Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『フライディと私』シリーズ  

先週あたりから私がずうっと読んできたオンライン小説の感想メモ。

フライディと私
ページのPさん作。
サイト→P Is for Page 

無人島に漂着した十六歳の少女の「私」が出会った「フライディ」と名乗る男性、素性を明かさぬままのサバイバル生活。
その後日談から人間関係が少しずつ広がってゆき紡がれる、架空の国を舞台としたラブコメ連作集。
一応まだ未完なのかな。
基本的に主役が入れ替わってゆく連作短編集で、各お話は数ページぐらいにまとまっていて、少しずつ読んでいくにはぴったり。
それでも途中からもう止まらなくて結局最後までノンストップで読んでいたんですけどね(笑)。

どこか古き良き英米少女小説を彷彿とさせる雰囲気のお話。
『あしながおじさん』とか、赤毛のアンシリーズの『虹の谷のアン』『アンの娘リラ』当たりの雰囲気に似ている。
そして、読んでいてこんなに素直に明るく楽しい気持ちになれるお話って、そうそうないと思います。しみじみとした幸福感でいっぱいに満たされる。
年の差もの&身分差もの大好きな私には、いっそうたまらない。

目次の名前を見ていてはじめは主人公がくるくるいれかわっていくお話かと思っていたのですが、メインカップルは最初から最後まで同じ二人。ロビンとフライディ。
登場人物が増えても最初のこのカップルが断然大好きな私だったので、嬉しかったです。
恋人であると同時に「バディ」(相棒)でもある二人のやり取りの、可愛らしく微笑ましく、そして二人の信頼関係の素敵なこと!
なかでもちょっと生意気でプライドが高くて素直で優しくて、年下のヒロインちゃんの魅力に、読んでいる私もとりつかれてしまった。
(実家の職業がパン屋と言うのも個人的ポイントでした)
いつもふざけたムードメーカーで頭も良くハンサムで女性に人気のあるフライディが彼女にベタ惚れめろめろなのも、すごくよくわかる。
フライディ視点の最初のお話のラストで「明日はテニスの試合だから」とあっさり帰ってしまった彼女に、彼が盛大に肩透かしをくらっている姿がなんだかおかしくて笑ってしまった。
フライディの性格が全然違う四兄弟のそれぞれの恋模様もそれぞれお気に入りです。
心に決めた女性にひたすら一途に愛を捧げ続け待ち続ける姿は四人とも共通していて、確かに兄弟なんだな~と感心したり(笑)。

お隣の国に留学し大学生となった彼女のキャンパスライフも、素敵なお友達に恵まれてとても楽しそうでお気に入り。
ローズもフェイスもフィレンザも皆いい子だな~!
恋人は大好きなものの学生生活は静かに過ごしたいヒロインと、隙あらばいちゃいちゃしたい彼との温度差がまたおかしみあります。
少しずつ大人になってゆく彼女との関係の進展もていねいに描かれていて読んでいてとってもときめきました。

このお話は(主に名前)どこまでネタばれ感想を書いていいものか悩む……。あまり多くは語りませんが、古き良き王道少女小説がお好きな方には、一押しです♪
格好いい王子様やうるわしのお姫様も盛りだくさんです。皆それぞれ曲者かもしれませんが(笑)。

そういえば瞳や髪の色の描写がまるでないのも気づいてみれば面白かったです。
サイトの方のアンケートの回答も楽しく読ませていただきました。

ちなみにこのお話を読みはじめたきっかけは、Twitterのタイムラインで見かけて読んでみた短編『ヴァイオラ』。
ヴァイオラとカンファーの信頼に満ちた関係とやり取りも良いし、彼らの書物整理&修理という仕事ぶりがまたていねいに描かれていてそういうのが好きな私にはまたたまらなかったです。
弟君も今回の件は反省しつつ幸せになってほしいですね。

ロビンの実家のパンが美味しそうで食べてみたい。
「ウーマン・フライディ」作のベルベットケーキも!

カテゴリ: オンライン小説

タグ: ページのP 

『京都寺町三条のホームズ8 見習い鑑定士の奮闘』望月 麻衣 




高校を卒業して無事に京都府立大に合格した葵。
清貴も京大大学院を修了し、ようやく二人の仲も縮まるかも、という矢先、なんと清貴はオーナーの意向で、社会勉強のために京都の街の外に修行に出る生活になってしまう。
最初の修行先は、八幡市にある松花堂美術館。
親友の香織と一緒にこっそり清貴の様子を見に出かけた葵だったが、そこで思わぬ事件が待ち受けていて——。


待望の『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新刊!!わーい、嬉しすぎる~!!
刊行ペースが安定してお早いのでファンとしてはとてもありがたく幸せです。
そして今回からは、葵ちゃん大学生&清貴君社会人編スタートです!
まずは表紙イラストの大人っぽくきれいになった葵ちゃんに撃沈……上手く帯で隠れていますが、シックなスカートからのぞくおみ足が美しいです(笑)。
(けして短いわけではなく上品でつつましいスカート丈と葵ちゃんの姿勢であるところがミソだと思う)
ホームズさんの方はこちらは安定してネクタイ姿が決まってます。前巻に引き続き自分の彼女の美しさにふふんと得意げな感じ(笑)。
そしてこれも毎度のことながら、ふたりの背景の石清水八幡宮(ですよね?)のイラストの完成度も高くてうなってしまいます。
青空に赤と緑が映えていて爽やかで素敵。
事前に情報を得ていた通り、登場人物紹介の葵ちゃんも、大学進学にあわせて大人っぽくきれいになっていて、どきどきしました。

さて今回の各エピソード、私は一応エブリスタ版の方ですべて既読だったり。
ですがこのシリーズは、書籍版になるとエブリスタ版のエピソードの順番が入れ代わり加筆修正もしっかり入り本としての完成度は格段にアップするので、読み比べるのがまた二重に楽しいんですよねえ。
清貴君と葵ちゃんの関係性も全然違うので、読んでいて新鮮!清貴君の初々しさの微笑ましいこと。

修行に出てもまあ予想通りというか、清貴君はどこで何をやらせてもそつなくスマートなのですが、葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるほどめろめろで気弱で、ギャップにますます磨きがかっているかんじがしました(笑)。
葵ちゃんはやっぱり安定して可愛くて努力家で大好きだし、あと今回は彼女の親友の香織ちゃんの出番が多くて何気にとても嬉しかったです。

各話ごとにネタばれありの感想を~。


『プロローグ』
オーナーの突然の「命令」には私もとてもびっくり&離れ離れになる二人に残念な気持ちになりましたが、確かに一理ある。
葵ちゃんよりも清貴君の方が離れ離れになることにダメージを受けているようで、悪いのだけれどなんだかちょっとおかしいというか(笑)。でも確かに、大学に入り世界が格段に広がるに違いない彼女のそばにいられないのが不安な気持ちもとても分かる。
そしてかつて実際に遠距離恋愛に失敗したことがある葵ちゃんの若干の不安が杞憂で終わりますように!いや、ほんとに。

『一生に一度は』
恥ずかしながら松花堂昭乗のことも石清水八幡宮のこともほとんど知らなかったもので、勉強させていただけて良かったです。(ホームズさんの講演はさすがの分かりやすさ)
石清水八幡宮って、はるか昔国語の教科書に出てきた仁和寺のお坊さんのお話のあれか!なるほど!(ようやくつながった)
竜宮城のイメージとは素敵。松花堂美術館のお庭や学芸員さん達の仕事ぶり、葵ちゃんと香織ちゃんが乗っていたプレミアムカー、相変わらずしっかりていねいに描きこまれていて、またひとつ京都でぜひとも行ってみたいところが増えました。あ、松花堂弁当ももちろん食べてみたい。
こっそり様子見に来ていたつもりだった葵ちゃんに一目散に向かっていき嬉しさにはしゃいでいる清貴君のギャップに、周囲が呆然となっている場面のおかしいこと!(笑)まあ考えてみれば変装くらいで彼の目が葵ちゃんの姿を逃すはずもないか……。
そして小日向さんのずけずけ加減と彼の失礼さにぷりぷりしている香織ちゃん、あのあたりの会話も好きでした。
書籍版になって秋人さんの出番が増えてる!ホームズさんと秋人さんの(自称)親友同士の男子トークも笑えました。
過去のことを話したら葵ちゃんに嫌われるかも……としおしお弱気なホームズさんにさくっと突っ込む秋人さんが見事でした。
(でも葵ちゃんが本当に素晴らしい女性であることは全面的に同意します。この歳でこんなに素敵な女の子はそうそういない)

『小さなホームズ』
上田さん視点の過去話。
オーナーと店長に加えて、上田さんは清貴君の「三人目のお父さん」ポジションだったんだなあと、胸があつくなりました。
大人びてませていて幼くして天才だったホームズさんを無邪気な子供に戻してあげられた上田さんって何気にとてもすごい。
個人的に作家になったばかりの店長が清貴君の鑑定眼に助けられそこにどうしようもない嫉妬を込めていた場面が印象的でした。まだ店長も今より若かったんだな。そして上田さんは確かに店長の友人だったんだな。
そして現在に戻って、清貴君と葵ちゃんに二人きりの場をさりげに提供して去っていた上田さんの気配りが絶妙でした。

『聖母の涙』
炊き込みご飯とポテトコロッケのエピソードがようやく!(笑)
クリスマスに教会にゴスペルに、離れ離れだった恋人たちの巻の最後を締めくくるにふさわしいエピソードがここに入ってくるとはお上手です。
清貴君の修行先はニューヨークも!そこでも重宝がられている彼がやっぱりすごい。
「ともにクリスマスを過ごしたい人がいますので」とさらりと言える清貴君にもときめきました。
マリア様の血の涙とはなんてぶっそうな、と思いましたが、特別な意味があるものだったんですね。
本当に「雨降って地固まる」な事件の着地でほっとしました。ジンギスカンか、なるほど。何気に江川さんのあっけらかんとした明るさが皆の救いだったんじゃないかなとか思いました。
ここにきての清貴君の過去の告白。
真実よりも葵ちゃんの想像の清貴君の方が何気にひどくってちょっと笑えました。
そして葵ちゃんの方の過去の懺悔がここで語られたのも良い感じだったと思います。
自分が犯した失敗も隠さず告白してすべてお互い受け止めあえる清貴君と葵ちゃんは本当にベストカップルだなあ。
単純にラブラブというよりは、精神面でぐっと二人の結びつきが深まったような、素敵な聖夜のエピソードでした。
自転車のリメイクと指輪のプレゼントがどちらもホームズさんらしい。(しかしクリスマスのプレゼントがいらないと言われたホームズさん内心ショックだっただろうな。苦笑)
あとホームズさんのお土産のファットウィッチベーカリーのブラウニー食べてみたい!ネットで調べてみたらとても可愛らしい包装のブラウニーですね。

『宮下香織の困惑』
ええっ、香織ちゃん、そっちにいくのか!
そっちの道は正直かなり厳しいような……。
と、エブリスタ版で読んだときに、思わず声に出して叫んでしまった(笑)。
精神年齢が高い香織ちゃんが店長に惹かれる気持ちは分からないでもないですからねえ。ううむ。
小日向さんもきっといい人なのでしょうが、現時点では香織ちゃんにふさわしい人か、つかみ切れていないからな~。(←なんて上から目線な私)

『エピローグ』
今回は円生が全く出てこないと思っていたら、締めは彼が主役をさらっていってしまった(笑)。
ホームズさんと円生のライバル同士のやりとりは、真剣にぴりぴり緊張感が漂ってきて、うん、怖いです。
しかし格好いいな円生。これから同じ土俵に立つがゆえに一層ホームズさんの手強いライバルになってゆきそう。
ライバルと言えば、ニューヨークで再会した史郎さんも、あのひと円生以上に不気味だな……。どう転がっていくのやら。

今回もとても楽しく読みました。満足♪
続きが今から待ちきれないです。
欲を言えば、葵ちゃん自身が今までより成長し活躍する見せ場があるお話を、もっと読みたいかなあ。
そして葵ちゃんと香織ちゃんのキャンパスライフをもっとたくさん読んでみたい。(植物園のカフェも気になりました)
あと上田さんエピソードが出てきたので今度は美恵子さんのエピソードも読んでみたいな。
十月に発売されるという新作も、あともうすぐ発売の拝み屋さんの新刊も、楽しみです♪

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

『Fal-reisia 3』他 感想 

実は今年も出かけていました。
夏コミに。
去年の記憶に引き続き、もうすっごい人と暑さと湿度で、荷物は肩に重いし広い会場を人混みかきわけ歩き回り続けるしで正直疲れましたが、でもとても楽しかったです。
独特の高揚感と充実感を得られる場だなあと、しみじみ感じました。
あ、去年に引き続き、コミケのあとはフォロワーさんと待ち合わせて女子会してきました。りんごの窯焼きパンケーキは疲れた体に染み渡る美味しさでした♪

さて今回も、私の目的は、no-seen flower 様のMemoriae シリーズの同人誌を入手すること!でした。
今年も現地では藤村先生(古宮先生)にたいへん良くしていただきました。
いつものサイズの同人誌一冊&ペーパーの束&ブックマーカー(ペーパー付き)という豪華セットを購入させていただきました。
ほくほくです。ブックマーカー何種類かあって少し悩んだのですが直感で「オスカーの瞳の色!」ということで青のお月さまのものをいただきました。とても美しくしかも丈夫なブックマーカーで今新刊本体に挟んでいるところです。お花入りの青いきらきらお月さまがゆらゆらゆれていてすずしげでとても素敵です。

さて今回も、シリーズ全作品ネタばれこみの感想をメモ的につらつら語ってゆきたいと思います。
いただいたペーパーの感想もばらばらと書いていきます。一度にたくさんいただいて贅沢にも一気に読んだのでどれがどれだか把握しきれてなくて申し訳ない、でもみんなとってもとっても良かったです!!思っていたよりUMの甘々なお話が多くて私はもう幸せで涙ぐんでいます。

-- 続きを読む --

カテゴリ: Memoriae シリーズ

タグ: no-seenflower 

『青薔薇伯爵と男装の執事 番外篇~完璧な大団円、しかしてその後の百花繚乱は~』和泉 統子 




『青薔薇伯爵と男装の執事』シリーズ番外編集。
青伯爵家が貧乏であった頃の「聖ブリードの日」のひとこま、アンとアッシュの結婚が決まった際の使用人たち視点のお話、そしてアンとアッシュの初夜周辺のロマンスなど収録。

『青薔薇伯爵と男装の執事』の待望の番外編集!
私このシリーズ本当に好きで好きで、番外編が収録されると聞き雑誌の小説Wings を初購入して過去の号も取り寄せてしまったほど好きでして。
今回完結後の番外編集が単行本のかたちで出ることになって、書きおろしのお話もたっぷり読めて、幸せいっぱいです。
毎度ながら雲屋ゆきおさんの表紙のカラーイラストが麗しくて素敵すぎて、まさに眼福。
幸せそうに寄り添うアッシュとアンのふたりを眺めているだけで私も幸せ~!
そしてそして表紙裏側には、サイモンとオリーブ様がいらっしゃるではありませんか!仲睦まじい姿にこちらも心の中できゃーきゃー叫んでしまいました(笑)。黄色のドレスが似合うオリーブ様が素敵。
カラー口絵のシドニーが焼き上げたクッキーを囲んでいる使用人組のイラストも微笑ましくて大好きです。
薔薇のイラストと紺色の見返しで上品に作られている本が相変わらず素敵です。文庫に比べるとお値段ははるのですが、このシリーズに関してはやはりそれだけの価値がある!と私は思っています。

なにかとネタばれ要素が多いお話だと思いますので(笑)、以下の感想は追記の方に入れることにいたしますね。
とにかく好きだ~!という気持ちを勢いのままつづっただけでまとまりがなく非常に読みづらいのでご了承ください(笑)。


その前に昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

-- 続きを読む --

カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 和泉統子 

『かつくら vol.23 2017夏』 




発売からちょっと間が空いてしまいましたが、かつくら夏号、買ってきました。読みました。

今回のかつくらでの個人的読みどころは、まずは料理系ファンタジー(Web小説編)特集。
特に『異世界食堂』の作者さんのインタビュー。
『異世界食堂』の作品自体は未読なのですが、作品紹介や作者さんインタビューを読んでいると、面白そう!
作者の犬塚先生の「オールタイムベスト作品」が、私自身も昔から大好きな『クレヨン王国月のたまご』であったところに、かなりの親近感が芽生えました(笑)。おいしそうなスイーツも出てくるみたいだし、今度読んでみよう。
あとは『居酒屋のぶ』の一巻目はついこの間読んで面白かったですし。『騎士団付属のカフェテリアは~』も『居酒屋ぼったくり』も『上島さんの思い出晩ごはん』も好きですよ~!!美味しいお料理と良質のときめきが満載です。

少し関連して「趣味の本箱」コーナーカフェ特集も楽しかったです。
私も村山早紀さんの『カフェかもめ亭』に一度行ってみたい。何度読んでも同じ話で涙があふれて優しい気持ちになれるロマンティックなファンタジー風味連作短編集です。
『長崎・オランダ坂の洋館カフェ』もときめきと美味しい長崎の郷土菓子がいっぱいの大変素晴らしいお話です。
「あしながおじさん」がモチーフとは言われてみれば納得。
あと読者さん投稿の『ぶたぶたカフェ』のホットケーキとぶたぶたさんがとても可愛らしい。



『あしながおじさん』がモチーフと言われますと、それかー!!と納得。

そしてかなり充実していたのが『宝石商リチャード氏の謎鑑定』シリーズの辻村七子さんインタビュー。
女の子の影が薄いように思えて(笑)今まで未読だったのですが、充実したインタビュー記事を読んでいると面白そうだな~。これも読んでみたくなりました。
『螺旋時空のラビリンス』は私も読みましたが、素晴らしい少女小説風味SF&世界史もので、大満足でした。

ブックレビューを読んでいて、やっぱり『あとは野となれ大和撫子』が気になってくる。



『引きこもりの弟だった』も気になる。他にもいろいろ。(略)

読者投稿イラストは、今回は上でも触れた『オランダ坂の洋館カフェ』のものが、美しくて可愛くて眼福です。
私はシースケーキを一度食べてみたいです。

今回は私が以前から読んでいる作品がほとんどなくて寂しいなと思っていたのですが、新しい作品との出会いがばんばんきた感じがします(笑)。


それではそれでは。
この数日の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: かつくら(活字倶楽部)

タグ: かつくら 

『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』石田 リンネ 




後宮の女官の娘・茉莉花には、「物覚えが良い」というちょっとした特技がある。
そんな彼女がひょんなことから引き受けたのは、さる名家の子息のお見合い練習相手の、さらに代役。
しかしいざその場にやってきたのは、なんと白楼国の若き皇帝・珀陽その人であった。
その「才能」を珀陽に見初められた茉莉花は、科挙試験を受けるため、太学に入り男子に混じって勉強の日々を送る羽目に——。


『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズの完結巻と同時に刊行された、石田リンネさんの新作少女小説。
二つの作品の交換小話ペーパーが読めるということで、同時に購入。読みました!

ちょうど中華風の少女小説を読みたい気分だったのと、あと私「茉莉花」という花と、花の名前の響きが好きで。(ジャスミンという名の響きも好きで、実際の花や香りともイメージが上手い具合に重なり合って雰囲気があるのがまた好き)
色々私の中でもタイミングよくヒットして、楽しく読むことができました。
真面目で努力家の女の子がヒロインで頑張るお話はとても私好み。

「物覚えが良い」という特技を持つ女官の茉莉花と、彼女のその特技を見初めた皇帝・珀陽の物語。
茉莉花がその才能を磨き、官吏を目指して頑張る立身出世物語の、序章の部分と言うところでしょうか。

過去の苦い経験から本気を出さず周囲に合わせて生きてきた茉莉花が、珀陽と出会って半ば巻き込まれて色々な困難を潜り抜け、それまでの地味な努力も生かしつつ才能を開花させていく様が、読んでいてとても清々しく、良かったです。
特に茉莉花が自分の中の枷を克服し、勉強の楽しさを見出し、少しずつ自分の才能を使いこなしてゆく後半パートが、生き生きとして読んでいてとても楽しかった。
でも前半パートの茉莉花の心の屈折や気弱に悩む姿、周囲の風当たりの強さなど、すべて乗り越えてきたからこそのもので、たくさんの地道な積み重ねが次第に実を結んでゆくという、派手ではないけれど誠実で緻密な作りが、いかにも『おこぼれ姫』の作者さんらしくて、こういうの良いですよね。
私も勉強が楽しいという茉莉花さんの境地に至りたい……。せめてその姿勢だけでも見習いたいなあ。
あくまで普通の育ちの普通の女の子で悩み立ち止まりもする茉莉花なのですが、真面目で努力家なところ、いざというときの度胸があるところ、優しく思慮深いところ、次第に見えてくる美質がとても格好良かった。
女官と文官と武官の仕事を自分で場を読んで判断してさらっと全部こなして当たり前のような顔している茉莉花の有能っぷりに戦慄しました……。
確かに女官の仕事の経験があって実際にこなせる文官って、最強かも。

あと飄々としたヒーロー珀陽も、今ひとつつかみきれない人ではありましたが、その態度の裏には地位に見合うような果てなき努力、高い地位ゆえの孤独さ、賢さ優しさ、色々な複雑な気持ちが、茉莉花にぽつりぽつりと吐露していくかたちで透けて見えてきて。
自分の意志で自由に行動し意思表示できない彼が、茉莉花と二人きりのときだけにはシンプルに素の自分をさらけ出せているところが、読んでいる私にも素直に好感を持てたというか。良かったです。
イラストの二人の飾らない素直な笑顔がとても素敵でした。
彼が窮地に立たされた地でジャスミンの花を見つける場面が印象的で、なんというか、茉莉花は彼が道端で奇跡のような確率で見出した、清楚で可憐で美しい、彼ひとりの花なのだなあと。
打ち解けていくごとに、お互い肩の力を抜いて語らう、そんなふたりの関係が微笑ましくて可愛らしくて、じんわり癒されました。

脇役キャラですと、茉莉花のライバル(?)春雪君が、なんだかんだあって、最終的には茉莉花のよきパートナー、対等な友人的な存在になっていて、ほっとしました。お互い弱いところまで徹底的にさらけ出してしまったからこそ築けた関係かな。
というか、薄々思っていたけれど、茉莉花もまたレティみたく無自覚に人たらしな女の子なのでは……。方向性は違うかもしれないけれど。今後もこんな感じで一人一人味方を増やしていくんじゃないかしら。とか。
彼も茉莉花とは違った風に成長して頼もしい存在になってゆきそうな予感。
太学の同級生たちも馴染んでみればいいひとたちっぽいし、珀陽の側近たちもあまり出番がなかったけれど優秀でよいキャラしてそうですし、最後に出てきた蘭香さんも素敵に格好いい茉莉花の先輩でしたし、うん、楽しめました。
茉莉花を見出した女官長も、見る目があるお方ですね!

少女小説というには甘さがほとんどないお話でしたが(笑)、まさに「皇帝の恋心、花知らず」と言いますか。サブタイトルにもなっている春雪君への台詞が意味深すぎる。飄々としてその実自分の欲しいものは積極的にぐいぐいおして手に入れてゆく珀陽らしい台詞だな。
確かにこのままでは茉莉花は一生他の男性と結婚させてもらえないんだろうな。うん。
珀陽の気持ちが、茉莉花自身に恋をしているのか、茉莉花の才能に恋をしているのか、現時点ではいまひとつつかみきれなくはあるのですが。
珀陽、中継ぎの皇帝と言っていますが、ラストあたりを読んでいるとそうでもないのかな?という気もしてきますし、そうすると後宮の扱いも今後変わってくる可能性があるということ?うーん?色々と今のところ未知数。
でも珀陽にとって、茉莉花にとって、お互いがお互い唯一の特別な存在であることは、確かなことで。
『おこぼれ姫』もあるかなしかの微糖状態からあそこまでたどり着いた物語ですし、そう考えると、進展がある方向に期待しても、いいですよね。
とりあえずラストあたりを読んでいると、この作品のカップルもまた、恋愛はするとしても仕事の片手間ぐらいにしかできないタイプの二人な感じですしね。

というわけで、この作品、続き出ますよね?ね!
よくよく見たらタイトルがそもそも『茉莉花官吏伝』でしたし、そんなにすぐには終わりませんよね??
珀陽の側近達とかも活躍の場を見たいですし。
いや本当に、長期的にシリーズを追っかけられる少女小説って貴重なのですよ。ロマンスもじれじれじらされて少しずつ増していく甘さを楽しみたいのですよ。期待しています。

ところで『おこぼれ姫』の最終巻がもう本当によくて、この一週間くらいずっと余韻にひたっていた私でした。
レティとデュークのラブラブがもう読んでいて感無量で……ほろりとしつつときめいて仕方がない。
そういえばレティにさりげなくひどいこと言われていたレオンハルト殿下がお嫁さんを迎えるお話とかぜひとも読みたいですね!
石田リンネさん、カクヨムの方の作品も気になっているのです。読まなければ。
あと小冊子プレゼントも忘れずに応募しなければ!!


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ