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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

私の好きな美味しい物語11 蒼生子ちゃんのとんかつ(『きっと夢になる〜お江戸夢紀行~』倉本由布) 

超不定期連載、美味しい物語シリーズ。
今回は主に高校時代にどっぷりはまっていた、コバルト文庫シリーズより。

倉本由布さん『きっと』シリーズ。
女子高生濃子ちゃんが戦国時代にタイムスリップして若き日の織田信長に出会い……からはじまる、ヒロイン三代に渡る、長編日本史タイムスリップものラブロマンス。
主軸は安土桃山時代ですが、娘のいわゆる「時のハーフ」蒼生子(たみこ)ちゃん編では、大和時代から江戸時代まで、幅広く「たいむすりっぷ」しています。
ちょうど昨日の六月十日が時の記念日だったようですし、ちょうどいいタイミング。(後付け)

倉本さんの日本史ものコバルト少女小説はとにかくたくさんたくさん!!あって、好きな作品もいくつもあります。
そのなかでもこの『きっと』シリーズは冊数も世界観も段違いで読み応えたっぷりで、高校時代の私はもう、はまりにはまりました。
私はちょうど娘の蒼生子ちゃん編から読みだしたのもあり、いまでも蒼生子ちゃん&信澄くんカップルがいちばん好き。
もう信澄くんの生真面目でストイックで格好よくて蒼生子ちゃんひとすじなところがたまらないです。信長もものすごい人を惹くオーラの持ち主ですが、やっぱり私は信澄くん派(笑)。
たいへん惜しむらくは、蒼生子ちゃん編に区切りがつかぬまま次世代編がスタートし、その後数巻でシリーズがストップしてしまったこと……。
なんだかお話を読んでいて仕方なかったんだろうなと思いはしたのですが、できれば私は、蒼生子ちゃん編の続きをきちんと最後まで追いかけたかったな。
でもそんなあれこれを差し引いてなお、今でも私はやっぱりこのシリーズが大好きです。愛してます。


例によって前置きが長くなりましたが(笑)、そんな倉本さん作品もまた、美味しそうな食べ物がぽつぽつ登場する少女小説だな、と私は昔から思っていました。
(あくまでさりげなく、ぽつぽつですが。現代日本が舞台になるとわりと出てくる比率が高いような)
倉本さんご本人のサイトでも、ごはんやスイーツのカテゴリがあった気がする。美味しいものがお好きな方というイメージです。

なかでも私が印象的だったのは、蒼生子ちゃんと信澄くんが江戸時代にタイムスリップする『きっと夢になる~お江戸夢紀行~』。
八百屋お七のエピソードをモチーフにした巻。





江戸時代にタイムスリップしてきたあとで、現代日本に帰ってきた蒼生子ちゃんが食べていたメニューが、とんカツ。
とんカツなんて江戸時代じゃ食べられなかったものね、という蒼生子ちゃんに、確かに!と高校生の私は膝を打ちました。
ひとくちごとに幸せをかみしめている蒼生子ちゃんの気持ちがすごくよく伝わってきて、彼女が現代の自分のおうちに帰ってきた安心感も、とんかつのボリューム感からしみじみ伝わってきて、なんというか、私はこのラストシーンが現在に至るまでとてもとても好きです。
現代日本の家庭の味の象徴として、とってもいい役割してますよね~。さすが倉本さん、お上手です。
(ちなみにとんカツを揚げたのは蒼生子ちゃん本人。女子高生にして一家の主婦役で父と弟三人家族の食をまかなっている蒼生子ちゃんは本当に偉いなあと、そういう意味でもより印象に残っていました。
蒼生子ちゃんがタイムスリップで不在の間はあまり美味しいものは食べられず、帰宅した彼女の手料理を心から嬉しそうにほおばっているおとうさんと大地くんの姿もいいよね。)

蒼生子ちゃんは読んでいくだに美味しいもの好きの女子高生で、あと印象に残っているのは蒼生子ちゃん編一巻目『きっと君のそばにいる』で「母親のことを思い浮かべろ」と突然言われた彼女が真っ先に挙げるのが、お母さんが作ってくれたプリンやシュークリームやチーズたっぷりのピザが美味しかったなあ……と、食べ物ばっかりだったところ(笑)。
和みました。蒼生子ちゃんは確実に私の同類(笑)。


私は蒼生子ちゃん編初期の、こんな感じで色々な時代に気軽にタイムスリップしているいくつかの巻が、いちばん好きだな~。
倉本由布さんの日本史ものアレンジの手腕が程よく少女小説でロマンティックで色々空想かきたてられるのがとても楽しい。
この巻の八百屋お七も、どろどろはしているけれどマイルドで、蒼生子ちゃんとちょっとミーハーなちゃっかり娘のお七ちゃんの友情が楽しかったり。
お話自体で言うならば平安時代編の『きっと待っている』がお気に入り。
紫式部と清少納言のエピソードの倉本さん風アレンジが私すごく好きで、こういう風だったら本当に楽しいよね、と日本史や古典の授業なんかで妄想を勝手にくりひろげていたものです。懐かしい。

シリーズ一作目『きっとめぐり逢える』




大長編で、シリーズ完結していない上に現在ではほぼ入手困難という、人にはたいへんお勧めしにくい作品ではあるのですが、この美味しい物語シリーズとしては、ぜひとも語っておきたかったのでした。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


カテゴリ: 私の好きな美味しい物語

タグ: 倉本由布 

私の好きな美味しい物語10 真帆さんの玉子サンドイッチ(『下鴨アンティーク 祖母の恋文』白川紺子) 

超不定期連載、私の好きな美味しい物語シリーズ。
ようやく10記事目です。一体何年かかっているんだ。

そんな今回の記事は、白川紺子さんのオレンジ文庫『下鴨アンティーク』シリーズの三巻目より。
先日京都に出かけ下鴨神社にも行ってきたところなので、タイミングを合わせて。




コバルト文庫より一段階大人向けの少女小説まさにかくあるべし。という理想形のような作品だと思っています。下鴨アンティークシリーズ。
アンティーク着物にお花に各種小物遣いも行き届いていて乙女のときめき要素満載、舞台は古都京都でメインキャラは旧華族のお嬢さま、お坊ちゃま。現代日本のふつうの生活と上流貴族の優雅な暮らしがごく自然に溶け合いほどよい浮世離れ感。
東西古典文学の知識などもさりげなく織り込まれ、上品でどこか懐かしく優しい文体は、読んでいるだけでうっとり幸せになれる。
おっとり育ちがよく内にさみしさを抱えたヒロインの女子高生鹿乃ちゃんと、方向性の違う格好良さを持つ頼れるお兄ちゃん兼ナイト役・慧さんと良鷹さんふたりのキャラクター配置も、私の好みストレート!たまらないです。
鹿乃と慧さんの年の差の淡いロマンスの気配も好きすぎる。

そんな白川紺子さん、乙女好みの美味しい食べ物の描写も毎回素敵です。
コバルト文庫も含め巻数を重ねるごとに描写が魅力的になってきている気がします。

このシリーズで、なかでも私が印象的だった食べ物……というと、この三巻目『祖母の恋文』の中の最終話『真夜中のカンパニュラ』に出てくる、玉子サンドでした。
基本鹿乃が主役で進むこのシリーズの箸休め的回というか、ぐうたらノーブルな古美術商・良鷹お兄ちゃんと、彼の仕事上の知り合いの娘であり腐れ縁(?)の女子大生・真帆さんが主役をはるお話。
寄れば口論ばかりしている(主に真帆さんがのらりくらりとかわす良鷹さんにきーっとなってる?)このふたりの関係性も、なんだかおもしろいんですよねえ。

基本ふんわり優しくあたたかな読み心地のシリーズの中で、この『真夜中のカンパニュラ』はちょっと異色。
風鈴草にたたずむ琴子さんのまぼろし。
物語が進むにつれつまびらかにされてゆく過去の琴子さんのエピソードは、どこまでいっても凄惨で、救いがない。
全然構えず夜に読み進めていたら、真剣にぞくりと背筋が凍りました。
淡い初恋の対象のようだった琴子さんの幻影に、どんどん深みにはまってゆく良鷹さん。横で見ているしかない真帆さん。
特に良鷹さんが真夜中に掘り起こしたものの正体は。目を覆いたくなりました。つらい。えぐい。つらすぎる。

そんな闇を引きずった朝の場面転換の役割を担ったのが、真帆さんが良鷹さんに出前した、手作り玉子サンドでした。
マヨネーズをほんの少し入れてふっくら焼き上げた玉子サンドを竹籠のランチボックスに入れて。
たまごの明るい黄金色とサンドイッチ用パンの白ときゅうりの緑。それだけで闇が、ぱあっと晴れる色味な気がします。
真帆さんの台詞もいい。

「食べてください。食欲がないときでもとりあえず卵を食べれば体力は持ちます。
食べて元気になってください。せっかく生きているんですから」  (256頁)

この場面の絶望を必死に払いのけようと、真帆さんが持ち込んだ生命力が、読んでいてひどく印象的で。心に焼き付いて。
私自身玉子大好きで、玉子サンド大好きですけれど。
こんなにかがやかしく力を放った玉子サンドイッチ、読んだのはじめてです。きっと。
なんてことない、けれど大切な人のために心を込めて作った、家庭の手作りサンドイッチだからこそ、この場面では、価値があるんじゃないかと思いました。

私はもう本当にくよくよへこみやすい落ち込みやすい人間なのですが、これから先、なにか絶望にさいなまれるたびに、救いが一つできた気がします。
この場面の良鷹さんと真帆さんの玉子サンドイッチを頭の片隅に思い浮かべつつ、あるいはイメージとかぼんやりとした台詞だけでも思い浮かべつつ、マヨネーズ入りのたまご焼きを作るのでしょう。不器用にパンにはさんでラップでくるんでお弁当袋に入れるのでしょう。
食べれば元気になれるよ。ぜったいおいしいもの。真帆さんも言ってたもの。たまごがあれば元気になれる。
なんといってもたいてい冷蔵庫に入っている玉子で簡単に作れるというのがいい。

ちなみにこの後で飲物をめぐってちょっとした言い争いになりかけるふたりがまたらしい。
確かに玉子サンドにはオレンジジュースだな!ぴったり!こういうセンスの良さは良鷹さんいつもベストです。さすがこのシリーズの中で誰より貴族らしい男の人(←私の私見。)
私だったら合わへんやろと言われつつお茶を合わせるでしょうけれど。面倒なので。

(誰にも聞かれてないけど)私が作る玉子サンドは、塩麹を入れて溶いて焼きます。ふっくらします。あと時間をおくごとにじわじわ味が馴染んでいく気がするのが好き。
パンにはケチャップとマヨネーズを合わせて塗って、焼きのりをちぎってのせて、たまごをサンドします。水分を吸ってくれる気がするし、私はこの組み合わせがなんか好きなんです。
スライスチーズとのりのサンドイッチもシンプルでおいしいよね。これは母の味。
この話を読んでから、ちょくちょく、ほんの少しマヨネーズも混ぜて溶いて玉子焼きを作ってます。
元気な時も元気じゃないときも、やっぱりたまごサンドは美味しいです。

メインカップルの雰囲気とはまた全然違うふたりだけれど、お似合いだと思うんだけれどな~。真帆さんたち。
彼氏を放り出してこんな感じで良鷹さんの世話を焼いていたら、真帆さん絶対、良鷹さん以外のひとと結婚できないと思うんですが……。今でも恋人通り越して長年連れ添った夫婦みたいですよ。
なんてね。

冒頭で真帆さんが食べていたレーズンと胡桃のパンもおいしそうでした。
真帆さんにはなんだかパンが似合うイメージ。

ちなみにこの巻のもう一つの食べ物的読みどころは、『金魚が空を飛ぶ頃に』で慧さんがこしらえる、鹿乃のためのお菓子の家。
大人になりつつある鹿乃にだんだん頼ってもらえなくなり、もやもやしている内心を持てあましてその結果黙々とお菓子の家を作る慧さんという図が、なんというかもうつぼにはまってしかたない(笑)。
妹と友人の関係が微妙に変わりつつあるのを、面白がりつつ見守っている良鷹お兄ちゃんの距離感もまたよいものです。
思えばかなりの年の差カップルなんですが、鹿乃ちゃんには本当に、幸せになってほしいのです。ふたりともがんばれ!
そして鹿乃ちゃんと慧さんが日常でさりげなく手伝いあいながらご飯の支度をしている場面も、いつもさりげなくもとても好きです。

今回の結論。
たまごは最強!ということで。
たまごはいいですよね。一個献立にあるだけでしあわせになれる。おべんとうに一個入っているとしあわせ。

あ、たまごサンドといえば、最近読んだ本の中では荻原規子さんの『エチュード春一番 子犬のプレリュード』で美綾が作っていたたまごサンドもおいしそうだったな。ゆでたまごのポピュラーな方(?)のサンドイッチ。
あのつくりたてのみずみずしさも印象的でした。まさに春のイメージ。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 私の好きな美味しい物語

私の好きな美味しい物語9 園田さんの豆腐尽くし(『ナインカウント』Tiny garden様) 

とてもお久しぶりの美味しい物語シリーズです。

最近再読し続けているオンライン小説より。
Tiny garden様の『ナインカウント』。
このブログを書きはじめた初期のころから作品を読ませてもらっているサイト様の最新連載。
(あとから気づいたけれど、美味しい物語シリーズ9番目が『ナインカウント』って、ぴったりでちょうどよかったです。)

ちょこちょこと何度もブログで書いてきましたが、この作品、私本当に好き。大好きです。
営業課の三人組の最後のひとり安井さんと、過去に一度付き合っていた園田さんの、やり直しオフィスラブコメ。
園田さん視点の本編も面白かったけれど、安井さん視点の番外編が、もう!素晴らしい。
本編の裏側で、一度は別れてしまった園田さんをどうしてもあきらめきれずに見栄を捨てて駆けずり回る安井さんがもう本当に愛おしくてその必死さが格好良くて、ようやく想いが通じ合った場面の幸福さが何重にもかさなりあって胸がいっぱいになりました。
園田さん視点と安井さん視点、時系列ごとにまとめて読み返していたのですけれどね、各種駆け引き、台詞の真相や、色々ぴたりぴたりとパーツがはまっていくのが楽しいし、再読だとまわりの人々の思惑まで一層目が行くようになって、特に石田さんとか小野口課長とか、大活躍ですね。いじられている安井さんが気の毒……いいよね、幸せになったんだから(笑)。

さてこのシリーズのヒロインの園田さん、無類の豆腐好き人間です。
彼女が豆腐に捧げる愛情の深さといったら、それはもうすごいのひとこと。
作中出てくる食べものは、ほとんど園田さん作豆腐料理のオンパレード。
これがみんなおいしそうなんですよ。
読んでいてここまで豆腐が食べたくなってくる物語は、人生初です。
園田さんのもうひとつの趣味・自転車と合わさって、読んでいるだけでとっても健康的な気分になれます。

そんな園田さんの豆腐料理にすっかり胃袋をつかまされて、すっかり豆腐好きになっていた安井さん。という、ときめきエピソード。
できたばかりの彼女の手料理、正直あまりおいしそうには見えない豆腐丼を恐る恐る食べて……という場面は印象的で心に残っています。
確かに、安井さんはなんとなく豆腐をよく食べていたなとうっすら記憶に残っていましたが、まさかこういうことだったとは。
種明かしをされてみると、安井さんの純情さにとても胸がきゅんとしてしまったのでした。
自分でも豆腐丼を作ってみては記憶通りの味にならずに園田さんを思い出す安井さん、せ、せつなすぎる……。

豆腐丼もおいしそうだけど、確かにこれはシンプルなゆえに、園田さんのオリジナルの味付けが一番だろうな~。完全な再現は難しそう。
私もお豆腐好きだけど、園田さんの愛にはとうてい及びそうもないから(笑)。
その次くらいに出てきた厚揚げとじゃがいものバター醤油照り焼き丼だったかな?も、ボリューミーでおいしそう。
園田さんの豆腐好きはとことん徹底していて、お弁当も豆腐。安井さんに作っていくお弁当も豆腐。
豆腐のチーズピカタのお弁当が、なかでもおいしそうでした。
ピカタは私も好きでときどき作る料理でもあり、ある日厚揚げで代用して(水切りが面倒だったので)チーズピカタを作ってお弁当にしてみました。ほどよくボリュームがあって胃にももたれず美味しい!
出張先のビュッフェに感銘をうけて作っていた厚揚げの煮びたし弁当も真似してみましたよ。こっちは手堅く美味しかったです。
一緒に豆腐料理を食べて幸せそうな園田さんと安井さんのエピソードを思い浮かべつつ食べていると、私もなんだか幸せです。
身体によいものでおなかを満たしたという満足感ももれなくついてきます。(重要)

今度はお豆腐のホットケーキも試してみたいと思っています。
というか、ご指摘を読み『主任とルーキー』を読み返していたら確かに小坂さんが作っていて、思いがけないつながりににこにこ。

花火の日のすき焼き弁当(焼き豆腐入り)も、豆腐バーガーもきつねうどんも豆乳ラテも湯葉の包み揚げも、要所要所に園田さんの豆腐愛が感じられて彼女の一途さが非常に素敵。

あとふたりがお見合いをした小野口課長の奥様のお店のハーブティーとケーキもおいしそうでした。
豆腐に加えてハーブティーとはますます健康的で、園田さんと安井さんカップルのイメージにぴったりで、これもいいな~と思えました。
リンデンのハーブティー、今度買ってみよう!
小野口課長が恥ずかしがって隠す愛妻弁当は、見た目も味も完璧なんだろうな。うらやましいです。
広報課の課長と人事課の課長が愛妻弁当で攻防を繰り広げている(←おおげさ)場面がおかしみがあってとてもよいです。

営業課シリーズだと、霧島さんの麺類愛も印象的でした。長谷さんの麺類料理レパートリーは結婚後どれだけ豊富になったんだろう……。
小坂さんは石田さんとますます美味しいものをたくさん食べて幸せいっぱいなんだろうなー。微笑ましいなあ。

Tiny garden様ですと、『ランチからディナーまで六年』シリーズも、お弁当がメイン素材の美味しい物語でおすすめです。
こちらのサイト様、十周年企画で(こんなところであれですが、十周年本当におめでとうございます!!)、過去作品の小エピソードが色々読めて、読んでいるとああ、この作品もこの作品も好きだった、読み返したい!となってきて、嬉しいのですがいくら時間があっても足りません(笑)。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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私の好きな美味しい物語8 アップルパイとココア(『はるかな空の東』村山早紀) 

前の記事の村山早紀さんつながりで、もうひとつ!

村山早紀さんは、中学生のころに図書館でファンタジー児童書と出会い、何冊か読んできて。
今でも大人向けの素敵な作品をいくつも読むことができる、長く幸せなお付き合いをさせてもらえている作家さんです。
そんな村山さん作品ですが、今まで読んできた中で、今でもゆるがぬ私のベスト本は、この『はるかな空の東』。



主に十代のころ図書館で何度も借りては読みこんできた物語。
実はこのお盆休み直前に、ネットで書店お取り寄せして、ついに購入することにしました。
今でも取り寄せすれば、買うこと、できたんですね。なんで今まで思いつかなかったんだろう。
新品の本のカバーに手を触れて、カラーの美しい表紙に心が震えました。
印象的な場面を色々読み返していると色々記憶によみがえってきて、双子の王女姉妹に紋章の歌姫様に魔法使い、星祭りの歌に小鳥のオルゴール、わああ、すべてが大好きですー!!!(←叫ぶ)
王宮に仕える魔法使いとか、強くて凛々しい女性とか、宿命をかかえたお姫様とか、今私が好んで読んでいるファンタジーのときめきの原点がぎっしりつまっています。

で、この本を手元に置けたあかつきに、書きたかったのは、この美味しい物語シリーズ。(長い前置きだな……。)
このお話の中で、私がいちばん印象に残っていた食べ物の場面。
それはヒロインのナルが、合奏クラブ帰りに、親友の沙由里ちゃんとお誕生日パーティーしていた場面。
ファストフード店のアップルパイとココアで乾杯!です。

今になって改めて読み返すと、アップルパイの味の描写とか全然ないし、そもそもメインはチーズバーガーとポテトなんじゃないか……とか思ったのですが。そっちは私、覚えてなかった。
そんなにアップルパイが食べたかったのか私……食べたかったんだろうな。
中学のころは今ほどケーキの種類なかった気がするし、知らなかったので、アップルパイは恐ろしく憧れの食べ物だった気がします。しかも焼きたてのあたたかいやつ。
甘いパイと甘いココアとの取り合わせも素敵ですよね。ココアは魔法の飲物ですよね。

あと、この場面の場合は、「学校帰りに、心を許した大好きなお友達とのお茶会」というシチュエーションの方が、私にとって、大事だったのかもしれない。
自力で買い食いなどできない田舎(当時)に住んでいたので、こういうのがさらりとできる都会には、ひどく憧れていたのが、ひとつ。
そして、お友達が全然できないのろまで何にもできない中学生だったからな私。
ナルと沙由里のゆるがない友情は、当時の私にとって、ものすごくきらきらした尊いもので、現実世界で嫌な思いをするたび、このふたりの友情を思い出して少し心の支えにしていた部分、ありました。(当時の私は吹奏楽部員だったので、よけい感情移入しやすかったのです、きっと。)
そういう感情もすべてひっくるめて、ふたりのアップルパイは、よけいに美味しい幸せな場面として、心に焼き付いていたのかなあ、と思います。

あと異世界の方で、ナルがサーヤと一緒に食べていた香草入りあぶりだんごのことも、ずっと覚えてました。
味わいを想像することもできない不思議な食べ物の存在に、どきどきしてました。
こっちは、今の私のほうがかえって、どんな食べ物だったのか、どんな味だったのか、具体的に想像できるなあ。
根拠なんて全然ないですけど。

結局何が言いたいのか分からない記事になってしまいましたが、つまり、『はるかな空の東』は、昔から今なお私の心の大切なよりどころで、アップルパイの場面がずうっと覚えていた印象的な場面でした!!ということでした。
ナルと沙由里の友情は、やがてナルが異世界で出会ったユリアとの友情にも複雑につながって、物語としてさらに深みをましていくのも大好きです。

このお話とってもとってもおすすめです。しつこいけれど何度でも絶賛してしまいます。


一昨日昨日とそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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タグ: 村山早紀 

私の好きな美味しい物語7 パーキンとミートパイ(『英国マザーグース物語』久賀理世) 

ここ何年かのコバルト文庫の中ではトップクラスにお気に入りの『英国マザーグース物語』シリーズ。
ひみつのパートナー兼婚約者生活の微笑ましいやりとり、思いがけない突き落としにロマンス展開、マザーグースの歌になぞらえた謎解き、貴族のお嬢様の友情、色々楽しみどころが多いシリーズですが、作中に出てくる食べものがいつもさりげなく美味しそうなのも、魅力の一つ。

英米の方ではない国産の少女小説って、お菓子やお料理の描写自体は多くの作品にあるのですが、その美味しさがきちんと質感まで伝わってくる作品となると、意外にとても少ないんですよね。
久賀理世さんは、描写自体はさらっとしているのですが、食べものの描写がお上手だと私が感じる、数少ない作家さんのひとり。

なかでも私が気になったお菓子、それは『裏切りの貴公子』に出てきた、ガイ・フォークス・デイの「パーキン」。



ヨークシャー名物、糖蜜たっぷりのパーキン。
ほかほかふっくらしっとり、屋台で保温されたパーキン。
飲み物はココアで。
描写がお上手なのはもちろん、「パーキン」ってなんだろう?……はじめて目にした名前に首をひねる。
字面だけではまったく想像がつかず、そこがよけいに心惹かれた菓子でした。

ネット検索し、さらに図書館でイギリスのお菓子の分厚いガイドブックみたいな本を借りてきて、調べてみる。



オートミールにショウガ、ブラック・トリークル(糖蜜みたいなの)、ゴールデンシロップ、小麦粉に砂糖に卵に牛乳、重曹でふくらませた、ブラウニーみたいな形状の濃い茶色の焼き菓子であるらしい。
やはりお祝い、お祭り用のお菓子として知られているみたい。
ちょっと材料が色々特殊なので再現するのは大変そうですが。オートミールやスパイスケーキみたいなのが好きなので、なかなかおいしそうだなと思いました。
(そしてこの本、パーキン以外にもイギリスの新旧スイーツが豊富に紹介されていてとても楽しいです。本場のクリームティーにカップケーキに色々食べてみたい)

あと次の巻『聖夜に捧げる鎮魂歌』での、パーキンの包みを抱えて微笑むセシルのスケッチの場面は、名場面ですよね!
思い出すたびに胸がいっぱいになります。
あそこのイメージも相まって、よけいにこのお菓子への思い入れは強くなったのでした(笑)。

あとこちらのシリーズでおいしそうな食べ物と言えば、アクロイド社の食いしん坊先輩・ポールさん絶賛『三匹の子猫』の「ミートパイ」!
おかあさんの手作りのこだわりの味・ミートパイの描写がまた心憎い。



読んでいてどうしてもミートパイが食べたくなって、買いに行ってしまいました。
タカキベーカリーのミートパイが美味しかったです。

久賀理世さんは、オレンジ文庫の『倫敦千夜一夜物語』もとても好きで食べ物もやはりおいしそうだったので、続編等今後も期待させていただいてます。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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私の好きな美味しい物語6  城下町の串巻き焼きパン(『赤髪の白雪姫10』あきづき空太) 

相変わらず毎日いかに美味しいものを食べようかずうっと考え続けているわりになかなか記事にはならないシリーズですが、忘れているわけではないですよ!

今日の記事は、あきづき空太さんの異世界王宮ものファンタジー少女漫画『赤髪の白雪姫』より。

赤髪の白雪姫 10 (花とゆめCOMICS)赤髪の白雪姫 10 (花とゆめCOMICS)
(2013/07/05)
あきづき 空太

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服装や装身具や建物や植物や、細部への描きこみが毎回素晴らしく(少女漫画らしいかわいらしさとか繊細さとかなんかバランスが絶妙)、絵をながめているだけでうっとりひたれる漫画です。
食べ物も、ストーリー前面に出てくることはめったにないのですが、ときどき描かれているたびにどれもさりげなく美味しそうで、異国情緒あって、ひそかに楽しみにしています。

私がなかでも惹かれたのが、この十巻目、白雪とゼンの城下町歩きの場面で出てきた、男の人が焼いてる、長い串に直接ぐるぐる巻きつけられた大きなパン(たぶん)。
次のコマで、焼きたてをちぎったかけらをほおばっているちびっこたち。ほんっとうにいい笑顔でおいしそうでしあわせそうで、あつあつ湯気が立つ素朴ななりのパンも本当においしそうで、何気ないコマなんですが本当にお気に入りな場面だったのでした。

なぜこのタイミングで語りだしたかというと、先日図書館で借りた本がきっかけでして。

THE PASTRY COLLECTION 日本人が知らない世界の郷土菓子をめぐる旅THE PASTRY COLLECTION 日本人が知らない世界の郷土菓子をめぐる旅
(2014/05/31)
郷土菓子研究社・林周作

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カヌレやタルトタタンやそこそこ名の知れているお菓子から見たことも聞いたこともない不思議なお菓子まで、世界のめくるめく郷土菓子がカラーの写真と文章で楽しむことができます。
この本で私がいちばん心惹かれたのが、グルジアの串焼き菓子「ハチャプリ シャンプゼ」でした。
串焼きのパイ菓子。

串に刺したチーズをパイ生地で巻いて炭火の上でまわしながらじっくり焼き上げたもので、レストランで食べることができる。
サクサクに焼かれた生地の中に詰められたチーズは熱でトロトロに溶けている。
デザートの一つだが中のチーズはほんのり塩辛く。甘いものが苦手な人でもついつい手が伸びてしまう。 (154頁)

サクサクパイの中からとろーり塩味チーズ、想像するだけでおいしそうなんですが(笑)。
で、この菓子の写真に、どうも既視感がありまして。
しばらく考えた結果、「赤髪の白雪姫だー!!」と。
ただどの巻のお話だったか忘れてしまってて、最終的に自分のブログの過去記事検索して見つけ出しました。
私のブログもたまには少しは役立つようです。
と、まあ、そういうお話でした。

ぶどうジュースを小麦粉やコーンスターチでかためた紫色のペラムシや、煮林檎とクリームの花冠、ウクライナの大人のキャロットケーキ、カッテージチーズのドーナツ菓子、皆美味しそうでながめていてどきどきします。

ぐるぐる巻きつけパンって、なんか、独特の魅力がありますね。
私がちっちゃなころ近所にあったパン屋で、竹串にさしたウインナーにパン生地をぐるぐる巻きつけてケチャップをかけて焼き上げてあるわりとポピュラーな調理パンがあって、大好きでした。
ウインナーからひとくちひとくちはがしながら食べていくのが楽しくてウインナーの塩気とうまみがほんのりうつったパンが美味しくて。
ぐるぐる巻きのチョココロネなども、ときどき無性に食べたくなります。
カスタードクリームがつまったサクサク細長パイも、ときどきパン屋でみかけますが、あれもおいしそうですよね!

あきづき空太さん作品では、『ヴァーリアの花婿』でヴァーリアたちが旅の食卓で食べていた料理もおいしそうだったな。

夜なのにこの記事を書いていたらお腹がすいてきました。
そろそろ寝ますね。


この一週間の間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: 私の好きな美味しい物語