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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~4』青木 祐子 




経理部の新入社員・麻吹美華の率直すぎる態度と言葉遣いに、平穏な会社員生活を送りたい沙名子は、気苦労が絶えない。
私生活では太陽と付き合い始めたものの、初めての恋愛にペースを乱され戸惑い気味。
そんな彼女はある日、社員同士の不倫の現場を偶然目撃してしまい——。


『これは経費で落ちません!』シリーズ第四弾。楽しみに待っていました♪
前巻ラストで登場した新入社員さんのことと沙名子さん自身の恋愛のことが特に気になっていました。

ああ、やっぱりこのシリーズ面白いです~!!大好き。
というか、沙名子さんのシステマティックな有能っぷりと内心の本音と容赦ないつっこみが今回も冴えわたっていて、読んでいて面白すぎ。すかっとします。
あと会社員生活での人間関係(特に女性社員間の)のややこしさ難しさと、それでも何とか日常として今日も回っていて、なかにいれば結構居心地よく楽しいことだってちゃんとあったりする、この独特の空気が、読んでいてわかるわかる!!と共感でいっぱいです。
森若さん本当に格好いいな~憧れです。
恋愛方向ではまるで不慣れで、太陽にペースを乱されいらっとしつつも実際はちゃんと彼に恋しているのが端々から伺えて、陰で努力したり悩んだり、そういう可愛らしいところもまた、彼女の魅力です。たまらない。

さて今回は、経理の仕事的には特に大事件はなかったものの、社内で色々なものが大きく動いて、そしてこの一巻だけでは解決できていない案件がいくつか。
沙名子さん自身も以前のスタイルから大きく揺らいでいるような気がしました。

まず心配だった中途採用社員の美華さん。
ほ、本当に大丈夫だろうか……と最初の人間関係の案の定の摩擦を読んでいて心配していましたが、実際のところは仕事もできるし悪い人ではないし、経理部の皆とは何とか上手くやっていけるようにまでなっていて、良かったな。
彼女との上手い仕事のやり方を把握した経理部の面々が偉いと思いました。
特に真夕ちゃんと美華さんが関係を修復できたのは、ほっとしました。
美華さんのお人柄は、なんというか、めんどくさいというか、損だなあ。
仕事ができないいいひとより仕事ができる性格に問題があるひとの方がいいというのはちょっとわが身に突き刺さりました(汗)。
敵の敵は味方とかやだよーとか思うけれどでも分かる……そういうこともある。
最初の方の由香利さんの「しんかんせん」には和みました。確かにこういうやりとりで大分気持ちが軽くなるものです。わかります!
最後の方で美華さんと沙名子さん、実はけっこういいコンビになるのかも?とか思ってしまった。それぞれの得意分野をいかして?
シナモンスティックは衝撃的でした。確かにお菓子に見えなくはないけれど。

そして太陽とのお付き合い編。
バレンタインの手作りチョコ、やる気なさげと思いきや、作るとなったら事前に下準備をきっちりして自分が納得いくものを渡す沙名子さんが相変わらずらしすぎる……そしてそんなに一生懸命な沙名子さんが非常に可愛い。
オーブンレンジを持っていないってなんか沙名子さんらしい。
太陽に近づいてくる意味深な後輩にどうなることかと思いましたが、私が思っていたより沙名子さんは太陽のことを好きだったようでした。あの連絡先を握りつぶした場面にはにやり。
相変わらず明るく若干チャラい太陽で、沙名子さん本当に彼でいいのか……?と未だに若干思っている私ですが(失礼)、沙名子さんのスタイルをちゃんと受け入れてありのままの彼女をかわいいと思っているところは、やっぱりいいなと思います。なかなかできないと思う。
ふたりの距離が目に見えて一段階縮まって、口調がくだけてきたのにちょっとドキドキしてしまいます。
それにしてもあの後輩さんを鎌本さんにまるっと託した太陽の行動もなかなかすごい……。え、え、そんなのありなんだ。
「きれいなもの、おいしいものが大好きで、猫が好きで、ときどき変なことで悩み~」って、沙名子さんのこと、良く理解しているじゃないですか、太陽さん。115頁のこのあたり、ちょっと感動してしまいました。

石鹸マイスター留田さんのエピソードは想像してしまったほどの不穏さはなく、ちょっとほっとしたところに、隠し爆弾の存在が!
うわあ、そうきますか!!これは確かに沙名子さん的には衝撃すぎる。
このすぐ次のエピソードのタイトルが『本命は落ちません、義理なら落ちます』だったのに、色々深読みして妄想してしまった。(勇太郎さんにとっての本命とは??)
あと有本アリナさんの件、まだ終わってなかったのか……うう、あまり気分が良いお話じゃないなー。まさかチョコレートの件からここまで分かってしまうとは。

エピローグの真夕ちゃん視点のひとこまは、毎回和みます。
最中の出所がさりげに意味深すぎる。この暗喩の使い方(?)が青木先生らしくて好きです。
太陽に彼女ができたというのは当たっていますが、真夕ちゃんが沙名子さんの恋人に気づくのは、いつになるかなあ。
天天コーポレーション、ひとまず今日も平和でなによりです。

色々なエピソードを読んでいて、人に誰でも、良いところもちょっとダメなところもひとしく持っているんだよなと、当たり前のことを思ったりしました。沙名子さんも含めて。
それをお互い認め合って仕事して、やっぱりみんな同じなんですよね。みんながんばってる。

マリナさんはまあいいとして、あの不倫の一件が未解決なのは気になります。
続きが読めるのを楽しみにしています!
そして青木先生のブログを読ませていただいていて、いつかヴィクロテのエピソードが読める時を、いつまでも楽しみに待っています。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 青木祐子 

『下鴨アンティーク アリスの宝箱』白川 紺子 




『下鴨アンティーク』シリーズ最終巻。短編集。
初夏の糺の森で不思議な紳士に出会う幸、香水瓶を返してと女性が訪ねてきてから彼女の幻影を見るようになった春野、額紫陽花のブローチが回想する最初の持ち主だったお嬢様。
野々宮の家族や近しい人々が語る、時代を越えて受け継がれるアンティークの品と、受け継がれる想いを描いた、六つの物語。


『下鴨アンティーク』シリーズ、前巻にてクライマックスを迎えていたのですが、今回が最終巻とのことで。
後日談的エピソードも含めた短編集となっていました。
『アリスと宝箱』のサブタイトルで、一巻目の『アリスと紫式部』からまたひとつつながりが回収されたみたいな、古くからの縁やつながりを受け継いでゆくこのシリーズらしくて素敵です。(ちなみに紫式部は前巻の『白鳥と紫式部』ですでに回収されている)

表紙、淡いピンクの地に作中に出てきた花々、子虎ちゃんが非常に可愛らしい。露をのせた鶯の落とし文も素敵です。

一話一話が極上のきらめきをやどす宝石のようで、一冊がまさに「宝箱」。
一気に読み進めるにはあまりにもったいなくて、読んではしばし手をとめてゆったり余韻に浸る……なんてことを繰り返しつつ、読了。(それでも続きが気になり最終的にはやはり一気読み)
素晴らしかったです。シリーズのファンの私的には最後の最後で最高のご褒美をいただけた気分でした。

語り手が鹿乃ちゃんメインから離れて、作中でモチーフとなる素材も着物以外のアンティーク小物に。
謎を解きあかしていくやり方もそれぞれのお話の主人公でそれぞれ違いがあって、ちょっと新鮮で面白かったです。
鹿乃ちゃんの着物への対処はなんというか、まさしく、巫女だったんだなと。野々宮の由緒正しい巫女姫。
かなり昔の一族の人達のお話もあったりして、野々宮家の人々が、ますます私は大好きになってゆきます。

では各話ごとに少し感想を。
『鶯の落とし文』
「葉には血が通っている気がする」からはじまる、幸ちゃんが語る糺の森の緑のみずみずしく力強い描写に、最初からすっかりひきつけられてしまいました。
幸ちゃんと良鷹さんと鹿乃ちゃん、まだ少しぎこちないけれどひとつの「家族」として暮らしていて、自分専用のお箸のささやかな描写もなんだかじわっときて、ああ、良かったなと安心したのでした。
良鷹さんつくづく面倒見のいいひとだなあ。チーズ入りのオムライスがとってもとっても美味しそうでした。
幸ちゃん視点から眺める良鷹と鹿乃は、美しい兄妹なのだなと、改めて。
なんとなく鹿乃ちゃんのイメージは私の中では黒髪の少女だったので、栗色の髪に白い肌というのはちょっと意外だったかな~。でも確かにしっくり馴染む気もします。思えば以前読んだプチまんが版の鹿乃ちゃんは黒髪ではなかったな……。
新君と澪ちゃんという友人もできて、良かったなと思いました。いいこたちです。
「鶯の落とし文」名前が風流だなあと思いました。
良鷹さんが引き受けた案件を幸ちゃんがほぼ一人で解決して、「秘密」と答えて、良鷹もそれを受け止めるも特にそれ以上の説明は求めない、この二人独特の距離感が、好きだなと思いました。
幸ちゃんの心の中の宝石箱を大切にしてくれる人で良かった。

『青時雨の客人』
春野さんの物語。
謎に満ちていた春野さんのことが、ようやく少し分かってきたかなあというお話でした。
ときどき忘れているけれど、彼も普通の大学生なのだなと。
やっかいなものに取りつかれて災難な春野さんでしたが、菅谷君の助けがとても頼もしかったです。このふたりの友情いいなあ。
牡丹の姉妹のふたりそれぞれの気持ちが分かるだけに、なんだかとてもやるせない。
「青時雨」とは素敵な言葉だなと思いました。今度から使ってみよう。
最後のごちそうがからあげ一択なのは、男子学生っぽい!

『額の花』
額紫陽花のブローチが語り手の小さな物語。
ものが語り手のお話、『契約結婚はじめました。』にちょっと重ね合わせてしまいました。
芙二子さん、千鶴さん、鹿乃ちゃん、彼女たちの傍らにいる大切な男性たち。美しくいわくつきのブローチへのそれぞれの接し方があって、それぞれが素敵だなと思いました。慶介さんの美はいまひとつ解さずとも古の風習めいたことには詳しいところがいかにもらしくて微笑ましかった。
千枝子お嬢様のその後の物語も明らかになって、大団円、良かったです。

『白帝の匂い袋』
野々宮家に代々伝わる匂い袋から、また少し昔の世代の物語へ。
東京から事情持ちでお嫁にやってきた鈴さんと、当主の青年季秋さんが少しずつ距離感を縮めてゆく様が何とも初々しく微笑ましく、峰子お母さんも夏子さん夕子さん姉妹も皆いいひとで、素敵なお話でした。
鈴さんの実家に巣食う闇は辛かったですが。鈴さん本人も、鈴さんに意地悪と思えたお母さまも、これまでどんな辛い思いをされてきたのか……。最後まで分からなかった彼女の愛情にほろりときました。
愛想が悪くてちょっと冷たそうだけれど心根は優しくてセンスのいい季秋さんは、良鷹さんとどこか血のつながりを感じるというか。
明るくて屈託がない姉妹もいいな!峰子お母さまの笑顔も好きだ(笑)。
この時代の京都の街の様子も新鮮でした。汐子さんの時代のお話とはまたちょっと雰囲気が違う。

『一陽来復』
冬至の日に慧さんが出会った不思議のエピソード。
鹿乃ちゃんと慧さんがラブラブで、どうもごちそうさまでした!
「かわいいのはお前だよ」という慧さんの内心の台詞が甘い。
ひとつひとつのやりとりから推測するだにふたりは順調にラブラブみたいなので、虎の抱え帯を贈った良鷹お兄ちゃんの内心も分からないではないなと思うのでした……ふふふ。
そして確かに慧さんは鹿乃ちゃんには一生絶対に敵わないですね!

『山吹の面影』
締めは再び良鷹と真帆さん、幸ちゃんが主役の物語。
良鷹兄妹の両親が遺したものを辿ってゆく物語であり、ふさわしい物語だったなと思いました。
弥生さんの余計なことは一切口にしないところが確かにすごいと思いました。
良鷹さんの助手というか理解者として、いや友人としてか、ますますしっくり馴染んで違和感のない真帆さんもやはりすごい。
狐さんと消えた花嫁さんのエピソード、不思議でしたがオチはふんわり幸せな気持ちになれるもので、良鷹&真帆メインのお話のいつもの痛々しさはあまりなく、ほっとしました。
山吹の花畑で狐と語らう幸ちゃん、彼女を捜しにやってきた良鷹さん、印象的で素敵な場面でした。狐さんに鮭のおにぎりをわたす幸ちゃんがかわいい。
植物園でのお弁当がたまごサンドとローストビーフサンドなのもいかにも良鷹さんと真帆さんで、良いです。

読書メーターの他の方の感想を読ませていただいていると良鷹さんと幸ちゃんが将来くっつくのではいう方が多くて、確かにと私も今回ちょっと思ってしまった。しかし鹿乃ちゃんと慧さんもかなりの年の差カップルなのに良鷹さんたちだとさらに輪をかけて年の差ですよね……それはそれで美味しいですが(笑)。
けれどやっぱり私は真帆さんを推したいかなー。今くらいの友情メインのさっぱりした関係がふたりには合ってるような気がしないではないですけれど、でもでも!
欲を言えば良鷹さんがお嫁さんを迎えるまでシリーズを読みたかったな、とは思います。

ともあれ最後の最後までとても素晴らしい物語でした。すでに何度も読み返しては浸ってます。
急に蒸し暑くなった夜も、この本を読んでいると、糺の森の濃密な新緑や牡丹の亡霊のじっとりした空気や紫陽花の美しさの引き立て役であるような心地さえしました。
コバルト文庫のお姉さんオレンジ文庫の生み出した傑作だと私は個人的に思っています。

白川紺子さん作品連続刊行、来月は『契約結婚はじめました』の三作目ですね。
こちらも今からとっても楽しみです。


ここ二週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『後宮の烏』白川 紺子 




後宮の奥深くには、妃でありながら夜伽をすることのない、特別な妃が住んでいる。
「烏妃」と呼ばれる彼女は、不思議な術を使い、呪殺から失せもの探しまで、女たちの願いを引き受けてくれるという。
時の皇帝・高峻は、ある以来のために、烏妃の元を訪れる。
彼がまみえたのは、他に並び立つ者のないほど美しい少女であった——。


白川紺子さんのオレンジ文庫の新作。
作者さんとしては珍しい(はじめて?)、中華ものファンタジー小説でした。
Web連載も読んでいて好きだったので、書籍化されるのを楽しみにしていました。

まずはとにかく表紙イラストのうるわしさにうっとりため息。
けぶるまつげや結い上げられた髪や装身具、牡丹の花、黒い衣、細やかな描写のそこかしこに抑えられた色気を感じてたまらないです。
黒一色の衣に鮮やかな赤の牡丹が映えますねえ。まとうのがまだあどけなさの残る少女なので全体的に初々しい雰囲気でまとまっているのがまた素敵。
よくよくみてみると背後にヒーローの姿も浮き上がっています。端正なたたずまいです。

Webで読んでいた第一話からはじまる連作短編形式の物語。
この表紙イラストのイメージにたがわない、美しいお話。夜と影の香りがするお話でした。ひっそり静まり返った闇の中をはだしでひたひた歩き回って世界を愛でるような。「夜明宮」という名が良いですね。
独特の世界観や後宮の制度、お花や装身具や各種小物遣いや諸々の描写が細部までゆきとどいていて上品で美しい。うっとりです。
私は中華もの少女小説というと、まずは今野緒雪さんの『夢の宮』シリーズが昔から大好きなのですが、その流れをくむような美しく上品でミステリアスな雰囲気が、たまらない!!読んでいて嬉しくなってきちゃいました。

ヒロインの烏妃・寿雪は、先代ゆずりの古風な話し方をする、まだいとけない美少女。
その生い立ちゆえ他人に気を許すことができずにつんつんしているけれど、困った人が目の前にいれば結局は手を差し伸べずにいられない、お人好しな彼女です。
彼女の不思議の力の描写もお上手です。牡丹の花を媒介とするところが美しいです。
巫女姫のように力を使い女の苦しみを払ってゆく姿は、どこか『下鴨アンティーク』の鹿乃ちゃんに通ずるものもあるな、と。
そして甘いものにはめっぽう弱いところが可愛い。蓮の実の包子がおいしそう。

そんな彼女の元を訪れた、青年皇帝・高峻。
皇帝となる前皇太后に母や友を殺され辛酸をなめて過ごしてきた彼は、静かで端正なたたずまいの影に、また大きな孤独と傷を抱えていて。
寿雪と高峻は、孤独と傷をかかえた似た者同士で、そんな彼らが心通わせ少しずつ絆を育んでゆく様が、心がじわじわ温もるというか、良かったです。
皇太后への復讐を果たした高峻が寿雪を訪れて独白する場面が特に印象的でした。

心通わせても烏妃とは帝の夜伽をしない身分の妃で。ふたりの関係はあくまでそのまま。
物語は、華やかな後宮の影でひそやかに散った悲しい恋人たちの無念をいくつも癒しつつ、「烏妃」の秘密そのものまで、少しずつつながってゆきます。
なるほどねえ。そういう「禁忌」か。
思っていたよりも壮大な王朝の歴史物語を紐解くことになり、ほうっとため息がもれました。
なんというか、態度はつんけんしていても根は優しく、そして過去をけして恨まない寿雪だからこそ、真実がつまびらかにされても、どこか救いが残っているというか。
その真実を受けての高峻の誠実さもまた胸に響きました。
ふたりで見出したふたりの新しい関係、今の段階では、最大限に良いものだと思いました。
今まで寿雪に冷たかった衛青が寿雪を認めたっぽいのが良かった!(笑)

『翡翠の耳飾り』
郭晧に悪く取られたまま訂正しようとしない高峻に、寿雪がそっと助け舟を出した場面が、印象的で良かったなあ。高峻の不器用さに胸がきゅうっとしました。
班鶯女の件はどうしようもない辛い事件だったけれど、後宮に捨て身の覚悟で真実を調べに来た郭晧の誠実さに、救われる思いがしました。
九九が可愛らしくよいこで寿雪といいコンビだったので、彼女の侍女に迎えられて、嬉しかったです。

『花笛』
花嬢素敵な方ですねえ!名前も素敵。高峻の姉のような立ち位置の佳人で、寿雪にも良くしてくれていて。
過去の恋を未だ忘れずそっと抱いて微笑んでいる様も気高く胸が詰まりました。
花笛の場面、じんときました。
寿雪の親族とおぼしきあやしい人物も登場。

『雲雀公主』
「ひばりひめ」という章タイトルからして素敵です!!
忘れられて暮らしていた寂しい公主様とお友達になった侍女のお話。
彼女が命を落とした本当の理由が他人の悪意によるものではなかったとはいえ、切ない。
寿雪が九九との距離感を量りかねて一人悩んでいる様も印象的でした。九九みたいないいこが侍女にきてくれて、良かった。
不器用な寿雪ととっても器用な細工物を作る高峻のやりとりも微笑ましかったです。確かにどこまでも飛んでゆけそう。

『玻璃に祈る』
ラスボス?冰月でしたが、愛する人の未練をぬぐうと同時に救われていて、これは手遅れではなかったということかな。良かったです。
古の伝説交じりの物語になってきて、こういうの好きなので読んでいて楽しかった。
皇太后の呪詛を身体を張って止めていた彼らの存在に、読んでいて涙がこぼれました。
ふたりの無償の強い愛情がひたひたとせまってくるラストでした。

鳥の名前でそろえられたお妃の名前、とりあえず空いたままの寵姫の座、なんとなくそうなるのかも?という流れはありつつ、ふたりには今のままの関係でいてほしいな、という思いもあり。うむむ。
本当にあるかなしかのこの微糖さ加減がたまらないのです~!大好き。
これからどうなるのか分からないけれど、ふたりの幸せを、まずは第一に願いたいです。
どうなっても、彼と彼女と周囲の人達ならば、色々苦労はしても、最終的には大丈夫な気がします。
続きは読めるのかしら。もし読めたらうれしいなあ。

白川紺子さん、来月の『下鴨アンティーク』の最終巻も、再来月の『契約結婚はじめました』も、とっても楽しみにしています♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『下鴨アンティーク 白鳥と紫式部』白川 紺子 




京都は下鴨、鹿乃が亡き祖母から引き継いだ蔵の不思議な着物も、残り少なに。
最後の「桜の園」と名付けられた着物は、書置きを残して失踪した野々宮家の女性の持ち物であったという。
「神隠し」に遭ったという彼女の真相、そして鹿乃と慧、良鷹がそれぞれ未来に受け継ぐものとは——。

『下鴨アンティーク』待望の新刊でした。
クライマックスではあるけれど最終巻ではないということで、どういうことだろう?とどきどきしながら読みはじめてみる。

淡いパステルカラーの可愛らしく美しいイラスト入り表紙を開いて読みはじめてみると、暗くて寒い十二月の夜から、ひな祭りのはなやいだ雰囲気の京都へと、私の心は一気にトリップ。
やはりどの頁をとってみてもひとつひとつの言葉まで愛おしくて、読み終えるのが勿体なくちまちま少しずつ読んでいってました。

タイトルも「紫式部」に帰ってきた通り、今までのシリーズの内容もいくつか繋がり、美しくまとまった読後感。
アンティーク着物や自然描写や各種小物づかい、古典文学との絡め方も相変わらずとても素敵でロマンティック。
そして作品の雰囲気や登場人物の言葉遣いが何とも言えずに懐かしくて慕わしくて、読んでいて胸がいっぱいになってしまいます。
ロマンス要素も私好みぴったりで最高です。きゅんきゅんです。

今回は特に鹿乃ちゃんと慧さんがさりげなく甘々すぎて、読んでいてほおが緩みときめきがとまりませんでした……!
実際にラブラブな場面がたくさんあったかというとそうでもないんですが、日常の延長線上のさりげない場面のひとつひとつが、あまい。手をつないだり今までと同じことをやっていても、意味がまるで違うという、ふたり独特の距離感が、心ときめきます。
鹿乃ちゃんといられればそれだけでうれしい、鹿乃ちゃんのごはんを食べられるならなんでもうれしい、とか慧ちゃんのストレートな物言いによろめく(笑)。
最愛の鹿乃ちゃんを取られてしまって拗ねている良鷹が色々な意味で気の毒でしたが。
それでも前巻のなげやりな感じは大分なくなっていて(さすが真帆さんはよく見ている)、やっぱり鹿乃と良鷹は野々宮家の仲良し兄妹で、そういうのを改めてしみじみ実感できたのが、良かったです。
(それでも内心複雑で面白くない良鷹と慧の攻防はなかなか笑えました。ごはん当番とか。かと思えば鹿乃ちゃんに冷たくされて本気でショックを受けている良鷹お兄ちゃんがもう本当に……鹿乃ちゃん可愛いですもんね!)


ではではネタばれ込みで感想を少々。

『雛の鈴』
上にも少し書いた通り、序盤の鹿乃と友人二人のひな祭り女子会の場面が、三人それぞれの着物姿の描写も華やかで美しくて、一気にのめりこんでしまいました……!
笑顔の梨々子ちゃんと奈緒ちゃんにたじろいでいる慧ちゃんがちょっとおかしい。(私も未だにりりちゃんの「あほちゃうん」は強烈に心の中に残っていたりする……)
引千切とははじめてきくお菓子でした。ひなまつりらしい響きでおいしそう。
千賀子さんの事情を辿っていくお話は確かになかなか辛くぐさりときましたが、刺繍のおひなさまの優しい表情、手鞠の鈴のほんのりした音色、お母さんの愛情、色々なものがじんわり灯ってゆくラストで、芙二子さんと鹿乃と慧と良鷹がそれぞれの役目を持って千賀子さんの傷ついた心を解きほぐしていったような感じで、良かったです。
お妃だったのに離縁されたという淡島神の伝説もなんかひどいな……そして淡島神に縋ってきた女性たちの境遇にも思いをはせてしまう。
良鷹作のローストビーフがまたおいしそうです~!!

『桜の園』
野々宮の女たちの受け継いできたもの、受け継がれていくもの、ラストの桜の着物と鹿乃の場面が、とても印象的でした。
桜の花の不思議の描写が美しくていつまでもひたっていたいくらい。
時の流れの大きなスパンに途方もない心地になりました。
確かにこの巻において、鹿乃ちゃんは「巫女姫」なのだなあ、と、いたるところで感じましたっけ。
そして良鷹は民俗学研究とか色々な側面からの鹿乃のサポート役というか、対になる存在。
ふたり兄妹の血のつながりを、確かに感じたのでした。
英子さん、駆け落ちで家を出たというイメージの割には悲壮感がなく生き生きと賢い女性だったのだなあというのが伝わってきて、清々しい笑顔が目に浮かぶよう。
三人で車で吉野に出かけるというのもなんというか象徴的な感じがしました。(鹿乃まで神隠しにあったら困る、と本気で思っているっぽい慧さんに微笑ましさを覚えると同時に彼の不安も分かるというか。あ、そしてもう義弟になるのは確定なんですね。ですよね、プロポーズも済んでますしね)
鹿乃と良鷹合作のオムライスの場面も好きでした。
そういえば、私波津彬子さんのまんが『異国の花守』が昔からすごく好きなのですが、桜の花の受け継がれてゆくイメージは、ちょっとあのまんがのイメージに重なるところがあって、また素敵でした。(金沢が舞台の現代もの少しファンタジー少女漫画です)

『白鳥と紫式部』
締めは良鷹と鹿乃視点が交互にくるスタイルのお話。
良鷹の心持ちの方にも、思いがけない出会いもあり一区切りがついたようで、しっかり物語がまとまったというか、ほっとしました。良かったです。
鹿乃のことだけでなく、両親の死から未だ立ち直れていなかった良鷹の心の傷は、相当だったと思うので。
これまでの良鷹&真帆メインのお話っぽく人間のどうしようもない醜さや翳がおもてにでてくるシリアスなお話だったと同時に、救いもあって、良かった。
利光さんとていさんの過去の恋物語は、切なくてやりきれなかったなあ。『源氏物語』の『藤壺』とは、そういうことか。
幸ちゃんの境遇もやりきれなかったです。
でもお父さんに似て、賢くて確かな目を持っている子だな。
鹿乃ちゃんに懐く幸ちゃんが愛らしかったです。確かに鹿乃ちゃんと幸ちゃん似ている。
良鷹、嫁さんより先に子供をもらうとは、なんというか良鷹らしいというか。まさか白露の言葉がこういうかたちでかえってくるとは思いませんでした(笑)。
良鷹のハンバーグサンドイッチもなんだかとってもおいしそうでした。良鷹が作る洋食は独特のノーブルな?センスがとても彼らしいと思う。
慧さんも鹿乃ちゃんとお料理ちゃんと一緒に作れたみたいだし、良かったです。
あとお菓子の家再び、にもほのぼの。

良鷹と真帆さん、相変わらず甘さは全然なかったのですが、真帆さん以上に良鷹を理解し寄り添えるひとは今後まず現れないと思うので、なんとかくっついてもらえると、私は嬉しいんだけれどな。どうなるんでしょう。
真理子さんも頼もしい女性でした。

白川先生のあとがき、巻末のその後の短いお話、三周年フェアのスペシャルコンテンツ、みんな読みました。みんなよかった。
とりわけ糺の森にて薔薇と春野さんが印象的でした。
確かに亘さんと春野さんはイメージが似ている。

やはりコバルト文庫の少しお姉さん的少女小説として、このシリーズは傑作だと今回も読んでいてしみじみ感じました。
春には番外編が出るとのこと、終わってしまうのは正直寂しくて悲しくて仕方ないのですが、楽しみです~♪♪


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『契約結婚はじめました。椿屋敷の偽夫婦 2』白川 紺子 




「椿屋敷」と呼ばれる一軒家に住む柊一と香澄は仲の良い若夫婦。しかしふたりの内実は、訳ありの偽装夫婦。
ある日、柊一の母・美幸が椿屋敷を訪ねてくる。
香澄は、美幸が自分たちの夫婦の「秘密」に気づいているのではと感ずる——。


白川紺子さんのオレンジ文庫のシリーズもの第二弾。
相変わらず「椿屋敷」という「家」が語り手であるところがユニーク。
ふんわりおだやかで品があって、ちょっと古風で懐かしいような雰囲気が、読んでいてたまらない魅力です。
洗練された文章は、読んでいて凛々しく美しい。
柊一さんと香澄さんの訳あり年の差若夫婦のじれじれも美味しいですし、ご近所の個性的な人達との交流話も楽しい。
そしてなにより若妻香澄さんが次から次へとこしらえる家庭料理やお菓子がどれも手が込んでいておいしそうで、読んでいておなかがすいてきてしまいます。

ちょうど秋の終わりの寒くてものさびしいひとときに読むと、ほんのり心温まる感じで、ちょうどよい。
今はおだやかに暮らしている柊一さんと香澄さんが、苦労してきた過去でそれぞれ心の内に抱えるほんの少しの翳が、隠し味。
ひねくれた思いを抱かずすんなり素直に温かさに浸れます。

椿屋敷で椿愛好家の柊一さんなだけあって、植物の描写はほぼ椿なのも、潔さがあって素敵です。
(その潔さは、椿の花そのもののイメージに通ずるような。)
椿という素材ひとつで、豊かにお話がふくらんでいく様が、いい。
ひとつひとつの品種の名前がまた美しく物語をはらんでいて素敵なのです。

『花の子』
章タイトルと物語の組み合わせが最高に好きです……。父と娘、亡き母親の愛情にぐっときました。
はじめはつんつんしていた桃子ちゃんが、香澄さんに次第に心を開いて懐いていく様が良かった。
最初の飲物の選択から、ホットケーキと朝ごはんのパンのお話、香澄さんの心遣いが秀逸です。
朝ごはんのホットケーキってたまに食べると本当に幸せなんですよねえ。
ちょっと難しいお年頃の桃子ちゃんだけどお父さんのこと本当に好きで案じていて、でもすれ違ってしまっていて、そこをそっと解きほぐした柊一さんと香澄さんの手腕がお見事でした。
晶紀さんのさりげない牽制に敏感に気づく桃子ちゃんはさすが女の子です。
最後の方の、さびしいときとか、かなしいことがあったときには、ご飯のことを考えるんです。あたりの香澄さんと柊一さんの会話がほのぼのこのふたりらしくてとても良いです。
ねぎとじゃこの卵焼きが食べたくて作ってしまった。ねぎの卵焼きって初めて作りましたが美味しかった。

『黄金を君に捧ぐ』
そんな卵好きの私には一層嬉しかった(笑)第二話。
黄金色の大きくてふわふわの玉子焼きを作る幸せ感に、力強く同意します。
奥さんの好みをちょっとずれて解釈してしまった旦那さんと今になって旦那さんの気持ちを知った奥さん、これまたほんのり優しいときめきエピソードでした。
そういえば黄色い椿ってみたことがないなあ。気づきませんでした。
香澄さんが作ったゴールデンケーキというのが気になる。シャルロットもおいしそう。
卵を落とした味噌汁も、味噌漬けのお肉も、さりげなく皆美味しそうなのですよ~。
最後で珍しく柊一さんが香澄さんに料理を教えている(笑)カルメ焼きのエピソードも微笑ましかった。

『星はいざなう』
文代さんと裕美さん、母と娘のふたりでずっと暮らしてきて性格も何もかも承知しているけれど、語らず知らないところもまだあって、なんというかこの関係が私はとても好きでした。
裕美さんが大人になり自立したひとりの女性になったからこそ、対等な関係というか。
文代さんの旦那さん語りに素直に愛を感じられたのは、だからこそかな、と思いました。
それはそうと、柊一さんと過去に関係がいっときあった裕美さん。
まさか香澄さんが契約結婚だとは思っていない裕美さんが、悪気なく香澄さんの弱い部分をちくちくしてしまっている場面が、ちょっと辛かった。そんなに気にすることないよー素直に言葉通り受け取ってればいいんだよーと、読んでいる私は思うのですが、香澄さんには伝わらないですよねえ。
揚げたてさくさくの海老フライの美味しさが伝わってきました。
柊一さんの食の好みを熟知していて、それがいかにとくべつなことかあまり分かっていない香澄さん、香澄さんに自分の好みを自然にリクエストして自然に甘えている柊一さん、なんというか読んでいて甘い……お互い無自覚だからこそよけいに甘い気が。
あと再びの晶紀さん登場。
柊一さんの「渡しません」発言、大人の男二人の開戦発言。
こんなこと言ってる割にいまだに自分の気持ちをはっきり自覚していない柊一さん、大丈夫だろうか……。
晶紀さんと笙子おばさんはふたりとも相当手強いひとだと思うので、ぼんやりしていると、香澄さんそのうち本当にかっさらわれていってしまいそうで、本当に柊一さんしっかりしてほしい。
アルバムの見せ合いっこもほのぼの。香澄さんそういえば一年前はまだ高校生だったんだよな……現代もので十九歳の若奥さんってときどき思わぬギャップにはっとします。

手強いひとといえば、美幸お母さまも。
香澄さん相手にどう出られるのかはらはらしていましたが、実際は、柊一さん自身以上に柊一さんが大切なものをちゃんと理解されていて、この方面には疎い息子を叱咤激励していて、ちょっとほっとしました。
天ぷらや五目寿司に変な意味がなくて良かった(笑)。

『すみれ荘にて—真夏の太陽—』
語り手が「家」だと、予想外の部分で、明らかになってなかった事実がときどき出てくるので、あなどれない。
檀君本当に若いな……育ちがいいな……微笑ましい。廣田君のコミュニケーションスキルというか世渡りスキルの高さと対照的でした。
絢さんと柳田さんとの過去のエピソードも本編とはまた違うテイストのお話で、これも良かったです。

香澄さんはなんというか、相手の心をごく自然に開き打ち解けさせるのが本当に上手いな、と今回思いました。
桃子ちゃんも裕美さんもあと美幸お母さんも、本来なら香澄さんにちょっと警戒心を抱き打ち解けられないような微妙な立場の女の人でも、こう、ふわっと。
言葉にするのが何だか難しいですが、得難い女性だと思います。
こういう性格の律儀な女の子だから、よけいに、遠慮が先立って柊一さんとの契約にしばられてしまっているのですけれど。もどかしいな~。

柊一さんもまた過去にトラウマがあるひとだから(だからこそお母さんにこれだけ心配されているのだろう)、女心に疎いのもまあ分からないではないのですが、真剣に晶紀さん笙子さんが今後脅威になってくるでしょうし、しっかりしてほしいな!
みんなに微笑ましく見守られている今の状態も良いけれど、もっと進んでもいいんですよー!なんて、外野だからこそ言えることですかね。

ああ、それにしても、スコッチエッグもやっぱりおいしそうだな……。

シリーズ三巻目も、あと『下鴨アンティーク』の来月の新刊も、とっても楽しみです。


この一週間くらいにそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: オレンジ文庫

タグ: 白川紺子 

『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~ 3』青木 祐子 




天天コーポレーションの経理課一筋28歳の森若さん。
仕事とプライベートはきっちり分けたい彼女だが、ここ最近はややペースを乱されがち。
そんな沙名子さんの日常は今日も賑やか。
仕事熱心だけど周りから浮いている契約社員、逃げ癖ありの困った社員、社内のトラブルにはからずも首を突っ込む羽目になる沙名子さんだが——。


『これは経費で落ちません!』シリーズ第三弾。
作中ではクリスマスも近づき黒タイツの森若さんでした。

いやーこのお話ますます面白いですね!!!
とにかくもう沙名子さんが最高です。
今回も不本意ながら冷静沈着に社内のトラブル処理に大活躍で、キレッキレで、仕事もできるし、本当に格好いいです。
私から見ると何歳も年下なのに、きらきら尊敬と憧れのまなざしを送ってしまいます(笑)。
通勤の電車の中で読んでいるとほんとうにたのしく元気になれる。

相変わらず社内のトラブル(未満なものもあり)は、すっぱり綺麗に解決するでもなくもやもやっとしたものも残るのですが、そこがかえってリアルで共感して読める。
もやもやしているのに読んでいてすっごくスカッとして気持ちいいんですよね~!
このあたりの塩梅が絶妙です。
やはり登場人物のキャラクターと心理描写がものすごくお上手だからでしょうか。さすが青木先生。
沙名子さんの内心の突っ込みが毎回面白く共感大でうんうんうなずきまくってます。
二巻三巻と重ねるごとに、キャラクターがしっくり馴染んで、きてますます面白くなってきたように思います!!

私生活でもきっちり完璧なペースを築いている森若さんですが、太陽のことでペースを乱されがちで、そのことにイライラしつつも受け入れている彼女が、一方でものすごく可愛らしい。
沙名子さん本当に太陽のこと好きで恋しているんですねえ。いいですねえ~ふふふ。
太陽も、相変わらずお調子者で軽いノリですが、すごく一途で健気だし、沙名子さんの独特なペースをそのまま受け入れて尊重しているし、だんだん私の中で好感度が上がってきました。
「太陽さん」「沙名子さん」名前でさん付けで呼び合っているふたりがふたりらしくて好きです。

あと沙名子さんの後輩真夕ちゃんも沙名子さんと別のレベルで共感できて沙名子さんを理解して尊敬している感じも好感度大きい。
やはり経理部員のお互いの信頼関係が好きだな~。トラブルがあった際のみんなの一致団結っぷりが良かったです。

順番に簡単に感想を書いてゆくと、まずは派遣社員の千晶さん。
これもまたデリケートな問題ですね……。千晶さんと自分を比べて落ち込んでいる真夕ちゃんのことをフォローしている沙名子さんの場面が好きでした。いやでも難しいな。
次に馬垣さん。この人はちょっと嫌だなー!!
やばいことがあったら逃げたくなるという心理はたしかにすごくわかるけれど、こうして物語として客観的に読むと、駄目さが俄然あらわになって、自分自身は本当に気をつけよう……と改めて思えました(笑)。
自分にミスが多いことを自覚していてこつこつフォローと努力を惜しまない真夕ちゃんの姿が好きです。
そして山崎さんが思っていたより曲者でした。
太陽視点の休日のトラブル話、沙名子さんの名探偵っぷりがすごすぎる。沙名子さんならそういうこともあるだろうと思えてしまう辺りが沙名子さんのすごいところだな(笑)。さんまの塩焼き→さんまの煮物になる下りが好き。でもやっぱり塩焼きが美味しいんですよねえ。
最後の由香利さんのお話は、落としどころが思っていたより深刻じゃなくてほっとしました。吹っ切れたようで良かったです。
婚活パーティーの場面は、ちょっと『恋のドレスと舞踏会の青』の舞踏会の場面を思い浮かべてしまいました。
バーンズ姉妹はあれからちゃんと幸せな生活を送っているかなあ。
沙名子さんと由香利さん双方に趣味仲間ができたみたいで沙名子さんの気持ちも分からないでもないけれど微笑ましい。


「——ありがと」
戻ってきた太陽へ向かって、沙名子は言った。
「何が?」
わたしを好きになってくれて。
「この間のマグカップ」     (84頁)

沙名子さん可愛い……!!(じたばた)


エピローグの真夕ちゃん視点も、沙名子さん視点とはまた別な風に社内の人間関係をのぞきみることができて、面白くて好きです。
千晶さんの態度が人によって違うのはやっぱり若干もやっとするな。馬垣さんも。
経理部の新人さん、ラストに登場しただけでもうかなり強烈なので、これからどうなっていくのか非常に気になります。
あと太陽が他でもない沙名子さんの恋人(ですよね)と、真夕ちゃんはいつ気づくのかな~。

あ、あと勇太郎さんはやっぱりか……!と由香利さんのお話の最後の方を読んでいて思いました。
そして沙名子さんのスルーが完璧すぎて、沙名子さんらしく、いや経理部女子らしくて、ずっこけました。
勇さんと沙名子さんならそれはもう沙名子さんも自分のペースを乱されることもなくお互い分かりあえて完璧なパートナー関係を作れそうではありますが、沙名子さんが好きなのが太陽である以上はしょうがない。というかやっぱり沙名子さんの恋人としては太陽ぐらいのゆるくて明るいタイプの方が良い気もしますし。
でも勇太郎さん今後、沙名子さん以外の女性を見つけることなんてできないんじゃなかろうか……と今から心配だ。デリケートなひとですし。
とかなんとか色々思ってしまい、個人的にはこの巻でいちばん盛り上がったのって何気にこの場面だったりしたのでした。
もしかしたら勇太郎さん単純にクリスマスの有給休暇の話題だったという可能性もあるけれど。
なんで私がここでこんなに盛り上がるのかって、(成立すれば)年の差カップルだからっていうのもあるかもしれないな。(つまりものすごく好み)

読んでいて笑って元気になれるお話でした。大満足♪
そして『舞踏会の青』を思い浮かべてしまったこともあり、『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』を久しぶりに読み返したい気分です。
青木先生の描かれるお仕事ができる女子が私は大好きなのですよねえ。と今回改めて思いました。
クリスやパメラといい『ベリーカルテット』のシャノンといい。


ここ一週間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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