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『夏天の虹―みをつくし料理帖』高田 郁 

夏天の虹―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)夏天の虹―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
(2012/03/15)
高田 郁

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『みをつくし料理帖』シリーズ第七弾。
想い人である小松原と添う道か、料理人として生きる道か。澪はけして交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。
けれども夜空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、けして譲れないたどり着きたい道が、はっきりと見えていた。
澪は自身の決意を、小松原本人に伝えることに――(『冬の雲雀』)。
その他表題作『夏天の虹』を含む、「つる家」の料理人・澪とそのまわりの人々が織りなす、料理と人情の物語。試練の巻。


『みをつくし料理帖』シリーズ、待っていました!のシリーズ最新刊。
前巻までは既刊をまとめ読みしていたので、新刊を買ってきて読むのは、今回がはじめてになります。

ええと、前巻のラストからして、澪が思い悩む辛い展開になるのは、まあ予想していました。
予想していました、が……、実際にはさらに、澪に降りかかる試練は過酷で辛かった。
読んでいて胸が痛んで仕方がありませんでした。お料理は変わらず美味しそうなのに、あんまり辛いので、いつもより読んでいておなかが空かなかったくらい……でもやっぱり美味しそうだったけど(笑)。
それでも澪の周りにいる人々のあたたかな心は、辛い時だからこそというか、いっそう身に染みて。芳さんも種市さんもりうさんもおりょうさんも源斉先生もふきちゃんも、みんなみんな一層素敵です。
美味しく食事をすることは、それだけで生きる力なのだなあと、読んでいて胸がいっぱいになったりして。

そして四話目の『夏天の虹』までたどり着いて読み進めていって。
……うわあ。なんでしょうこのお話。もう泣くしかないよ。涙しか出てこないよ。とても言葉では言い表せない…。
読み終えて、涙がとまらなくって、しばらく放心していました…。
読書メーターの他の方の感想にもありましたが、あんまり悲しいので、読み返すこともためらってしまいますね…(苦笑)。
巻末の読者の声に、心の底から同感。
(そして、ちょっと嬉しいお知らせも!)


そんな感じで以下は、ネタばれありの各話ごとの簡単な感想です~。
今回は追記に収録しますね。

『冬の雲雀――滋味重湯』
上にも書きましたが、予想通り、前巻のラストでの決意でひとり悩み苦しむ澪の姿は、読んでいて辛かったです。
そして澪の決意を受け入れ、すべての泥を自分でかぶることにした小松原さま、本当の本当にいい男だったんだな。と。こういう展開になってはじめて彼の澪への想いの深さ、ふところ深さに気づかされるとは……切ない。
その小松原さまの想いを黙って受け入れて、彼の大切な人が苦しみ彼を非難する様子を見ることしかできない澪も、これまた本当に辛いだろうなあ、と。
しのぶさんの幸せそうな姿を見られたのが、救いだったなあ。いや、本当に良かったです。
そして芳さんと源斉先生の澪への心遣いが、身に染みました。
冬の雲雀のラストも、あたたかでこみ上げてくるものがあって素敵でした。

『忘れ貝――牡蠣の宝船』
澪が料理に情熱を注ぎ試行錯誤して一品作りだしていくお話は、やっぱり読んでいて魅力的で、どんなすてきな料理ができあがるのか、わくわくしてとても良いです。
ふきちゃんと健坊、ふたりともそれぞれ成長したなあ、と思いました。又次さんも出てくると安心感が……あるな。しみじみ。
姉弟のつかのまのひととき、宝船を重ねてできあがった「牡蠣の宝船」、粋だなあ。確かにこんな名前のメニューだったら、幸せにあやかってちょっと食べてみたくなります。
澪と美緒さんの友情も良かったです。同世代の女の子だからこその打ち明け話ってときに最高の救いですよね。しかし美緒さんは本当にいい娘さんだなあ…。
花嫁行列と忘れ貝、ああ、切ない。本当に読んでいる私の方まで身を切られるように痛い……。
ラストのりうさんの澪への言葉いくつかが、優しく身に染みいって、切なくもほろっとしました。


「澪さんの料理には、祈りが籠っているんですよ。
食べるひとの幸せを心から祈る、切ない祈りがね」 (153頁)


シリーズの一番はじめのお話で出てきた牡蠣の再登場、私もなんだか感慨深かったです。
柿と胡桃の白和えも美味しそうだし、寒ぶりも美味しそうよ。

『一陽来福――鯛の福探し』
澪の身に降りかかった、さらなる試練。
もう良いよ、なんで澪はこんなに苦しまなくっちゃいけないの……やり切れない思いになりつつ読んでいました。
私自身、澪と似たような境遇に過去におちいった経験があったせいか、いつ治るかも分からない底知れない怖さがリアルに感じとれて、本当にたまらなかったです。
そんななか、又さんの助っ人は確かに頼もしかった!
そして個人的には柳吾さんのアドバイスが、とても心に残りました。
そうか、このおひとは、けしてただ厳しすぎるだけのひとじゃなかったんだな……本当に必要なときに必要なことを言ってくれた彼、株があがりました(笑)。

そして鯛のあら炊き、福探しのエピソードが、読んでいて人情味あふれていて本当に良かったです。
確かに鯛の福探し、楽しそうです(笑)。
美味しいお料理を美味しくいただくことは、生きる力なんだなあと、ひしひし感じました。
逆境だったからこそ澪がたどり着けたひとに優しいお料理に、またほろりと。
わかめご飯もおいしそうだったな…ごくり。

『夏天の虹――哀し柚べし』
章タイトルからして不穏なものを感じましたが……、まさに、その通りのお話でした。
又さん……だめだ、やっぱりうまくどうしても言葉にならないや(涙)。
直前までの彼が、おだやかな陽だまりの中にいるような優しい感じだっただけに、一層やり切れない思いになりました。ふきちゃんとも仲良しで、和んだものだったのに。
特にりうさんの台詞が心に残りました。
燕と、柚べしと、澪の味覚の回復と、悲しみの中にもあたたかな癒しがあって、ラストの虹も、美しかった。
柚べし、本当に美味しそうだな。かみしめたい。

初かつおのエピソード、江戸のひとはそこまで好きなんだなあ……と改めて新鮮に思ったり(笑)。
竹の皮で包んだ梅干しでみんなでほのぼのしているシーンも好きでした。


本当、巻末のかわら版に書いてある通り、「雲外蒼天」をひたすら信じて、最後まで読んでいくしかないなあと思います。ここまできたら、ね。
澪の想いの行方もどうなることやら。小松原さま、ここで出番はおしまいと言うことは……ないよね?でも本当にどうなるのか、どうするのがいいのか、全然分からないのですが。
次巻まで間が空いてしまうようですが、レシピ集が出るとのことで、これがとっても楽しみです♪

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カテゴリ: 歴史もの

タグ: 高田郁 

この記事に対するコメント

fallcloverさま、こんばんは。
なぎと申します。
読書メーターの方で多分何度かナイスを頂いてると思うのですが、こちらでははじめましてだと思います。

夏天の虹、私も涙が止まりませんでした・・・。
もう最初から最後まで。
特に又次の死が辛くて辛くて。あの笑顔がまさかいわゆる死亡フラグだったとは思いもよらず。
そんな涙の展開の中にも、温かいエピソードがあるのがこのシリーズのいいところですね。
柳吾さんの厳しいけど真っ直ぐな指導とか、澪&美緒のガールズトークとかとても良かったと思います。特に真実を打ち明けられる友人がいる、というのは澪にとってどれほどの支えになったことか。

続きが出るまでの1年長いですけど、『雲外蒼天』を信じて待ちたいと思います。

TBも送らせて頂きましたので、よろしければ覗きに来て下さい。叫んでるだけの感想なので、お見苦しいとは思いますが。
それでは乱文失礼しました。

URL | なぎ #-
2012/03/19 20:54 * 編集 *

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

 |  #
2012/03/20 10:35 * 編集 *

Re: タイトルなし

>なぎさん
コメントありがとうございます。

こちらこそ、どうも、はじめまして♪
って、そうですよね、読書メーターの方ではすでに色々お世話になっていますよね(笑)。
なぎさんは、私の中では、白泉社系漫画がお好きな方……というイメージがありました(笑)。
そして今回、ブログの方にもていねいなコメントをいただきまして、とても嬉しいです。ありがとうございます!

さて『夏天の虹』、本当に涙が止まらないお話でしたよね…。うう、又さんのことを思うと未だに泣けてきます。
私もあのおだやかな雰囲気が、ラストのあの展開につながっていくとは思いもよらなくて……。
そう、そんな中でもほっこりするエピソードも忘れずしっかり読ませてくれるところも、このシリーズの良いところですよね。
確かに、真実を打ち明けることができる友人の存在って、わが身を振り返っても得難いです。澪にそんな素敵な友人がいて本当によかった…と、またほろり(笑)。

本当、「雲外蒼天」を信じて待つしかないですね……ファンになった身としては。

TBの件、了解です~。なんだか調子が悪かったみたいで申し訳なかったです…。最近あまりTB使っていなかったので、何か問題があったのに気づかなかったのかも……(汗)。
なぎさんのブログ、読ませていただきました~。やっぱり私が好きな白泉社の漫画の記事がたくさんで、嬉しくなりました♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/03/21 10:07 * 編集 *

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