みたいで、わーい!すごく楽しみー!!
ロマンス要素ほぼ皆無でも十二分に楽しかったですが、今後そういう展開になっても楽しいなあ。
個人的にはトーリさんと千歳がなかなかいい感じだったと思うので、そっと推してみたいです。お似合いですもの。
でも王宮のあのシリアスな人間関係はこれ以上関わると絶対きつそうですけどね……でも千歳は今回すでに正妃様にあんなことしてるし……大丈夫かな。なんにせよ、ちょっと波乱の予感がしますね。
零先生が忠告して隠してきた、千歳が異界人であることが、あの場で知れわたってしまったのが、どう転ぶのかな。

心の中の癒しの楽園として大切にとっておきたいような、そんな一冊になりました。
おススメです!


ここ一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。』友麻 碧 




浅草に住む高校生、茨木真紀と天酒馨は、幼馴染にしてとある秘密を共有していた。
ふたりは前世では、平安時代に名をとどろかせたあやかし「茨木童子」と「酒呑童子」であり、夫婦であったのだ。
真紀は今世においても、渋る馨を連れまわし、ブラックバイトに苦しむ手鞠河童や老舗蕎麦屋を営む豆狸一家など、悩めるあやかしのために、元気に駆け回る——。


『かくりよの宿飯』シリーズの作者さんによる、もうひとつの和風あやかし婚姻譚。
カクヨムさんで連載されていたものの書籍化。
私はカクヨムさんで途中から連載を読んでいて、好きなお話だったので、書籍化されてすっごく嬉しい!
『かくりよの宿飯』の新刊共々楽しみに発売を待っていました。

『かくりよの宿飯』と世界観が繋がっていると分かる箇所がいくつかあって、そういうのを見つけるのも楽しい。
まったく別の物語なので、どちらか未読でも全然大丈夫なのですけどね。
個人的には『かくりよの宿飯』シリーズがお好きなら、こちらも読んでみることをお勧めしたいです。
あやかし成分もたっぷりですし、強くてたくましく頑張る女の子も出てきますし(こちらの方が色々ぶっとんでます)、何よりこちらの作品も、とにかく食べ物が!みんな!おいしそうなのです~!!

とにかく最強鬼嫁女子高生の真紀ちゃんの活躍っぷりが、読んでいて楽しすぎます。
豪快で情にあつくて浅草のあやかしたちの頼れるお姉さま!格好いい!葵にも通ずるどこか古風でおしとやかな口調が真紀ちゃんのキャラにもまたぴったりです。
そして前世の旦那様で真紀ちゃんに振り回され続けている馨君も、そっけないけれど優しくて強くてこれまた格好いいのなんの。
ふだん口では文句ばかり言いながらも、真紀ちゃんのことを本当に大事に思っていていざというときはばしっと決める馨君が、本当に好き!
この前世夫婦で現在高校生のふたりの距離感が、もう絶妙で。読んでいてときめいて仕方ないのです~。ごろごろごろ。
たまに挿入される馨君視点の語り、馨君が内心では真紀ちゃんのことすっかり妻同然に見なしていて将来のこともすでにもう考えている感じなのが、何とも言えないときめき感。
あと、ふたりの平安時代の回想、藤原の家に生まれながら不遇のお姫様だった茨姫と、酒呑童子の出会いが、私すごく好きでした。
真紀ちゃんの大輪の花の笑顔に、馨君が前世での妻の姿を重ね合わせて息をのむ場面が、あざやかで。
この平安時代の貴族社会な雰囲気がほんのりきちんと漂ってくるのが、平安時代もの大好きな私的にはまた美味しいのです。
(カクヨムで読んでいた頃の私の頭の中のイメージは、高屋奈月さんの少女漫画『幻影夢想』の水月華と比良達でした)

ふたりのやっぱり幼馴染で前世では鵺であった由理君も交えて、三人一緒に前世の記憶も抱えつつしょっちゅうあやかし関係のあれこれに巻き込まれつつも、あくまで普通の高校生として今の生活を楽しんでいる雰囲気が、とても好きだなと思いました。
おだやかで優しくてしょっちゅう口げんかするふたりをなだめるのが基本だけど、ときどき何気に黒い由理君のポジションもとてもいいですよ。
三人それぞれの今の家族への想いがきちんと本物で、心に沁みました。
馨君の不仲な両親への複雑な思い、それを分かったうえで接する真紀ちゃん、このふたりが夫婦同然にご飯の世話をし合い暮らしを営んでいる様が、好きですねえ。あくまで健全な高校生の関係を決して超えない、考えもしない真面目なあたりがいっそういい。

かくりよのチビの仲間かもしれないあざと可愛い手鞠河童の集団や、商売上手のお蕎麦屋の豆狸父子、男運の悪い雨女の明美ちゃん、若干胡散臭い薬屋スイさんに盲目的に茨姫を慕うミカ、あと苦労性の大和組長にぬらりひょんの食えないおじいさん、魅力的なあやかし(一部人間)キャラがたくさん登場してきて、にぎやかでとても楽しかった。
みんなの姐さん的存在として頼られ愛されている真紀ちゃんのポジションがとてもいいよ!(彼女のあらっぽい活躍の後片付けに追われる馨くんや組長たちは不憫ですが……。)
現代版アレンジされた百鬼夜行というイベントも楽しかったです。

陰陽局の不敵な若者として登場した津場木茜氏の存在が、とても気になる。
彼は葵の親戚かなにかですよねきっと。名前も若干似ている感じが。
津場木家ってそういうお家なの?葵の不遇な生い立ちもそこに由来しているのかな?まさか史郎さんの人でなしな活躍っぷりがこのシリーズにまでかかわってきたりして……色々想像を膨らませてみる。
そういえば大旦那様もちらっと登場してきましたね。存在感ばりばり。

焼き芋ようかんや、鴨せいろ蕎麦や江戸前天丼、浅草グルメが美味しそうで美味しそうで、私もあまじょっぱいたれがからんださくさく大あなごの天ぷらを食べたくて仕方がありません。
しかし一番私が心惹かれたのは、真紀ちゃん自家製・たまごやハムもたっぷりはいったごろごろ具だくさん正統派ポテトサラダでした。馨君のアルバイトと真紀ちゃんの手料理で成り立っているふたりの食卓の場面があたたかくてとても好き。

けがをした馨君が真紀ちゃんに最後の最後に語ったストレートな想いにきゅんときて、平穏な日常がひとまず戻ってきて……なところで、若干不穏な影が。のラストでした。
続きが気になる~!どうやら続きがちゃんと読めるようなので嬉しいなあ。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

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『かくりよの宿飯五 あやかしお宿に美味い肴あります。』友麻 碧 




『かくりよの宿飯』シリーズ第五弾。
銀次と共に「天神屋」のライバル宿「折尾屋」に攫われてきた葵だが、持ち前の度胸と料理の腕でたくましく居場所を作っていた。
銀次と乱丸の行く末を心配する磯姫との邂逅を経て、「海宝の肴」作りを買って出た葵。
早速献立の考案や食事集めに奔走する葵と銀次。しかし呪われし南の地には、それを快く思わない存在がいて——。

『かくりよの宿飯』シリーズの続編です。わーい!
今回は折尾屋編・後編にあたるお話。
表紙イラストがなかなかの迫力で、書店で手に取って思わずうなりました……。
正面切って料理を提供する葵がまず格好いいし、左右に控える紅白の美形組の存在感がばしばしと……(ぎ、銀次さんか……!!)(本編読了後)

今回も分厚い文庫で、内容が濃くて、読み応えばっちり。
読み進めるにつれぐいぐい面白さが加速してゆき、ものすごく満足感のある読書のひとときでした!!
はじめはいけ好かなかった折尾屋の面々もどんどん愛着がわいてゆき、読み終えるころには乱丸以下みんな情がうつってしまい離れるのが本気で寂しかった(笑)。
一方天神屋の面々も随所にゲスト出演してきていて、特に大旦那様の活躍もちょいちょいあって、やっぱり嬉しくなったり。
葵の作るあやかし好みの料理の数々もやっぱり全部おいしそう!
お酒の肴ということで、しっかりした味付けの食べ物メインだったかな。
私は基本お酒を飲めない人間なのですが、あやかしの特別なお酒の味わい、料理との相性とかの描写も魅力的に書かれていて、私みたいなのでも十分楽しめました。


ここからはネタバレ注意でお願いします~。


まずは折尾屋の若女将のねねと葵の女子お悩み相談会&ショッピング&カフェの和スイーツに舌鼓。が良かったです!
天神屋のお涼が出張してきてまさかの華麗な大活躍。お涼、ばりばり仕事できるこだったんだな……(失礼)。
そんなお涼にねねが憧れ劣等感を抱いていたなんて。なんだかねねもお涼も一気に好感度が上がりました!
はまぐりのクラムチャウダーとひとくちおにぎりをちまちま食べてる火鼠姿のねねちゃん、すっごくかわいらしい……癒されます(笑)。チーズ入りクラムチャウダーおいしそう。
葵に打ち解けるにつれて生来の人の良さと真面目さが出てきて葵に意地悪なふるまいをしたことをちゃんとあやまるねねちゃん、街の人にも名を知られ親しまれているねねちゃん、いいこだなあ……。
ナタデココとフルーツ入りあんみつも美味しそう!乙女は和スイーツに弱いのです。
というか大旦那様がまさかこんなところでも登場するとは……ねねに真面目に心配されているのがおかしく微笑ましい。
そして口ではケンカしつつもお互いのことをちゃんと理解し大事に思っている秀吉とねねのカップルにも、ひっそりときめきました。
ココナッツオイルでヘルシーパイ生地を作るとはさすが葵の工夫が光ってます。

前巻ではちょっと出番少な目だった銀次さん、今回は葵と共同作業で料理を作っているのが基本ポジションになっていて、それがもうしっくり馴染んでいる感じなのがとても良かった。一巻目から続くこのコンビはとても安定感がある。
そして鶴の双子達もますます頼れる相棒役に!相変わらずこのふたりのゆるい感じが癖になります。
お互い得意分野が異なる料理人として信頼し合い、双子達が得意な部分は双子達にまるっと任せちゃう葵の采配が良かった。やっぱりあのいかしゅうまい美味しそうでしたもん!
ローストビーフもベーコンもお肉感がすごい。おいしそう~。
鮭と味噌とトマトの組み合わせは自分でもやってみたい。

そんな順調な滑り出しの中で、邪魔を入れてきたのが、雷獣様。
本気でいけ好かない……。葵につきつける悪意が無邪気で罪悪感などかけらもなくて、胸が悪くなりました。
たしかにあやかしは無条件で誰もかれも信頼できるものじゃないんだろうけれど。けれどさ!
結果声と味覚をなくしてしまった葵が痛々しくて、もう、辛かったです。
そんないけ好かない雷獣様でしたが、まさかの白夜様の鉄槌、あと最後の方での大旦那様の睨みで、溜飲が少し下がりました。
いい気味だ!これで済まなさそうなのも気掛かりですが。
白夜様って何気にすごいあやかしだったんだな……改めて感心しました。
和風オムライスが結局ちびと管子猫に美味しく食べてもらえてよかった。
というか、縫の院様と律子様が再登場でこれまた嬉しかったです!ラブラブおしどり夫婦に和みました。

味覚をうしなった葵を気遣うあやかし達、特に銀次さんの心遣いが読んでいて染み入りました。
特に銀次さんが葵のために作った見た目や食感も楽しめるいなり寿司は良かったなあ。なんだかシリーズ一巻目の出会いのいなりずしを思い出しました。
乱丸と銀次さんの蓬莱の玉の枝探しに料理人として同行する葵。それでこそ葵でした。
不思議な世界の不思議な冒険といった感じで楽しかったです。
食いしん坊二人組が食材を見かけてはふらふらして乱丸を苛立たせているのがおかしかった(笑)。
お弁当のローストビーフサンドイッチがおいしそう!パンも葵の手作りなんて贅沢すぎます。
ヤマメご飯もおいしそう~しかし私が一番惹かれたのはココナッツミルクで作ったココアだったりしました。南国育ちの乱丸が甘いもの大好きというのもなんだかツボにはまります。
なかなか素直になれなかった乱丸と銀次さんもだいぶ距離が縮んできて良かったな。
獣姿になったふたりが揃って可愛すぎる(笑)。

そして海坊主へのおもてなし、本番。
純粋に美味しいものを楽しんでもらいたいと葵と、それを理解し柔軟に協力する双子達(プラス、怖いもの知らずのチビ)のチームワークが抜群で、最高のおもてなしになっていて、最後はみんな一緒に美味しいものをおいしそうに食べていて楽しそうで、とても良かったです。
皆が恐れていた海坊主の真の姿と優しい心には、胸が締め付けられました。
海老のコク旨味噌マヨネーズ炒めが確かに魅力的すぎます(ごくり)。海老マヨおにぎりまで食べたいです。
あとかぼちゃの煮物の和風カレーキッシュも心惹かれます。肉豆腐もいいなあ~ココナッツアイス最中も。
海坊主とチビと葵の内にひめた孤独な心が共鳴し合っている感じなのが、何とも言えなかった。

葵の過去や海坊主のお役目など、とても大きな影の部分がお話の底の方でつながってきている感じなのが、気になる。
今回のお話で、この世界の成り立ちや謎がいくらか明らかになり、雷獣のたくらみも気になるし、大旦那様の抱える何かも気になるし、何より津場木史郎の呪いって何?意味深すぎるんですけれど。
そして葵の子供時代のあやかしの正体がついに明らかに。これは半ば予想通りで半ば予想外だったでしょうか。
乱丸が見抜いた銀次さんの気持ちにもぐっときました。そうだよねえ、なんにも思ってないにしては銀次さんは葵にあまりにも親身で絶対的な味方で甘やかしているから。本来の銀次さんはここまで誰にでも優しい博愛主義者じゃないだろうし。
しかし過去の事実が判明した今、どっちかというと大旦那様の方が恋に関しては優勢っぽいのが、皮肉というかなんというか。
私はどちらかというと大旦那様派なので応援したい気持ちでいっぱいなのですが、銀次さんも大好きなのでとても複雑。
まあ、当人の葵は、まだまだ本格的な恋には遠そうですけどね……。彼女は今のところ料理をしている時間が一番しあわせそう。
ひとまず、銀次さんと葵が天神屋に復帰するという結末を得られて、本当に良かったです。
折尾屋の面々、特に鶴の双子達とお別れなのは寂しいですけどね……。

次回は大旦那様がより活躍するようで、待ってました!とても楽しみ~♪


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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