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『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と灰の狼』三川 みり 

シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と灰の狼 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と灰の狼 (角川ビーンズ文庫)
(2012/03/31)
三川 みり

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『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ第8作目。『銀砂糖妖精編』第2弾。
王家が秘匿し続けてきた銀砂糖妖精ルル、彼女の銀砂糖妖精としての高い技術は、アンやシャルや職人たちの努力もあって、外にも解放されることになった。
それを受けての、神聖なる砂糖菓子作りに人間の使役対象である妖精を参加させよという王家の命令に、各工房の職人たちは浮足立つ。
その一方で銀砂糖師アンたちには、職人候補の妖精を円滑に確保できるよう、妖精職人の長レジナルドに協力を要請するように、との命令が銀砂糖子爵より下る。
ところがもともと油断ならない人物として警戒されてきたレジナルドは、案の定、アンやヒューたちにとんでもない取引を持ちかけてきて……。


『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ、お待ちかねの新刊です。
『灰の狼』、なんだか厳しいと言うか怖い感じだな、どうなるのかな……とどきどきしながら待っていました。
今回の表紙は、あらなるほど。ヒューなのですね!
シャルとヒューはまなざしも鋭く不敵な表情で格好良いし、アンはとっても可愛いです。

今回のお話も、期待通り、面白かったです!
前巻でぐっと広がった作品世界、新キャラクターが登場してきたりすでに出てきたキャラクターが新しい一面を見せてくれたりで、また一層魅力的なものになっていって。
メインキャラたちの銀砂糖菓子への思い、大切な人への想いをかけた、それぞれの戦いの行方に、最後まではらはらどきどきし通しでした。

今回は特に、これまでのお話でも存在感ばりばりだった割に実際の出番というのはそれほどなかったふたり、ヒューとキャットのふたりがお話全体を通して大活躍で、格好良くって素晴らしかった!
「銀砂糖子爵」としてのヒューの揺るぎない信念、どんな圧力にも屈さず銀砂糖を守るため全力を尽くす強さが、頼もしくってめちゃくちゃ格好良かったです。しびれました……。
キャットも予想以上にできるひとだな。格好良いなあ……そして改めて、これまで思っていた以上のお人よしさんですねえ(笑)。くわえてからかい甲斐がありすぎです。ヒューの気持ちもわかるよ。ベンジャミンにまでからかわれつつ…(笑)。
アンも一緒に、「銀砂糖菓子馬鹿」です本当にもう。そんなみんなが読んでいて愛しすぎます。
馬車に銀砂糖作りのための道具をくくりつけている76頁の皆の場面が和んで好きです。

前巻では驚きの一面を見せてくれて、どうなるのかと思っていたキースでしたが(笑)、今回は、うん、やっぱりキースはキースでした。
さりげなく押しの強い面も見せてくれつつ、あくまでお上品な真っすぐさ、公正さ、人の良さを貫き通す姿勢が、良いですねえ。
恋のライバル・シャルに向ける言葉が、いかにもらしくて好きです。
実際にはこんな風にふるまえるひとってそうそういないと思うんですが、キースだと嫌みにならないです。王子様ですもん(笑)。
後半でひとり別行動してラスト大活躍してくれた姿も、格好良かったです!彼も精神的にも色々成長したものです。しみじみ。
もちろん私はアンとシャルの仲を応援して読んでいるのですが、キースにもまだまだ脈が残っているよねえ、これからも頑張って!……みたいにも、ついつい思っちゃいます。
どう転ぶにせよ、料理は、アンよりキースの方がずっと上手なんでしょうね……。

そんなアンとシャルは……恋の進展という面では、とてもじれじれすれ違いの展開でした(苦笑)。
どこまでもお互いの気持ちを誤解してすれ違うふたり、ああ、本当にもどかしい…。初恋同士、仕方ないのかなあ。
危険がせまったときにお互いを強く想い守ろうと全力を尽くす姿は、相変わらず本当に格好良くて燃えるんですけどねえ。特にシャル!

「灰の狼」、レジナルドさん、最初はとてもおっかなくって(あきさんの挿絵がまたすごみがあって…)、アンに砂糖菓子を作らせている場面とかひやひやでしたが、そして結局最後の最後まで嫌みな商売人でい続けたひとでしたが、それでも彼がこんな風になってしまった過去を知ってしまうと……それはこんな風な生き方しかできなくなったのも、無理なかったのかなあ、と。
アンの作る砂糖菓子とエイミーの過去話、お話の最後まで読むと、ほんわかあたたかくて優しくてとても好きでした。エイミー素敵。
砂糖菓子作りに相手への気持ちをこめひたすら全力を尽くす、今回もアンの職人魂は健在。今回の場合、この砂糖菓子がはっきりと決定打になった訳じゃなかったように思いましたが、砂糖菓子とエイミーが運んでくれた幸福、後味がすっきり良いものでした。

レジナルドさんとは別の立場で今回悪役だったダウニング伯爵も、ヒューへの仕打ちとかやっていることは強引で情け容赦ないけれど……彼なりの大切なものを守るための行動なのだと、読んでいてだんだん伝わってくるから、うん、やっぱり嫌いにはなれないおひとでした。
レジナルドさんの場合もそうだったけれど、これまで苦労して生きてきたからこそ、若くても他人の苦労を自分なりのシンプルな言葉で胸に落とし、寄り添うことができるアンが、素敵だなと思いました。
ラストの潔い引き際とアンとの会話は好きな場面でした。

一方、シャルの兄弟石の妖精たち、ラファルと新登場のエリルは、……不穏、ですよねえ。
ラファルが突然再登場してきたときから胸にひやりとしたものがよぎったものですが。ラスト、これは一体どうなっちゃうんでしょう。
ものすごく厄介な展開になりそうな……アンとシャル、大丈夫かなあ。

そんなこんなも気になりますが、次回、アンとシャルのふたりの仲の進展という点からもとても気になります。
あとがき、この書かれ方は……少しは期待しても良いんですよね?ね!(笑)

前巻に引き続き、ペイジ工房のひとたちの出番もできればもう少し欲しかったな、今後はどうかなあなど思いつつ。(特にエリオットさん。笑)
シャルとサリムのふたりの場面がなんだか印象的で、そういえば初期からずっとヒューの傍らに静かに存在していたサリムの過去話も気になるなあとか思いつつ。
王様の真意は結局のところどこまでのものだったんだろうな、と、底知れないものも残りつつ。
ベンジャミンのごはん、やっぱり美味しそうだなあと思いつつ。
キャットはきっと、なんだかんだでベンジャミンに生活のこまごました面倒を見てもらっているんだろうな……。想像するとちょっとおかしくてほのぼの。

最後にあきさんのイラスト、今回も美しくて雰囲気も素晴らしく、ひとつひとつの場面でうっとり堪能させていただきました。
個人的には125頁のシャルの挿絵が特にお気に入りです。シャルの艶っぽい繊細な美貌がたまらないです~。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 三川みり 

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