Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『春夢の花嫁 珠閣雷鳴』森崎 朝香 

春夢の花嫁 珠閣雷鳴 (講談社X文庫―ホワイトハート)春夢の花嫁 珠閣雷鳴 (講談社X文庫―ホワイトハート)
(2010/08/05)
森崎 朝香

商品詳細を見る


森崎朝香さんの『花嫁』シリーズ、第12弾。
亡き父親の後をついで町医者として暮らしていた少女・珠華(しゅか)は、謀略によって、王宮で暮らす公主と入れかわりにさせられ、公主そのものの生活をおくることを余儀なくされる。はじめは混乱と不安でいっぱいだった珠華だったけれども、変えようのない状況にやがて開き直り、公主としてできることに次々に手を出していき、ついには少年王・春慧(しゅんけい)をも、自分のペースに巻き込んでいって…

また適当な順番で読んでみました、『花嫁』シリーズ。
この巻の前にも、実は未読の本が3冊あるのですが、この本一冊でも、独立して楽しむことができました。

なんというか、読み終えて、すかっと爽快な気分になりました、この本。気持ち良いー!
このシリーズで、ここまでくもりなく楽しい気分で読み終えられた本って、これがはじめてかも。『秋霖の花嫁』も、幸せな気分になれるお話でしたが、今回のこのお話も、良かった。まあ切ないお話も悪くないんですけどね。

公主さまであることを強制されて、我慢の限界に達して、ついに開き直ってしまった珠華が、春慧をびしびし鍛え上げていく姿が、読んでいてとっても面白かったです、はい。
読んでいるこちらも、思わず背筋をぴーんとのばさざるをえないような格好良い台詞を、ぽんぽん吐きつつ、自分もできる仕事をがんばる姿が、とってもパワフルで凛々しかった。
ただ厳しいだけでなく、春慧には慣れない素朴なぬくもりある愛情も確かに兼ね備えていて、そういうのもまた素敵。

珠華は「姉様」である以上、逆らうことができない春慧が、反発しつつ、おびえつつ(笑)、彼女の言いなりに頑張らざるを得ない状況になっていって…少しずつ、また少しずつ、自分の王としての立場に再び目覚めていく過程も、とても良かったです。国王になったはじめの内は、彼だって立派な王になろうという気概はあったのに、周囲が意欲を摘み取ってしまった…という事情も徐々に分かってきて、なるほどね、みたいな感じでした。

伯大臣の事件もあり、距離が次第に縮まっていった珠華と春慧だけれども、本物の公主さまが再び登場して、「ごっこ遊び」は突然、終わってしまって。
その別れ際の、珠華と会えてよかった、いや、「会いたかったんだ、あなたに」という、春慧の台詞が、とても良かったです。ああ、本当に見違えるように成長したなあ、春慧…
そんな彼にかえす珠華の言葉も、あたたかい心がこもっていて、お気に入り。

一年後のシーンも少しだけあるけれど、これも良いですねえ。ほんのりロマンスの香りが…?
最後の頁を読んでいても、彼らの関係は最終的にどうなったのか、結局よく分からないのが、ちょっと残念ではあります(笑)。でも珠華は、どんな形にしろずっと、有能な王様・春慧のよき相棒として、がんばっていたんですよね、きっと。

本物の公主さまの方は、もう本当に分かりやすい嫌われ者の悪役で、いっそ気持ち良かった(笑)。
姉弟の母君、父君の亡きあとも、少しは子どもたちの面倒を見てあげていたら、公主さまもここまで嫌な人にはならなかったんじゃないかなあ…とか、ちらりと思ってしまいました(苦笑)。

よくよく考えてみると、普通そんなことって一国の王宮で許されるのか…?みたいな設定ですし、そもそも「花嫁」じゃなかったりするのですが(あえていうならば、本物の公主様は「花嫁」になったんですけれど)、でもそんなことは些細なことだと、勢いで吹き飛ばしてしまうくらいには、楽しんで読むことができました。読み終えると私の方も、珠華と春慧に元気をもらうことができました。

さて、次の花嫁シリーズは、どの巻から読みましょうか。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方、どうもありがとうございました♪

カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

テーマ: 少女小説 - ジャンル: 小説・文学

タグ: 森崎朝香