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『孤城に眠る薔薇』倉本 由布 

孤城に眠る薔薇 (f-Clan文庫)孤城に眠る薔薇 (f-Clan文庫)
(2012/01/18)
倉本 由布

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花嫁は海を渡る。
「妻殺し」と噂される孤島の城の主に嫁ぐため。
デ・ルカ城に城主・ダミアーノの花嫁としてやってきたアリーチェは、先妻であった彼女の従姉の死の真相を探りたいと思うのだが、夫は冷淡で会話もない。
けれども夜になると、アリーチェは濃密な薔薇の香りに包まれ、ダミアーノに優しく愛おしく触れられる夢を見る。
夢と現実との差にとまどい苦しみながらも従姉の足跡を追いかけるアリーチェだったが、やがて何者かに命を狙われ始め……。


「f-Clan文庫」の一月の新刊は、高校生のころから作品を読んでいる倉本由布さんの新しいお話でした。
例によって先行販売している書店で購入して月のはじめに早速読み終えていたのですが、一応発売日前ということで、感想を書くのはひかえていました。
そうしたら、ようやく発売日になったころにはせっかく読んだときに感じた色々なものが抜け落ちてしまっている…まあ分かっていたことなんですけど。先行販売の利をあまり生かし切れていません(苦笑)。
印象深く心に残ったところをメインにつらつらと書いてみたいと思います。

読んでいて、タイトル『孤城に眠る薔薇』そのもののお話だったかな。
ヒロイン・アリーチェの夢の中で甘く咲きにおう薔薇と、夢の逢瀬のたびにつのるアリーチェの恋心……そんなお話の中に流れる雰囲気がとにかくロマンティックで美しくて、読んでいてうっとりため息が出てきました。
私的にこの作品で一番好きだと思ったのは、とにかく、この流れるように美しい雰囲気でした。
文章はむしろ淡々と押さえて書かれている感じなのですが、読んでいてそこかしこからふわりと香り立ってくる濃密な空気がたまらない。
うーん、艶っぽい……読んでいる私もむせかえりそうな薔薇の夢でした。
だからといって、変ないやらしさとかそんなのは感じませんでした。あくまできれいな夢。

お話、メインはヒロインのアリーチェ視点で語られる恋物語。
幸せとかきれいとか嬉しいとかあったかいとか、でもどこか深いもの、何か苦いものとかせつないものとか。
……あとがきで作者さんが書かれていた読後感、そのまま私も感じました。
薔薇の夢の逢瀬のシーンのふたりのやりとりは特に、昔の倉本由布さんのお話と同じものを感じました。この独特の甘やかさ、艶っぽさが懐かしい。ヒーローの口調が優しくて好きー。
雰囲気は大人びたお話なんですけれど、ロマンスそのものは純度が高くて甘くかわいらしい。

だから、やっぱりこの作品も、「大人の女性のための少女小説」だなあと思いました。「大人の女性の恋愛小説」ではなくて。
村山早紀さんの『竜宮ホテル 迷い猫』(→こちら)とはまた全然別の大人っぽさを感じました。こちらは完全なロマンス小説。
それでいて、どちらも表現するならやっぱり「少女小説」で合っていると思うんですよねえ。私の乏しい言葉ではそれ以上上手く言い表せないのですが。
f-Clan文庫、面白いなあと思います。これまで読んだことがないタイプのお話を次々に読むことができて。
しかも個人的に昔から好きな作家さんの作品だったりすると、感じる意外性とか楽しさも倍増です(笑)。

ヴェロニカの死の真相を解いていくアリーチェ、正体不明の暗殺未遂、ミステリアスな要素も濃いお話でした。
それらと夢の逢瀬と現実との狭間で苦しむアリーチェの辛い恋心と、お話が進むごとに絡み合いつつ高まっていって。アリーチェの苦しみが伝わってきて切なかった。
やがて真相が明らかになって…まあ、やっぱりそうでした、か。
確かに怪しいとは思っていました。でも優しい微笑みに私もほだされかけていました…。

イザベッラが最初から最後まで色々と印象に残る女性キャラクターだった分、ヒロインのアリーチェの印象がやや薄めになってしまっていたかなあ、とか。
そしてダミアーノの方がアリーチェに惹かれていった過程とか気持ちとかも、もう少し丁寧に読みたかったなあ、とか。そしたらもっとアリーチェの魅力が分かったと思うのですが(笑)。
そういうささやかな不満も、正直言うとありました。が、とにかく美しいロマンスの雰囲気を味わって楽しむのだ…と割り切って読むのなら、まあ良いかなと。
(それにしてもイザベッラは何とも倉本さん作品らしい個性が強烈なキャラクターだったなあ。女性はけしてきれいなものだけでできてるんじゃないのよ。……というかなんかそんな感じの。笑)

イラスト、私がそれまでくまの柚子さんに抱いていたイメージよりぐっと大人っぽい感じで、頁を開いてイラストを見る毎にびっくり&どきどきしました。
表紙のイラストがまだ一番くまのさんのイメージに近かったかも(笑)。
そしてやっぱりイラストでも、イザベッラがアリーチェよりも強烈でした(苦笑)。
アリーチェも清純派お姫さまといった感じで美人ですてきなんですけどね。


なんというか本当に感想を書くのが難しい作品ですこれ…いつも以上によく分からない感想文でごめんなさい(汗)。
甘やかで大人っぽいロマンスを読んでうっとりしたい、でもどろどろしてるのはちょっと嫌…みたいな気分になることが私はたまにあるのですが、そんな感じのときにおすすめです。
タイトルと表紙でぴんときたら、好きになれる可能性大なんじゃないかと(笑)。

倉本由布さん、今回の洋風も良かったですが、個人的にはまた和物のお話も読んでみたいです。せっかく今あそこ辺りの時代が流行り?なのだから、実現しないかなあ、とか。笑)

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カテゴリ: その他少女小説レーベルの本

タグ: 倉本由布 

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