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『恋のドレスと宵の明け星 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

恋のドレスと宵の明け星―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)恋のドレスと宵の明け星―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
(2009/04/28)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、再読15冊目、本編的には13巻目。
社交期が終わって婚約の話も立ち消え、仕事に打ち込むシャーロック。
ところがクリスはシャーロックの態度がそっけなくなったと感じ、彼との微妙なすれ違いに心を乱したクリスは、得意先のバーンズ家の令嬢のドレスを作れなくなってしまう。
そんな折に、以前顧客だったソールズベリ令嬢・パトリシアと出会い、その明るさに救われたクリスは、ドレスを作る意欲を取り戻す。
だが依頼をうけた矢先、闇のドレスに関わる事件で伯爵だった父親を亡くした女性・イヴリンが『薔薇色』を訪れて――。

ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』再読記事、ふたたび(笑)。
実際に再読したのは本編完結前、今から一か月くらい前なのですが、やっぱり記事に書きたいなと頭のすみでずっと思っていたので、しつこいと思われるかもしれませんが書きます。
このシリーズは本当、巻を追うごとに完成度が増してきて素敵なお話になっていくので、再読していてとても楽しいのです…♪


※この感想も、シリーズ最新刊まで読んだ上で書いている記事なので、初読の方向けではないかも……一応お気を付け下さいね。

この巻は、はじめて読んでいた時は、恋でドレスを作れなくなってしまったクリス、というのが、ヒューに夢中になってドレスを作れなくなって病んでいった…という母親のリンダの姿に重なって、ショックで少し怖くなったものでした。
ああ、クリスも母親と同じ道を歩み始めているのかもしれない、闇にまた一歩、近づきつつあるのかもしれない…みたいな。
繰り返しですが、昔は闇のドレスサイドの人たちとクリスとのつながりが本気でつかめなかったから、クリスに感じるあやうさって、相当のものだったんですよね。ラブラブになればなるほど怖かったといいますか(笑)。

でも、闇のドレスについての色々抜きで今読んでいると、クリスってけっこう普通に恋に悩める乙女で、なんだか新鮮な感じがしました(笑)。
確かに、手紙がそっけなくなったとくよくよ悩み続け、パメラは美人で男性に人気があるからいいなあ…とうらやましがるクリスに、さじをなげちゃうパメラの気持ちもよく分かるよ(笑)。
けれどもクリスは、影響されてドレスを作れなくなっちゃうほどに悩んでいるんだよね…クリスの性格もあるだろうけれど、やっぱり、このふたりの恋は、当たり前の恋人同士としては、あまりに障害が大きすぎるから。
クリスにとってみたら、シャーロックが好き、でもこの恋はかなわないから…と片想いしているくらいが安心できていたのかも、というの、なんとなくわかるような気がしました。
クリスに言わずにパメラが内心きめている覚悟が、痛いです。結局のところ、ふたりはいつか別れるしかない。身分差はどこまでもシビア。

一方のシャーロック、お話のはじめあたりで、クリスとの身分違いの愛を力強く肯定して、そのためにも仕事に打ち込むのだ、と言う姿が、めちゃくちゃ格好良いなーと思います。何度読み返しても好きな部分。
まあお坊ちゃんの考えと言えばそうなんですけれど(苦笑)。でもここまで誠実にゆがみなく身分の低い恋人を愛せる貴族の男性って、きっとシャーロックくらいだと思うのです…。
でもねえ、そういう肝心なところをクリスに伝えてないんだよね、このひとは。やっぱりつめが甘ーい!
リーフスタウンヒルでクリスがあんなに悩んでいるのに、シャーロックはお話の終了間際まで見当違いに能天気なので、クリスの味方の私としては、読んでいていらいらしたものでした…(笑)。

そんななか、ジャレッドの仲介で、アルフさんとはじめて会うクリス。
ジャレッドはさあ、『聖夜の迷宮』のときもそうだったけれど、クリスが悩んで弱っているのを見計らったようなタイミングでアルフさんを連れてこなくっても……。

そしてパトリシアと再会して、パトリシアのくったくのない明るさに救われた…というクリスも、ああ、よくわかるなと思ったのでした。
パトリシアって、確かにわがままな金持ちのお嬢さまだけど、普通にすごく良い娘さんだと思います、本当。素直でかわいい。
今回は、クリスの恋の応援までしてくれちゃって、ありがたかった!(笑)
パトリシアとショーンとミラルダのあれこれは……まあ、放っておいてしまったパトリシアが悪いよね、としか言いようがないですね(苦笑)。本気の恋ではなかったっぽいとはいえ、失恋する彼女はやっぱり読んでいて気の毒でした。パメラがナイスでした。
「太陽の苑」、素敵なドレスだと思います。
そして結局パトリシアはライと上手くいってる感じで、何よりです。
そして多分『黄色い花の法則』に出てきたジェインちゃん、パトリシアとなんだかんだで友情を築いているようで、こちらも何よりです。(そういえばジェインちゃんは最終巻のあの場にいたのかしら…?)

なんだかんだで今回も一番頑張っていたのは、やっぱりパメラだよなあ。
シャーロックとクリス、それぞれ客観的に正しく見ていてクリスのために色々心をくだき、お客さまの対応に心をくだき、ジャレッドの謎のおさそいをあしらい……(?)。

お話の中盤のクリスとシャーロックのデート、お気に入りの場面です。
挿絵が好きです~。車にもたれかかっているシャーロックも横顔が格好良いし、帽子をおさえてかけてくるみつあみのクリスもかわいい♪
ウォータールー駅での別れ際の会話や色々も好きです。

そして、このお話の中で私的に一番盛り上がった(笑)、ラストあたり、シャーロックの屋敷を訪ねてきたクリス、そして追いかけてきたシャーロック、ふたりのきっと初めての口論。
クリス、言いたいことをシャーロックに全部伝えられて、本当に良かったなーと思いました。
クリスの言葉のひとつひとつを、辛抱強くていねいに聞いてあげて、しっかりと受け止めたシャーロックも良かったです!彼のクリスへの情熱が、目に見えるかたちでひしひしと伝わってくるのが素敵でした。
皆さんおっしゃるように、シャーロックの天然具合(というか、この場合無神経?)は、きっとソフィアさまの血ですね……(苦笑)。

この『宵の明け星』は特に、言葉の使われ方が好きな部分がいろいろあって(どの巻でもそうなんですが)、読み返すごとにああ、いいなあ、素敵だなあ…とうっとりします。
冒頭の文のチョコレートとか、ジャレッドとレストランで食事している場面のアイスクリームとか。他の部分でも効果的に使われていて。
最後の章の名前「恋と愛のあいだ」とか、意味深ですよね。まさにここが、ふたりの関係においての、ひとつの分岐点だった気がします。


お気に入りの名場面・名シーンをセレクト。

彼はクリスの車室の下に歩いてきている。
クリスは窓をあけて、恋人にほほえみかけた。
彼は手を伸ばし、クリスがその手をつかまえる。
ゆっくりと列車が発車し、ふたりの手が離れていく。 (125頁)

――実はこの部分、シリーズ全体の中でもかなりのお気に入りの名文章なのです。
何度も読み返して味わっている内にもう暗記しています…(笑)。
さりげなくも、なんて美しい。映画の一シーンみたい。
ここのちょっと前のデートの場面のふたりの会話も、全部抜き出したいくらいに大好きです。


デザートの、メレンゲを添えたアイスクリームが置かれた。
クリスはスプーンで、それをすくった。冷たくて、甘くて、とろけるようにおいしかった。思わず、ほほえんだ。
ジャレッドはデザートに手をつけないまま、アイスクリームを食べるクリスを見ていたが、ふとやさしい声で、クリスに尋ねた。
「そんなにシャーロックが好き?」 (174頁)

――初読時はさらっと読んでいた部分だったのですが、今読み返すと、ここ素敵だなあ。
アイスクリーム、書かれ方がさりげなくも意味深で、クリスの恋心の甘さにうっとりです。


そういえば、クリスのお誕生日って結局いつだったんだろう……?秋と冬の間くらい?


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪
コメントもたくさんいただきまして、嬉しいです~。ありがとうございます!返信もう少々お待ちいただけるとありがたいです…。

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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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