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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『京洛の森のアリス』望月 麻衣 




幼いころに両親を亡くして、引き取り先の叔母の家でも身の置き所のないありす。
かつて両親と暮らしていた京都で舞妓修行に出ることを決意し、迎えの車に乗ったありすだが、老紳士に連れてこられた「京都」はどこか「不思議」な場所だった――。
人間の言葉を話す、カエルのハチスとウサギのナツメと共に、ありすは舞の修行に明け暮れつつ、京洛の森の謎に触れてゆく。


望月麻衣さんの新作のおはなし。
これまでの作者さんの作品とは少し雰囲気の違う、おとぎばなし風味ファンタジーな一冊でした。
とはいえありすが足を踏み入れた「京洛の森」は京都の別世界バージョンという感じで、現実世界の京都ネタも読んでいてちゃんと楽しめるのが、作者さんの作品らしいです。
現代の京都要素にプラスして、昔の京都を思わせる設定もそこかしこにあったりして、日本史ネタ的にも楽しめました。

薄幸の少女が異世界に招き寄せられ、自分自身の力で頑張って、周囲の協力を得つつ成長して自らの居場所を作り上げていく、私の大好きな王道パターンのストーリー。
なによりヒロインのありすが、頑張り屋で健気でどんなときでも人へのやさしさを忘れない、実に私好みの女の子で、とっても楽しめました♪
「京洛の森」というオリジナルの作品世界がかなり独特のルールのもと成り立っているのですが、作品世界の説明に読んでいて引っかかることがほとんどなく、すらすらとても読みやすいファンタジー作品だったように思います。
ひねりはききつつシンプルで王道なストーリー、魅力的で力のあるキャラクター。文庫本としてはあっさりしたページ数に過不足なく収まっていて手に取りやすく読みやすい、ぐいぐい引っ張られ楽しんで読みすすめることができる。作者さんの持ち味がよく出ていて素敵だなと思いました。
……なんというか、「ありす」という名の読書好きの少女が、ウサギとカエルをお供に、異世界に冒険の旅に出る!!というシンプルなあらすじが、メルヘンでファンタジックでとっても良いのです。乙女の夢です(笑)。

本当にありすの身の上はつらくて(長いおさげ髪の由来がやりきれない)そして京洛の森にやってきてすぐのころは努力が空回りしていて、読んでいて胸が痛かったのですが、ナツメやハチスたち、紅葉屋の師匠や橘たち、いいひとたちに囲まれ支えられていて、読んでいて次第次第に心があたたかくなりました。
京洛の森のシステムは、おとぎばなしの楽園のようでもあり、めちゃくちゃシビアで怖い世界のようでもあり。
上手く波に乗れるとすいすい良い方向へゆけるけれど、一つ間違えれば落とし穴にはまってしまいそうというか。
ありすの中に心から好きなものがちゃんと存在していて、それをたつきに次第にこの世界で認められ人を笑顔にしてゆけるようになって、本当によかったな~と心がしみじみ満たされました。
読書好き人間なもので、そのたつきが「本」であったところも、やはりうれしく思うのですよ。
紅葉や橘や牡丹さんみたいに舞を生業にしている女性たちの姿も素敵でした。彼女たちにもまたそれぞれの事情が裏にあるんだろうな。

おとぎばなしといえばやはり王道は、格好いい王子様に見初められて恋に落ちる、という。
王大使殿下の巡業にはしゃぎ憧れをつのらせるお嬢さんたちとか、現実の京都とファンタジー世界のほどよくロマンティックで堅苦しすぎないアレンジ具合がお見事です。
それにしてもありすの初恋の君はいったい何をしているんだ???と若干憤りを覚えつつ読んでいたのですが、そういうことかーーー!!!まったく気づきませんでした。名前も言われてみればこそで。
というか、もう結婚のことは確定で周囲も了承済なんですね。そうですよね、幼い日にしっかり約束してましたもんね(笑)。特殊なおうちの事情があるとはいえ、さりげなく外堀をすでに全部埋めている彼がちょっとかわいいです。
妹の菖蒲姫もお妃さまも従者のひとたちも気に入りました。

地図屋の亮平さんのエピソードも印象的でした。彼の手助けはとりわけ頼もしかった。奥さんのエピソードも印象的で、最後の彼女の助けにほろりと。バーベキューおいしそうでした。
あとありすの叔母さん一家についてもその後の便りがあってよかったです。

ところで庭春樹さんの表紙イラストが淡く繊細でにじみでるようなパステルカラーでとってもきれいでかわいらしくて、おとぎ話風味のファンタジー世界にとにかくぴったりで、表紙にぴんときたひとは読んでとにかく間違いない、と言い切れるのがいいですね(笑)。

不思議要素込みの和ものが好きな方、少女の異世界トリップものが好きな方、あとそんなにファンタジー得意じゃない……という方にも、おすすめできそうな一冊。
あと安定の京都に行きたくなる作品でした。


この一週間くらいのそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『わが家は祇園の拝み屋さん7 つながる想いと蛍火の誓い』望月 麻衣 




京都の護りの結界の補強に向けて、準備合宿をすることになった小春と澪人達チーム五人。
その夜異形のものに遭遇してしまい、澪人の力で事なきを得たものの、早く結界を張り直さないと京都に「魔」が入り込んでしまう。
一度目の「補強」の成功に続けて計画を進めていく中で、小春、そして澪人の兄の和人の側に影の気配が——。


『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ第七弾。
表紙イラストのふたりの良い表情と雰囲気まさにその通りの、これまでの伏線がすべて、すっときれいに収まった巻になりました。
ああ、よかった。小春ちゃんと澪人くん、本当に良かった~!!!
読後感がとても幸せで思わず涙ぐんでしまいました。
雪が凍り付く寒い夜に、心があたたかくほこほこぬくもってきて、何といえばいいのかしら、まるで祇園の吉乃さん達のおうちの団欒の席に私も実際に混ぜてもらっているような。

改めて友風子さんの表紙イラストは毎回秀逸で、特に澪人さんのうるわしさ、色気のある格好良さ、それでいて凛ときりりとした雰囲気、涼やかな目、もはや友風子さんのイラスト抜きには成立しえない(私の中で)。
墨染の着物が本当に映えていらっしゃる。あざとくて素敵です(笑)。
あと小春ちゃんの幸せそうな笑顔の横顔がたまらないです!
蛍の淡い光も夏の夜の闇も、お話の雰囲気にとてもあっていて、優しくて可愛らしくてあたたかな雰囲気で、すてきですね。

あと、帯の「私を救ってくれた大好きな京都を守りたい——」というフレーズが、心に染み入りました。


ではネタバレ感想ご注意を~。(そして今回はあとがきネタバレ注意だそうです。)


サブタイトルの「つながる想い」、前世に「引きずられる」のではなく「受け継いでいく」というスタイルを主役ふたりが選択していて、ああ、ふたりらしいな、素敵だなと思いました。
無理のない自然な感じで登場人物がつねに前向きで未来を信じているところが、私がこのシリーズを好きな理由の一つ。
とはいえ、良く考えてみると、小春も澪人も、最初の頃と今の姿は、本当に変わったな~。とも思います。
前巻でようやく素直に生きようと腹をくくった澪人の雰囲気はぐっとやわらかく自然体になったし、小春ちゃんも本当に凛としたというか成長して素敵な女の子になりましたね。
前世を自分の中で受け入れて、そのうえで今をちゃんと頑張って生きている感じが伝わってきて、うん。

恋に素直に生きることにした澪人くん、なんだか本当に雰囲気変わって可愛らしくて、照れたり相手の気持ちに不安に揺れている様に、いちいちきゅんきゅんときめいてしかたがなかったです(笑)。
それでも「くそ真面目」なのは彼の本質なので……そこがしっかりしているからこそ安心してときめくことができるというか。もっと積極的になってもいいのにな~とか思いつつ、これ以上だと読んでいるこちらが恥ずかしすぎる~とかも思う訳で、心の中で葛藤が(笑)。
そして澪人さんの雰囲気が自然体になったと同時に、彼の京都ことばがぐっと優しく柔らかく響くようになった気がして、読んでいて心地よかったです。雅ですねえ。基本が丁寧口調のホームズさんとはまた別のはんなり艶っぽい色気が。
小春ちゃんはなんというか、恋に関しては動じなくなったな。という印象。澪人視点が多めだったからかもしれませんが。
和人さんとのデートの顛末がラスト近くまで引っ張られていたのもあって。読者の私も澪人さん同様やきもきしてしまいました。
というか、和人さんとのデートで小春ちゃんの中では自分の気持ちにひとつの決着がついて、この時点では心が決まっていた、ということだったんだろうな。とラストまで読んでから改めて思いました。

結界補強対策チームの合宿、チームの五人のやりとり、わいわい楽しそうで良かったです!!
深刻な状況を「不謹慎」ととらえることなく、「ワクワク楽しい気持ち」を肯定的に、実際のパワーとしてとらえる澪人さん達のスタンスが、とてもいいなあと思いました。
そうか、こんなにシンプルでいいんだ。現実世界でもこんな風に考えていきたいな。
いかにも学生さん達の合宿というエピソードの数々がいい。
五人とも程度の差があれ特殊な立場の学生さん達で、気心や事情を打ち明け合ったうえで素直にみんな楽しんでいる様が、可愛らしく微笑ましくいいものです。特に澪人さん良かったよね……(おばさんのような視点)
そして可愛いものには即反応するクールビューティー由里子先輩が至る所で可愛らしくって、これまたきゅんきゅんときめいてしまいました。ちゃんとみんなのお姉さん役なのも頼もしい。(朔也君の姉ちゃんみたいと指摘されて少し嬉しそうにしている場面とか本当にもう可愛らしい……!)
朔也君のちょっとチャラいところも、もう彼の個性として私も自然に受け入れられるようになってきました。
でも今回、彼の以前の行いのある意味報いとも思える出来事があって、彼がそこに自分自身できちんと落とし前をつけていった展開、良かったです。(由里子先輩の補助が格好よかったです!!)
あと自分できちんと考えて、コウメちゃんに謝りたいと思う、心根のまっすぐさも、見直しました。
朔也君と八雲さんの仲良し姉弟も好きだな。小春ちゃん達の家のごはんに誘われたもののふたりですたこら逃げ出した場面が微笑ましくて笑えました。ふふっ、皆普通じゃないんだな(笑)。
愛衣ちゃんも、そんな普通でないメンバーの中で大健闘です。
特に小春に悪意が向けられた場面での彼女の友情の頼もしさといったらなかったです。彼女の賢さとまっすぐな正しさが好き。

五人チームでの結界の補強、和人さんの危機を救いに駆け付けた澪人と小春ちゃんの戦い、おもてだったストーリー的にもかなり盛り上がりました。皆本当に頑張った!おつかれさま!!
安倍晴明のこと実は私もあまり基本的なこと分かっていなかったので今回とても勉強になりました。やっぱりすごいひとだったんだな~。
和人さんと澪人さんの危機的な状況での兄弟思いあう心に目頭があつくなりました。
玉椿の知識を得て澪人の助けとなる小春の立場も、とても自然で良かったです。いざというときの度胸!やっぱり恋する乙女は強くなりますね。
というか、最後にすべてを持っていったのは、宗次朗さんと杏奈さんでしたけどね!!
宗次朗さんはもう持っているオーラからすべてが格好いいというか、別格というか。今回色々納得してしまった。

宗次朗さんといえばやはり今回もおいしそうなお菓子がいっぱいでわくわくしました。
飴細工のドームに入ったアイスクリームって想像するだけで魔法みたいなデザートですねえ。
そしてやはり私はシリーズの最初の方に出てきたミニあゆが気になる。ふわふわもちもちのあゆ、絶対美味しい。

玉椿姫と左近衛大将の前世の清算の場面、そこからつながるふたりの場面、繰り返しですが良かったです。
ストレートに想いを告げる姿にぐっときました。
あとようやく和人さんの前世での役割が明らかに。
そういうことか!そういうことだったのね!!納得。
現世の和人さん自身の想いを考えるとちょっと切ないのですが、なんだか泣き笑いのような幸せな気分で満ちてきたのでした。
そして小春ちゃんが賀茂兄弟に対してちょっと強くなったなと感じるようになったのも、自分の中で納得。お母さんはつよい。

皆の前で小春との交際を宣言した澪人さんやるな~と思いつつ(個人的にここがいちばん「あざとい」と思った)、バージョンアップした(?)コウメちゃんのもふもふ可愛らしさが、最後まで最高でした。
というかコウメちゃんがずっと大事に守っていた秘密にびっくり仰天。由里子先輩とのご縁はもしかしてここつながり?
若宮君コウメちゃん達サイドの意味深な会話もありつつ。

本当にすべてがきれいに収まってこれで完結といっても良いかと思うような七巻目でしたが、どうやら続きが読めるようで、わあ、嬉しい♪
またこのメンバーが元気で色々頑張っている姿を見守っていけるのを楽しみにしています。

書店応援特典のペーパーも『寺町三条のホームズ』とのコラボでお得感いっぱいで楽しかったです。
こちらのシリーズの新刊もとっても楽しみです~。


一昨日昨日と記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁』望月 麻衣 




高校2年生に進級した小春。
京都で不穏な事件が続発する中、事態を重く見た澪人は、小春や朔也達と対策チームを結成し、かつて京都にはりめぐらされた護りの結界を補修しようとする。
一方小春は胸にわだかまる「後悔」の理由を解き明かすため、自らの前世をすべて知ろうとするが——。


『拝み屋さん』シリーズも六巻目。
『ホームズ』シリーズ八巻目を読んで間もないうちにこちらのシリーズも新刊が読めるなんて、とても贅沢ですねえ。
作者さんは刊行ペースが安定してお早くて、読者としては嬉しいです。

ふんわりはんなり女の子らしい和風ファンタジーで、本のボリュームも薄めで、構えずに気楽に読めるのが、このシリーズの魅力のひとつだと個人的には思ってます。
とても読みやすいのですが中身は色々つまっていて読み足りないということもなく充実感ありますし。
今回は特に前世のエピソード&前世から現在にまでつながるロマンスのエピソードがだいぶ明らかになって、盛り上がりもあって、とても面白く読むことができました。
切なさとときめき感満載。
あと平安時代ネタも堅苦しくない程度に描写があって、京都の雅な描写や京都弁も品よく安定していて、こちらもまた楽しい。

友風子さんの表紙が毎回まずとても楽しみなのですが、今回は十二単。美しい……眼福です。
着物の色目と鈴と猫と合わさって素敵です。

さてようやくすべてが繋がった玉椿姫の前世エピソード。
左近衛少将と夫婦になってからの彼女の心の変化と二人の結末が、とても切なく苦かった。
これは確かにふたりとも辛い。ふたりが悪いという訳ではなく、もうめぐりあわせが上手くいかなかったのだとしか……。
特に玉椿姫の後悔が胸にじくじく迫ってきて辛かったです。
水晶をにごらせずに生きるって、ものすごく難しい、のだと思う。
そしてこんな状況でも、ふたりとも相手を恨まずに自分の中に後悔を抱え込んで苦しんでいるので、いじましい。(特に左近衛少将)
玉椿姫のお誕生日を祝えて良かった、というのが、現世での小春のお誕生日祝いの場面にも重なりあわさって、よけいにぐっときました。

同時に少将の前世の記憶もちの澪人さんの本心、小春の告白を拒絶した理由も、ようやく繋がりました。
そういう意味で身を引いていたのか……はたから見ているとじれったいったらないですが、辛い。
小春のお誕生日会や宗次朗さんとの会話とかでもうだいぶ澪人の本心は透けて見えてきてましたが(ふふふ、結局のところ彼もまだ成人したばかりの若者なんですよねえ。私から見ると微笑ましい)、なんといってもラスト近くの和人お兄さんの場面がとても良かった。
和人さんの弟への愛情に読んでいて涙ぐみました。
ようやく引き出された澪人さんのストレートな本音にぐっときつつ。
バイクの二人乗りのエピソードといい、賀茂家の三姉弟の仲の良さが私はしみじみお気に入りです。

ふたり以外に目を向けると、クールビューティー由里子さんが内にとても可愛らしい面を持ってらして、和みました。
コウメちゃんほんとうにかわいいですよね!
愛衣ちゃんと小春の友情もやはりいい。朔也くんがなんだかんだいってよき仲間に落ち着いたようでそこもほっとしました。(澪人さんの複雑な心境が……またうっかりときめいてしまった。笑)
京都に迫る危機の正体、確かにそういうこともあるんだろうな、と。
澪人さん結成のチーム、にわかごしらえと言えばそうかもしれないけれど、配役も理屈もきっちり考えられていてさすがだと思いました。

同時に進行していく小春と和人さんのデート。
物凄く気になるところで物語が終わってもだえました。はやく、続きを!!!

そうそう、杏奈さんあれから元気で活躍しているようで、ほっとしました。
宗次朗さんの愛情の形がとても格好いい。
吉乃さんと宗次朗さんの親子の遠慮ないやりとりもあいかわらず和みます~。

あいかわらず和菓子も影の主役を張っていると言っていいくらい、おいしそう。
やっぱりサブタイトルにもなっている小鈴の落雁がとても斬新でおいしそうです。
涙して水色のくずきりを食べる場面も印象的でした。
志津屋のカルネも小倉山荘のおせんべいも吉乃さんのすきやきも誕生日の抹茶ケーキもみんなおいしそう。


もうすぐ発売の望月麻衣さんの新作もとても楽しみです♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ8 見習い鑑定士の奮闘』望月 麻衣 




高校を卒業して無事に京都府立大に合格した葵。
清貴も京大大学院を修了し、ようやく二人の仲も縮まるかも、という矢先、なんと清貴はオーナーの意向で、社会勉強のために京都の街の外に修行に出る生活になってしまう。
最初の修行先は、八幡市にある松花堂美術館。
親友の香織と一緒にこっそり清貴の様子を見に出かけた葵だったが、そこで思わぬ事件が待ち受けていて——。


待望の『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新刊!!わーい、嬉しすぎる~!!
刊行ペースが安定してお早いのでファンとしてはとてもありがたく幸せです。
そして今回からは、葵ちゃん大学生&清貴君社会人編スタートです!
まずは表紙イラストの大人っぽくきれいになった葵ちゃんに撃沈……上手く帯で隠れていますが、シックなスカートからのぞくおみ足が美しいです(笑)。
(けして短いわけではなく上品でつつましいスカート丈と葵ちゃんの姿勢であるところがミソだと思う)
ホームズさんの方はこちらは安定してネクタイ姿が決まってます。前巻に引き続き自分の彼女の美しさにふふんと得意げな感じ(笑)。
そしてこれも毎度のことながら、ふたりの背景の石清水八幡宮(ですよね?)のイラストの完成度も高くてうなってしまいます。
青空に赤と緑が映えていて爽やかで素敵。
事前に情報を得ていた通り、登場人物紹介の葵ちゃんも、大学進学にあわせて大人っぽくきれいになっていて、どきどきしました。

さて今回の各エピソード、私は一応エブリスタ版の方ですべて既読だったり。
ですがこのシリーズは、書籍版になるとエブリスタ版のエピソードの順番が入れ代わり加筆修正もしっかり入り本としての完成度は格段にアップするので、読み比べるのがまた二重に楽しいんですよねえ。
清貴君と葵ちゃんの関係性も全然違うので、読んでいて新鮮!清貴君の初々しさの微笑ましいこと。

修行に出てもまあ予想通りというか、清貴君はどこで何をやらせてもそつなくスマートなのですが、葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるほどめろめろで気弱で、ギャップにますます磨きがかっているかんじがしました(笑)。
葵ちゃんはやっぱり安定して可愛くて努力家で大好きだし、あと今回は彼女の親友の香織ちゃんの出番が多くて何気にとても嬉しかったです。

各話ごとにネタばれありの感想を~。


『プロローグ』
オーナーの突然の「命令」には私もとてもびっくり&離れ離れになる二人に残念な気持ちになりましたが、確かに一理ある。
葵ちゃんよりも清貴君の方が離れ離れになることにダメージを受けているようで、悪いのだけれどなんだかちょっとおかしいというか(笑)。でも確かに、大学に入り世界が格段に広がるに違いない彼女のそばにいられないのが不安な気持ちもとても分かる。
そしてかつて実際に遠距離恋愛に失敗したことがある葵ちゃんの若干の不安が杞憂で終わりますように!いや、ほんとに。

『一生に一度は』
恥ずかしながら松花堂昭乗のことも石清水八幡宮のこともほとんど知らなかったもので、勉強させていただけて良かったです。(ホームズさんの講演はさすがの分かりやすさ)
石清水八幡宮って、はるか昔国語の教科書に出てきた仁和寺のお坊さんのお話のあれか!なるほど!(ようやくつながった)
竜宮城のイメージとは素敵。松花堂美術館のお庭や学芸員さん達の仕事ぶり、葵ちゃんと香織ちゃんが乗っていたプレミアムカー、相変わらずしっかりていねいに描きこまれていて、またひとつ京都でぜひとも行ってみたいところが増えました。あ、松花堂弁当ももちろん食べてみたい。
こっそり様子見に来ていたつもりだった葵ちゃんに一目散に向かっていき嬉しさにはしゃいでいる清貴君のギャップに、周囲が呆然となっている場面のおかしいこと!(笑)まあ考えてみれば変装くらいで彼の目が葵ちゃんの姿を逃すはずもないか……。
そして小日向さんのずけずけ加減と彼の失礼さにぷりぷりしている香織ちゃん、あのあたりの会話も好きでした。
書籍版になって秋人さんの出番が増えてる!ホームズさんと秋人さんの(自称)親友同士の男子トークも笑えました。
過去のことを話したら葵ちゃんに嫌われるかも……としおしお弱気なホームズさんにさくっと突っ込む秋人さんが見事でした。
(でも葵ちゃんが本当に素晴らしい女性であることは全面的に同意します。この歳でこんなに素敵な女の子はそうそういない)

『小さなホームズ』
上田さん視点の過去話。
オーナーと店長に加えて、上田さんは清貴君の「三人目のお父さん」ポジションだったんだなあと、胸があつくなりました。
大人びてませていて幼くして天才だったホームズさんを無邪気な子供に戻してあげられた上田さんって何気にとてもすごい。
個人的に作家になったばかりの店長が清貴君の鑑定眼に助けられそこにどうしようもない嫉妬を込めていた場面が印象的でした。まだ店長も今より若かったんだな。そして上田さんは確かに店長の友人だったんだな。
そして現在に戻って、清貴君と葵ちゃんに二人きりの場をさりげに提供して去っていた上田さんの気配りが絶妙でした。

『聖母の涙』
炊き込みご飯とポテトコロッケのエピソードがようやく!(笑)
クリスマスに教会にゴスペルに、離れ離れだった恋人たちの巻の最後を締めくくるにふさわしいエピソードがここに入ってくるとはお上手です。
清貴君の修行先はニューヨークも!そこでも重宝がられている彼がやっぱりすごい。
「ともにクリスマスを過ごしたい人がいますので」とさらりと言える清貴君にもときめきました。
マリア様の血の涙とはなんてぶっそうな、と思いましたが、特別な意味があるものだったんですね。
本当に「雨降って地固まる」な事件の着地でほっとしました。ジンギスカンか、なるほど。何気に江川さんのあっけらかんとした明るさが皆の救いだったんじゃないかなとか思いました。
ここにきての清貴君の過去の告白。
真実よりも葵ちゃんの想像の清貴君の方が何気にひどくってちょっと笑えました。
そして葵ちゃんの方の過去の懺悔がここで語られたのも良い感じだったと思います。
自分が犯した失敗も隠さず告白してすべてお互い受け止めあえる清貴君と葵ちゃんは本当にベストカップルだなあ。
単純にラブラブというよりは、精神面でぐっと二人の結びつきが深まったような、素敵な聖夜のエピソードでした。
自転車のリメイクと指輪のプレゼントがどちらもホームズさんらしい。(しかしクリスマスのプレゼントがいらないと言われたホームズさん内心ショックだっただろうな。苦笑)
あとホームズさんのお土産のファットウィッチベーカリーのブラウニー食べてみたい!ネットで調べてみたらとても可愛らしい包装のブラウニーですね。

『宮下香織の困惑』
ええっ、香織ちゃん、そっちにいくのか!
そっちの道は正直かなり厳しいような……。
と、エブリスタ版で読んだときに、思わず声に出して叫んでしまった(笑)。
精神年齢が高い香織ちゃんが店長に惹かれる気持ちは分からないでもないですからねえ。ううむ。
小日向さんもきっといい人なのでしょうが、現時点では香織ちゃんにふさわしい人か、つかみ切れていないからな~。(←なんて上から目線な私)

『エピローグ』
今回は円生が全く出てこないと思っていたら、締めは彼が主役をさらっていってしまった(笑)。
ホームズさんと円生のライバル同士のやりとりは、真剣にぴりぴり緊張感が漂ってきて、うん、怖いです。
しかし格好いいな円生。これから同じ土俵に立つがゆえに一層ホームズさんの手強いライバルになってゆきそう。
ライバルと言えば、ニューヨークで再会した史郎さんも、あのひと円生以上に不気味だな……。どう転がっていくのやら。

今回もとても楽しく読みました。満足♪
続きが今から待ちきれないです。
欲を言えば、葵ちゃん自身が今までより成長し活躍する見せ場があるお話を、もっと読みたいかなあ。
そして葵ちゃんと香織ちゃんのキャンパスライフをもっとたくさん読んでみたい。(植物園のカフェも気になりました)
あと上田さんエピソードが出てきたので今度は美恵子さんのエピソードも読んでみたいな。
十月に発売されるという新作も、あともうすぐ発売の拝み屋さんの新刊も、楽しみです♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

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『京都寺町三条のホームズシリーズ』巡りの記録 

はい。
というわけで、『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの地を巡る一日観光の、簡単な記録です。
追記より。
スマートフォンの写真をブログに反映させるのにようやく成功したので画像付きです。
かばんの中にはシリーズ6.5巻『ホームズと歩く京都』&読みかけの『わが家は祇園の拝み屋さん』の最新刊。
高速バスを利用しての日帰りのおでかけ。
雨が心配でしたが、現地はいいお天気でほっとしました。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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『わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢』望月 麻衣 




突然自分の特殊な力を失ってしまった小春。
その喪失感に加え、想いを寄せていた澪人との関係もぎくしゃくしてしまい、落ち込む日々。
そんな中、モデルとして活躍する澪人の姉・杏奈のスキャンダル報道が流れる。
小春たちは事実無根の内容に憤るが、世間の風当たりは強くて——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さんのもう一つの京都ものシリーズ『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ、最新巻。
ホームズさんシリーズとはまたテイストが違って、女の子らしいはんなり和風ファンタジー小説、こちらも大好き~!!
なんだかもう、表紙イラストがまず美しく可愛らしくて世界観ぴったりで、眺めているだけでうっとり幸せに浸れます。
『桜月夜と梅花の夢』というサブタイトルと相まって、春らしく淡いピンクで桜の花も美しく、小春が着ている服のレースも和菓子もコウメちゃんも、とにかくみんな可愛らしい!大好き!(語彙力が足りない)

このシリーズ、平安時代ものネタ&前世ネタなどもがっつりストーリーに加わってきて、個人的にますます美味しくなってきています(笑)。
過去と現代、それぞれのロマンスが複雑に絡まり合ってきていて、しっとり切なくて、同時にときめいて仕方がないです。
京言葉はみやびで読みやすく優しい文章もいいし、和菓子も相変わらずおいしそう。

前巻のラストで一気に突き落とされて、どうなることかと心配していたのですが。
二重に落ち込みつつも、きちんと自分の気持ちに折り合いをつけて、しゃんと生活している小春ちゃんは、強いなあ。しみじみ感心してしまいました。
吉乃さんと宗次朗さんのさりげない見守りの態度があたたかくて本当に素敵。じんわりきました。

杏奈さんのスキャンダル騒動、一旦あんなに喜んだのにまた叩き落されて辛かったけれど、こちらもまた、彼女の身内の人々の見守る態度があたたかくて、それぞれが適切な距離感で手助けし助言をしていて、素敵だなと。
杏奈さん家の三姉弟のきょうだい関係がなんだか好きだなと思いました。お母さまも出てきて、彼女にも事情がありそうですね。
宗次朗さんの懐深さにしびれました。そして最終的に彼女を追っかけていった宗次朗さんの本心を思うとときめきますね!このふたりは一体どういう風に落ち着くのかなあ。
杏奈さんはあの表裏のギャップが、危うい一方、とても魅力的なひとだなと思います。今回一皮むけたようで、これから強かにいい女に頑張ってほしいなと思いました。

はてさて、前巻から謎だった澪人の胸の内、左近衛大将視点での過去語りもあり、少しは見えてきたかな。
玉椿姫の想いの結末も切なかったけれど、愛する姫を知らず不幸にしてしまったと悔やむ左近衛大将の恋も本当に切ない……胸がぎゅっと痛みました。
若宮の過去のあの発言の真意も語られ、ああ、彼は人ではない「神様」なんだなあ。と。
若宮君が悪いわけではないんだけれど、でも、玉椿も左近衛大将も報われないなあ……。思いを持てあます。
それにしても分からないのが澪人と和人の前世&現世の関係。頭の中にはてなマークがいっぱい(笑)。
和人と小春がやりとりしていたのを誤解した澪人が、小春にあんなに強い勢いであたったのは、どういうことなんだろう。
(ちなみにあのやりとりの後できちんと謝罪する澪人とそれを受け止める小春のふたりが、なんというかきっちり誠実に相手と自分自身の心に向き合っていて、とても好きだなと思いました……そういう意味でもこのふたり、お似合いだと思うんですよねえ。)
前世からつながっている皆の想いが複雑に絡まり合っていてすぐにはほぐれなさそうな感じが、なんか、辛いですね。

小春の力はやっぱり封印でしたか……。
三善君側の事情も分かってみるとこちらも辛い。でも和解できたようでちょっとほっとしました。
力を失っていた小春が、コウメちゃんからの伝言を受け取る場面が、この巻の中で一番お気に入りだったかも。小春ちゃんをひたむきに慕い見守るコウメちゃんのいじましさに心が洗われる思いでした。
安倍さんの不器用なほどのきっちり誠実なたたずまいも、好感が持てる。
あと小春に愛衣ちゃんという親友がいて、本当に良かったな!と色々な場面で実感しました。
占星術のレクチャーは興味深かったです。私もちょっと本読んでみようかな。

ラストあたりの小春と澪人のやりとりは独特の緊張感とときめきが。どきどきしました。
ふたりのぎこちなさがこの巻でだいぶ修復されてきて心の距離もまた縮んだようで良かったです。
なんとか上手くいくとよいのですけれど。
あと若宮君の発言の意味も気がかり。今度は何が起こるんだろう。

ところでこの最新刊を読んでいたのが、実は、京都への日帰りお出かけの高速バスの中。だったりしたのでした。
先月末、かねてから実行したくて仕方がなかった『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの場所めぐり、ついに行ってきたのです!!
当初はこの記事のあとにくっつけようとしていたのですが、見辛いので、やっぱり記事をわけることにしました。

なんというか、この『拝み屋さん』シリーズはやっぱり祇園の町の雰囲気で、『寺町三条』シリーズの雰囲気は、寺町三条のアーケード通りだなあ。と実際に行ってみて感じました。
本で読んでいたのみの世界に実際に行ってみると、物語が自分の中ではっきりと「生きる」感じがして、なんか、楽しいものですね。

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