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『上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン』青木 祐子 

上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン (コバルト文庫 あ 16-41)上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン (コバルト文庫 あ 16-41)
(2012/04/28)
青木 祐子

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二十世紀初頭、上海租界の英国人屋敷。
貿易商を営む両親が行方不明になって半年、十六歳の少女・リリアは保護者(ガーディアン)のフェイに支えられながら、愛する紅茶を淹れる日々を過ごしていた。
そんなリリアに、従兄のライオネルが、母国への帰国と結婚をせまってきた。その目的は、ミルドレッド家の莫大な財産。
困ったリリアは、ちょうどその頃上海にたどり着いた日本人の青年・楠木龍之介に、恋人役を依頼することになるのだが……。


私が愛してやまない『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの作者さん・青木祐子先生の、新作が出ました!
今回のお話の舞台は、二十世紀初頭の上海。
何度も繰り返してますが世界史さっぱり詳しくない私、完全に未知のジャンルと時代で、どんなお話になるのか上手く想像できなくて、どきどきしてました。
タイトルは発売前からすごく素敵だなあと思っていました。私自身お茶好きなのもありますし、「待ちぼうけのダージリン」って、意味深。

実際に読んでみると、やっぱり素敵なお話でした。うん、良かったです♪
最初の方はリリアの性格とか立ち位置とか上手くつかめなくて、ただほわわんとした印象だったのですが、彼女の本性(?)が徐々にあらわれてくるにつれて、お、面白い……(笑)。
さすが青木先生のお話で、独特のしっとり落ちついた雰囲気ある文章も、健在。安心して読めました。
上海と言うことで漢字交じり、ヴィクロテに慣れている身としては最初ちょっとだけ違和感を覚えてしまいましたが、わりとすぐに馴染めました。

作品世界の雰囲気も、素敵ですね。西洋と東洋が混じり合っていて、エキゾチックというか、ちょっと怪しげな雰囲気というか。
ぱっと見正体不明のキャラクターたちがかもし出すうさんくさい雰囲気も、なかなか(笑)。
青木先生マジックで、あやしげな人でも読んでいる内にその人なりの優雅さがにじんでくるようで、不思議な感じだ……。

主人公のリリア、本当にお姫さま、お嬢さま、美少女(笑)。思いきり愛でたくなる女の子でした。
賢くはあるけれど、まあ普通のおっとり素直なお嬢さまなのかと途中までは思っていましたが……、後半になってくると、あれ、この子、予想を上回るしたたかさ。びっくり(笑)。
紅茶を使ってフェイにメッセージを残すとか、何気にすごいよ。ただものじゃないよ。
まあ恋には年相応に不慣れなようで、龍之介に淡い気持ちを抱きつつある…?みたいなところとか、素直にとてもかわいらしかったです。
リリアに常に忠実に従うフェイも格好良いです。強くて凛々しい女の子は大好き!
有能ながらにすこし未熟なところもあったりして、そこがかえって私には魅力でした。
もう少しフェイの格好良い出番があるとより良かったな。

ヒーロー役(多分)の龍之介氏も、なかなか面白い人物でした。
こういう場での日本人の勝手なイメージ(私の中で)、勤勉でストイックな人かと思いきや、それだけでもないですね。リリアの恋人役を役得として楽しんじゃってるところとか、ごく普通の男性というか、器が大きいと言うか、神経太いと言うか(笑)。
それでも結局関わりをもったリリアを見捨てられないひとで、身体をはって救出したり、素敵な男性です。
彼の日本での過去がとても謎めいているので、気になるところです。
それにしてもダンスの場での龍之介が予想以上に格好良かった。

突然現れた自称婚約者のライオネルは、良くも悪くも世間知らずのお坊ちゃま的な。
周囲の人たち(特にルパート)に良いように利用されもてあそばれていく姿に、だんだん気の毒になってきました……(苦笑)。
けして悪い人というわけではないので、同情を誘うんですよね。一応リリアに報われない恋してますし。応援はまったくできませんが!
『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズのレナードを、ほんの少しまともにしたような、そんな印象でした。
従僕のウエルビーは、けっこう好きな脇役でした。彼にはいつか幸せがくるよう祈りたい(笑)。

魯明は、龍之介を兄と慕って色々お節介やいているところが、かわいかった。生意気だけど(笑)。
一番うさんくさくて闇を感じたのはルパートでした。彼の真意は一体。誰の味方と言えばいいのか……。(それにしても「愚人也」には吹き出してしまいました。ストレート!笑)
パーク卿もディアナさんも、うわあ怪しげ……分かって付き合っているらしいリリアもすごいなあ。

お茶好きなリリアも、読んでいて楽しかったです。
お客さまのためにお茶を淹れてそれとなく人となりを見る、面白いなあ。
ライオネルがうっかりすべってるのが面白かったです。でも今の私ならともかく、田舎の中高生のころの私だったとしたら、ダージリンとかアッサムとか言われても分からなかっただろうから、同じように無知をさらしてリリアに呆れられてたかもね(苦笑)。
でも基本的にはリリア、優しいと思います。ライオネルにも、ライオネルにぴったりの美味しいミルクティーをきちんと淹れるリリアが好きです。

イラストは、104頁のダンスをしているリリアと龍之介のものが一番好きです。リリアのドレスまで繊細で美しいです!

お話はまだこれからといった感じですし、リリアのご両親の謎、龍之介の過去話、この巻ではまだ肝心のことが色々謎のままなので、続編に期待です。
百合さんってどんな方かしら。リリアの名前ともなんだかつながってるような。


そしてすでに記事にしちゃいましたが(笑)、夏ごろに出ると言う、『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の短編集が、今から楽しみすぎて仕方がありません!
彼と彼女のその後って、とっても気になるじゃありませんか。そわそわ。


一昨日に記事に拍手下さった方、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 青木祐子 

この記事に対するコメント

こんにちは!fallcolverさん
いつもながら、素敵な感想記事を拝読しました♪
青木先生の新作、私もちょっと遅くなりましたが、昨日購入して
すぐに読みましたよ。

fallcloverさんの感想には、いちいち同意なんですが(笑)
個人的には、フェイがこれから龍之介にどんな態度で出てくるのかが
ちょっと楽しみ。最後でもかなり警戒心をあらわにしてましたしね。
大きな猫って・・思わずヴィクロテのエドくんを思い出しました。
龍之介とリリアが本当に恋に落ちたら、最大の障害は彼女だったりして(笑)

上海語と英語を話し、ワルツを完璧に踊る日本人・・・
龍之介すごいですねーうらやましい。
明治時代の男性は、悪く言えば頑固、よく言えば意志の強いイメージなので、
龍之介のライオネルに対した時のきっぱりとしたもの言いが、設定に
すごく合っていて、個人にはすんなり受けいれてしまいました。
まさに明治の男性って感じだなあ。

ヴィクロテ短編集の情報も嬉しかったー。
彼と彼女のその後もすっごく楽しみですが、個人的にはリルちゃんの
その後がとっても気になっています。夏が楽しみですね!

いつも長文で失礼します。
それではまた!

URL | かのん #-
2012/05/04 01:07 * 編集 *

Re: タイトルなし

>かのんさん
コメントありがとうございます。

こんにちは♪いつもこんなブログに素敵なコメントを残してくださっていて、毎度ながらに本当にありがとうございます♪
『上海恋茶館』、かのんさんも読まれましたか~。
私の感想記事までていねいに読んでいただけて、書いた甲斐があったというものです(笑)。

確かに、フェイが今後龍之介にどんな態度で出てくるのかは、気になりますね。
私は実は、特定書店限定?のミニ小説ペーパーを、この記事を書いた後で見つけてもらってきて読んでみたのですが、フェイの強さを見せつけられ、龍之介の将来が不安になってくるようなお話でした……。
はい、私も、リリアと龍之介の恋の最大の障害は、彼女のような気がしているところです(笑)。

ですよね、上海語と英語、ワルツ……龍之介は何気にとても有能で格好良くて、惚れ惚れです。
その有能さを磨いた過去や正体がいまいち謎なので、手放しに格好良さにうっとり……と言う訳にもいかないんですが(笑)。(その点ではシャーリーはまさに完璧な王子様だったなあ…笑)
かのんさんのおっしゃる明治の男性像、なるほどと思いました。イメージぴったりですね。

そしてヴィクロテの短編集、楽しみすぎですよね!(笑)
私もリルちゃんのお話は、絶対に読みたいです!彼と彼女のその後も、もちろん。
今から夏が待ち遠しくてたまらないです。そわそわしています。

はい、またかのんさんのお時間があるときに、いつでも遊びにいらしてくださいませ~♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/05/05 08:03 * 編集 *

私も読みました!

ゆりさん,こんにちは。
私もようやく読み終えましたよ~!

一見ほんわかしてるけど,肝が据わっているリリアちゃん,格好良かったです!
またシャーリーは騎士道,龍乃介は武士道という違いはありますが,内なる信念を持っている男性はここぞ!という場面で迷いがなくて,素敵だなぁと思いました(^^

シリーズ一作目ということで,まだまだ明かされていない謎が沢山あるので,続きがとても楽しみですよね。

お茶好きの私としては,次作ではリリアのお茶談義がもう少しあると良いな~と期待しています♪

URL | yuko #XZKWQtew
2012/05/21 14:56 * 編集 *

Re: 私も読みました!

>yukoさん
コメントありがとうございます。

どうも、こんにちは!
わあ、yukoさんも読まれましたか~♪

肝がすわってるリリア、素敵でしたよね。ふりふりのお嬢様なのに、ギャップが!(笑)
内なる信念を持っている男性は……とのyukoさんのご感想、読ませてもらってその通りだなあと、深く頷いてしまいました。
なんというか、こう、……格好いいんですよね!(←うまく表現できなかった。笑)

ですよね。私もお茶好きなので、リリアのお茶談義、もっと読みたいです~。
明かされていない部分もいろいろ気になるところです。

ところでツイッターの方で、なんだかとても大変でいらした感じで……声をかけそびれてしまっていましたが、もう大丈夫でしたか?
あれ、私の勘違いとかだったらすみません(汗)。

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/05/23 20:56 * 編集 *

ありがとうございます,大分持ち直しましたよ~!

ぐるぐる悩んでいる時は,その気持ちを整理して言葉にするだけで,随分すっきりするものだなぁと実感しています。

つまらない愚痴におつきあい下さって,ありがとうございました!

URL | yuko #XZKWQtew
2012/05/24 13:15 * 編集 *

Re: タイトルなし

>yukoさん
再びコメントありがとうございます。

いえいえこちらこそ、わざわざこんなところまでていねいにお返事くださって、お手間かけました…。
ひとまず良かったです~。安心しました。
ありがとうございました!

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/05/26 19:49 * 編集 *

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