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『窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
(2008/07/01)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、再読12冊目。シリーズ2作目の短編集。
収録作品は、以下の通り。
母亡きあと厳格な叔母にひきとられた少女・ケイトが『薔薇色』を訪れるお話(『ドレッシング・ルームの高い窓』)、男爵令嬢・ファニーが恋人のケネスに隠し事を……?(『希望という名の猫』)、寄宿学校時代のシャーロックの日常のひとこま(『窓の向こうは夏の色』)、愛人がいると知っていながら夫と結婚したドロシア・モアティエ夫人の物語(『幸福な淑女』)、『薔薇色』をめぐる人々のお話、計四編収録。


再読、今回は短編集です。
思っていたより再読記事のひとつひとつを書くのに時間がかかりますね……(いや、ある意味予想通りかな。)
書いている内に自分ひとりで勝手にどんどん盛り上がってきて、ついたくさん書いてしまうので、あれですね(汗)。
楽しいんですけどね!
(あ、そういえばwebコバルトで更新されていた最終巻の表紙、夢のように美しくて幸せそうです……。うっとり。)

さてさてこの短編集、シリーズの中ではわりと地味めなイメージの巻だったかな。
というかリアルタイムで読んでいた当時は、短編よりは本編の続き、ついに両想いになった主役ふたりの恋の行方がもう気になって仕方がなくって…みたいな感じだった気がします(笑)。
今になって再読してみると、四つのお話、みんな派手さはそんなになくどちらかといえば静のイメージなのだけれど、それぞれ違った味わいがある良いお話ばかりで、さすがだなあ…とひとつひとつにしみじみ感心してしまいました。
この短編集は特に、再読に向いている巻なのかもしれない(笑)。


以下、個別に感想を語ってみようかと思います。
『ドレッシング・ルームの高い窓』
『恋のドレスと硝子のドールハウス』の前のお話と言うことで。
このお話、主役はケイトであり、彼女の叔母のグレイスでもあり。むしろメインはグレイスかな?
ヒロインが普通に少女ではない、ということを除けば、いかにもこのシリーズの初期作品らしい雰囲気の、お客さまの恋のエピソードとお客さまの心に優しくよりそってクリスが作るドレスが合わさって読み心地がなんとも美しい、ロマンティックな短編でした。
ケイトとグレイスの複雑な事情に困惑しながらも丁寧に対応して、どちらの魅力にもぴったりの素晴らしいドレスを仕立てるクリスが、相変わらず素敵です!
特にラストのグレイスのクレマチスの紫のドレス、素敵だなあ。
ケイトとローリーの淡い恋のはじまりも微笑ましくて良かったです。グレイスの過去の物語にもほろり。絵が美しい…。
そして終始ひかえめにおだやかにグレイスを見守り続ける執事のスチュアートが、何気に一番素敵かもしれない(笑)!

『希望という名の猫』
『恋のドレスと運命の輪』のあとのお話。そして『恋のドレスと薔薇のデビュタント』のファニーとケネスの後日談、と。
このカップルのロマンスはこれまでのシリーズの中でも特に好きだったので、後日談が読めてとても嬉しかったです!
ファニーの秘密の内容はちょっと意外だったんですけどね。イレーネ、シリーズのもっと後になってようやく少しつながったな…。

このお話、ファニーとケネスのふたりに加え、クリスとシャーロックのふたりのやりとりも、なんとも甘くくすぐったく微笑ましくって、読んでいて幸せーな気分になれてよかったです(笑)。闇のドレスが関わってこない分やっぱり気楽に読めますね。
シャーロックって、クリスが仕事をしている姿もきちんと好きで尊敬しているのが、良いところのひとつだよなあと思いました。気づかいはものすごくとんちんかんなんですが。アイロンとか。
あと、指貫に嫉妬する大人げない姿も、悪いけれど読むたびに吹き出してしまいます……このシーンの挿絵、シャーロック冷たい美貌で格好良いだけに、よけいに笑えると言いますか。
ケネスとファニーのことが気になって『薔薇色』に来たのに、結局クリスとのほのぼのおしゃべりだけに時間をつかってしまったシャーロックが微笑ましい。

それにしても、ケネスも幸せだけど悩み多き恋をしていますねえ。のろけてる分には勝手にどうぞ、みたいな感じで良いのですが!(笑)百貨店とか笑ってしまいました。
ジェフリーは男っぷりもいいなかなか素敵なひとなのに、完全なあて馬……ちょっと気の毒(苦笑)。


「やあ、パメラは?」
「買い物に出かけています。いつも、金曜の午後は、外に出ていることが多くて」
言いながら、クリスはなんとなく口ごもった。まるで、この時間ならふたりになれる、と言っているかのようだ。
「ああ、俺も……なんとなく、そうだと思って」 (103頁)

――本当、ふたりともかわいいー。

『窓の向こうは夏の色』
これはがらりとお話の雰囲気もシリーズ中の年代も変わって、シャーロック十四歳、寄宿学校時代のひとこま。
この扉絵のシャーロックの挿絵が私、けっこうお気に入りなんです。まだそんなにえらっそうじゃない少年のシャーロックが新鮮!
ストーリー自体は特になんということのないものでしたが、シリーズ本編では見えてこないキャラクターの楽しみどころがたくさんあって、寄宿学校の雰囲気も新鮮で、読んでいてなかなかお得なお話でした(笑)。
今読んでいると、シャーロックとビアード、ケネスとの昔の関係が今と比べて色々新鮮で面白いな。ケネスはここだと完璧にふたりの先輩で立場も上なんですね。
アイスクリームがなんといっても印象深いアイテムでしたが、そういえば、木登りする貴族・シャーリーも、ここが初出でしたか!(『恋のドレスと翡翠の森』より)本当になんでもできるのねシャーロックは…。
緑色の瞳の女とつきあうなとか、清純な女とすれている女ならすれている女を選べとか、確かに忠告として間違ってはいないよね、その後クリスにぞっこんになった彼の姿を思うと……。
でも緑色の~云々は、単にレイモンドのけん制だったのかな(笑)。

『幸福な淑女』
幸福な、淑女……ですか。そうですか。はい。
読み返すごとに、何とも言えない複雑な気分になるお話です。
一番悪いのはきっとヘンリーなんだけど、それを分かった上で攻めていったはずなのに、結婚後はそれ以上のものを望んで憎しみをつのらせていくドロシアも、相当あれなんですよね…。
コニーも最初の方はけっこう打算的だったしね。幸せな結婚をしてやわらかく良い人になったけれど。
うーん、貴族社会、というか型どおりの淑女教育とでも言えばいいのか、改めて怖いです。ぶるぶる。
独身の美しい貴公子・ヘンリーに憧れるドロシアたちの姿、シャーロックに憧れているという社交界の女性たちも、こんな感じなのかなあ…と想像してちょっと微妙な気持ちになったり(笑)。
とりあえず救いなのは、コーネリアとアップル姉妹の仲の良さ、でしょう。
そして忘れていたけれど(汗)、ここでコーネリアにプロポーズしていた、ビアードの本物の愛情。
複雑な愛憎がうずまく家で育ってきたコーネリアが、彼の愛を自然に受け入れられるようになるまで、しばし、見守っていこうかと……。


特にドロシアの友人・コニーとモアティエ家の執事・ボーデンなどは、後々再登場するひとたちなので、メモメモ。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪
コメントもありがとうございました!はい、やはりそうでしたか、了解しました!わざわざお返事くださってありがとうです(笑)。

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

この記事に対するコメント

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 |  #
2012/02/24 20:26 * 編集 *

Re: メールホームにてお知らせしたのですが

>コメントありがとうございます。

こちらこそ、はじめまして。

メールフォームでの返信……す、すみません!
実はきちんと届いていて、読ませていただいてました。
ただ、『伯爵と妖精』シリーズにお怒りを感じていらっしゃるということで、文章を拝見しているとかなりお怒りになられているんだなあと思い、私では、あなたさまの怒りの感情をとても受け止められないのでは……という気がして、あえて控えさせていただいていたのです。
私のブログは基本的に、どんな作品でも食べ物でも「好き!」という気持ちをメインに語るブログですので、コメントも、マイナスのものはできれば…避けていただきたいな、と。
ええと、なんといえばいいのか、私はこういう内容のブログでしかやっていけないんですよ。
もちろんお話にたいしてマイナスの感想を持つこともあるんですが、私の場合、そういう文章を書くのは、精神上ものすごく疲れることで、時間もかかるしぐったりしてしまうんです(汗)。
このブログ、あくまで私の楽しみの一環として書いているものですし。
かたよってることは承知してます。ううう、せっかく書いてくださったのに本当にすみません……。

『恋のドレス』シリーズ、再読向けですよね!私も本当にそう思います。
『幸福な淑女』、おっしゃるとおり、ちょっと苦手なんだけどつい読み返してしまう…そんなお話です。
シリーズを読み進める毎にモアティエ公爵家の人にもだんだん愛着がわいてきて、みんな憎み切れなってきましたしね。ドロシアさまだって(笑)。

以上、お気を悪くされましたら、本当にごめんなさい!

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/02/25 20:21 * 編集 *

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