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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『鎌倉香房メモリーズ 5』阿部 暁子 




花月香房にようやく戻ってきた雪弥。
彼との距離に戸惑う香乃だが、そんなふたりと花月香房には、香りにまつわる謎が今日もぽつりぽつりと持ち込まれる。
祖母の古い友人が持ち込んだ香木、行方不明になった仏像、源氏香で書かれた暗号。
雪弥と共に、親しい人に関わる謎を紐解いてゆく香乃が、やがて見出すものは——。

『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ第五弾にして完結巻。
表紙の桜と、満開の笑顔で手をつないでいるふたりのイラストが、美しくて幸せいっぱいで、ただ眺めているだけで心が満たされます。
実際に読みはじめても、最初から最後まで、とにかくすべてが愛おしくて。
満ち足りた気持ちで読み終えることができました。
香乃ちゃんと雪弥さん、良かった。本当に良かったです。

前巻で辛い別離のときを乗り越えた香乃ちゃんと雪弥さんのふたりは、何があってももうお互いの手を放すことはけしてないだろうなと、ある意味安心して読み進めることができました。
相変わらずのスローペースさにもう!ともどかしくなりつつも、ふたりらしかったです。
ほんのときたま、想いが目に見えるかたちであらわれるときめきポイントが挿入されていて。
あまりの奥ゆかしさとかわいらしさにどぎまぎしたり、ちょっとおかしくて笑ってしまったり。やっぱりそのすべてが幸せで。
ふたりを見守る三春さんや友人達の姿にもまたあたたかく優しい気持ちになれました。

ひとはどうしても強く正しくばかりは生きられなくて、弱い心に逃げたり迷い間違えて後悔してばっかりだけれど、そういう部分もすべて否定せずに優しくくるみこんでくれるこの物語の持つ空気が、やっぱり本当に大好きで愛おしいなあと思いました。
おどおど内気でやっぱりちょっと世間からずれてる香乃ちゃんが内に持つ懐深さや優しさにもう私は感動を覚えずにいられない……!!

お香についての小ネタ、鎌倉の街の描写、今回は仏像や茶道のことや、色々なうんちくもさらりと楽しく読めて満足。


さて、ここからはネタばれありの感想語りです。


『花守の送り歌』
三春さんと桜子さんの女学校時代からの因縁のバトルに笑いました。たじたじになっている若者ふたりがおかしい。
そうは言うものの話を聞いてみるとお互いちゃんと認め合いはしているようで。桜子さんのとことん素直じゃないところが愛おしいなあと思いました。ふふふ。過去エピソードの三春さんがいかにも三春さんです。
桜子さんの秘め恋は薄々感じ取れるものではありましたが。切ない。歌が切ない。
あと花野さんと桜子さんのふたりのエピソードも、迷い苦しむ花野さんが道を見出していく過程がいかにもこのシリーズらしくて、とても良かったなあと思いました。
あと香木ができるまでの過程のエピソードが印象的で。傷ついてこそ人に愛される香りを生み出すとは。いいな。
ラストの雪弥さんの「お手をどうぞ」がさらりと格好良くてときめきました……!香乃ちゃん可愛すぎですよね。めろめろですよね!

『蓮のつぼみが開くとき』
もうもう、香乃ちゃんとチヨちゃんのふたりの友情が可愛すぎて最高でした……!!
雪弥さんにぽそぽそ嫌味を言い続けるチヨちゃんと何も言い返せない雪弥さんのふたりの図が新鮮(笑)。
チヨちゃん本当に香乃ちゃんのこと大好きね。でも香乃ちゃんと出会い友情を結ぶまでのことを知ると納得もしました。お互いがお互いに出会えて本当に良かったな~。としみじみしました。
女子会でアイスクリームの交換して「香乃ちゃん……」「チヨちゃん……」とお決まりの手に手を取り合い永遠の友情を誓い合うふたりの姿を思い浮かべるだけで可愛くてじたばたしてしまいます。
あとチヨちゃんのお兄さん、ずっと密かに気になっていました。なんというか自由なおひとで、でも読むごとに実は思慮深くて家族思いのいいひとだなあ、とじわじわ好感が。
ひいおじいちゃんのエピソードも胸がぎゅうっと痛みましたが、良かった。チヨちゃんと理久さんたち一家の家族愛も、香乃ちゃんの葛藤とそれを解きほぐす雪弥さんも、すべて。
伊助さんのお茶目なところがとても素敵だなときゅんとしました。ひいおばあちゃんと結ばれるまでのエピソードも良い。

『小さなあなたに祝福を』
なんだか懐かしいなあ……!響己さんお元気そうで安心しました。エカテリーナも。
そしてひな人形の贈り主の正体に、ほっこり。
響己さんの奥さんのナナさんのお人柄が格好良くて惚れ惚れしてしまいました(笑)。
しらすピザにプリンが食べたくなってきました。

『ふたり、手をつないで』
最終話、高橋さんだー!やっぱり高橋さんが出てきてくれると嬉しいです。
結局最終巻まで「(自称)親友」の(自称)が取れないところが、不憫すぎる高橋さん……。プレゼントのことをうっかり当人にばらしてしまい、青ざめて催眠術をかけている高橋さんと、素直に必死に忘れようとしている香乃ちゃんの場面が可愛くておかしくて笑える……。
シノヤさんとクレアのエピソードと源氏香の暗号がとても上手く絡められていて、ロマンティックできゅんきゅんしました。
お寺めぐりでちょっと格好つけたり気遣ったりするシノヤさんが一大学生としてとても等身大で、恋に落ちた姿がとても可愛く映りました。でも彼の葛藤も分かるんですよね。
その暗号が次から次へと人の手を渡り、それを解き明かしたひとが、そうつながるのか!
なんというか、このシリーズのこれまでのいくつものひとのつながりを順にたどっていっているようで、最終話らしくていいなと思いました。鎌倉市民の味方・みずきさんが最後まで格好良すぎます(笑)。
各務さんは、実際に登場してきて香乃たちと言葉を交わす姿を見ていると、なんというか。普通のいい人だな。と。
過去にああいう経験をした彼だからこそ、シノヤさんにああいう風に背中を押すことができたのだろうし。
複雑な思いはあるのでしょうが、けして彼を嫌ってはいない雪弥さん、そんな雪弥さんをシンプルに肯定する香乃ちゃん。なんだか、良かったな。思っていたより優しい人間関係に、ほっとしました。
和馬さんの気持ちも分かるしね。素直じゃないなーこのひとも……。
香乃ちゃんの、最後の最後の自己肯定の場面も、ここまでたどり着けたのが、良かったなと。
最後の香乃ちゃんと雪弥さんのやりとりも最高でしたね!
それは確かに香乃ちゃんみたいな奥手の女子高生には、はっきり言わないと伝わらないよ~。
(そして殿岡君みたいな存在もいることを、雪弥さんはもう少し危機感を持っていた方がいい……。)
でもこれからこのふたりはずっと、けして手を離さずに、共に未来を歩んでいくんだろうな。
何の疑いもなく、信じて安心して頁を閉じられるのが、私もとても幸せだな。と思いました。
雪弥さんのことだから、今からとっても堅実な未来計画を、頭の中で組み立てていそうです。

綺麗にまとまって完結していますが、これで終わりとはなんだかちょっと寂しくもあるのが正直なところだったりします。
なんといっても心残りはチヨちゃん。チヨちゃんがお婿さんを迎えるまでのエピソードは、ぜひ読んでみたい。
高橋さんが若干いい雰囲気なのかしら。二話目の冒頭、そもそも理久さん、高橋さんのこと偵察に来ていたんですよね。(多分)
うーん、スピンオフ集一巻くらい出ませんかね……。和馬さんとみずきさんの過去エピソードなんかも(怖いもの見たさで)ちょっと読んでみたい。

桜のほころび始める季節にふさわしい、幸せで元気を取り戻せる読書のひと時を過ごせました。
素敵なシリーズに出会えた奇跡に、あらためて、感謝。


ここ二週間くらい?それぞれの記事に拍手くださった皆さま方、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 阿部暁子 

『鎌倉香房メモリーズ 4』阿部 暁子 




花月香房のアルバイトを辞め、香乃の前から姿を消した雪弥。
真意を知りたい香乃だが、積極的に動くこともできずに落ち込んでいた。
そんな中、香乃は同級生の家でもある寺のクリスマス会に参加することになり、そこから思いがけない人間模様に触れることに——。

前巻のラストで起こった事件が衝撃的すぎた『鎌倉香房メモリーズ』の4巻目。
春夏秋と続いて今回は冬の物語でした。
げみさんの表紙が雪の寒色系で香乃の着物姿も見事に調和していて美しいです。うっとり。
距離を隔ててひとり背を向けている雪弥さんの構図が寂しい。

やはりというべきか、雪弥さんの生い立ちの事情は重くて辛いもので、読んでいてひりひりしました。
頑なに心を閉ざし遠ざかろうとする彼に、彼の周囲で心配する人々の心を必死に届けた香乃ちゃんが、今回もう本当に頑張った!
引っ込み思案でおどおどしているけど、底抜けにお人好しでいつも人の気持ちを慮る、いざというときには肝が据わっていて大胆な行動も辞さない香乃ちゃんには、何人もの人々が救われているのだなと。
香乃の特殊能力を抜きにしても彼女の人柄はたぐいまれです。ちょっと感動してしまいます。
シリアスな場面でもなんかちょっとずれているのも彼女の味ですね。
そしてそんな香乃の隣にはやっぱり、冷静沈着で頭が恐ろしく回る、毒舌家だけど根は心優しい雪弥さんが、いてくれないと!

雪弥さんのお話と並行して語られる、香乃の同級生・殿岡くんと彼の母親のふみ先生のお話も、かなりシリアスで切ないお話でしたが、香乃ちゃんと雪弥さんとその周囲の人々のあたたかさに、救われました。
あと高橋君とチヨちゃんの友情がそれぞれ素敵すぎて胸がきゅうっとしました。

『五文字の言葉と遠ざかるひと』
雪弥さんと連絡が取れなくなり落ち込む香乃ちゃんに、とにかく、高橋君とチヨちゃんの友情が、染み入りました。
「かば野郎」は最高ですよ、チヨちゃん。叫んだあとささっと隠れる動作も可愛すぎる……。
読めば読むほど似た者同士の、内気で古風でちんまり可愛らしくて情にあつい香乃ちゃんとチヨちゃんの親友二人が好きすぎます。
57頁あたりのふたりの恋バナ的やりとりがもう本当にかわいい!
こうチヨちゃんにずけずけ冷静に分析されると、雪弥さんもただのヘタレさんですね。おかしかったです。
チヨちゃんにクイズでびしびししごかれる高橋さんの図もつぼにはまりました。本当にいいひとだな高橋さん。
チヨちゃんにしては強気だなと思っていたら、そんな放蕩者のおにいさんがいたんですね……。なんか、らしいです。
そしてお寺さんの息子の殿岡君が登場。うわあ、このタイミングで何気に手ごわそうなライバルが出現した!
(といっても香乃ちゃんの気持ちが揺らぐわけもないのですが。)
もっとストーリー的にライバルっぽく書かれるのかなあと思っていたら、まあ実際はあっさりしていたのですが、何も書かれていないけれど、雪弥さんは気が気じゃなかったと思います。「アキラさん」の名前だけであんなに嫉妬した雪弥さんだからさ……。

『クリスマスと丘の上の家』
お寺でのクリスマス会もなんだかにぎわいが伝わってきて良かったです。
ふみ先生は雰囲気から本当に素敵な方で、私も読んでいるだけでファンになってしまいそう。
あきらさんも元気そうで良かった。
あとみずきさんと和馬氏と香乃ちゃんのお食事会、みずきさんと和馬さんの力関係が読んでいて面白すぎました。
「私は鎌倉市民の味方なの」と去り際の台詞が格好良すぎる。
というか和馬さんはいったい過去に何をやらかしているんだ……。まあ、ふざけているだけではない複雑な事情がどっちにもありそうですね。
そのあと香乃が会った宗一郎さん。思っていたより普通の孫をいつくしむおじいさんだったかな。
雪弥さんにつらく当たったという上のお兄さんも、和馬さんも、この家の人々は、私が思っていたよりはきちんと血の通った、プライドが高くて不器用かもしれないけど情けを解するひとたちで、雪弥さんのことを案じていて、それがこのシリーズらしくもあり、読んでいて少しほっとしました。
雪弥さんの過去の事件を知って、今あなたはどう思っていますか?と聞かれた香乃ちゃんの大真面目な返しが、すごく好きだなあ。香乃ちゃんだなあ。

『罪と毒』
ついに雪弥さんのところへ一大決心して訪ねていき、正面切って切り込んでいった香乃ちゃん。
言った!よく言ったよ香乃ちゃん!
雪弥さんが心に抱えていた闇は、おじいさんが語った話よりも一層深くて、心がえぐれましたが(お母さんが絡むと一層辛い……)、全然ひるまない香乃ちゃんがとても良かった。あの弁が立つ雪弥さんが香乃ちゃんに最後までのまれっ放しでしたもん。
「雪弥さんがちょっと腹黒くて秘密主義で隠していることたくさんあることくらい、小学生の頃から知ってるよ」にはちょっと笑えました。人の良い香乃ちゃんでもそんなに昔から気づいていたのか……。
彼が、花月香房から姿を消した、本当の本当の理由に、彼の香りの息苦しさ悲しさに、胸が詰まりました。
十和子さんではないけれど、雪弥さんが、香乃ちゃんのことを、どれだけ大切に想っているのか、見せつけられて。
そして香乃と雪弥さんのラストの場面が尊くて、ああ、良かったです。
ここで反復横飛びが出てくるのは確かにちょっと意味が分からなくはある……(笑)。

『約束と冬の終わり』
お正月の咲楽家の人々がにぎやかで楽しそうで良かったです。
香乃が両親と和解できたのは本当に良かったな。お父さんもお母さんもなんだか妙に味があって、ああ、香乃ちゃんの親なんだなあとなんとなく納得できてしまうのが、おかしかったです。姉とは百八十度違う強気なマイペース少女香凛ちゃんもやっぱり好き!
雪弥さんが笑顔でいられるのなら、たとえそれが私の側でなくても構わないという香乃ちゃんの信頼の形が、なんて素敵なんだろう。
この二人はお互いのことを、「恋愛関係」というくくりを超越しているように思えるくらいに、大事なんだなあ。
そしてラスト。ようやくふたり、あるべき姿に帰ってこれたのだなとしみじみしました。
良かった。本当に良かったです。安心しました。
香乃ちゃんに完全に押し負けててどんどん譲歩していく雪弥さんというのが新鮮です……(笑)。
ふみ先生の事件のことも、雪弥さんと香乃ちゃんが協力し合って事情を紐解いてゆくといういつもの形で進んでいって、雪弥さん本当に頼もしいなと改めて思いました。
ふみ先生も辛いし、殿岡君とお父さんも辛い。
手紙の偽りに最初は罪の意識を抱いていなかったというのがリアル。そう、私もそういうことある。
最後のお父さんの飾らないけれど実直な告白に、救われました。
それにしても香乃ちゃんのお祖父ちゃんは、ありとあらゆるところで大活躍しているな!
彼が過去にどれほど人さまのこんがらがった事情を解きほぐしてきたことか。三春さんがベタ惚れなわけですね。
樒の毒という素材がこのシリーズらしく丁寧に素材として使われていて、寒々しくならず、悲しくて切ないんだけれどどの場面でもほんのり人のぬくもりを失わないでいるのが、いいですね。

春夏秋冬で物語は完結するのかもとちょっと思っていましたが、たぶんまだ続編でますよね。ね?
雪弥さんの実父がまだ不気味にそびえたっているので、次は彼にスポットが当たるのでしょうか。
もうどんなことがあっても香乃ちゃんと雪弥さんはお互い手を放すことはないだろうなと、安心してみていられるのが、嬉しい。
(個人的にはもうちょっと恋愛色が強くなってもいいのですよ……笑。)

今年の初夏にちょうど鎌倉に旅行に出かけたのですが、読んでいるとあちらこちらでかの地の記憶が「生きた」ので、一層物語を楽しめたような気がして、良かったです。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 阿部暁子 

『鎌倉香房メモリーズ 3』阿部 暁子 




鎌倉を舞台に、人の心の動きを「香り」で感じることができる香乃とそのまわりの人々の物語。季節は秋に。
ある日の雪弥さんのおかしな態度に首をかしげる香乃、雪弥さんの親友高橋さんの思いがけない秘密。
にぎやかな文化祭、思いがけずに広がる人のつながり。そして香乃自身のとまっていた過去も、静かに動きはじめる。
香乃と雪弥の関係も、少しずつ、変化が。


楽しみにしていました!『鎌倉香房メモリーズ』の新刊。
春夏と続いてきて今回の物語は秋。
紅葉の鮮やかであたたかな色味の表紙が風情もたっぷりでとても素敵です。
お着物姿の香乃と雪弥さんが今回もしっくり馴染んでいて微笑ましく幸せな表紙。

美しくどこか物寂しい季節の秋。
澄んだ悲しさと苦さと優しさとぬくもりと、上手く言葉にあらわせない色々な感情が複雑にまじりあい、物語も一層深みを増してきていて、堪能しました。とても良かったです。
高橋さん、雪弥さん、そして香乃、それぞれの家族の事情にぐいっと深く踏み込んでいった感じ。
香乃と雪弥さんの関係もますます微笑ましく心ときめいてしかたなかったです!
恋、家族愛、友情、どれもとても素敵でした。

『拝啓 忘れえぬ人』
序盤の雪弥さんが確かにおかしな感じで、微妙に不安だったのですが。
理由を聞いたら逆にほのぼの優しい気持ちになれました。彼のためにそこまで動揺してしまえる雪弥さんがいとおしいですよ。
高橋さんの秘密は正直思いもよらないものでした。
けっこう複雑な境遇で育ったのをまるで感じさせない高橋さんののほほんとした根の明るさが本当に得難いものに思えます。
そしてそんな風に彼を育てた高橋家のひとびとの、表面的なもののみでない優しさあたたかさ。とても素敵です。家族と似ているところを確かに感じる、というのがね。
妹さんがお兄さんにささげるあまりに切実な愛情と、遠い我が子への手探り不器用な愛情、合わさってきて胸が詰まって苦しくなりました。
高橋さんと雪弥さんの友情も、こういう展開の後には一層得難いものに思えます。
相変わらずクールな雪弥さんと、めげずへたれず明るく笑っている高橋さんのふたり、眺めていて安心します。
文香って、私も昔買って友人への手紙に忍ばせたなあ。
雪弥さんの解き明かしたからくり、何気ないけどそういうことってできるんだとちょっとぞわりとしたり。

それにしてもあらすじまで高橋さんのこと(自称)雪弥の親友あつかいで、なんかかわいそう(苦笑)。
彼の「ゆっきー」呼びと分け隔てしない明るさ優しさ、フットワークの軽さは、物語をいつも和らげてくれる得難い存在です。
香乃への接し方もいつもとても好き。

『あの日のきみへ』
序盤で、香乃の話に出てくる「アキラさん」に嫉妬し黙り込む雪弥さんがおかしすぎました(笑)。誤解をあえて煽るおばあちゃんも曲者ですね……。
文化祭、これまで出てきたキャラクターが何人も再登場しにぎやかに盛り上がって読んでいてとても楽しかったです。
(大人しめの文化部所属の大人しい女の子ふたりの若干地味目な文化祭活動が、かえって親しみをもって読んでいけて良い感じ。)
そして同時に紡がれる孤独な少女の物語、そして最後に彼女に差し伸べられた救いの言葉があまりに尊くて、思わず涙しました。
私自身いわゆる「ぼっち」で身の置き場所がなく、休み時間とか人気のないところで隠れていた学生時代がありますので、あの辛さにつぶされたら嫌なことだってやっちゃう気持ちもすごい分かるし、とにかく、もうね。
そして和馬氏の強烈な存在感が!彼のことを「サタン」呼びする怖いもの知らずの中学生カップル・香凛とアサト君もすごいしおかしい。
和馬氏に良識ある突っ込み役(ストッパー役?)・みずきさんも今回いらして安心しましたが。(でもこのひとも別な意味で只者じゃなさそう……。)
周囲に軋轢呼びまくりの和馬氏ですが(そういうところはある意味雪弥さんにも似ているか……)、おそらく、雪弥さんのためであった不可解な行動、言葉のやり取りは、気にかかりました。
そのことであんなに調子を崩す雪弥さんの姿にも、不安が。
相変わらずチヨちゃんのふるふる引っ込み思案な友情、渋い趣味もひっくるめて可愛すぎてチヨちゃん最高!
ちょっぴり距離を縮めた香乃と雪弥さんにときめきました。文化祭パワーですね!
香乃のほんのささやかな嘘泣きと秋の日差しにすける雪弥さんの頬の産毛がなにかひどく印象的でした。
和馬さんのワッフル大量注文作戦、あまりにらしくて笑っちゃいました。ワッフルおいしそうです。

『かがやける星』
香乃のご両親が登場。完全に私の予想外でびっくりしました。
意外でしたが言われてみれば納得なお仕事をされていたお父さま、ストイックな感じは、慣れるとなかなか好もしかったです。三春おばあちゃんになんだかんだ押し切られているのもちょっとおかしい。
お母さまはなんだか香乃ちゃんそっくりだなー。というのがうかがえるところが微笑ましく良かったです。そして微妙なタイミングで明かされる意外なご両親の馴れ初めエピソード……。
ご両親とも、香乃ちゃんの体質のことをきちんと受け止めていて娘のことをきちんと愛していて、そのうえで心配しているのだと伝わってきて、ふたりの愛情に胸がふさがりました。
星月亭と「夕星」のエピソードも心にすうっと優しく染み入るもので素敵でした。由梨江さん素敵な方だなあ。
最後にご両親ときちんと話せて、自分の希望をきちんと伝えられた香乃ちゃん、本当に良かったな。
鎌倉に残りたい理由が本当に香乃ちゃんらしくて微笑ましく良かったです。
おばあちゃんの本音を分かってあげられている彼女が特に好きでした。

雪弥さんもお父さまになんだかんだ認められたようだし、帰り道のふたり良い感じだし……。という最後の数ページで、まさかの展開が。
雪弥さんの行動は香乃ちゃんへの想いの故だし一旦は安心しても、再びずしりと突き落とされたラスト。ええ、どうなっちゃうんだろう。三度めはないってどういうことなのか。
ひとまず雪弥さんのお家の事情は、今見えているものよりはるかに厳しく根深そうだなあ。と。

香りで分かってしまう人の心のきれいじゃないところも、自分だってそうだから、と認めて、人を憎まず受け入れる香乃ちゃんの優しさがとても尊くて。ちんまり引っ込み思案で奥手で、でも人の心の痛みを放っておけない香乃ちゃんが、大好きなひとを理解し守ろうと懸命な香乃ちゃんが、本当に愛おしく大好きなヒロインです。
なんというか、このシリーズで描かれる「人の過ちを許す優しさ」みたいなのが、とても好きだと思いました。
私自身が抱くささくれだった気持ちまで、すっと鎮められていく心地がします。品の良い香りにくるまれて。

次回の物語は「冬」ですよね。
なかなか暗雲立ち込めていますが、香乃ちゃんと雪弥さん、ふたり再び笑っていられる時を取り戻せますよう、願うばかり。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

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『鎌倉香房メモリーズ 2』阿部 暁子 




人の心の動きを香りとして感じることができる香乃。
幼い日に出会った老婦人の七夕の記憶、今は亡き祖父が祖母に贈った世界でたったひとつの香り、夏の鎌倉の地を舞台にゆるりと紡がれてゆく、香りにまつわるミステリー風味ものがたりの数々。

『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ、現時点で刊行されていた二巻目もさっそく読みました。
あじさいと七夕飾りと空の青がさわやかで心地よい表紙ですね。
主役二人の着物姿もよく映えていて素敵。

一巻目も面白かったですが、この二巻目は物語に深みが増して、さらに良かった。もう、とっても良かった。
香りにまつわる人情物語は切なくほろ苦く響き、それでも人の優しさが心にほろりと残る読後感がなんとも心地よい。
前巻ではやや少なく感じた「香り」そのものエピソードや豆知識なども今回は豊富で楽しめました。
香乃の祖母の三春さんの重たい過去話と、祖父の銀二さんとの馴れ初めエピソードが深く染み入りました。
雪弥さんという人間の過去や背景も少しずつ見えてきて、なんともいえない荒涼としたものを感じる。
そしてなにより、内気で奥手な香乃ちゃんと、皮肉屋さんで対人関係は根っこが不器用なままの雪弥さんのもどかしく愛おしい関係が、もう、読んでいて最高にときめくのです。
このふたりのじれじれと、表にはっきりとは出さないお互いを思いあう気持ちの深さだけで、ごはん何杯でも食べられそうです。
お気に入りの場面を何度も読み返しこうして感想を書くために色々思い返しているだけでうっとり浸っています。

『星の川を渡って』
香乃ちゃんと雪弥さんが七夕の飾りつけ準備をしている場面から物語は過去に飛び、出会ったばかりの小学生だったふたりが、祖父母の知己の老婦人・タマ子さんと出会い交流を深めてゆくエピソード。
戦争が引き裂いた、若く幸せだった夫婦の悲しく苦しい記憶。
おもてに見えている境遇だけでも辛く切ないけれども、真実がすべて見えてから、それでも今は柔和に微笑んでいるタマ子さんの姿に、胸がつまりました。とてもやりきれない。タマ子さんのことをそれでも心から慕い行動してくれている人たちが各所にいて、心救われる思いがします。
香乃のことばをもとに銀二さんが作りだした香りのエピソードがとても粋でやさしくて良かったです。
そして小学生時代の「香乃ちゃん」と「雪弥ちゃん」のふたりがもう、お互いを呼び合う呼び名からして可愛らしくて、ふたりの仲睦まじさにきゅんきゅんでした。賢く弁は立つけどまだ皮肉屋さんではなく人見知りで無口な雪弥ちゃんが新鮮(笑)。
香乃が自分の体質のことを告白した時の、雪弥さんの「答え」が本当に彼らしくて、やさしい微笑みなんてレアなものも拝めましたし、心温もりました。
ちいさなふたりは本当に七夕のカササギさんにふさわしかった。
夏のスイカジュースが美味しそうでした。

『あなたとずっと』
祖母の三春さんの実家・香道の宗家で催される香会に、香乃と雪弥さんもあわせたずねていく物語。
香道、香会の世界の描写が素人目になかなか本格的で、そちらの世界をちらりと垣間見ることができて楽しかったです。
菖蒲御前のゆかりの、確かに何か思わせぶり。
事情ありげだったイツキさん、何かを隠している風だった三春さん。不穏な空気に緊張しながらも。
追い詰められたイツキさんが頼った理由でもあった、三春お祖母さんの過去のお話が想像以上に重たくて。最後まで三春さんを許さなかったというお父さんに、胸にずしりときました。
そしてそれでも三春さんに求婚した銀二さんのふたりのやりとりの場面がまたとても良くてきゅんとしました。お父さまがつけたという「三春」の名前をもとに香りを作るなんて心憎い。
三春さんの弟君がおだやかそうな方ながらにまた曲者。
香乃ちゃんの人生、そういう道もありなのか。と愕然としました。
香乃ちゃんより先にすっぱり断る雪弥さん、格好良かったけれど、そういうのは確かに「彼氏」的な立ち位置のひとじゃないと言っちゃだめなんじゃないのか、とかなんかちょっともやもやしつつ。
そしてこのふたりの過去に、何年もの断絶があったとは、知らなかった。
再び交わした約束が、香乃がここで思っていたよりずっと深いものであった。というのが後に分かる流れが良かったです。

『祈りのケーキ』
チヨちゃんと高橋君、前巻のお気に入りキャラが再登場で嬉しいお話でした。
思ったんですけど内気でおとなしいヒロインの親友役が、ヒロインと同じレベルで内気で変わっている女の子、という設定は意外とないですよね。リボンを結んだ阿弥陀様のプレゼントをお互い普通にかわしている女子高校生がなかなかすごい。フレンチトーストでお昼という今どきの女子高校生だなーという部分もきちんとありつつ。
そして思いがけないところからまたかわった人が登場した!
和馬さん、色々不気味なほど調べ上げてきていて香乃への接し方も乱暴で、最初はうさんくさく少々反感を覚えたのですが、うん、悪い人じゃないね。雪弥さんの毒舌がさく裂していて愉快でした。
めぐみちゃんのお母さん、ひとまず本当に良かったです。

香乃ちゃんの「なにかしてやってほしいことはありませんか?」から続く雪弥さんとのやりとりの場面がいとおしくて大好きです。
人はどうしたって一人では生きられなくて、自分の醜さに傷つき他人も傷つけても、それと同時に誰かを愛し慈しもうとする。誰しもがゆらぎを持っていて。
香りが読める体質で生きてきた香乃ちゃんならではの語りが、現実の人間関係にささくれだっていた私の心にも染み入りました。

『亡き人に捧げる祈り』
この巻の一話目から登場していた宮大工の貞臣さんの、これまた切なくほろ苦く優しい物語。
貞臣さんのぶっきらぼうだけど優しい人柄が心に染み入りました。
茅子さんも貞臣さんも、なんて優しくて不器用な人なんだろう。香乃の姉みたいな茅子さんの役どころも良かったです。
ひとりで途方に暮れていた香乃に八つ橋を手に声をかけた雪弥さん、お約束のグッドタイミングでした。
貞臣さんを説得に来たはずなのに口調が微妙に嫌みったらしい雪弥さんに思わず苦笑してしまい、でも雪弥さんらしいし、貞臣さんにはちゃんと伝わってるんだろうな。そばに香乃ちゃんがいるならば、ちょうどよいくらいかも。
ケンカ仲間のようなでもお互い家族ぐるみで心配し合ってる三春お祖母ちゃんと貞臣さんの関係も良いですね。

過去からつながる追憶、切ないお話が多めだった二巻目。香乃の祖父の銀二さんのふしぎに明るく優しい人柄が印象的で好きでした。香乃と雪弥さんのまわりにいた大人たちの優しいまなざしにも心温もりました。
香乃と雪弥さん、あと一押しと言う感じもするんですけどねえ!
ついつい比べてしまう『下鴨アンティーク』よりは主役カップルの年回りが近く、高校生と大学生の恋愛は自然に成立すると思うのですが、どうなのでしょう。
雪弥さんの生い立ちと彼の抱える劣等感が、ストッパーになってるのかもしれないな、と思ったり。
恋に思い悩む香乃ちゃんの味方ですので、第二話での雪弥さんの台詞に、責任を持ってもらいたいかな(笑)。
香乃の両親の方のエピソードも読んでみたいなと思います。


昨日記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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『鎌倉香房メモリーズ』阿部 暁子 




舞台は鎌倉。
人の心の動きを「香り」として感じることができる高校二年生の香乃。
祖母が営む香り専門店「花月香房」で、祖母と香乃のよき理解者・大学生の雪弥さんと、お店の手伝いをしつつ暮らしている。
そんなある日、店を訪れた老婦人の「消えた手紙」を探す手伝いをすることになり——。

オレンジ文庫の一冊。
香りをめぐるほんわりミステリー風味の物語。
もともと気になっていたこちらのお話、オレンジ文庫の一周年記念フェアがきっかけで手に取ってみました。

読む前に思っていたよりもずっと私好みの物語でした。
なんでもっと早く読まなかったんだろう!(『薔薇に雨』に続いて新年二回目)
京都と鎌倉しみじみ趣のある地、お着物の女子高生、ちょっと不思議系の謎解き、淡い恋の気配、等々白川紺子さんの同じオレンジ文庫『下鴨アンティーク』と共通する部分もあり、違う部分もあり、色々比べながら読むのも楽しかったです。
どちらの物語もそれぞれ安定した独自の世界を構築されているからこその、読み比べの楽しさだと。
贅沢な楽しみ方ができて満足。ふふふ。
どちらの「かのちゃん」もいとおしい女の子です。

引っ込み思案で自分に自信が持てずにおどおどしている香乃ちゃん、私にとってはごく自然に共感できて、がんばって……!と心から応援したくなるヒロインでした。
幼いころに特殊能力が原因で親との間に溝を作ってしまった傷を抱えつつも、困っている人を結局は見捨てられず必死に手を差し伸べる香乃ちゃんのお人好しで色々不器用な生き方がとてもいとおしい。
そして香乃ちゃんがつまったときにその都度絶妙なサポートを入れてくれる雪弥さんがまた素敵なヒーローなんですよ、もう。
穏やかで優しい着物が似合う知的な好青年……名前の可愛らしさ涼やかさもきゅっと私の心をつかみました(笑)。
アサトくんとの対話で薄々感じるものがあったものの、第三話での大学での姿が、香乃ちゃんの保護者役をしているときとはギャップがありすぎておかしかった!
香乃と雪弥さんの淡い関係も心ときめきますねえ。
ふたり、寂しい過去を言葉にせずとも心でつながっているような、そんな関係がとても素敵だなと思いました。

『あの日からの恋文』
恋文、というモチーフがすでに私の好みピンポイントで、老婦人糸子さんも素敵な方で、一話目から私の心をつかみました。
素直に態度に出すにはちょっと気恥ずかしいお年頃だけどお祖母ちゃん想い、そんなアサトくんがお気に入りキャラ。
香乃に淡い好意を抱きつつある彼をすっぱりシャットダウンする雪弥さんがおかしい。それでいてなんだかんだいいコンビしているアサトくんと雪弥さんが好き!全然気づいていない香乃ちゃんも!(笑)
手紙のシンプルなあの言葉も胸にひびきました。
自分の力を後ろめたく思う香乃ちゃんに雪弥さんが語りかける姿がまたよいラスト。
お祖母ちゃんの三春さんが思っていたより軽いノリのひとで、香乃ちゃんや雪弥さんよりある意味時代先乗りしているような、でも好きです!

『白い犬は想いの番犬』
お屋敷ものといいますか、ゴージャスな世界の住人の生活が垣間見られる、ある意味少女小説っぽいお話?
最初はみんながうっすらあやしげな印象だったのですが、読んでいく内にどんどんこのお家の兄弟、響己さんと直希さんが好きになっていきました。きっと正喜さんも悪い人じゃない。
犬のエカテリーナが良いお仕事してました。
最後に出てきたあるおひとの登場でまた読後の余韻が良かったです。
序盤の三人で囲むお好み焼きの場面も、雪弥さんのオリジナルお好み焼きが気になって祖母の話を聞いていなかった香乃ちゃんが可愛かった……。

『恋しいひと』
お店とそのお客さん、お店番としての香乃ちゃんと雪弥さんで世界が完結していた前半二話から、雪弥さんの大学へと、世界が広がりました。
なんといっても香乃ちゃんの「運命の友」チヨちゃんとの友情が、素敵ですね!!
地味系でちんまり似た者同士の女の子のがっつりゆるぎない友情が、まさに古き良き少女小説の香りがして大好きです。
高橋君を罵倒する雪弥さんに圧倒されました……高橋君の前向きさもすごい。
バナナミルクと抹茶ミルクのチョイスにほのぼの。
十和子さんとユカリさんのしかけたからくり。
なんだか高校生の香乃とチヨちゃんにしかけるには嫌な感じだな……と正直思ってしまったのですが、でも対等な女性として香乃に向き合った十和子さんの凛とした感じは、良かった。
結果生じてしまった香乃と雪弥さんとの行き違いに胸がじくじくしました。確かに本当のことは言えないけど、けれどなあ!
香乃ちゃんの想いに対して、相手の気持ちは対等な恋かと言われると確かに不透明で、彼女の女子高校生としてのせいいっぱいの恋心が切なくいじらしい。

『香り高き友情は』
香乃の妹・香凛ちゃんが登場。
香乃とはまた性格が全然違うけれど、香凛ちゃんお友達思いのいいこですねえ!
マイペースにお姉ちゃんを振り回しているけど根は素直にのびやかにお姉ちゃんも両親も好きで。ご両親が本当は香乃ちゃんのことをとても気にかけているのだとまっすぐに伝えに来てくれた彼女、とても良かった。
ちょうど読んでいた少女小説(『薔薇に雨』)で、ヒロインの特殊な境遇に気づいたとたん手のひら返したように冷たくなった家族の描写に心が痛んでいたので、香乃ちゃんのご両親や妹さんは今でも彼女のことを大切に思っているのだと分かって、よけいにとても安心しました。
真奈ちゃんの境遇には胸が痛くなりました。体当たりでぶつかってく香凛ちゃんのガッツがすごい。
なかなか女の子同士でこんなにまっすぐに友情を結ぶのは難しいように思います。なんだかひたすらまぶしくうらやましい。
しかし熱を出した身で単身真奈ちゃんを救いに走る香乃ちゃんは輪をかけて無茶ですねえ!結局は似た者姉妹ですね。
お約束で雪弥さんの的確な行動と救いの手がとても格好良かったのでした。
アサトくんも香凛ちゃんも大好きなので、ラストは嬉しかったです。うふふ。
響己さんのお店に……という、もどかしいふたりの方にも、ささやかな約束が交わされました。
純粋に恋ということばで表すには足りないような、それよりもっと大切な絆で昔からしっかり結ばれているような、このふたりの関係。
追っていくのがとても楽しみです。

鎌倉の街の描写、様々なお香や香りの描写もしっとり奥ゆかしく雰囲気よく楽しめました。
ひさしぶりに鳩サブレー食べたくなってきました。
『下鴨アンティーク』よりは若干会話が軽く現代ノリなのかな。
香乃ちゃんのちょっとずれた思考回路がときどき面白かった。全然気にせず合いの手をいれる雪弥さんの浮世離れ感がまたしっくり馴染んでるんですよね……。


今出ている続編も読みたいと思います。楽しみ~♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 阿部暁子