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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁』望月 麻衣 




高校2年生に進級した小春。
京都で不穏な事件が続発する中、事態を重く見た澪人は、小春や朔也達と対策チームを結成し、かつて京都にはりめぐらされた護りの結界を補修しようとする。
一方小春は胸にわだかまる「後悔」の理由を解き明かすため、自らの前世をすべて知ろうとするが——。


『拝み屋さん』シリーズも六巻目。
『ホームズ』シリーズ八巻目を読んで間もないうちにこちらのシリーズも新刊が読めるなんて、とても贅沢ですねえ。
作者さんは刊行ペースが安定してお早くて、読者としては嬉しいです。

ふんわりはんなり女の子らしい和風ファンタジーで、本のボリュームも薄めで、構えずに気楽に読めるのが、このシリーズの魅力のひとつだと個人的には思ってます。
とても読みやすいのですが中身は色々つまっていて読み足りないということもなく充実感ありますし。
今回は特に前世のエピソード&前世から現在にまでつながるロマンスのエピソードがだいぶ明らかになって、盛り上がりもあって、とても面白く読むことができました。
切なさとときめき感満載。
あと平安時代ネタも堅苦しくない程度に描写があって、京都の雅な描写や京都弁も品よく安定していて、こちらもまた楽しい。

友風子さんの表紙が毎回まずとても楽しみなのですが、今回は十二単。美しい……眼福です。
着物の色目と鈴と猫と合わさって素敵です。

さてようやくすべてが繋がった玉椿姫の前世エピソード。
左近衛少将と夫婦になってからの彼女の心の変化と二人の結末が、とても切なく苦かった。
これは確かにふたりとも辛い。ふたりが悪いという訳ではなく、もうめぐりあわせが上手くいかなかったのだとしか……。
特に玉椿姫の後悔が胸にじくじく迫ってきて辛かったです。
水晶をにごらせずに生きるって、ものすごく難しい、のだと思う。
そしてこんな状況でも、ふたりとも相手を恨まずに自分の中に後悔を抱え込んで苦しんでいるので、いじましい。(特に左近衛少将)
玉椿姫のお誕生日を祝えて良かった、というのが、現世での小春のお誕生日祝いの場面にも重なりあわさって、よけいにぐっときました。

同時に少将の前世の記憶もちの澪人さんの本心、小春の告白を拒絶した理由も、ようやく繋がりました。
そういう意味で身を引いていたのか……はたから見ているとじれったいったらないですが、辛い。
小春のお誕生日会や宗次朗さんとの会話とかでもうだいぶ澪人の本心は透けて見えてきてましたが(ふふふ、結局のところ彼もまだ成人したばかりの若者なんですよねえ。私から見ると微笑ましい)、なんといってもラスト近くの和人お兄さんの場面がとても良かった。
和人さんの弟への愛情に読んでいて涙ぐみました。
ようやく引き出された澪人さんのストレートな本音にぐっときつつ。
バイクの二人乗りのエピソードといい、賀茂家の三姉弟の仲の良さが私はしみじみお気に入りです。

ふたり以外に目を向けると、クールビューティー由里子さんが内にとても可愛らしい面を持ってらして、和みました。
コウメちゃんほんとうにかわいいですよね!
愛衣ちゃんと小春の友情もやはりいい。朔也くんがなんだかんだいってよき仲間に落ち着いたようでそこもほっとしました。(澪人さんの複雑な心境が……またうっかりときめいてしまった。笑)
京都に迫る危機の正体、確かにそういうこともあるんだろうな、と。
澪人さん結成のチーム、にわかごしらえと言えばそうかもしれないけれど、配役も理屈もきっちり考えられていてさすがだと思いました。

同時に進行していく小春と和人さんのデート。
物凄く気になるところで物語が終わってもだえました。はやく、続きを!!!

そうそう、杏奈さんあれから元気で活躍しているようで、ほっとしました。
宗次朗さんの愛情の形がとても格好いい。
吉乃さんと宗次朗さんの親子の遠慮ないやりとりもあいかわらず和みます~。

あいかわらず和菓子も影の主役を張っていると言っていいくらい、おいしそう。
やっぱりサブタイトルにもなっている小鈴の落雁がとても斬新でおいしそうです。
涙して水色のくずきりを食べる場面も印象的でした。
志津屋のカルネも小倉山荘のおせんべいも吉乃さんのすきやきも誕生日の抹茶ケーキもみんなおいしそう。


もうすぐ発売の望月麻衣さんの新作もとても楽しみです♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ8 見習い鑑定士の奮闘』望月 麻衣 




高校を卒業して無事に京都府立大に合格した葵。
清貴も京大大学院を修了し、ようやく二人の仲も縮まるかも、という矢先、なんと清貴はオーナーの意向で、社会勉強のために京都の街の外に修行に出る生活になってしまう。
最初の修行先は、八幡市にある松花堂美術館。
親友の香織と一緒にこっそり清貴の様子を見に出かけた葵だったが、そこで思わぬ事件が待ち受けていて——。


待望の『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新刊!!わーい、嬉しすぎる~!!
刊行ペースが安定してお早いのでファンとしてはとてもありがたく幸せです。
そして今回からは、葵ちゃん大学生&清貴君社会人編スタートです!
まずは表紙イラストの大人っぽくきれいになった葵ちゃんに撃沈……上手く帯で隠れていますが、シックなスカートからのぞくおみ足が美しいです(笑)。
(けして短いわけではなく上品でつつましいスカート丈と葵ちゃんの姿勢であるところがミソだと思う)
ホームズさんの方はこちらは安定してネクタイ姿が決まってます。前巻に引き続き自分の彼女の美しさにふふんと得意げな感じ(笑)。
そしてこれも毎度のことながら、ふたりの背景の石清水八幡宮(ですよね?)のイラストの完成度も高くてうなってしまいます。
青空に赤と緑が映えていて爽やかで素敵。
事前に情報を得ていた通り、登場人物紹介の葵ちゃんも、大学進学にあわせて大人っぽくきれいになっていて、どきどきしました。

さて今回の各エピソード、私は一応エブリスタ版の方ですべて既読だったり。
ですがこのシリーズは、書籍版になるとエブリスタ版のエピソードの順番が入れ代わり加筆修正もしっかり入り本としての完成度は格段にアップするので、読み比べるのがまた二重に楽しいんですよねえ。
清貴君と葵ちゃんの関係性も全然違うので、読んでいて新鮮!清貴君の初々しさの微笑ましいこと。

修行に出てもまあ予想通りというか、清貴君はどこで何をやらせてもそつなくスマートなのですが、葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるほどめろめろで気弱で、ギャップにますます磨きがかっているかんじがしました(笑)。
葵ちゃんはやっぱり安定して可愛くて努力家で大好きだし、あと今回は彼女の親友の香織ちゃんの出番が多くて何気にとても嬉しかったです。

各話ごとにネタばれありの感想を~。


『プロローグ』
オーナーの突然の「命令」には私もとてもびっくり&離れ離れになる二人に残念な気持ちになりましたが、確かに一理ある。
葵ちゃんよりも清貴君の方が離れ離れになることにダメージを受けているようで、悪いのだけれどなんだかちょっとおかしいというか(笑)。でも確かに、大学に入り世界が格段に広がるに違いない彼女のそばにいられないのが不安な気持ちもとても分かる。
そしてかつて実際に遠距離恋愛に失敗したことがある葵ちゃんの若干の不安が杞憂で終わりますように!いや、ほんとに。

『一生に一度は』
恥ずかしながら松花堂昭乗のことも石清水八幡宮のこともほとんど知らなかったもので、勉強させていただけて良かったです。(ホームズさんの講演はさすがの分かりやすさ)
石清水八幡宮って、はるか昔国語の教科書に出てきた仁和寺のお坊さんのお話のあれか!なるほど!(ようやくつながった)
竜宮城のイメージとは素敵。松花堂美術館のお庭や学芸員さん達の仕事ぶり、葵ちゃんと香織ちゃんが乗っていたプレミアムカー、相変わらずしっかりていねいに描きこまれていて、またひとつ京都でぜひとも行ってみたいところが増えました。あ、松花堂弁当ももちろん食べてみたい。
こっそり様子見に来ていたつもりだった葵ちゃんに一目散に向かっていき嬉しさにはしゃいでいる清貴君のギャップに、周囲が呆然となっている場面のおかしいこと!(笑)まあ考えてみれば変装くらいで彼の目が葵ちゃんの姿を逃すはずもないか……。
そして小日向さんのずけずけ加減と彼の失礼さにぷりぷりしている香織ちゃん、あのあたりの会話も好きでした。
書籍版になって秋人さんの出番が増えてる!ホームズさんと秋人さんの(自称)親友同士の男子トークも笑えました。
過去のことを話したら葵ちゃんに嫌われるかも……としおしお弱気なホームズさんにさくっと突っ込む秋人さんが見事でした。
(でも葵ちゃんが本当に素晴らしい女性であることは全面的に同意します。この歳でこんなに素敵な女の子はそうそういない)

『小さなホームズ』
上田さん視点の過去話。
オーナーと店長に加えて、上田さんは清貴君の「三人目のお父さん」ポジションだったんだなあと、胸があつくなりました。
大人びてませていて幼くして天才だったホームズさんを無邪気な子供に戻してあげられた上田さんって何気にとてもすごい。
個人的に作家になったばかりの店長が清貴君の鑑定眼に助けられそこにどうしようもない嫉妬を込めていた場面が印象的でした。まだ店長も今より若かったんだな。そして上田さんは確かに店長の友人だったんだな。
そして現在に戻って、清貴君と葵ちゃんに二人きりの場をさりげに提供して去っていた上田さんの気配りが絶妙でした。

『聖母の涙』
炊き込みご飯とポテトコロッケのエピソードがようやく!(笑)
クリスマスに教会にゴスペルに、離れ離れだった恋人たちの巻の最後を締めくくるにふさわしいエピソードがここに入ってくるとはお上手です。
清貴君の修行先はニューヨークも!そこでも重宝がられている彼がやっぱりすごい。
「ともにクリスマスを過ごしたい人がいますので」とさらりと言える清貴君にもときめきました。
マリア様の血の涙とはなんてぶっそうな、と思いましたが、特別な意味があるものだったんですね。
本当に「雨降って地固まる」な事件の着地でほっとしました。ジンギスカンか、なるほど。何気に江川さんのあっけらかんとした明るさが皆の救いだったんじゃないかなとか思いました。
ここにきての清貴君の過去の告白。
真実よりも葵ちゃんの想像の清貴君の方が何気にひどくってちょっと笑えました。
そして葵ちゃんの方の過去の懺悔がここで語られたのも良い感じだったと思います。
自分が犯した失敗も隠さず告白してすべてお互い受け止めあえる清貴君と葵ちゃんは本当にベストカップルだなあ。
単純にラブラブというよりは、精神面でぐっと二人の結びつきが深まったような、素敵な聖夜のエピソードでした。
自転車のリメイクと指輪のプレゼントがどちらもホームズさんらしい。(しかしクリスマスのプレゼントがいらないと言われたホームズさん内心ショックだっただろうな。苦笑)
あとホームズさんのお土産のファットウィッチベーカリーのブラウニー食べてみたい!ネットで調べてみたらとても可愛らしい包装のブラウニーですね。

『宮下香織の困惑』
ええっ、香織ちゃん、そっちにいくのか!
そっちの道は正直かなり厳しいような……。
と、エブリスタ版で読んだときに、思わず声に出して叫んでしまった(笑)。
精神年齢が高い香織ちゃんが店長に惹かれる気持ちは分からないでもないですからねえ。ううむ。
小日向さんもきっといい人なのでしょうが、現時点では香織ちゃんにふさわしい人か、つかみ切れていないからな~。(←なんて上から目線な私)

『エピローグ』
今回は円生が全く出てこないと思っていたら、締めは彼が主役をさらっていってしまった(笑)。
ホームズさんと円生のライバル同士のやりとりは、真剣にぴりぴり緊張感が漂ってきて、うん、怖いです。
しかし格好いいな円生。これから同じ土俵に立つがゆえに一層ホームズさんの手強いライバルになってゆきそう。
ライバルと言えば、ニューヨークで再会した史郎さんも、あのひと円生以上に不気味だな……。どう転がっていくのやら。

今回もとても楽しく読みました。満足♪
続きが今から待ちきれないです。
欲を言えば、葵ちゃん自身が今までより成長し活躍する見せ場があるお話を、もっと読みたいかなあ。
そして葵ちゃんと香織ちゃんのキャンパスライフをもっとたくさん読んでみたい。(植物園のカフェも気になりました)
あと上田さんエピソードが出てきたので今度は美恵子さんのエピソードも読んでみたいな。
十月に発売されるという新作も、あともうすぐ発売の拝み屋さんの新刊も、楽しみです♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズシリーズ』巡りの記録 

はい。
というわけで、『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの地を巡る一日観光の、簡単な記録です。
追記より。
スマートフォンの写真をブログに反映させるのにようやく成功したので画像付きです。
かばんの中にはシリーズ6.5巻『ホームズと歩く京都』&読みかけの『わが家は祇園の拝み屋さん』の最新刊。
高速バスを利用しての日帰りのおでかけ。
雨が心配でしたが、現地はいいお天気でほっとしました。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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『わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢』望月 麻衣 




突然自分の特殊な力を失ってしまった小春。
その喪失感に加え、想いを寄せていた澪人との関係もぎくしゃくしてしまい、落ち込む日々。
そんな中、モデルとして活躍する澪人の姉・杏奈のスキャンダル報道が流れる。
小春たちは事実無根の内容に憤るが、世間の風当たりは強くて——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さんのもう一つの京都ものシリーズ『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ、最新巻。
ホームズさんシリーズとはまたテイストが違って、女の子らしいはんなり和風ファンタジー小説、こちらも大好き~!!
なんだかもう、表紙イラストがまず美しく可愛らしくて世界観ぴったりで、眺めているだけでうっとり幸せに浸れます。
『桜月夜と梅花の夢』というサブタイトルと相まって、春らしく淡いピンクで桜の花も美しく、小春が着ている服のレースも和菓子もコウメちゃんも、とにかくみんな可愛らしい!大好き!(語彙力が足りない)

このシリーズ、平安時代ものネタ&前世ネタなどもがっつりストーリーに加わってきて、個人的にますます美味しくなってきています(笑)。
過去と現代、それぞれのロマンスが複雑に絡まり合ってきていて、しっとり切なくて、同時にときめいて仕方がないです。
京言葉はみやびで読みやすく優しい文章もいいし、和菓子も相変わらずおいしそう。

前巻のラストで一気に突き落とされて、どうなることかと心配していたのですが。
二重に落ち込みつつも、きちんと自分の気持ちに折り合いをつけて、しゃんと生活している小春ちゃんは、強いなあ。しみじみ感心してしまいました。
吉乃さんと宗次朗さんのさりげない見守りの態度があたたかくて本当に素敵。じんわりきました。

杏奈さんのスキャンダル騒動、一旦あんなに喜んだのにまた叩き落されて辛かったけれど、こちらもまた、彼女の身内の人々の見守る態度があたたかくて、それぞれが適切な距離感で手助けし助言をしていて、素敵だなと。
杏奈さん家の三姉弟のきょうだい関係がなんだか好きだなと思いました。お母さまも出てきて、彼女にも事情がありそうですね。
宗次朗さんの懐深さにしびれました。そして最終的に彼女を追っかけていった宗次朗さんの本心を思うとときめきますね!このふたりは一体どういう風に落ち着くのかなあ。
杏奈さんはあの表裏のギャップが、危うい一方、とても魅力的なひとだなと思います。今回一皮むけたようで、これから強かにいい女に頑張ってほしいなと思いました。

はてさて、前巻から謎だった澪人の胸の内、左近衛大将視点での過去語りもあり、少しは見えてきたかな。
玉椿姫の想いの結末も切なかったけれど、愛する姫を知らず不幸にしてしまったと悔やむ左近衛大将の恋も本当に切ない……胸がぎゅっと痛みました。
若宮の過去のあの発言の真意も語られ、ああ、彼は人ではない「神様」なんだなあ。と。
若宮君が悪いわけではないんだけれど、でも、玉椿も左近衛大将も報われないなあ……。思いを持てあます。
それにしても分からないのが澪人と和人の前世&現世の関係。頭の中にはてなマークがいっぱい(笑)。
和人と小春がやりとりしていたのを誤解した澪人が、小春にあんなに強い勢いであたったのは、どういうことなんだろう。
(ちなみにあのやりとりの後できちんと謝罪する澪人とそれを受け止める小春のふたりが、なんというかきっちり誠実に相手と自分自身の心に向き合っていて、とても好きだなと思いました……そういう意味でもこのふたり、お似合いだと思うんですよねえ。)
前世からつながっている皆の想いが複雑に絡まり合っていてすぐにはほぐれなさそうな感じが、なんか、辛いですね。

小春の力はやっぱり封印でしたか……。
三善君側の事情も分かってみるとこちらも辛い。でも和解できたようでちょっとほっとしました。
力を失っていた小春が、コウメちゃんからの伝言を受け取る場面が、この巻の中で一番お気に入りだったかも。小春ちゃんをひたむきに慕い見守るコウメちゃんのいじましさに心が洗われる思いでした。
安倍さんの不器用なほどのきっちり誠実なたたずまいも、好感が持てる。
あと小春に愛衣ちゃんという親友がいて、本当に良かったな!と色々な場面で実感しました。
占星術のレクチャーは興味深かったです。私もちょっと本読んでみようかな。

ラストあたりの小春と澪人のやりとりは独特の緊張感とときめきが。どきどきしました。
ふたりのぎこちなさがこの巻でだいぶ修復されてきて心の距離もまた縮んだようで良かったです。
なんとか上手くいくとよいのですけれど。
あと若宮君の発言の意味も気がかり。今度は何が起こるんだろう。

ところでこの最新刊を読んでいたのが、実は、京都への日帰りお出かけの高速バスの中。だったりしたのでした。
先月末、かねてから実行したくて仕方がなかった『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの場所めぐり、ついに行ってきたのです!!
当初はこの記事のあとにくっつけようとしていたのですが、見辛いので、やっぱり記事をわけることにしました。

なんというか、この『拝み屋さん』シリーズはやっぱり祇園の町の雰囲気で、『寺町三条』シリーズの雰囲気は、寺町三条のアーケード通りだなあ。と実際に行ってみて感じました。
本で読んでいたのみの世界に実際に行ってみると、物語が自分の中ではっきりと「生きる」感じがして、なんか、楽しいものですね。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ7 ~贋作師と声なき依頼~』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ本編7巻目。
高校三年生、受験も意識しだした葵。ホームズこと清貴との距離を不器用にもゆっくりと縮めていく日々を送っていた。
そんなある日、贋作師の円生が、二人の前に再び現れる。清貴に「白磁の香合」の鑑定を依頼した円生は、清貴の「本物だ」という言葉を否定して去ってゆく。
それからしばらくして円生は、学校帰りの葵の前に姿を現し——。

ガイドブックの後は本編を。
表紙のお着物でおめかし姿の葵ちゃんがきれいです、素敵すぎます!おめかし葵ちゃんの隣でふふんと得意そうな清貴君のスーツ姿も決まっています(笑)。背景のお庭の緑も美しくて染み入るよう。

ガイドブックの感想に書いたように、私はエブリスタ版で、書籍版の先のエピソードにあたる部分も読んでおりまして。
今回のサブタイトルとあらすじで、「ああ、やっぱりこの展開がくるのか……。」と、覚悟を決めていました。
覚悟を決めたつもりではいたけれど、後半部分を実際に読んでいくとやっぱり辛くて、胸を抉られました。
今までのラブラブ幸せモードから一気に暗転しますからね……。
救いはこの巻一冊でとりあえずの決着がついたことです。あああ、本当に良かった!!葵ちゃんやっぱり最高のヒロインです。
ネット版に比べて書籍版は、文章やエピソードがしっかり練られていて、一冊の本としてとことん満足のできる仕様になっているのが、素晴らしいと思いました。
前半パートのふたりのラブラブエピソードも好きです~♪

というわけで、以降はネタばれふくみの感想を。


『プロローグ』
清貴とオーナーの美術品買い付けや上田さんと組んでのお仕事、ゴージャスだなあ、こういう世界もあるのだなあ~と興味深く読みました。
ミュシャのリトグラフとエーデルワイスのブレスレットウォッチに清貴君が込めた、葵ちゃんへの愛のメッセージに、きゅんときました。再会の優しいキスの場面も良かったです。初々しくもお互いをこんなに大切に想い愛し合っているふたりに、心が洗われる思いです……。
葵ちゃんが変な風に誤解してしまった家頭家のおうち事情もなんというかすごい。
店長の抜け加減にいい感じに和みました(笑)。

『その心は』
エブリスタ版でも好きだったエピソード。加筆部分が効いていて嬉しかったです。
お茶会に備えてはじまった葵ちゃんのお着物生活と、そんな葵ちゃんの所作の変化に戸惑うホームズさんのふたりの図がたいへん美味しいお話です(笑)。
美恵子さんのお店を実際にのぞき見られたのも嬉しかったり。
書籍版のホームズさんの「いちゃいちゃ」は初々しいなあ……(笑)。でも「おいで」って、確かにとても力のある言葉だな。
お茶会の前に訪れた高桐院の場所の描写がとても素敵でした。細川忠興とガラシヤ夫妻のエピソードをかみしめてふたり佇んでいる場面が、なんというかとても印象的で。このふたりの愛情も、きっとどれだけ年月が経っても変わらないんだろうな、とそんな感じでそっと余韻が残るというか。
和菓子屋さんの松風もおいしそうです。(私も実は松風をいただいたことがない……。)
斎藤家のお茶室選びは、このお家の人たちを前とは別な角度で見ることができて、一人一人を人間として身近に感じて好きになれた感じがしたのが、良かったなと思いました。左京さんもあれはあれで得難い才能なんだよな。
千利休と秀吉のエピソードの解釈も興味深かった。

『砂上の楼閣』
子守りホームズさんの図はちょっと笑えましたが、円生の再訪、葵への接触、そして……。
葵ちゃんに冷たいことばをぶつけても当の本人には清貴君の真意は分かってしまっていて、それでも本当にどうしようもない清貴君と葵ちゃん。辛すぎる……。手をつなぎキスをするにもいっぱいいっぱいの初々しい葵ちゃんの口から出てきた台詞にもびっくりしつつ。

『言葉という呪』
店長が葵ちゃんに差し伸べる手が優しくて、ふたりの未来に確かにつながっていて、読んでいて胸があつくなりました。店長の穏やかな懐深さに救われました。カンニングペーパーに和む。
言葉って本当に力があり怖いものなんだな。
それにしても書籍版ではこの時期の葵ちゃん思いっきり受験生じゃないですか……そっちの方向でも読んでいてひやひやしました。
甘い飲み物は優しい思い出を連れてくる、とブラックコーヒーを飲む葵ちゃんが切ない。

『望月のころ』
円生と清貴君、そして葵ちゃん、三人の間での決着。
しずかにぴりぴりしたはりつめた空気の中でのお話でした。
これまで目的不明、正体不明で恐ろしいとしか思えなかった円生の過去の背景が、明かされてゆき。
どうして贋作を作り続けてきたのか、出家したのか、清貴をライバル視するようになったのか……。パズルのピースがはまっていくごとに、胸が苦しくなりました。
円生のメッセージを清貴君がきちんと受け止めて彼のための奔走し、そして円生の苦しい心を葵ちゃんが一生懸命解きほぐし、あの結末を迎えられて、良かったな。
というか、葵ちゃんの精神面での成長が著しい。ひとりで円生の心情をたどりああいう方向に導いた葵ちゃんに、鳥肌が立つくらいでした。
そしてなんといっても葵ちゃんの「清貴君、おいで」ですよね。もうほんっとうによかったですよね!!(涙)
第一話のホームズさん側から発せられた「おいで」と書籍版では対応していて、よりお話の流れが納得のいくものとして補強されていたというか、とても良かったです。読んでいて目頭が熱くなりました。

『エピローグ』
葵ちゃん無事に大学合格できて本当によかった!
そして「蔵」でのアルバイト生活も無事に復活してホームズさんとの仲も元に戻って本当の本当に良かったです。
円生の贈り物の中国の風景画とそこに嫉妬する清貴、そんな彼に葵ちゃんがかけた言葉がまた良かったです。
秋人さんの憶測までは行ってないにしろ、着実にこのふたりの距離感は縮んだ気がします。
柳原先生の弟子として現れた円生、小松さんが持ち込んできた新たな依頼、次の物語へのつながりもぽつぽつ残るラスト。
(ところで好江さんとオーナーのふたりは、あれからどうなったかな?こちらもちょっと気になる。)

あとがきを読んで何よりうれしかったのは、このシリーズ、葵ちゃんの大学生編も読めるんですね!!
やったー!嬉しすぎる~!!(ごろごろごろ)
大学生になった葵ちゃんと院を修了した清貴君ではまたお互いの関係性が微妙に違うものになるでしょうし、いったいどんなストーリー展開をしていくのか、今から読めるのが楽しみで待ちきれないです(笑)。やっぱりいちばん気になるのはふたりの仲の進展……。

作中で右近さんたちにきれいになったと言われている葵ちゃんだけど、ホームズさんみたいな彼氏に、こんな風に常に宝物のように大切に扱われ慈しまれていたら、それはもう、色々な意味で素敵な女性に成長していくこと間違いないでしょう。と、読んでいてひとり嬉しくうなずいていました(笑)。ホームズさんの側にいて自発的に学び糧にして成長していける子でもあるし。
失恋も、彼女をより成長させたのだなと思います。結果的に。
大学生になってこれからどんどんきれいになって魅力を増してゆく葵ちゃんに、内心気が気でないホームズさんという未来が、今から目に見えるようです……。やっぱりどんな手を使っても女子大に行かせればよかったって後悔していそう(笑)。

……そんな好き勝手な空想を繰り広げつつ(笑)、本当に今回も面白かったです♪な一冊でした。
やっぱりすでに今から続きが読みたくてそわそわしています。

前も書いたかもしれませんが、このシリーズはエブリスタ版(ネット版。文庫の最後の方にアドレス等載っています)でも読むことができまして、主に清貴君と葵ちゃんの関係性において完全な別物、パラレルワールド。お好きな方はこっちも読まれると楽しいですよ♪
書籍版に馴染んでいるとひっくり返るくらい甘々ラブラブで、若干人を選びそうですが、お好きな方はぜひぜひ。
エピソードの順番も前後したりゆるやかにつながったりしていてそういうのを読んでいて発見できるのも二重に美味しいです。

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

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『京都寺町三条のホームズ6.5 ~ホームズと歩く京都~』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』公式ガイドブック。
葵のお誕生日パーティーの夜を描いた書きおろし中編『バースデーの夜に』収録。

発売をもうほんとに楽しみに楽しみに待ちわびていた『京都寺町三条のホームズ』シリーズ、6.5巻&7巻、同時発売!!
2冊同時に入手できるなんて嬉しさもひとしおです♪

まずはこちらの公式ガイドブックの方から読みはじめてみました。
6.5巻というだけあり、順番としては、7巻目よりもこちらの方から読んでいった方が良さそうです。

表紙の清水寺と桜と清貴君と葵ちゃんの振り返り姿がとても決まっている!と最初からニコニコしながら読みはじめる。
『蔵』のモデルのような骨董品店、寺町三条のご近所さんのお店、吉田山荘のカフェ、祇園のチョコレートのカフェ、カラー口絵の充実っぷりに嬉しくなりつつ。
ええと、結論から言いますと、期待以上の充実した中身に、大満足のガイドブックでした。
どのコーナーも一工夫がこらされていて読み物として面白く、シリーズのファンにとっては心にくい演出ばかり。

順番に感想メモ的につらつらと。

イラスト付き登場人物紹介、秋人さんと円生がそれぞれ違うタイプの美男子でびっくり!格好いい~!!
オーナーの渋い雰囲気も格好良かったです。あと好江さんお綺麗!お若い!
欲を言えば呉服屋の美人姉妹の香織さん佐織さんのふたりのイラストも拝みたかったかな。
あと地図が何枚もついていて、このシリーズを読むたびに京都の普通のガイドブックを借りてきては地図や各種寺院の紹介と突き合わせていた私的には、何とも嬉しくありがたい。

書きおろし中編。葵ちゃんのお誕生日パーティー。
書籍版を6巻目まで読んだ後にエブリスタ版も最後まで読み切った私的には、清貴君の初々しさがちょっと懐かしくも新鮮でした(笑)。(エブリスタ版は本当にもうびっくりするほど甘々なので……。)
葵ちゃんがプレゼントされたワンピースがどんな感じか気になっていたので描写があって嬉しかったです。ホームズさんの目利きっぷりがすごい。
お誕生日パーティーは、ろうそくを吹き消した後の暗闇で、一瞬葵ちゃんに額を合わせてお祝いの言葉をささやいた清貴君の場面が、ロマンティックでとてもきゅんときました。
あと葵ちゃんが焼いたマフィンと聞くや秋人さんから俊足で奪い返した姿としれっと不敵な決め台詞がなんというかもうすごい破壊力ですね!
こと葵ちゃんのことに関しては人格が変わるホームズさんが、読んでいて面白くときめいて仕方ありません(笑)。
蔵関係のメンバー総出演でにぎやかなのも良かったです。
葵ちゃんとホームズさんがお付き合いを始めたのを、オーナーや店長はじめ清貴君に近しい人たちが心から喜び祝福しているのが伝わってくるのが、いいですね。葵ちゃんほんとうにいいこですもん。気持ちはわかる(笑)。
モナ・リザの薀蓄話が披露されるのも家頭家、清貴君らしいです。私自身も興味深く面白く読みました。

舞台案内。
単なる紹介文の羅列ではなく、シリーズ既刊の各場面での清貴君視点が何か所も挿入されていて、これがまあ、楽しいしときめくしで、読んでいてにまにまして大変でした。清貴君視点って本文には基本ほとんど出てこないので貴重なのです。
二巻目のホームズさんの「牽制」ってそういうことだったのか。とようやく納得。
葵ちゃんはここで知らず清貴君を救っていたんだな。いやー、清貴君が葵ちゃんにかなわないのがなんか、分かる(笑)。
あと四巻目のカカオマーケット、葵ちゃんの悪気ない台詞にホームズさんが粉砕しているのがちょっとおかしく笑ってしまった……。でもそれは葵ちゃんは気づかないよ。分かりにくいよ。
特に三十三間堂に行ってみたくなりました。

特別掌編も楽しかったです。ふふふ。
私は『宮下香織の懸念』が特にお気に入り。ホームズさんの見た目に騙されてない(笑)賢くてしっかり者で友人思いの香織ちゃんやっぱり好きです。葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるホームズさんが(以下同文)。
『愛しき旋律』の父子の距離感も好きです。擦れている清貴君の女性観に少々ぎょっとしたり。
お弁当ネタのお話も好きだなあ。感激して神社に行くところが清貴君らしすぎて笑える。これはエブリスタ版のエピソードを読んでからの方が楽しめそうな気が。

四コマ漫画は、名字と名前をくっつけてひとりつっぷしているホームズさんと妄想の中身のネタが微笑ましく可愛らしすぎました……。利休君すら呆れ気味なのも笑える。

最後の質問コーナーも気になっていたところいくつかに回答が得られて最後まで満足度高い。
清貴君の想いにオーナーと店長がいつから気づいていたのか?とのふたりそれぞれの回答には、納得。それを受けての三巻目&四巻目のはじめだったのね。
清貴君の怖いものがオーナーなのはなるほどねえと思いましたが、葵ちゃんに嫌われるのが怖いというところが、彼の可愛いところですね(笑)。あんなに普段怖いものなしでスマートに生きている清貴君が……。恋は盲目としか。
あと秋人さんが「ホームズのライバルキャラにもならなかった」という下りで吹き出し、秋人さんが「俺もう幸せなんだけど?」と言い切るラストに爆笑でした。いやー、秋人さん相変わらず和みますねえ。

吉田山荘のカフェのケーキの写真がおいしそう。そしてふたばの豆餅と阿舎利餅も食べたい!店長行きつけの喫茶店もちょっと気になります。
それにしても、読んでいると本当に京都に行きたくなりました。そしてこのシリーズのゆかりの場所めぐりをしたくなる。
大満足の一冊でした♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

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