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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『京都寺町三条のホームズ10 見習い鑑定士の決意と旅立ち』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』第十弾。
葵の二十歳の誕生日の記念に、ゴールデンウィークに旅行にいくことになった清貴たちふたり。
しかし旅を楽しんでいるのもつかの間、かつて大原の宗教施設での事件に関わっていた雨宮史郎が、ふたりの前に姿を現す。
彼の手には、盗難にあい海外のオークションに出品されていた、清貴たちの旧知の画家の作品である掛け軸が——。


『京都寺町三条のホームズ』待望の新刊です!!
最近はアニメ化もついにはじまり各種イベントも目白押しで、ますます盛り上がり人気シリーズになってきた感じ。
もともとお祭り騒ぎとかわいわいにぎやかさとも親和性が高いおはなしだと思うので、なんだか私も楽しくなってきます♪
加えてコミカライズ二巻目も同時発売。ますます気分も盛り上がります。

今回のお話は、Web版でもばっちり読ませていただいていた、葵ちゃんのお誕生日祝い・清貴君と葵ちゃんふたりの豪華列車旅行編♪
待ってました~!!!の展開です!!
というか、書籍版でこのお話が読めるとは、実は思っていなかった(笑)。(基本甘々なWeb版の中でもトップレベルで甘いお話だったので……私は大好きなのですが!)
書籍版では、さすがにというか、Web版ほどの甘さはありませんでしたが、葵ちゃんが二十歳と年齢が進んでいる分、彼女も大人になっており、ふたりの精神面での結びつきがしっかり丁寧に描かれていて、Web版とはまた違った品がある落ち着いた雰囲気で読み応えもあり、これまたとても良かったなと思いました。
それに書籍版の展開でも十分甘いですし(笑)。私は大満足です。
最初に「恋愛色が強くなる」と説明書きがあるのも、心構えとワクワク感を持ってお話を読み進められるので、親切で良かったなあと思いました。サービスが行き届いてるのも相変わらずこのシリーズらしいです。
くわえて前回のお話で例の円生の不穏な前振りがあったので、清貴君と葵ちゃんの今後は大丈夫なのか???と、はらはらどきどき要素もあり。結局最後まで安心して読めなかったです。書籍版ならではの良きスパイスでした(笑)。

というわけで、メインが旅行編な分、京都ネタはちょっとひかえめ。
といいつつ清貴君の修業エピソードも一話分しっかり入っているし京都お留守番組のミニエピソードもあったりするので、いつも通り京都に憧れを募らせつつ楽しむこともできました。
私の贔屓キャラの香織ちゃんの秘密の恋にも、ひとつの答えが。

まずは表紙イラストのふたりがラブラブで素敵……お互いのしぐさと表情に、相手への信頼と愛情が満ちていて、素敵です。
葵ちゃんのすっかり大学生な大人びた服装も良いものです。
そしてカラー口絵のふたりの距離感と雰囲気に……一層どきどき。ふたりの服装がラフなのにもどきどき。
葵ちゃんの長い髪と横顔がきれいで、それを見守る清貴君の表情が優しくて、はやくもよろめきました。
あと利休君の物憂げな美少年っぷりが絵にはまりすぎです。

では、続きの感想はネタばれ込みということで、追記に格納いたしますね。


この一週間くらいの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ9 恋と花と想いの裏側』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ第9弾。
一月になり大学にも慣れてきた葵だが、修行中の清貴とはなかなか会えない日々。
清貴の修行先・伏見の老舗酒造で起こった家宝の徳利紛失事件、そしてほぼ同時期に、香織が所属するフラワーアレンジメントサークルで葵が直面した先輩達の仲違い。
二つの出来事の裏には、それぞれ切ない想いが秘められていて——。


『京都寺町三条のホームズ』の新刊!!待ちわびていました。ようやく読めました。
今回は特に事前でネット版をごく一部しか読んでおらず大部分まっさらな状態で読むことになったので、内容に関するハラハラドキドキ感もひとしおでした。
(ただそのごく一部の既読分がここでそうくるかーー!!と読んでいて叫びそうになりました。かなり盛り上がりました。)


結論から申し上げますと、今回も最初から最後までめっちゃ楽しかったです!!
サブタイトルにもあるように、清貴君と葵ちゃんの主役カップル、そしてサブキャラたちのロマンスが随所にちりばめられていて、お花や和歌や骨董品や美しく雅な小道具も随所で光っていて、ときめき度満載でした。
今回はシリアスな事件ネタは控えめで、よりロマンス面に重きが置かれていたように感じました。
この歳になっても甘々少女小説を愛好している私としては、今回のこの盛り上がりようはたまらなかったです。ふふふ。

遠距離恋愛でも葵ちゃんと清貴君はちゃーんとラブラブで、読んでいて微笑ましく幸せでたまらなかったです。
なかなか会えない寂しさを募らせ葵ちゃんが見せた涙にぐっときました……。清貴君の「尊い」、私も分かる(笑)。
一方途中で円生がとんでもない爆弾を落としていきました……わあ、これは一体どういうストーリーにつながっていくのやら。
その後の秋人さん話で彼の屈託のない明るさと友情にだいぶ救われて楽しく読めました。


ではではさっそくここからネタバレ交じりの感想です~。
長くなってきたので追記にたたみますね。


その前に、コミックス版の書影も、ぺたり。



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タグ: 望月麻衣 

『古書カフェすみれ屋と本のソムリエ』里見 蘭 




古書カフェすみれ屋にて、オーナーのすみれが心を込めて作る絶品カフェごはんと共に供されるのは、古書担当の紙野君の差し出す本が紐解く五つのミステリー。
すみれ屋を慕って集まる人々と店員がつむぐビタースウィートな物語。


はじめて読む作家さんのお話。
読書メーターでふと目にとまり、心惹かれて手に取ってみました。

古書カフェすみれ屋は、オーナーすみれさんと古書店担当紙野君のふたりのお店。
かつての同僚であった三十代のふたりがパートナーとして営む、一風変わったスタイルのごはんカフェ兼古本屋さんです。
物語はカフェのオーナーで料理の作り手すみれさん視点で語られてゆきます。

好きです。
いやー、ものすごく好きです!!
すみれさんの作る異国の香りがする料理はどれもものすごく美味しそうで、紙野君の紹介する本もどれも興味深く、お客様が関わる日常の謎解きもしみじみ味わい深くて、読み進めるごとに物語に惚れ込んでいってしまいました。
すみれ屋さんの雰囲気があまりに居心地よくて、読み終えるのが勿体なくってちまちま少しずつ読み進めていました。

連作短編形式で、お客さんがそれぞれメインのミステリーは、やや大人風味というかビターなものもありますが、どのお話も後味にほのかな救いがあるのが、良かった。
あとすみれさんと紙野君のふたりの人柄が良いです。ふたりとも基本穏やかなのだけど芯に譲れないものを持って働いているのが格好いい。
そしてふたりの関係もとても良い。
最初は私、ふたりをそんな仲として読んでいなかったのですが(すみれさんが恋愛に縁遠い雰囲気だと当初思っていたのもあり)、なんというか、三十代の自立した大人同士だからこその距離感があって、その距離感あってこそのほんのりした糖分が、たまらなくときめきます。

紙野君はこの物語において空恐ろしいほど優秀な探偵役で、淡々とした性格でときどき強引なほどマイペースで、ちょっととっつきにくさを覚えてしまうようなひとなのですが、すみれさんの人柄と料理にはべた惚れで(そう明記してあるわけではないのですが端々から伝わってくる)、ときどきほんとうにさりげなーくアプローチをかけていて、でも全然通じてなくって。そのあたりがぐっと共感を呼ぶというか親しみやすさが出てきていて、うん、とても好きです。
すみれさんの方も、お名前のイメージにふさわしい、凛とした大人の女性の優しさを持つとても素敵な方です。
彼女の語り口でちょっとほろ苦い物語もどこかふんわり優しいイメージを添えているように思います。
何より美味しいものが大好きで美味しいものを作っているときが何より幸せなのが端々から伝わってきて、好もしいです。
過去の出来事もありちょっと恋愛には一歩引いているところがあるかなあ。うーん、がんばれ紙野君。

『恋人たちの贈り物』
すみれ屋開店して間もないころですみれさんも手探り状態かな。
恋人たちが結構危ういところまでいっていたのがハッピーエンドで心満たされる後味でした。美雪さんの切符の良さや懐深さに憧れる。
レモンメレンゲタルトとアップルタイザー、バターミルクフライドチキンが美味しそう!今の季節にはぴったりなお話でした。
紙野君のクリスマスプレゼント『パン屋のパンセ』という歌集が、以降の物語においてもぽつぽつ登場してきて、どの歌もとても味わい深くて良い感じ。

『ランチタイムに待ちぼうけ』
サンドイッチに並々ならぬこだわりをもつすみれさんがますます好きになったお話(笑)。
自家製コンビーフサンドイッチもフィリーズチーズステーキサンドイッチもおいしそうなこと!!
私自身はサンドイッチを食べるときあまりお肉系のものは食べないのですが、このお話に出てくるサンドイッチの魅力にはくらくらよろめいています。お肉をおいしそうにたっぷり食べる人って確かに見ていて気持ちいい。
『センチメンタルな旅・冬の旅』も池本氏のエピソードも、はじめのうちは読んでいて正直そんなに好みじゃなかったのですが、読むごとにじわじわ味が出てきたと言いますか、ラストでふっきれた彼の姿は、清々しく良かったです。

『百万円の本』
このお話がいちばんシリアスだったかなあ。
『パン屋のパンセ』の歌とすみれさんは本当に相性がいいな。さすが紙野君(笑)。
わずかにマヨネーズを混ぜたクリームチーズで作るきゅうりのうすぎりサンドイッチ・すみれさん風が、おいしそう!どのサンドイッチも惜しみなく手間がかかっていて私には手が出そうにないけれど、これならなんとかぎりぎり……真似できるかしら。
ピーチメルバもおいしそうだし、ピーナッツバターサンデーのあまじょっぱい感じがまたたまらなく美味しそう。確かにこれは男の子が好きそう。
夜のカフェタイムにゆっくり美味しいデザートを味わうって良いですね。
健太君と『にんじん』のエピソードは胸が痛かった。
ラストのオムレツサンドが光のイメージでやっぱりたまごサンドには明るい生命力があるなあ。(『下鴨アンティーク』の真帆さんのたまごサンドのように)

『火曜の夜と水曜の夜』
私もすみれさん同様すっかり騙されてました。気づかないですよ!
この物語に出てきた『料理歳時記』、実は私自身、数年前に某所で譲り受けて積み本にしていた本でした。
読了後に引っ張り出してきて読んでみたら、確かに名作でした。これはしみじみといい。なんで私今まで読んでなかったんだろう。
さておき、お客さんに触発されて恋愛トークをしているすみれさんと紙野君の距離感がときめいてしかたなかったです。
すみれさんに誤解されたと思うとそれまでの淡々と冷静な態度を途端に崩して慌てだす紙野君が微笑ましい。
淡々とした彼なりにすみれさんのディナーをじっくり味わって深く満足しているのが伝わってくるのもいい。
バニラスフレおいしそうだな~!!そしてクロワッサンの歌がお気に入り。

『自由帳の三日月猫』
これまでのお客様も順に再登場してくる総集編といいますか。
お客様の後押しでようやくすみれさんも意識しだしたかしら。さてどうなる。
『猫語の教科書』って猫好きにはたまらない本ですね!そしてクロワという名づけも好き。
オムカレーのドリアも白アスパラもおいしそうです。
前話で若干ひっかかっていた馬場さんとその奥さんのこともフォローが入っていてほっとしました。

どうも現在二巻目も出ているようなので、ぜひとも読んでみたいです。
そして巻末の参考文献のお料理本リストにテンションがぐんと上がった私。図書館で探してきます!!
『パン屋のパンセ』の作中の歌が素敵で、これは手元に置いておきたいなあ。
その前に『料理歳時記』を最初から最後まですみずみ読みこんでみよう。

繰り返しますが、もう本当に私好みの本でした。まさかこんなにはまるとは(笑)。
色々な意味できもち大人風味の本なので若干人を選ぶかもしれませんが、美味しいものが出てくる本が好きな方にはおススメしたいなあ。
すみれさんのお料理を毎日食べられる紙野君が本気でうらやましいです。
ああ、すみれ屋さんが現実に存在していたらいいのにな~。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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タグ: 里見蘭 

『スロウハイツの神様 上下』辻村 深月 







中高生に絶大な人気を誇る作家チヨダ・コーキの小説で「人が死んだ」——凄惨な事件から十年。
脚本家の赤羽環がオーナーであるアパート「スロウハイツ」では、環とコーキ、そしてその友人のクリエイターたちが共同生活を営んでいた。
夢を語り物語を作り世間に作品を認められるのを目指して、仲間と共に足掻き全力を尽くす日々。
そんな彼らの日常は、新しい入居者・加々美莉々亜の登場によって、大きな変化を迎える——。


ずっと気になっていて、もう結構な前から積み本になっていた小説でした。
先週の三連休に、ようやく手に取ってみました。

最初の方は頻繁に移り変わる語り手と登場人物たちの個性の強さに若干話に入っていきづらかったのですが、次第にぐいぐいひきこまれてゆきました。
特に下巻から。ひとつひとつの何気ない伏線が予想外の方向に収束していくたびにうなりつつ、お話にも勢いがついて飽きさせず。
何より今までのすべての伏線がつながり大きくひっくり返された最終章には、やられました!!
ああ、もう、そういうことだったのかー!!すごくすごく良かった。
確かに最後まで読むと、究極の純愛小説だったのだなあ、としみじみ納得がいきました。
ピュアな恋心と人を思う優しさとそれが報われる瞬間のよろこびと、色々な感情がこみあげてきて、じわじわと目頭が熱くなりました。

チヨダコーキの作品を読むことで辛い境遇から救われた少女と、今度はその彼女のメッセージで絶望的な状況から救われたコーキ。
昔から読書好きで、辛い時やっぱり本(それもいわゆるライトノベルの類)の力で何度も乗り切って生きてきた私としては、やはりこのシンプルなエピソードが胸を打つ、良いものでした。
(途中でややもやっとしたものの最後まで読むとカタルシスがすごい)

あと芸術家の卵の若者たちが「スロウハイツ」で仲良く共同生活を営んでいる空気も、とてもとても好きでした。(コーキと環のふたりはすでにプロデビューしている訳ですが)
オーナーの環が何と言っても我が強い性格の女性で他の皆も個性的で自分の中にゆずれぬ芯を持っていて、必死にあがいているがゆえに時にぶつかり合ったり色々なこともあるのですが、確かな友情と絆で結ばれた仲間たちであり、読み進めていくごとにメンバー一人一人に愛着がわいてきて、ラストまでくるともう皆いとしくてたまらなくなりました。
私は特に下巻部分の環とスーの対等な女性同士の友情がとても好きでした!!
その作風からはむしろ一番遠く思える、コーキの不器用だけれど人としてどこまでもピュアで誠実で優しい人柄にも、惹かれました。

あと作中のここぞと言う場面で何度も登場する「ハイツ・オブ・オズのチョコレートケーキ」が最高に美味しそうで、読んでいて憧れの気持ちがどんどん膨らんでゆきました。

今さら私が感想を新しく付け加えるのもおこがましい人気作品なのですが、ネタばれこみの感想メモを、追記に少しだけ。


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タグ: 辻村深月 

『京都寺町三条のホームズ8 見習い鑑定士の奮闘』望月 麻衣 




高校を卒業して無事に京都府立大に合格した葵。
清貴も京大大学院を修了し、ようやく二人の仲も縮まるかも、という矢先、なんと清貴はオーナーの意向で、社会勉強のために京都の街の外に修行に出る生活になってしまう。
最初の修行先は、八幡市にある松花堂美術館。
親友の香織と一緒にこっそり清貴の様子を見に出かけた葵だったが、そこで思わぬ事件が待ち受けていて——。


待望の『京都寺町三条のホームズ』シリーズの新刊!!わーい、嬉しすぎる~!!
刊行ペースが安定してお早いのでファンとしてはとてもありがたく幸せです。
そして今回からは、葵ちゃん大学生&清貴君社会人編スタートです!
まずは表紙イラストの大人っぽくきれいになった葵ちゃんに撃沈……上手く帯で隠れていますが、シックなスカートからのぞくおみ足が美しいです(笑)。
(けして短いわけではなく上品でつつましいスカート丈と葵ちゃんの姿勢であるところがミソだと思う)
ホームズさんの方はこちらは安定してネクタイ姿が決まってます。前巻に引き続き自分の彼女の美しさにふふんと得意げな感じ(笑)。
そしてこれも毎度のことながら、ふたりの背景の石清水八幡宮(ですよね?)のイラストの完成度も高くてうなってしまいます。
青空に赤と緑が映えていて爽やかで素敵。
事前に情報を得ていた通り、登場人物紹介の葵ちゃんも、大学進学にあわせて大人っぽくきれいになっていて、どきどきしました。

さて今回の各エピソード、私は一応エブリスタ版の方ですべて既読だったり。
ですがこのシリーズは、書籍版になるとエブリスタ版のエピソードの順番が入れ代わり加筆修正もしっかり入り本としての完成度は格段にアップするので、読み比べるのがまた二重に楽しいんですよねえ。
清貴君と葵ちゃんの関係性も全然違うので、読んでいて新鮮!清貴君の初々しさの微笑ましいこと。

修行に出てもまあ予想通りというか、清貴君はどこで何をやらせてもそつなくスマートなのですが、葵ちゃんのことに関してだけは人格が変わるほどめろめろで気弱で、ギャップにますます磨きがかっているかんじがしました(笑)。
葵ちゃんはやっぱり安定して可愛くて努力家で大好きだし、あと今回は彼女の親友の香織ちゃんの出番が多くて何気にとても嬉しかったです。

各話ごとにネタばれありの感想を~。


『プロローグ』
オーナーの突然の「命令」には私もとてもびっくり&離れ離れになる二人に残念な気持ちになりましたが、確かに一理ある。
葵ちゃんよりも清貴君の方が離れ離れになることにダメージを受けているようで、悪いのだけれどなんだかちょっとおかしいというか(笑)。でも確かに、大学に入り世界が格段に広がるに違いない彼女のそばにいられないのが不安な気持ちもとても分かる。
そしてかつて実際に遠距離恋愛に失敗したことがある葵ちゃんの若干の不安が杞憂で終わりますように!いや、ほんとに。

『一生に一度は』
恥ずかしながら松花堂昭乗のことも石清水八幡宮のこともほとんど知らなかったもので、勉強させていただけて良かったです。(ホームズさんの講演はさすがの分かりやすさ)
石清水八幡宮って、はるか昔国語の教科書に出てきた仁和寺のお坊さんのお話のあれか!なるほど!(ようやくつながった)
竜宮城のイメージとは素敵。松花堂美術館のお庭や学芸員さん達の仕事ぶり、葵ちゃんと香織ちゃんが乗っていたプレミアムカー、相変わらずしっかりていねいに描きこまれていて、またひとつ京都でぜひとも行ってみたいところが増えました。あ、松花堂弁当ももちろん食べてみたい。
こっそり様子見に来ていたつもりだった葵ちゃんに一目散に向かっていき嬉しさにはしゃいでいる清貴君のギャップに、周囲が呆然となっている場面のおかしいこと!(笑)まあ考えてみれば変装くらいで彼の目が葵ちゃんの姿を逃すはずもないか……。
そして小日向さんのずけずけ加減と彼の失礼さにぷりぷりしている香織ちゃん、あのあたりの会話も好きでした。
書籍版になって秋人さんの出番が増えてる!ホームズさんと秋人さんの(自称)親友同士の男子トークも笑えました。
過去のことを話したら葵ちゃんに嫌われるかも……としおしお弱気なホームズさんにさくっと突っ込む秋人さんが見事でした。
(でも葵ちゃんが本当に素晴らしい女性であることは全面的に同意します。この歳でこんなに素敵な女の子はそうそういない)

『小さなホームズ』
上田さん視点の過去話。
オーナーと店長に加えて、上田さんは清貴君の「三人目のお父さん」ポジションだったんだなあと、胸があつくなりました。
大人びてませていて幼くして天才だったホームズさんを無邪気な子供に戻してあげられた上田さんって何気にとてもすごい。
個人的に作家になったばかりの店長が清貴君の鑑定眼に助けられそこにどうしようもない嫉妬を込めていた場面が印象的でした。まだ店長も今より若かったんだな。そして上田さんは確かに店長の友人だったんだな。
そして現在に戻って、清貴君と葵ちゃんに二人きりの場をさりげに提供して去っていた上田さんの気配りが絶妙でした。

『聖母の涙』
炊き込みご飯とポテトコロッケのエピソードがようやく!(笑)
クリスマスに教会にゴスペルに、離れ離れだった恋人たちの巻の最後を締めくくるにふさわしいエピソードがここに入ってくるとはお上手です。
清貴君の修行先はニューヨークも!そこでも重宝がられている彼がやっぱりすごい。
「ともにクリスマスを過ごしたい人がいますので」とさらりと言える清貴君にもときめきました。
マリア様の血の涙とはなんてぶっそうな、と思いましたが、特別な意味があるものだったんですね。
本当に「雨降って地固まる」な事件の着地でほっとしました。ジンギスカンか、なるほど。何気に江川さんのあっけらかんとした明るさが皆の救いだったんじゃないかなとか思いました。
ここにきての清貴君の過去の告白。
真実よりも葵ちゃんの想像の清貴君の方が何気にひどくってちょっと笑えました。
そして葵ちゃんの方の過去の懺悔がここで語られたのも良い感じだったと思います。
自分が犯した失敗も隠さず告白してすべてお互い受け止めあえる清貴君と葵ちゃんは本当にベストカップルだなあ。
単純にラブラブというよりは、精神面でぐっと二人の結びつきが深まったような、素敵な聖夜のエピソードでした。
自転車のリメイクと指輪のプレゼントがどちらもホームズさんらしい。(しかしクリスマスのプレゼントがいらないと言われたホームズさん内心ショックだっただろうな。苦笑)
あとホームズさんのお土産のファットウィッチベーカリーのブラウニー食べてみたい!ネットで調べてみたらとても可愛らしい包装のブラウニーですね。

『宮下香織の困惑』
ええっ、香織ちゃん、そっちにいくのか!
そっちの道は正直かなり厳しいような……。
と、エブリスタ版で読んだときに、思わず声に出して叫んでしまった(笑)。
精神年齢が高い香織ちゃんが店長に惹かれる気持ちは分からないでもないですからねえ。ううむ。
小日向さんもきっといい人なのでしょうが、現時点では香織ちゃんにふさわしい人か、つかみ切れていないからな~。(←なんて上から目線な私)

『エピローグ』
今回は円生が全く出てこないと思っていたら、締めは彼が主役をさらっていってしまった(笑)。
ホームズさんと円生のライバル同士のやりとりは、真剣にぴりぴり緊張感が漂ってきて、うん、怖いです。
しかし格好いいな円生。これから同じ土俵に立つがゆえに一層ホームズさんの手強いライバルになってゆきそう。
ライバルと言えば、ニューヨークで再会した史郎さんも、あのひと円生以上に不気味だな……。どう転がっていくのやら。

今回もとても楽しく読みました。満足♪
続きが今から待ちきれないです。
欲を言えば、葵ちゃん自身が今までより成長し活躍する見せ場があるお話を、もっと読みたいかなあ。
そして葵ちゃんと香織ちゃんのキャンパスライフをもっとたくさん読んでみたい。(植物園のカフェも気になりました)
あと上田さんエピソードが出てきたので今度は美恵子さんのエピソードも読んでみたいな。
十月に発売されるという新作も、あともうすぐ発売の拝み屋さんの新刊も、楽しみです♪

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タグ: 望月麻衣 

『京都寺町三条のホームズ7 ~贋作師と声なき依頼~』望月 麻衣 




『京都寺町三条のホームズ』シリーズ本編7巻目。
高校三年生、受験も意識しだした葵。ホームズこと清貴との距離を不器用にもゆっくりと縮めていく日々を送っていた。
そんなある日、贋作師の円生が、二人の前に再び現れる。清貴に「白磁の香合」の鑑定を依頼した円生は、清貴の「本物だ」という言葉を否定して去ってゆく。
それからしばらくして円生は、学校帰りの葵の前に姿を現し——。

ガイドブックの後は本編を。
表紙のお着物でおめかし姿の葵ちゃんがきれいです、素敵すぎます!おめかし葵ちゃんの隣でふふんと得意そうな清貴君のスーツ姿も決まっています(笑)。背景のお庭の緑も美しくて染み入るよう。

ガイドブックの感想に書いたように、私はエブリスタ版で、書籍版の先のエピソードにあたる部分も読んでおりまして。
今回のサブタイトルとあらすじで、「ああ、やっぱりこの展開がくるのか……。」と、覚悟を決めていました。
覚悟を決めたつもりではいたけれど、後半部分を実際に読んでいくとやっぱり辛くて、胸を抉られました。
今までのラブラブ幸せモードから一気に暗転しますからね……。
救いはこの巻一冊でとりあえずの決着がついたことです。あああ、本当に良かった!!葵ちゃんやっぱり最高のヒロインです。
ネット版に比べて書籍版は、文章やエピソードがしっかり練られていて、一冊の本としてとことん満足のできる仕様になっているのが、素晴らしいと思いました。
前半パートのふたりのラブラブエピソードも好きです~♪

というわけで、以降はネタばれふくみの感想を。


『プロローグ』
清貴とオーナーの美術品買い付けや上田さんと組んでのお仕事、ゴージャスだなあ、こういう世界もあるのだなあ~と興味深く読みました。
ミュシャのリトグラフとエーデルワイスのブレスレットウォッチに清貴君が込めた、葵ちゃんへの愛のメッセージに、きゅんときました。再会の優しいキスの場面も良かったです。初々しくもお互いをこんなに大切に想い愛し合っているふたりに、心が洗われる思いです……。
葵ちゃんが変な風に誤解してしまった家頭家のおうち事情もなんというかすごい。
店長の抜け加減にいい感じに和みました(笑)。

『その心は』
エブリスタ版でも好きだったエピソード。加筆部分が効いていて嬉しかったです。
お茶会に備えてはじまった葵ちゃんのお着物生活と、そんな葵ちゃんの所作の変化に戸惑うホームズさんのふたりの図がたいへん美味しいお話です(笑)。
美恵子さんのお店を実際にのぞき見られたのも嬉しかったり。
書籍版のホームズさんの「いちゃいちゃ」は初々しいなあ……(笑)。でも「おいで」って、確かにとても力のある言葉だな。
お茶会の前に訪れた高桐院の場所の描写がとても素敵でした。細川忠興とガラシヤ夫妻のエピソードをかみしめてふたり佇んでいる場面が、なんというかとても印象的で。このふたりの愛情も、きっとどれだけ年月が経っても変わらないんだろうな、とそんな感じでそっと余韻が残るというか。
和菓子屋さんの松風もおいしそうです。(私も実は松風をいただいたことがない……。)
斎藤家のお茶室選びは、このお家の人たちを前とは別な角度で見ることができて、一人一人を人間として身近に感じて好きになれた感じがしたのが、良かったなと思いました。左京さんもあれはあれで得難い才能なんだよな。
千利休と秀吉のエピソードの解釈も興味深かった。

『砂上の楼閣』
子守りホームズさんの図はちょっと笑えましたが、円生の再訪、葵への接触、そして……。
葵ちゃんに冷たいことばをぶつけても当の本人には清貴君の真意は分かってしまっていて、それでも本当にどうしようもない清貴君と葵ちゃん。辛すぎる……。手をつなぎキスをするにもいっぱいいっぱいの初々しい葵ちゃんの口から出てきた台詞にもびっくりしつつ。

『言葉という呪』
店長が葵ちゃんに差し伸べる手が優しくて、ふたりの未来に確かにつながっていて、読んでいて胸があつくなりました。店長の穏やかな懐深さに救われました。カンニングペーパーに和む。
言葉って本当に力があり怖いものなんだな。
それにしても書籍版ではこの時期の葵ちゃん思いっきり受験生じゃないですか……そっちの方向でも読んでいてひやひやしました。
甘い飲み物は優しい思い出を連れてくる、とブラックコーヒーを飲む葵ちゃんが切ない。

『望月のころ』
円生と清貴君、そして葵ちゃん、三人の間での決着。
しずかにぴりぴりしたはりつめた空気の中でのお話でした。
これまで目的不明、正体不明で恐ろしいとしか思えなかった円生の過去の背景が、明かされてゆき。
どうして贋作を作り続けてきたのか、出家したのか、清貴をライバル視するようになったのか……。パズルのピースがはまっていくごとに、胸が苦しくなりました。
円生のメッセージを清貴君がきちんと受け止めて彼のための奔走し、そして円生の苦しい心を葵ちゃんが一生懸命解きほぐし、あの結末を迎えられて、良かったな。
というか、葵ちゃんの精神面での成長が著しい。ひとりで円生の心情をたどりああいう方向に導いた葵ちゃんに、鳥肌が立つくらいでした。
そしてなんといっても葵ちゃんの「清貴君、おいで」ですよね。もうほんっとうによかったですよね!!(涙)
第一話のホームズさん側から発せられた「おいで」と書籍版では対応していて、よりお話の流れが納得のいくものとして補強されていたというか、とても良かったです。読んでいて目頭が熱くなりました。

『エピローグ』
葵ちゃん無事に大学合格できて本当によかった!
そして「蔵」でのアルバイト生活も無事に復活してホームズさんとの仲も元に戻って本当の本当に良かったです。
円生の贈り物の中国の風景画とそこに嫉妬する清貴、そんな彼に葵ちゃんがかけた言葉がまた良かったです。
秋人さんの憶測までは行ってないにしろ、着実にこのふたりの距離感は縮んだ気がします。
柳原先生の弟子として現れた円生、小松さんが持ち込んできた新たな依頼、次の物語へのつながりもぽつぽつ残るラスト。
(ところで好江さんとオーナーのふたりは、あれからどうなったかな?こちらもちょっと気になる。)

あとがきを読んで何よりうれしかったのは、このシリーズ、葵ちゃんの大学生編も読めるんですね!!
やったー!嬉しすぎる~!!(ごろごろごろ)
大学生になった葵ちゃんと院を修了した清貴君ではまたお互いの関係性が微妙に違うものになるでしょうし、いったいどんなストーリー展開をしていくのか、今から読めるのが楽しみで待ちきれないです(笑)。やっぱりいちばん気になるのはふたりの仲の進展……。

作中で右近さんたちにきれいになったと言われている葵ちゃんだけど、ホームズさんみたいな彼氏に、こんな風に常に宝物のように大切に扱われ慈しまれていたら、それはもう、色々な意味で素敵な女性に成長していくこと間違いないでしょう。と、読んでいてひとり嬉しくうなずいていました(笑)。ホームズさんの側にいて自発的に学び糧にして成長していける子でもあるし。
失恋も、彼女をより成長させたのだなと思います。結果的に。
大学生になってこれからどんどんきれいになって魅力を増してゆく葵ちゃんに、内心気が気でないホームズさんという未来が、今から目に見えるようです……。やっぱりどんな手を使っても女子大に行かせればよかったって後悔していそう(笑)。

……そんな好き勝手な空想を繰り広げつつ(笑)、本当に今回も面白かったです♪な一冊でした。
やっぱりすでに今から続きが読みたくてそわそわしています。

前も書いたかもしれませんが、このシリーズはエブリスタ版(ネット版。文庫の最後の方にアドレス等載っています)でも読むことができまして、主に清貴君と葵ちゃんの関係性において完全な別物、パラレルワールド。お好きな方はこっちも読まれると楽しいですよ♪
書籍版に馴染んでいるとひっくり返るくらい甘々ラブラブで、若干人を選びそうですが、お好きな方はぜひぜひ。
エピソードの順番も前後したりゆるやかにつながったりしていてそういうのを読んでいて発見できるのも二重に美味しいです。

カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 望月麻衣