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『恋のドレスと舞踏会の青 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

恋のドレスと舞踏会の青―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫 あ 16-23)恋のドレスと舞踏会の青―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫 あ 16-23)
(2009/01/30)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、再読14冊目、本編的には12巻目。
シャーロックが『薔薇色』の仕立屋クリスを想っていると知りながらも、彼への想いを断ち切れないアディル。
彼女はオルソープ伯爵家主催の舞踏会で、新たに仕立てた「恋のドレス」を着て、もう一度シャーロックを振り向かせようとする。
一方招待状が届いたクリスとパメラのふたりもまた、お得意先のバーンズ家の婦人たちと一緒に、舞踏会へ行くことを決める。
舞踏会の一夜に交錯するそれぞれの秘めた想いは果たしてどうなるのか……!?


引き続き再読記事です。これで再読記事はたぶんストップかな…。
※この記事もシリーズ最新刊まで読んだ上で書いている記事なので、注意して書いてはいますが、いちおう、初読の方はネタばれご注意くださいね。
この巻もおすすめは、『空夢ノート+』さまの素敵感想記事です。→こちら


この巻は、舞踏会編ですね!きらきらで豪華でしたね!(笑)
クリスとシャーロック、アディルさま、パメラ、ジャレッド……それぞれの想いがぶつかりあい作用しあい、展開に目が離せなくて、最後までどきどき非常に読みごたえがありました。
特に初読時は、アディルさまの恋のドレスを用いての体当たり必死の勝負が、どんな風に転ぶのかが本気で分からなかったから……うーん、はらはらしたよねえ。アディルさまは本当に最強のライバルです。
クリスとシャーロックのぎりぎりに決まった逢瀬も今度はうまくいくのかどうか、オークスのときの例もあったから、余計に心配で。

今読んでいると、『黄昏に見る夢』の感想でも書きましたが、必死なのに届かないアディルさまの想いが痛々しい……。『聖夜の求婚』まで読みおえた私は今ではアディルさま大好きですから。確かにクリスにはない美質を持っている女性だと思いますよ。
最初のダンスの場面、シャーロックの手袋の手触りにしあわせな気持ちになっているところ、その手袋は実はクリスの手製のものだったというのが、なんと言えばいいのか……青木先生お上手ですよねえ…。ため息。シャーロックって本当に、クリスただひとりにすばらしく誠実な男だな。
ブリジットに伝言を託す例のシーンは、静かではりつめていて、とても切ない気分になりました。
ブリジットの胸の中も気になります。優秀な使用人の彼女は命じられれば主人の恋敵への伝言まで顔色ひとつ変えずにやっちゃうけれど、ブリジット自身は果たしてどんな風に感じているのか。心はそう簡単に割り切れるものなのか……?色々考えてしまいます。
コーネリア、アディルさまに協力してあげるという約束をしていたけれど、約束以前にシャーロックは舞台から去ってしまって。どういう協力をしてあげるつもりだったのかなあ。

シャーロックとクリスは、相変わらずラブラブだけど、前の巻より関係が一段階深まった分だけ、すれ違いが。
クリスの仕事に口出しをするシャーロック、その言い分はちょっとどうかと思います…。言ってることが矛盾してるし。
クリスも思ってることだけど、そもそもシャーロック自身、妹のドレスを頼みにやってきて、クリスを「プリアモス」に無理やり連れて行った困った男のお客だったじゃないのー。自分のことを棚に上げているんじゃないよ!(笑)
まあ、心配で仕方ないのも分かるんですけどね。それ以上に独占欲がすごい(笑)。
それでも後から反省してきちんとあやまりにいけてるところは好きです。
これでクリスがせっかく準備していた手袋を渡せてなかったら、読んでいる私的にも彼をどなりつけてるところでしたよ……あぶないあぶない。
100頁の「もどかしいのはぼくのほうです。……」辺りのシャーロックのいらだたしい感情は、なんだかすごく胸に残りました。

クリスは、なんというかね……。ジャレッドの登場とか舞踏会とかで、シャーロックとの身分違いの恋の現実をひとり突きつけられている姿が、読んでいて痛々しく辛くなりました。
ジャレッドはクリスへの態度は紳士的で優しいけど、言ってることはすごく残酷…事実なんですが。
「わたしは彼のしあわせを祈るだけ、未来はけして邪魔しないから、せめて今だけは……」ああ、多くを望むことを知らないクリスの心情が切ない。
後々の巻とか読んでいて、やっぱりジャレッドは、シャーリー以上の真実の「氷の男」だなあと思います。内にけして溶けない凍てついているものを感じる。
といって嫌な男ではなく、なんだかんだでクリスのことを命をかけるほどに大切に考えているし、大人で優しいのですが。
グリーン・パークでの逢瀬も、正直、ジャレッドがいなかったら実現しなかったんでしょうしね…。クリスまずお屋敷を抜けられないじゃん。さらにいうと本人もひとりじゃ抜け出せてなかったし。詰めが甘い男だなシャーロック(苦笑)。

それでもラブラブシーンもとても盛り上がって楽しめたから、良いのです。
上にも少し書いた、手袋のやりとりがまず本当に好きです。この巻以降も、クリスのプレゼントの手袋の使われ方がもう本当に好き。いつもさりげなく、言葉で語られる以上に効果的にふたりの愛情をあらわしていて、たまらないです。
それにしても何度も思うけれど、手に触れた記憶だけを頼りにぴったりした手袋を作れるクリスはやっぱりすごすぎです。確かに彼女は天才ですよ(笑)。
お話のラスト、月夜の公園での逢瀬の場面も、ひそやかに、最高に盛り上がりました!
読書メーターの他の方の感想にもありましたが、コルベールがアディルに月が出ているといいですねとかなんとか言ってた部分を、ふたり知らずに再現したかたちになっていた場面でした。
うん、燃え上がってますね……。
クリスのお洒落について、「忘れてる…?」と微妙に傷ついたクリスにあわててとりつくろうシャーロックが、この場面では一番好きだったりします。何気なく書いた言葉でも恋人はしっかり覚えているもんです、うかつなことは書けないよね。
いや、ふたりともお互いのラブレターを何度も読み返していること前提で、「薔薇は秋でも~」の伝言を使うあたりも、信じあうふたりの愛が素敵でやっぱり良いなあー、そんな感じなのですが。

そして、クリスはあたしが守るんだ!とがっちりと決意して、影に日向にクリスのためにがんばるパメラが相変わらず素敵すぎです。アディルさまのドレスの件でクリスがぐらぐらしなかったのは、本当にパメラのおかげだよ。
あとパメラは、今回もコーネリアとビアードの恋のキューピッドをしてたのね……。そりゃコーネリアが恩を忘れず仲良くしてくれる訳です(笑)。

あとは、舞踏会の更衣室でのバーンズ夫人とメイドさんたちとクリスの交流の場面が、あたたかくてすごく好きなのです。
恋人に逢いに行くのだというクリスを、みんなして純粋に応援してくれてて、女の人たちって素敵だね、とほろりとしました。何度か読んでいるとメイドさんたちの区別もなんとなくついてきたわ(笑)。
和気あいあい、助け合ってる雰囲気が好き。
水の小鬢をわたすメイドさんとクリスの挿絵も大好きです。

ミセス・コルベールとリンダは、このお話では何を考えているのかいまいち分からない(苦笑)。
闇のドレスのいかがわしさをなんとなく感じ取ってあれこれ必死なハノーヴァも、彼なりに気持ちが伝わってきます。父と娘、アディルさまを大切に思う使用人としてどちらが正しいんでしょうねえ。

主にパメラ視点から読む舞踏会の描写も豪華で楽しかったです。
さりげなく『薔薇色』の前のお客様達の名前が出てきたり。
パメラとシャーロックのダンスの場面も好き。ビアードとの場面も。
抜けだそうとしていたシャーロックが、図らずもビアードとコーネリアの痴話喧嘩を立ち聞きする羽目になった場面も笑えるので好きです。なんだかんだいってこのふたりは甘甘な恋人なのね~うふふ。

エピローグの男性陣『薔薇色』勢ぞろいは妙に和みました~。パメラが最強。彼女が最後に放った台詞がとっても面倒くさそうで笑えてしかたがないです…。
同時進行で進んで行くパメラの裏エピソードを思うと、できれば『聖者は薔薇にささやいて』の感想まで書きたいんですが、もう無理ですね……無念。
パメラ本当にお疲れ様でした、ですよ。


お気に入りの名台詞・名場面セレクト。

「クリスに首ったけだもんね、あんた。クリスもだけど」
パメラが呆れてつぶやくと、シャーロックは、少し照れた。
「まあね」
珍しく、素直に答える。これまでの冷たい表情が、少年のようにほころんだ。
それはこれまで見た中でいちばん魅力的な表情で、パメラは一瞬、ふらりときた。
……不覚だわ、と思った。 (200頁)

――男に厳しいパメラをもよろめかせるシャーリーの笑顔の魅力って一体!(笑)
そのいい笑顔を引きだしたのが、他でもないクリスの話題…というところが素敵です♪


「ここは清楚に攻めたほうがいいと思いますわ。彼のお好みはどうなの、クリス?」
いつのまにか、まわりにメイドたちが集まってきている。クリスは赤面した。
「いえ――彼は、紳士なので、そういうことは、気にしないと思います」
たどたどしく答えると、そこにいる全員が笑った。 (212頁)

――読むたびに微笑ましくつっこみたくなる部分。
いやいやいや、クリスはシャーロックを思いっきり誤解してる、というか信頼しすぎ!(笑)
そんな純情なクリスがめちゃくちゃかわいいです。皆の気持ちも良く分かります。


メモ。
季節はえーと、社交期の終わりと言うことで。
ジャレッド・ソーンダイク、初登場。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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