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『恋のドレスと黄昏に見る夢 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』 青木 祐子 

恋のドレスと黄昏に見る夢 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)恋のドレスと黄昏に見る夢 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
(2008/04/01)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、再読11冊目。
オルソープ家の執事・ハノーヴァは、アディルのために恋のドレスを再度『薔薇色』に注文しようとするが、パメラは断ろうと必死だった。シャーロックの婚約者候補のアディルのドレスを作って以降、クリスの様子がどこかおかしいのだ。
一方アディル本人は、もういちどシャーロックを振り向かせるために、『夜想』にドレスを依頼する。
同じ時期にシャーロックは、『夜想』の仕立人ミセス・コルベールと闇のドレスとのつながりをさぐりはじめる。
クリスもまたミセス・コルベールと闇のドレスに近づいていくことに……。


※この記事も、引き続きシリーズ最新刊まで読んだ上で書いている記事なので、初読の方はネタばれ注意です。
今回もおすすめは、『空夢ノート+』さまの素敵記事です。→こちら
そしてこの巻、できれば『恋のドレスと聖夜の求婚』を読んだ後に、ラストシーンを読み返していただくと、とてもいいんじゃないか、と。


再読は続きます。
この巻は、シリーズ半ばの、大きな一区切りだったんじゃないかと。
シャーロック、ようやく、ようやく……!!(笑)

前巻のラストから直接つながっての、アディルさま再登場。
ここら辺のアディルさまは…はじめて読んでいたときは、本当に怖かったですねえ。
クリスのライバル、存在感ばりばりで。
彼女も「夜想」で「恋のドレス」を自力で手に入れてまで、なんとかしてシャーロックを振り向かせるために必死な訳で、『大いなる賭け』のラストが頭にあった私は、もうはらはらどきどきで読んでいた覚えがあります。

でも再読だからこその感想だと思うのですが、お話の後半の列車の中、アディルさまが想いを伝えようと必死になればなるほど、シャーロックの気持ちはかえって冷めていってしまってて、なんだかアディルさまが痛々しかったですね…。
彼女も全身全力でシャーロックに恋して気持ちを伝えようとしているんだけどな…。あああ。
今まで負けたことがなかった彼女の悔しさが、本当、伝わってきます。まして相手はそれまでライバルとも思っていなかった存在ですから。
クリスの絶対的な味方の私としては、シャーロックの揺るぎなさはとっても嬉しいものなんですけれど。それでも、ね。

一方クリスの方は、過去がまた見え隠れしてきてますますぐらぐらな感じ。
ユベールに手紙を出して会いに行ったり、はじめて読んでいた時は彼女の真意が全然分からなかっただけに、闇のドレスに近づいていっちゃうの?…みたいに、これも怖かった…。
シャーロックにもパメラにも、何も言わないからなあ、クリスは。いや、言えないクリスの性格や気持ちも、今になってみれば理解できるんですが。
闇のドレスをケネスとひそかに調査するシャーロックが、「俺には目で見えるものしかわからない」(48頁)とひとりごちていたのが、胸に残りました。
クリスが話してくれない以上、自力で調べて解決しようと頑張るしかないんですよね、まっすぐ正義感の強いシャーロックにとってみたら。それがクリスを守ることになる、という考えなんですよね。
先の展開が分かっている私としてはすごく複雑だけど、シャーロックの立場も難しくて辛いね…。

それでも会えないまますれ違いながらも、お互いを想い合うクリスとシャーロックのふたりの愛情が、読んでいて影の部分すべてを凌駕するほどにやっぱりきれいで愛しくて、読んでいてもう胸がいっぱいになってくるのでした。
ケネスがクリスを疑うたびに、いちいちきっぱり否定するシャーロックが格好良くて愛しいです。(しかしどうしてケネスはこんなにクリスを疑っているんでしょう……立場は確かに分かるけどさ、影があるけどさ、彼もクリスの人間性は承知しているんでしょうに。実はこの辺のケネスは正直あまり好きじゃなかったりする私です。苦笑。)
ユベールに何を言われても、シャーロックを信じる気持ちは凛と揺るがないクリスも愛しい。

そしてクリスはあたしが守る!みたいに、実際にクリスの隣にいて、彼女の盾として影に日向にしっかり頑張ってくれていたパメラもまた、本当に格好良くって愛しかったです。
ローストビーフを囲んだ食卓でのクリスとパメラの会話のシーンが特に、すっごくすっごく好きです。

「怖くなったら、逃げてもいいと思う?」
「逃げるのは悪いことじゃないわ。好きなようにすればいいのよ。
だけど、ひとつだけ、覚えておいてほしいわ。
あんたに何があっても、あたしはそばにいる」 (170頁)

すべてを抜き出したい……挿絵込みで。
あと、イアン先生ほんの少ししか出てこなかったけれど、癒されました(笑)。

そしてラスト、ついにシャーロックがクリスに言葉を伝え、ふたりは両想いの恋人同士に。
このシーンはすべてがとにかく美しすぎて……ため息です。雨のエイボン川のほとりというのも、前巻のふたりの逢瀬の会話を受けてのもので、この辺りもお上手!すばらしい!(笑)

ただ、「怖かった。言葉にしたら、戻れなくなるような気がして」(226頁)……本当、先のみえない戻れない道に、ふたりして飛び込んで行ってしまったんだなあと思うと……幸せな一方、今読んでいても怖いですね。
ここから先は、誰にも祝福されない、ひそやかな恋の道。
これまでまっすぐに絵に描いたような貴族の御曹司としての人生を歩んできたシャーロックだけに……ずんとくるものを感じます。
ロマンス的には盛り上がってたまらないですけどね!ね!

そして『聖夜の求婚』を読んで、改めてこのシーンを読み返してみると、一層すばらしいです。もう何度読んでも泣けるのです。

この巻のふたりのコルベール、アディルさまが会っていた方がリンダで、シャーロックが会っていた方がミセス・コルベール、なんですよね。


私のお気に入り名シーン、名台詞をセレクト。なんだか記事の順番が適当であれですが…(汗)。

あの人があんなふうに女性の手をとるなんて、思いもしなかった。
まるで、おとぎ話にでてくる騎士のような瞳をして。
この女性を一言でも非難する人間がいたら、自分が敵に回ると思え、と宣言しているかのように。 (16頁)

――アディルの立場だからこそ見えてくる、シャーロックの本気具合。
うーん、やっぱり格好良い男だな、シャーロック。


しかしシャーロックはそもそも、クリスの、内に秘めた影に惹かれたのではなかったのか?
美しい女、やさしい女ならいくらでもいる。
シャーロックはクリスの、ありのまますべてを受け止めようとする、深い水のような瞳にこそ、安らぎを見いだしたのではなかったか?
(中略) 
クリスは俺を好きだと言ったのに。俺も――好きなのに……。 (124頁)

ようやく自分の気持ちを認めたね、シャーロック!(笑)
読んでいる私まで胸がじんわりしました。クリスの美質を語るシャーロックの言葉も美しいです。


「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
やっと出た言葉が、まるで恋人に甘える女の子のようで、クリスは恥ずかしくなる。 (226頁)。

――ああ、クリスかわいいよーかわいくってきゅんきゅんします(笑)。
クリスに取ってみたらまったくその通りですよね本当!

そしてこの巻はまた、中身のあきさんの挿絵がどれもすてきに美しくて、うっとりため息。


メモ。
季節は7月。
ミセス・コルベールと一応しておきましょうか、初登場ですよね。


一昨日と昨日とそれぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪
コメントもありがとうございました!返信少々お待ち下さい~。

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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