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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『鳥居の向こうは、知らない世界でした。2~群青の花と、異界の迷い子~』友麻 碧 




異界に迷い込んだ女子大生・千歳は、千国の薬師・零の弟子として働く日々。
千歳が弾くピアノは青い光を放つ花を咲かせ、王宮から重宝されていた。
そんなある日、千歳は鳥居を超えてきたという異母弟の優(すぐる)と再会する。
日本の家ではぎこちないばかりの関係だった二人は、千国で共に過ごすうちに、少しずつ心の距離を縮めてゆく——。

一巻目に惚れ込んでしまった『鳥居の向こうは、知らない世界でした』の第二巻!
楽しみにしていました~!続きが読めてとても嬉しい。
表紙の青色の光と花が美しく幻想的で読む前から期待をかきたてられました。

二巻目も、異世界の千国の描写はどこか懐かしく慕わしく、ピアノや文学作品の香りがする各描写は品よくロマンティックで、千歳が作る薬膳料理は美味しそうで、人の優しさ温もりが心に染み入る、極上の物語になっていました。
『かくりよの宿飯シリーズ』といい、この作者さんの物語の異世界の描かれ方が、きっと私のツボにぴたりとはまっているのだと思います。
異世界の各設定を読んでいると本当にワクワク楽しいし、そこまでシリアスすぎず読み心地が良く親しみやすい感じなのがマル。
(ちなみに私が今まで読んできた異世界もので同じくツボにはまったのはたとえば川瀬夏菜さんの少女漫画。あの親しみやすさがいい)
『かくりよ~』に比べてこちらはしゅっとした格調の高さがあるというか、読んでいてすんなり心地よさに浸れます。
それにしても異世界でピアノを弾く薄幸のつつましい美少女……なんて絵になる私好みの設定。

さて二巻目のキーポイントは、千歳さんを探して異世界に自ら迷い込んでしまった異母弟の優君。
青火王子にひろわれ千歳と再会した優君、日本の家庭ではぎこちない関係であった二人が、異世界で共に過ごすうちに徐々に心の距離を縮めて、本当の姉弟になっていく過程が、読んでいてじんわり心が温かくなり、とても良かったです。
自分もけっこうひどい目にあってきたみたいなのに、千歳さんに再会して美しく生き生きと暮らしている彼女の姿にまず安堵する優君、優しいいい子だな……。
弟のために馴染みのある日本の料理を工夫してこしらえる千歳さんの真心も沁みました。ハマグリごはんにほうれん草の胡麻和えおいしそうだな。

印象的だったのは音無夫人のエピソード。
日本人であったかりそめの夫を懐かしみ恨むでもなく思い出を大切にまどろんでいる夫人の姿がとても優しくて切なくて。
彼女の夢の中で世界をまたいで重なっている星空を共に眺めるふたりが幸せそうで楽しそうで、どうして二人の道は分かれてしまったのだろうと、想わずにいられなかったです。
重なり合うのは『銀河鉄道の夜』、美しいリンドウの花の群れと果たされなかった「一緒に行こう」の約束、海の事故、その後明らかになった悲しい真実。
シノさんと千歳さんが共同で作ったエビ雲吞とあんかけ炒飯もおいしそうでした。

青火王子は最初は怖くてとっつきづらいひとかと思っていたけれど、意外とトーリさんと対等の兄弟関係を結んでいるようで、優君もなんだかんだ馴染んでいたし、悪い人じゃないんですね。
千歳さんを馬鹿にした青火王子に零先生とトーリさんがすかさず反撃する場面が好き(笑)。千歳さんは千国で確かに自分の居場所を作り上げていて、それをこの二人に力強く肯定してもらえて、とても良かった。
優君に日本の絵を描かせて異国のことを知りたいとキラキラした知的好奇心を持つ青火王子、なんかいいな。
もっとも個人的には千歳さんにもう少し優しくしてほしいものですが。まあ、女の人に厳しくなるのも彼の境遇では仕方ないような気もする。

ヴァーユさん、優君、新キャラを迎え入れつつ、千歳と零先生の師匠とお弟子の生活もまたしっくり馴染んできていて、それもまた良かった。千歳さん認められてきてますね!
胡椒饅頭とか中華風のお餅入りパンケーキとかとてもおいしそうです。海苔巻きおにぎりが食べられるって嬉しいですね。
なにげない日常の生活のこまごまとした描写が相変わらずこの作品の大きな魅力です。
零先生と二人のお出かけのときに食べていたお弁当も地味にとてもおいしそうでした。

千歳さんとは別のアプローチで千国に馴染んでいく優君の姿も良いものでした。
王子様たちや零先生となんだかんだ仲良くなっているし。絵の才能で重宝されているし。優君の飲物おいしそうだし。
彼もまた千国で生き生きと楽し気にしていて、千歳さんもそれを見ていて楽しそうで、ほっこり。
それでも彼は、日本に「帰る」方の人間で。
千歳さんとの別れの場面、お互いの呼び方が変わった場面が、とても印象的で胸を打ちました。
ただこの異世界で生きるあなたの永遠の幸せを願う。自分の価値観を押し付けることもなく祝福を残して去り、父親に想いを確かに届けて帰る優君、別れ際に優しく導きの言葉をのこした千歳さん、そんな二人の姿が、優しくて、切なくて、美しかったです。

あとこの巻の青い焔草と千歳さんの絆のお話も幻想的で美しくてぐっときました……!!
本当に千歳さんはすっかり焔草を手懐けちゃってますね。
淡く光る染織物の描写がまた美しくてロマンティック。きっとお世辞ではなく千歳さんには抜群に似合っていると想像しています。

蝶姫ちゃんもトーリさんも元気そうで良かった。
トーリさんと千歳さんがやっぱりいい雰囲気な感じがするのですが、この王宮の人間関係を思うと、ちょっと将来的に厳しそうですよね……どうなるのかなあ。トーリさん自身千歳さんをお母さんみたいな境遇にさせたくないでしょうし。
ガジュマルの木の空き地でお茶している二人、お互いがお互いに、今日はあなたに会えると思って、というのが、すごく良い感じなのに~!(もどかしい)お妃に間違えられた場面もときめきましたし。
あ、あと水出しレモン珈琲というのもおいしそうです。優君すごい。

日本とこの異世界との関係、異世界人のこと、零先生たち仙人のこと、外国のこと、少しずつピースがつながってゆき、千夏さんの日記の謎もあり、まだまだこの世界で気になることはたくさん。
なので、また続きが読めると、とてもとても嬉しいです。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢』望月 麻衣 




突然自分の特殊な力を失ってしまった小春。
その喪失感に加え、想いを寄せていた澪人との関係もぎくしゃくしてしまい、落ち込む日々。
そんな中、モデルとして活躍する澪人の姉・杏奈のスキャンダル報道が流れる。
小春たちは事実無根の内容に憤るが、世間の風当たりは強くて——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さんのもう一つの京都ものシリーズ『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ、最新巻。
ホームズさんシリーズとはまたテイストが違って、女の子らしいはんなり和風ファンタジー小説、こちらも大好き~!!
なんだかもう、表紙イラストがまず美しく可愛らしくて世界観ぴったりで、眺めているだけでうっとり幸せに浸れます。
『桜月夜と梅花の夢』というサブタイトルと相まって、春らしく淡いピンクで桜の花も美しく、小春が着ている服のレースも和菓子もコウメちゃんも、とにかくみんな可愛らしい!大好き!(語彙力が足りない)

このシリーズ、平安時代ものネタ&前世ネタなどもがっつりストーリーに加わってきて、個人的にますます美味しくなってきています(笑)。
過去と現代、それぞれのロマンスが複雑に絡まり合ってきていて、しっとり切なくて、同時にときめいて仕方がないです。
京言葉はみやびで読みやすく優しい文章もいいし、和菓子も相変わらずおいしそう。

前巻のラストで一気に突き落とされて、どうなることかと心配していたのですが。
二重に落ち込みつつも、きちんと自分の気持ちに折り合いをつけて、しゃんと生活している小春ちゃんは、強いなあ。しみじみ感心してしまいました。
吉乃さんと宗次朗さんのさりげない見守りの態度があたたかくて本当に素敵。じんわりきました。

杏奈さんのスキャンダル騒動、一旦あんなに喜んだのにまた叩き落されて辛かったけれど、こちらもまた、彼女の身内の人々の見守る態度があたたかくて、それぞれが適切な距離感で手助けし助言をしていて、素敵だなと。
杏奈さん家の三姉弟のきょうだい関係がなんだか好きだなと思いました。お母さまも出てきて、彼女にも事情がありそうですね。
宗次朗さんの懐深さにしびれました。そして最終的に彼女を追っかけていった宗次朗さんの本心を思うとときめきますね!このふたりは一体どういう風に落ち着くのかなあ。
杏奈さんはあの表裏のギャップが、危うい一方、とても魅力的なひとだなと思います。今回一皮むけたようで、これから強かにいい女に頑張ってほしいなと思いました。

はてさて、前巻から謎だった澪人の胸の内、左近衛大将視点での過去語りもあり、少しは見えてきたかな。
玉椿姫の想いの結末も切なかったけれど、愛する姫を知らず不幸にしてしまったと悔やむ左近衛大将の恋も本当に切ない……胸がぎゅっと痛みました。
若宮の過去のあの発言の真意も語られ、ああ、彼は人ではない「神様」なんだなあ。と。
若宮君が悪いわけではないんだけれど、でも、玉椿も左近衛大将も報われないなあ……。思いを持てあます。
それにしても分からないのが澪人と和人の前世&現世の関係。頭の中にはてなマークがいっぱい(笑)。
和人と小春がやりとりしていたのを誤解した澪人が、小春にあんなに強い勢いであたったのは、どういうことなんだろう。
(ちなみにあのやりとりの後できちんと謝罪する澪人とそれを受け止める小春のふたりが、なんというかきっちり誠実に相手と自分自身の心に向き合っていて、とても好きだなと思いました……そういう意味でもこのふたり、お似合いだと思うんですよねえ。)
前世からつながっている皆の想いが複雑に絡まり合っていてすぐにはほぐれなさそうな感じが、なんか、辛いですね。

小春の力はやっぱり封印でしたか……。
三善君側の事情も分かってみるとこちらも辛い。でも和解できたようでちょっとほっとしました。
力を失っていた小春が、コウメちゃんからの伝言を受け取る場面が、この巻の中で一番お気に入りだったかも。小春ちゃんをひたむきに慕い見守るコウメちゃんのいじましさに心が洗われる思いでした。
安倍さんの不器用なほどのきっちり誠実なたたずまいも、好感が持てる。
あと小春に愛衣ちゃんという親友がいて、本当に良かったな!と色々な場面で実感しました。
占星術のレクチャーは興味深かったです。私もちょっと本読んでみようかな。

ラストあたりの小春と澪人のやりとりは独特の緊張感とときめきが。どきどきしました。
ふたりのぎこちなさがこの巻でだいぶ修復されてきて心の距離もまた縮んだようで良かったです。
なんとか上手くいくとよいのですけれど。
あと若宮君の発言の意味も気がかり。今度は何が起こるんだろう。

ところでこの最新刊を読んでいたのが、実は、京都への日帰りお出かけの高速バスの中。だったりしたのでした。
先月末、かねてから実行したくて仕方がなかった『京都寺町三条のホームズ』シリーズゆかりの場所めぐり、ついに行ってきたのです!!
当初はこの記事のあとにくっつけようとしていたのですが、見辛いので、やっぱり記事をわけることにしました。

なんというか、この『拝み屋さん』シリーズはやっぱり祇園の町の雰囲気で、『寺町三条』シリーズの雰囲気は、寺町三条のアーケード通りだなあ。と実際に行ってみて感じました。
本で読んでいたのみの世界に実際に行ってみると、物語が自分の中ではっきりと「生きる」感じがして、なんか、楽しいものですね。

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣 

『浅草鬼嫁日記二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。』友麻 碧 




人とあやかしが共に住まう町・浅草で、前世「茨木童子」だった記憶を持つ女子高生・茨木真紀は、持ち前の面倒見の良さから、今日もあやかしたちの起こす厄介ごとを解決する日々を送っている。
前世での夫で「酒呑童子」であった同級生の甘酒馨たちも巻き込んで、花火大会に山遊び、学園祭に、色々なイベントを駆け巡る真紀。
そんな折、以前の騒動から彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れて……。

『浅草鬼嫁日記』、『かくりよの宿飯』共々楽しみにしていた第二巻目が出ました!
表紙イラストの和装真紀ちゃんと馨くんの構図が格好良く、ふたりの絆を感じさせるのがなんともときめきます。
まさに「青春を謳歌する」と言った感じの真紀ちゃんの不敵でたのしげな表情が良いですね!
(それにしても由理がいないなーと思っていたら、まさか、そんなところに……。)

実際に読んでみてもやっぱりこのお話面白い~!楽しいエピソードや設定てんこ盛り、なんでもありのお話のぶっ飛び具合が絶妙。
なんといっても真紀ちゃんが相変わらず色々な意味で最強で、格好良すぎる!どこまでもついてゆきたい(笑)。
ありとあらゆるあやかしたちに慕われている真紀ちゃん、彼女のこの面倒見の良さと情のあつさ、腕っぷしの強さ諸々鑑みれば、納得……。浅草のあやかしたちすべてのお母さんみたいです。女子高生だけど。
その一方で、前世からの記憶、そして現世での死んでしまった両親のことが織りなす切なくてやるせない雰囲気もあり。
今回は特に、真紀ちゃんのこの明るくてしぶとくて強い面と、もろく繊細で弱い一面の両方が前面に出てきていて、ギャップが印象的だったように思います。

ときに弱さをぽろりと出してもそれでも明るくて強い真紀ちゃんが健在なのは、やっぱりきっと、馨君の存在があるからこそ、なのでしょう。
真紀ちゃんと馨君、前巻に比べていっそう「夫婦」感がにじみ出ていて、当たり前のようにアパート通い婚同居状態で食卓を共にし、将来の話はもうほとんど結婚前提で。
前世から苦楽を分かち合いお互いを知り尽くしてきていて、普通に長年連れ添った夫婦以上にしっくり馴染んでいるこのふたりの距離感が、ときめいてもう……!!ごろごろごろ。
あれですね、馨君が一巻目に比べて夫婦と言われるのに文句を言わなくなり抵抗感も薄れてきている感じなのが、いっそう甘さを強調しているんですよね(笑)。
そして真紀が落ち込んだときに当たり前のように側にいて、彼女の心身すべてを無言で支え守っている馨君がもう本当に「夫」そのもので、格好良くって。じーんときました。台風の夜の場面は特にしみいりました。

やっぱり私は前世ネタ、平安時代ネタが大好物なので、茨姫関係の切ないエピソードがとりわけ胸にぐっときました。
前世での両親がああいう風に終わってしまったからこそ、現世においてちょっと変わった娘でも惜しみなく愛情を注いでくれた両親に、今にしてちょっと複雑な想いを抱いたり、真紀ちゃんの心の揺れが、いじましかった。
あと茨姫が酒呑童子に攫われてから夫婦になるまでの短い過去の回想エピソード、傷ついてなかなか心を開けなかった茨姫に、不器用に愛情を示しアプローチする酒呑童子のふたりの姿に、ときめいて仕方がなかったです。
その後、前世でもやっぱりこんな感じのぶっ飛んだ夫婦になったんだろうなあ。ふふふ。
そしてだからこそ、スイがちょっと言及していた、かつて酒呑童子が先に死んでからの茨木童子のことに思いをはせると、何とも言えずに辛くて切ない。

各種イベントごとはわいわいにぎやかで楽しかったです!
特に盛り上がったのは学園祭。河童の乱舞がすごい……。あとがきも読んで、作者さん、本当にかっぱお好きなんだなあ……愛が伝わってきてこちらも楽しい気分になりました。
大黒先輩の正体が予想以上に大物でびっくり仰天だったり。由理子ちゃんの女装の決まりっぷりと活躍っぷりに盛大な拍手を送ったり。
副会長も最後まで読めばあれで潔いところもあるのね、となんか後味よく終われて良かったです。からっと引きずらない勝負事は良いものです。文化部チームの地味なチームワークお見事だったな。キウイ大福も意外に美味しそう。
由理のおうちの山遊びも良かったな。馨君の水着押しがすごくてびっくりしてしまった……本当に真紀ちゃんと馨君の距離感って独特で時に読めない(笑)。若葉ちゃん可愛かったです。

あとあやかし成分が今回もてんこ盛り!
ペンギン姿のおもちとミカの鳥さんコンビに和みました。表紙のイラストが可愛すぎる。どっちも真紀ちゃん大好きなスイとミカのでこぼこなやりとりも和みました。
真紀ちゃんとミカとおもちでメロンパンのわけあいっこしている場面がお気に入りでした。焼きたてメロンパン美味しいに決まってる~!
神様となっていた牛御前も、お母さま大好きで色々したたかでお美しそうで気にいりました。女は強いですね!
真紀ちゃんにもふもふされて照れているクールビューティー・ルーも可愛い……。彼女のことがうまく収まって良かったな。まさにみんなのチームワークの賜物という感じでした。

陰陽局と、あと津場木茜君の事情も、ちょっと見えてきましたね。
真紀と馨の敵か否か、ちょっと読めない感じがしますねえ。あそこでアルバイトとして現れた馨君まさにヒーローで格好良かった……。ミカの決意も格好良かった。見直しちゃいました。
茜君は、つんつんしているけれど根は素直ないいこだな。
津場木史郎の呪いについてちょっと出てきましたが、読んでもいまいちよくわからない。半分くらいは何かこじつけに思えなくもなく。あれ??(笑)
なんにせよ、茜君と葵が親戚なのは、これではっきりしましたね。葵ちゃん、きっと津場木家がこういう家系であることを、知らないんだろうな。
本当に史郎さん、過去にいったい何をやらかしたのやら。

そんな真紀と馨たちの賑やかで楽しい生活に、ラストで波乱のきざしが。
晴明や源頼光は、過去の茨姫とは、単純に敵味方と言い切れない複雑な因縁があるようで、どう転がっていくのかなあ。気になります。
あと眷属のひとりだったというリンのことも、気がかり。

『かくりよの宿飯』ほどではなくてもやっぱりご飯がおいしそうなこのシリーズ、最初に出てきた真紀ちゃんの冷やし中華や麻婆豆腐ネタに、ひどく心惹かれました。葵ちゃんだけでなく、真紀ちゃんの作る家庭料理もまた美味しそうなんですよね~。
しゅうまいや雷おこしなんかも食べたくなってきました。

続きはしばらく待つことになりそうですが、今からまた楽しみです♪


カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。』友麻 碧 




ライバル宿の「折尾屋」からようやく「天神屋」に帰ってきた葵。
食事処「夕がお」を再開し、すっかり気心の知れる仲間となった天神屋の皆と一緒に、秋の味覚を堪能したり、新作お土産菓子を考えたり、にぎやかな日々を過ごしていた。
そんなある日、葵は大旦那様から果樹園デートに誘われた。いつものお誘いと変わらないはずが、折尾屋での件を経た葵は、大旦那様のことをもっと知りたいという自分に気づき——。


『かくりよの宿飯』シリーズ六巻目。
折尾屋編前後編を経て、ようやく舞台が天神屋に戻ってきました!
ホームに帰ってきた安心感があって、気心の知れたメンバーとのたわいないやりとりや信頼関係が、読んでいてとても良かったです。
季節は秋で今(五月)とはちょっとずれているのですが、葵の作るご飯はやっぱりひたすらおいしそうで、夜に読んでいるとどんどんお腹が減ってくるので困っちゃいました(笑)。
あと葵と大旦那様のふたりの関係に、ここにきてようやく若干の進展が!読んでいてごろごろときめいて仕方がなかったです(笑)。
料理に関してはあやかし相手に一歩も引かずに不敵な葵ですが、自分自身の恋心やそういう駆け引きには疎くて、彼女と大旦那様との不器用な心の通わせ合いが読んでいてもどかしくとても可愛いかったです。
しかしそんな和やかな日々がまた一気に突き崩されてしまったラスト一連の流れ!!
徐々に明らかになってきた隠世のあやかしたちの勢力図もなかなか複雑で、どうなってしまうのやら。

序盤の新米イベント。気心の知れたメンバーと美味しい炊き立てご飯をひたすら楽しむ場が読んでて楽しく心和む……。卵かけごはんに鮭フレークに自家製なめたけの魅惑。
そして大旦那様との果樹園デート。味覚狩りは楽しいしなんだか天神屋ならではという感じがします。途中トラブルが入り若干(?)変な方向にいってしまいましたが。
ちょっとマヨネーズを入れた卵焼きとおにぎりのお弁当がまた美味しそう。
そして山賊退治のために葵が腕を振るった、山羊チーズのピザ(焼き豚きのことさつまいもりんごの二種類)がおいしそうすぎる~。私はスイーツピザの方にシロップをかけていただきたいです。
単なる誤解による人さらい事件ではなく、きな臭い事情もからんでいて、そういうときに大旦那様はやはりとても頼れる。
葵に指示され嬉しそうに手伝いに精を出している大旦那様とのギャップが良いですね(笑)。
あと美女を侍らせる山賊の姿に、史郎さんを思い出してなんともって、史郎さんは隠世でいったいどんな生活をしていたんだ……。
あとアイちゃんの化け姿を提案した葵にときめきました。わあ、葵は無自覚だろうけれど読んでいるこちらも恥ずかしい(笑)。表紙のはつらつとした可愛い女の子はアイちゃんだったんですね!

折尾屋の秀吉とねねちゃんが婚約というおめでたいニュースに続き、春日のおうち事情にびっくり仰天。
ぱたぱたよく動き気が利き要領も良く可愛い春日はお気に入りキャラだったので、天神屋を去ることになってしまうというのは寂しかったけれど、葵と二人で頑張っている姿を今回たくさん読めて嬉しかったな。
春日自身の初恋の君がお相手のようで、それならばひとまずは素直に彼女の幸せを応援したい。
でもなかなか大変な道なのでしょうね……。そこのところ踏まえてお涼も春日のこと心配していて、ラストの一連の春日とお涼のやり取りが、とても良かったなと思いました。お涼はなんだかんだ言って格好良く仕事ができて頼れる若女将の器なんですよねえ。
春日が事あるごとに、葵を同じ八葉の嫁として将来も交流があるだろうから、みたいなことを当然のように言っていて、それに戸惑いつつもなんか否定もできない葵のとまどいと距離感にもときめいたり。
地獄まんじゅう開発エピソードも面白く読みました。というかこの蒸しケーキのようなおまんじゅう絶対美味しいですよ。米粉と酒種生地でたまごにチーズも入れて、温泉の蒸気で蒸して日持ちするようにも工夫して……ああ、こういうの読んでいるの私すごく楽しい。天神屋のメンバーの絶妙なサポートでどんどん商品化に向け改良されていくのも楽しい。

あと葵とお涼と春日と静奈ちゃんのぶりしゃぶ女子会エピソードも楽しかったです。程良く闇テイストで、でも女子会ってまあそんなもんですよね(笑)。気心の知れたメンバーで美味しいものをつつきつつぶっちゃけトークってなんでこんなに楽しいんでしょう。
ぶりしゃぶもおいしそうでしたがデザートのぶどうのカスタードタルトが美味しそうすぎてもうどうしましょう!というレベルでした。
ひたすらぶっちゃけるお涼と大人しくても言うことは言う静奈ちゃんとか色々楽しかったです。
銀次さんの秘密、春日それ本当にどうやって知ったんだ……。

大旦那様の秘密の空中庭園の場面は、どきどきしました。
大旦那様自身のことはいまだに謎だらけで、葵は分からないことだらけで、それでも大旦那様のことを知りたいと思う。という葵のとまどいとか色々せまってきて。
大旦那様の本心はやっぱりなかなか読めずもどかしいけれど、これまで葵をずっと陰日向でささえ続けてきた優しさや気配りを思うと、正体が極悪非道な鬼なんて、そんな言葉通りとはとても思えないんですよね。
葵も現世にはあまり未練なさそうだし(それはそれで悲しいことだけれど)、このままお嫁入りしてもいいんじゃないかときっともう天神屋のメンバー全員そう思っているけれど(それを認めさせた葵の実力が本当にすごい)、うー、どうなるのかしら。

大旦那様と違って、私かぼちゃが大好きなもので、秋祭りイベントのかぼちゃ尽くしメニューにもときめきました。
かぼちゃと七味唐辛子でぴりっとさせたメンチカツ、豆乳カボチャスープに隠世ツナのコッペパンサンドの組み合わせ、皆美味しそうです。たまらない。あと自家製ほしぶどうと手作りバタークリームのコッペパンサンドも非常に心惹かれる。

新キャラの(←すみません、間違いです。3巻ですでに登場されていました。)千秋さん、程良く力が抜ける感じのいいひとだったな。
暁が妹からの手紙を読んでいる場面もほのぼのしました。鈴蘭さん相変わらず史郎さん大好きで幸せなんだな。
銀次さん、今回出番少な目でしたが、やっぱり葵をしっかり支えてくれる彼の存在は読んでいるととても安心する。彼の本心を思うと切ない感じがしますが……。
チビは安定のチビでした。

それにしてもあのラストはいったいどう転がっていくのか!
雷獣がやはり本気でいけ好かなくてどうしようかと思いましたが、そうだ、天神屋なので白夜さんがいてくれたんだった(笑)。
当座はしのげたけれど、根本的な解決になっていない感じで、うーん、不安が募ります。
黄金童子様のこと、津場木史郎の呪いの件と大旦那様との約束、大旦那様の明かされていない秘密、あと葵の過去の回想にちらりと出てきた茜少年のつながりなど、気がかりなことがたくさんです。続きがとても気になる。
葵は今後自分の身の振り方について、どんな選択をするのかなあ。

『浅草鬼嫁日記』の二巻目も同時発売で買ってきましたので、これから読みます。楽しみ!!


ここ最近の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 友麻碧 

『調香師レオナール・ヴェイユの香彩ノート』小瀬木 麻美 




調香師レオナール・ヴェイユは、若くして世界的大ヒットとなる香水を開発した天才的調香師。
その後は依頼者だけのための香を開発する、謎の多いプライベート調香師になっているという。
月見里(やまなし)瑞希は病床の母の願いのため、彼に依頼状を出すことに。
長野のアトリエへ導かれた瑞希は、浮世離れした美貌の青年レオナールと共に、亡き父が遺した絵画の謎とそこに込められた美しい愛情を解き明かしてゆく——。


パステルカラーの美しい表紙イラストが目にとまり、あらすじにも心惹かれ、手に取った一冊。
小瀬木麻美さんは、そうか、以前読んだ『デアラピス』の作家さんでしたか。

世界や時間をまたいでつむがれる、香水や薔薇や絵画はじめ芸術品、それらに込められた人々の愛情をたどりゆく物語。
描かれているモチーフがどれも美しくて品があってロマンティックで、読んでいてうっとりと雰囲気に浸れる物語でした。
とくに品種も様々の薔薇をはじめとしたいくつもの花々。むせかえるような薔薇の色や香りの描写や、どこまでも深く豊かに広がるイメージに、読んでいて圧倒されました。
読んでいると私の心までもが美しく豊かなもので満たされてゆくような。
なんというか基本上流階級の世界の物語で、せっぱつまったせかせかしている感じがなく、安心して美しい物語の世界に身をゆだねられる、というのが、良かった。海外の人が多いからか、良い意味で日本の常識にあまり囚われていない人が多いからか。読んでいて嫌な感じは全然しない。
あと作中に出てくる食べ物が何だかどれもとっても美味しそう!(重要)美味しいものは身体を整え心を豊かにしますよね。

謎めいた調香師の青年・レオナールの所作を、ヒロインの瑞希と共にどきどきしながら辿ってゆくのも、楽しかったです。
物腰柔らかな完璧な紳士で美しく賢くお金持ちで、スイーツに目がなかったり時々子供みたいな面も持っているレオ。
瑞希に対してはいつだって優しくて(多分他の人に対してはもっとクールなのだろうと思われる)、さりげないアプローチをかけているレオの態度に、ときめいて仕方がなかったです。
彼の香を色ととらえる感覚はなかなか複雑だけれど、その説明の描写も美しい花や香りの描写と連続しているような、読んでいて意味が完全に分かっているかどうかは置いておいて、ロマンティックで素敵だな。
レオの絵に瑞希がつかの間トリップしたことでふたりが絵の世界を共有したあの場面が美しくて良いです。あの少女の正体はいかに。
瑞希のレオと対になる能力といい、運命的な二人。
瑞希さん、彼女の苗字の月見里(やまなし)という珍しい響きにひかれました。

なんといってもふたりが瑞希の母の依頼で瑞希の亡き父の絵画の謎をたどってゆく前半パート『ローズ』が、とても好みでした。
若かりし日の景子さんと瑞穂さんがイタリアや日本で周囲の人たちにいかに慕われていたか、瑞穂さんが景子さんのことをどれだけ愛し真摯に将来を思っていたか、レオと瑞希が絵のモチーフを解き明かしてゆくごとに、そういうのがするするほどけるように分かってきて、読んでいてなんだか胸があつくなり震えました。
紅茶の薔薇なんてあるのですねえ。素敵。
景子さんに瑞穂さんの愛がきちんと届けられて、本当に良かったです。
景子さんという女性の凛とした生き様、母として瑞希を養い愛情深く育て上げてきた生き様にも、心惹かれました。まさに薔薇のイメージです。
祖父母との和解も嬉しかったです。指輪にじんわりときました。
最初に出てきた長野のオーベルジュの裕奈さんと春人さんの夫婦、それぞれが良い方でレオともよき関係を築き上げていて、好感が持てました。プロバンス風のコースがどれも素材の良さと裕奈さんの料理の腕の良さが伝わってきて、ああ、うらやましい、私も一度でいいからこんなに素敵なお料理をいただいてみたい。
鎌倉のお菓子屋さんの桜ゼリーも、なんだかこの物語の雰囲気にぴったりで、素敵です。おいしそう。レオの衝動買いにはびっくり(笑)。
南さんもすごくいいひとだな~。あまり突っ込んで書かれてはいないけれど母娘とあたたかなよき時間を共有してきたのだろうな、と思わせる雰囲気が確かにあって。
電話をめぐる瑞希とレオのちょっとした駆け引き?と恋心にきゅんときました。

後半パートの『ジャスミン』は、舞台を瑞希の留学先・ミラノにうつしてはじまりました。
「リナシェンテ」という百貨店の名前の響きがまず美しくてうっとり。
あまりにも分かりやすくレオが瑞希を追っかけてくるので笑っちゃいました。にこにこさりげないけれど何気に強引なレオのアプローチがときめきます。それでいて瑞希が引け目を感じない際もちゃんと考えているあたりが策士。
瑞希の下宿先の家庭料理もおいしそう……。そしてレオと瑞希がランチしたビストロのムース・オー・ショコラに心惹かれて仕方がありません。確かに、これだけのためにフランスに行きたくなっちゃう(笑)。
ジャスミン、茉莉花という漢字で書き表すと中学生の頃知ってから、ずっと好きでした。ストレートにジャスミンがモチーフになった恋と家族のエピソードになっていてこれまた好みでした。エジプトの歴史や伝承を紐解いてゆくのもなかなかなくて興味深い。
彰君、日本の男子高校生とは思えない世慣れた感じの子だなあ……。ここでもスイーツのおいしそうなこと。
大野夫妻の恋の始まりのエピソードがロマンティックで素敵だなと思ったし、色々あっても周囲の人たちの介入を経てあのレオの香でおさまった感じ。良かったです。百合さんの香がアクセントというのが良い。
大学の先生が出てくるからなのか、森晶麿さんの『黒猫シリーズ』と似たような雰囲気があるなあ、とちょっと重ね合わせてみたり。(香水も美学講義の対象になりそうですし。あとヒロインの瑞希さんと付き人がなんかイメージ的に似ている。個性的なヒーローに寄り添いほんのり色づかせる透明感がある芯の強い女性というか。)

香水は恥ずかしながらこの歳になってもまるで未知のものなのですが、こんなにじっくり時間をかけて香りを味わってゆくものなのかと、感心してしまいました。
レオの仕事が流石、すごいな。と何もひねりのない感想しか出てこないのがあれですが。

レオの家族のこと、そしてレオと瑞希の関係の進展など、気になることも多く、続編がまたいつか読めたら、嬉しいな。
上品で芸術肌の正統派少女小説という風情のお話で、お花や香水やじれったいロマンスなどがお好きな方、おすすめです♪


昨日記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 小瀬木麻美 

『わが家は祇園の拝み屋さん』シリーズ 望月 麻衣 




東京に住む小春は、中学の終わりに、ある理由から不登校になってしまっていた。
そんな小春は、京都に住む祖母の吉乃の提案で、祇園の和雑貨屋「さくら庵」で住み込みの手伝いをすることに。
吉乃や叔父で和菓子職人の宗次朗、美貌のはとこ・澪人などにぎやかな家族にかこまれて、少しずつ小春は心を開いてゆく。
そんなさくら庵は、実は少し「不思議な」依頼がやってくる店で——。


『京都寺町三条のホームズ』シリーズの作者さん、望月麻衣さんのもうひとつのシリーズもの。
ホームズさんの方と同じく、関東で育った少女が京都に移り住み、少女の視点からながめる京都の街やひとびとのすがたが楽しい。京都ネタも程良くお話に織り込まれ京都弁の響きが良いのも、ホームズさんシリーズと同じ。
登場人物が皆癖があっても嫌味がなく人が好く、読んでいて癒されるのも、おんなじ感じ。

なんというか、ホームズさんの方に比べて、より少女漫画チックというか、女の子の物語という感じ。
ホームズさんの方は、葵ちゃん視点から語られる「ホームズさん」が主体だけれど、こちらはヒロインの語り手の少女「小春ちゃん」が主体ということかな。小春ちゃんは葵ちゃんに比べてロマンス面でもやや積極的でかわいい。
友風子さんの美しくて透明感のある水彩画タッチの表紙のイメージそのままに、はんなりと優しい印象を受けます。
(いえ、小春や澪人が抱える秘密はかなり重たく辛かったりシリアス成分もしっかり描かれているのですが、読み心地は重たくなりすぎず読後感はふんわり優しく可愛らしくて、バランスがとても良いと思います。)
あとこちらのシリーズはファンタジー要素あり。一巻目の時点では日常の物語に不思議要素少し、という感じでしたが、シリーズが進むにつれて、不思議要素もしっかりと描きこまれてきて、もともと和風歴史ものファンタジー、特に日本古代もの大好きな私にはかなり美味しい展開になってきました。

基本生真面目でがんばりやで可愛らしい女の子の小春ちゃんも、ミステリアスな美貌の青年澪人くんも好きだし、宗次朗叔父さんも吉乃さんも好きです!
個人的に宗次朗さんと吉乃さんの勝気な頑固者親子がいつも繰り広げるぽんぽん遠慮のないやりとりが好きです(笑)。和みます。
あと宗次朗叔父さんの作る和菓子がどれも非常に美味しそうなのです!

各巻ごとに少し感想メモを。特に4巻目はネタバレご注意ください。

1巻目
シリーズ顔見せ的な。小春の抱える秘密が少しずつわかってくるごとに辛くて胸がきゅっと痛くなって、そんな彼女が京都の祖母の家でにぎやかさにかこまれて少しずつ癒され自分を出せるようになってゆく過程が、とても良かったです。
吉乃さんのもうひとつの顔が普通ではないんだけれどそんなに気を張ってなくて、あくまでふわっと普通のお店の日常の一部という感じが、なんかこのシリーズの持ち味というか、いいな。弥生さんと吉乃さんの関係も微笑ましい。
東西の魅力を組み合わせた桜餅にミニあゆがまさにこういう和菓子を食べてみたかったの!というツボをことごとくついてくる感じでとってもおいしそうです。
憧れの人にパジャマ姿を見られうろたえる小春ちゃんがかわいい。杏奈さんとの女子トークもかわいいです。
最終章の不思議な夢から思いがけず大きな展開になりびっくりしました。
神泉苑、荻原規子さんの『薄紅天女』を読んで以来個人的にも好きなところだったので、こういうかたちで登場してなんだか嬉しかったです。




2巻目
小春が両親に秘密を明かす場面は痛々しくてとても辛かったけれど、最終的には和解できて、本当に良かったです。
再会したクラスメイトとのやりとりも胸がえぐられましたが、颯爽と登場した杏奈さんが語った宗次朗さんの62頁の台詞がすごく良かった……。祝いの言葉を言ってくれる表の顔も妬みの裏の顔も、どっちも本心なんだから、片方だけで判断するなって、目から鱗。十代の私に聞かせてあげたかったです。
そして塔の少女のお話、真相はいくぶん優しくて、何より小春ちゃんにお友達ができたのが良かったな。
若宮君が小春ちゃんの頼れるナイト役で普段の姿が可愛らしくていいなあ。ふふふ。
そして澪人さんの背負っているものが重たくて、しんとした心地になりました。このあたりからの澪人さんと宗次朗さんのイケメン京男二人組の場面がなんか味があって良い。
栗茶巾も黒豆チョコもおいしそうです。




3巻目
表紙の着物&エプロン姿の小春ちゃんと愛衣ちゃんがとても可愛らしい。これは学園祭のときのですね。
宗次朗叔父さんの助言を得ての小春の学園祭のお話が楽しそうでとても良かったです。抹茶栗大福すごく美味しそう。
小春と澪人、それぞれが色々惑いつつも、一歩前進、成長を感じた巻でした。まさか澪人さんがそっち方向にイメチェンするとは……(絶句)。達観しているようにみえるけれど、澪人さんもまだ一大学生だったんだな。
吉乃おばあちゃんの過去エピソードがしんみりと切なくて、そして小春の血筋の秘密の一部が明かされおおっとなりました。小春のお祖父ちゃん只者じゃないな……。
小春が見るようになった過去の夢。ロマンティックで私が大好きな平安時代っぽくて何より幸せそうで素敵。
吉乃おばあちゃんから受け継がれてきた柚子のお粥のエピソードが良かったです。三色串団子も美味しそうです。
狐さんのお話も心温まり良かった。狐さんと巫女さんたちの場面を想像するととても微笑ましく可愛らしくて頬がゆるみます。




4巻目
意味深なタイトルに背中合わせの表紙のふたり。まさに急展開!
お正月に訪ねた賀茂のおうちは、私が思っていたよりは堅苦しくない家庭的なおうちでした。(色々普通ではなかったですが。吉雄さん、さすが吉乃さんの弟さんなだけあって只者ではない。)
そして小春の夢の秘密が明らかに。
玉椿と若宮と……前世においてはそういうことだったのか。と。雅な世界観にうっとり。(平安もの大好物な上に前世ものにも弱い私)
ひたむきに若宮を慕う玉椿がいじましくてとても可愛らしくて、読んでいて幸せでした。それだけにあの結末は辛い。玉椿も辛いし左近衛大将も辛かったです。
現世における若宮君とのつながりが気になっていたところに、ラスト付近で思いがけないところからいくつもつながりの矢印があらわれて、ええっいったいどういうことなんだろう!(混乱)
澪人のお兄さんがキーパーソン?と思ったところで、ラストの澪人の発言と落ちた椿の花の場面はどういうことだ!まさか小春ちゃんへの接し方も過去の何かが理由なの?
バレンタインの小春ちゃんは、本当につらかったけれど、でも正面切って逃げずに勝負に挑んだ小春ちゃんは、すごくよく頑張った。えらかったです。
そして分からないのが三善君。絶対何か裏の顔がありそうなんだけど……。
あと前世における若宮のお天気についての言葉は、結局どういうことだったんだろう。このタイミングで若宮君が姿を消しているのも気になる。
椿の花の落ちるころ、とラストの澪人の和歌の場面が、ひどく美しくて切なかった。
これは続きが気になるよ~!!!
コウメちゃんとお別れするのも寂しいし。

望月麻衣さんのブログや、かつくらの特集などで、シリーズの裏話や設定集など色々読めたのも楽しかったです。
ホームズさんシリーズとのコラボ短編は笑いました。(清貴君のギャップが面白すぎて)

さらさらととても読みやすく可愛らしいお話で、ちょっと軽めのお話が読みたいとき、心が疲れているときなどの読書におすすめです。
京都、陰陽師もの、時代もの、現代学園もの、いろんな要素がほどよく取り入れられていて、世界観に深みがあるので、意外とと言ったらなんですけれど、読み応えありますよ。
友風子さんの表紙イラストにピンときた方なら、ぜひぜひ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 望月麻衣