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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『ホテルジューシー』坂木 司 

ホテルジューシー (角川文庫)ホテルジューシー (角川文庫)
(2010/09/25)
坂木 司

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大家族の長女に生まれたしっかりもの娘・浩美ことヒロちゃん。
大学二年の夏にやってきた那覇の安宿・ホテルジューシーでヒロちゃんは、昼夜二重人格のオーナー(代理)や人は良いけれどアバウトな双子の老ハウスキーパーなど、規格外の職場仲間たち、さらに訳ありのお客さんたちに、とにかく常識外の行動を起こされては翻弄され続ける。
それでもなんだかんだで親切な皆に囲まれ、ホテルの料理人・比嘉さんのおいしい沖縄料理をお腹いっぱい食べつつ、ヒロちゃんの夏は過ぎてゆく。


先月読んだ『シンデレラ・ティース』(感想→こちら)がとても良かったので、姉妹版だというこの『ホテルジューシー』も、近いうちにぜひ読みたいなと思っていました。ようやく読めました!
冒頭から、あちらのヒロイン・サキちゃんがやっぱり出てきてちょっと嬉しくなりつつ、自然なつながりで、今度はヒロちゃんの物語の世界に飛び込んでいけました。
本当に、同じ時期に親友同士が違う場所でアルバイトに精を出すお話になってるんですねえ、これ。つくりが面白いなあ。

実際にこちらを読みはじめてみると、そうはいっても、『シンデレラ・ティース』とはまた全然違う雰囲気のお話で。
あちらの方は、都会の冷房がきいた清潔にととのえられた場所での物語、でしたが、『ホテルジューシー』は、なんといえばいいのか、とにかく南国、真夏の沖縄、そのまんま。
夏の沖縄の空気や熱を濃密に肌で感じて、読んでいてちょっとくらくらしました。
馴染みのない文化や人づきあいや、ときどきカルチャーショックで読んでいてヒロちゃんと一緒に圧倒されつつも、物語はけして破綻はしていない。
訳ありの人の心をそっと優しく解きほぐす、日常の謎的ほのぼのお仕事ミステリーは、やっぱり健在でした。とても良かった!
(そうはいってもこの『ホテルジューシー』は、沖縄の影の部分といえばいいのか、そういうのも割とくっきり出ていて、ヒロちゃんが時おり感じる苦さも印象的だったな。)

あとはなんといっても、さりげなくも次々と登場する沖縄料理の数々が、読んでいて本当に美味しそうで……いやあ、たまらないです。(ごくり)

ヒロインのヒロちゃんは、世話焼きで真面目で、とてもまっすぐな女の子。おっとりお嬢さんなサキちゃんとは別の意味で、今どき珍しい女の子だなあと思いました(笑)。
なんというか、生きていくのが大変そうだなあ……ととてもこんな真面目な生き方をできそうにない私は思ってしまいましたが、こんな彼女でも、ホテルジューシーのスタイルにいつの間にか馴染んで心地よくなっていく様が、読んでいて良かったです。
この変化は、彼女にとって、必要なものだったんじゃないかと。

ホテルのゆるーい従業員の皆さんも、最初は度肝を抜かれましたが、なんだかんだで良い人たちですねえ。
お話のラスト、ヒロちゃんが皆とお別れをするシーンが、『シンデレラ・ティース』のラストの部分と重なるものがあって、しみじみ心ぬくもりました。比嘉さんが葛西さんっぽかった(笑)。
一番インパクトがあったのはやっぱりオーナー(代理)ですね。二重人格ってそんなまた……ギャップがすごいですよ。でも慣れるとまたこれも味というか何というか。
薬指の例のあの場面はいったいどういう意味だったんでしょう?(笑)

各話ごとに感想メモ&食べ物メモ(笑)。
『ホテルジューシー』
まず最初の松谷さんに、度肝を抜かれましたね!なんて突飛な。
山本さんの事情は、明かされてみると、しんみり切なかった。
サキちゃんへの例の電話は、こういう状況でかけたものだったとは。意外な感じでした。
美味しそうだった食べ物……サーターアンダギー(沖縄のドーナツ)。ホロホロジューシー(雑炊)。
ブリトー(やわらかいタコスのようなもの)。
サーターアンダギーはこの辺でもたまに売っているのをみかけてそのたびに美味しそうだと思いつつ、そういえば買ったことがない……(笑)。

『越境者』
ギャル二人組のユリとアヤ、最初の内は私もヒロちゃんと同じように反発を覚えてしまいました、が、事情が明かされてみると……なんて悲しい。アヤの壮絶な体験談とユリの友情に、思わず泣いてしまいました。
そしてヒロちゃんも、男前ー!(笑)
オーナー(代理)も迫力抜群でした。
美味しそうだった食べ物……チャンポン(ポーク野菜炒め、とんかつ、野菜いための卵とじの三段重ねどんぶり)。ちんびん(黒糖入りのクレープみたいなお菓子)。
美味しそうだけど、なんてボリューム満点な(笑)。

『等価交換』
夜のマーケットが面白いなと思いました。
田中さん……あーあ(苦笑)。
美味しそうだった食べ物……ポーク玉子(オムレツ風にまとめた卵にポークと呼ばれるハムのようなものを添えた料理)。
おにぎりにすると確かにとても美味しそう。

『嵐の中の旅人たち』
このお話はなんというか、色々な意味で印象に残りました。
矢田さん、困ったさんだなーと思いつつも、この結末は……辛い。
翌日の宿の様子が、あまりにそのままというか何事もなく平和で、なんともいえないなあ。とか。
オーナー(代理)が珍しく長い間格好良かった(笑)。
美味しそうだった食べ物……ソーミンチャンプルー(ゆでたそうめんを野菜や肉と共に油でいためた料理)。
台風の最中に非常食として食べるんですね。本当、臨場感がありそう。

『トモダチ・プライス』
ヤスエさんとヒデさんと、これまたなんともいえない味わいのお話でした。
夢の国と言う訳ではけしてないんだなあ。ヒデさんの闇が深くて少しぞっとしました。
餃子パーティーは楽しそうだったんですけどねえ。ヤスエさんのお弁当も本当に美味しそうだったし。
でも結局ヒロちゃんは、ヒロちゃんらしかったです。
食堂での他人の就職祝いの宴会に巻き込まれるヒロちゃんが、とても楽しそうで好きな場面でした。

『同じじゃない』
ヒロちゃんの感情の揺れに読んでいて同調して振り回されつつ。
久保田さんご夫妻はそういうことだったのですね。私も誤解してしまってました……。世間的には変わっていても、良いご夫婦だな。奥さんがなんだかかわいらしかった。
秋のファッション、私も度肝を抜かれました(笑)。
美味しそうだった食べ物……ドゥルワカシー(田芋と具材をゆでて出し汁で練り上げた料理)。
この本の中で、私が一番食べたい!と思ったのがこのドゥルワカシーでした。でも私ではちょっと真似できなさそう(苦笑)。

『微風』
ヒロちゃんもサキちゃんも、確実に成長したなあ!
しめくくりが例のフレッチャーさんで、思わず笑ってしまいました。
どうでも良いけれど、サキちゃんは結婚するの早そうだなと思いました(笑)。四谷さんなら確実にサキちゃんを大切にしてくれるでしょうから、安心して見守っていられますね!


ああ、私も沖縄に行きたくなってきたなあ。
というか、沖縄料理を食べたいです(笑)。比嘉さんの手作りの。


姉妹版『シンデレラ・ティース』

シンデレラ・ティース (光文社文庫)シンデレラ・ティース (光文社文庫)
(2009/04/09)
坂木 司

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昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪
コメントもくださった皆さま、本当にありがとうございました!お返事少々お待ち下さい~。

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カテゴリ: ミステリー・日常の謎系

タグ: 坂木司 

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