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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『シンデレラ・ティース』坂木 司 

シンデレラ・ティース (光文社文庫)シンデレラ・ティース (光文社文庫)
(2009/04/09)
坂木 司

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咲子ことサキは幼いころのトラウマにより、歯医者が苦手。
ところが大学二年生の夏、咲子は母親の策略にひっかかり、よりにもよってその歯医者で受け付けのアルバイトをすることになってしまう。
けれどもクリニックのスタッフは個性豊かないい人ばかりで、日ごとに咲子はその場に馴染んでいく。
そんなクリニックに持ち込まれるのは、虫歯だけではなく、患者さんの心に隠された、大事な秘密も混じっていたり。
咲子とクリニックのスタッフたちは、そんな患者さんたちに心をこめて接して、協力して解決の手助けに頑張る日々。


『和菓子のアン』がとても素敵でお気に入りになった作家さん・坂木司さんの小説、二冊目を読んでみました。
過去の『活字倶楽部』の特集ページを読みかえしていて、特にこの『シンデレラ・ティース』が私好みっぽいんじゃないかな、と当たりをつけまして(笑)。
文庫版の表紙、歯磨きハムスターがとてもかわいらしくてきゅんきゅんしつつ(笑)、頁を開いて読みはじめました。

うん、これも『和菓子のアン』と同系統のお話と言っていいかな。
年若いお嬢さんが主人公の、日常ほのぼのお仕事系ミステリー。「王子様」とのほんのりロマンスもあり。とても良かったです!
すらすらと読みやすい文章で、未知の世界で知らない言葉が出てきても全然ひっかかりなく、咲子ちゃんと一緒に自然に知識を増やしつつ読めてしまいました。
読む前は、正直歯医者さんってそんなに興味ないかな(というか、私も正直あんまり良い思い出ないな)……とか思っていたのですが、いえいえ普通に面白かったです(笑)。
舞台が舞台だからか、すっきり清潔感のあるお話で、読んでいて独特の心地よさがありました。都会の夏のオアシス。
そしてこれも『和菓子のアン』と同じく、読んでいて不思議なくらいに毒を感じないです。嫌な人も出てくることは出てくるのですが、フォローがお上手で後に残らない。読み心地の良さが素晴らしいです。
それでいてきちんとミステリーになっているところが素敵!
ちょっとこんがらがってしまっている、悩みを抱えている人の心を優しく解きほぐしていく、こういう系統のミステリーは私、とても好きです。

和菓子屋さんのお話だった『和菓子のアン』ほどではさすがになかったですが、美味しそうな食べ物がさりげなくたくさん登場してきたのも、美味しいもの好きの私には嬉しいポイントでした。

「歯医者さん」、咲子ちゃんもはじめはとても怖がっていましたが(笑)、それは思っていたより大らかに受け入れられて。
「歯科治療恐怖症」なんて病気、あるんですねえ。へええ。全然知りませんでした。
そういうのを分かった上で、患者さんにとことん優しい治療を目指す、品川デンタルクリニックの方針が、とても好感が持てるものでした。
うらやましいなあ、こういう歯医者さんなら、私も進んで通うのにな(笑)。

それぞれ個性的で優秀なスタッフの皆さんも、読み込んでいく毎に、愛すべき素敵なひとたちばかりで、ああ、皆大好きです!
男性陣の中では、私は院長先生がお気に入りかな。「院長ランチ」が美味しそうです。(そこなのね。笑)
優しくて美人さんでしっかり者の女性陣も、憧れてしまいます。
『和菓子のアン』と比べて、スタッフの人数が多めだった分ひとりひとりの描写がややあっさりだった気がして、欲を言うならもう少し踏み込んで、色々読みたかったな、とも。せっかく皆さん素敵なんですから(笑)。

あ、主人公の咲子ちゃんは、いかにも育ちのいいお嬢さん、といった風情。おっとり素直で真面目でがんばりやな女の子で、微笑ましく好感を持って読んでいけました。
やや流されやすいところが欠点かなあ、と思いつつ、アルバイトに頑張る日々の中、咲子ちゃんなりに努力して、どんどん成長していってくれました。仕事の面でも、人間としても。
相手に対していつもまっすぐ、謙虚に心をこめて向かい合う姿勢が、とても良いです。
知識が足りないところは未知のジャンルだろうと真面目に勉強する姿勢も素敵。私も見習いたいものです真剣に……。

そして忘れてはいけないのが、咲子ちゃんと、クリニックのスタッフのひとり・そしてこのお話の中での主な謎とき役・四谷さんとの、ほんのりロマンス。
これが読んでいて、とても微笑ましくきゅんきゅんしました。
「サキちゃん」と皆に呼ばれている中で、ひとりだけ「咲子さん」。ここからときめきました(笑)。
手先が器用で真面目ないいひとだけれど、無愛想で自分の心には不器用な四谷さん。咲子ちゃんへの彼なりの気遣いが、素敵でした。
心を動かされるとなんでも積みあげちゃうところとか、かわいいのです。ティッシュにアイスクリームに(笑)。
慣れてくると、職業柄普段粉まみれなところとかも、お茶目でかわいいじゃありませんか。
後半になって想いが通じ合った場面やその後とか好きです。読んでいて幸せ~。
たったひとりだけに見せてくれる、あの笑顔がいいなあ。

各話ごとに感想メモを。
『シンデレラ・ティース』
読み終えて、あら、本当に『シンデレラ』(笑)。
突然やってきたあの彼、私も最初は誤解していました……そういう事情だったのかあ。いいひとだなあ。ほろり。
咲子ちゃんの去り際に四谷さんがかけたひとことが、なんだかとても好き。
高津さんの最後の笑顔も印象的でした。

『ファントムVSファントム』
読んでいて若鮎(お菓子の)を食べたくなりました……そして四谷さん作・鮎の印象が素敵過ぎる(笑)。
パイナップルのシャーベットも美味しそうだなあ。
北本さんの事情、読んでいて分かる部分があって心が痛んだので、なんとか丸く収まって良かったです。

『オランダ人のお買い物』
ここはとにかく、咲子ちゃんの涙を見て、脱脂綿とガーゼを山のように積み上げた四谷さんが、かわいくっていいひとで、きゅんときました……!
そのあとのイケメン成瀬先生の憤りと、そんな成瀬先生をやり込めるクールな葛西さんのふたりも、おかしくて好きです(笑)。このふたりも案外良いカップルになるんじゃないかな、とぼんやり思ったり思わなかったり。
歌子さんの報復、迫力あっただろうな……いい気味です。
ケーキのたわいない謎ときも、良かったです。

『遊園地のお姫様』
知花ちゃん、おだやかならぬ登場の仕方をして咲子ちゃんを応援して読んでいた私としてはひやひやでしたが……彼女の抱えていた背景は予想以上にずっしりでした。なんというか、頭の中で想像するだけで、辛い。
そしてまさかのカップリングに、ええええー!!(笑)でも、上手くいくと良いですね!
それにしても「指」って、さりげなくもなんだかとても色っぽくて、読んでいてちょっぴり恥ずかしかったり……どきどきしました(笑)。

『フレッチャーさんからの伝言』
年下の彼女になったばかりの咲子さんのこと、これ以上ないほどに真摯に想っている四谷さんが、とても格好良く素敵でした。
その想いをこれまた素直に真摯に受け止めてかえす咲子ちゃんも素敵。
フレッチャーさんのお話は、なんというか、明日から私も心がけてみようかな(笑)。


はい、読んだ後心地よく幸せになれる、素敵な日常ミステリーでした。
現代日本のオアシス(笑)・品川デンタルクリニックで、かわいらしいシンデレラは、優しい王子様に助けられつつ、自分自身でもしっかりがんばって働いていました♪
サキちゃんが、作中でしょっちゅう連絡を取り合っている友人「ヒロちゃん」、『ホテルジューシー』で彼女のお話も読めると言うことで、これも近いうちにぜひ読んでみたいです。

ホテルジューシー (角川文庫)ホテルジューシー (角川文庫)
(2010/09/25)
坂木 司

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ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪
コメントも下さった方、ありがとうございます!お返事、少々お待ち下さいね~。

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 坂木司 

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