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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。』友麻 碧 




人とあやかしが共に住まう町・浅草で、前世「茨木童子」だった記憶を持つ女子高生・茨木真紀は、持ち前の面倒見の良さから、今日もあやかしたちの起こす厄介ごとを解決する日々を送っている。
前世での夫で「酒呑童子」であった同級生の甘酒馨たちも巻き込んで、花火大会に山遊び、学園祭に、色々なイベントを駆け巡る真紀。
そんな折、以前の騒動から彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れて……。

『浅草鬼嫁日記』、『かくりよの宿飯』共々楽しみにしていた第二巻目が出ました!
表紙イラストの和装真紀ちゃんと馨くんの構図が格好良く、ふたりの絆を感じさせるのがなんともときめきます。
まさに「青春を謳歌する」と言った感じの真紀ちゃんの不敵でたのしげな表情が良いですね!
(それにしても由理がいないなーと思っていたら、まさか、そんなところに……。)

実際に読んでみてもやっぱりこのお話面白い~!楽しいエピソードや設定てんこ盛り、なんでもありのお話のぶっ飛び具合が絶妙。
なんといっても真紀ちゃんが相変わらず色々な意味で最強で、格好良すぎる!どこまでもついてゆきたい(笑)。
ありとあらゆるあやかしたちに慕われている真紀ちゃん、彼女のこの面倒見の良さと情のあつさ、腕っぷしの強さ諸々鑑みれば、納得……。浅草のあやかしたちすべてのお母さんみたいです。女子高生だけど。
その一方で、前世からの記憶、そして現世での死んでしまった両親のことが織りなす切なくてやるせない雰囲気もあり。
今回は特に、真紀ちゃんのこの明るくてしぶとくて強い面と、もろく繊細で弱い一面の両方が前面に出てきていて、ギャップが印象的だったように思います。

ときに弱さをぽろりと出してもそれでも明るくて強い真紀ちゃんが健在なのは、やっぱりきっと、馨君の存在があるからこそ、なのでしょう。
真紀ちゃんと馨君、前巻に比べていっそう「夫婦」感がにじみ出ていて、当たり前のようにアパート通い婚同居状態で食卓を共にし、将来の話はもうほとんど結婚前提で。
前世から苦楽を分かち合いお互いを知り尽くしてきていて、普通に長年連れ添った夫婦以上にしっくり馴染んでいるこのふたりの距離感が、ときめいてもう……!!ごろごろごろ。
あれですね、馨君が一巻目に比べて夫婦と言われるのに文句を言わなくなり抵抗感も薄れてきている感じなのが、いっそう甘さを強調しているんですよね(笑)。
そして真紀が落ち込んだときに当たり前のように側にいて、彼女の心身すべてを無言で支え守っている馨君がもう本当に「夫」そのもので、格好良くって。じーんときました。台風の夜の場面は特にしみいりました。

やっぱり私は前世ネタ、平安時代ネタが大好物なので、茨姫関係の切ないエピソードがとりわけ胸にぐっときました。
前世での両親がああいう風に終わってしまったからこそ、現世においてちょっと変わった娘でも惜しみなく愛情を注いでくれた両親に、今にしてちょっと複雑な想いを抱いたり、真紀ちゃんの心の揺れが、いじましかった。
あと茨姫が酒呑童子に攫われてから夫婦になるまでの短い過去の回想エピソード、傷ついてなかなか心を開けなかった茨姫に、不器用に愛情を示しアプローチする酒呑童子のふたりの姿に、ときめいて仕方がなかったです。
その後、前世でもやっぱりこんな感じのぶっ飛んだ夫婦になったんだろうなあ。ふふふ。
そしてだからこそ、スイがちょっと言及していた、かつて酒呑童子が先に死んでからの茨木童子のことに思いをはせると、何とも言えずに辛くて切ない。

各種イベントごとはわいわいにぎやかで楽しかったです!
特に盛り上がったのは学園祭。河童の乱舞がすごい……。あとがきも読んで、作者さん、本当にかっぱお好きなんだなあ……愛が伝わってきてこちらも楽しい気分になりました。
大黒先輩の正体が予想以上に大物でびっくり仰天だったり。由理子ちゃんの女装の決まりっぷりと活躍っぷりに盛大な拍手を送ったり。
副会長も最後まで読めばあれで潔いところもあるのね、となんか後味よく終われて良かったです。からっと引きずらない勝負事は良いものです。文化部チームの地味なチームワークお見事だったな。キウイ大福も意外に美味しそう。
由理のおうちの山遊びも良かったな。馨君の水着押しがすごくてびっくりしてしまった……本当に真紀ちゃんと馨君の距離感って独特で時に読めない(笑)。若葉ちゃん可愛かったです。

あとあやかし成分が今回もてんこ盛り!
ペンギン姿のおもちとミカの鳥さんコンビに和みました。表紙のイラストが可愛すぎる。どっちも真紀ちゃん大好きなスイとミカのでこぼこなやりとりも和みました。
真紀ちゃんとミカとおもちでメロンパンのわけあいっこしている場面がお気に入りでした。焼きたてメロンパン美味しいに決まってる~!
神様となっていた牛御前も、お母さま大好きで色々したたかでお美しそうで気にいりました。女は強いですね!
真紀ちゃんにもふもふされて照れているクールビューティー・ルーも可愛い……。彼女のことがうまく収まって良かったな。まさにみんなのチームワークの賜物という感じでした。

陰陽局と、あと津場木茜君の事情も、ちょっと見えてきましたね。
真紀と馨の敵か否か、ちょっと読めない感じがしますねえ。あそこでアルバイトとして現れた馨君まさにヒーローで格好良かった……。ミカの決意も格好良かった。見直しちゃいました。
茜君は、つんつんしているけれど根は素直ないいこだな。
津場木史郎の呪いについてちょっと出てきましたが、読んでもいまいちよくわからない。半分くらいは何かこじつけに思えなくもなく。あれ??(笑)
なんにせよ、茜君と葵が親戚なのは、これではっきりしましたね。葵ちゃん、きっと津場木家がこういう家系であることを、知らないんだろうな。
本当に史郎さん、過去にいったい何をやらかしたのやら。

そんな真紀と馨たちの賑やかで楽しい生活に、ラストで波乱のきざしが。
晴明や源頼光は、過去の茨姫とは、単純に敵味方と言い切れない複雑な因縁があるようで、どう転がっていくのかなあ。気になります。
あと眷属のひとりだったというリンのことも、気がかり。

『かくりよの宿飯』ほどではなくてもやっぱりご飯がおいしそうなこのシリーズ、最初に出てきた真紀ちゃんの冷やし中華や麻婆豆腐ネタに、ひどく心惹かれました。葵ちゃんだけでなく、真紀ちゃんの作る家庭料理もまた美味しそうなんですよね~。
しゅうまいや雷おこしなんかも食べたくなってきました。

続きはしばらく待つことになりそうですが、今からまた楽しみです♪


カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。』友麻 碧 




ライバル宿の「折尾屋」からようやく「天神屋」に帰ってきた葵。
食事処「夕がお」を再開し、すっかり気心の知れる仲間となった天神屋の皆と一緒に、秋の味覚を堪能したり、新作お土産菓子を考えたり、にぎやかな日々を過ごしていた。
そんなある日、葵は大旦那様から果樹園デートに誘われた。いつものお誘いと変わらないはずが、折尾屋での件を経た葵は、大旦那様のことをもっと知りたいという自分に気づき——。


『かくりよの宿飯』シリーズ六巻目。
折尾屋編前後編を経て、ようやく舞台が天神屋に戻ってきました!
ホームに帰ってきた安心感があって、気心の知れたメンバーとのたわいないやりとりや信頼関係が、読んでいてとても良かったです。
季節は秋で今(五月)とはちょっとずれているのですが、葵の作るご飯はやっぱりひたすらおいしそうで、夜に読んでいるとどんどんお腹が減ってくるので困っちゃいました(笑)。
あと葵と大旦那様のふたりの関係に、ここにきてようやく若干の進展が!読んでいてごろごろときめいて仕方がなかったです(笑)。
料理に関してはあやかし相手に一歩も引かずに不敵な葵ですが、自分自身の恋心やそういう駆け引きには疎くて、彼女と大旦那様との不器用な心の通わせ合いが読んでいてもどかしくとても可愛いかったです。
しかしそんな和やかな日々がまた一気に突き崩されてしまったラスト一連の流れ!!
徐々に明らかになってきた隠世のあやかしたちの勢力図もなかなか複雑で、どうなってしまうのやら。

序盤の新米イベント。気心の知れたメンバーと美味しい炊き立てご飯をひたすら楽しむ場が読んでて楽しく心和む……。卵かけごはんに鮭フレークに自家製なめたけの魅惑。
そして大旦那様との果樹園デート。味覚狩りは楽しいしなんだか天神屋ならではという感じがします。途中トラブルが入り若干(?)変な方向にいってしまいましたが。
ちょっとマヨネーズを入れた卵焼きとおにぎりのお弁当がまた美味しそう。
そして山賊退治のために葵が腕を振るった、山羊チーズのピザ(焼き豚きのことさつまいもりんごの二種類)がおいしそうすぎる~。私はスイーツピザの方にシロップをかけていただきたいです。
単なる誤解による人さらい事件ではなく、きな臭い事情もからんでいて、そういうときに大旦那様はやはりとても頼れる。
葵に指示され嬉しそうに手伝いに精を出している大旦那様とのギャップが良いですね(笑)。
あと美女を侍らせる山賊の姿に、史郎さんを思い出してなんともって、史郎さんは隠世でいったいどんな生活をしていたんだ……。
あとアイちゃんの化け姿を提案した葵にときめきました。わあ、葵は無自覚だろうけれど読んでいるこちらも恥ずかしい(笑)。表紙のはつらつとした可愛い女の子はアイちゃんだったんですね!

折尾屋の秀吉とねねちゃんが婚約というおめでたいニュースに続き、春日のおうち事情にびっくり仰天。
ぱたぱたよく動き気が利き要領も良く可愛い春日はお気に入りキャラだったので、天神屋を去ることになってしまうというのは寂しかったけれど、葵と二人で頑張っている姿を今回たくさん読めて嬉しかったな。
春日自身の初恋の君がお相手のようで、それならばひとまずは素直に彼女の幸せを応援したい。
でもなかなか大変な道なのでしょうね……。そこのところ踏まえてお涼も春日のこと心配していて、ラストの一連の春日とお涼のやり取りが、とても良かったなと思いました。お涼はなんだかんだ言って格好良く仕事ができて頼れる若女将の器なんですよねえ。
春日が事あるごとに、葵を同じ八葉の嫁として将来も交流があるだろうから、みたいなことを当然のように言っていて、それに戸惑いつつもなんか否定もできない葵のとまどいと距離感にもときめいたり。
地獄まんじゅう開発エピソードも面白く読みました。というかこの蒸しケーキのようなおまんじゅう絶対美味しいですよ。米粉と酒種生地でたまごにチーズも入れて、温泉の蒸気で蒸して日持ちするようにも工夫して……ああ、こういうの読んでいるの私すごく楽しい。天神屋のメンバーの絶妙なサポートでどんどん商品化に向け改良されていくのも楽しい。

あと葵とお涼と春日と静奈ちゃんのぶりしゃぶ女子会エピソードも楽しかったです。程良く闇テイストで、でも女子会ってまあそんなもんですよね(笑)。気心の知れたメンバーで美味しいものをつつきつつぶっちゃけトークってなんでこんなに楽しいんでしょう。
ぶりしゃぶもおいしそうでしたがデザートのぶどうのカスタードタルトが美味しそうすぎてもうどうしましょう!というレベルでした。
ひたすらぶっちゃけるお涼と大人しくても言うことは言う静奈ちゃんとか色々楽しかったです。
銀次さんの秘密、春日それ本当にどうやって知ったんだ……。

大旦那様の秘密の空中庭園の場面は、どきどきしました。
大旦那様自身のことはいまだに謎だらけで、葵は分からないことだらけで、それでも大旦那様のことを知りたいと思う。という葵のとまどいとか色々せまってきて。
大旦那様の本心はやっぱりなかなか読めずもどかしいけれど、これまで葵をずっと陰日向でささえ続けてきた優しさや気配りを思うと、正体が極悪非道な鬼なんて、そんな言葉通りとはとても思えないんですよね。
葵も現世にはあまり未練なさそうだし(それはそれで悲しいことだけれど)、このままお嫁入りしてもいいんじゃないかときっともう天神屋のメンバー全員そう思っているけれど(それを認めさせた葵の実力が本当にすごい)、うー、どうなるのかしら。

大旦那様と違って、私かぼちゃが大好きなもので、秋祭りイベントのかぼちゃ尽くしメニューにもときめきました。
かぼちゃと七味唐辛子でぴりっとさせたメンチカツ、豆乳カボチャスープに隠世ツナのコッペパンサンドの組み合わせ、皆美味しそうです。たまらない。あと自家製ほしぶどうと手作りバタークリームのコッペパンサンドも非常に心惹かれる。

新キャラの(←すみません、間違いです。3巻ですでに登場されていました。)千秋さん、程良く力が抜ける感じのいいひとだったな。
暁が妹からの手紙を読んでいる場面もほのぼのしました。鈴蘭さん相変わらず史郎さん大好きで幸せなんだな。
銀次さん、今回出番少な目でしたが、やっぱり葵をしっかり支えてくれる彼の存在は読んでいるととても安心する。彼の本心を思うと切ない感じがしますが……。
チビは安定のチビでした。

それにしてもあのラストはいったいどう転がっていくのか!
雷獣がやはり本気でいけ好かなくてどうしようかと思いましたが、そうだ、天神屋なので白夜さんがいてくれたんだった(笑)。
当座はしのげたけれど、根本的な解決になっていない感じで、うーん、不安が募ります。
黄金童子様のこと、津場木史郎の呪いの件と大旦那様との約束、大旦那様の明かされていない秘密、あと葵の過去の回想にちらりと出てきた茜少年のつながりなど、気がかりなことがたくさんです。続きがとても気になる。
葵は今後自分の身の振り方について、どんな選択をするのかなあ。

『浅草鬼嫁日記』の二巻目も同時発売で買ってきましたので、これから読みます。楽しみ!!


ここ最近の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『調香師レオナール・ヴェイユの香彩ノート』小瀬木 麻美 




調香師レオナール・ヴェイユは、若くして世界的大ヒットとなる香水を開発した天才的調香師。
その後は依頼者だけのための香を開発する、謎の多いプライベート調香師になっているという。
月見里(やまなし)瑞希は病床の母の願いのため、彼に依頼状を出すことに。
長野のアトリエへ導かれた瑞希は、浮世離れした美貌の青年レオナールと共に、亡き父が遺した絵画の謎とそこに込められた美しい愛情を解き明かしてゆく——。


パステルカラーの美しい表紙イラストが目にとまり、あらすじにも心惹かれ、手に取った一冊。
小瀬木麻美さんは、そうか、以前読んだ『デアラピス』の作家さんでしたか。

世界や時間をまたいでつむがれる、香水や薔薇や絵画はじめ芸術品、それらに込められた人々の愛情をたどりゆく物語。
描かれているモチーフがどれも美しくて品があってロマンティックで、読んでいてうっとりと雰囲気に浸れる物語でした。
とくに品種も様々の薔薇をはじめとしたいくつもの花々。むせかえるような薔薇の色や香りの描写や、どこまでも深く豊かに広がるイメージに、読んでいて圧倒されました。
読んでいると私の心までもが美しく豊かなもので満たされてゆくような。
なんというか基本上流階級の世界の物語で、せっぱつまったせかせかしている感じがなく、安心して美しい物語の世界に身をゆだねられる、というのが、良かった。海外の人が多いからか、良い意味で日本の常識にあまり囚われていない人が多いからか。読んでいて嫌な感じは全然しない。
あと作中に出てくる食べ物が何だかどれもとっても美味しそう!(重要)美味しいものは身体を整え心を豊かにしますよね。

謎めいた調香師の青年・レオナールの所作を、ヒロインの瑞希と共にどきどきしながら辿ってゆくのも、楽しかったです。
物腰柔らかな完璧な紳士で美しく賢くお金持ちで、スイーツに目がなかったり時々子供みたいな面も持っているレオ。
瑞希に対してはいつだって優しくて(多分他の人に対してはもっとクールなのだろうと思われる)、さりげないアプローチをかけているレオの態度に、ときめいて仕方がなかったです。
彼の香を色ととらえる感覚はなかなか複雑だけれど、その説明の描写も美しい花や香りの描写と連続しているような、読んでいて意味が完全に分かっているかどうかは置いておいて、ロマンティックで素敵だな。
レオの絵に瑞希がつかの間トリップしたことでふたりが絵の世界を共有したあの場面が美しくて良いです。あの少女の正体はいかに。
瑞希のレオと対になる能力といい、運命的な二人。
瑞希さん、彼女の苗字の月見里(やまなし)という珍しい響きにひかれました。

なんといってもふたりが瑞希の母の依頼で瑞希の亡き父の絵画の謎をたどってゆく前半パート『ローズ』が、とても好みでした。
若かりし日の景子さんと瑞穂さんがイタリアや日本で周囲の人たちにいかに慕われていたか、瑞穂さんが景子さんのことをどれだけ愛し真摯に将来を思っていたか、レオと瑞希が絵のモチーフを解き明かしてゆくごとに、そういうのがするするほどけるように分かってきて、読んでいてなんだか胸があつくなり震えました。
紅茶の薔薇なんてあるのですねえ。素敵。
景子さんに瑞穂さんの愛がきちんと届けられて、本当に良かったです。
景子さんという女性の凛とした生き様、母として瑞希を養い愛情深く育て上げてきた生き様にも、心惹かれました。まさに薔薇のイメージです。
祖父母との和解も嬉しかったです。指輪にじんわりときました。
最初に出てきた長野のオーベルジュの裕奈さんと春人さんの夫婦、それぞれが良い方でレオともよき関係を築き上げていて、好感が持てました。プロバンス風のコースがどれも素材の良さと裕奈さんの料理の腕の良さが伝わってきて、ああ、うらやましい、私も一度でいいからこんなに素敵なお料理をいただいてみたい。
鎌倉のお菓子屋さんの桜ゼリーも、なんだかこの物語の雰囲気にぴったりで、素敵です。おいしそう。レオの衝動買いにはびっくり(笑)。
南さんもすごくいいひとだな~。あまり突っ込んで書かれてはいないけれど母娘とあたたかなよき時間を共有してきたのだろうな、と思わせる雰囲気が確かにあって。
電話をめぐる瑞希とレオのちょっとした駆け引き?と恋心にきゅんときました。

後半パートの『ジャスミン』は、舞台を瑞希の留学先・ミラノにうつしてはじまりました。
「リナシェンテ」という百貨店の名前の響きがまず美しくてうっとり。
あまりにも分かりやすくレオが瑞希を追っかけてくるので笑っちゃいました。にこにこさりげないけれど何気に強引なレオのアプローチがときめきます。それでいて瑞希が引け目を感じない際もちゃんと考えているあたりが策士。
瑞希の下宿先の家庭料理もおいしそう……。そしてレオと瑞希がランチしたビストロのムース・オー・ショコラに心惹かれて仕方がありません。確かに、これだけのためにフランスに行きたくなっちゃう(笑)。
ジャスミン、茉莉花という漢字で書き表すと中学生の頃知ってから、ずっと好きでした。ストレートにジャスミンがモチーフになった恋と家族のエピソードになっていてこれまた好みでした。エジプトの歴史や伝承を紐解いてゆくのもなかなかなくて興味深い。
彰君、日本の男子高校生とは思えない世慣れた感じの子だなあ……。ここでもスイーツのおいしそうなこと。
大野夫妻の恋の始まりのエピソードがロマンティックで素敵だなと思ったし、色々あっても周囲の人たちの介入を経てあのレオの香でおさまった感じ。良かったです。百合さんの香がアクセントというのが良い。
大学の先生が出てくるからなのか、森晶麿さんの『黒猫シリーズ』と似たような雰囲気があるなあ、とちょっと重ね合わせてみたり。(香水も美学講義の対象になりそうですし。あとヒロインの瑞希さんと付き人がなんかイメージ的に似ている。個性的なヒーローに寄り添いほんのり色づかせる透明感がある芯の強い女性というか。)

香水は恥ずかしながらこの歳になってもまるで未知のものなのですが、こんなにじっくり時間をかけて香りを味わってゆくものなのかと、感心してしまいました。
レオの仕事が流石、すごいな。と何もひねりのない感想しか出てこないのがあれですが。

レオの家族のこと、そしてレオと瑞希の関係の進展など、気になることも多く、続編がまたいつか読めたら、嬉しいな。
上品で芸術肌の正統派少女小説という風情のお話で、お花や香水やじれったいロマンスなどがお好きな方、おすすめです♪


昨日記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 小瀬木麻美 

『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ 望月 麻衣 




東京に住む小春は、中学の終わりに、ある理由から不登校になってしまっていた。
そんな小春は、京都に住む祖母の吉乃の提案で、祇園の和雑貨屋「さくら庵」で住み込みの手伝いをすることに。
吉乃や叔父で和菓子職人の宗次朗、美貌のはとこ・澪人などにぎやかな家族にかこまれて、少しずつ小春は心を開いてゆく。
そんなさくら庵は、実は少し「不思議な」依頼がやってくる店で——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さん、望月麻衣さんのもうひとつのシリーズもの。
ホームズさんの方と同じく、関東で育った少女が京都に移り住み、少女の視点からながめる京都の街やひとびとのすがたが楽しい。京都ネタも程良くお話に織り込まれ京都弁の響きが良いのも、ホームズさんシリーズと同じ。
登場人物が皆癖があっても嫌味がなく人が好く、読んでいて癒されるのも、おんなじ感じ。

なんというか、ホームズさんの方に比べて、より少女漫画チックというか、女の子の物語という感じ。
ホームズさんの方は、葵ちゃん視点から語られる「ホームズさん」が主体だけれど、こちらはヒロインの語り手の少女「小春ちゃん」が主体ということかな。小春ちゃんは葵ちゃんに比べてロマンス面でもやや積極的でかわいい。
友風子さんの美しくて透明感のある水彩画タッチの表紙のイメージそのままに、はんなりと優しい印象を受けます。
(いえ、小春や澪人が抱える秘密はかなり重たく辛かったりシリアス成分もしっかり描かれているのですが、読み心地は重たくなりすぎず読後感はふんわり優しく可愛らしくて、バランスがとても良いと思います。)
あとこちらのシリーズはファンタジー要素あり。一巻目の時点では日常の物語に不思議要素少し、という感じでしたが、シリーズが進むにつれて、不思議要素もしっかりと描きこまれてきて、もともと和風歴史ものファンタジー、特に日本古代もの大好きな私にはかなり美味しい展開になってきました。

基本生真面目でがんばりやで可愛らしい女の子の小春ちゃんも、ミステリアスな美貌の青年澪人くんも好きだし、宗次朗叔父さんも吉乃さんも好きです!
個人的に宗次朗さんと吉乃さんの勝気な頑固者親子がいつも繰り広げるぽんぽん遠慮のないやりとりが好きです(笑)。和みます。
あと宗次朗叔父さんの作る和菓子がどれも非常に美味しそうなのです!

各巻ごとに少し感想メモを。特に4巻目はネタバレご注意ください。

1巻目
シリーズ顔見せ的な。小春の抱える秘密が少しずつわかってくるごとに辛くて胸がきゅっと痛くなって、そんな彼女が京都の祖母の家でにぎやかさにかこまれて少しずつ癒され自分を出せるようになってゆく過程が、とても良かったです。
吉乃さんのもうひとつの顔が普通ではないんだけれどそんなに気を張ってなくて、あくまでふわっと普通のお店の日常の一部という感じが、なんかこのシリーズの持ち味というか、いいな。弥生さんと吉乃さんの関係も微笑ましい。
東西の魅力を組み合わせた桜餅にミニあゆがまさにこういう和菓子を食べてみたかったの!というツボをことごとくついてくる感じでとってもおいしそうです。
憧れの人にパジャマ姿を見られうろたえる小春ちゃんがかわいい。杏奈さんとの女子トークもかわいいです。
最終章の不思議な夢から思いがけず大きな展開になりびっくりしました。
神泉苑、荻原規子さんの『薄紅天女』を読んで以来個人的にも好きなところだったので、こういうかたちで登場してなんだか嬉しかったです。




2巻目
小春が両親に秘密を明かす場面は痛々しくてとても辛かったけれど、最終的には和解できて、本当に良かったです。
再会したクラスメイトとのやりとりも胸がえぐられましたが、颯爽と登場した杏奈さんが語った宗次朗さんの62頁の台詞がすごく良かった……。祝いの言葉を言ってくれる表の顔も妬みの裏の顔も、どっちも本心なんだから、片方だけで判断するなって、目から鱗。十代の私に聞かせてあげたかったです。
そして塔の少女のお話、真相はいくぶん優しくて、何より小春ちゃんにお友達ができたのが良かったな。
若宮君が小春ちゃんの頼れるナイト役で普段の姿が可愛らしくていいなあ。ふふふ。
そして澪人さんの背負っているものが重たくて、しんとした心地になりました。このあたりからの澪人さんと宗次朗さんのイケメン京男二人組の場面がなんか味があって良い。
栗茶巾も黒豆チョコもおいしそうです。




3巻目
表紙の着物&エプロン姿の小春ちゃんと愛衣ちゃんがとても可愛らしい。これは学園祭のときのですね。
宗次朗叔父さんの助言を得ての小春の学園祭のお話が楽しそうでとても良かったです。抹茶栗大福すごく美味しそう。
小春と澪人、それぞれが色々惑いつつも、一歩前進、成長を感じた巻でした。まさか澪人さんがそっち方向にイメチェンするとは……(絶句)。達観しているようにみえるけれど、澪人さんもまだ一大学生だったんだな。
吉乃おばあちゃんの過去エピソードがしんみりと切なくて、そして小春の血筋の秘密の一部が明かされおおっとなりました。小春のお祖父ちゃん只者じゃないな……。
小春が見るようになった過去の夢。ロマンティックで私が大好きな平安時代っぽくて何より幸せそうで素敵。
吉乃おばあちゃんから受け継がれてきた柚子のお粥のエピソードが良かったです。三色串団子も美味しそうです。
狐さんのお話も心温まり良かった。狐さんと巫女さんたちの場面を想像するととても微笑ましく可愛らしくて頬がゆるみます。




4巻目
意味深なタイトルに背中合わせの表紙のふたり。まさに急展開!
お正月に訪ねた賀茂のおうちは、私が思っていたよりは堅苦しくない家庭的なおうちでした。(色々普通ではなかったですが。吉雄さん、さすが吉乃さんの弟さんなだけあって只者ではない。)
そして小春の夢の秘密が明らかに。
玉椿と若宮と……前世においてはそういうことだったのか。と。雅な世界観にうっとり。(平安もの大好物な上に前世ものにも弱い私)
ひたむきに若宮を慕う玉椿がいじましくてとても可愛らしくて、読んでいて幸せでした。それだけにあの結末は辛い。玉椿も辛いし左近衛大将も辛かったです。
現世における若宮君とのつながりが気になっていたところに、ラスト付近で思いがけないところからいくつもつながりの矢印があらわれて、ええっいったいどういうことなんだろう!(混乱)
澪人のお兄さんがキーパーソン?と思ったところで、ラストの澪人の発言と落ちた椿の花の場面はどういうことだ!まさか小春ちゃんへの接し方も過去の何かが理由なの?
バレンタインの小春ちゃんは、本当につらかったけれど、でも正面切って逃げずに勝負に挑んだ小春ちゃんは、すごくよく頑張った。えらかったです。
そして分からないのが三善君。絶対何か裏の顔がありそうなんだけど……。
あと前世における若宮のお天気についての言葉は、結局どういうことだったんだろう。このタイミングで若宮君が姿を消しているのも気になる。
椿の花の落ちるころ、とラストの澪人の和歌の場面が、ひどく美しくて切なかった。
これは続きが気になるよ~!!!
コウメちゃんとお別れするのも寂しいし。

望月麻衣さんのブログや、かつくらの特集などで、シリーズの裏話や設定集など色々読めたのも楽しかったです。
ホームズさんシリーズとのコラボ短編は笑いました。(清貴君のギャップが面白すぎて)

さらさらととても読みやすく可愛らしいお話で、ちょっと軽めのお話が読みたいとき、心が疲れているときなどの読書におすすめです。
京都、陰陽師もの、時代もの、現代学園もの、いろんな要素がほどよく取り入れられていて、世界観に深みがあるので、意外とと言ったらなんですけれど、読み応えありますよ。
友風子さんの表紙イラストにピンときた方なら、ぜひぜひ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。 癒しの薬園と仙人の師匠』友麻 碧 




孤独な女子大生・千歳は、二十歳の誕生日に、神社の鳥居を越えて「千国」という異界に迷い込む。
イケメン仙人薬師・零に拾われて彼の弟子になった千歳。口は悪いが面倒見のいい零師の下で修業し薬膳料理を作る日々を過ごすうち、次第に自分の居場所を見出してゆく。
しかしそんな中、夢で自分を探す家族の姿を目撃し——。

『かくりよの宿飯』シリーズや『浅草鬼嫁日記』を楽しく読ませていただいている友麻碧さんの新作。
薬膳メインの異世界トリップもの和風ファンタジー小説でした。

うわあ、このお話、ものっすごく良かった!!!
今まで読んできた作者さんのお話の中でいちばん好き!
世界観もキャラクターもすべてが慕わしく、読んでいて楽しくて心癒されました。お料理もおいしそうだし小物遣いも絶妙。
なにより、不遇な生い立ちの心根の美しい娘さんが、ひとの優しさに触れて生き生きとよみがえってゆくお話が私は好きすぎる。
現実世界の私がちょうど心の中に抱いていた寂しさとかやるせなさとか、そういう感情にダイレクトに響いてくる物語でした。
先週ちまちま読み進めてゆき読書が本当に楽しくて、ヒロインの弟の姉への愛情とかピアノとかいろいろなものが心にぶわっと押し寄せてきて、読み終えて涙があふれました。心が浄化されました。ほんとうによかった。

表紙イラスト、物語を読み終えた後で眺めていると、またじわじわきますね……。
千歳が美少女で零先生がイケメンで、千華街のはなやかであたたかみのある橙色の色味が絶品です。少し微笑みを浮かべたような千歳の表情がいい。


ここから先は若干ネタバレ注意でお願いします~。


中華風の日本といくらかつながりのある「千国」の世界観が、まずはとても良かったです。
異国情緒ふんだんで、どこか懐かしくてあたたかくて優しくて。
そんなにシリアス過ぎないきさくで親しみやすい描写は『かくりよの宿飯』にも通ずる作者さんの持ち味だなと思いました。
『星の王子様』やヘッセの作品の一部が引用されていたり黒ウサギが『不思議の国のアリス』ちっくだったり、いくらか文学的な香りがするのが、作品世界をより魅力的なものにしていて、また良し。
千国の初代の王様が日本人かあ。なんだかとてもときめく設定です。
華ランタンや着物や料理や不思議なお花や、各種アイテムの描写がとにかく読んでいて非常に楽しくて、ワクワクしました!
音楽を聞かせて育てる不思議の花のランタンで灯りをまかなっているとか素敵にロマンティックな設定。
あと豆狛という生き物の存在自体が可愛すぎる!
どこかのんびりとしていて異邦人の千歳もおおむねおおらかに受け入れる人々の気質、生活の描写も良かった。
まあ、王宮内の人間模様などは、シリアスそうでしたが。

ヒロインの千歳さんは産みの母を亡くして新しい家庭には馴染めず色々なものを諦めて生きていて、彼女の孤独に胸がきゅっと痛くなりました。
異世界に来てしまっても感情の起伏の乏しさで心が死んでいるような淡々としている感じが辛かった。
そんな彼女が零先生のお弟子になり、美味しくて身体によい薬膳料理や人に優しいお薬を作りだしていく毎日の中で、徐々に生気を取り戻して生まれ変わってゆく様が、読んでいる私も心癒されてほんっとうに良かったです!
優しさと賢さと勇気を備え、修行を怠らずに研鑽を積み重ね、やがて身に着けた自分の力で何度も人を救ってゆく千歳さんは、なんて素敵なヒロインなんだろう。大好きです。
黒髪ロングヘアの薄幸の美女設定も私好みストレートで美味しい(笑)。
千歳さんに零先生が買ってくれた千国のお着物はすっごく似合うだろうな!ふたりのお買い物場面好きでした。

毒舌で過保護なイケメンおじいちゃん仙人零先生も、読んでいくごとに味が出てきてにまにま(笑)。安本丹!を連発し修行の師としてはとても厳しいけれど、千歳のことをまるで孫娘みたいに大切にし過保護な零先生が本当にツボでした。遠足のおやつ……(笑)。
赤毛の爽やかなイケメントーリさんも大好き!笑顔で辛い境遇もやり過ごす彼の強さが痛々しくもあるのですが、同時にとても凛々しく惹かれました。
千歳と零先生とトーリさん、三角関係では全然ない三人がそれぞれ「家族」として楽し気な時間を共に過ごしている感じが、良かった~!一緒に千歳のご飯を食べている場面がどれもとても好き。
「家族」という言葉にじわじわ静かに感動している千歳さんが本当にいじましくていとしくて。
(ところでこの世界の人の寿命事情が若干気になる。零先生が特殊なのかな?)

男勝りで王女様の武官になった商家のお嬢様・花南さんも、花南さんが仕える主のいい意味で型破りなお姫様・蝶姫ちゃんも、千歳が仲良くなった女の子の脇役キャラもみんなよかったです。可愛らしくてきゅんきゅんです(笑)。
かつての零先生のお弟子緋澄さんも、なんだかひたひたと怖い人だったけれど、トーリさんの話を聞いていると単純に悪人という訳でもない気がします。(でもやっぱり不安感ばりばりですが……。)

千国の生活に馴染んできた千歳を揺るがしたのは、異国の少年エド君が運んできた「ピアノ」と見捨てられたと思い込んでいた家族の存在。
零先生の言葉もあり思い悩んでいた千歳は眺めていてまた辛かったですが、連れてこられた王宮で、大事な人と居場所を救うためにピアノを弾き「奇跡」を引き起こし、同時に自分の人生の選択をなした彼女、すごく良い場面でした。すべての描写が美しい。美しくて優しい。
その後での零先生と確かな家族となる会話もしみじみ良かったです。

このお話に何回か挿入される異母弟の優君視点が、また泣ける……。
千歳の母と父、優たちの母の三人の間で、過去にどんなことがあったんでしょうね……。なんにせよこんな大人の事情に巻き込まれ散々傷つけられ放り出された千歳が不憫すぎる。
異母姉を大切にできなかったことを後悔し、行方不明になった彼女を必死に探し、ただただ姉の幸せを願う優君の姿は、シンプルに胸を打ちました。
お父さんもなんか色々ダメだったけれど、千歳へのメールと毎夜の涙は、やっぱり切ない。千歳を大事に思っている家族がこちらの世界にもちゃんといたことが、物語の大いなる救いでした。
ラストで千歳の母の衝撃の事実が発覚し(まさかそうつながるとは思わなかった)、優君自身が異世界にゆく流れになるのかな?とても気になります。
優君は血のつながりにも疑問を持っていますが、耳のかたちとかの描写もあったし、まあ、血はちゃんとつながっているんじゃないかしらと私は思ってます。
千歳の生まれた場所は、でもきっと千国なんだろうな。名前が「千歳」だしな。お母さまの名前を貰ったのもあるだろうけれど。
そう考えると、千歳がこの世界で生きる選択をしたということにも、深みが増すというか。上手く言えませんが。

『かくりよの宿飯』ほどお料理メインではなかったですが、千歳が作りだす身体に優しい薬膳料理もまた、読んでいてすごく美味しそうで魅力的でした。身体に優しい料理は読んでいて心も癒されるなあ。
きんぴらごぼうを炒める順番もちゃんと修行の一環で、私も学ぶところが多いです(笑)。
きんぴらの卵とじとトマトスープ、土鍋ご飯の朝ごはん、白きくらげ肉あん入りでんぷん団子に薬草ゼリーのおやつの時間、はちみつミルク珈琲や杏仁珈琲、さいころポークジンジャーに塩レモンの肉団子スープで夕ご飯、みんなおいしそう……食卓を囲む場面がまた楽しそう。
あとリンネおばあさんのパイナップルケーキとか。私昔台湾のお土産でいただいたパイナップルケーキの美味しさに感動してから大好きなんですよね!食べたいなあ。
あと豆腐花みたいなエキゾチックな屋台のおやつもおいしそうだし、最初に出てきたトーリさんが買ってきてくれた肉ちまきもおいしそう。千華街を私も買い食いに繰り出したいです。
花と果実の飲物の清涼感もたまらなかったなあ。あとチョコレートはこちらの世界にも伝わっているんですね!蝶姫さまのパイナップルチョコレートすてきでした。
千歳が作りだすのは料理だけでなくお薬も重要で、使う人にやさしい日焼け止めの発想は、千歳ならではだなあと思いました。
彼女の薬草園を舞台にしたお弟子さんライフ各描写がとても楽しかったですよ。

どうやら続編も出るの決定みたいで、わーい!すごく楽しみー!!
ロマンス要素ほぼ皆無でも十二分に楽しかったですが、今後そういう展開になっても楽しいなあ。
個人的にはトーリさんと千歳がなかなかいい感じだったと思うので、そっと推してみたいです。お似合いですもの。
でも王宮のあのシリアスな人間関係はこれ以上関わると絶対きつそうですけどね……でも千歳は今回すでに正妃様にあんなことしてるし……大丈夫かな。なんにせよ、ちょっと波乱の予感がしますね。
零先生が忠告して隠してきた、千歳が異界人であることが、あの場で知れわたってしまったのが、どう転ぶのかな。

心の中の癒しの楽園として大切にとっておきたいような、そんな一冊になりました。
おススメです!


ここ一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

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『浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。』友麻 碧 




浅草に住む高校生、茨木真紀と天酒馨は、幼馴染にしてとある秘密を共有していた。
ふたりは前世では、平安時代に名をとどろかせたあやかし「茨木童子」と「酒呑童子」であり、夫婦であったのだ。
真紀は今世においても、渋る馨を連れまわし、ブラックバイトに苦しむ手鞠河童や老舗蕎麦屋を営む豆狸一家など、悩めるあやかしのために、元気に駆け回る——。


『かくりよの宿飯』シリーズの作者さんによる、もうひとつの和風あやかし婚姻譚。
カクヨムさんで連載されていたものの書籍化。
私はカクヨムさんで途中から連載を読んでいて、好きなお話だったので、書籍化されてすっごく嬉しい!
『かくりよの宿飯』の新刊共々楽しみに発売を待っていました。

『かくりよの宿飯』と世界観が繋がっていると分かる箇所がいくつかあって、そういうのを見つけるのも楽しい。
まったく別の物語なので、どちらか未読でも全然大丈夫なのですけどね。
個人的には『かくりよの宿飯』シリーズがお好きなら、こちらも読んでみることをお勧めしたいです。
あやかし成分もたっぷりですし、強くてたくましく頑張る女の子も出てきますし(こちらの方が色々ぶっとんでます)、何よりこちらの作品も、とにかく食べ物が!みんな!おいしそうなのです~!!

とにかく最強鬼嫁女子高生の真紀ちゃんの活躍っぷりが、読んでいて楽しすぎます。
豪快で情にあつくて浅草のあやかしたちの頼れるお姉さま!格好いい!葵にも通ずるどこか古風でおしとやかな口調が真紀ちゃんのキャラにもまたぴったりです。
そして前世の旦那様で真紀ちゃんに振り回され続けている馨君も、そっけないけれど優しくて強くてこれまた格好いいのなんの。
ふだん口では文句ばかり言いながらも、真紀ちゃんのことを本当に大事に思っていていざというときはばしっと決める馨君が、本当に好き!
この前世夫婦で現在高校生のふたりの距離感が、もう絶妙で。読んでいてときめいて仕方ないのです~。ごろごろごろ。
たまに挿入される馨君視点の語り、馨君が内心では真紀ちゃんのことすっかり妻同然に見なしていて将来のこともすでにもう考えている感じなのが、何とも言えないときめき感。
あと、ふたりの平安時代の回想、藤原の家に生まれながら不遇のお姫様だった茨姫と、酒呑童子の出会いが、私すごく好きでした。
真紀ちゃんの大輪の花の笑顔に、馨君が前世での妻の姿を重ね合わせて息をのむ場面が、あざやかで。
この平安時代の貴族社会な雰囲気がほんのりきちんと漂ってくるのが、平安時代もの大好きな私的にはまた美味しいのです。
(カクヨムで読んでいた頃の私の頭の中のイメージは、高屋奈月さんの少女漫画『幻影夢想』の水月華と比良達でした)

ふたりのやっぱり幼馴染で前世では鵺であった由理君も交えて、三人一緒に前世の記憶も抱えつつしょっちゅうあやかし関係のあれこれに巻き込まれつつも、あくまで普通の高校生として今の生活を楽しんでいる雰囲気が、とても好きだなと思いました。
おだやかで優しくてしょっちゅう口げんかするふたりをなだめるのが基本だけど、ときどき何気に黒い由理君のポジションもとてもいいですよ。
三人それぞれの今の家族への想いがきちんと本物で、心に沁みました。
馨君の不仲な両親への複雑な思い、それを分かったうえで接する真紀ちゃん、このふたりが夫婦同然にご飯の世話をし合い暮らしを営んでいる様が、好きですねえ。あくまで健全な高校生の関係を決して超えない、考えもしない真面目なあたりがいっそういい。

かくりよのチビの仲間かもしれないあざと可愛い手鞠河童の集団や、商売上手のお蕎麦屋の豆狸父子、男運の悪い雨女の明美ちゃん、若干胡散臭い薬屋スイさんに盲目的に茨姫を慕うミカ、あと苦労性の大和組長にぬらりひょんの食えないおじいさん、魅力的なあやかし(一部人間)キャラがたくさん登場してきて、にぎやかでとても楽しかった。
みんなの姐さん的存在として頼られ愛されている真紀ちゃんのポジションがとてもいいよ!(彼女のあらっぽい活躍の後片付けに追われる馨くんや組長たちは不憫ですが……。)
現代版アレンジされた百鬼夜行というイベントも楽しかったです。

陰陽局の不敵な若者として登場した津場木茜氏の存在が、とても気になる。
彼は葵の親戚かなにかですよねきっと。名前も若干似ている感じが。
津場木家ってそういうお家なの?葵の不遇な生い立ちもそこに由来しているのかな?まさか史郎さんの人でなしな活躍っぷりがこのシリーズにまでかかわってきたりして……色々想像を膨らませてみる。
そういえば大旦那様もちらっと登場してきましたね。存在感ばりばり。

焼き芋ようかんや、鴨せいろ蕎麦や江戸前天丼、浅草グルメが美味しそうで美味しそうで、私もあまじょっぱいたれがからんださくさく大あなごの天ぷらを食べたくて仕方がありません。
しかし一番私が心惹かれたのは、真紀ちゃん自家製・たまごやハムもたっぷりはいったごろごろ具だくさん正統派ポテトサラダでした。馨君のアルバイトと真紀ちゃんの手料理で成り立っているふたりの食卓の場面があたたかくてとても好き。

けがをした馨君が真紀ちゃんに最後の最後に語ったストレートな想いにきゅんときて、平穏な日常がひとまず戻ってきて……なところで、若干不穏な影が。のラストでした。
続きが気になる~!どうやら続きがちゃんと読めるようなので嬉しいなあ。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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