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『いまはむかし―竹取異聞』安澄 加奈 

いまはむかし―竹取異聞いまはむかし―竹取異聞
(2011/10)
安澄 加奈

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『竹取物語』をモチーフに描かれた和風ファンタジー。
武官の家の嫡子に生まれながら争い事が苦手な十七歳の少年・弥吹(やぶき)は、己の立場に限界を感じ、ある日とうとう家出をする。
彼を放っておけずに追ってきたしっかり者の幼馴染み・朝香と共にやがてたどり着いた播磨国で、とりあえず何か稼がなければと思った弥吹は、人前で得意の「語り」を披露した。
それをきっかけとして弥吹と朝香は、不思議な雰囲気を漂わせたふたりの十三歳の少年・アキとキヨに出会う。
四人はひと騒動の後に、ある壮大な目的のために行動を共にすることになる……。


去年書店で見かけて以来ずっと気になっていた、古代日本が舞台の和風ファンタジー。
荻原規子さんの古代ファンタジー小説『勾玉三部作』に十年以上前にはまり込んで以来、同じ系統の作品を見つけると、もうチェックせずにはいられません(笑)。
それに『竹取物語』のアレンジというのにも、心惹かれまして。
『竹取物語』って謎めいていて、かぐや姫の恋とかひとりで勝手に空想するのが、昔から私好きだったんですよね(笑)。……なのでそれが物語として読めるとなると、これはとっても読みたい!

表紙の花と少女の絵が独特の雰囲気でとても美しく、わくわくと読み始めました。
……うん。これはステキな青春物冒険譚でした。
流れるような文章で、すらすらととても読みやすかったです。ちょっと軽い感じだけど、作品の時代の雰囲気を全く損ねていない。自然とひきこまれてしまいました。
なかなかテンポのいいストーリーではらはら飽きさせなかったですし、キャラクターがまた、老いも若きもいきいきと魅力的で楽しめました。
あちこちで『勾玉三部作』を彷彿とさせる部分があったりして、三部作のファンの私的にはそれを発見して比べたりするのもまた楽しかったです(笑)。
『勾玉三部作』に比べると、こちらの方がライトな感じかな。今風と言えばいいのかな……。

弥吹と朝香、阿生と輝夜、主役四人(途中から五人)がまずとても良くて、お話をぐいぐい引っ張ってくれていました!
阿生と輝夜は、なんというか、少女小説の王道ストーリー的に大好きなふたりでした(笑)。うふふ、幼馴染みって色々と美味しいですね!
いつもおだやかで余裕っぽかった阿生がからかわれてうっかり本音をもらしているところとか、とてもきゅんときました(笑)。なんだか可哀想になりましたが(苦笑)。
一度は別々になってしまいその過程が切なかったけれど、ふたりとも、決めて欲しいところはばっちりと決めてくれました!
『かぐや姫』の求婚の場面が好きです~。ふたりとも、年若いながらに頑張ったよ……ほろり。
彼らふたりのひたむきな真っすぐさと絆が、読んでいてまぶしくて愛おしかった。

弥吹と朝香の方は、なかなか異色な立ち位置の主役たちじゃないかと。
「語る」のを得意とする少年が主人公って面白いなあと思いました。彼の「語る」シーンはさりげなくとても魅力的でした。実際にその場に居合わせて聞いてみたいなあ。
はじめのうちは彼、頼りない少年だなあ…と思っていたけれど、実は予想以上にできるひとでした(笑)。
朝香は、他のメンバーたちとは違って気立てのいいごく普通の少女だったけれど……美味しいご飯で皆の胃袋をがっしりつかんでいて年少者を容赦なく叱れるお母さんな彼女は、なんだかんだ言って最強なのかもと思いました(笑)。
こちらのふたりにもほんのりロマンスの香りがするのも良いですね!
朝香と輝夜が女の子のないしょ話をしているシーンが好きでした(笑)。

翼(たすく)は……言っても良いですよね。菅流(@『白鳥異伝』)ですよね!!(笑)

脇役の人たちもなかなか魅力的で。
私的にはおじいちゃんたちがかなりお気に入りでした(笑)。
特に影の老人と孫の樹(たつき)のコンビが楽しかったです…。はじめのうちはもっと暗いキャラだと思っていたのですが、なかなかどうして、和み担当でがんばってくれてました♪
じっちゃんに良いところを奪われつつも彼なりにちゃんと頑張ってる樹が好きです。
孫に甘い讃岐造もなかなか。
藤原不比等、悪役だけど、でも見方によっては志の高い良い人ですよね…。

『竹取物語』のアレンジの仕方も、なるほどねえ…みたいな感じで面白かったです。(って語れるほど『竹取物語』に詳しいわけではありませんが…。)
この辺りのアレンジの仕方もけっこう『勾玉三部作』の香りが。
かぐや姫が恋をして、その恋がきちんと実っているところが良いなあ。
輝夜のご両親のお話とか、もう少し読みたかったかも。阿生のご両親のお話も込みで。

かぐやのふたりの方は、旅は完全に終わったわけではなくこれからも困難がたくさんありそうだけど、確かに明るい道を見出せるような終わり方で良かったですし、家出して己の道を模索していた弥吹の方にもきちんと決着があって、何より。
とりあえず、阿生、頑張ってね色々と…(笑)。
朝香の想いも、大丈夫だとは思うけど、絶対に報われてほしいな。


うーん、『勾玉三部作』大ファンとしてはどうしても色々と比べてしまいましたが(苦笑)、いきの良い和風ファンタジーを読むことができて満足です。『竹取物語』としても楽しめました。
作者さん、これがデビュー作ということで、次の作品も楽しみです。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 安澄加奈 

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