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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。2~群青の花と、異界の迷い子~』友麻 碧 




異界に迷い込んだ女子大生・千歳は、千国の薬師・零の弟子として働く日々。
千歳が弾くピアノは青い光を放つ花を咲かせ、王宮から重宝されていた。
そんなある日、千歳は鳥居を超えてきたという異母弟の優(すぐる)と再会する。
日本の家ではぎこちないばかりの関係だった二人は、千国で共に過ごすうちに、少しずつ心の距離を縮めてゆく——。

一巻目に惚れ込んでしまった『鳥居の向こうは、知らない世界でした』の第二巻!
楽しみにしていました~!続きが読めてとても嬉しい。
表紙の青色の光と花が美しく幻想的で読む前から期待をかきたてられました。

二巻目も、異世界の千国の描写はどこか懐かしく慕わしく、ピアノや文学作品の香りがする各描写は品よくロマンティックで、千歳が作る薬膳料理は美味しそうで、人の優しさ温もりが心に染み入る、極上の物語になっていました。
『かくりよの宿飯シリーズ』といい、この作者さんの物語の異世界の描かれ方が、きっと私のツボにぴたりとはまっているのだと思います。
異世界の各設定を読んでいると本当にワクワク楽しいし、そこまでシリアスすぎず読み心地が良く親しみやすい感じなのがマル。
(ちなみに私が今まで読んできた異世界もので同じくツボにはまったのはたとえば川瀬夏菜さんの少女漫画。あの親しみやすさがいい)
『かくりよ~』に比べてこちらはしゅっとした格調の高さがあるというか、読んでいてすんなり心地よさに浸れます。
それにしても異世界でピアノを弾く薄幸のつつましい美少女……なんて絵になる私好みの設定。

さて二巻目のキーポイントは、千歳さんを探して異世界に自ら迷い込んでしまった異母弟の優君。
青火王子にひろわれ千歳と再会した優君、日本の家庭ではぎこちない関係であった二人が、異世界で共に過ごすうちに徐々に心の距離を縮めて、本当の姉弟になっていく過程が、読んでいてじんわり心が温かくなり、とても良かったです。
自分もけっこうひどい目にあってきたみたいなのに、千歳さんに再会して美しく生き生きと暮らしている彼女の姿にまず安堵する優君、優しいいい子だな……。
弟のために馴染みのある日本の料理を工夫してこしらえる千歳さんの真心も沁みました。ハマグリごはんにほうれん草の胡麻和えおいしそうだな。

印象的だったのは音無夫人のエピソード。
日本人であったかりそめの夫を懐かしみ恨むでもなく思い出を大切にまどろんでいる夫人の姿がとても優しくて切なくて。
彼女の夢の中で世界をまたいで重なっている星空を共に眺めるふたりが幸せそうで楽しそうで、どうして二人の道は分かれてしまったのだろうと、想わずにいられなかったです。
重なり合うのは『銀河鉄道の夜』、美しいリンドウの花の群れと果たされなかった「一緒に行こう」の約束、海の事故、その後明らかになった悲しい真実。
シノさんと千歳さんが共同で作ったエビ雲吞とあんかけ炒飯もおいしそうでした。

青火王子は最初は怖くてとっつきづらいひとかと思っていたけれど、意外とトーリさんと対等の兄弟関係を結んでいるようで、優君もなんだかんだ馴染んでいたし、悪い人じゃないんですね。
千歳さんを馬鹿にした青火王子に零先生とトーリさんがすかさず反撃する場面が好き(笑)。千歳さんは千国で確かに自分の居場所を作り上げていて、それをこの二人に力強く肯定してもらえて、とても良かった。
優君に日本の絵を描かせて異国のことを知りたいとキラキラした知的好奇心を持つ青火王子、なんかいいな。
もっとも個人的には千歳さんにもう少し優しくしてほしいものですが。まあ、女の人に厳しくなるのも彼の境遇では仕方ないような気もする。

ヴァーユさん、優君、新キャラを迎え入れつつ、千歳と零先生の師匠とお弟子の生活もまたしっくり馴染んできていて、それもまた良かった。千歳さん認められてきてますね!
胡椒饅頭とか中華風のお餅入りパンケーキとかとてもおいしそうです。海苔巻きおにぎりが食べられるって嬉しいですね。
なにげない日常の生活のこまごまとした描写が相変わらずこの作品の大きな魅力です。
零先生と二人のお出かけのときに食べていたお弁当も地味にとてもおいしそうでした。

千歳さんとは別のアプローチで千国に馴染んでいく優君の姿も良いものでした。
王子様たちや零先生となんだかんだ仲良くなっているし。絵の才能で重宝されているし。優君の飲物おいしそうだし。
彼もまた千国で生き生きと楽し気にしていて、千歳さんもそれを見ていて楽しそうで、ほっこり。
それでも彼は、日本に「帰る」方の人間で。
千歳さんとの別れの場面、お互いの呼び方が変わった場面が、とても印象的で胸を打ちました。
ただこの異世界で生きるあなたの永遠の幸せを願う。自分の価値観を押し付けることもなく祝福を残して去り、父親に想いを確かに届けて帰る優君、別れ際に優しく導きの言葉をのこした千歳さん、そんな二人の姿が、優しくて、切なくて、美しかったです。

あとこの巻の青い焔草と千歳さんの絆のお話も幻想的で美しくてぐっときました……!!
本当に千歳さんはすっかり焔草を手懐けちゃってますね。
淡く光る染織物の描写がまた美しくてロマンティック。きっとお世辞ではなく千歳さんには抜群に似合っていると想像しています。

蝶姫ちゃんもトーリさんも元気そうで良かった。
トーリさんと千歳さんがやっぱりいい雰囲気な感じがするのですが、この王宮の人間関係を思うと、ちょっと将来的に厳しそうですよね……どうなるのかなあ。トーリさん自身千歳さんをお母さんみたいな境遇にさせたくないでしょうし。
ガジュマルの木の空き地でお茶している二人、お互いがお互いに、今日はあなたに会えると思って、というのが、すごく良い感じなのに~!(もどかしい)お妃に間違えられた場面もときめきましたし。
あ、あと水出しレモン珈琲というのもおいしそうです。優君すごい。

日本とこの異世界との関係、異世界人のこと、零先生たち仙人のこと、外国のこと、少しずつピースがつながってゆき、千夏さんの日記の謎もあり、まだまだこの世界で気になることはたくさん。
なので、また続きが読めると、とてもとても嬉しいです。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『おこぼれ姫と円卓の騎士 新王の婚姻』石田 リンネ 




『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ最終巻。
フリートヘルムをかつぎあげて軍師ゼノンが引き起こしたクーデターへの反撃の準備は整った。
争いが続けば必ず犠牲が出ることを心に刻み、レティは己の王の専属騎士達と王都奪還を目指す。
しかしやはりゼノンのやり口は巧妙で——。


『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ、とうとう完結巻!
今となっては何年も続きを追いかけているほとんど唯一の少女小説シリーズ。なんだかちょっと寂しいな。
……なんて、そんな気分を吹き飛ばすような、最初から最後まで読み応え抜群の、とってもいい最終巻でした!!
あとがきの作者様のことばを借りるならば、このシリーズを今まで読んできて、良かった。本当に良かったです。

美しく潔いレティひとりの表紙イラストも、読み終えて、納得。
『新王の婚姻』というサブタイトルも、納得。
これ以上ないほどすべてがおさまるべきところにおちついたラストで、何より気になっていたレティとデュークの関係のことも読めて大満足で、すでに何度も読み返してはきゃーきゃーときめいて転がっています(笑)。


以下でネタばれ感想をちょっと語ってみる。


レティの残りの騎士は、そうであってほしいという、予想通りで、ああ、本当に良かった。
フリートヘルム殿下が、途中でレティのためにゼノンを裏切り、レティのために反逆者への道を自ら進んでいく姿が、なんというか、胸に来ました。クーデターが起きてから私の中でフリートヘルム殿下の株は正直かなり落ちていましたが、くー、それでもやっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだった。良かった。
グイード殿下とレティの決着もこちらはとても静かで淡々としていましたが、良かったです。
エピローグのエピローグ、フリートヘルムとグイードのふたりの酒盛りの場面で、幼いころの「夢物語」が叶ったんだなあというのに、じわじわとこみあげてくるものがありました。(そしてちっちゃな三人で眠るイラストが可愛すぎる)
もともとこのシリーズの、表面では仲悪そうにいがみあってるように見えるけれど、実際にはちゃんと仲の良いお互い理解し支え合っている兄弟関係が、そういえば私はとても好きだったなと、思い出しました。
それがここにきてようやく戻ってきたんだな、兄弟ようやく争わずにいられるようになったんだなあ。と思うと、ものすごくほっとしたし、良かったです。
考えてみればグイードの宰相もフリートヘルムの外交官もはまりすぎです、確かに(笑)。
特にフリートヘルムとレティの決着をつける場面はもう胸が痛くなったけれど、それでもレティのやり方は上手でした。

でも残り三人のうちひとりがオスカーになるとはちょっと予想していなかった。
レティのこれまでの努力の積み重ねがまたひとつ活きましたねえ。テレジアさんも再登場で元気そうで良かったです!

レティの騎士はみんなみんな大活躍していましたが、なかでも笑ってしまったのはクレイグさんの「戦友」でした。
あの荒業作戦とそれにこたえてちゃんと脱出できた三人、すごすぎる……さすがレティの騎士達なだけあります。
クレイグさんの年の功には永遠に叶う気がしないと思ってしまいました。
シェランもレオンハルトも派手ではなくてもそれぞれよい見せ場があり格好良かったです!
第一席にふさわしくそつなく難しい任務をひとりでこなしソレスに文句を言われているデュークもやっぱり最高に格好いい~。

今回のこの反撃の戦い、レティの戦いであると同時に、メルディとゼノンの因縁の戦い、でもありました。
ゼノンの頭脳に必死に反撃作戦をはりめぐらせていたメルディが、最終的にはゼノンよりふっとワンステップ高みに乗り越えていった瞬間が、良かった。
ゼノンはもう最後までえげつなくてどうしようもないなこのひと……と思っていましたが、彼の最後は、ある意味彼にふさわしかったと思います。まあ歴史に名を残したいなんて、そんな上手くいかないですよ。こんなものだ。

失恋王ルートガーがレティに語った隻腕王オズヴァルトのエピソードがかなり印象的で、良かったです。
今回は王の会議の間もちらりちらりと出てきて楽しかったです。
王になってからは一度もこの会議の間に来ていないなんて、レティは本当に大した女王様ですよ……。

あとレティとデュークのふたりの関係も、今回とても良かった!!まだごろごろもだえています(笑)。
アイリーチェのレティへの忠告「男は、どんなに紳士的に見えても、自分に脈ありだと判断したら途端に手が早いです」とその後の場面の「嬉しい接触事故」には笑いました。
アストリッドとの扱いに差がないのを地味にごねているデュークとレティの捨て身のキスも、可愛い。
しれっとした顔でぐいぐい押していくデュークとあわあわしているレティのふたりにときめいてときめいて仕方がなかった!

レティの結婚相手が「ソルヴェール国」だというのは、想定外でした。そうくるか!
そんなレティを、デュークが「片手間の恋愛しかできない同士」と口説き落としてゆく場面が、なんだかとても好きです。ふたりの真摯な想いと誠実さが伝わってきます。自分の想いをぽつりときちんと言葉にしたレティも良かったです。
あんなに嫌がっていた「愛人王」の諡はもう不可抗力だったのだ、ととうとう諦めたレティも、うんうん、幸せになるんだよ。
愛人王といってもね、生真面目な仕事人間な二人なので、凛とかっこいいイメージは損なわれていないのが、いいんですよ。表裏どちらも清廉潔白な女王様レティには、むしろほどよい人間味というか親しみやすさという面でプラスになっているんじゃないかと。
(でもウィラードの「君はろくでもない男だね」(267頁)にも、こっそり賛成します。笑。デュークは真面目で堅物な顔していてこういうところは策士でもあるのが、ときめくし、安心します。恋愛に奥手すぎるレティの相手はこれぐらいはできないとつとまらないですよねきっと)

カラーピンナップの皆勢揃いのイラストが途中に挟まっているのも粋なつくりですね!美しい!堪能させていただきました。

「エピローグのその後で」で、コルネリアやオスカーのエピソードがそれぞれ補完されていたのも良かったな。
アストリッドも「複雑」という気持ちを覚えたか。切ないですよね。
面白い性格しているシスコンの変人学者のレオンハルト殿下が戻ってきたのもなんだかほっとしました(笑)。
締めはレティとデュークの夜のエピソード。
……きゃー、最後の最後で糖分が増量された!!デュークの言動に振り回されあせりまくっているレティが可愛すぎて、ああもう、ごちそうさまでした!!としか。
イラストもときめきます。レティの長い髪が広がっているのがほんのり艶めかしい。
デュークとアイリーチェの会話を想像するとまたにまにま楽しい。

誇り高く優しく賢く、努力を常に怠らず必死に戦ってきた女王様レティが、最後まで大好きでした。どこまでもついていきますよ!
巻が進むごとに増えていく騎士達もみんな愛着がわいて格好良くて頼りがいがあって大好きでした。
じれじれの恋愛模様も本当に微糖でしたが(特に初期は)、堪能させていただきました。とても私好みのロマンスの匂わせ方でした。
これにて完結ですが、本編では語られなかったキャラの色んなエピソードの番外編とかでないのかなあ。出ると嬉しいんですけれど(笑)。
まあ、しばらくは、本編完結の余韻に浸っていたいと思います。

あと石田リンネさんの同時発売の新作にはいっていた交換小話も読みました!
シャルロッテ姫とデュークのお話。さすが恋愛に関してはレティよりはるかに上級者。あなどれない……。そしてノーザルツ公とクレイグの会話も笑える。

昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ 

『エスケヱプ・スピヰド』シリーズ 九岡 望 



昭和101年夏、廃墟の街「尽天」にて、元女中の少女・叶葉は、かつて軍最強の兵器とうたわれた「鬼虫」の「蜂」の少年・九曜と出会う。
訳あって叶葉を暫定司令として契約を結んだ二人は、ぎこちなくも徐々に心通わせてゆく。
しかしつかの間の平穏な日常は、同じく「鬼虫」である「蜻蛉」の竜胆によって打ち砕かれ——。

ネット上で親しくしている方の中に読んでらっしゃる方が多くてずっと気になっていた近未来ライトノベルのシリーズもの。完結済。
こんなにしっかりしたバトルものを読むのは久しぶりで、正直最初はついていけるかどうか不安だったのですが、ぐんぐん勢いがついてきて面白くなってきて、いやあ、このお話すっごくいい!!
大戦のあと、それでも信念を持って戦う登場人物たちのすがたはそれぞれ格好良く、惚れ込んでしまいました。
いえ、バトル自体は読んでいて最後までほとんど理解できていないんですけれど、それでも全然問題なく面白かったです。


すべての巻の感想を書いている余裕がなさげなので、ダイジェストで。
ネタばれはあまりしないように書いたつもりですが、もし何かあったらごめんなさい。注意して読んでいただけると幸いです。


なにより私の好きなポイントは、主人公の叶葉と九曜のふたりの絆と関係性。
働き者で料理上手で気立てがよくていざというときには並々ならぬ度胸を発揮する叶葉ちゃん、大好きです~。
そもそも私がこのお話にひかれたきっかけのひとつが、「元女中」の少女というキーワードだったのでした(笑)。
ストイックでどこか古風で堅苦しい言葉遣いと態度の少年・九曜も、本当に私好みのヒーローですね!
九曜と叶葉がそれぞれ寄る辺なく寂しい身の上から、徐々にお互いに存在意義を見出してゆく様が、ストレートに胸にきて震えました。
どこまでも無機質で機械的だった九曜が、少しずつ変わってゆくところが好き。実はけっこう負けず嫌いで熱くなるところがあるのも。
叶葉という守るべき存在を得て、最初のうちの不安定さが嘘のように巻が進むごとにぐんぐん成長し強くなってゆく九曜が、もう本当に格好良くって!!

巻が進むごとに蜻蛉と蜂以外の「鬼虫」が登場したり過去話の中で生きていたり、みんなそれぞれ性格が違い何もかも違うんだけれど、お互いがお互いを仲間として信頼し合い共に戦う様が、また格好いいのなんの。
初期の段階で九曜たちの前に姿を現した巴と剣菱が私は特に好きだなあ。
普段飄々としているのに戦いとなるとこれ以上ないほど頼もしい剣菱が格好いい!!
天才科学者でもある変人美女の巴さんもまさに姉御キャラです。どこまでもついていきます。
万字と少女の過去の触れ合いに泣いたし、敵中に落ちてしまった庵さんと楓さんの関係性に泣いたし、あとなんといっても柊ちゃんの明るさとやさしさと覚悟にまたぽろぽろ泣きました。
あと竜胆はやはり鬼虫の中でゆるぎなく最強の皆のお兄さん的存在で、格好いい~!!彼の冷静さと思慮深い性格に惚れ込んでしまいそうですよ。
五巻目の最初の竜胆視点で鬼虫のはじまりから仲間の一人一人のエピソードが追想されていく場面が印象的でお気に入り。
竜胆は確かに鬼虫たち皆の「兄」であったのだとしみじみ胸に落ちました。
かつて人であり、兵器になると同時に過去を捨てた鬼虫たち。彼らの過去のエピソードはいずれもどこか切なくほろ苦い。

非常にやっかいな敵であった「黒塚部隊」。
何度も出し抜かれ窮地に追いやられる九曜たちにはらはらどきどきが止まらなかったですが、敵役たちの信念も徐々に見えてきて、どんな理由にせよ全力で己の意志で戦う彼らは、やはり格好良く強いのは確か。
しかし色々やり方がだいぶえげつないですけどね……そこはまったく共感できない。
日足と久留守の扱い方のひどさはなんか、もう。
しかし朧の正体にはびっくりしました。いや、薄々感じてはいたのかな。
九曜と朧の戦いは緊張しました……。
叶葉の安全がふたりとも第一なんだと分かる7巻目のあの場面がもう、ぐっときますね。
実は因縁の兄弟げんかであった夕馬さんと竜胆の戦いも読み応えあった。

守られる立場の女の子達もみんな迷って成長して頑張ってる姿がやはり格好いい。そして可愛い。
叶葉の友人としてそばにいる鴇子さまも菘ちゃんも、強くなったな。すごい頑張ってましたよ。
あ、あと菊丸も大好きです!九曜と菊丸の戦友コンビもなんかいい。初期で将棋を指しているふたりの場面が地味に好きでした。九曜負けず嫌い……。
鴇子さまの秘密がどう転がるのかと思っていたら、また重いな。
お姉さま、もう本当に届かないと思っていたから。鴇子ちゃん、良かった。
それにしてもお姉さまの「小人の妬心か……」というつぶやきがざっくり突き刺さりましたね。





すべての戦いが終わった後、重い役目からようやく解放された九曜が、叶葉の元に再びやってくる場面が、もうとても好きです。
九曜の率直で強引な殺し文句にごろごろ転がりました。
叶葉も今度こそ本当によかった!お幸せに!!



この番外編集も良かった。胸が痛くなるバトルはほぼなしの日常のお話、この作品こういうのも面白いのです~。
学園ものパロディでもおしどり夫婦を素でいってる主役ふたりが美味しすぎました。
どこまでいっても叶葉がいちばん大事で何があっても守り抜く九曜の姿はぶれないですねえ。ときめきます。
あと叶葉は最高の女中であった!
後日談のふたりのラブラブと残りの人生を楽しんでる竜胆さんとだんだん強気になってきたミナちゃんをなんだかんだ面倒見る井筒と、色々楽しくて、ああ、良かったな。と思いました。
九曜の言葉を受けてのラストの叶葉の台詞がとても素敵で笑顔にあふれていて、いい感じにしめられていました。

なんというか、ロマンがつまって読み応えある、とっても素敵なライトノベルシリーズでした。
出会わせてもらった皆さまに感謝。

カテゴリ: 読書の感想

タグ: 九岡望 

『下鴨アンティーク 暁の恋』白川 紺子 




慧に想いを告げてから関係がぎくしゃくしてしまっている鹿乃。
そんななか、知人に紹介されたのは、蔵の着物に関わりを持つ青年。
彼の大伯母の椿の振袖を蔵から出してきた鹿乃だったが、描かれた椿がすべて落花してしまい——。

『下鴨アンティーク』の新刊を心の支えに最近は生きてきました。
うーん、やっぱりめっちゃ好きやね!何度も読み返しては、ずっと世界に浸りきっていました。
お着物や花や古典文学やひとつひとつのモチーフのロマンティックさやしっとり優雅で美しく流れるような文章、はんなりやわらかく響く方言、京都のたたずまい、そして少しずつ表に出てきた鹿乃と慧のロマンス。すべてがいとおしくてたまらないです。
物語のモチーフを一つのイラストに美しく収め描かれている表紙イラストもやはり秀逸。


ではでは、以下はネタばれもありの感想になります。


前巻がとても気になるところで終わっていた今回。
読み終えて、鹿乃ちゃん、良かった。もう本当に良かった。ほっとしました。
あのラストからまあこうなってしまいますよね、と薄々思ってはいた展開で、鹿乃ちゃん辛すぎるし慧の気持ちも分かるしで、読んでいて痛々しくて見ていられなかったのですが、いやあ、良かったです。
鹿乃と慧の恋の行方が今回のお話のメインで、あと今回際立っていたのは、普段ぐうたらな良鷹お兄ちゃんの活躍っぷり。
良鷹がどれほど鹿乃を大切にしていて彼女の幸せを願っているのかひしひしと伝わってきました。
あと鹿乃のお友達の梨々子ちゃんと奈緒ちゃん、慧のお父さん田村教授、恋敵であるはずの春野さんまで、みんなが鹿乃と慧の関係が上手くいくよう後押ししている感じがして、こんなにたくさんのひとたちがふたりを見守っているというところにも、頼もしく心があたたかくなりました。

不思議な着物をめぐる三つのお話が、すべて、鹿乃と慧の現在の難しい状況とどこか重なるものになっていて。
喜びも苦しみも内包し実ったロマンスを解き明かしていくごとに、ふたりの心や関係も少しずつ変化してゆき……というお話の構成も、素敵でした。
あと今回ますます、鹿乃ちゃんは周囲の手を借りつつもあくまで自分自身で着物のことに取り組み解決していて、確かに鹿乃ちゃんが蔵の管理人、巫女姫だというのも、納得というか、しっくり馴染んできているように思いました。
皆が鹿乃ちゃんに不思議と心を開き胸の内を打ち明けるのも、彼女の資質なんでしょうね。

『椿心中』
慧の返事にやわらかく微笑んだ鹿乃の場面が辛くてやりきれなかった。
そして「だって、生きてるやん」「慧ちゃんは生きてるし、死んでないんやから泣くことやないと思う」(58頁)の鹿乃の台詞が、胸にずしりとくる。鹿乃のために泣いてくれる友人二人の姿に私も泣けました。
満寿さんのたまごいろにかがやく海老ピラフもやっぱりとてもおいしそう。
「あたたかい料理というのは、どうしてこう、ひと噛みごとに胸の内側に染みこんでくるのだろう。」(57頁)
心中のお話は穏やかならず、古代神話の悲恋物語とも重なって、重たくて辛かった。
でもだからこそ、椿を祝福のものと変えたのが素晴らしく、稜一さんと紗枝さんのふたりが前向きな気持ちになれたようなのも嬉しく、そんなふたりに瀧子さんがこれからは力になってくれるだろうということが、心強い。
掛け算の愛、いいですね。鹿乃ちゃんらしい。
良鷹と鹿乃がドーナッツを食べている場面も好きでした。ドーナツとココアがおいしそうでよろめきました。
慧がなぞらえた『椿姫』の一節も胸を打ちました。
最愛の妹を慧に取られたと十年前からずっと拗ねていたらしい良鷹お兄ちゃんが気の毒で可愛かった(笑)。

『月を隠して懐に』
おさるさんがかわいい。
笛の先生と年下の奥様の恋のエピソードを辿り、自身の恋とも重ね合わせて、という鹿乃ちゃんの姿が印象的でした。
慧が母親の実家へ出かけ不在というのもあり、良鷹が本当に大活躍でいったいどうしたんでしょう(失礼)。
確かに、両親と祖父母を喪い一番つらさを抱えているのは、良鷹なんだろうな、と思いました。
鹿乃の髪をゆったり着物をきせかけたりする良鷹さんのかいがいしさといったらもう。
鹿乃さえいてくれればそれでいい、というのがね。泣けますよね。
真帆さんレシピのマヨネーズ入り玉子サンドがやっぱりおいしそうです。あの良鷹が気にいってまた食べたいというのだから相当ですよね。
そして慧が鹿乃の想いを受け入れられなかった原因のひとつは、両親の姿を見てきていたからこそだったのか。
田村先生と慧の旅館にて会話の場面も好きでした。
鹿乃のお守りを心のよすがにしている慧の姿にもぐっとくる。

『暁の恋』
梨々子ちゃんと奈緒ちゃん、良鷹お兄ちゃんが煮えきらない慧ちゃんをそれぞれたきつけにくる場面が好きだー(笑)。
春野さんも、最後までやっぱりよくわからないお人だったけれど、こうなってみるとなんだか気の毒だなあ。
最初は特に本気でもなく鹿乃にちょっかいを出していたけれど、そのうち本気で鹿乃に惹かれたということだったんだろうか。
カイロをふたつ持っていたところが、なんか、春野さん好きだなと思いました。
慧ちゃんの飾り気のないまっすぐな告白と、慧への気持ちは絶対に譲れないと腹をくくった鹿乃のふたり、本当に良かったです。ううう。
美根子さんと和泉式部と梅の帯のエピソードも良かったな。和泉式部の伝説って面白いですね。はるみさんも素敵な女性だなと思いました。
草餅と牡蠣フライが食べたくなってくる(笑)。ツナと白菜の玉子とじどんぶりも想像するとおいしそう!
最後のふたりデートの場面が可愛らしくて幸せすぎました。花尽くしの着物を着て初めてのデート記念に押し花を作ろうかという鹿乃ちゃんが可愛すぎて、それは慧ちゃんもめろめろでしょうと納得でした(笑)。
それにしてもさすがにここでプロポーズが来るとは思わず、早!
でもここで結婚の言葉が出てくるのもなんだかこのシリーズらしいし、生真面目で古風な慧ちゃんらしいし、なによりこれまで同居していて一緒に台所に立ち料理を作っていた鹿乃ちゃんと慧ちゃんはもう恋人を通り越して若夫婦的な空気をまとっていたし、うん、良いんじゃないでしょうか。
鹿乃ちゃんが幸せならば。
「おまえは地面に落ちてるものを拾うのが好きなんだな」
「地面が近いから、目に入るんや。慧ちゃんは地面が遠いから気づかへんのやろ」
なんて241頁のなんでもないやりとりもお気に入りです。

『羊は二度駆ける』
良鷹と真帆さんのお話。良鷹メインのお話はやはり気持ちブラックというか救われないお話が多いかな。白露が格好良かった。
ううん、鹿乃ちゃんが慧とつきあいだして喪失感に囚われている良鷹がなんか報われなくて気の毒だな……。
良鷹のシスコンっぷりが改めてひしひし伝わってきますね。確かに高校二年生でつきあっている彼女に「妹の方が大事」とためらいもなく言ってしまうような人は間違いなく重度のシスコンですよね。
良鷹も真帆さんも、自分たちの関係について、恋愛ではないと迷いもせず否定しているけれど、私は良鷹さんと真帆さんのふたりの組み合わせがとても好きなので、ふたりで幸せになれるといいのになあ、とどうしても思ってしまう。
でもまあ、そもそも良鷹には友人が慧くらいしかいないということだったので、そう思えば今回の真帆さんのラストの台詞は大進歩なのかもしれない(笑)。
さばさばしていて賢くて弁の立つ真帆さんは、良鷹の影のある部分を上手く吹き飛ばして場面を明るくしてくれてる気がして、そういう意味でも相性がよいと思うのですが。
良鷹のビーフシチューが最後に最大の美味しそうな場面でした。

とても幸せな読書のひとときでした。ごちそうさまでした!
きれいにお話がまとまっていて、これで完結とか……ではないですよね。そうですよね?
続きもとても楽しみにしています。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢』望月 麻衣 




突然自分の特殊な力を失ってしまった小春。
その喪失感に加え、想いを寄せていた澪人との関係もぎくしゃくしてしまい、落ち込む日々。
そんな中、モデルとして活躍する澪人の姉・杏奈のスキャンダル報道が流れる。
小春たちは事実無根の内容に憤るが、世間の風当たりは強くて——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さんのもう一つの京都ものシリーズ『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ、最新巻。
ホームズさんシリーズとはまたテイストが違って、女の子らしいはんなり和風ファンタジー小説、こちらも大好き~!!
なんだかもう、表紙イラストがまず美しく可愛らしくて世界観ぴったりで、眺めているだけでうっとり幸せに浸れます。
『桜月夜と梅花の夢』というサブタイトルと相まって、春らしく淡いピンクで桜の花も美しく、小春が着ている服のレースも和菓子もコウメちゃんも、とにかくみんな可愛らしい!大好き!(語彙力が足りない)

このシリーズ、平安時代ものネタ&前世ネタなどもがっつりストーリーに加わってきて、個人的にますます美味しくなってきています(笑)。
過去と現代、それぞれのロマンスが複雑に絡まり合ってきていて、しっとり切なくて、同時にときめいて仕方がないです。
京言葉はみやびで読みやすく優しい文章もいいし、和菓子も相変わらずおいしそう。

前巻のラストで一気に突き落とされて、どうなることかと心配していたのですが。
二重に落ち込みつつも、きちんと自分の気持ちに折り合いをつけて、しゃんと生活している小春ちゃんは、強いなあ。しみじみ感心してしまいました。
吉乃さんと宗次朗さんのさりげない見守りの態度があたたかくて本当に素敵。じんわりきました。

杏奈さんのスキャンダル騒動、一旦あんなに喜んだのにまた叩き落されて辛かったけれど、こちらもまた、彼女の身内の人々の見守る態度があたたかくて、それぞれが適切な距離感で手助けし助言をしていて、素敵だなと。
杏奈さん家の三姉弟のきょうだい関係がなんだか好きだなと思いました。お母さまも出てきて、彼女にも事情がありそうですね。
宗次朗さんの懐深さにしびれました。そして最終的に彼女を追っかけていった宗次朗さんの本心を思うとときめきますね!このふたりは一体どういう風に落ち着くのかなあ。
杏奈さんはあの表裏のギャップが、危うい一方、とても魅力的なひとだなと思います。今回一皮むけたようで、これから強かにいい女に頑張ってほしいなと思いました。

はてさて、前巻から謎だった澪人の胸の内、左近衛大将視点での過去語りもあり、少しは見えてきたかな。
玉椿姫の想いの結末も切なかったけれど、愛する姫を知らず不幸にしてしまったと悔やむ左近衛大将の恋も本当に切ない……胸がぎゅっと痛みました。
若宮の過去のあの発言の真意も語られ、ああ、彼は人ではない「神様」なんだなあ。と。
若宮君が悪いわけではないんだけれど、でも、玉椿も左近衛大将も報われないなあ……。思いを持てあます。
それにしても分からないのが澪人と和人の前世&現世の関係。頭の中にはてなマークがいっぱい(笑)。
和人と小春がやりとりしていたのを誤解した澪人が、小春にあんなに強い勢いであたったのは、どういうことなんだろう。
(ちなみにあのやりとりの後できちんと謝罪する澪人とそれを受け止める小春のふたりが、なんというかきっちり誠実に相手と自分自身の心に向き合っていて、とても好きだなと思いました……そういう意味でもこのふたり、お似合いだと思うんですよねえ。)
前世からつながっている皆の想いが複雑に絡まり合っていてすぐにはほぐれなさそうな感じが、なんか、辛いですね。

小春の力はやっぱり封印でしたか……。
三善君側の事情も分かってみるとこちらも辛い。でも和解できたようでちょっとほっとしました。
力を失っていた小春が、コウメちゃんからの伝言を受け取る場面が、この巻の中で一番お気に入りだったかも。小春ちゃんをひたむきに慕い見守るコウメちゃんのいじましさに心が洗われる思いでした。
安倍さんの不器用なほどのきっちり誠実なたたずまいも、好感が持てる。
あと小春に愛衣ちゃんという親友がいて、本当に良かったな!と色々な場面で実感しました。
占星術のレクチャーは興味深かったです。私もちょっと本読んでみようかな。

ラストあたりの小春と澪人のやりとりは独特の緊張感とときめきが。どきどきしました。
ふたりのぎこちなさがこの巻でだいぶ修復されてきて心の距離もまた縮んだようで良かったです。
なんとか上手くいくとよいのですけれど。
あと若宮君の発言の意味も気がかり。今度は何が起こるんだろう。

ところでこの最新刊を読んでいたのが、実は、京都への日帰りお出かけの高速バスの中。だったりしたのでした。
先月末、かねてから実行したくて仕方がなかった『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの場所めぐり、ついに行ってきたのです!!
当初はこの記事のあとにくっつけようとしていたのですが、見辛いので、やっぱり記事をわけることにしました。

なんというか、この『拝み屋さん』シリーズはやっぱり祇園の町の雰囲気で、『寺町三条』シリーズの雰囲気は、寺町三条のアーケード通りだなあ。と実際に行ってみて感じました。
本で読んでいたのみの世界に実際に行ってみると、物語が自分の中ではっきりと「生きる」感じがして、なんか、楽しいものですね。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

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『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。』友麻 碧 




人とあやかしが共に住まう町・浅草で、前世「茨木童子」だった記憶を持つ女子高生・茨木真紀は、持ち前の面倒見の良さから、今日もあやかしたちの起こす厄介ごとを解決する日々を送っている。
前世での夫で「酒呑童子」であった同級生の甘酒馨たちも巻き込んで、花火大会に山遊び、学園祭に、色々なイベントを駆け巡る真紀。
そんな折、以前の騒動から彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れて……。

『浅草鬼嫁日記』、『かくりよの宿飯』共々楽しみにしていた第二巻目が出ました!
表紙イラストの和装真紀ちゃんと馨くんの構図が格好良く、ふたりの絆を感じさせるのがなんともときめきます。
まさに「青春を謳歌する」と言った感じの真紀ちゃんの不敵でたのしげな表情が良いですね!
(それにしても由理がいないなーと思っていたら、まさか、そんなところに……。)

実際に読んでみてもやっぱりこのお話面白い~!楽しいエピソードや設定てんこ盛り、なんでもありのお話のぶっ飛び具合が絶妙。
なんといっても真紀ちゃんが相変わらず色々な意味で最強で、格好良すぎる!どこまでもついてゆきたい(笑)。
ありとあらゆるあやかしたちに慕われている真紀ちゃん、彼女のこの面倒見の良さと情のあつさ、腕っぷしの強さ諸々鑑みれば、納得……。浅草のあやかしたちすべてのお母さんみたいです。女子高生だけど。
その一方で、前世からの記憶、そして現世での死んでしまった両親のことが織りなす切なくてやるせない雰囲気もあり。
今回は特に、真紀ちゃんのこの明るくてしぶとくて強い面と、もろく繊細で弱い一面の両方が前面に出てきていて、ギャップが印象的だったように思います。

ときに弱さをぽろりと出してもそれでも明るくて強い真紀ちゃんが健在なのは、やっぱりきっと、馨君の存在があるからこそ、なのでしょう。
真紀ちゃんと馨君、前巻に比べていっそう「夫婦」感がにじみ出ていて、当たり前のようにアパート通い婚同居状態で食卓を共にし、将来の話はもうほとんど結婚前提で。
前世から苦楽を分かち合いお互いを知り尽くしてきていて、普通に長年連れ添った夫婦以上にしっくり馴染んでいるこのふたりの距離感が、ときめいてもう……!!ごろごろごろ。
あれですね、馨君が一巻目に比べて夫婦と言われるのに文句を言わなくなり抵抗感も薄れてきている感じなのが、いっそう甘さを強調しているんですよね(笑)。
そして真紀が落ち込んだときに当たり前のように側にいて、彼女の心身すべてを無言で支え守っている馨君がもう本当に「夫」そのもので、格好良くって。じーんときました。台風の夜の場面は特にしみいりました。

やっぱり私は前世ネタ、平安時代ネタが大好物なので、茨姫関係の切ないエピソードがとりわけ胸にぐっときました。
前世での両親がああいう風に終わってしまったからこそ、現世においてちょっと変わった娘でも惜しみなく愛情を注いでくれた両親に、今にしてちょっと複雑な想いを抱いたり、真紀ちゃんの心の揺れが、いじましかった。
あと茨姫が酒呑童子に攫われてから夫婦になるまでの短い過去の回想エピソード、傷ついてなかなか心を開けなかった茨姫に、不器用に愛情を示しアプローチする酒呑童子のふたりの姿に、ときめいて仕方がなかったです。
その後、前世でもやっぱりこんな感じのぶっ飛んだ夫婦になったんだろうなあ。ふふふ。
そしてだからこそ、スイがちょっと言及していた、かつて酒呑童子が先に死んでからの茨木童子のことに思いをはせると、何とも言えずに辛くて切ない。

各種イベントごとはわいわいにぎやかで楽しかったです!
特に盛り上がったのは学園祭。河童の乱舞がすごい……。あとがきも読んで、作者さん、本当にかっぱお好きなんだなあ……愛が伝わってきてこちらも楽しい気分になりました。
大黒先輩の正体が予想以上に大物でびっくり仰天だったり。由理子ちゃんの女装の決まりっぷりと活躍っぷりに盛大な拍手を送ったり。
副会長も最後まで読めばあれで潔いところもあるのね、となんか後味よく終われて良かったです。からっと引きずらない勝負事は良いものです。文化部チームの地味なチームワークお見事だったな。キウイ大福も意外に美味しそう。
由理のおうちの山遊びも良かったな。馨君の水着押しがすごくてびっくりしてしまった……本当に真紀ちゃんと馨君の距離感って独特で時に読めない(笑)。若葉ちゃん可愛かったです。

あとあやかし成分が今回もてんこ盛り!
ペンギン姿のおもちとミカの鳥さんコンビに和みました。表紙のイラストが可愛すぎる。どっちも真紀ちゃん大好きなスイとミカのでこぼこなやりとりも和みました。
真紀ちゃんとミカとおもちでメロンパンのわけあいっこしている場面がお気に入りでした。焼きたてメロンパン美味しいに決まってる~!
神様となっていた牛御前も、お母さま大好きで色々したたかでお美しそうで気にいりました。女は強いですね!
真紀ちゃんにもふもふされて照れているクールビューティー・ルーも可愛い……。彼女のことがうまく収まって良かったな。まさにみんなのチームワークの賜物という感じでした。

陰陽局と、あと津場木茜君の事情も、ちょっと見えてきましたね。
真紀と馨の敵か否か、ちょっと読めない感じがしますねえ。あそこでアルバイトとして現れた馨君まさにヒーローで格好良かった……。ミカの決意も格好良かった。見直しちゃいました。
茜君は、つんつんしているけれど根は素直ないいこだな。
津場木史郎の呪いについてちょっと出てきましたが、読んでもいまいちよくわからない。半分くらいは何かこじつけに思えなくもなく。あれ??(笑)
なんにせよ、茜君と葵が親戚なのは、これではっきりしましたね。葵ちゃん、きっと津場木家がこういう家系であることを、知らないんだろうな。
本当に史郎さん、過去にいったい何をやらかしたのやら。

そんな真紀と馨たちの賑やかで楽しい生活に、ラストで波乱のきざしが。
晴明や源頼光は、過去の茨姫とは、単純に敵味方と言い切れない複雑な因縁があるようで、どう転がっていくのかなあ。気になります。
あと眷属のひとりだったというリンのことも、気がかり。

『かくりよの宿飯』ほどではなくてもやっぱりご飯がおいしそうなこのシリーズ、最初に出てきた真紀ちゃんの冷やし中華や麻婆豆腐ネタに、ひどく心惹かれました。葵ちゃんだけでなく、真紀ちゃんの作る家庭料理もまた美味しそうなんですよね~。
しゅうまいや雷おこしなんかも食べたくなってきました。

続きはしばらく待つことになりそうですが、今からまた楽しみです♪


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