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『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』大沼 紀子 

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫 お 7-2)真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫 お 7-2)
(2012/02/03)
大沼紀子

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『真夜中のパン屋さん』シリーズ第2弾。
真夜中にだけ開店する一風変わったパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」。
ある夜ドアを開けて現れたのは、美人で怪しげな「恋泥棒」、こと由比佳乃と名乗る女性。弘基の中学時代の元カノだという。
彼女の胡散臭さにひとり警戒をつのらせる希実。けれども彼女は、希実の予想以上に複雑な事情を抱えていた。
クリスマス、お正月、バレンタインと世間のにぎやかな行事と同時進行で、まるでチョコレートのように甘くほろ苦い事件に、「ブランジェリークレバヤシ」に関わる人間たちは否応なしに巻き込まれていく……。


去年に読んだ『真夜中のパン屋さん』(感想→こちら)、少し前に続編が出ると耳にして楽しみにしていました。
早速入手して読みました♪


読み終えて、とりあえず第一声。
「焼きたての美味しいクロワッサンを食べたーい!今すぐ!」(じたばた)

……二巻目は、はい、良かったです!個人的には一巻目よりも好きでした。
骨格のストーリーも深みがあってどきどきひきこまれて面白かったし、主要キャラクターひとりひとりの背景も前巻では語られなかったところまで読めて人物像にぐっと深みが増して、より愛情を持って読んでいくことができました。
『午前1時の恋泥棒』って不思議なタイトルだなあと思っていたのですが、読み終えて、そういうことねー。
加えてお話と同時に次々に出てくるパンの数々が、もう本当に美味しそうで、読んでいて真剣におなかがすいてきて困っちゃいました。一巻目を読んでいた時よりダイレクトに胃を刺激してくれた気が(笑)。
季節的にも冬で、バレンタイン直前の今の時期にぴったりだったのも良かったです。

一巻目に引き続き、メインの主人公はパン屋のおしかけ居候女子高校生の希実ちゃん。
周りのあくの強い大人たちが引き起こす騒動にさんざん振り回され、口では文句を言いつつも結局放っておけなくて、全力であれこれ走り回って頑張っちゃうのでした。すごく健気でお人よしの良い子。ほとんど報われていない気がするんだけど。本人はさらっとドライであまり気にしてないけど、かわいそうに…(苦笑)。
でもすっかり「ブランジェリークレバヤシ」の正式な一員として皆と力を合わせて頑張ってる姿を読んでいると、彼女が確かな居場所を見つけられたことをはっきり感じられて、じんと胸があつくなったり。
はじめのうちの希実ちゃん、もしや暮林さんに淡い想いを抱きはじめているのか…というくらいかりかりしていましたが、結局そういうことではなかったみたいね。斑目氏のことも同じくらい心配していたし。うう、なんていいこなの…(ほろり)。

弘基さんと暮林さん、あと美和子さんの三人の過去とかあれこれも前巻よりも色々分かってきて、ふむふむと。
弘基さんの生まれ育った町の話はさらりとした描写でしたが重いものがありました…本人が悪いわけではないのにあおりをくらう人たちの姿に、なんともいえない気持ちに。
それでも美和子さんに救われて、想いは届かなかったけれど、それでもパン職人として新しい道を見いだした弘基さんの姿は確かにまぶしいなあ。
暮林さんの方は、美和子さんの死に目に間に合わずに弘基さんに罵声を浴びせられているシーンがなんだか印象に残りました。
いつもおだやか人当たりのいいクレさんですが、心に秘める複雑な想いは他の人に負けず劣らず、なんだろうな。
あとは、美和子さんのレシピを弘基と希実ちゃんがあさっている場面で、美和子さんの思いがけないざっくり感がなんだか面白かったです(笑)。
特に弘基さん、美和子さんを大分美化して語っているんじゃないかな…(笑)。まあ本当にステキなひとだったんでしょうけど、ね。

さて今回のお話のメインは、弘基の過去と関わりがあった謎に満ちた女性の行方をおいかけ、なんとか救おうと協力し合ってがんばるブランジェリークレバヤシの面々の奮闘記。
普通のひとの範疇から大分はみだしている人たちばっかりですが、だからこそ、窮地に立ったときにびっくりするほど有能だったりするんですよね(笑)。皆の活躍は読んでいて痛快でした。特に斑目氏!

佳乃さんは、はじめは希実ちゃんと一緒で私も読んでいてかなり胡散臭かった(苦笑)。
でもこういう性格していた方が、辛いときにも柔軟に対応できるのね、真面目な人ほどどうしようもないのかあ…とか、からくりが分かった後に思ったりしました。
彼女が闇に堕ちていった過程のエピソードは本当、やりきれないなあ。
それにしても弘基さんの過去の女性関係はちゃらんぽらんでどうしようもない…(苦笑)。でも今の彼が、最終的に彼女を救ったその姿は、なんというかいかにも弘基さんで、格好良くて素敵でした。
最終兵器は自分が作ったクロワッサンですか(笑)。ちょっと脱力しつつも格好良かったですよ!
あと私的には、弘基の活躍の影でさりげなくドーベルマンをあやしつけて大人しくさせてしまっていたクレさんが妙につぼにはまって格好良かったです(笑)。

斑目氏、佳乃さんの演技を分かっていたのになぜ指輪まで買っちゃったんだ…みたいに、読んでいて馬鹿だなあと正直思ってしまったのですが(汗)、最後まで読むと……お、おめでとうございます!きゃー、びっくり!
彼女の方もひょうひょうとしつつ辛い思いをしてきたひとだから、幸せにしてあげてほしいです、ぜひ。

そうそう、新キャラクターの中でも妙に存在感があって好きだったのが、弘基の同級生の多賀田氏でした。
最初はかなりおっかない印象でしたが……なかなかどうして、純情でハートが温かいステキなひとじゃありませんか。希実ちゃんにも案外優しかったしね。

そして上にも書いたように、この本、次から次へと出てくるパンが、もう前巻以上に本当に美味しそうで、たまらなかったです。
パン作りを真剣に愛しちゃってる弘基さん、希実ちゃんが引いてしまうほどの情熱でパンについて熱い語りを繰り広げている様が、楽しかったです。そしてパン好き人間の私にとってはパンの蘊蓄はとても楽しい。
クリスマスのシュトレン、新年のガレット・デ・ロワ、そしてバレンタインのクロワッサンラスクと、冬の世間の大イベントに合わせて次々と美味しそうなパンが出てきて、お話のエピソードとも上手くからんでいて、読んでいてこちらもわくわくしました。
本当にたまらない……私的には特にシュトレンに心惹かれました。
ガレット・デ・ロワはエピソードがよかったです。こだまくんかわいいな。

そしてバレンタイン、希実ちゃんのチョコレート作りのエピソードも心温まって良かったです。
表紙のイラストは、このあたりのエピソードを表したものだったのね。私もテンパリングできるようになりたい(笑)。
何だかんだ言いつつ希実ちゃんのチョコを待ちわびていて喜んで受け取っていく男性陣が微笑ましかったです。
特に最後のクレさんが良かったな。
希実ちゃんの居場所がここには確かにあって、それが本当にあったかくて、思わず私もじーんと…。

美和子さんと希実ちゃんの写真とか、ちょっと気になるエピソードも残っていたりして。
二巻目がこんなかたちで出たということは、この続きも多分出るん…ですよね?先が色々楽しみです。
私的には、希実ちゃん自身にも、いつか幸せな恋をしてほしいなと思います。普通の女子高校生らしくね。

(そしてどうでもいいのですが、一巻目に引き続き、「まよパン」と言われると、やっぱりまっさきに「マヨネーズパン」を思い浮かべてしまう私がいます。
でもブランジェリークレバヤシには、マヨネーズ系のお惣菜パンは多分そんなに売ってない気がなんとなく私にはします…。)


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 大沼紀子 

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