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『恋のドレスと大いなる賭け ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子  

恋のドレスと大いなる賭け ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)恋のドレスと大いなる賭け ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
(2007/10/02)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ第9冊目。再読です。
クリスとパメラがふたりで営む仕立屋『薔薇色』に今回ドレスを依頼したのは、名門貴族・オルソープ伯爵家の美しき令嬢・アディル。
大勢ではなく、ただひとりの心をいとめるためのドレスを……という要望にこたえて、アディルの気持ちによりそいつついつもの通りドレス作りにとりかかるクリスだったけれど、アディルの相手を知ってしまった彼女は、大きなショックを受ける。
シャーロックは、彼を拒絶し仕事も進まなくなってしまったクリスに気をもむのだけれど……。


※注意
この記事は私のように「現時点でシリーズ最新刊まで読み終えている人」向けの内容だと思います。
先が分かった上で読んで記事を書いているので、かなり先の方のネタばれとかさらっとナチュラルに混ざっているかと思います。
シリーズ初読の方は特に、読んでくださる時はいちおうお気をつけて。
(初読の方にも再読の方にもおすすめなのは、『空夢ノート+』さまの素敵感想記事です。→こちら


ものすごく間があいてしまった再読記事です。おひさしぶりです(汗)。
シリーズ完結直前と言うことで、もう本当に間がないのですが、シリーズ再読をふたたびはじめることにした私です。
どこまで記事に書けるかちょっと分かりませんが、私自身が書きたいので、楽しみつつ頑張ってみます(笑)。

さて再読までこんなに間があいてしまったひとつの原因は、やっぱり、この巻のラストがクリスにとって辛いものだったから、なんですよね。
クリス自身が必死に忘れようと押し込めてしまったものをあばくようで……気が進まなかったのかもしれません。
リアルタイムでこの新刊を読んだ時は、私自身、ショックだったなあ……シャーロックのおばかさん!!(笑)

でも、今になって落ちついて最初から再読していると、シャーロックはもう本当にクリスひとりだけが好きで、やさしく気遣いたいんだな…というのが透けてみえてきて、ちょっと意外なくらいでした。
アディルとの初対面のパーティーの場で、シャーロックが何に一番気をとめていたかって、アディルの美しさでも何でもなく、クリスが作ったバーンズ夫人と娘たちのドレスの美しさ、だったですものね。
アディルさまとはじめて目と目を交わしたシャーロックの感想……「なるほど美しい」(35頁)……それだけ!(笑)

あと、クリスにいったん拒絶されてひとりぐるぐると悩む170~171頁のシャーロック、この辺りから彼の乙女チックな思考回路は面白かったのねえ…あまり読み返してこなかっただけに新鮮に楽しめました(笑)。
でもこの時点での彼は、皆さまご承知の通り、『運命の輪』でクリスに先に想いを言わせただけで自分は言葉にしていないから……なんだかねー、勝手ですよね(苦笑)。

それでもクリスの落ち込みの理由を知って、彼女にあわてて逢いに行って誤解をとくシーンは、昔から好きでした。
必死にあきらめようとがんばって、でも我慢できずに涙をこぼしてしまったクリスに「もういいよ」とそっと抱き寄せるシャーリーのふたりが、本当に好き。
今までになく自然にラブラブだったですよね。当時にしては。

アディルさまは、シャーロックが自分に興味を抱いていないのにいらだって、それが気になって、次第に本気で惹かれ始めた…そんな面もあったんじゃないかな、今にして思えば。
さりげなくアプローチしてみても、シャーロックは如才なくさらりさらりとかわしていくので、ちょっと彼女が気の毒になってくるくらいでした…。
シャーロックに少しずつ惹かれていく彼女の気持ちはとても丁寧に伝わってきました。クリスと同じ人に恋しているから、その点ではよけい分かりやすかったのかも。
でも、アディルさまはただの深窓の美しいご令嬢ではなくて。
あの「未熟な果実」ですよね。そうなんですよね!
読んでいて真剣にシャーロックに怒りを覚えて私自身あせりまくりました……どうなるのー!!

でも、今にして思えば、仕方がなかったのかなあ、とも思います。
他のあらゆるドレスと違って、「未熟な果実」がその気がないシャーロックをくらりとさせる力を持っていたのは、やっぱりこのドレス、クリス自身のシャーロックへの恋心のかたちでもあったから、彼はドレスにこめられたクリスの心に恋したから、そういうことだったからと、私は思うんですよね。後の巻を読んでいてよけいに。
なんだかそう考えるとアディルさまがよけいにお気の毒ではあります……。
自分が誠心誠意をこめて作った恋のドレスに翻弄されたクリスも本当にかわいそう(泣)。

それでもやっぱり、せっかく勇気を出してお洒落して出かけたクリスに約束をすっぽかしたシャーロックは、今読んでも許せなーい!
『約束の手紙』で待ちぼうけをくらわされたことで、ようやくとんとんになったのかな…。
そしてバーンズ夫人を、良い人だとはじめて思った巻だったような(笑)。

主役ふたり以外なら、なんといってもイアン先生とパメラ。
この時点では、パメラはほだされかかっている……そんな感じだったのね。そういえばそんなはじまりのふたりだったですか、もともと。
ここの部分の挿絵が好きだなあ。照れて別々の方向を向いてるイアン先生とパメラがなんとも微笑ましい。

あと、この巻でコーネリアも初登場な訳ですが、はじめて読んでいた時はさっぱり理解できなかったコーネリアの言動色々が、今読んでいると「そういうことだったのか…!」といちいち納得すること連続で、すっきりしました。
身分違いの恋の話題にやたら食いついてきたのは自分の両親の過去があってだったのだろうし、「薔薇色」を危険だと忠告してきたのも、ドロシアさまの姿を見て、彼女の言葉をその時点では正しいと思っていたから。


以下、お気に入りの名シーン、名場面をセレクトするコーナー。


ゆっくりと走りはじめたところで、唐突に、クリスに言うべき言葉が浮かんだ。
いつか、ふたりでどこかへ行こうか、クリス。
どういう意味だ。
シャーロックは自分に対して失笑し、右へ向かってハンドルを切った。 (63頁)

――いつか、デートに行こうか、そんな意味ですか?(笑)


「……シャーロック……」
クリスは彼の名前を呼んだ。ほかに何の言葉も思いつかなかった。
シャーロックの、クリスの髪に触れた力が一瞬、強くなった。
うん、と低い声が聞こえる。
大きな手がやさしくクリスの髪を撫でる。 (189頁)


――ああここのシーン、やっぱり大好き。


メモ。
アディル・オルソープ、コーネリア・モアティエ、ブリジット、ビアード・ディウィー、初登場。
季節は6月。

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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