FC2ブログ

Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『腐男子先生!!!!! 2』瀧 ことは 




女子高生腐女子の朱葉と、イケメン生物教師ながら裏の顔は腐男子かつ朱葉の信者・桐生。
なんだかんだいいつつ秘密のオタク活動にいそしむふたり。
朱葉の熱心な後輩フォロワーが現れたり、新学期で二人の関係も変化したり、変わり者の同級生が絡んできたり、なかなか平穏にはいかないふたりの明日は一体——。


この夏のはじめくらいに読みはじめて、見事にすっころんではまりこんだ『腐男子先生!!!!!』、書籍版の二巻目が、発売されました~!!
おめでたいです~!!素晴らしい!!!
一巻目の発売から結構間が空いている感じなので、この二巻目が今になって発売されるのって、昨今の出版状態を鑑みてかなりすごいことなのではと思います。良きかな良きかな。

二巻目の部分、Web版(『腐男子先生!!!!!』を最後まで読んでいる私にはほとんど既読の内容ではあるのですが、全然問題ないですね!
何度読んでもたのしいですこのお話。紙媒体でもう一度ストーリーを追えるのしあわせすぎる。

結城あみのさんの可愛くて格好良くてイメージぴったりのイラストがふんだんに挿入されている、贅沢仕様です。
キャラのちまっとミニサイズのイラストが、特に私、好きなのですよね。
巫女姿の朱葉ちゃんとキング、バレンタインイラストを描く朱葉ちゃん、……諸々、美味しすぎる。
あと先生の格好いい姿がばーん!!とアップされているイラストもやっぱり素敵です。いちばんはカラー表紙ですかね、出張りすぎですよね先生。(というか、一巻目に引き続き表紙にヒロインがいないよ……タイトル的には正しいのでしょうが。笑)

あとがきに書いてあった、Web版とコミックス版と書籍版、全部違うのが、読者的には一番うれしいって、まさにその通りすぎる!!!
今回の書籍版も、Web版とほとんど同じお話かな~と楽しんで読んでいたら、最後の最後で、まさかの糖分増量があり、ときめきのあまり倒れそうでした。読者サービスがすごい。
あと信者なので、アニメイト版の特典ももちろん手に入れましたし、電子書籍版のショートストーリーを読むため電子書籍版も買っちゃいましたよね。後悔は全くしていないです。特に電子書籍版のショートストーリー、桐生先生視点のラブがあって最高でした。ごちそうさまでした。
コミックス版と書籍版の連動特典のオーディオドラマも聴きました。桐生先生の渋くて格好いいお声で繰り広げられる怒涛のオタクトークにあげはちゃんの絶妙の突っ込み、聞けば聞くほどイメージ通りで、これまた最高でした。

というか二巻目が発売されてからWeb版の番外編更新&限定特典ストーリー&その他諸々を読み返しループにはまって未だ抜け出せていません。
いろんな時間軸を行き来しているので混線しつつもやはり楽しくやめられない。


さて、まずは二巻目の感想をちょこちょこっと。

相変わらず毎回ラブになりそうでするっと抜けていく脱力感、でもとっても楽しく仲良さげなふたりのオタクライフ、そして思いがけないところから出てくるラブっぽい要素、そういうときにかぎってオチなし。
……この繰り返しが切れよくテンポよく書かれており、じわじわじわ~っとふたりの距離も縮んでいないようで縮んでいるような、このもどかしさとときめき感。
ちょっと外見はかわっているけれど、まさに王道学園少女小説ラブコメです。きゅんきゅんです。
残念なオタクだけどやっぱり格好よくあげはちゃんを大人の立場で守ってくれる先生いいひとだし、何より賢くてお人好しで優しい朱葉ちゃんが最高のヒロインすぎる。
実際読んでいて、心の中で私がつぶやく感想の半分以上が、あげはちゃんかわいい!!!ですから(笑)。
コミックス二巻のあとがきにあった、先生の残念な部分が朱葉ちゃんとのつきあいによって段々矯正されていく、というのが、正しいんだろうな、やっぱり。
先生の中の、朱葉ちゃんが誰より一番大切で守りたい存在、という気持ちが、読んでいてじわじわ伝わってくるのが、いいんですよねえ。これ。
(この辺は電子書籍版の特典を読んでからさらに味わい深くなりました)

二巻目のストーリーのお気に入りは、巫女さんのコスプレとコラボカフェのお話かな。
キングと秋尾さんは相変わらずインパクトすごすぎる……サクラティーラテ、確かに可愛い。私もきゅんときてしまいました。
コラボカフェのイラストの場面楽しそうでいいな。甘い場面が一旦台無しになったと思ったらまさかの糖分ましまし、いや~何度読んでも楽しいです。
キングの信者夏美ちゃんの場面も微笑ましいです。朱葉ちゃんのオタク友達夏美ちゃんもまた、本当にいいこです。
咲ちゃんと九堂さんの関係も、だいぶ変わっているけれど微笑ましくて良いですよね。
登校拒否している咲ちゃんの家庭訪問した先生と朱葉ちゃんのオタクトークがまさに天の岩戸みたいでちょっとおかしかった。
先生が担任となりふたりの接点も減ってしまい……というところに、ひょんなところからふたりの新しい居場所ができて、メンバーも増えているけれど、ますますふたりとも楽しそうなので、良いのです~。
朱葉ちゃんのピンチに即座にかけつける先生も格好いいのひとこと。
Twitterの使い方がすごすぎる。確かに先生の方がよっぽど怖いストーカーだよな……。
そして都築君、なかなかイメージ通りのチャラいイラスト姿(笑)。

そして最後のカラオケのお話、ぷらす、膝枕。
Web版の膝枕のお話も、もともとお気に入りだっただけに、たまらない!
これは書籍版の三巻目がどういう風に展開していくのか、早くも気になりすぎるー!!
え、出ますよね、もちろん??(笑)

『腐男子先生!!!!!』変わり種ながら、根本は先生と生徒の恋のお話なのですが、いわゆる禁断の、という影の雰囲気が不思議となくて、いつも明るくのびやかに楽し気なところが、このお話の魅力のひとつだとつくづく思うのでした。
先生も朱葉ちゃんも真面目で踏み越えるべきでないところはしっかりわきまえてるしね。そこが安心してラブコメに浸れるポイントかも。
秋尾さんのアドバイスも毎回力強いし。
彼女とのオタクライフを満喫しつつ、彼女の幸せを何より大事にしていて、彼女が卒業したら、という、先生の気の長い愛情が、なんだか、心にしみますね。(ちょっと二巻目部分より先の内容に踏み込んじゃってるかな)

限定特典の感想とWeb版の後日談エピソードの感想もちょこちょこっと書きましたので、これは追記に収納いたします。
時間軸が色々入り乱れて好き勝手に語っているのでネタばれご注意を。




コミックス二巻目も楽しかったです~。
やっぱり『泣かないで、先生』のお話が好き。あげはちゃんの気遣いが初期から最高。


-- 続きを読む --

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 瀧ことは 

『炎の神子様は大精霊ではございません』江本 マシメサ 







ありえない嫌疑から処刑されようとしていた、炎の神子をつとめる少女・エルフリーデ。
処刑寸前に彼女が救われるように召喚されたのは、若き王子アルフレートが治める、鼠妖精たちの村だった。
炎の大精霊と勘違いされたエルフリーデは、雪の大精霊の怒りで春が来なくなってしまった村を救ってほしいと懇願される。
元いた魔導教会に帰れるわけもなく保身のため大精霊としてふるまう男装少女と、色々問題をかかえた王子様の、もふもふ可愛い村での奮闘記。

江本マシメサさんの小説家になろうさん作品の書籍化。現在二巻まで出ています。
Webでは未読でしたがふと心にひかれるものがあり手に取ってみました。

あらすじにある通り、まさに、愛と魔法ともふもふの物語でした。最後まで。
一巻、二巻と読んでいくごとに、ああ、なんだかとても好きです。大好き。
タイトルから恋愛要素は薄めのコメディタッチの物語なのかなと思っていたのですが、予想以上にロマンス要素もしっかりあって、心をぎゅっとつかまれてしまいました。
ゆるい日常ラブコメとシリアス設定のファンタジーのバランスが絶妙。
二巻目の続き部分からWebで読んでみたらもう途中からやめられなくて、最後まで一気読みしてしまいました。
思っていたより百倍ぐらい壮大な物語になってきてびっくり!!(笑)
胸がじわーっと切なくあたたかいもので、いっぱいに満たされます。
主役カップルとまわりのみんなが幸せそうな姿をみているのが心から幸せで、切なさ交じりの幸福感に、涙が目ににじんできて。

理不尽な状況に追い込まれても、根は楽天家で明るくて元気いっぱいなヒロイン・エルフリーデが、とにかく魅力的です。
お日様みたいな明るさで周囲に笑顔と元気を振りまいているような。
なにげに男装少女でした。炎の大精霊(性別無し)の振り設定なのが面白い。
シリアス設定ですが楽天家でざっくりした性格のエルフリーデなので、深刻になりすぎず楽しく読めました。
大精霊の振りといっても彼女は間違いなくたぐいまれな炎の魔法使い。
力を気負わず村の皆のために一生懸命尽くしてにこにこしている彼女の姿がいいなあ~。

そんな彼女が「友人」になったのは、生い立ちに影を持つ寂しい王子様・アルフレート。
雪と青のイメージぴったり、冷たく凍り付いた過去をしょい込みつつ根は真面目で繊細でとても優しいお人柄がじわじわ伝わってくる、これまたとても魅力的なヒーロー!
照れてどうしたらいいのか分からないと目をそらしてしまうツンデレっぷりも慣れると微笑ましい。
能力的には似た者同士なふたりで、関わるうちに、特にアルフレートの体質問題的にいい風に回っていった感じなのが、ほっと安心できました。
ここにいてもいいのかと悩むエルフリーデにアルフレートがかける飾りのないことばが良いのです。
というかイラストの神経質そうな生真面目文官風美形めがね青年アルフレートが本当にイメージぴったりで、すごい!!

二巻目くらいからの、アルフレートのシャイで不器用なアプローチとそれに全然気づかない鈍感なエルフリーデのふたりが読んでいて本当に微笑ましく可愛らしく、そんなふたりを温かく見守っている周囲の妖精さん達という図がまた微笑ましく、ふふふ、いいなあ~。
想いが通じてそれぞれ照れまくりつつ愛を確かめ合うふたりもまた可愛らしすぎました。(イラストが最高)
エルフリーデのショートカットがだんだん本当に女の子らしく可愛らしく見えてくるのですよ~。

猫妖精のホラーツ爺や、鼠の侍女のチュチュ、葉っぱ妖精メルヴ、雪の大精霊様、竜人のヤン、周りをかためる妖精、人外のキャラがまた、魅力的でたまらないです。
もふもふの鼠さん達の可愛らしさもエルフリーデ視点でストレートに伝わってきます!チュチュにチュリンにチューザーに名前もみんな可愛い。もふもふ欲刺激されまくりつつ相手を尊重し嫌がるようなことはしないエルフリーデに好感を持てる(笑)。
ホラーツ爺やの策士っぷり、その根柢のアルフレートへの愛情にも泣けてくる。エルフリーデが来てくれて本当に良かったですよね!
あとなんといっても強烈なのが筋肉妖精さん達。筋肉妖精……??これはもう読んで確かめていただくしか(笑)。
はじめは単なるかわいいマスコットキャラに思えていたメルヴの活躍っぷりがすごすぎました。いいこだなメルヴ。癒されまくりました。メルヴアイスクリーム……ありなのか。ありなんだな。
妖精さん以外では前領主の奥様でエルの侍女になったドリスさん、アルフレートのお兄さん殿下、どちらも素敵なキャラでした。
全員が全員エルフリーデとアルフレートの仲をあたたかく見守っていて、本当に和みます。
一日一回ふたりの時間はチュチュとドリスの努力によって作られていたものだったとは!侍女の鏡!!

あとこの物語もやっぱりごはんがおいしそうです。
水晶を求めてのふたり旅の場面で食べていた、焼きたてパンとスープのセットメニューがおいしそうでおなかがへってきました。
領主の館で出てくるご飯やお菓子もみんなおいしそうです。出てくるメニューをおいしそうに幸せそうに食べているエルフリーデの姿が読んでいて幸せです。
二巻目のメルヴ視点の番外編で、プリンを頬張っているエルフリーデの満面の笑顔のイラストが、かわいすぎてたまらないです。不意打ちで「大好き」と言われて真っ赤になって固まっているアルフレートも非常に可愛い。
アルフレートのアイスクリームも。アイスをほおばって幸せなエルフリーデの横で涙しているアルフレートがもう健気で彼のこれまでの人生を思うと不憫で……隣にエルフリーデがいてくれて本当に良かった。

Web版の続きの感想メモも、追記以下にちょこっと収納しておきます。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

-- 続きを読む --

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 江本マシメサ 

『傍観者の恋』ナツ 




レイチェルは、病弱な大親友アリシアのそばにいるために、そして何より片想いの相手でアリシアの弟・ノアと別れたくないために、ノアにかりそめの結婚を持ちかける。ノアが姉のアリシアに禁断の想いを寄せていると知りながら。
報われない恋心と罪悪感に苦しみながらも二人のそばにいられて幸せなレイチェルだったが、次第に変化していくノアの態度と言葉、幸せに笑いながらも確実に弱っていくアリシアに、レイチェルの心は乱れ——。

小説家になろうさんの書籍化作品。
ナツさんの作品は『ナタリア姫と忠実な騎士』『リセアネ姫と亡国の侍女』など何作かを読ませていただいていてとても好きで、この『傍観者の恋』もずっと気になっていたお話だったところに、書籍化の情報が。
しかもイラストあきさんじゃないですか!
改めてあらすじを読んでみるとたいそう心惹かれる感じで、そして実際に目にしたあきさんの表紙イラストがあまりに美しく、この組み合わせは、やっぱり読むしかない。

実際に読んでみて、期待以上にすごくすごくステキなお話でしたー!!!
書籍を大切に大切に最後まで読んで、ネット版も一通り読んでみて、そして書籍版をもう一度読み返して、ずっと浸っていました。
落ち着いて品のある文章と作品世界がまず良いです。
異世界ファンタジーですが不思議要素は全くなく、どこかヴィクトリア朝っぽいアッパーミドルの階級の世界のお話と言うか。
私は読んでいて大好きな『赤毛のアン』シリーズの世界を重ね合わせていました。
表紙イラストのイメージもあるのかもしれませんが、どこかセピア色がかった、懐かしくてあたたかい作品世界の雰囲気が、とても好きだなと思いました。

じれったいすれ違いの恋、契約(年の差)結婚、そして女の子の友情もの、私好みの要素がぎゅぎゅっと詰まっていて、さすがナツさん!と読んでいて何度もうなずいてしまいました(笑)。
なにより女の子の友情ものですよ!私、『リセアネ姫と亡国の侍女』のダブルヒロインの友情がなにより大好きだったんですよー!!(力説)そんな私が、かたい絆で結ばれたレイチェルとアリシアのふたりを、気にいらないわけがない!!
ほわほわ甘く幸せなばかりのお話ではなく、胸を切られるような切ない展開もあり、読んでいて辛くて何度も涙がこぼれそうになるのですが、その切なさもすべて内包した大きな幸福感がひたひたと胸に押し寄せるラストが、本当に良かったです。


ここからはちょっとネタバレありの感想を。


ヒロインでお話の語り手のレイチェルが、読み込むごとに心優しく素敵な女の子で、ノアとアリシアを心から愛し大事にしていて、彼女が偽りの生活に苦しみ悩んでいる様が辛くて辛くて、もう。
そして偽りの生活に苦しみ報われない恋をしているのは、ノアもまた同じという。
なんだかこう書いていると辛いばかりのお話にも思えるのですが、アリシアとレイチェルとノアが三人で暮らしている様は、なんというか、まぶしくて優しい光で満ちていて、お互いがお互いを心からいとおしみ大切にし合って生活している様も心の底から真実で。
読んでいる私もきれいなもので心を満たされるような気持ちになれました。
もちろん嫉妬もするし暗い感情も抱くのですが、それでも暗い気持ちを自分の心の内に秘めて、実際には相手の幸せを思って行動するレイチェルが、尊いです。(まあそれがさらなるすれ違いの要因になってゆくのはもどかしいのですが……。)
レイチェルやノアの場合、いちばん憎むのは、醜い気持ちを抱く自分自身なので。もう本当にそんなに自分を痛めつけなくていいから……!と読んでいて何度思ったことか。

アリシアはレイチェルとノアが愛し崇拝するように美しく優しく穢れをしらぬ完璧な天使だけれど、誰より天使なのはレイチェルだと、私は思いますよね。なんというかアリシアとはまた違うタイプの、生身の普通の女の子としての、奇跡のような心根の美しさの持ち主。
レイチェルの一人称からはなかなか見えてこないけれど、読みこむうちに、アリシアとノアの姉弟が二人とも、世界で一番レイチェル大好き!!になった理由がよーく分かってくるというか。
あきさんのイラストのレイチェルが本当にいいですよね。そばかすの散った顔立ちの素朴な愛らしさよ。
湖遊びに出かけた先で不甲斐ない弟にしっかりしてよ!とたしなめるアリシアの一連の台詞がとても好きだなあ。
私ももう本当にノア、しっかりしてくれー!!と思いながら読んでいたので、アリシアはよく言ってくれました。
ノアも優しくて穏やかな美貌の理想の王子様で、私好みの大好きなヒーローだったんですけれどね。年下なのを気にして彼女を守ろうと必死に頑張る姿も格好良かったし。ただやっぱり私はレイチェルの味方でレイチェルの立場で読んでしまうので、ノア、もうすこししっかり……(以下略)

アリシアが他界し離婚しようとするノアのことを案じてやせた身でふらふら行動に起こすレイチェルはもう見ていられなかったけれど、雨降って地固まったようで、吹っ切れたノアとようやく心通じ合わせられて、本当に良かったです。
ノア視点でのエピソードの、彼の気持ちの変化の様がまたいい。姉に思慕を抱いていた彼が、共に暮らしレイチェルの優しい心根に接するうちに、しだいにレイチェルをひとりの女性として愛するようになってゆく様が、とても自然に書かれていて、ああ、なんだかとても素敵です。
アリシアのことを「姉さん」と呼んだノアとそれを受け止めたアリシアの二人の場面も好きでした。
(もっともノアは自覚する前からレイチェルのことを意識していたのだと思いますけれどね。ブライアンのことを初期から敵視しているし、レイチェルを悪く言う友人はあっさり遠ざけるし、いろいろ)
後半になってくると、ノア、レイチェルのこともう好きすぎだよね……といっそ気の毒になってくるくらいでしたが。これで想いが通じていないのだからもどかしいったらありません。

ナツさんのお話で私が好きな要素のひとつが兄弟姉妹愛、家族愛なのですが、やっぱりこの作品でも。
特にいい味出していたのはオースティンでした。レイチェルとノアをいじりつついじめつつ、他人が二人にちょっかいを出すときっちり制裁を加えるとか、最高なお兄ちゃんじゃないですか……(笑)。マリアン嬢の件のオースティンのやり方は鮮やかすぎました。
ふたりが一番つらい時にあえて厳しいことを言ってたきつける役目を買って出てくれるのもいいですね。
レイモンドとオースティンとノアの三兄弟のお買い物風景、さぞかしうるわしいんだろうなあ。想像するだけでうっとり。
レイチェルとそのお父さんのふたり家族のあたたかなきずなも良かったです。
あとアビーとトマスの忠義者使用人夫婦も好きだったし(やっぱり奥様命になりますよね、それは)、マリアン嬢もなんだかんだいいひとだったし、ノアを大人の余裕でからかっていたブライアンも茶目っ気があり格好良くって好きでした。(イラストが格好いい!)

本編がシリアスだった分、後日談で甘々エピソードを補充できて、幸せでした。ふふふ。
でもあれが自分たちにとっての新婚旅行だったから!というのは譲らないレイチェルがいて、やっぱりレイチェルいいなと思いました。
ラストのアリシアの手紙もとても良かった。本当に、「手紙って素敵ね。声は記憶から薄れていくけど、文字は残っていくのだもの」(314頁)
「お茶のほしい人はだあれ?」とレイチェルが微笑んでおずおずと手をあげるアリシアの二人の姿が、目を閉じれば思い浮かぶような。

あきさんの挿絵がまた秀逸なのです。単行本サイズなので美しいイラストが大きなサイズで堪能できてさらに眼福。
いちばん最初の、ブライアンに敵意を燃やすノアと必死に間に入っているレイチェルの困り笑いの表情と、あといちばん最後の、ノアの告白をいっぱいに目を見開いて聞き入っているレイチェルの表情、この二枚が特に私のお気に入りでした。
あとドレスや髪形や各種装飾品の細やかな描写がさすがお見事。
表紙イラストの三人、あとがきを読んでいて、そうか、これは本来ならありえない幸せなショットなのか……と改めて見返すと、またじんとくるものがありました。

ウェブ版のお話も少し展開が違ったり後日談エピソードがあったり、こちらも楽しませていただきました。

正統派少女小説、じれじれ両片思い、女の子の友情ものがお好きな方にはとてもおすすめ♪
これはふだんネット小説を読まれない方にもおすすめしたいです。

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: ナツ 

『金星特急 外伝』嬉野 君 




フランス外人部隊の砦に潜入した白鎖の夏草と、瞳の中に虚無を抱える若き中隊長ルイの出会い。
金星の残した不思議な力を回収すべく世界を旅する砂鉄とユースタス。純国普と戦いながら言語の研究を続ける王女と研究者たち、それを護衛する月氏。そして金星との娘を日本で育てる錆丸。
シリーズで語られなかった物語、彼らの旅の後日談を描いた珠玉の番外編集。

いつの間にかブログが、このシリーズの感想で埋め尽くされてました(汗)。
(たぶん)この外伝の感想で最後です!
この記事も、シリーズ未読の方はネタばれ注意ですので、ひとつよろしくお願いいたします。

リアルタイムには叶わなかったけれど、桜の季節に読めて良かった。
最初に読み終えた時点では、桜の花はまだ盛りを少し過ぎたくらいで、電車の窓から外をのぞくだけで、物語の余韻にうっとりひたることができました。
過酷な旅路の果てのラストの再会が、夢のように美しくて幸せで、読んでいて涙があふれました。
いちばん気になっていた砂鉄とユースタス含め、それぞれの後日談、番外編。どのお話もとてもとても良かったです。

『恋人の妹』
アルベルトの過去編に登場したハハリ博士の孫娘エミリーと、ヴィットリア王女、ハハリ・ジュニア達言語学者チームと、彼らを護衛する月氏達。
エミリー再登場嬉しかったです。エミリーとヴィットリア王女のやりとりもとても好き。王女殿下、大人になったなあ……。アルベルト殿下と似ている部分もあり、異なる部分もあり。
危険と隣り合わせの古代遺跡での調査、彼らの学者馬鹿っぷりが並大抵ではなく月氏達ですら手を焼かされていて、うーん、素敵です(笑)。
殿下の手紙のたった一言が、なんて愛おしいんだろう。
一途な人だったんだな、殿下……。
白の一鎖二鎖コンビの、「名前だけは牧歌的な……」には笑いました。私も最初は思ってました。

『Lobo & Blanca』
扉絵でロングコートを着込み、雪の森で寄り添いあうふたりが、まさに一幅の絵のよう。
砂鉄とユースタスが、今ふたりで寄り添い行動を共にしていると知ることができて、心の底から安堵しましたし、寄り添いあうふたりのラブラブさが随所から伝わってきて、私もたまらなく幸せな気分に満たされました。
ユースタスの銀魚をすっかり手慣れた様子で操る砂鉄に度肝を抜かれました(笑)。
対人交渉や不思議の力を用いた戦い方など、お互い補いあい、すべてがすでにしっくり馴染んでいて一対の風情で、ああ、いいなあ。
そしてやっぱり食欲魔人なユースタスに和みました。「あの村の食堂の鹿肉シチューを食べれば、絶対に元気になれると思うのだが」って完全にユースタス基準ですけれど、こんな優しくてちょっと天然な彼女が大好きです。

ユースタスの両親に砂鉄が会いに行くお話。
直接的な言葉はなくとも、行動と両親への台詞のすべてから、砂鉄のユースタスとの将来への意志が伝わってきて、もう。
お母さまの方はともかく、お父上の方は、少なくとも今は、娘の幸せを心から願っているようで、良かったな。
ユースタスの穏やかな笑顔に泣き崩れる伯爵の姿にこみ上げるものがありました。
そしてアルゼンチンの荒野にて。
「私より先に死なないでくれ」というユースタスの台詞が心に焼き付きました。あまりに愛情薄い人生を送ってきた彼女のお願いが重い。それを正面からきっちり受け止められる砂鉄の強さがまたいい。
砂鉄もユースタスも、お互いに出会って、本当に変わったんだなあ。と、しみじみ幸福感をかみしめる。
髪のやりとりもとても好きです。

狼王ロボとブランカのイメージが、砂鉄とユースタスに非常に効果的に重ね合わされていて、砂鉄はもちろん普通の女性のようなふわふわした甘さを持たない凛としたユースタスの姿は、確かに純白のうつくしい野生の生き物のようである。

『骨噛みの酒』
雷鳥様と無名のミニエピソード。
やっぱり格好いいです雷鳥様!
錆丸ですらつかめない、現在のふたりの関係の実際のところが気になります。

『砂の男』
夏草と三月の出会い。
三月が、人でなしなんだけれど、反面純粋で優しいところも心に持ち合わせているというのか、この不安定さに惹きつけられる。
夏草と三月が出会えたことも良かったし、ふたりが錆丸と出会えて、「家族」になることができて、本当の本当に良かった。

『天使』
すみません、正直一読目では誰のお話か、最後まで読んでも気づかなかったのですが。
残酷な環境なのに生々しさはなく、少年と少女のおとぎ話みたいな可愛らしく優しい出会いの物語。

『花の海で』

読み終えた心地を文章にすると、素晴らしかった本への愛は二倍に、つまらなかった本への不満は二分の一になる。
——マリアさんの何気ない場面での言葉に序盤から惚れました。
この一文が決めてで私は、このシリーズの感想を、一巻一巻すべて書き残すことにしたんですよね。

まずは金星のもと集められた女の子達の再会。皆元気そうでとても嬉しい。特にヤスミンが結婚を決めたエピソードがお気に入りでした。バドルさんの影を確認できたのも良かった。
砂鉄とユースタスと彗星の三人のことで、彗星の立場でものごとを見てくれる女の子たちが、この世の中に確かにいてくれている、というのが、なんというか救いになっていてとてもいいなあと思いました。
私もどうしてもユースタスの全面的味方視点なので、よけいにね。クリスティーナの態度は嬉しかった。
錆丸がすっかりいい男、父親になっていて、感慨深いったらないです。桜ちゃん可愛い。いい名前だな、桜ちゃん。
夏草と三月と伊織との兄弟の誓いも良かった。
日本の図書館に通う夏草がしっくり馴染みすぎていてやっぱりそんな夏草が大好きでした(笑)。錆丸の先生でい続けている関係も嬉しい。三月の姪っ子可愛がりっぷりもいい。
そして最後を締めくくるのがやはり砂鉄とユースタスなのも、かくあるべきという感じがして、良かったです。
ユースタスの騎士の誓いが相変わらず様になっていてユースタスらしくてとてもいい!砂鉄のそっけなさもふたりでワンセットだと思えば……(笑)。
お花見弁当が、本編一巻目で錆丸が持参していたお弁当の場面を彷彿とさせて、何もかもが行き着くべきところに行きついたのだなあと、色々な気持ちがこみ上げてくるラストでした。
コートにもぐりこんで甘えるユースタスが本当に可愛らしい。

あと、画集も!



大きなサイズでのイラストがどれも美しい。カラーイラストも多数でこれまた美しくて目の保養でした。
私はやはり、二巻目の背中合わせのイラストと、第4話のタイトルページがお気に入りで。
ユースタスのほんのり女性の空気をまとい完璧な貴公子でもある、境目の美しさがたまらなく好きです。
ヴィットリア王女のカラーも嬉しい。
書きおろしの短編は、夏草とユースタスのにわか探偵コンビがとにかく可愛らしくてほのぼの和みました。
さりげなく砂鉄とユースタスのラブラブな雰囲気が描写されているのも美味しい。
相変わらず食べ物のことばっかりなユースタスが可愛い(笑)。確かに砂鉄は苦労しているんでしょうね……。
欲を言えば、ユースタスのドレス姿をイラストで拝みたかったです。


この物語に出会えて良かった。幸せでした。
私がこのシリーズを読みはじめてからお声をかけていただき、感想、作品への愛をを共有していただいたネット上の皆さまにも、大感謝!!


きのうそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

『金星特急 7』嬉野 君 




「金星、君に会いたい」
生放送で全世界に呼びかけ、金星特急をグラナダへ呼び戻した錆丸。
スペイン内戦は止まるものの、一行は敵の追跡をかわしながら列車の到着を待たねばならなくなる。
グラナダを出れば次は終着駅、この世に戻ることはない。覚悟を決め残された時間を生き抜こうとする花婿候補たちと、彼らを助けたい錆丸。彼らの旅の終わりに待つものとは。
そして錆丸と金星の、世紀の大恋愛の行方は。

※シリーズ未読の方はネタばれ注意です!


完結、してしまいました。
読み切った!この濃密な物語を無謀にも一気読みしてしまって(だって途中でどうしてもやめられなかったんですもの)、しばらく放心状態でした。
色々な感情がせめぎあって、読了から二週間くらい経ってもまだ消化しきれてないのですが。

カラー口絵の錆丸と金星、花のような笑顔で見つめ合う姿が最高に幸せそうで、ラストまで読み返してから改めて眺めていると、もう、本当にね……。

最後の金星特急に乗り込むまで。
自分の死を受け入れ行動する花婿候補たちの覚悟、それに関わる戦闘場面でそれぞれの想いを胸に命を懸ける人々の覚悟が尋常ではなく、死闘を繰り広げる中でも精神は凛としていて、読んでいて泣きたくなりました。
錆丸と三月、夏草と伊織お兄ちゃん、砂鉄と無名と黒曜が、印象に残りました。アルベルト以下言語学チームの戦いも。
そんな中でテレビに出てきたユースタスの母、混乱する彼女に砂鉄が差し出した品に、彼のユースタスへの想いの深さを感じてときめいてしかたがなかったです。
ユースタスの「ありがとう、私は、嬉しい」という二度目のお礼の言葉が、ユースタスらしくて私はとても好きです。
一方蜥蜴カメラでこのシーンを見せられ、とうとう砂鉄とユースタスの関係に気づいてしまった彗星。
確かに品が品ですし、えぐいなあ……。
挿絵のユースタスの横顔が、本当に恋する乙女のものでしたので。

ユースタス、再びのリオンの影にどうなるかと思いましたが、ひとりでさらりと決着をつけられた姿に、ほっとしてとても嬉しかった。
彼女の心を強くした砂鉄の存在に、改めてこみあげてくるものがありました。
ふらりと現れた雷鳥様も格好良かったです。

特急に乗り込む直前。
暁玲さんの身体をはっての訴え、彼女の決死の覚悟にただただ圧倒。
絶妙のタイミングでユースタスの前に現れた砂鉄にもときめきましたし。殿下の引導渡しもここまでくると殿下らしいとしかもう言葉が出ない。
何より錆丸をのせて全力疾走した三月の姿が鬼気迫るものがありました。
そのあとの夏草との会話も。
その後、三月が無事で、本当の本当に良かったですよ~!!
黒曜のことを聞いた無名の切なさほろ苦さにも泣きました。
バドルさんと射手座、イヴァンさんにも、涙が。

グラナダを経ってから、金星特急は急にこの世からふわりと浮き上がり、死と生の世界のはざまを走っているような雰囲気に。
皆の打ち明け話、とりわけようやくすべて明らかになった錆丸の生い立ち、金星との出会いと恋、別れのエピソードが胸にせまりました。明るく屈託のなかった彼がこんなに重たく辛い人生を歩んできていたとは。
そんな錆丸を抱きしめるユースタスの優しさも心に染み入る。
ユースタスと言えば、砂鉄のさりげない足の位置にひっそりときめきました。このふたりの関係性、最初から思い返すと本当に変わりましたね。しみじみ。
レジーさんの「青く澄み切った水の下で揺れる炎」ユースタスの秘密と恋心をうたう表現がさすがで美しいです。
その後の砂鉄とユースタスの急展開にはびっくりしましたけれどね!え、え、今、ここで??(動揺)
ふたりの幸せそうに微笑み合うイラストと交わす言葉の優しさに、胸がいっぱいになりました。
どんな場面でも食欲魔人でパンをもそもそ食べるユースタスが相変わらずで可愛い(笑)。

錆丸と金星の再会、金星の正体と運命、その恋の結末は、うーんごめんなさい、やっぱり言葉にはならないです。
英雄になりたかった男の子の願い。
神話の世界の作中劇をぼうっと眺めているような、物語をうけとめる私の心がいっぱいいっぱいでかえってそんな印象になったのかしら。

彗星と砂鉄の再会、ふたりを見つめるユースタス。
死を目前にして迷わずユースタスを選んだ砂鉄の姿を見せられてしまってはね……。
彗星の選択が辛い。彼女を救うために特急に乗ったはずの砂鉄の心を思うといっそう辛くてやりきれない。
もう彼女に関しては、兄への想いをおだやかな形で昇華させることはできないんじゃないかしらと、薄々感じてはいたのですけれど。
育ってきた環境の特殊さが、ここまで兄への想いを募らせてしまった一因なのかなあ、と。
マリアたちみたいに恋の悩みを相談したりアドバイスしあったりできる存在をもっと早く作れていれば、あるいは。とか思わずにはいられなかったです。
そしてそんな場面を見せられては、姿を消すのがユースタスだよなあ。そうだよね……・。
ようやくつかんだ幸せをこんなかたちで自ら手放したユースタスが辛い。この期に及んで誰も恨まず、心の中の愛だけを芯に生きていける彼女の姿が尊くて、せつない。

アルベルト殿下の最期も印象的でした。殿下は最後まで殿下でした。彼に関しては、これで本望だったのでしょう。
ユースタスの殿下への別れの騎士のあいさつが、ユースタスらしくて好きでした。

錆丸を迎えに行こうとするユースタス、そして砂鉄、彗星の花の場面に、涙腺が決壊しました。

ラスト、錆丸と桜、錆丸との両親の再会。それを見守る砂鉄とユースタス。
旅のはじまりの三人そろって再び、錆丸と金星の娘も加えて、の挿絵が、この物語の締めくくりにはやはりふさわしいもので、ほとほととこみあげてくるものがありました。

まとまりのない完結巻感想になってしまいましたが。
外伝で主要キャラのその後を読めて、自分の気持ちに落としどころをつけられたのが、良かったです。


ここ2、3日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君 

『金星特急 6』嬉野 君 




アルベルトが聞き出した特急の目的地・グラナダにたどり着いた錆丸一行は、無事に砂鉄たちと合流を果たす。あとは金星特急の到着を待つばかり、根城にしたアルハンブラ宮殿で、錆丸たちはイェニチェリ達敵の追撃を避けつつ列車に乗る作戦を練る。
一方そのころ、兄の砂鉄に恋する彗星含む「許されない恋」をしている少女たちが、異界の金星の庭に集められていた。彼女たちは錆丸の蜥蜴ウェルの目を通して旅の一部始終を見せられており——。

※シリーズ未読の方はネタバレ注意です。


外の世界の凄惨さとうらはら、花と伝説に彩られた夢のように美しいアルハンブラ宮殿にて、皆がついに再会!!
変わらない絆と安心感、ちょっとずつ変わったあれこれが、読んでいてとても素敵だった6巻目でした。
金星の庭の女の子たちもストーリーにじわじわと関わりはじめた感じ。

錆丸の本来の年齢やすっかり青年のものになった挿絵の姿、どんどん強かになっていく精神に驚愕しつつも、もはやいちいち立ち止まっていられないほど物語が面白いのです。ノンストップで読破です~!

旅の最果ての地、という風情、グラナダのアルハンブラ宮殿の描写がとても素敵で憧れました。
花や果物や建物の仕掛けや、ひとつひとつが優美でうっとりため息もので、神話や伝説の世界に迷い込んだかのよう。
本物の王族のアルベルト兄妹や貴公子ユースタスがしっくり馴染んでいるのはもちろん、月氏の傭兵メンバーや錆丸たちも意外と雰囲気に溶け込んでいる感じなのが面白くもありました。だから要塞か。
この金星特急というお話がそもそもこの世とあの世の境に横たわっているような、神話世界のモチーフもありなお話で、重なり合うイメージがとても好きです。

さてヴィットリア王女がまさかこんな風にお話に関わってくるとはね。さすが殿下の妹(二度目)。
「殿下はでんか一人で十分」という錆丸の台詞に笑いました。
ヴィットリアが三月と夏草とひと悶着起こしたあとの錆丸の場の収集術がもう完璧で。あの三月をしょうがないおにーちゃん扱いしている錆丸すごい。
薔薇のお庭でのダンス、このときはあまり気に留めていなかったのですが、後々の展開を読んで、なんだか王女様も健気で切ないよう。
ふたりの仲良さげなダンスにショックを受ける金星と、寄り添ってなぐさめる女の子達も切なかった。

そして相変わらず自分の目の魔力に振り回され砂鉄とぎくしゃくしたままのユースタスの姿が辛い。
そんなユースタスの態度に真っ先に気づき砂鉄をたきつけにいった錆丸は、流石でした。アルベルト殿下本当に女子高生よりも恋話に目ざとい……。
ユースタスと錆丸のコンビは、錆丸が成長した今でもやっぱり、仲良し姉弟みたいで和みます~。
実戦訓練の後のご褒美のプリンは相変わらずで和みました。

砂鉄はね、無名との会話で「惚れている」とはっきり口に出した姿に、ときめきがとまらなかったです。
まさかあの砂鉄がこんなことを言い出すとは、一巻目の時点からは想像つかない……。
ユースタスが自分の顔を見ないのだけがよくない、それ以外はどうでもいい、とさらっと流してしまうおおざっぱさというかなんというか、砂鉄らしい愛情だなと思いました。
そのあとのユースタスと砂鉄のふたりの場面は、それはもう甘くて優しくて、ユースタスが抱えている苦しみもようやく少しは溶かされたようで、ユースタス、本当に良かったです。
幽霊騒ぎのオチはちょっと笑っちゃいました。ふたりの関係を誤解したままの夏草が気の毒だけど夏草らしくて可愛い……。

夏草と言えば、彼の活字中毒ネタがこんな伏線になっていたとは!読んでいてしびれました。
バベルの一族、世界語と純国普の犯した罪。この場の三人の語らいと覚悟がじんと胸に響きました。

雷鳥様と黒曜のふたり酒盛り。
ラストまで読み切ったあとに読み返すと、色々こみ上げてきます。雷鳥様の気持ちもなんか分かったような。

伊織お兄ちゃんと暁玲さんたち一行との再会も、嬉しかったです。
金星のことを分かっている味方って心強い。伊織さん、優男風情なのに月氏の面々にかこまれてもまるで色あせないのがすごい。
暁玲さんとユースタスの女子トークの場面もお気に入りでした。
射手座もお気に入りな女の子になってきました。夏草のネーミングセンスがさすがというかなんというか。

静かに残り少ない人生を受け入れ行動する花婿候補たち、戦火に巻き込まれんとする人々、そんな中で月氏達を出し抜いて派手な行動に出た錆丸に、これまたびっくり仰天。でも錆丸らしい選択だ。
めちゃくちゃ無謀なんでしょうけれど、メンバーの中で一人ひとり、誰がどこまで味方で敵なのか、冷静に見定めて情報の開示や行動を決めていく錆丸の成長っぷりとか、確かに協力してくれるバドルさんたちとか、大丈夫かしら、大丈夫かな、きっと大丈夫!とはらはらどきどきをおさめられないまま、次巻を読むんだ私!(そろそろ何を言っているのか分からなくなってきました。)

砂鉄とユースタスの幸せそうな姿にときめく一方で、ふたりの関係が進むほどに、砂鉄への想いに苦しみぬく彗星が、辛いね。
無名のプロポーズ作戦のエピソードはなかなか素敵でしたけれど。

番外編、まずはアルベルトの少年時代の初恋話。
口達者は相変わらずなものの、殿下にこんな純情な少年時代があったとは!(失礼)
そして確かに世間知らずさをプラスすると、ヴィットリアにそっくり。
博士の初登場シーンにはけっこう度肝を抜かれました。文化の違いだなあ。ほうっ。
はじめぎこちなかったエミリーとの距離を縮めていき共に研究にいそしむ姿がきらきらしていて、お祭りで若者たちの愛の言葉を収集する場面がとても好きでした。自分たち自身でストレートに愛を語らうより、このふたりの恋には、ふさわしい気がして。
初恋の終わりがまたやるせないです。エミリーの気持ちも分かるし、殿下の気持ちも切ない。

そしてユースタスが銀魚の力を得ることになったきっかけのお話。
アイルランドと妖精というと、なんとなく『伯爵と妖精』シリーズとか思い出してしまいます。
ユースタスのお家は、お兄さんまで、本当にろくでもないな……。
乳母のノラが本当にいいひとで、ユースタスへの混じり気ない素朴な優しさに、読んでいて泣けてきます。
ノラの用意した少女のドレスにおずおず袖を通すユースタスの場面がおもはゆくとても幸せでした。
ユースタスの食欲は、金星の力とは直接関係なかったんだな……とかどうでもいい(?)発見を。
じゃがいもパンケーキに羊のシチュー、大量のピクニックのごはんがとてもおいしそうでした。ココアは、ここで登場していたのか。


一昨日昨日と記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 嬉野君