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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『魔導具師ダリヤはうつむかない1 今日から自由な職人ライフ』甘岸 久弥 




「もう、うつむいて生きるのは、やめよう」
魔導具師で、前世からの記憶持ちでもあるダリヤ・ロセッティは、決められていた婚約者から手ひどい婚約破棄を受けて、他人の顔色をうかがうことなく自分のやりたいことをして生きよう、と決意する。
大好きな魔導具師の仕事を頑張って、好きなところに行き好きなものを食べる生活。
彼女が前世の記憶も活かして作りだす魔導具は、人の笑顔を生み出し、ダリヤの周囲には次第にたくさんの人が集まってゆく——。


小説家になろうさんのオンライン小説の書籍化第一巻。
はじめネットで読みはじめたらたいへん面白くて、書籍も購入して読み、さらにネットでその続きも全部読んじゃいました。
(Web版『魔導具師ダリヤはうつむかない』)

かつて日本人として生きてきた前世の記憶を持つダリヤさんが、異世界にて魔導具師のお家に生まれて修行を積み、生活を便利に豊かにする魔導具(日本の感覚では家電製品、かな)作りを仕事として日々を営んでゆくお話。
ものすごくドラマティックな展開があるわけではなく淡々と穏やかな日常が続いていくお話なのですが、面白いのですよ、これが。
何とも言えない独特の味があって、一度やみつきになると、やめられないというか(笑)。
最新話辺りに出てきたするめ……いや違う、クラーケン(!)の干物のようです。かめばかむほど味が出てきます。
Web版はすでにけっこうな長編になっているのですが、毎日少しずつ読み進めて現時点での最後まで、読み切っちゃいました。

淡々と穏やかな日常、というのが、読んでいると安心感があって、かえってこのお話の良きところです。
異世界なのだけれど現代日本と重なっているところは重なっているゆるい感じ、でも日本の生活で家電製品が賄っている部分を、ダリヤが前世の知識を生かして魔導具で埋め合わせをしていくという辺りが、さりげなく工夫されていて、面白い。
言葉にすると簡単そうだけれど、きっとこんなに新魔法具を作りだせるのは、ダリヤだからこそで。
真面目な勉強家で仕事熱心で、腕のいい職人肌、謙虚でさばけた性格のダリヤ、かなり好感度高い女性ですし、格好いいです。惚れ惚れしちゃう。

序盤の婚約破棄のあれこれは、まあ、結果的にダリヤにとっては、これで良かったのだと思います。
トビアスは色々最低ではありますが、あとになって彼視点のエピソードも読んでいくと、なんというか、彼の気持ちも分からないでもなかったというか。
エミリヤも嫌いにはなりきれない。ごく普通の人としての打算と野心ですよね。これからずっとダリヤと比べられつつ生きなければいけない彼女もちょっと辛いよね……といってそんなに同情はできないけど。
何はともあれ、ふっきれたダリアさんの姿が清々しく気持ちが良くって、周りの人達のサポートが心強くて、彼女の新生活をまずは応援。
そして、ひとつの出会いが。

森で行き倒れていた魔物討伐部隊の騎士・ヴォルフを助けて介抱したことから、ふたりの身分や立場、性別を超えた友情と交流が生まれます。
魔導具好きのダリヤと魔剣好きのヴォルフ、趣味が被っているふたりが一緒に楽しそうにおしゃべりし時を共有している場面が、なんとも良い感じです。
特に美味しいものを一緒に食べている場面が好き。
チーズフォンデュの場面は特に印象的でお気に入りだったので、書籍でイラストが付いて嬉しかったです。
ものすごい美貌の青年なのだけど美貌すぎて薄幸の人生を歩んできたヴォルフ。
彼のためにダリヤが妖精結晶の眼鏡を作って贈るところが、やっぱりとても好きだな。
彼女が眼鏡を作っている場面の真摯な横顔のイラストも秀逸。
ふたりの友情と、ほんの少し糖分があるかないかの関係が、たまらない~!
読み進めていくごとに、ヴォルフの方は特に気持ちがあるのだと思うのだけれど、彼の中ではやっかいなトラウマがあるというか、なかなか具体的な方向には進まず、もどかしい。
ダリヤも婚約破棄とかあったから恋愛事を避けている感じがありますからねえ。
でも無意識に?嫉妬して周囲を思いっきり牽制しているヴォルフはちょっと隠せてないよね。
あまりこじれずにうまく収まってくれるといいのだけれど。
身分の差もやっぱり大きそうですしね。
さあ、どうなる??

幼馴染のイルマとマルチェラ夫婦、ギルドのガブリエラさんにイレネオさんにドミニクさん達、みんな頼もしくていい人で心からダリヤの味方で、読んでいて心強いです。
特にガブリエラさんは女傑と言いたい感じ。どこまでもついていきたい!
あとダリヤもすごいけれど、彼女の亡き父カルロさんも相当すごい人だったんだろうな。とエピソードの端々からにじみ出る優秀さとお人柄が良い感じです。
ほとんどエピソードとしても出てこないダリヤのお母さんもちょっと気になりますが。

あとこのお話の欠かせない魅力のひとつは、食べ物だと思います。
一見グルメもののお話にはみえないのですが、なかなかどうして、読んでいると至るところでおいしそうなものが出てきて、おなかが空いてきます。
最初に出てきたイルマのお手製サンドイッチや森の中で食べたパンとチーズとソーセージの素朴な昼食から、なんでもない日常の食べ物なのに、描写の端々から美味しさが伝わってくる!
ガブリエラさんとダリヤで食べていたパンケーキもおいしそうだったし、屋台の軽食もほどよい異国情緒があって魅力的でした。
いちばんはやっぱりチーズフォンデュだったかな。
Web版の続きまで含めると、ヴォルフのお土産シュークリームやひきにくラビオリもどき、チーズケーキ、あと紅牛とかクラーケンもなかなか興味をそそられます。
ダリヤとヴォルフの酒飲みコンビの食卓なので、美味しいお酒も豊富。

先のエピソードまで含めるとオズヴァルドさんのエピソードとかお気に入りです。三人の奥さんと仲良く暮らしているってなんというか具体的に想像できないけれど、でもすごい。
ヴォルフのお母さんの過去エピソードはなかなかシビアで辛い。
お兄さんと少しずつ関係修復できてきているようで、良かったなというところです。

書籍版の良きところのひとつは、なんといってもイラストだと思います!
ヴォルフの水も滴る美形っぷりがイメージ通りに描かれていて素敵です。色気も漂ってきてます。
ダリヤやイルマや生き生きと元気な女性陣も可愛らしくて美人で素敵です。
眼鏡っ子のダリヤも可愛くて好きですけれどね(笑)。
あと表紙のスライムがかわいそう……なのかな?


Web版も書籍版も続きを楽しみにしています。
私はやはり少女小説読みなので、ダリヤとヴォルフの二人の仲の進展が、気になる!!


この二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オンライン小説

タグ: 甘岸久弥 

最近のオンライン小説読みの記録(2018年春~秋編) 

日々ちょこちょこ読んでいるオンライン小説の感想メモまとめ記事です。

響空の言祝コトカゼ 青嶺トウコさん
歌鳥の民の少女・ハフリは、内気な性格と音痴ゆえの劣等感に苛まれ日々を過ごしていた。
そんなハフリの前に現れたのは、翼持つ金色の獣を従えた少年・ソラト。彼に導かれてハフリが目にしたのは、今までとは何もかもが違う土地と人の暮らしぶり——。
完結済。
土と風と空の香りが読んでいると感じられるような、歌鳥と山鳥の地、それぞれの土地の描写がやわらかでみずみずしくて印象的。ていねいに重ねられてゆく情景描写が素敵なのですよ。
爽やかな直球ボーイミーツもののお話。
長い前髪に隠れて世界をおそれて縮こまっているハフリの気持ちに共感し、ソラトに連れられて行った山鳥の地でも最初はすんなりなじめずじたばたして、上手くいかないことばかりで、それでもがんばって人とも触れ合って真心を信じて、読んでいて彼女のことめちゃくちゃ応援してしまいました。
不器用にハフリのことを思いやるソラト君も格好いいヒーローです。番外編の彼視点ではそんなことを考えていたとは!とちょっと笑ってしまった。彼もひとりの若者なのだな。
気が強くはじめはハフリにちょっと衝突していたツムギさん、親切で頑張り屋で不器用で、彼女の事も読んでいくごとに好きでした。
彼女にも幸せになってほしい。
作者様とは、小説を読ませていただく以外にもいつもTwitterで仲良くさせていただいていて、ありがたいです。


生協の白井さんと御曹司』爾月吾華さん
大学生協の食堂の職員白井さん、ある日、職場に設置されたご意見箱への返信係を任されて——。
連載中。
社会人の若い女性が主人公の、ゆる~いタッチで楽しめる、お仕事ものラブコメ、かな?最近はなかなかラブが出てきたかな。
ちょっと世間ずれした真面目でお人好しで仕事熱心の白井さん、すごく好きです。
彼女のご意見箱の意見への返信が本当に丁寧でいい感じにずれてて、おかしみを誘うしにじみ出る人柄の良さに癒されます。
名古屋モーニング、生協でできたら、すごい!
感じの悪い御曹司が途中で出てくるのですが、鈍感な白井さんには色々全く気付かれていないのが微笑ましくもどかしい。
菜々さんと白井さんの友情も和みます。
缶詰のお店デート(?)が楽しそうで私もちょっと行ってみたい。


雨の下の花』雪本さん
ミラが男装して仕えるのはアクアディール公爵家の嫡男・リューベルハウト。
顔と身分は極上だが性格は傲岸不遜で救いようのないブラコンの主人の結婚を危ぶみ、嫁候補探しを密かにはじめるミラ。
完結済。
男装の生真面目で有能で訳あり美少女が頑張るお話!に惹かれて読みはじめてみました。
前半パートはラブコメっぽいノリだったのですが、ミラについてのある重大な秘密が明らかになってからは、シリアスで時に痛々しい展開になってゆきました。
出生からがんじがらめで優しさゆえに枷から逃れられないミラがもう本当にかわいそうで、彼女の幸せを見届けたくて一気読みしてしまいました。
リューベルハウトは後半特によく頑張ったと思います。格好良かった!
なんだか親世代の愛憎劇が主人公世代を時に霞ませるくらい濃かったような(笑)。リューベルハウトのご両親夫婦が好き。
リュシオンとレナディアにも上手くいってほしいな~。ミラに憧れ自分の才覚で未来をきりひらく女の子レナディアが大好きです。


プランナーさんと!【改稿版】』鞠坂小鞠さん
家の事情でバイトに励む勤労学生・真由の憧れの人は、バイト先の結婚式場のウエディングプランナー・都築 陽介。
ある日、バイト仲間に陰口を叩かれていると知った真由は、休憩中に一人で泣いていたところを陽介に見つかってしまう。
涙の理由を聞いた陽介は、真由にある提案を持ちかける。
完結済。
生真面目で苦労性でがんばりやの大学生真由ちゃんと、彼女を見守る社会人ウェディングプランナー都築さんの二人の年の差オフィスラブコメ。
私好みの要素しかない(笑)。
めちゃくちゃ面白かったです~!最後まで一気読みしてしまいました。
R15指定で、けっこう甘々。
年の差カップルの二人ですが、お互いを対等に尊敬し合っていて、すれ違いがあってもお互いに努力してずれを修復してゆくあたり、いいなと思いました。
最初のイメージより都築さんに余裕が全然なくって、読んでいてにまにましてしまったというか、可愛らしかったです(笑)。
真由ちゃんは本当に天使のように善良で可愛らしい女の子で、ひかえめだけど芯が通っていて、仕事熱心で職場の評価も高いし人気もあるし(本人は意識していないけれど)、都築さんの溺愛や苦労も分かろうというものです。
結婚式場のお仕事ものとしても楽しんで読めました。都築さんもお仕事には真面目でどの人もとにかく非常に忙しそうです。
私は真由ちゃんの新しい業務の先輩になった、朗らかで気遣い上手でときどき妄想スイッチが入る仁藤さんがお気に入り。彼女視点の番外編がかなり好きです。
真由ちゃんと都築さんのすれ違いの発端になった事件はなかなかヘビーでずんときましたが。あとでとことんまで追い詰めた都築さんの報復が鮮やかで怖かった……。
都築さんのお姉さん郁さんもいい味出してて好きでした。


僕とエリナの、最後の半年間について』柳坂郁(鞠坂小鞠) さん
自分が死ぬ日のことを幼いころから知っていた少年と、死期のカウントダウンが一年を切ったころから彼に付きまとうようになったクラスメイトの少女の、二人が繰り広げるお話。
完結済。『プランナーさんと!』と同じ作者さんのお話です。
シリアスで時に痛くてでもいとおしい、青春ボーイミーツガールもの。
中編くらいの長さで、バランスよくまとまっていて一気に読んでしまえます。
はじめは反発し合っていた二人が、関わり合ううちに心を許して、それぞれのためにとった行動が、じーんと胸を打ちました。
徹底的に何もかも諦めていた井荻君の変化とやさしさに泣ける。
エリナさんのご両親とのエピソードが特に印象的だったな。お父さんとお母さん、本当のところ、どこまで真実を教え合っていたのだろう。


気になっているお話はもっともっとたくさんあるのですが、やはりいつまでたっても追いつかない(笑)。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オンライン小説

『かくりよの宿飯九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。』友麻 碧 




『かくりよの宿飯』シリーズ第九弾。
黄金童子様に導かれて北西・文門の地でようやく大旦那様と再会を果たした葵。
大旦那様は拍子抜けするほど普段通りの様子で、つかの間の穏やかな日々をすごすふたり。
「お弁当と引き換えに、真実を、一つずつ教えよう——」大旦那様の提案により、大旦那様の過去、祖父との関係、そしてかつて自分を救ってくれたあやかしの正体等、葵は真実を手にしてゆく——。


『かくりよの宿飯』シリーズ最新刊。
サブタイトルがシリーズの核心をついてきていて発売前から色々内容が気になるところでした。
そして今回の表紙!なんというか、ここ最近の「大旦那様を探せ」的な、キャラがにぎやかに勢ぞろいな表紙と、全然違う!
どこからどうみても完全な、大旦那様と葵ちゃんのツーショット!微笑み合って幸せそうなふたり。
しかもさりげなくペアルック……とかどきどきときめきながら、ふたりが穏やかに幸せそうに寄り添っている姿が、とても貴重なものに思えて、あまり茶化したら悪いな、という気持ちになるといいますか、じーんと浸ってしまいました。

さて今回のお話、大旦那様の正体から史郎おじいちゃんと大旦那様の馴れ初めから、葵ちゃんと大旦那様の過去にいったい何があったのかまで、これまでのシリーズの根幹をなしていた謎の数々が、葵のお弁当と引き換えに、どんどん明らかになってゆく一冊でした。
怒涛の大旦那様ターンです。
すっごく読み応えがあって、すっごく面白かったです~!!!
とにかく最初から最後まで大旦那様と葵ちゃんがラブラブで仲睦まじくて、今までシリーズを読んでいて、大旦那様派として若干物足りなく思っていた部分が、すっかり満たされてしまいました。しあわせ。

さて今回の感想はネタばれ含みということで、続きは追記に収納いたします。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『腐男子先生!!!!! 2』瀧 ことは 




女子高生腐女子の朱葉と、イケメン生物教師ながら裏の顔は腐男子かつ朱葉の信者・桐生。
なんだかんだいいつつ秘密のオタク活動にいそしむふたり。
朱葉の熱心な後輩フォロワーが現れたり、新学期で二人の関係も変化したり、変わり者の同級生が絡んできたり、なかなか平穏にはいかないふたりの明日は一体——。


この夏のはじめくらいに読みはじめて、見事にすっころんではまりこんだ『腐男子先生!!!!!』、書籍版の二巻目が、発売されました~!!
おめでたいです~!!素晴らしい!!!
一巻目の発売から結構間が空いている感じなので、この二巻目が今になって発売されるのって、昨今の出版状態を鑑みてかなりすごいことなのではと思います。良きかな良きかな。

二巻目の部分、Web版(『腐男子先生!!!!!』を最後まで読んでいる私にはほとんど既読の内容ではあるのですが、全然問題ないですね!
何度読んでもたのしいですこのお話。紙媒体でもう一度ストーリーを追えるのしあわせすぎる。

結城あみのさんの可愛くて格好良くてイメージぴったりのイラストがふんだんに挿入されている、贅沢仕様です。
キャラのちまっとミニサイズのイラストが、特に私、好きなのですよね。
巫女姿の朱葉ちゃんとキング、バレンタインイラストを描く朱葉ちゃん、……諸々、美味しすぎる。
あと先生の格好いい姿がばーん!!とアップされているイラストもやっぱり素敵です。いちばんはカラー表紙ですかね、出張りすぎですよね先生。(というか、一巻目に引き続き表紙にヒロインがいないよ……タイトル的には正しいのでしょうが。笑)

あとがきに書いてあった、Web版とコミックス版と書籍版、全部違うのが、読者的には一番うれしいって、まさにその通りすぎる!!!
今回の書籍版も、Web版とほとんど同じお話かな~と楽しんで読んでいたら、最後の最後で、まさかの糖分増量があり、ときめきのあまり倒れそうでした。読者サービスがすごい。
あと信者なので、アニメイト版の特典ももちろん手に入れましたし、電子書籍版のショートストーリーを読むため電子書籍版も買っちゃいましたよね。後悔は全くしていないです。特に電子書籍版のショートストーリー、桐生先生視点のラブがあって最高でした。ごちそうさまでした。
コミックス版と書籍版の連動特典のオーディオドラマも聴きました。桐生先生の渋くて格好いいお声で繰り広げられる怒涛のオタクトークにあげはちゃんの絶妙の突っ込み、聞けば聞くほどイメージ通りで、これまた最高でした。

というか二巻目が発売されてからWeb版の番外編更新&限定特典ストーリー&その他諸々を読み返しループにはまって未だ抜け出せていません。
いろんな時間軸を行き来しているので混線しつつもやはり楽しくやめられない。


さて、まずは二巻目の感想をちょこちょこっと。

相変わらず毎回ラブになりそうでするっと抜けていく脱力感、でもとっても楽しく仲良さげなふたりのオタクライフ、そして思いがけないところから出てくるラブっぽい要素、そういうときにかぎってオチなし。
……この繰り返しが切れよくテンポよく書かれており、じわじわじわ~っとふたりの距離も縮んでいないようで縮んでいるような、このもどかしさとときめき感。
ちょっと外見はかわっているけれど、まさに王道学園少女小説ラブコメです。きゅんきゅんです。
残念なオタクだけどやっぱり格好よくあげはちゃんを大人の立場で守ってくれる先生いいひとだし、何より賢くてお人好しで優しい朱葉ちゃんが最高のヒロインすぎる。
実際読んでいて、心の中で私がつぶやく感想の半分以上が、あげはちゃんかわいい!!!ですから(笑)。
コミックス二巻のあとがきにあった、先生の残念な部分が朱葉ちゃんとのつきあいによって段々矯正されていく、というのが、正しいんだろうな、やっぱり。
先生の中の、朱葉ちゃんが誰より一番大切で守りたい存在、という気持ちが、読んでいてじわじわ伝わってくるのが、いいんですよねえ。これ。
(この辺は電子書籍版の特典を読んでからさらに味わい深くなりました)

二巻目のストーリーのお気に入りは、巫女さんのコスプレとコラボカフェのお話かな。
キングと秋尾さんは相変わらずインパクトすごすぎる……サクラティーラテ、確かに可愛い。私もきゅんときてしまいました。
コラボカフェのイラストの場面楽しそうでいいな。甘い場面が一旦台無しになったと思ったらまさかの糖分ましまし、いや~何度読んでも楽しいです。
キングの信者夏美ちゃんの場面も微笑ましいです。朱葉ちゃんのオタク友達夏美ちゃんもまた、本当にいいこです。
咲ちゃんと九堂さんの関係も、だいぶ変わっているけれど微笑ましくて良いですよね。
登校拒否している咲ちゃんの家庭訪問した先生と朱葉ちゃんのオタクトークがまさに天の岩戸みたいでちょっとおかしかった。
先生が担任となりふたりの接点も減ってしまい……というところに、ひょんなところからふたりの新しい居場所ができて、メンバーも増えているけれど、ますますふたりとも楽しそうなので、良いのです~。
朱葉ちゃんのピンチに即座にかけつける先生も格好いいのひとこと。
Twitterの使い方がすごすぎる。確かに先生の方がよっぽど怖いストーカーだよな……。
そして都築君、なかなかイメージ通りのチャラいイラスト姿(笑)。

そして最後のカラオケのお話、ぷらす、膝枕。
Web版の膝枕のお話も、もともとお気に入りだっただけに、たまらない!
これは書籍版の三巻目がどういう風に展開していくのか、早くも気になりすぎるー!!
え、出ますよね、もちろん??(笑)

『腐男子先生!!!!!』変わり種ながら、根本は先生と生徒の恋のお話なのですが、いわゆる禁断の、という影の雰囲気が不思議となくて、いつも明るくのびやかに楽し気なところが、このお話の魅力のひとつだとつくづく思うのでした。
先生も朱葉ちゃんも真面目で踏み越えるべきでないところはしっかりわきまえてるしね。そこが安心してラブコメに浸れるポイントかも。
秋尾さんのアドバイスも毎回力強いし。
彼女とのオタクライフを満喫しつつ、彼女の幸せを何より大事にしていて、彼女が卒業したら、という、先生の気の長い愛情が、なんだか、心にしみますね。(ちょっと二巻目部分より先の内容に踏み込んじゃってるかな)

限定特典の感想とWeb版の後日談エピソードの感想もちょこちょこっと書きましたので、これは追記に収納いたします。
時間軸が色々入り乱れて好き勝手に語っているのでネタばれご注意を。




コミックス二巻目も楽しかったです~。
やっぱり『泣かないで、先生』のお話が好き。あげはちゃんの気遣いが初期から最高。


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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 瀧ことは 

『今日も魔女を憎めない 思惑だらけのロイヤルウェディング』時本 紗羽 




小国エスティードには、不老不死の恐ろしい魔女がいる。18歳の絶世の美少女の魔女の名はシエラ。
魔女に恐れをなした国王は、魔女を王子ゼロサムの妻とした。
魔女が王子を呪いで自分と同じ不老不死の身体にしたため、王子は国王となり月日を重ねても18歳の姿のまま。
国王の娘も成長し18歳になったある日、他国の第三王子がエスティードを訪ねてきて——。


コバルト文庫の新作読み切り。
美しく色っぽい表紙イラストと意味深すぎるあらすじと作品設定に惹かれて、手に取ってみました。
絶世の美少女姿の恐ろしい魔女と、魔女に呪われた王様、そして側室腹の王女様、同じ18歳の王室の三人を巡る、おとぎ話風味の少女小説ロマンス。

他の方も書かれている通り、確かにどんな感想を書いても、ネタバレになってしまう……!!
なかなか意外性に富んでいたというか、良き少女小説でした。
あとがきを読んで、作者さんが高校生の頃から温めてきたお話だと知り、納得しました。
なんというか、物語やキャラクターひとりひとりへの、作者さんの愛情を感じる。
少し荒削りなところや不完全なところも読んでいてぽつぽつあるように思うのですが、それもすべてふくめて、作品の魅力なのかなと思えました。

魔女と王様のロマンスは、とはいえ少女小説の王道だと思います。大好物です。
シエラとゼロのふたりのシチュエーションが、すっごく好きでした!!
真面目でがんばりやで愛情深い王女様ハイネも好きです。ハイネって名前の響きが良いと思うの。

コバルト文庫にしてはほんのり大人風味のロマンス。
「ほんのり」なので、いわゆるTL小説が苦手な人でもぎりぎり楽しめる、と思います。
なんだかそういうのも新鮮な感じで読みました。

という訳で、追記以下に、ネタバレ込みの感想を少々書き散らしていこうと思います。
このお話はみなさんおっしゃっているようにネタばれなしで読んだ方がきっと面白いので、未読の方はご注意を。

あ、あと作品設定が少し似ている『Unnamed Memory』という大長編オンライン小説があるのですが、お気に召した方はこちらもどうでしょう……!!
どちらかの作品がどちらかに比べてどうとか言うのでは全くなく、それぞれの重なる部分と違う部分を読み味わって、一層両作品への愛が深まるのでは、と私は勝手に思っています。
こちらは呪いを受けた王子様が、解呪を依頼するため、世界最強の魔女の元を訪ねるところからはじまるものがたりです。




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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 時本紗羽 

『京洛の森のアリスⅡ 自分探しの羅針盤』望月 麻衣 




『京洛の森』で本屋の店長として、新しい暮らしをはじめたありす。
しかしある日想い人の蓮が、突然老人の姿になってしまう。
戸惑うありすは彼を病院に連れてゆくのだが、その帰り道に、元いた世界から迷い込み老人になってしまった女性二人と出会い——。


『京洛の森のアリス』第二弾です!!
一巻目がとても好みなお話だったので、続きが読めて嬉しいです。
庭春樹さんのパステルカラーのファンタジックな表紙イラストがとても素敵で、読む前からワクワクドキドキ楽しくなってきちゃいます。
きれいなピンクのお花もお茶の準備をするナツメも本を読むハチスも、山羊さんも大きな猫さんも、読み終えて改めて眺めると物語のキーポイント。
お着物にふりふりのエプロンのありすもかわいらしい。

一巻目同様、京洛の森の独特の仕組みやファンタジー世界観が、読んでいてたいへん楽しい。
現実世界の京都と重なりもありつつ、現実世界では難しいことが、魔法のようになんなくしゅっとできてしまったりすると、びっくりしちゃいます。値段を気にせず美味しい中華料理をお腹いっぱい食べている場面が楽しかった。(←食い意地が張っている私)
しかし、ある意味理想郷な「京洛の森」ですが、一歩間違えると、めちゃくちゃ怖い世界だな。というのも、改めて。
思えば『ふしぎの国のアリス』だって、そういうお話ですよね。(私は子供の頃アリスの物語が怖くて読み返せなかった)
「自分を偽らない」って、物語として読んでいるだけでも、簡単なようでとてもとても難しいことだと思います。
蓮のこと、そして春香さんと夏美さんのふたりのことでは、色々考えさせられてしまいました。
それでもひたむきに前向きにがんばるありすと蓮、見守るナツメ、彼らの姿に読んでいる私も元気になれるような、基本明るくてのびやかな空気につつまれた、すてきなおはなしでした。
想像の余地がある物語って楽しいですよね~。


以下若干ネタばれあり感想ですので、お気をつけて。


幼い日からの想いを通じ合わせた蓮、そしてふたりを見守りサポートしてくれるナツメとの、「ありす堂」での共同生活、スタート。
蓮とありすの初々しいカップルのやりとりに、読んでいてほのぼの微笑ましくなっていたのですが。
甘い雰囲気に浸りきる前に、連の身に、大事件が。
こんな一見わがままで自分の好きなように生きている感じの蓮でも、そういうことになっちゃうのか~。
いやいや、そうじゃないよな。ありすのことが大切で守りたくてずっとそばにいたかった彼だからこそ、歪みを抱えちゃったんだよな。
想いあってる男女が単純に一緒に暮らせない事態も起こりうるって、なんてシビアな世界なんだ。
と、ちょっと戦慄してしまった。
どっちも心から充足感を得られていれば何の問題もないけれど、あれ、でもどちらかが少しでも心に無理をかかえているとしたら、愛し合っていたとしても別の仕事を持って別に暮らした方が、本当は良いのか……?
……色々ぐるぐる考えてしまいました。

そしてもうひとつ、春香さんと夏美さん、ありす達との、出会いと関わりと。
見事に対照的な道を辿ってゆく二人に、これまた考えさせられました。
春香さん本当にお花屋さんが似合うなあと思いました。生き生きした彼女の姿が拝めて良かった。
夏美さんのスタイルも、京洛の森には合わなかったのだけど、物語として否定はされていなかったのも、良かったと思います。
菖蒲姫のヘルプに呼ばれていったときの夏美さんは、格好良くて有能で良き魔法使いでしたもの。
春香さんと夏美さんの友情、女同士の友情に多かれ少なかれこういうのってありますよねえ。
最終的にはふたりそれぞれ幸せな道を見出してその道に進めそうで、ふたりの友情も損なわれていなくて、良かったです。
ありすの立場からのアドバイスも、むずかしかった!!
彼女の側に大人の落ち着いたナツメさんがいてくれたのがいつでも心強かったなと今回思いました。

連の方も、ありす堂の仕事とは少し距離を置きながら、自分のやりたいことを見出していってくれました。
そっかあ、本を作る人か!!それはいい!!
マダムの物語に遠慮なしにばしばしダメ出しをしている場面がおかしかった。でも彼は物語への愛情もまっすぐにぶつけてゆくものだから、読んでいて気持ちがいいなあ。マダムがほだされる(?)のもわかる。
しかもありすの仕事にも関わりがあるのが、なんというか、読者的にはやっぱり嬉しいわけです。
これならふたりこれから、関わり合って側にいられるということにつながりそうですし。
第一王子としての役割にひとつの決別の答えを出したのも、良かったなと思いました。
柊君、できた弟さんだな……感心してしまいました。

やっぱりこの世界でも、ロマンス小説は女性に好まれるのね、とうんうん頷いて読んでいました。
京洛の森に本が届くシステムがやはり独特で、そういうことか~。面白いです。
私的には、『ジェイン・エア』とか『赤毛のアンシリーズ』とか『落窪物語』とかも推したいなあ。(勝手に考える)
『月の見えない夜に咲く花』も、素敵ですねえ。私も読んでみたくなりました。
そして確かに、どうして今までこの世界では、本屋さんが存在しなかったのだろう?
ふしぎ。
そしていつもおだやかにありすと連を守って側にいてくれるナツメのことも、じわじわとふしぎに思えてくるのです。
いつかもっと謎が解けてほどけてゆくといいな。

アカシア先生のバイオリンと過去の恋物語がまさかそうつながるとは!!
ロマンティックで、月夜にひとりぼっちで見ていた悲しい夢の続きから、ようやく目覚められたような。すてきでした。
現実は小説より優しかった。
マダムのツンデレっぷりが可愛らしく思えました。ふふふ。
あと紅葉さんや牡丹さんたちともちらりと再会できてうれしかったり。
亮平さんも、やっぱり蓮が悔しくなってしまうのも分かる、頼もしくて格好いい人です。男の子は特に憧れちゃうのかな。
お話に出てくるめぐみさんがやはり素敵でした。
あと、山羊さん二人組がかなり印象的でした。『狼と七ひきの子ヤギ』、改めて読むと確かに残酷ですよね……お気に召して良かった。

三巻目もきっと読めますよね??
望月麻衣さんのもうひとつの「京都」を舞台にしたものがたり、楽しませていただきました♪
できれば初々しいカップルにもう少し進展がほしいかも(笑)


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣