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『コンビニたそがれ堂―星に願いを』村山 早紀 

コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/05/07)
村山 早紀

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『コンビニたそがれ堂』シリーズ第三弾。
大事な探し物がある人だけがたどりつけるという、不思議なコンビニ「たそがれ堂」。
今回のお客様は、お隣のお兄ちゃんに告白したくて頑張る小学生の愛ちゃん、街角の喫茶店で長年お客さんのために珈琲をいれてきたマスター・宗一郎さん、子どものころに変身ヒーローになってみたかった青年・良太さん。
夜空の星に願いをかけたとき、やさしい奇跡が起こって――。
現実と不思議がふっと混じり合う物語、今回は三編収録。


『コンビニたそがれ堂』シリーズ、一巻目と二巻目がとても素敵で気にいったので、続きもこうして入手してきて早速読みました。
注文時は特に何も考えていなかったのですが、アマゾンのギフト券を使わせてもらって、コンビニ受け取りで購入したんですよ。
『コンビニたそがれ堂』を本物のコンビニで手に入れてくるのも、なんだか巡り合わせが面白くて良かったなと思いました(笑)。

実際に読んでみて、前の二巻目とも、また少し味わいが違うお話だったなあと。
うーん、二巻目はみんな女の子主人公のお話で、物語も今から思えばやや少女趣味よりな雰囲気だった気がします。
それに比べると、三巻目は男性主人公、しかも大人の主人公のお話が多くて。そのおかげでより万人向けのおとぎばなしになっていたように、私は感じました。
相変わらずの優しいあたたかい物語でしたが、やっぱりただ優しいだけの夢物語でもないですね。
ときに悲しい展開にほろりとしつつ、でもその悲しみも優しさでうまくくるみこまれていて、なんというのかな、安心して登場人物たちの気持ちに同調して読んで行くことができました。

そして三つ目のお話では、お話の素材としてツイッターが登場してきました。
ツイッターが出てくる小説ってそういえば今まで読んだことがなかったので、一応ツイッターを日常的に使っている私、色々新鮮で面白かったです。

それでは各話ごとに感想を書いてみようかと思います。
「星に願いを」
最初のこのお話の主人公は、小学生の女の子・愛ちゃん。
たまたまふたご座流星群の日の翌日に本を開いて読み始めたので、流星群を見るのだという愛ちゃんたちのお話に、より親しみをもって入り込めました(笑)。(あ、ブログに書きそびれていたのでこんなところで書いてしまいますが、あの日の流星群、ひとつでしたがこの目で見ることができました。キレイでした♪)
大好きなお兄ちゃんのために、精一杯背伸びして美味しいお弁当を作るんだ!という愛ちゃん、読んでいてとても微笑ましかったです。困っている彼女に次々手をさしのべてくれる魔法も、読んでいてわくわくしました。愛ちゃんの想いが届くと良いな、真剣に思いました。
それでも現実は、魔法ではどうにもならないときもあるんだよね…。
失恋して悲しくてさみしくても、「お兄ちゃんが幸せなら、いいんだ。」と言い、そう思える自分がちょっとかっこよくて好きだな、と子どもながらに思う愛ちゃんがいじらしくって、読んでいてとても好きでした。
お弁当箱さんと万年筆さんの昔語りも、切なくてちょっと幸せでいい感じでした。
片想いでも、恋って素敵だな。

「喫茶店コスモス」
宗一郎さんと鳩子さん、ささいな夫婦げんかをして、宗一郎さんが「たそがれ堂」で仲直りのためのちょっとしたアイテムを仕入れてきてラストはふたりほっこり幸せ…みたいなお話かなあと思って読んでいたのですが……いや、違ってましたね。
特に鳩子さんの気持ちを思うと胸がぎゅーっとして、そしていなくなったひとを偲ぶ常連さんたちとの会話の温かさに、目頭が熱くなりました。
こんなお話でも、とても心優しくあたたかい気分になれました。やっぱり悲しいのだけれど(涙)、心が洗われていくかのようでした。

「本物の変身ベルト」
良太さんは、性別も立場も違えども、今までの『たそがれ堂』シリーズの主人公たちの中では一番、読んでいる私自身と重なり合う部分が多い人でした。
そしてツイッター。良太さんのツイッターへの姿勢が、私自身のそれと結構似た感じで、読んでいて「分かる分かる!」と嬉しくなりました(笑)。なんだかねー、変に格好つけちゃうんですよね(苦笑)。
特にとりえもこれといってない平凡な自分でも、一度くらいは、正義のヒーローになって、格好良く人助けをしてみたいな。
…私自身の中にも確かにあったそういう憧れが、このお話を読むことで良太さんに同調して体験することができて、夢が実現したみたいでなんだか楽しい気分になれました。

ネット、ツイッターの世界でふっと出会えて会話を交わすようになった、本名も住む場所も知らない、言ってみればただそれだけの間柄の人でも、辛いことがあったときには気持ちを分かち合いたいと思うし、何気ない日常のつぶやきを読ませてもらっているだけでも、それでびっくりするほど救われたりするんですよね。
これは個人的な話なのですが、身内が亡くなって葬儀で一日色々走り回ってくたくたになった夜に携帯でひとことつぶやいたら、何人ものフォロワーさんたちがあたたかいねぎらいのひとことをおくってくださったことがあって、そのときの気持ち、私は未だに忘れられないです。
…なんてことをつらつら考えつつ、良太さんの物語を読んでいたのでした。
ま、私自身は、良太さんみたいな善人じゃあ全然ないんですけれどね(笑)。

良太さんの住むアパートの住人たちの、距離感は取りつつも確かに何かがつながっている間柄も、読んでいて好きでした。現代日本のご近所付き合いとしては、これくらいが理想なのかな(笑)。ののちゃんかわいいなあ。
あと、風早三郎の昔語り?も色々書かれていて、へええと感心しつつ読んでいました。
うーん、なんだかとても好きです、この神様。いいなあ、こんな神様に見守られている風早の街に、私も住んでみたい。


今回のお話の中で私が一番好きだったというか、読めて良かったなと思ったのは、やはり「魔法の変身ベルト」でした。
少女趣味のお話、女の子が活躍するお話が大好きな私個人的には、二巻目の『奇跡の招待状』が好みにぴったりでしたが、この三巻目もまた、本当に良いお話でした。
村山早紀さんの新作が、来年の一月にもまた出るようで、楽しみに待っていたいなと思います。

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カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

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