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『英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け!』久賀 理世 

英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け! (コバルト文庫)英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け! (コバルト文庫)
(2012/02/01)
久賀 理世

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19世紀・ヴィクトリア朝のロンドン。
アッシュフォード子爵家では、偉大な探検家であった当主が遠い異国の地で亡くなり、長男・ダニエルが爵位を継ぐことになった。
長女セシルも子爵家の将来のため、顔も知らない相手と結婚することが決められた。
しかし好奇心旺盛で型破りな彼女は、結婚までの一年という約束で、「新聞記者」として働きだすという前代未聞の行動に出る。
ある目的を胸に抱きつつ、性別と身分をいつわり少年の姿で新聞社で働くセシルの前に現れたのは……?

コバルト文庫の今月の新刊、新作です。
ついでにはじめましての作家さん。
私は雑誌の方で第一話の部分はすでに読んでいました。イラストレーターさんは違う方でしたが。
読書メーターの方で評判が良かったのに背中を押されて、文庫も手に取ってみました。

ヴィクトリア朝のお話であきさんの挿絵ということで、私の愛する『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズに色々似てるよね、帯の宣伝の仕方とかも正直なんだかなあ…と思いつつ、読み始めたのですが。
……いやいやいや、これは良かった!色々な意味で良い少女小説でした。あちらのシリーズとは全く別な風に楽しめました。
ある意味最初からお話の一番先は分かっているのだけど、だからこそ安心して、気楽に読めたのが良かったです。こういう少女小説を読みたくなるときって確かにあります。
ロマンスとミステリーのさじかげんもほどよくてかわいらしくて、私の好みにぴったり。文章も読みやすくて雰囲気も良いです。
雑誌の方のお話に続きがつくと、キャラクター達の背景とかも分かってきて、ぐっと面白く読むことができました。そうか、第一話はプロローグ的な感じだったのね…。

ヒロインのセシルとヒーローのジュリアン、すでに婚約者同士なふたりですが、分かったうえでセシルに近づいたジュリアンと違って、セシルはジュリアンが婚約者だとは夢にも思っていなくって。(というか、男装もばれていないと思っている。)
このふたりが、パートナーとして一緒に働いて行動を共にして、ごく自然な流れで距離を縮めていく過程が、読んでいて微笑ましく楽しかったです。
お話を読み終えて、何かに似ている……と少し考えて、『あしながおじさん』なんじゃないかと。
何も知らされていないセシルにけっこう好きに接しつつ(変な意味ではなく)、セシルに予想外に振り回され、そして彼女の魅力にうっかり(?)惹かれはじめて本気で守っていこうとがんばるジュリアンがいいですよね!にまにまします(笑)。

セシルは読み込むごとに健気で頑張り屋の好感が持てる良いヒロインです。
ただの考えなしのはねっかえりのお嬢さんかと思いきやそうでもなく、きちんと思慮深さも持ち合わせていて、自分の立場もよく理解してその上で動いているところが良いな。
男装して新聞記者になるってまあありがちなパターンだなあと最初は思ったのですが、読んで行くとその理由もきちんと納得できました。
一方、ジュリアンは物腰柔らか、ひょうひょうとしてつかみどころがない…そこが魅力かな(笑)。
けれどもナチュラルに優しい良いひとだし、頭は切れるし腕もたつし、ついでに社会的地位もあるし、セシルの婚約者が彼みたいなひとで良かったな…と読み込むごとに思えて良かったです。
彼の背景はまだ色々複雑なものがありそうで、気になるところ。
終始仲良しなふたりの様子は、読んでいて毒がなくてほのぼの和みました。朝のティータイムの場面とか良いなあ。

そしてこのお話、アッシュフォード子爵一家の家族ものとしても、良かったと思います。
序盤から妹大好き!全開のダニエル兄さま……(笑)。けれどセシルとしてもけして好き勝手で新聞記者になったわけではなくて、それをダニエルも、実はきちんと承知しているところが良かったな。
単なるシスコンではないのよ。シスコンなのは事実だけど(笑)。
当主として長兄として、決めるべきシーンはしっかりと決めてくれていました。
いやあ、本当に色々と愛すべき面白いキャラクターですねえ。
あと、ちらりとしか出てこなかったけど、次兄のジェフリーとか存在感ばりばりでかなり印象に残りました(笑)。
あきらかにセシル以上の破天荒なひとっぽい…この一家のまとめ役のダニエル兄さまの苦労を思うと同情を禁じ得ないです(苦笑)。
サミュエルもかわいくていいこですよね。

私的にお気に入りだったのは、セシルの親友のエリザベス嬢。
登場人物紹介のイラストではセシルと違って大人しめなお嬢さまな親友…だと勝手に想像していたのですが、いえいえどうして、セシルと同じくらいのはねっかえりのお嬢さまだったみたいで。類は友を呼ぶパターンでした(笑)。
セシルに協力しつつ彼女の身を真摯に案じてくれるエリザが素敵だなあ。

さてさてこのお話、マザーグースの歌を使って謎ときするミステリー的な要素が一応メインになっていて。
この謎ときが、また実に私好みで良かったです。第一話と第二話の謎は、ほどよくロマンティックで後味も良くて素敵。
セシルが状況にぴったりのマザーグースの歌を披露して、それをつかってジュリアンが謎ときしてみせるという構成がなんだか良いですよね。ふたり力を合わせて、という感じがきちんとします。ジュリアンの解説も分かりやすいですし。
第三話のお父さまの死をめぐる謎は、こちらは重ためでしたが、真相が気になってはらはらどきどき一気読みしてしまいました。マザーグースって怖い感じの歌は怖い…。
やっぱり重たくなっちゃったな、切ないな……と思っていたら、ラストでこれまた予想外にひっくり返されて、びっくりしつつも嬉しくなってしまいました。あたたかくてちょっとほろっときました。良かったー。

ヴィクトリア朝の描写もあれこれほど良くて、楽しめました。やっぱりロマンですね!
アッシュフォード子爵は国民的英雄の探検家ということで、そちら方面のことを色々知ることができて興味深く楽しかったです。少女小説なので重ためな書き方ではなかったけれど、ちょっと考えさせるものもあったり。
ロンドンの地理はさすがに大分理解できるようになってきました私(笑)。
新聞社の日常も楽しかったです。グルメ欄を私にも読ませてほしい…。(きらきら)
紳士クラブもなんだかわくわくしますよね♪
クラブで密談(?)しているダニエルとジュリアンの場面がどれも微笑ましかったです。
愛ゆえに何度も書いちゃいますが、ダニエル本当に面白いひとだな……。

ええと、これは多分、続きも出るんですよね?というかぜひとも出てほしいな。
アッシュフォード家の他の兄弟のことももっと読みたいし、ジュリアン自身のお話も知りたいし、エリザベスとセシルの友情ももっと読みたいし。
何より主役ふたりのロマンスの進展を……この巻だと恋のほんのりはじめの方くらいで終わっているからなあ(笑)。
セシルが婚約者の正体を知るときが本当に楽しみです。そこまでぜひとも続けてほしいです。
そこまで彼女の頑張りを応援して読んでいきたい。

最後になりましたが、あきさんの挿絵がお話に予想以上に合っていて、これまた楽しめて良いものでした。
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の方と比べて、ポップなかわいらしさがあったような。タッチも違うしね。
男前なジュリアンもダニエル兄さまもジェフリーも素敵でしたが、私の一番のお気に入りは、セシルとエリザベスの親友ふたり娘の絵でした。ふたりとも美人~!ドレスも髪型も細かなところまでお洒落♪


ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 久賀理世 

この記事に対するコメント

お久しぶりです。
私も買っちゃいました♪
絵柄と内容に惹かれて。
まだ全部は読めてないですが、面白いです。
絵も素敵ですし。

あと小説といえば、香月日輪さんの『下町不思議物語』とかも面白かったです~。

URL | 明都 #-
2012/02/08 20:24 * 編集 *

Re: タイトルなし

>明都さん
コメントありがとうございます。

こちらこそ、お久しぶりです~♪
わあ、明都さんもこのお話買われたのですね!
ですよね、あきさんの絵は、本当に完成度が高くて魅力的ですよね…(笑)。
絵だけでうっとりながめていたいくらいです(笑)。
お話の方も、私はすべて読みましたが、ラストまで面白くてとても満足です♪

小説のおすすめもいただきまして、どうもありがとうございます!

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/02/10 20:20 * 編集 *

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