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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『本好きの下剋上』第四部Ⅱ~第五部少々 



今月に入ってからの私は、ひたすらこちらのシリーズを読み進めています。
現時点で書籍化されている最新部分に到達した後、Web版にも手を出してしまった。
今は第五部、残り90話ぐらいかな?

すごい勢いでだーっと読んでいるためその場その場でぐっときたポイントをいくつも取りこぼしていそうですが、それでも先を読み進めることを優先したい!ということで、ほんのメモ程度に感想を。
いや本当、第四部のラスト~第五部への衝撃の展開、それに伴ってローゼマイン達に生じたぴりっとした緊張感が、たまらないんですよ。
これは確かにフェルディナンド様格好いいです。心から納得しました。


この二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 香月美夜 

『女王の化粧師』(書籍版)千 花鶏 




五人の候補者が時期女王の座を競う小国デルリゲイリア。
花街の化粧師ダイの下に、女王候補の遣いと称する青年・ヒースが現れる。
若年ながら一流の化粧師の腕を見込んだ彼は、ダイを女王専属の職人として誘い、家に迎え入れる。
しかし主となる娘・マリアージュは「最も玉座から遠い」候補者と呼ばれていて——。
これは、時代に翻弄された女王候補の娘と、彼女の臣下として友として、常に支え続けた化粧師のものがたり。


すでにブログでもあちこちに書いてきましたが、大好きなオンライン小説『女王の化粧師』、ついにビーズログ文庫から書籍化!
わーい!!嬉しいです。おめでとうございます~♪
起家一子さんの表紙イラストの麗しさにうっとりため息しつつ購入し、ひとりお茶しにきたカフェで読みはじめ、すでに一応知っているストーリーながらに読み進めるにつれぐいぐい惹きこまれてとまらなくなり、結局お茶を飲みつつ一気読みしてしまいました。

確かに物語はまだはじまったばかり。
Web版の序幕部分の、そのまた序章あたりですね。
そしてこの物語の美味しいところはこれからというところで、終わっている~!
これはどうあっても続きを出していただかねばなりませんね!せっかくの、せっかくの糖分も、まだ出てきていませんし!
うう、なんだかこの先のネタバレなしで語ろうとすると色々非常に難しくて私には力不足で、一層伝わりづらい感想になってしまいますが、お許しを。

表紙イラストで私がぐっと心惹かれたのは、クールビューティーなダイやヒースはもちろんながら、ダイの手元の化粧道具。
さすがの充実っぷりです。ステンドグラスの細密画のような色であふれるパレットが素敵!!
刷毛を手に取るダイの仕草も決まっています。

表紙を開いたところにまず飛び込んできた花鶏先生のある意味最大のネタばれ宣言にちょっとくすりとしつつも頼もしく思いました。(確かにWeb版最新話まで読んでいても未だにときどき信頼がゆらぐのですよ!)

ええと、初期の出会い辺りの三人の雰囲気が、今読むと新鮮だなと思いました。
この巻を読んだ感じ、よりビーズログ文庫仕様というか、すっきり読みやすく、万人におススメできる感じのお話に仕上がっていた印象。
加筆部分も、あら、このあたりかしら?という箇所を見つけて、なるほどね、とうなずいたり。そういうのも楽しめました。

なんといってもこのお話でまず魅力的なのが、ダイの「化粧師」としての仕事っぷりの描写でしょう。
花街でも、あとマリアージュ様のところでも、惹きこまれてしまいます。
ダイの純粋な技術もですが、相手に対する細やかな気遣い、話術、そして職人としての矜持。
色粉の使い方が特に鮮やかでぱあっとイメージが浮かび上がってくるかのようです。
仮にもミズウィーリ家の当主代行のヒースが惚れ込んだ(としか言いようがない)才能で、すごいんです、とにかく!

この時点で出そろうこの物語の主要キャラクター三人、ダイ、ヒース、マリアージュのそれぞれの魅力。
静かで真面目な職人肌の人間に見えて、正直者でどんな場所でも思ったことをついぽろっと言ってしまうダイが面白くちょっとあぶなっかしくてはらはら。
この巻の時点では甘やかされた癇癪もちわがまま娘のマリアージュ様ですが、人の機微には確かにとても敏い方でいらっしゃる。
新参者のダイにわざわざ女王選のことについて解説の場を設けてくれていたりして、素直じゃない優しさが、良いです。
ダイの化粧道具をダメにしてふたりがぶつかったラストの場面まで読んで、ぐっと心に響きました。
マリアージュ様には確かに可能性がある。なにかあついものがこみ上げてくる。
あとヒースは、改めて狸だな~と、しみじみ思いました(苦笑)。
でも彼はことにダイが絡むと、ちょっと可愛いんですよね。ふふっ。
ダイがこの時点で思うよりも冷たい人間なのだけど、でも、優しいんですよね~。ずるいです。
ラストの間章の部分とか、思わず吹き出してしまった。彼にとっての気晴らしは、ダイとのお散歩なのか。か、かわいい……。
ダイにマリアージュの旦那になったらとか思ってもみなかったことを提案されて笑い転げている場面も、彼の表情がまたおかしみを誘います。
なんかそんなことを言っていられない展開が控えているのを知っている分、このあたりのほのぼのした雰囲気が一層慕わしい。
あとティティアンナは相変わらず物語の癒し的存在です。
ダイの純粋な味方の女の子がこのお屋敷にひとりでもいて、よかった。
私は生真面目でストイックな仕事人間が個人的にツボな人間なので、作者さんのこの手のキャラクターたちがとにかく好きすぎます。

あと書籍化で嬉しいのはふんだんに挿入される美しいイラスト。
起家一子さんのクールビューティーな作風は、この物語にすっごくよくはまっていて、素晴らしいです。
ダイの造作とか絶妙です。傾国の美貌が垣間見える。
あとマリアージュ様の強気なんだけど内に不安を抱えた表情がとてもよくて、きゅんと切なくなりました。髪型もイメージぴったり。
ティティも親しみやすくて可愛い感じで好き。
ヒースは正統派美形の青年ですね。
私、この作品の世界の衣装は気持ちオリエンタルなものをぼんやり想像していたので(多分『裏切りの帝国』と無意識にイメージを重ね合わせていたのだと思う)、西洋風の皆の衣装がなんだか新鮮でした。
特にアスマの衣装が新鮮でした!貫禄もあっていかにもお姐さまですてきです。

というわけで、起家一子さんの表紙イラストにぴんときた少女小説ファンの皆様には、ぜひぜひ、『女王の化粧師』おススメですよ~!!!
ビーズログ文庫で起家一子さんイラストというとつい『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズを重ね合わせてしまう私ですが、おこぼれ姫がお好きだった方なら、この『女王の化粧師』も、お好きなんじゃないかな~という気がします。
というか『おこぼれ姫』シリーズがヒットしたビーズログ文庫からこの『女王の化粧師』を出すの、かなりいい線いくんじゃないかと個人的には思ってます。
マリアージュ様はレティとは全然タイプが違う女王様ですが、やはり最高に魅力的なのです。

ロマンスあり陰謀あり女の子の友情ありの超大作グランドロマン、ぜひ手に取って読んでみてください。
そしてWeb版も一緒に読みましょう!Web連載最新部分までくると一話一話の読み応えがとんでもなく素晴らしいですよ。
シリアスで複雑な政治の駆け引きが続く中で、ときに純度の高いお砂糖ががつんとはじけるような展開は、一度のめり込むと癖になります。
強くてしたたかで魅力的な女性達がどんどん登場してくるのも最高です。ふふふ。

あ、ロマンスパートはちゃんと正統派少女小説ですので、ご安心を(笑)。

ちなみに私のWeb版ネタバレあり感想→こちら


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 千花鶏 

『本好きの下剋上』第三部~第四部Ⅰ 香月 美夜 




『本好きの下剋上』シリーズ、またすごい勢いで第三部一気読みしてしまいました。
こんなに一冊一冊が分厚くて読むとそれなりにエネルギーを使うのですが、なんか、途中でやめられない~!!
とりあえず現時点で読んだ第四部の一巻目まで、ネタばれあり感想メモを追記に収納していきます。


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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 香月美夜 

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。3~後宮の妖精と真夏の恋の夢~』友麻 碧 




『鳥居の向こうは、知らない世界でした。』シリーズ第三弾。
異界「千国」に迷い込み、薬師である零先生の弟子として生きる千歳は、ある日王宮から呼び出しを受ける。
第三王子・透李に嫁ぐ西国の王女のお茶係になるようにとの命令で、複雑な思いを抱きつつ異国からやってきた王女の世話をし体調を整え気遣う千歳。
そして街で流行する危険な「惚れ薬」が騒動をまきおこしてゆく。千歳も薬について調査を命ぜられ——。


『鳥居の向こうは、知らない世界でした。』の新刊だ~!!やったー、読めて嬉しい♪
『かくりよの宿飯』『浅草鬼嫁日記』に比べるとゆっくりペースの刊行で雰囲気もちょっと違いますが、私は個人的にはこのシリーズ大好きなので、続きを読むことができて、本当にうれしく幸せに思います。
特に今回はサブタイトルやあらすじが、ロマンティックな響きで恋の香りもして、そういう少女小説的な展開が大好きな私としては、一層楽しみにしていました。
帯の宣伝フレーズが「臆病で愛しい恋は、焼きたてのスコーンの香り。」で、スコーンとお茶が大好きな私としては、これはもう、心をがしっとつかまれました(笑)。

優しくてほどよくゆるやかで、親しみやすい異国情緒があって、ほのかに文学の香りが漂うこの作品世界の雰囲気は、改めて、独特だと思います。
読んでいるとじんわり心が癒される。
加えて大人しいけれど芯が強くて頑張り屋の美少女・千歳がますます私好みのヒロインですし、千歳を我が子のようにいつくしみ守る毒舌家の零先生との関係も素敵で、馴染みやすい中華風、和食っぽいのも程よくミックスされた薬膳料理も相変わらずとってもおいしそうで。
音楽や不思議なお花のモチーフも乙女心をくすぐります。
そこに、前々からなんとなくそうかな~?と思っていた千歳とトーリさんの恋愛めいたお話も進んできて、これはもう、私好みの構成要素しかない(笑)。

トーリさんのお妃候補が異国からやってきて複雑な思いを抱いたことで、自分の恋心に気づいた千歳ちゃん。
ジゼル王女は仲良くなってみると気位の高いお姫様だけど気立てのいい娘さんで、トーリさんもジゼル王女も大好きな千歳ちゃんは誰も憎むことができず二人の仲を頑張って応援するしかなく、自分の想いを自分の中だけに押し隠してしまう彼女の姿が、読んでいて胸がぎゅっとして切なかった。
あげく体調をあそこまで崩してしまって……。つらい。
そんな千歳ちゃんを気遣い美味しい料理を作って甘やかす零先生の情が心に染み入りました。香りのごちそうですね。
お花の天ぷらの種類のあてっことは心にくい。さすが零先生!桜ご飯はどんなに千歳の傷ついた心を癒したことでしょう。

一方で千華街に広まる不穏な惚れ薬。
千歳を妹弟子と呼んだ緋澄さん、今回結構嫌いじゃなかったです。
青火王子、そして初登場の左京さん。第二王子はこういう人だったのか!確かに彼は宰相キャラっぽいので納得してしまった(笑)。
お母さんの日記を手がかりに、フェアリーバイオレットの謎を突き止め解決策を見出し、そして土壇場で大切な人を救うことができた千歳ちゃん。
とにかく、彼女の土壇場での機転と勇気と真心に、心を打たれずにはいられませんでした。
最後にぽろりとこぼれた愛の告白にも泣いてしまった。
そして今回本当、緋澄さんも結構頑張ったよね。
シェイクスピアの悲劇エンドにならなかったのは緋澄さんのおかげなんですよね。
零先生とちょっと仲直りができたようで良かったです。千歳ちゃんのおかげですね!

そしてトーリさんと元気になった千歳ちゃんが想いを確かめ合い未来の約束をする場面、ストレートな言葉が格好良くてきゅんときてしまいました。トーリさんはさすが王子様だな。
その前の場面で、トーリさんの隣に立つ存在として青火王子が千歳ちゃんを認めたところも良かったですねえ。まさに千歳ちゃんの捨て身の行動を、ちゃんと見ててもらえてたわけだ。
実力主義者で分かりづらくも弟の幸せもちゃんと気遣っている彼の言葉にじんときました。
そして、確かにお母さんの事がずっと引っかかっていたトーリさんにとっては、とても大きな決意だったのだと思う。
ああ、何にしても本当に良かったです。
何かあったら即座に零先生が飛び出してきてトーリさんをがみがみやりそうだな(笑)。

ジゼル王女からの最後のお手紙にも、じーんときました。
緑の妖精のような、けれども強くて自分自身で輝いているお姫様。ふたりの間でしっかりと結ばれた友情が尊い。
『果てしない物語』がお話のモチーフとして上手くはまっていて素敵だなと思いました。

ジゼル王女のお国から持ち込まれてきたスコーンとアフタヌーンティー、非常に美味しそうでした。
そこに千国の芒果ジャムを添えてというのが心にくいですね。
小ぶりな肉まんじゅうやりんごの緑茶、ジゼル王女をいたわるメニューが千歳らしくてとても良かったです。おいしそう。
そしてお祭りのときに千歳が食べていた、杏仁茶にパイを浸して食べるお菓子?が、いかにも異国情緒漂い気になりました。おいしそうだな~いいないいな。
同じ零先生の弟子でもお茶にはあんまり興味がない緋澄さんと千歳の対比もちょっと面白かった。

正王妃の陰謀はまだ完全に解決してなさそうだし、千歳とトーリさんの今後も気になるし、また続きを読みたいです。
あ、青火王子のお妃も気になります。彼も奥さんには弱かったりするんだろうか。
千歳のお母さん千香さんの過去の物語も気になりますね。彼女の恋は切なく哀しいものばかりだったのであろうか。それだけではないと思いたい。

シェイクスピアの『真夏の夜の夢』のあらすじにもイメージぴったりな幻想譚、第三巻でした。
千歳の冒険と恋の物語は、私の心のオアシスでした。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『本好きの下剋上』第一部~第二部 香月 美夜 




本がとにかく大好きで大好きな女子大生が、大学図書館への就職目前に死んでしまって、異世界に転生。
そこでは彼女は下町で暮らしている病弱な幼女で、周囲には本なんて一冊もない。
しかし彼女はそんな状況からなんとか本を作りだそうと、材料集めから一からはじめて試行錯誤を重ねて紙を作り文字を覚え……周囲を巻き込み突っ走っていくおはなし。


とても人気作なWeb小説発の超大作ファンタジー小説。
実は一巻目を何年も前に買ってずっと積み本にしていたのですが、一巻目を読み切ったら、うん、面白くって。
二巻目を読んだら、また一層、面白くって。
三巻目を読んだら、さらに幾重にも、面白さが増してきて。泣いて。
……第一部完結した時点から途中でやめられなくなってきて、一冊一冊がかなりのぶ厚みのあるシリーズを、現時点で第二部まで計七冊ですか、ほぼ一気読みしてしまいました。
先週ブログ書いていなかったのは、このシリーズの続きをひたすら読んでいたからです。
しかし第二部まで読み終えて、そろそろネタばれ含みの感想メモをちょっと書き残しておきたくなってきたので、ようやくブログまでやってきた次第です。

なんだろう、やっぱりヒロインのマインの、本に対する情熱がすごすぎて。
周囲に未知の技術を振りまき大騒動を巻き起こしていく姿にひやひやしつつも、突っ走っていくその姿が、読んでいて何とも痛快で面白いです。
ほんっとうになんにもないところ、どころか周囲は誰も本自体を知らないところから、材料を探し道具を作って一から本を手作りしていく、その過程のひとつひとつの描写がていねいで難しすぎずすっと読みやすいのが、とても良いですね。
私も本好き図書館好き人間なので、ひとつひとつのステップに共感できるし、とってもワクワクして楽しいです。

マインはとにかく本狂いですが、このお話の面白さは本以外、衣食住の描写もまた、非常に充実していて読み応えがあるところにもあると思います。
異世界で実践、日本の家庭科!
魔法まじりの異世界の材料で試行錯誤して、下町のつましい暮らしの中から前世の知識を活用して生み出していくマインの創作物、これまたしだいに家族の手を離れて周囲に大騒動を巻き起こしつつ広まっていくのが、たのしい~!!
私はやっぱり美味しいものを食べるのも作るのも好きで興味があるので、食に関する部分が特に楽しいです。
蒸したお芋にバターやカトル・カール、天然酵母のパンやピザ、マイン流スープ、フルーツ洋酒漬けとクリームのクレープ、全部おいしそうだけれど、今まででいちばん気になるのはやはり、一巻目で登場した冬の不思議植物・パルゥのしぼりかすで工夫して作ったおやつ・パルゥケーキでした。
おからのケーキ?いもくりかぼちゃのほくほく甘い感じ?少しチーズケーキっぽさもある??……けして再現できないお菓子だけになんとも魅力的です。
マインのお姉ちゃんのトゥーリやお母さんがお裁縫のプロなのもあり、洋服やお洒落の描写も結構力が入っていて楽しい。女三人が楽し気にお洒落に工夫し手仕事をしている姿ってなんかいいですね。お父さんが持ちあげられて木を加工して娘に喜んでもらってデレデレしているのも微笑ましい。
住宅事情や下町、商人、神殿、貴族、それぞれの風俗やものの考え方等もきっちり書き分けられているのも面白いです。確かに衛生事情は現代日本から転生してきている身には辛いというのはよくわかる。
貴族が関わってくるにつれて語られてくる神話もギリシア神話や日本の神話っぽい部分もあり、面白いな。

そしてそして、このお話でなんといってもいいのが、マインとその家族の家族愛!!そしてマインの近所の同い年の少年・ルッツとの息ぴったりの相棒関係!!!
第三巻でマインを守るため、貴族相手に身体を張ったお父さんとお母さんの愛情と覚悟の強さに、胸をがつーんと打たれて泣けてきてしまった。
最初は突然できた新しい家族を受け入れられなかったマインが、徐々に両親と姉をかけがえのない大切な存在としていく様が、自然な感じで描かれていて。本狂いではあるものの家族への愛情はまったく別で大切な順位を間違えないマインの姿が、いい。
家族の他に、大工の末息子ながら旅商人に憧れを持っていたルッツは、マインの最大の理解者であり、本作りの相棒であり、すべてを分かち合えるお互いが最大の味方。よくここまでマインの突飛な行動に辛抱強く付き合えるなルッツ……特に最初は感心するしかありませんでした。あれか、多分最初の内はパルウケーキでの餌付けですね(笑)。
びっくりするほど虚弱なマインの完璧なペースメーカーをしているところもすごい!自分の商人への夢を諦めずに、マインに助けられてついに実行に移して現在進行形で頑張っている姿もとてもいいです。彼の成長っぷりを見守るのは、ときに滅茶苦茶なマインのストーリーの中で癒しといいますか、とても微笑ましく良いものです。

商魂たくましい若手商人ベンノさん、片腕マルクさん、コリンナさんとオットーさん夫婦、ギルド長の孫娘フリーダ、色々魅力的な脇キャラがいっぱいいっぱいいまして、みんな好きだ~!!!特にマインに振り回され続けながら彼女の保護のため裏で幾重にも手を回してきていたベンノさんには恐れ入るしかありません。でも彼も苦労しながらもなかなか楽しそうなのですよね。ふふふ。

読んでいて、もし本がなかったら、家族を失ってしまったら、ときどき自分自身になぞらえて考えずにはいられない。
あまりに緻密に異世界での生活のありようが描かれているので。ね。初期のマインのちょっと周囲を考えてないところも、私自身実際こうなったらマインみたいになるような気がするし、責められないよなあ。
むしろ寝込んでばかりの家族の役立たずポジションから、ちょっとずつ前向きになり工夫を凝らして家族に認められ着実にこの世界で生きることをはじめたマインの姿は、とても尊い。

では追記以下に、ちょっとだけネタばれ含みの語りをさせてくださいませ。
第二部 神殿の巫女見習いの四巻目までで。


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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 香月美夜 

『Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王』古宮 九時 




長い時を生きて絶大な力を誇り、異端視される存在である魔女。
世界で五人いる魔女の中でも最強である「青き月の魔女」ティナーシャの塔に挑戦者としてやってきたのは、大国ファルサスの王太子の青年オスカー。
彼が「達成者」としてティナーシャに願ったのは、「沈黙の魔女」に自身が幼いころかけられた、とある呪いを解くことで――。


数年前にWeb版を読み始めてはまりにはまって、Web版何度も読み返してサイト様の番外編、掌編、関連作ほぼすべて読み込んで、ネタバレ設定集Wikiも読み込んで、シリーズの同人誌読みたさに生まれて初めてコミティアやコミケに突撃することになった、大好きで大好きな物語が、ついに書籍化ですよ!!!
わああ、なんかもう言葉にならないです。
おめでとうございます!!!

すでにこのブログでもこの『Unnamed Memory』はじめいわゆる『Memoriae』シリーズの感想は何度も何度も語り続けており、いい加減くどいというかしつこいかな……と若干弱気なのですが、でもでも、ほんの少しでも新しい読者様の目に触れることを願って。あと単に私が語りたくて!今回も感想メモ記事を書くことにいたします。

美貌の魔女と大国の王子様と臣下達、伝説とバトルとロマンスに満ち満ちた異世界ファンタジー。
一昔前のファンタジーあり長編少女小説とかがカテゴリとして一番あてはまるのではないかと個人的には思っています。
緻密に張り巡らされた伏線も魅力的なキャラクターもノンストップでかけぬけてゆくストーリー本筋も、とにかく!最高です!!

なにより清楚で凛とした黒髪美女のヒロインティナーシャが私もう好きすぎまして。
強いところも弱いところも知的で努力家でお人好しで押しに弱いところも、みんな好きだ~!!
ただひたすらに彼女の幸せを願ってどこまでも読んでいく感じです。
ヒーローのオスカーもいろいろな意味で最強です。数百年生きている魔女と互角にわたりあって挙句結婚を申し込むとは、並大抵ではない。
私がこの作品を読み始めたころは少女小説にいわゆる「ヘタレ」系ヒーローがわりと多かった気がするのですが、その点オスカーは全然です。ぐいぐい押して押して押しまくります。
かといって俺様系ヒーローともちょっと違うんだな~。いや、ある意味俺様で自信家なのですが(王子様ですし)。たゆまぬ努力に裏打ちされた実力を持っているからこその自信ですし、知性と相手の事情を受け入れる度量の広さ、バランス感覚、まっすぐな優しさを当たり前のように持ち合わせています。
とにかくこの最強カップルが私はいとおしくてなりません。
書籍一巻目の序章パートはやはり、出会ったばかりのふたりの結婚するしないの掛け合い漫才みたいなやりとりが、おもしろいんですよね~。なんか懐かしい。

初期のファルサスのお城の主要メンバーの面々も、懐かしい。そうそうみんな最初はこんな感じだった!
金髪のおっとり美人さん魔法士シルヴィアが私のお気に入りキャラで、ティナーシャの髪をととのえる描写ににんまりしました。
彼女やラザルやドアンたちも、欲を言えばイラストで見てみたかったなー!

書籍化に当たりいろんな箇所で少しずつ手が加えられているのかな。
塔の試練の具体的な描写が増えていたのが面白かったです。
とはいえあやふやだったところもいっぱいで、そういえばこんなに最初から悲惨な殺人事件が起こってたんだよな、とか。(しかも犯人の正体と動機に結構考えさせられる。そしてクムのオスカーがせっかく入ってきた精霊術士の力を~云々の懸念に吹き出してしまった)
ルクレツィアさんきっと悪気はないけどかなり悪趣味だよな、とか。
例のあの二人組は結構初期から暗躍していたんだな、とか。
気持ち、Web版よりも、ロマンス色が増している、かしら?(この時点での)
ティナーシャはもうあっさりさばさばですが、オスカーは結構じっとり嫉妬深かった。
あとティナーシャの一瞬の美しい微笑に凝縮されたいろいろなものが盛り上がる場面が私はやはりとても好き。

というか、今回の書籍化部分はまだまだ序章で、盛り上がってくるのはこれからですよね!!
ティナーシャの過去が明かされるところとそれを受けてのオスカーの決意が、私は一幕の中でも特にお気に入りの場面なので、次の巻の書籍化が今から楽しみで楽しみでなりません。

作者さんによると書籍化が決まっているのは本編の第一幕までらしいのですが、いやいやいや、死んじゃいますよそれ(本気で)。
もしかすると第一幕の締め方が変わるのかもしれませんが。でもでも、この巻の時点で、第二幕にならないと回収されない伏線がいくつも張られてるじゃないですか。どうなるんでしょう!!
売れ行き次第とのことでしたので、私ができうる範囲で応援させていただきたいです。
せめて本編すべて書籍で読みたいですので、よろしくお願いいたします。

(そしてシリーズ関連作である『Babel』の続きも書籍で読みたい~読みたいのです~!!
異世界に迷い込んだ文系女子大学生と研究者肌の魔法士の青年の「言葉」にまつわる旅の物語。『UM』は「記憶」の物語。
私個人的には『Babel』の方がいわゆるライトノベルという感じがします。『UM』は特に主役二人のロマンスメインで私が読んでいるため少女小説カテゴリ。比較的)
(あと『Babel』はシリーズ内で一番すっきりしたハッピーエンドだと思います。『UM』は、少なくとも本編終了後の番外編『変質の旅路』を読んでからじゃないかな)

あと書籍化にあたってイラストがついたのも素晴らしい。
私はやっぱり表紙のカラーイラストのふたりが一番好きです!!もういくらでも眺めていられる。
オスカーの夜明けの空の青い瞳が一番好きです。彼の不敵な微笑みも。寄り添うティナーシャのクールビューティーな表情も!
あとナークやファルサスのお城の雰囲気もイメージぴったりです。


なんかネタバレなしでどうやって書いたらいいのかよくわからず書いていたら誰に向けて書いているのかよくわからないいつもの私っぽい感想になってしまいましたが、とにかく未読の方は、興味を持たれましたら是非是非読んでみてくださいませ。
そして続きが気になったらぜひ本編を、一度Webで読んでみてください!!私のネタバレあり感想語りにつきあってください(笑)。
サイト様からでも小説家になろうさんからでも読めますよ~。
no-seen flower


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