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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『おこぼれ姫と円卓の騎士 反撃の号令』石田 リンネ 




『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ第16弾。
白魔の山脈を超えイルストラ国にたどり着いたレティーツィア。
フリートヘルム、軍師ゼノンに対抗するため、第一王子ヴィクトルと交渉にのぞむレティ。着々と体制を立て直してゆく。
一方散り散りになったレティの騎士達も、自らの信じるレティのために、それぞれ行動を起こしてゆく——。

『おこぼれ姫と円卓の騎士』の新刊!
クライマックス直前らしいです。次が最終巻。えええー!(動揺)

今回、発売日前からネットで見ることができた表紙イラスト、レティとデュークの甘やかな雰囲気に、読む前から撃沈……。
こんな前代未聞な(笑)ラブラブな雰囲気を醸し出しているのならば、お話の内容にも、ものすごく期待しちゃうじゃないですか。
本当に今回、実際に本を手に取り読みはじめるまで、レティとデュークの仲の進展がいったいどうなっちゃうのか気になって気になって(いや、それ以外ももちろんありましたけど)、そわそわ落ち着きませんでした……(笑)。

前回と同様、一つ間違えれば全てが崩れてしまうぎりぎり綱渡りの展開がずっと続く、シリアスモード。
レティや騎士達がひとつひとつ頑張って前に進み成功を重ねるごとにほっと胸をなでおろしつつも、常にゼノンの不気味な影におびえつつで、まったく気の休まる暇もない。最初から最後まではらはらどきどきでした。

でも、まさに今回は『反撃の号令』なのです。とことん追い詰められたレティ達が、それぞれの場所で反旗を翻す。
レティがこれまでの巻で国内外で様々なところに赴き、精いっぱい体当たりで困難を乗り越え困っている人を救い人脈を築き上げ、こつこつ頑張り積み重ねてきたものが、ひとつひとつ報われていっている各場面に、読んでいてじわじわ感動がわきあがってきました。
レティの騎士たち一人ひとりもそれぞれの場所でそれぞれの特性を生かして、実にいい仕事しています。レティと騎士達、騎士達同士の信頼関係もすごく良くて、こちらもこれまでこつこつレティが築き上げてきたものの大きさを改めて思いました。

レティの優しさやお人好しさは、レティ本人が散々思っているように「欠点」ではあるかもしれないけれど、同時に彼女最大の「武器」でもあるんじゃないかと。
レティに救われ彼女を敬愛する人々が彼女に手を差し伸べ救っていく展開に、どんどん確信が増していくようなお話の流れが、読んでいてとても心地よい。
賢さや誇り高さや美貌も武器にしつつ、その人として一番大切な部分は昔からまるでぶれのないレティ。
そんな彼女だからこそ女王様に一番ふさわしいと、思っている人は、きっといろんなところでいっぱいいるんだよ。
お城の武器職人さんや城下町の人々のレティ評を読み胸をあつくしながら思っていたこと。


ここからはネタバレあり感想メモで、お願いします~。


序盤のヴィクトル王子との駆け引きは、さすが王族間といったところ。したたかで頭の切れる女王様レティ格好良かった。
シャルロッテ姫との女子会もあったようで、心和みました。シャルロッテ姫は恋愛に関しては本当にするどいなあ。さすがです。彼女の存在がサヴェリオを優秀なひとに成長させたのだとすると、なにげに侮れない。
その次はノーザルツ公。優秀で苛烈なお人なのですがもはや可愛い要員にしか思えなくなってきた(笑)。共同戦線を組むと頼もしいですね!
あとソレス王子とアナスタシアとのそれぞれの再会の場面、挿絵込みでとても印象的で、今の状態のレティにとって本当に彼らの応援が心強くて、こみ上げてくるものがありました。
レモンが似合う爽やかな好青年というイメージをまといつつソレスはなんて頼もしいんだろう。安心感が違いました。
女帝アナスタシアの無償の優しさと友情もまた、染み入りました。

今回グイード殿下もコルネリア姫もそれぞれ良かった。レティ似の妹姫コルネリアは地味に私の贔屓キャラだったので嬉しいです。イラストのコルネリア姫可愛らしくて満足です。
グイード殿下の思惑を遠く離れたところではっきり理解し受け止めたレティがさすがだと思いました!
ようやく初登場の王様。何だかいろいろと感慨深い。
フリートヘルムの方にはそんな噂があったのか。確かにグイードとレティがそっくりならばそういう考え方もあるか……。

高潔なイメージそのままでどんな場所でも年長者ならではの余裕を失わずお茶目なクレイグさん健在。そのイメージをそこで使うとはさすが!最終的に上手くいったようで胸をなでおろしました。
アイリーチェとシェランの二人のエピソードは印象に残りました。彼がそんな風に思っていたとは。
ウィラードもデュークもみんなそれぞれの仕事ひとつひとつは地味なんだけれど、ひとつひとつ堅実に実行し、それぞれが効果を出し……、そういうのの積み重ねでひとつの大きな反撃の歯車が回っている感じなのが、読んでいて爽快で、これこそこのシリーズの魅力!とうなってしまいます。
騎士学校に仕組まれたネタにちょっと笑って和みました。

肝心の(?)レティーとデュークの甘々な場面は結局エピローグまで持ち越されましたが(笑)、いえ、十分に、堪能させていただきました!
物理的には「驚くほど何もありませんでした」なのかもしれないですが、こんなにまっすぐに気持ちが通じ合えた二人を拝めただけで、もう十分満足です。デュークの飾り気のない褒め言葉にあわあわしているレティが可愛すぎて、もう!
「寧ろ、面白みのないくらい普通の趣味……というか、良い趣味しているつもりだ」云々のやりとりがいかにもレティとデュークで、読んでいてきゅんきゅんしまくりましたし、やっぱりこの二人大好きだな!と改めて思ったのでした。
そして恋愛というものをまるで分かっていないアストリッドとメルディのふたりに適切な助言を与えるアイリーチェがまさに「女王様のできる侍女」としてはまりすぎで、さすが恋人持ちなだけはありますね。
アイリーチェといえば、デュークとアイリーチェのやりとりで、「貴方になにかあれば王女様が悲しみます」「そうだな」あたりの会話とアイリーチェのモノローグが、また大好きな場面でした。
人間として互いに認め合っている上での恋愛って、たしかに、とてもすてきです。
確かに障害ばかりのふたりかもしれないですが、こうやって腹をくくったふたりなら、どんな道でも開けるような気がしてきました。
(そしてアストリッドとメルディの二人コンビはやっぱりいいなあ。和みまくりました。)

ラストのゼノンの非道さ周到さにまた胸が悪くなりましたが……。フリートヘルムの方で、何か考えているね。
やっぱりフリートヘルム兄様はこれで終わってしまうキャラではないですよね!最後の最後でどんでん返しをしてくださると信じています!

レオンハルト殿下もグイード殿下もみんなみんな、ラストでは元気で笑顔でレティの側にいてくれるといいな。信じています。
きっとレティと彼女の騎士達ならなんだってできるよ。

初夏に出るという最終巻が、とても待ち遠しいです。
大好きなシリーズが終わってしまうのは寂しいけれど……。気が早いですが、番外編とか待っていますから!

アニメイト限定特典のショートストーリーも楽しかったです。
「愛人王」!なるほどね!と膝を打つやりとりでした。レティの懐深さが格好良すぎるしメルディの言葉を聞いたとたん不機嫌になり発言を取り消す乙女心が可愛すぎました。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ 

『なんちゃってシンデレラ』シリーズ 汐邑 雛  







おでんのからしを買いに出た和泉麻耶(33歳・職業パティシエ)は、交通事故に遭い、目覚めたときには、異世界のお姫様に転生していた。
12歳の美少女アルティリエ姫には、すでに年上の婚約者がおり、彼は国の王太子。つまりアルティリエは幼くして王太子妃殿下。
そのあまりに高貴な身分故にかつてのアルティリエは心を閉ざし、冬の湖で事故に遭い、そして現在も命を狙われていると悟った麻耶は、身を守るためにも夫のナディル殿下と仲良くしようと、「餌付け」をはじめるのだが——。


小説家になろうさんの小説の書籍化作品。現在2巻まで出ています。
私はWebの方で少し前から読んでいて、書籍化されているのに最近気づいて途中からは書籍で読み、そしてその続きはまたWebに戻って最後まで読んだところです。
(なろうさんの方は、こちら→『なんちゃってシンデレラ』)

主人公が33歳の元パティシエでおいしそうなお菓子が出てきそうだな……というのにつられて読みはじめてみました。
12歳の王太子妃アルティリエに転生した麻耶が、食に関心が深くて、そこがけしてぶれないのが好きでした。
ザーデ(緑黄色野菜、よもぎ系の味?)の焼き菓子とか、パンケーキサンドやその他諸々、異世界の食べ物と麻耶が馴染んでいる世界のお菓子事情が無理なくミックスされていて奇をてらいすぎない描写が好きです。本当にお菓子が好きで美味しいものが好きで食が身体の資本だとしっかり理解していて、色々創意工夫をこらすのが楽しくて仕方ないんだなー。と伝わってくる感じが読んでいて心地よい。私もこんなに上手にはとても作れないけどお菓子大好き人間なので思い切り共感できてたのしい!

主にアルティリエの可愛さ、お姫様生活にふんわり和めるおっとりした雰囲気の少女小説ではあるのですが、かっちり隙なく作りこまれたダーティニアという国の成り立ち、王家と貴族の血と愛憎絡み合う複雑な人間関係、何重にもはりめぐらされた陰謀の描写がとにかくすごいです。王宮陰謀もの少女小説が好きな方にはとてもおすすめです。
むしろそれ以外の要素が徹底的にシリアスだからこそ、シンデレラなきらきら豪華なお姫様生活の描写を、私みたいな若干ひねくれた読者でも素直にときめいて楽しめるのかも。

アルティリエ姫は絶世の美少女で王太子妃という最高位の地位で、かつ王家と貴族の複雑な事情が絡み合い国いちばん失われてはいけない至高の立場の女の子で、そんなお姫様に転生したらさぞかし甘い砂糖菓子のような少女小説になると思いきや、それゆえ常に命を狙われプレッシャーも半端なく、読んでいて直接的な甘さはあんまり感じない。
むしろかつて人形姫と呼ばれるまでに心を閉ざしていったアルティリエのことを思うと切なくて、胸がきゅっとします。
かつての寂しい、けれど真面目で勉強家で婚約者のナディル殿下を慕っていたアルティリエのことを、麻耶が自分の中に残るものをひとつひとつ丁寧にたどってゆく過程が、良かったです。
状況を冷静に判断しやってはいけないと言われたことはけしてやらない、色々わきまえたうえで自分の信念を持って振舞う33歳の精神を持った麻耶。
彼女の堅実さと経験に裏打ちされた落ち着きとすこやかな精神(そしてお菓子つくりへの情熱)が、なんかうまく言えないんですけど、読んでいてすごく好きです。
恋愛経験はほとんどゼロでその手のことには全然疎いところも可愛い!

彼女の年上婚約者のナディル殿下も、初対面の印象はうすら寒い笑顔を浮かべる完全無欠な美貌の君でしたが、生来優しさや愛情をちゃんと持っている人で、彼の部下や兄弟たちごく一部がそれをちゃんとわかって慕っている感じで。
そして、彼のそういう部分が、まっすぐに関わってきてくれるアルティリエを大切な存在とみなしてゆくことでだんだん色づき見えてくるのが、ああ、なんだかすごくいいなあ。

アルティリエとナディルが、少しずつ心通わせてお茶を一緒にしたりちょっとした城下町デートに繰り出したり、ふたりの距離感が微笑ましくてほっこりして好きでした。年の差カップル美味しい。
一巻目の、お庭の薔薇で言葉に出さずに気持ちを共有し合っていた場面が、なんだかとっても好きです。
意外と過保護で大人げないナディル殿下にときめきます。いつも年齢不相応に落ち着き払っているのにナディル殿下の前でだけ照れたりもだもだしたりするアルティリエも可愛いのなんの。
ふたりとも素材が最高級なのでふたり仲良しでいる姿はそれだけで絵になりいっそうときめきます。少女小説万歳。
アルティリエがなにぶん十二歳でロマンス的な要素はほぼ生まれようがないのですが、そこもいい!(笑)
アルティリエの肉体が幼い分、精神で愛し合っているといえばいいのか。究極の純愛ですよね。
お互いの身分と立場上、結婚相手を絶対に変えることのできないふたりが、こうして自然にお互いを唯一無二の伴侶という関係にたどり着けそうなのが、奇跡のような幸運なんだよなあと、読んでいて何とも言えないあったかい気持ちになりふたりを自然に祝福したくなってくるのでした。

アルティリエの侍女チームやナディル殿下の部下チーム、弟たちも、それぞれいい味出してます。
優秀すぎるほどに優秀な腹心の侍女リリア、頼りになります!彼女のつながりは……そっちか!わー、色々な意味で最強だな……。
読んでいくごとに侍女のひとりひとりにも個性が出てくるのがいいな。働く女性としての視点を持った麻耶ならではの、彼女たちの姿への分析が楽しいのか。
料理好きのアルフレート殿下とアルティリエが今後一緒に料理を作ったりなんて展開になるのかしら。
フィル・リンとシオン猊下がお気に入りキャラでした。いちばんはもちろんリリアですけどね!
ナディア王女殿下も可愛らしい方で好きです。
(これはWebの続きも読んでの感想ですが)ふたりの親世代も、今のふたりには正直枷にしかなってない気がばしばしするんですが、ただただ、大切な人を守りたいと願う人間だったんだなあと……。ユーリア妃殿下も王様も嫌えない。アルティリエの父親もね。
もう、今生きているアルティリエとナディルが幸せであるなら、いいのかなあと……。
エルゼヴェトの異母兄弟たちも、アルティリエの命を直接救ってくれたわけだし、全体的にむしろ被害者な感じがするので、今後美味い具合に進むといいなと思ってます。

Webの方の続きは全然これからが本番という感じがします。続きを読んでいくのがすごく楽しみ!
書籍版の続きも楽しみです。出ますよね。ね!
あとWebの方の番外編の、エルゼヴェトのお城出身の菓子職人の女の子のお話が、すごく好きでした。彼女視点でほんのり見えた未来が幸せそうで、ああ、本当に良かった。
ナディル殿下視点のお芋のタルトのお話もほんのり甘くて幸せ気分でした。

人間関係や設定がかなり複雑でお話としては全体的に大人しめで、読む人を若干選ぶお話かなあという気はしますが、私はとても好きです。
最初から心つかまれたというより、少しずつ読んでいくごとに、じわじわはまっていったというか。
Web版の続きを途中でやめられず全部読み切ってしまうほどに最終的にははまりました。
一度この世界に馴染むと、私は読んでいてすごく心安らぎます。安心して少女小説のきらきら感にときめける。麻耶とアルティリエの精神の健やかさとかわいらしさがよいのかな。

挿絵も華がある可愛らしさで雰囲気あってます。
あと書籍版は家系図と表紙カバー裏の各国の地図がとてもありがたいですね!


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 汐邑雛 

『おこぼれ姫と円卓の騎士 白魔の逃亡』石田 リンネ 




『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ第15弾。
レティの長兄フリートヘルムがついに革命を起こした。そこにはゼノンの影が。
女王になるはずだったレティは捜索の目をかいくぐり、一人逃亡する。
先の見えない不安と戦いつつも、どうにか己の騎士ふたりと合流。厳しさを増す追跡から逃れるため「白魔」と呼ばれる雪の山脈を超えようとするのだが——。

一見番外編と思いきや、最後にとんでもない爆弾が仕掛けられていた前巻。
その流れをくんでの、終始ハードでシリアスモードな一冊でした。
はらはらどきどき、でも読み応えあってやっぱりとても面白かったです!
レティが相変わらず最高に格好いいです。彼女の騎士ひとりひとりも頼もしくて格好良くて。
白く冷たく澄んだ雪と、クールビューティー王女様・レティは、視覚イメージ的に相性がいいなあ、と思った表紙。

ここから先はネタばれ感想です~。


フリートヘルム殿下は、クーデターを一度起こしてしまえば、もう、徹底的に貫く道を選んだようですね。
彼のその割り切りや野心もまた王の資質のひとつ、というのも確かに頷けるのですが、確かに彼には人を惹く強い力があるなと私も実感するのですが、なんだかなあ……。
政敵を徹底的に追い落とし弟を痛めつけかつての友の家族を人質に脅す彼の姿を読んでいると、複雑、というか、苦み走った感情がふつふつとこみあげてきました。
いや、もうはっきりと怒れてきました。デュークの言う通り、これまでレティがあんなに神経を張りつめひとつひとつ大切に築き上げてきたものを、すべて水泡に帰してしまうようなクーデターは、許せない。
デュークに語った「あのとき、俺はあいつを刺し殺せなかった」というのは、どういう意味だったんだろう。
王子の身分ではなく一度は騎士の身分を選ぼうとして、でも選びきれなかったということ?

そして、フリートヘルム殿下の影にいるゼノンがいちいち周到すぎて、読んでいてどんどん嫌~な気持ちになってきました(苦笑)。
レティ側の事情をどこまでつかんでいるのか底知れないところがあるのが本当に怖い。
このひとレティの最大の秘密・騎士王の力のこと、いくらか知ってるんじゃないの?とか今までを思い返すとなんかそんな風に読めたような気もするので、怖いです。薄氷を踏むような。

そんな王宮を脱出し、逃亡するレティ。
もちろんはじめての逃避行の中で、張りつめていっぱいいっぱいの中で精いっぱい冷静な判断をして行動していくレティが読んでいてはらはらですが頼もしい。
辛くもメルディとアストリッドと合流を果たし、そして次にはメルディとのふたり旅になりました。
レティとメルディのふたりそれぞれ得意分野を補い合いつつ、どんどん悪くなってゆく状況の下、ひとつひとつ着実に判断し、ときには非常に大胆な行動に出て目の前の困難を切り抜けてゆく様が、やはりこのシリーズらしくかっちりしていてとても良かったです。
メルディは本当に頭がいいな。しみじみ実感しました。
ゼノンという師匠を持ち、それでもメルディは師匠とは全然違う、人として大切なものの順位をよく知っている高潔な精神の持ち主で、そんな彼がレティの側にいてくれているということが、頼もしいったらないです。
ほどよい頼りなさというか脱力感も彼の味です。

レティの騎士王の力も、雪山に来てこそ、真価を発揮というか。
今までも地味に騎士王の力を使いこなす訓練を怠らずに来たレティだからこそ、いざというときこんなにスムーズに使いこなせるわけですよね。すごいです。
雪山の死線を切り抜けていく様がダイナミックで魅せてくれます。

ゼノンの策略に踊らされ無力をかこつレティですが、それでも今までの彼女を見てきて、彼女に救われ、彼女に王になってほしいと心から慕い、レティに夢を見た人々が確かに存在していて。(テレジアさんの協力は染み入りました。)
メルディの言葉の押しもあり、レティがようやく本当に「王になる」と自分自身で決意した場面は、銀世界の清らかさもあいまって、とてもいい場面でした。
(そして垣間見えるお人よしで無私な一面に改めて惚れ込んだり。ふふふ。
王位なんて遠かった心優しい王女様時代から今まで、こういう心の根っこの部分はまるで変わらずきたんだなあと思うと、いっそうレティがいとおしいです。)
アストリッドとの再会も感激の場面でした!あああ、本当に良かった!

一方離れ離れになったレティの騎士たちも、それぞれの場所で現時点でできることを冷静に判断しこなしていて、お互い信頼し協力し合っていて、頼もしかったです。さすがレティの騎士なだけはある。みんな。
フリートヘルムにもともと近かったデュークのレティへのかたい忠誠心が何より嬉しく染みました。
(それにしてもちらりと出てきたデュークの家族のあれこれがなかなか格好いいです。デュークの名前はこの家族あってこそだったのか……いつかこのひとたちのエピソードも読んでみたいと思いました。)
デュークと正反対というか、同じ派閥ながらもともとフリートヘルムと仲が悪かったウィラードとの会話も、対比がきいていてなかなか面白かった。アイリーチェの演技もお見事。
フリートヘルム殿下の方は、(当たり前だけど)ゼノンと完全な信頼関係を築けておらず心安らかでない感じなのが、ちょっといい気味です(笑)。
それにこのひと、ノーザルツ公のこともソレスのことも、その他国外でレティが築き上げてきた高貴な人々との絆や信頼関係のことも、ちょっと甘く見すぎだと思います。エピローグのあたりで確信しましたが。
彼の中ではレティはまだ頼りない心優しいだけの女の子のままなのかなあ……。そこが甘さになってるか。

グイード殿下もあとレオンハルト殿下も、なんとか無事でいてほしいですね。ほんと。

あとは、この巻の読みどころは、女子高生の恋バナですね(笑)。
レティが思い切って打ち明けた「好きな人」話に、とことん冷静に分析してレティの心情を慮るメルディが、メルディらしかったです。
そうか、デュークは「普通」か。まあ、客観的に見ればそうかあ。身分差とかしがらみは横に置いておいて、ちょっと力が抜けて楽にさせてくれる視点。
そのあとアストリッドと再開後のメルディとアストリッドの会話も楽しかった。このふたりの組み合わせやっぱりいいなあ。
報われない想いと薄々分かっているだろうに(たぶん)、悲壮感なくレティをきらきら慕ってデュークを先輩として尊敬するアストリッドも、やっぱりとても好きだなと思いました。

あとイルストラのシャルロッテ姫とレティのやりとりは、こちらは正統に(笑)、女の子同士の恋バナ。
シャルロッテ姫とのやりとりを読んでいると、女子力という面でも、人には向き不向きがあるんだなあと、改めて……。
デュークのあの「分かった」についての誤解をしっかり正してくれたシャルロッテ姫には、心からの拍手を贈りたいなと思いました。
駆け落ち事件でレティを振り回しまくった迷惑なお姫さまとばかり思ってました、ごめんなさい……。
花結びのお守りの効果がありますよう。
女王様として完璧に美しく着飾ったレティの姿を拝めるのはやっぱりうれしいです。これでこそレティ。

ゼノンの底知れなさは不気味なのですが、読んでいるうちにどんどん、レティとレティの騎士たちの頑張りが光ってきて、みんながいれば、この困難な事態だってきっと切り抜けられる!と信じられるようになってきたのが、とても良かったです。
きっとみんな幸せをつかめると願って!
次巻が非常に楽しみです。
ロマンスも進むと嬉しいです。


ここ一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ 

『おこぼれ姫と円卓の騎士 王女の休日』石田 リンネ 




ウルク帝国から帰ってきたレティーツィアと騎士たち。
そして間もなくレティの十八歳の誕生日。彼女が騎士たちにプレゼントされたのは、お忍びのための「休日」。
「親切な青年」デュークと共に、「花屋の少年」「本場の占い師」に扮した騎士たちのもとをめぐり、王都で休暇を楽しむレティだが、予定外の出来事もあり——。


『おこぼれ姫と円卓の騎士』シリーズ第14弾。
表紙の普通のお嬢様っぽい可愛らしい格好をしたレティと、あらすじや帯のコピーから、シリアスモードをいったん離れたほのぼの休暇編かなあと思って読んでゆきました。
……確かにほのぼの休暇編だったんですよ。ラスト直前まで。
レティとデュークのロマンスにも動きがあったし。ときめきましたし!

ラストで、あんなことが、おこらなければーー!!!
あああ、でもやっぱり、そうきますよねえ。
それにしても、展開が早い!(呆然)


ひとまず順番に感想を。ネタばれ注意でお願いします~。

まずはプロローグ、夜の砂漠でワティスタース・ダイヤモンドを探すレティとデュークの雰囲気がいい感じで、きゅんときました。
「わたくしとこの夜空だったら、どちらが綺麗?」なんてまさにレティしか許されないような無茶ぶりをされて、それでも生真面目に考えるデュークの返答、そしてさらに訂正を加えるレティ、ここのあたりのやりとりが、とってもロマンティック。
宝石と瞳の色になぞらえるあたりが、このふたりらしいです。
こんなに回りくどくほぼ意味なんて通じないたとえをして、ようやく気持ちを伝えられる、レティの生真面目で不器用な乙女心がいとおしいです。
デュークはどこまで分かっているのかなあ。ふふふ。

そしてレティに贈られた騎士たちのお誕生日プレゼント、とっても粋で、思わず拍手したくなりました♪
しかも実質的にレティとデュークのデート仕立てだし。
騎士たち一人一人がレティのために心よりそれぞれの役目を演じていて、そんな彼らのもとをめぐっていくレティがまた本当に楽しそうで幸せそうで、読んでいて頬がゆるみました。
アストリッドが花売りの少年って、なんか既視感が……と思ったら、昔のビーズログ文庫のアンソロジーの、イタリアマフィアものの役どころじゃなかったでしたっけ。アストリッドにぴったりすぎて強烈に印象に残ってました(笑)。
あとアイリーチェが臨時カフェ店員していたのは、彼女とウィラードがかつて来ていたカフェですよね。葡萄のお茶とベリーのタルト!
そして「気の利くカフェのお客様」に思わず吹き出してしまいました。ノーザルツ公ってなんでこんなに可愛いんでしょう……。そのあとのすっとぼけたクレイグとのやりとりも面白かった。
シェランもウィラードもみんなナイスです。脚本書きのメルディも!
あと乗り合い馬車でデュークより先に騎士のふるまいをして喝采をあびるレティが、やっぱりレティらしくて格好いい!さすがです。
薄々二人の想いに気づいているっぽい人々の見守り視線も微笑ましかったです。クレイグさんさらっと核心つきますね……。

メルディ脚本・レティとデュークの楽しい休日は、野うさぎ商会のザイーツの参加によって、筋書から離れた展開に。
善意がめぐりめぐってちょっとしたトラブルになり、そして最終的にみんなの有能さにつき無事に解決、めでたしめでたしな流れが、楽しかったです。
かつてレティが作ったお菓子から発展したザイーツとソレスからの贈り物もまた粋でいいですねえ。
本編ではなかなか見られない、ちょっと隙があるくつろいだみんなのやりとりが、読んでいて新鮮な感じでした。

そしてレティとデュークの二人の関係にも、はっきりした動きが。
二人の「幸せな」未来に早々に結論を出してしまったレティと、実は混乱しているばかりなのにうっかりわかったふりをしてしまったデュークの温度差が、ちょっと笑えました。
王の間でのご機嫌麗しくないレティの報告を聞いての微妙な雰囲気も……。
いや、レティの理屈も分かるんですけれどねえ。本当に、自分の恋愛面に関しては不器用な考え方しかできない娘だな、レティは。そこが好きなんですけれど!
でも、なんだかこのレティの行動をきっかけに、かえってデュークの心が定まったような気がするので、今後何らかの行動に出てくれそうな気がするので、うん、これは期待できそう。
自分が我慢するのはいいけれど、愛しい人が辛いのは、見過ごせない。というデュークに、ぐっときました。
メルディの、レティの結婚についてのかなり容赦ない持論展開のあとで、それでも彼の中で、デュークは破格の重要な位置にあることが分かったのも、良かったです。

そんななんとなく甘い雰囲気の中でお話はおしまいかと思いきや。
……ゼノンがやらかしてくれました。
フリートヘルム殿下の脇の甘さをつかれてしまいました。
これでデュークが動いてくれるかという期待もいったんすべてお預け、というかそれどころじゃない、過去最悪くらいのピンチ。
本当に、ゼノンがうらめしいー!!!
しかもコルネリア様や、フリートヘルムの下の兄弟まで巻き込むなんてたちが悪い。
グイード殿下の冷静な対応が格好良かった。
ゼノンは本当に嫌な敵ですが、お弟子のメルディが、頼もしい仲間の助けも得て、最終的には師匠を乗り越えて、上手く動いてくれると信じてる。
アイリーチェも、もちろんレティも騎士たちも、皆頑張ってくれると信じてます!
シェランの占いの「犠牲」が、ちょっと気掛かりなんですけどね。

これで最終章になるということで、終わりが近づいているのかあ。寂しいな。
でも確かに、これで兄妹達の関係にも白黒つきそうですし、恋愛面も動き出しそうですし、どんな結末に至るのか、読んでいくのがますます楽しみです。


ここ何日かにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 石田リンネ 

『シンデレラ伯爵家の靴箱館 乙女は新たな靴を履く』仲村 つばき 




『シンデレラ伯爵家の靴箱館』シリーズ完結巻。
エデルの父との関係についに決着をつけたアランとエデルだったが、やはりアランの両親に結婚を認めてもらえぬまま。
そんなある日、アランの母の提案で、エデルがディセント家にふさわしいか、試される機会がもうけられる。
一方アランも、父からとある人物の日記を手渡され——。


『シンデレラ伯爵家の靴箱館』、完結でした。
このシリーズらしいしみじみ素敵な終わり方で、読み終えて幸せな心地にひたれました。
(「幸せな豚」になれたのかどうかは、アランとエデルの心の持ちよう……。)
読み終えてから感想を書くまでにだいぶ間が空いてしまったので色々抜け落ちてしまっているのですが、でもやっぱりとても良かったので少しでも感想を書きとどめておきたく。

前の巻で、シンデレラの魔法の靴、エデルの父親レイとの因縁はあらかた決着がついた後。
今回のお話は、エデルとアランが、純粋に、身分違いや魔術師とディセント家の因縁などの結婚への障害を乗り越えて、結ばれる過程の物語になっていました。
エデルとアランは今回大部分で離れ離れだったのですが、それでもお互いそれぞれの場所で、自分自身を見つめ直して頑張って、結果、ふたりとも自分なりの道をきちんと見出していて。
その姿がふたりらしくてとても堅実で、読んでいてやっぱりこのふたり好きだなあ、お似合いだなあ、と再確認。
そのふたりの努力の結果の、まさに身分違いのシンデレラストーリーといえる結婚式のラストも、ふわふわした夢物語に終わらずに、心にすとんと落ちて、自然な気持ちで心から祝福できるものになっておりました。

エデルがルディアと共に出向いたステイシア城。
乙女の会とはまた少女小説らしいモチーフといいますか。個人的にはこういうの、ときめきます。(読んでいる分にはですが。)
エデルはやはり意地悪もされましたが、ステイシア城のマリーさまとレオン、訳ありなんだけれど心優しい兄妹が、なんだか私はとても好きでした。「ステイシア城のお母さま」というエデルの呼び方を気にいって採用するマリーが好き。
そしてエデルと共同戦線をはるルディアさまがやっぱりいい子で頼もしすぎて大好きでした。
まさかこんなところから恋愛指南書の作者が登場するなんてびっくり仰天。

一方のアランの方も、父親の方から課題が。
ドゥーガルドの人となりはなんだか私がイメージいていたのとちょっと違って、でも彼も必死にあがいた一人の人間であったのだなあと。
さりげなく妻にのろけつつ息子で遊びつつしごくアルヴァさまがいいキャラしています。渋くて深みのある格好良さがたまらない。
アランもすごく頑張っていました。おかしな方向に行きかけててちょっと心配しましたが、ルディアがいい感じに修正してくれて、最終的にはやっぱりエデルが素直にすべてを受け止めてくれて、幸せなカップルの姿になんだかんだでほっこり。
帰ってきたエデルとアランの再会の場面は素直に胸がいっぱいになりました。ルディアとアルヴァの気遣い(?)も粋で良かった。
そうしてマリーとレオンがガラスドームのお客様としていらしてくださって、良かった。
アランの「サインください」に吹き出してしまいました。

そして結婚式!やっぱりガラスドームの靴ですよね!すてき!
くちづけのちょっとしたトラブルも、アランとエデルらしくて、挿絵込みでとても幸せな気分になれました。
エデルの父としてふるまうアルヴァさまの姿がよかったです。

最後の短編は、夫婦になったふたりのささやかな幸せの物語。ロマンティックで良かったです。
特大サイズの白鳥……なんでしょう、全く間違っているわけでもないんだけどな……。
エデルの「あなた」呼びに、なんともいえない奥ゆかしい妻としての愛情を感じて、私もあたたかいもので胸が満たされる心地でした。

私、本当にルディアが好きで、大好きで、できればルディア主役の後日談エピソードとか読んでみたかったなあ。
彼女はシリーズを通して物語の陰ひなたで本当に大活躍してくれてました。ディセント家においてエデルの全面的な味方をしてくれるルディアの存在が読んでいてどれだけ心強かったか。

あきさんの挿絵もいうに及ばず美しいものばかりで、堪能しました。
涙するマリーさまの挿絵が美しくてお気に入り。
あとがきの謎のオーラも何度見ても絶妙で笑えてきます……。

ときに残酷さもふくむおとぎ話モチーフなファンタジー、職人さんの仕事への姿勢、女性たちの等身大の悩みと恋やお洒落への憧れ喜びや、色々な要素が程よく調和した、読みやすくまとまった素敵なシリーズだったと思います。
シリアスな要素もありつつ、重たくならずふんわりロマンティックな雰囲気にまとまっているのがお上手。
靴を買いに行きたくなりました。本当に。
シリーズが進むごとに物語としての完成度が上がっていった風なのも良かった。
次回の作品も、期待しています。


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カテゴリ: ビーズログ文庫

タグ: 仲村つばき 

『シンデレラ伯爵家の靴箱館 彼方の乙女は愛おしき』仲村 つばき 




『シンデレラ伯爵家の靴箱館』シリーズ第六弾。
「ガラスドーム」の靴職人の娘エデルと、店のオーナーでシンデレラの血をひくディセント伯爵家令息のアラン。
お互いの気持ちを確かめ合ったふたりだが、アランの父のアルヴァは身分の違いという理由以外でも、ふたりの結婚にいい顔をしない。
アランの焦りを感じ、自身もまた悩むエデルは、故郷に墓参りにゆくことに。そこで父親であるレイに不穏な提案を持ちかけられ——。

『シンデレラ伯爵家の靴箱館』、ブログであまり感想を書けぬままにきてしまいましたが、ずっと読んでいました。
一見傲岸だけど仕事熱心で堅物な貴族令息アランと、内気で気弱だけどこつこつ頑張り屋の職人で芯の強いエデル。相思相愛のふたりが、色々ちぐはぐでかみ合っていないようにみえて、純情で優しい心根はぴたりと重なり合っていて、少女小説として安心してときめくことができます。
奥手同士の恋はときにとんちんかんにすれ違い笑いを誘うこともありますが、それもまた味のうち、ということで。
おとぎばなしとオーダーメイドの靴をからめてお客様の女性の心に寄り添うストーリーも、毎回堅実的で具体的な靴づくりの描写や逸話や読んでいてとても楽しいです。
安定の王道ラブコメ&ファンタジー。
あきさんのやわらかなパステル調の美しい挿絵も毎回とても楽しみです。
特に今回は主役カップルならびにエデルの両親のロマンスが良い感じに重なり合わさっていて、非常に私好みの一冊となっておりました。

前巻から続いて、エデルの父である魔術師レイのたくらみの全貌が明かされ、ついにエデルとアランは正面きってレイと対峙することに。
これまでの令嬢たちになしてきたことを考えると簡単に許すことなんてできそうにないですが、まあ、こうしてみてみると、レイ自身も、魔術師の悲しい過去にゆがまされて、苦しんできた一人であったんだなあ。と感じました。
ヴァイオレットとの、本当の意味では心通わせられなかったロマンスが、切なくほろ苦い。
確かに、心が子どものまま、きらきら虚飾に満ちた関係で会っていたふたりも、悪くはなかったのですけれどね。
赤い靴を贈ったというレイの真意に改めてぞっとしました。
今回こういう結果になって、それをなしたのがヴァイオレットとの娘だったのが、なんともいえない。
ヴァイオレットに免じて、心安く今後は過ごしてほしいな、と感じました。

アランとエデル。
恋人同士である前に、「ガラスドーム」のオーナーと職人という仕事の面での上司部下関係がきっちりしていてお互いけしてそれを逸脱しない真面目さが、私はとても好きです!こういう前提があってこそ、身分違いの恋愛に安心してときめけるものですよ。私にとっては。
セスさんが戻ってきて、ガラスドームの環境がきりっとしまってとても良かったなと思いました。
白鳥の気持ちに……云々のアランとエデルふたりからの相談に答えるセスさん、あきさんのあとがきもひっくるめておかしくて、もう!!
年上好みという嗜好以外はきわめてまともにソフトなアドバイスができるセスさん、得難い存在です。
そしてアランの斜め上の発言に頭を悩ませつつ、それでもそれを素直に真剣に受け止め、最後にはふわっとロマンスとして上手く軌道修正できるエデルが、毎回すごすぎるとひそかに感心しています。
白鳥と花嫁と星空のワルツ、コメディの一小道具かと思いきや、切ない物語でした。確かにレイとヴァイオレット、そしてアランとエデル達にも重ね合わせてしまうような。
孔雀の話もなんかどうしてそっちにいくのか……笑っちゃいました。
でも今回一番私のつぼにはまったのは、ディック君のスタミナサンドイッチを、どうやってポケットに入れていたんだエデル……というひそかな突っ込み(笑)。
あきさん挿絵のエデルのストライプのエプロン、可愛くて素敵だなあと毎回ながめているのですが。

エデルの父親ほどではないにせよ(?)、アランの父親のアルバも相当な曲者っぽい。
こんなお父さんに遊ばれる生真面目な息子はとても気の毒だな……。
イラストがとても渋く色っぽくて素敵でした。
エデル本人にはむしろ好感情を抱いてらっしゃると思うので、なんとかならないかなあ。
身分違いとはまた根本的に違う複雑な問題なので、確かにこれは難しいですね。
少女小説なので、なんとかなると信じていますが。
ダリヤお母さまも強く格好いい女性であるという空気がひしひし伝わってきます。
そしてルディアがね、私ルディアが毎回大好きなんですけれど、なんていいこなんだろうと今回本当に感動してしまいました。
ディセント家の家族でひとりエデルの全面的な味方として頑張ってくれてる貴族令嬢ルディアが大好きです。
奥手なお兄様で遊んでいるのはもうご愛敬です。この兄妹楽しいなあ。
ルディア自身にも、幸せな恋をしてほしいなと思います。

シンデレラの「硝子の靴」が、現在はそういうことになっているのかと、感心。シンデレラのかつての想いにぐっときました。
レイとの戦いに、孤軍奮闘するエデル、そしてここぞというタイミングでびしっと現れエデルと共に戦いぬいたアランのふたりの場面が、とても良かったと思います。
決めるときはきちんと決められるアランが格好良く大好きです。

「ガラスドーム」の日常のひとこまで、ひまわりが好きという初々しいご令嬢にエデルが靴を作る一連のエピソードも、とても好きでした。
ご令嬢やお母さまのごくふつうの戸惑いと愛情にゆれる心にそっと寄り添える接客と靴が素敵。
ドレスを作るのとはまた少し違う過程と工夫がある、オーダーメイドの靴。流行の作られ方になるほどと。なんだか憧れちゃいますね。

あとリリーローズとエデルのやりとりもほんわり心和む場面でした。
リリーローズが今の仕事に幸せそうでよかったです。
そしてエデルを送り出したときのあの仕草、あきさんの挿絵が本当に可愛らしい。彼女の真心がこもっています。

どうやら次回が完結巻のようで、ちょっと寂しいのですが、読めるのが今から楽しみです。


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