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『伯爵と妖精 オーロラの護りを胸に』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 オーロラの護りを胸に (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)伯爵と妖精 オーロラの護りを胸に (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)
(2012/03/30)
谷 瑞恵

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伯爵と妖精』シリーズ、第29作目。
ひとまず旅を終えて、とうとう英国に上陸したリディアたち一行だったが、さっそくあやしげな襲撃を受ける。
体調を崩したリディアの身を案じて、エドガーは、ある老姉妹の屋敷に身を寄せることに。
エドガーは老姉妹に、生き別れの甥と勘違いされて歓待され、一行はひとまず落ち着いた時を過ごせることに。
屋敷に滞在していた男爵令嬢とエドガーが親しくしているのをみて、複雑な気持ちになるリディア。
そんなリディアは体調がすぐれない日々で、身近で世話をしてくれるケリーに、妊娠の可能性を指摘される――。

伯爵と妖精』シリーズ、ついに最終章、なのだそうで。
ああ、このシリーズも、目に見える形で終わりが見えてきましたか。とうとう。

前作2巻くらい感想を書けていなかったのですが……、今回のお話はここ最近の巻のなかでも特に好みで、発売日を過ぎてしまってちょっと今更ですが、ネタばれ感想記事を書かせていただくことにしますね。
とはいっても、シリーズ最新刊あたりのお話の伏線、実を言うとすでに追い切れていない私……感覚で読んでいます(笑)。もし間違ったこと書いてたらごめんなさい。
心に思い浮かぶままの語りの記録として、適当に流し読んでいただけるとありがたいです。


さて記憶を失ったエドガーとリディアたち伯爵家ご一行は、ついにイギリスへ。
正直言うと、記憶を失った、リディアと夫婦であった記憶をなくしてしまったエドガーに、友人として距離をおいて接しなければいけないリディアの姿は、読んでいて辛いものがあります……。ああもう、なんでリディアはこんなに辛い思いばっかりしなきゃいけないんでしょ…(涙)。
まあ、このエドガーをだますなんて、確かにきっと、今しかできないでしょうね。状況が状況じゃなければ、愉快、ですよね(笑)。
フランシス辺りは、案外楽しんでやっているのかも、とか思ってしまったり。

そんな皆のたくらみはけっこう上手くいってて、襲撃をうけたリディアたちは拠点を移すことに。
アンバー邸のひとたちは、私、初登場時からなんだか地味に好きでした。
読んで行くにつれて、予想外に暗い過去があるひとたちでしたが……それはまあ、邪悪なものから大切なものを護りたかったがゆえのことで。
セーラとモニカ姉妹、執事のドーソンさんたちの、お互いへの思いやり、生まれ育った家への愛着なんかは、読んでいて温かくてなんだか懐かしい香りがしました。
思ったんですが、『アン・シリーズ』の『アンの青春』に出てきたミス・ラベンダーのお話と、私の中のイメージが似ている……好きだったんですよね、ミス・ラベンダーとシャーロッタ4世(笑)。あ、今気付いたけれど、シャーロッタ4世の役どころの若い娘さんが、ちょうどローレンですね(笑)…ってそんなことはまあ置いておいて。
ローレン、普通に良いお嬢さんで、読んでいてとても心和みました。正直最初は優しさに裏があると思ってました…今までが今までだったから……疑ってごめんね(汗)。
ブローチの交換をリディアに申し出る場面とか、すごく好きです。挿絵もかわいい!
彼女にも、できることなら将来、幸せな結婚をしてもらいたいな。

最初は仮病をつかっていたリディア、妊娠の可能性を、ケリーに指摘されて。
私が『永久の想いを旋律にのせて』あたりから今までどうしても捨てられなかった「リディアが実は妊娠しているんじゃないか」説、ここへきてようやく可能性がでてきました。個人的な願望混じりでしたが、捨てなくて良かった!(笑)それにしても長く引っ張られてきたなあ……。
まあ、確定はしていないんですけれど。でもラストのフランシスのモノローグがあるから、根拠はないけれど、そういうことで良いんじゃないかと私は思いました。だってあのフランシスですし(笑)。
それにしても、ケリーがリディアの元に再びかけつけてきてくれて、早速色々行きとどいた世話をやいてくれて、ケリーのファンの私としては、とても嬉しかったです!

お話の前半部分くらいまでは、シリーズ初期あたりのような、ちょっと危険な香りがしつつも基本明るい雰囲気の、エドガーとリディアとその仲間たち、のお話を読めて、なんだかそういう点でも懐かしい気分になりました。
エドガーはやっぱりどこまでもタラシでした……それでも今回は、それで深刻な事態にまではならなかったので、まあ気軽に懐かしい雰囲気のエドガーを楽しめました(笑)。ケリーのつっこみが相変わらず的確。
でも、記憶を失っていても、やっぱり伯爵家の家長としてのエドガーの意識は、残っているんですよね。ほんのり感じる毎に、嬉しかったです。
69頁の挿絵が個人的に大好きです。何か無茶をやらかしてにっこり笑顔で報告する旦那さまと、それを聞いて頭痛を覚えつつあきれ顔の奥さま、忠実にひかえつつもきっと内心奥さまに同情している侍女と従者の四人の空気が、いかにも伯爵家の平和だった日常のときそのままな気がして。和みます~。


ブローチはうれしくて、ローレンがうらやましくて、エドガーが笑っているから幸せで、でもちょっとだけ胸が苦しかった。 (88頁)

――明るい日差しのもと、リディアの複雑な心情が切なくて、読んでいる私も胸を締め付けられます…。

あと、予言者、ダネルさんの再登場も。
とりあえず、ダネルさんが無事だったのは、ほっとしました…。
けれどもリディアの許嫁としての役割って、本当にどうなるんでしょ。
そういえば、118頁からのリディアの夢のシーンも、これは一体何につながる伏線なのでしょう?
なんというか、読んでいて、どうしようもなく悲しい気持ちになったのですが……。
「あたしの、命でもいいの?」って、どういうこと??

一方のエドガーですが、記憶は失っていても、やっぱりリディアへの想いは、そのまま残っていた。
記憶は戻らないままにも、彼の想いはどんどんほころびてきてあふれだしてきて、読んでいる私的には、難しいことは考えないままにただ嬉しくて、胸がいっぱいになってきました……。
なのにタイミングとか微妙なところですれ違って、なかなか心は上手く重ならなくって、これまた辛くてたまらなかったのですが。
エドガーも頑張っているだけに、単純に責められない。
これまでとは違う意味で悩みつつ、でも危険からリディアを自然に守りつつ、しだいに昔のような思考を取り戻していくエドガー、その調子!みたいな勢いで読んでいました。

後半部分は、やっぱり危険な展開に。
リディアもエドガーも、いかにもこのふたりらしい行動で、格好良かったです。レイヴンもケリーもニコも。
逃避行の中で、いつしか涙を流しているリディアと彼女の肩を抱くエドガー、切なくも好きなシーンでした。

テランはねー。なんとかならないのかなあ。読み込むごとに、たちが悪すぎでしょうもう本当に。
リディアの身を狙う彼が、不気味すぎます、読んでいて。

そういえば、感想に書いていなかった巻で、ユリシス……(涙)。
まさか、彼に泣かされる日がくるとは思いませんでした。安らかな感じでほっとしました。

そしてラストにふたりを引き裂き、別々に連れ去った組織の思惑は……!?
……いや、ここの彼らの正体は、完全に予想外でした。度肝を抜かれました。
まさかまさか、ここで女王陛下が出てくるとは。改めて考えてみると不自然じゃないんですが。でも驚きましたね…。
エドガーとリディア、それぞれの覚悟を確かめて、最後に「あなたがたは、わたくしの宝なのかもしれない」と微笑んだ女王陛下、ああ、素敵でした。
ふたりを薔薇の庭園で引きあわせる演出も心憎い……♪

そして待っていました!の、エドガーのリディアへの、もう一度のプロポーズ。
嬉しいのに、嬉しいのに、悲しいリディア。挿絵の表情込みで、せつない……。
でもこれは私の希望的解釈ですけれど、エドガーはきっと、リディアの妊娠の可能性、考えてはいる気がするのです。婚約者に望まないことをされて悩んでいたと誤解していて、誤解はしているけれどきっと彼、彼女の妊娠の可能性も考えてて、それでもリディアを手放したくなくて、悩ませたくなくて、すべてを覚悟したうえでプロポーズしたんじゃないか、そんな風に思えて。当時の常識的にはありえないんでしょうけれど、そこは、エドガーですもん(笑)。
「子どもを育てて」とやけに具体的に言ってるのも、そういう意味……じゃないかなあと思いつつどうなんでしょう?(自信なし)
まあ、色々考えますけれど、エドガーのことですから、最終的にはきっとすべてを乗り越えて、夫婦としてきちんと丸く収まってくれることを、信じてます!!

主役ふたりの語りの次に、今回もますます和んだのが、レイヴンとケリーとニコの三角関係でした。
ブラッシングのやりとりは本当に楽しかった……レイヴンの心ない台詞に傷つくよりも、ニコの毛並みを褒める方に力を注ぐケリーが、おかしくてかわいらしかった♪さすがアシェンバート家の侍女なだけはあります。
最初の方から比べると、本当に仲良くなってきたなあ、レイヴンとケリーは。
この挿絵のレイヴンとケリー、かわいすぎです。髪をおろしたケリーが見られるとは思いませんでした、かわいくて満足(笑)。
冗談を覚えたレイヴンにもほのぼの。

ロタとポール、ほんの少しの登場だったけれど、上手くいってほしいふたり。遠くからリディアとエドガーを応援してくれているふたりの姿がとても心強いです。
あと、ケルピーとアーミンのふたりのシーンもきちんとあって良かったです。このふたりは、同士、なのかあ。なるほど……それはそれで素敵な関係なのかもしれない。と挿絵込みで思ったりしました。

それにしても、フランシスがさりげなく、大変な危機におちいっていませんか……?
いくらフランシスとは言え、この状況、大丈夫なの??


最終章とはいえ、まだお話はすぐには終わらなさそうな感じ。かな。
リディアとエドガーのふたりが、少しでも早く、幸せな夫婦に戻れますよう。
ここ最近の巻を読むごとに毎度願っていますが、今回も一層、願わずにはいられません。
エドガーの愛情の大きさ、しぶとさ(笑)を、この巻で読めたので、今後の彼に期待大です。

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

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