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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『浅草鬼嫁日記五 あやかし夫婦は眷属たちに愛を歌う。』友麻 碧 




前世で鬼の姫「茨木童子」だった女子高生茨木真紀は、かつての夫で「酒呑童子」だった天酒馨、「鵺」だった夜鳥由理彦と、次第に身の回りに集まってきたかつての眷属たちと共に、人として、愉快でまずまず平穏な日常を送っている。
京都の地で千年前から過去を今一度見つめ直した真紀と馨は、今までとは少し距離感が変わってきていて。恒例行事のバレンタインのチョコの準備にも思うところがある真紀だが——。


『浅草鬼嫁日記』の新刊~!!今回も楽しみにしていました!!
今回の表紙イラストも素敵です。
桜が美しく咲く浅草の街を、笑顔でたわむれる真紀ちゃんと馨君、眷属たち。
真紀ちゃんとおもちちゃんが最高に可愛らしい!
(多分)イラストでは初登場の熊ちゃんが、けっこう今どきのお姉様というスタイルで格好良く素敵!虎ちゃんはわりとイメージ通りで彼も素敵!
そして皆を後ろから見守るスイの大人びたおだやかな表情が、物語をラストまで読んだ後に見返すと、しみじみ染み入ります。
(さらに遠くから見守る不機嫌そうな凛音君も、なんだかんだ真紀ちゃんへの愛情が伝わってくるよう)

今回はシリアスモードだった三巻、四巻目に比べて、いつもの皆の基本のほほんとした日常パートがメインになった、箸休め的な巻だったでしょうか。
タイトル通り、真紀ちゃんと馨君と、眷属の皆さん方の昔から揺るがない絆が、前面にぐっと押し出されていました。
千年たっても酒呑童子と茨木童子のふたりに忠誠と愛情を注ぎ続け、人として生まれ変わった二人の幸せを心から願う、一途で強く頼もしいあやかし達に、しみじみ心が温かくなりました。
そんな彼らに対する真紀ちゃんと馨君の想いも素敵です。ぐっときてしまいます。皆の頼れるお姉様で女王様な真紀ちゃんが最高に格好良すぎる。初期に比べて酒呑童子であった自分を自然体にすっと受け入れている馨君の姿もいい。

そんなふたりですが、今世ではとりあえず、ぴちぴちの十代の高校生でもあって。
バレンタインデー関連で、改めて、お付き合いをはじめましょう。という流れに、このふたりだからこそ、きゅんとときめいてしまいました。
照れ屋な馨君の方から言い出したというのがまた微笑ましくときめきますね!
チョコブラウニーといい、ファミレスでのメニューの選択といい、ふたりともお互いの好みを当たり前のように知り尽くしていて、ふたりの今世でも積み重ねてきた絆を感じます。
真紀ちゃんが普通の男の子に告白された!ということで、馨君はかなり動揺したんだろうな。
(そして今までは確かに馨君がそれとなく真紀ちゃんの身辺に目を光らせていたんだろうというのも、納得。絶対そうだ)
真紀ちゃんに普通の女の子のお友達ができて楽しそうにしているのも、読んでいて嬉しいなーと思います。

本文中にもあったように、今までは真紀ちゃんがあえて横暴に鬼嫁っぽく振舞って馨君の尽くし体質を押えていたのでしょう。
それが今まで通りの振る舞いがいまいちできなくなってしまったという真紀ちゃんが、なんだかとても可愛らしいなと思ってしまいました。今までの振る舞いにも茨木童子の千年越しの愛情をひしひしと感じてぐっときますが。

由理彦君が今までと立場がガラッと変わって、なんだか性格もちょっと変わっていて、面白かった(笑)。
叶先生のところでこき使われていて大変そうだけれど、なんだかんだ式神たちにも可愛がられているようで、とりあえず、よかった、かな。スマホのメッセージに個性を感じて笑ってしまいました。
私としては葛の葉さんがお気に入り。ミクズの肉親だったとは!
ああでも、若葉ちゃん達も、くもりなく元気で暮らしているといいなあ。

スイとミカのでこぼこ兄弟眷属コンビもだいぶ馴染んできましたねえ。
ふたりとも相変わらず揺るぎなく茨木童子様一筋でまったく隠そうともしないのが、微笑ましくて愛おしいです。
スイの仕事は相変わらず多岐に及んでいました。あの薬の正確性にはびっくり……。
人魚のエピソードは切なかった。そしてこれは確かに真紀ちゃん達とあやかし達の生きる年月の違いを考えてしまう。ミカ君泣ける……。
熊ちゃんと虎ちゃんの、酒呑童子とのまさに気の置けない「お頭」と「子分」な関係も、やっぱり好きだなと思います。
熊ちゃん視点の裏エピソードが今回かなりお気に入りでした。彼らの静かな本気の戦いにふるえました。やっぱり分かっていた馨君とのやりとりも。
まんがを描くことで、彼らはかつての狭間の国を、いま一度、共同で作り上げているのだなあ。それもしみじみすごいことだ。

大和さんの気になる裏事情、大黒先輩との七福神めぐり、平和な日常の中に少しずつ染み出てきている不穏な空気。
とりあえず大和さんの疲れっぷりがちょっと気になる。
真紀ちゃんの苦境に颯爽と現れ遠回しに真紀ちゃんを救っていった凛音君、やっぱり今でも真紀ちゃん愛してますよね?
ううう、やっぱり凛音君の真意も気になります。きっと悪い子じゃないんだよな……。

バレンタインデーではじまったので、ホワイトデーでしめる。いかにも人の世っぽくていい。
九龍球っていかにもスイのイメージぴったりな中華系の手が込んだスイーツですね、素敵……!!!
あ、今回も浅草美味しいもの巡りが堪能できて、楽しかったです。ほっくり蜜の染みた大学芋食べたいな~。

そして最後はスイこと水連視点の語り。
三巻目でスイこそが茨姫を鬼にした元凶だとさらりと描かれていてさらりと衝撃的でしたが、今ではすっかり茨姫に忠実でむしろお父さんのような愛情を注ぎ続けているスイ。改めてぐっときてしまいました。
かつてのスイをこてんぱんにぶちのめした茨姫の台詞が格好いいな!そして確かにスイのあやかしとしてのあり方や頭脳はその後ずいぶん皆の助けになったんだろうな。
今回スイはかなりのピンチに置かれていますが、どうなるのでしょう……。
そしてまさかの木羅々ちゃん初登場。よ、読めないキャラだ……。茨姫の四眷属であったからには頼もしいあやかしなのだろうと期待しています。

今回の敵「狩人」?は、厄介そうですね。というか、ミクズが陰で暗躍しているの?なんて懲りない女狐なんでしょう!!
あと気になるのが真紀ちゃんの「出会い」と馨君の無自覚だという「嘘」ですかねえ。
色々気になります。続編は少し間が空きそうですが、早く読みたいですー!!

コミカライズも一巻目を読んでみました。
初期の鬼嫁な真紀ちゃんがなんだか新鮮です。そして大旦那様の出番が何気に多くてほくほくしてしまいました(笑)。
真紀ちゃんも一度、葵ちゃんの手料理を食べる機会を持つとよいと思います。
彼女たちは実際に会えば意気投合しそう。美味しい料理を食べるのも作るのも好き同士ですしね。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『星をつなぐ手 桜風堂ものがたり』村山 早紀 




桜野町の小さな書店「桜風堂」を任され、かつて務めた銀河堂書店のメンバーを含む人々と『四月の魚』をヒットに導いた青年・月原一整。
変わらず誠実に書店の仕事に打ち込むも、人気作品の配本がない等、小さい書店ならではの苦労にも直面する。
そんなある日、銀河堂書店のオーナーに店長とともに呼び出された一整は、思いがけない提案を受け——。


『桜風堂ものがたり』の続編にあたる一冊。
一整さんはじめ銀河堂書店の人々、桜野町の人々、その周りの人々。
新しい物語の中で、彼らにまた再会できるのが、とてもとても嬉しくて。楽しみにしていました。

酷暑としか言いようがない一週間の、電車通勤のお供に、夜のひと時のお供に、少しずつ少しずつ、大切に読んでいました。
暑さと眠気で頭がぼーっと溶けそうな間にも読んでいたので、なんか伏線とか抜け落ちていたかもとかちょっと不安ですが。
それでも美しくて優しくて心地の良い文章は、すうっと私の心にしみわたっていくようで。
少しずつ少しずつ、癒しの成分を摂取していっている感じでした。
そして一整達の仕事に打ち込む真摯な姿勢は、読んでいるとごく自然に、私もお仕事頑張らないとな。と辛くならずに思うことができる。
おかげで一週間、暑さに心荒むことなく、おだやかな心持ちで過ごせたと思います。
大感謝です。

物語の中だからこそ、優しくて心根の美しい真面目にこつこつ頑張る人達は、報われて愛されて幸せになってほしいものです。
まさに一整や苑絵さんや渚砂さん達のような。
一巻目に引き続き、たくさんの人々のたゆみのない努力を下敷きに生み出された、優しい奇跡の物語でした。
美しくて上品でていねいな文体で紡がれる、大人のためのおとぎばなし。
作品世界に安心してひたりきることができました。

書店や本というものにたいして、様々な立場から関わる人々が新しく何人か登場してきて、みんな魅力的な人達で、それぞれの人生の物語を新たに読むことができたのも、良かったです。
そして書店や出版業界に関する現在の様子を、垣間見ることができるのも、良かった。
やはり厳しいものなのだなあと、私自身の仕事にも重なる業界なのもあり、骨身にしみて実感せずにはいられない。
それでも人の誠実でたゆみない手に支えられて、ひとつ生み出された、明るくて幸福なひとつの書店の物語が、ここにありました。
明るく優しい未来を信じられるのって、幸せですよね。

一整たち若者世代をある意味上回るくらい、人生を重ねてきた大人達の物語がどれも格好良かったな~!と思いました。

『序章 白百合の花』
なるるさんの定宿の旅館のエピソード、とても好きで印象に残りました。
なるるさんというひとりの女性の生き方が好き。
がっつり心つかまれたのは、ちょうど私自身が旅行の計画を立てていてホテルをネットで色々探していたタイミングで、心情的に重なったからかもしれない(笑)。
私も人生の心の糧になるような読書をしてゆきたいなあ。

『夏の終わりの朝に』~『遠いお伽話』
『紺碧の疾風』というシリーズがすごくおもしろそうなのですが!!読んでみたいです!!食べものがおいしそうな作品は絶対楽しい。
久しぶりに柳田店長に会えて良かった。一整さんが星野百貨店に、銀河堂書店に、あたたかく出迎えてもらえていて、私の心も温かくなりました。
オーナーに会いに行くのにちょっとびびっている店長がなんかおかしかったり。ふふふ。
実際のオーナーは渋い魅力がある貫禄もあるすごいひとで、でも優しいひとで。オーナーの過去の物語もずしりと印象深いものでした。ここで星野家の人々が出てくるのか!
オーナーの提案は正直私には知識がなく良いものかどうか判断がつかなかったのですが、でも最後まで読むと色々結果につながっていて、良かったんだろうな。銀河堂書店良い書店ですものね~。
そして高岡源先生も、桜風堂に颯爽と助けの手をさしのべに現れる姿は、まさに冒険活劇の世界から抜け出してきたヒーローみたいでした!格好いい!

『ケンタウロスとお茶を』
優しくて繊細で感受性の強い漫画家のたまご・くるみさんのエピソード。
読んでいて心が痛くなりました。こういうことって起こり得るよなあ。つらい。
『ケンタウロスとお茶を』私はそのままのかたちの作品がとても素敵だと思うし、読んでみたいな。

『人魚姫』
苑絵さんと渚砂さんの親友ふたりの物語。
やはり「そのえさん」という名前の響きからとても素敵で読んでいてふるえる。(響きが好きといえば、『ポワソン・ダブリル』の響きも読むたびに美しくて浸ってしまう)
苑絵さん自身心根の美しい可愛らしいお姫様みたいなひとで、なんというか、とても好きです。彼女の絵の描写も相変わらずとても魅力的。
そして渚砂さんのお父さまへの複雑な葛藤と彼女自身の秘め恋の物語も、ひどく印象的で、切なかった。
母と自身を守るため、大好きな親友を守るため、強く格好良く生きることしかできなかった彼女の姿が、なんだか痛々しい。
大きな救いになっているのが、やはり、蓬野先生の存在です。
渚砂さんの辛い時に優しく大人の態度で寄り添ってくれる彼の頼もしさよ!!本当に王子様みたい。
苑絵さんも渚砂さんもそれぞれ子ども時代に辛い経験をしたひとで、でもふたりの辛さは比べられるものではないしそういうのがあってもふたりは無二の親友で揺るがないし、そういうのが、今の年齢の私的にはよくわかるなと思ったし、良いなと思いました。

『Let it be』『神様の手』
桜風堂に、新たな頼もしい仲間がふたり。
毬乃さんとくるみちゃんの姉妹仲にじんわりきたり。
くるみちゃんが、苑絵さんの絵をはげみに、新たな一歩を踏み出せた一場面が、とても好きです。
すずめ書店さんの魅力もすごく伝わってきました。
藤森先生の存在も素敵。

『星をつなぐ手』
最後はとってもにぎやかな、まさかの(笑)三人合同サイン会。
規模がどんどん大きくなっていって、読んでいて正直ちょっとドキドキしていたのですが、頼もしい助っ人が色々なところから大勢来てくれて、みんな一整がこれまで誠実に仕事をしてきた中でできたつながりで、しみじみ浸ってしますよねえ。
桜野町って改めて素敵なところだな。私も観光に行ってみたい。
星祭りの鞠姫様の伝説も、ロマンティックで厳しさもはらんでいて、心に残りました。『天空のミラクル』や『はるかな空の東』に出てくるお姫様達を心の中で重ね合わせてしまいます。
そして一整と苑絵さんのふたりも良い雰囲気で、ふふふっと微笑みたくなりました。
実際にどうこうなるには、奥手同士なふたり、まだ時間がかかりそうですけれど。
そしてやっぱりここで気持ちを打ち明けないのが渚砂さんだよな、となんか納得してしまった。彼女の隣に蓬野先生がいて、重ね重ね、良かった。彼女こそ、幸せになってほしいのです。

ここで『桜風堂ものがたり』完結とは、正直ちょっと寂しい。
特に渚砂さんと蓬野先生がくっつくまでは見届けたかったな~!!とか思ってしまいますが(笑)、いつかどこか別の物語の中ででも、その後の彼らに出会えると、嬉しいな。

そして胡蝶堂さんや星のカケスさんの書評ブログに憧れの気持ちを抱かずにいられないです。
私のブログは書評なんてとても言えない適当な行き当たりばったりのブログで更新もとぎれとぎれですが、それでも本を愛し祝福をできればという気持ちはあってその場を消すことだけはしたくなくて、これからもせめて続けられるだけは続けてゆきたいと、読んでいて改めて思いを新たにしました。
Twitterや読書メーターで短い感想を書くのとても便利で楽なのですが、私はやっぱり、この形のブログがとても好きで、人さまのブログを読むのもとても好きで、ひとつでも火を消したくないし、続けてゆきたいので。
なんてちょっと脱線してしまいましたが。

蒸し暑い夜にげみさんの表紙イラストの夜空と雪の結晶のひんやりした美しさが染み入りますねえ~。ふう。
そして帯にあるように、優しい人が幸せであるように、祈りたい。
ほんとうに。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』荻原 規子 




宗田真響視点のスケート宿泊実習で起こったあれこれのお話『氷の靴 ガラスの靴』、および相楽深行視点の短編を三本収録した、『RDG』シリーズのスピンオフ集。


荻原規子さんの『RDG』シリーズの新作、例によって大切にとっておきすぎて寝かせてしまっていたのですが、ようやく手に取って読了。
荻原さん作品やシリーズを愛する皆さまは、もうとっくの昔に読まれていて、今さら私がどうこうつけたすまでもないよな~と思っていたのですが、私の想像以上に楽しめた素敵な一冊だったので、簡単に感想をつづってみようと思います。

主人公が、自分の未熟さに悩み足掻きながら仲間と絆をはぐくみ恋をして成長してゆく、荻原さん青春もの小説の醍醐味を味わえて、大満足。
安定したファンタジー世界と洗練されている文章や日本語のことばひとつひとつも愛おしいです。
特に私は、賢くてしっかり者のヒロインが頑張るお話が大好物でしてね!(笑)
真響さんのお話は、ずっと読んでみたいなと思っていたのです。願いが叶ってとても嬉しい。
あと深行くん主役の短編もそれぞれはあっさりしたお話でしたが、良かった。
全体を通して、真響さんと深行くんの主にふたりの視点から、このシリーズの世界を見通している一冊でしたでしょうか。
泉水子ちゃんも真夏くんも真澄くんも高柳氏も、主要メンバーみんな頑張っていて、愛おしい世界でした。

最初の深行くん主役短編三本、時間と舞台が移るにつれ泉水子ちゃんへの気持ちや接し方がゆるやかに変わっていってる深行くんが、読んでいて楽しかったです。
どこの場所でも如才なくふるまえる彼ですが、それでも普通の男の子で、彼なりに色々考えてたんだな、と。
中等部時代の深行くんと真響さんの邂逅もちょっと面白かった。

そして『氷の靴 ガラスの靴』というサブタイトルでもある響きが、いい感じにひんやりと涼し気で、この猛暑の中で読むには、まさにぴったりでした!!
スケート場という舞台もひんやりしているし、物語の中を流れる清涼な空気も肌で感じられるというか、読んでいて心地が良かったです。

しかし真響さんは、泉水子ちゃんのことが本当に大好きですねえ~。
女の子同士が仲良くしている様は読んでいて和むし楽しくなってきます。恋の打ち明け話がかわいい。
泉水子ちゃん大好きなあまり、深行くんに微妙な敵意を抱いている真響さんも、かわいかった(笑)。
そんな彼とスケート場で共同戦線をはる真響さんがさすがです。

真夏くんのおおらかで野性的で人の良いところも相変わらずで、読んでいてほっと和みました。
真澄くんのことや色々なものを抱えているけれど、やはり宗田家の三姉弟が、私はとても好きです。
宗田家の思惑も出てきたりして、おだやかならなかったですが。
克己さんの言葉に少しぐらっときた真響さんにははらはらしました。
結果とんでもない事態になってしまったわけですが、チーム姫神のみんなが当然のように姉弟のために頑張って体をはっていて、じんわり胸が熱くなりました。特に深行くんの真響さんへの叱咤が印象的でした。
深行くんと手をつないでスケートする泉水子ちゃんという図がとても好きです。
その前の場面で真夏くんとスケート特訓する泉水子ちゃんの場面もいい。相変わらず真夏くんは言葉にせずとも分かっているなあ。
おじいちゃんとの最後の場面があって、ここもとても良かったです。

泉水子ちゃんと深行くんの仲が真響さんでなくてもちょっと気になるところですが、少し吹っ切れたような泉水子ちゃんの覚悟と深行くんとの約束が、私の胸にも響きました。
女の子の恋の打ち明け話ってやっぱり大好き。
そしてココアで照れまくるふたりがやっぱりとても変わらしくて、このカップルやっぱり大好きです。
いつまでも仲睦まじくあってほしい。

バレンタインのちょっとしたエピソードも季節ネタで良かったです。
泉水子ちゃんの義理チョコをあげる相手が確かに人外ばかりで彼女らしい。その後深行くんと過ごしたバレンタインの様子もちょっとのぞいてみたかったです。
そして真響さん自身にも、ほんのりと恋の気配が。
彼女にはぜひ将来良い恋をして幸せになってほしいので、相手のひとにも頑張ってほしい。色々。

読んでからちょっと間があいてしまったので書きたかったことをだいぶ忘れてしまって悔しいですが、とにかく、良い読書でした。
荻原規子さん作品はいくつになっても愛おしくて大好きです。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 荻原規子さん

タグ: 荻原規子 

『京都寺町三条のホームズ10 見習い鑑定士の決意と旅立ち』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』第十弾。
葵の二十歳の誕生日の記念に、ゴールデンウィークに旅行にいくことになった清貴たちふたり。
しかし旅を楽しんでいるのもつかの間、かつて大原の宗教施設での事件に関わっていた雨宮史郎が、ふたりの前に姿を現す。
彼の手には、盗難にあい海外のオークションに出品されていた、清貴たちの旧知の画家の作品である掛け軸が——。


『京都寺町三条のホームズ』待望の新刊です!!
最近はアニメ化もついにはじまり各種イベントも目白押しで、ますます盛り上がり人気シリーズになってきた感じ。
もともとお祭り騒ぎとかわいわいにぎやかさとも親和性が高いおはなしだと思うので、なんだか私も楽しくなってきます♪
加えてコミカライズ二巻目も同時発売。ますます気分も盛り上がります。

今回のお話は、Web版でもばっちり読ませていただいていた、葵ちゃんのお誕生日祝い・清貴君と葵ちゃんふたりの豪華列車旅行編♪
待ってました~!!!の展開です!!
というか、書籍版でこのお話が読めるとは、実は思っていなかった(笑)。(基本甘々なWeb版の中でもトップレベルで甘いお話だったので……私は大好きなのですが!)
書籍版では、さすがにというか、Web版ほどの甘さはありませんでしたが、葵ちゃんが二十歳と年齢が進んでいる分、彼女も大人になっており、ふたりの精神面での結びつきがしっかり丁寧に描かれていて、Web版とはまた違った品がある落ち着いた雰囲気で読み応えもあり、これまたとても良かったなと思いました。
それに書籍版の展開でも十分甘いですし(笑)。私は大満足です。
最初に「恋愛色が強くなる」と説明書きがあるのも、心構えとワクワク感を持ってお話を読み進められるので、親切で良かったなあと思いました。サービスが行き届いてるのも相変わらずこのシリーズらしいです。
くわえて前回のお話で例の円生の不穏な前振りがあったので、清貴君と葵ちゃんの今後は大丈夫なのか???と、はらはらどきどき要素もあり。結局最後まで安心して読めなかったです。書籍版ならではの良きスパイスでした(笑)。

というわけで、メインが旅行編な分、京都ネタはちょっとひかえめ。
といいつつ清貴君の修業エピソードも一話分しっかり入っているし京都お留守番組のミニエピソードもあったりするので、いつも通り京都に憧れを募らせつつ楽しむこともできました。
私の贔屓キャラの香織ちゃんの秘密の恋にも、ひとつの答えが。

まずは表紙イラストのふたりがラブラブで素敵……お互いのしぐさと表情に、相手への信頼と愛情が満ちていて、素敵です。
葵ちゃんのすっかり大学生な大人びた服装も良いものです。
そしてカラー口絵のふたりの距離感と雰囲気に……一層どきどき。ふたりの服装がラフなのにもどきどき。
葵ちゃんの長い髪と横顔がきれいで、それを見守る清貴君の表情が優しくて、はやくもよろめきました。
あと利休君の物憂げな美少年っぷりが絵にはまりすぎです。

では、続きの感想はネタばれ込みということで、追記に格納いたしますね。


この一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

『腐男子先生!!!!!』瀧 ことは 

大雨の週末のお供にしていたオンライン小説の感想記事です。
なかなかインパクトのあるタイトルですが。これは私のブログを読んでくださっている皆さまにもご紹介したい。というか感想を語らせてください。

腐男子先生!!!!!瀧ことはさん

ごく普通の腐女子・早乙女朱葉のスペースに同人誌を買いに来たのは、ごく普通の腐男子・桐生和人。
ただ一つ、普通の違ったのは、ふたりは高校の教師と教え子だったのでした——。

タイトルから勝手に想像していたお話とは全然違っていて(笑)、ごくまっとうな、年の差先生と生徒のラブコメ少女小説でした。
キレよくテンポよく進む文章と会話。さくさく読み進められます。
なんというか個人的に、言葉の使い方のセンスが素敵だなと思いました。細部までよく行き届いている。
そして圧倒的にストーリーとキャラが素晴らしい!めちゃくちゃ面白かったです!!!気づけば週末一日かけてノンストップで読了してしまいました。

なによりヒロインの朱葉ちゃんがとても可愛らしくてとてもいいこなのです。泣けてくる。
ごく普通の女子高生なのですけれど、人気同人誌作家さんで(この表現で合っているのだろうか)、賢くて真面目でお人好しで優しくて。
ヒーローの桐生先生も、相当面倒くさくて女心というか人間としてときどきありえないけれど(笑)、でもやっぱり優しくて不器用なお人好し。
ふたりの距離は少しずつ縮んでいっていると思いきや実際にはほとんど縮んでいなかったりして(章タイトルとの落差)、読んでいてもどかしくて心の中で悶えていたのですが、半分くらい進んで、ようやく……。そういう感じになりました。
やったね!良かったね!!あげはちゃんがしあわせそうならなにもいうことないです!(笑)
そして徹底的にオタク活動にしか心を動かさない人間だった先生が、純情な十七歳の朱葉ちゃんに次第にめろめろになり振り回されまくっていくのが、やはり美味しいのでした。

先生と生徒の関係とか、ふたりとも基本真面目だから。自分自身の恋愛には奥手だから。神様と信者という独特の関係がふたりの心をややこしくしているから(愛とか好きとかいう言葉がダイレクトに飛び交う関係だから、ふたりとも分からなくなってしまうのは、確かにそうかなと思う)。そして色んな事をひっくるめて先生が全然分かってないから!!(←やっぱりこれが大きいな)どうしようかと思いましたけどね。
ひとつの山を越えてからの後半パート、年の差もの先生と生徒ものの王道パターンがしっかりがっつり描かれていて、読んでいてきゅんきゅんときめいてしかたがなかったです♪私はひざまくらと年賀状が特にお気に入りエピソードでした……。
社会人コスとまで自称し本性を知る人にさんざんけなされつつも、なんだかんだ生徒の事を真剣に考えてくれる良い先生な桐生先生も好きです。(だからこそときたま踏み越えてしまうのがぐっとくる。しょうがないですけどね。朱葉ちゃんが可愛いから)

(あ、でもいちばんはやっぱり、あの最初の方のエピソードの冷えピタの「げんきになってね」かなあ。あの場面で私まで朱葉ちゃんに落ちてしまいました。)

そしてラブコメと同じぐらい楽しかったのが、朱葉さんと先生のほぼ全編にわたる、怒涛のオタクトーク!!
本当に心から趣味嗜好があうふたりというか、読んでいて分からないところもありつつも、とにかく本人たちが楽しそうなので読んでいるこちらも楽しい。
私もイベントに行った経験は一応あるので、具体的にイメージできたのもまた楽しかったです(考えるほど朱葉ちゃんが女子高生でここまで、すごいです)。
個人的にオタク用語(?)の良い勉強にもなりました。みんなあついですね!!
初期の方の、神様絵師さんと熱烈なファンという、シンプルに好意をやりとりする関係も、またじわじわ~っときて好きでした。
生物準備室や部室でのふたりきりの楽しい時間が、なんだかとてもかけがえのないものになってゆくのが、なんというか、ぐっときました。幸せだなあ。職権乱用だけれど。

脇役キャラも個性豊かな人ばっかりで、たのしい!!
先生の古い友人、秋尾さんとキングさんとか、存在感ばりばりですごかった……こういう世界もあるのかあ……(感嘆)秋尾さんの先生への要所要所の的確なアドバイスが効いていました。キングと朱葉ちゃんの仲良しさにはほのぼの。
夏美ちゃんと朱葉ちゃんのオタク関連全て分かり合った友情もよかったし、朱葉ちゃんを先輩と慕う咲ちゃんもかわいくていいこだったし、都築君も相当問題児でしたがなんだかんだ憎めないいいやつでした。朱葉ちゃんと先生のことを相当ひっかきまわしてくれたけれど、気遣ってくれていたのも、多分事実。
あとマリカさんはめっちゃ怖かったです。先生は本質的にはみじんも揺らいでいないのだけれど、大人の女性の戦うパワーに読んでいて至る箇所でおびえてしまいました。
太一君こんな環境でよく動じず普通にまっすぐにいられるな……と勝手に感動してしまいました。

ネットで読みはじめたのですがあまりに面白かったので、途中で本屋さんに走って書籍も買ってしまいました。



イラストがイメージぴったりですごいです。あげはちゃんかわいい~!!せんせいもかっこいい!!そしてキングと秋尾さんのふたりが具体的にイメージできるの素晴らしい。
9月には二巻目も発売されるとか。素敵なニュースも込みでした。

本編完結後の番外編もやっぱりいつものふたりなのですが、少し甘い場面もプラスされたりして、たまらない~。
また少しずつ読めるの嬉しいなあ。楽しみにしています。


学園もの、年の差もの、先生と生徒もの少女小説ラブコメがお好きな方なら、タイトルぱっと見(ん???)と思っても(もちろん思わなくても!)、読んでいただきたいな。ぜひぜひ。
私自身の感想がいつもにまして意味不明の迷路になってしまって、一層(ん???)となってしまったかもしれませんが。申し訳ない……。
シンプルに、とてもおすすめですので!!!


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オンライン小説

タグ: 瀧ことは 

『契約結婚はじめました。~椿屋敷の偽夫婦~3』白川 紺子 




「椿屋敷」と呼ばれる一軒家に住む柊一と香澄は、訳あって結婚した「偽装夫婦」。
とはいえ仲睦まじい日常を営むふたりだが、香澄の元許嫁で兄妹のように育った晶紀が、椿屋敷の裏のアパート「すみれ荘」に突然引っ越してきた。彼の目的はもちろん——??


白川紺子さんの作品三か月連続刊行、これで最後の三作目。
『後宮の烏』も『下鴨アンティーク アリスの宝箱』もそれぞれ最高に私好みの良いお話でして、読んでいるひとときが幸せで、白川先生の作品世界はどんどん洗練され完成度が上がってゆくなあ……と満ち足りた思いでおりましたので、また間をあかずにもうひとつ新作を読むことができるなんて、素晴らしいのひとことです。ふふふ。
『契約結婚はじめました』のシリーズ三作目。
このシリーズも前回ちょっと気になる発言もあったりして、続きを読みたくて待ち遠しかったのです。うれしい!

セピア色がかったどこか懐かしい作品世界と若夫婦の仲睦まじい日常に、今回も読んでいて和みまくりました。
ささくれた心がじんわり癒されてゆく……幸せ。香澄さんの焼くケーキから漂う甘い香りの描写にまでふんわり癒されます。
やはり語り手が「家」というのがね、この作品の持ち味なんですよね。
どこかとぼけたというかユーモアのある語り口で、柊一さんと香澄さんを見守る距離感がちょうどよくて、どっしりゆるぎない落ち着き感は読んでいて安心できるし、このおだやかさがちょっと癖になりそう。
椿の花でいっぱいに彩られていて、その一方花の描写はほとんど椿ひとつのみという潔さも、やはりこの作品の持ち味。
良い感じに派手ではない、落ち着きのある凛とした空気が、オレンジ文庫らしくて、私はとても好き。

さて今回は、晶紀さんの引っ越しに伴い、主に柊一さんの心境の方で、大きな動きが。
こういう展開を待っていました!!盛り上がりました~!(心の中で叫ぶ)
私が思っていたより大人の男性ふたり、それはもうはっきりくっきり、火花を散らしてきましたねえ。
腹をくくった柊一さんの、これまでとは明らかに違うさりげなく積極的なアプローチ、そしてそれに戸惑い照れまくっている香澄さんのふたりのやりとりに、読んでいてときめいてしかたがなかったです。ふふふ。
前回までのやや煮えきらなかった柊一さんに若干心配していた私でしたが、彼は存外したたかでした。ちょっと安心。
一方の晶紀さんの方の愛情の深さと苦しみを思うと、心抉られるものがあるのですが。
あと今回は、すみれさんの過去の恋の物語が、印象的でとても良かったです。

『秘花』
プロローグ的な、みじかい秘め恋のエピソード。
柊一さんのご友人、なんというか、とても人柄のよい方だったなあ。
香澄さんと柊一さんの仲睦まじさを深いところまですっと見抜いて、ふたりへの祝福の言葉とにじみ出る親しみが、とても心地の良い方でした。
大学生時代の柊一さんって確かにちょっと想像がつかない。

『火宅の恋』
遠山氏と妻の恵麻さんの燃え上がるような炎の恋のエピソードが印象的でした。恵麻さんの方は実際に登場してすらいないのに、存在感がすごい。結婚していようがいまいが関係ないなんて言い切っちゃう、遠山氏の不遜だけど深く激しい愛がひしひし伝わってくる。彼女の前夫に関わる想いの翳の部分も。
そんなゲストの恋に重なり合わさるように、香澄さんを巡る男性ふたりのバトルも、燃えました(笑)。
日常の会話をすべて見聞きしている家視点だからこそかもしれませんが、柊一さんは嫉妬や香澄さんの一挙一動で機嫌を直したりそわそわしたり、案外分かりやすいなあ、といいますか。香澄さんの反応も込みで、なんて可愛らしく微笑ましいふたりなのでしょう。きゅんきゅんです。
困ったような、かなしいような、そんな瞳。嫉妬というより、無意識に切実に相手の心を求めて見捨てられるのをおびえるような柊一さんに、心をきゅっとつかまれてしまいました。
晶紀さんの血を吐くような言葉をきっかけに、柊一さんが自覚するとは。晶紀さんが切ないですが。
チェリーのタルトがおいしそうです。

『金魚は忘れない』
すみれさんの少年時代の恋の物語、美しくてちょっと切なくて、とても良かったです。
先生の渋い格好良さと優しさが染みる。この経験を経てこそ今のすみれさんがあるのだなあと、納得できるというか。
確かに出会ってすぐに結婚を決めるなんて、よくよく考えたらけっこう難しいですって!
それぞれ聞かれた香澄さんと柊一さんそれぞれの答えが、ふたりらしかったな。
というか、柊一さんはっきり言い切りましたね。やった!!(その割には香澄さんの想いに気づいていないのがやっぱりうかつなのですが……)
それにしても冒頭のケーキを焼く香澄さんの場面の幸福感といったら。その後の柊一さんとのやりとり、甘かった。びっくり!
「ケーキはオプションだと思うよ」「オプション」というふたりのやりとりが私のつぼにはまりました。

『すみれ荘にて 君はスピカ』
すみれ荘が語り手の番外編。
この下宿に住んでいる人達、皆それぞれいい感じに個性豊かで、親睦会の場面がにぎやかで楽しそうで良かったです。
それぞれの持ちよりのごはんでなんとなく人柄が現れてくるようなのもいい。マドレーヌも巻き寿司もカレーもみんなおいしそう。
そして檀君と廣田君の大学生男子の友情も良かったけれど、廣田君と遥ちゃんの組み合わせも私、とても好きだな。
あと十年くらい経ったら……年の差カップルということで……。
部屋のことはともかく廣田君は良い青年だなあとしみじみ思いました。
祖母と母親の間で苦しんでいる遥ちゃんがちょっと辛かった。

『ふたたび、椿屋敷』
鶏そぼろおいしそう~!!
香澄さんの誕生日を忘れていて晶紀さんにちょっと負けた気分になっている柊一さん、今回はうかつでした(笑)。
ふたりの仲睦まじさあふれるお話の締めで、ふくふくと幸福感いっぱいになりました。紫陽花いいですねえ。
「いまは椿の花が一番好きです」って、柊一さんには最高に嬉しいことばだろうなー。

香澄さんがまだ無邪気な感じだけど、お互い明らかに想いあっているのだから、近いうちに本当の夫婦になってほしいな。待ちわびています。
最初の約束にしばられた状況で、まじめな香澄さんが愛を受け入れるにはまだ段階がありそうで、もどかしいのですが。
それがふたりらしいといえばらしいのかな。

香澄さんが作るごはんやお菓子はもちろんのこと、いただき物やおやつに買ってきたお菓子なんかもいちいちすべてがおいしそうです。
お茶の時間に夫婦がふたりとも家にいて一緒に一服できるって、憧れますねえ。
もしかして「家」だからこそ、衣食住の細やかなところにまで目がいくのかしら。とか思ったり。

このシリーズもまた続きがとても楽しみです。
そして私はケーキを焼きたくなりました。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

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