Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)恋のドレスと約束の手紙 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
(2008/09/02)
青木 祐子

商品詳細を見る



ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ再読13冊目。(本編としては11冊目。)
ついに想いを通じ合わせたクリスとシャーロック、手紙のやりとりを通してそれまでとは違った関係を築きはじめる。
だがある日、「薔薇色」にギルレイと名乗る男が現れ、クリスにシリルという女性のドレスを依頼する。
クリスは採寸のためにロンドンを訪れるが、指定されたホテルはかつての「薔薇色」があった場所。
女優だというシリルに振り回されるうちに、闇のドレスの一派に近付いていくクリス。
一方でシャーロックの方もまた、闇のドレスの謎を追って、過去の真実の一部にたどり着くことに……。


再読です。現時点で再読は『宵の明け星』まで進んだところです。
何だかもう、シリーズの完結編が出るまでに、再読記事を書くことも再読自体も、きりがいいところまでも終わりそうにないので(できれば『月の降る城』まではたどり着きたかったな…)、どうしようか迷ったんですが(今でも迷ってるのですが。笑)、やっぱりどの巻も読み返すごとに面白くって大好きで、とにかく自分が語りたい!!というかメモとして少しでも残しておきたいなと自己満足的に思うので、書いてみます。もしかしたらこの記事だけで終わってしまうかもしれませんが。
中途半端なことをしていてごめんなさい。みなさまよろしければ後少しお付き合いくださいませ……。


※この感想も、シリーズ最新刊まで読んだ上での感想なので、初読の方はネタばれ注意です。一応注意して書いてるので決定的なネタばれはないと…思うのですが。
引き続きおすすめは、『空夢ノート+』さまの素敵感想記事です。→こちら


この巻は待ちに待った、クリスとシャーロックのお付き合い編・スタート!(笑)
頁を開いて、まず登場人物紹介で手紙を愛おしそうに読むふたりの挿絵、冒頭の文「あなたにキスされて~」、第一章のくすぐったく微笑ましい恋文、それぞれが今までになく恋の甘さに満ちていて、読んでいてもう撃沈です……うう、たまらないです。
この巻の前半の方は、ラブレターにはじめてのデート、初恋に照れとまどいつつもそれまでと違うふうに距離を縮めていくクリスとシャーロックのふたりが本当に微笑ましくって、読んでいてこちらまで、幸せいっぱいの気分になれました。
この辺りではまだ、ふたりの間に横たわる問題はまだ深刻に表面化していなくって。パメラも基本的に、恋人ができたクリスを純粋に親友として応援してがんばってくれてるし。楽しく初々しいラブラブにひたれました。

クリスもシャーロックも、想いの言葉が本当に美しいふたりだなあと読み返すたびにしみじみします。地の文章も美しいのですが。細部の一文一句すみずみまで味わい尽くしたいと思える小説は、他にはそうそうありません……。
この巻は特に、シリーズの中でも私好みの文章、台詞、場面が多くって、特にお気に入りの部分は今でもだいたい暗記しています(笑)。
私は特に、128頁~129頁のクリスの手紙が、全文とてもとても好きです。

あなたは冷たくてきれいな水のようです。

――最後のこの一文、実は、このシリーズ全体を通してのクリスの名言集(私の脳内の)の中で、ベスト1。
上手く説明できないんですけれど、恋人をこんなに美しい表現で言い表せるクリスに惚れ惚れします。
(『聖者は薔薇にささやいて』に収録されている漫画を読んでからは一層好きですー。大好き!)

一方、シャーロックの手紙で一番好きなのはこれかなあ。
「それまできみがぼくを覚えていられるように、薔薇を贈ります。」(10頁)……うわあ甘いよ、一見さりげないけれどなんて甘くて気障な文章…!
でもシャーロックだと、手紙も薔薇も様になっちゃうんですよねー。実際クリスはお店いっぱいあふれている薔薇に、忘れられなくなってますし、彼のこと。罪な人だな…(苦笑)。

そしてこの巻からのお楽しみは、腹をくくってクリスへの恋愛感情を認めて恋人になったシャーロックの、尊大なのに弱気なぐるぐる思考でしょう、なんといっても(笑)。
クリスへの恋をきっぱり肯定しているのはめちゃくちゃ格好良いんですが(この上なくえらっそうですが)、クリスを好きすぎて自分の想いをひとり持てあましてる姿がもう、本当に楽しくてかわいくって。普段の彼とのギャップがよけいに笑える…。

けれど、お話の主に後半からの展開は、過去の闇のドレスあれこれがどんどん明かされていって、クリスも闇のドレスにどんどん近付いて行って、シビアでずっしりくるものでした。
今の私は闇のドレス側の事情ももう分かってるしギルレイたちがどうなったかもわかった上で読んでいるので、昔と違って色々冷静に眺めることができて、新鮮だったな。
クリスは思うにこの巻のラスト辺りが一番ぐらついていたんじゃないかと……あそこでコルベールに屈するとは!シャーロックがクリスに追い付いてくれて本当に良かったです。
パメラの伝言だけでビーナス座のぴったり正確な場所にいけたシャーロックも何気にすごい。『開幕のベルを鳴らして』の時点から、彼はクリスをものすごく気にかけていたんだな…彼の愛の深さを感じました(笑)。

今の私は、闇のドレスの謎がある程度理解できてた分、今回のお客様・シリルの物語をメインとしてたどっていた感じだったかな。
シリル、クリスとシャーロックの逢瀬を邪魔した時点で、シリーズのお客さまの中でもだんとつで好きになれない女性なのですが(苦笑)、闇のドレスサイドの人間に良いように使われてきた彼女を思うと…哀れだなあと思いました。
「名無しの花」と「名もなき花」、言葉は一見似ているけれど、意味というか込められた想いは全然違うよね。
シリルに関しては、パメラもがんばってくれたよなあ。格好良かったなあのケンカのシーン…。挿絵がまた素敵すぎる!
後のシリーズまで読む限り、田舎で真面目に頑張っているようで、何よりです。なんだかんだでシリルと最終的に文通仲間になったパメラに和みました。女って立ち直れるんですよね。良い意味でのしたたかさに救われる思いでした。

この巻のラスト、シャーロックの屋敷にいったクリスの場面、初読時はどうしてクリス帰っちゃうのー!!ともどかしく思った覚えがありますが(笑)、今読むと、そうだよね、ここで恋の甘さに流されちゃいけないよね……。肝心なところで踏みとどまれるクリスでよかったなと、心から思ったのでした。
もちろんそこにいたるまでには、シャーロックの確かな愛情があったのも事実で、それも忘れちゃいけませんけれど、ね。
パメラの存在も、本当に大きいなあと。今に限ったことじゃないけど、クリスにパメラがいてくれて、本当に良かったです。
そして、私はここのあたりが冒頭の一文にあてはまるんじゃないかなあと勝手に解釈しています。違うかもしれませんが(笑)。

あとは、すっかり「薔薇色」に馴染んで、パメラと厨房でお菓子を作ったりお客さまにお茶を出したりまでやってくれてるリルちゃん、エド、アントニーに和んだり(笑)。
パメラの過去をあっさり受け止めたり、シャーリーを「あれでやさしい男です」と評するイアン先生に和んだり。
クリスとシャーロックの初デートの夜、くすぐりあってきゃっきゃっしているクリスとパメラが微笑ましくかわいらしかったり。
シャーリーとエドのバトル、付け合わせでおろおろしているアントニーの挿絵に笑ってしまったり、とかね。
そしてクリスといいアントニーといい、シャーロックは本当に人を見る目があるなあ…。
コーネリアは出てくるたびにかわいいです。昔は分からなかった本音を読みとるたび彼女を好きになります。

エラ・コルベール・ウォーレン・クライン=アイリス・ウォーレンの母親=ヒューバート・クライン卿の正妻=「カサンドラ」の女優。
おおお……はじめて読んだ時は思いもかけなかったのでよけいにずーんときたな…。

お気に入りの名場面・名台詞。(本当は抜き出せないほどたくさんあるのですが…。)


シャーロック・ハクニールさま
本当にごめんなさい。とても逢いたかったです。でも間に合いませんでした。ごめんなさい。好きです。 クリスティン・パレス (93頁)

――これは『活字倶楽部』の読者投稿である方が取り上げられていて、あらためて読んでみて、これすごく好きだ…と改めて思った手紙です。
何の飾りもごまかしもない、この上なくシンプルで素直な謝罪と愛の言葉。クリスらしくてとても良いです。


「やあ」
シャーロックは軽く手をあげた。
クリスは、こんにちは、と小さな声で言った。ほんのりと頬が染まってくる。
シャーロックは何か気のきいたことを言おうとし、そのかわいらしさに何も言えなくなる。 (112頁)

――クリスもうほんとうにかわいいよーシャーロックの幸せ者め!(笑)


メモ。
季節は夏。
シリル・マクバーン、エラ・コルベール・ウォーレン(前も出てきたけど)本格的には初登場、かな。


ここ三日ほどの間それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1045-b5717a74
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)