Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『夢の上 1 翠輝晶・蒼輝晶』多崎 礼 

夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)
(2010/09)
多崎 礼

商品詳細を見る



「夢売り」は、夜の王に請われて、「彩輝晶」に込められた夢の物語を語りだす。
舞台は上空を巨大な結晶「時空晶」におおわれたサマーア神聖教国。
請われて嫁ぎ、愛する人と数奇な人生を歩むことになった地方領主の娘・アイナの物語『翠輝晶』。
強く勇敢な女領主のために剣をふるう流民出身の騎士・アーディンの物語『蒼輝晶』。
結晶化した愛と戦いと夢の記憶の物語、ここにはじまる――。

ネット上で大評判で、おすすめもしていただいたりして、ずっと気になっていた『夢の上』シリーズ。
あまりにみなさまの評価が高くてなんだか読むのがもったいなくなってきたのと、本の分厚さにちょっと気後れしたのとで、手に入れてからも長い間積み本にしていたのですが(笑)、連休中に、ようやく一巻目を読みはじめました。

最初の夜の王と夢売りのシーンから、不思議な手触りで独特の世界観。
巨大な結晶に空が覆われているって、へええ……。確かに重苦しい感じが。
カタカナ語の異世界ファンタジーを読むのがあまり得意ではない私、読み進めていっても世界観や色々アイテムを頭に入れ理解するのはなかなか難しくって、まあ感覚で読んでいました。名前もなかなか覚えられなくて、登場人物紹介の頁に何度も戻りつつ(笑)。
多分、続巻を読んで行くともう少し分かってくるんだろうな、そういう作りなんだろうな、と期待して。
理解できていなくても、丁寧に作り込まれた物語の世界は、読んでいて強く美しくとても素敵で、かもし出される雰囲気にうっとりでした。
不思議な名前の結晶から、宝石のきらめきの硬質で美しいイメージが、私の頭の中に。それが人々の生きざまに重なっているようで、なんとも鮮やかな心地でした。
予想外に、少女小説みたいな素敵なロマンスも楽しめました。

『翠輝晶』前編は、地方領主の娘・アイナの『夢のような人生』。
丁寧なですます調の一人称の物語、はじめは少しとっつきにくかったのですが、オープ様の求婚のシーンがとてもかわいくてきゅんとときめいて、そこから自然に親しみをもって、物語の世界に溶け込むことができました(笑)。ツァピール家の皆さま、愉快で大好きです(笑)。
幸せすぎるほどに幸せでおだやかな生活は、けれど長くは続かなくて。
アイナとオープは想像だにしていなかった過酷な運命をたどることになったのですが、そこからはじまるのはけして暗い物語ではありませんでした。
辛い道のりでも、前向きに、愛する人を支え、運命を分かち合って共に生きるアイナという女性の、なんて強いこと。彼女の格好良さに、読んでいてひたすらにしびれました。
喜びも悲しみもすべて飲み込んで、彼女の人生は明るくまぶしくきらきら輝いているなあ。
旅する異国の情景がまた色鮮やかで。
この人生こそが、彼女にとって最大限の幸福な人生だったのだ、自然に微笑みつつそんな風に思えるような。
オープ様も、そんなアイナの愛にふさわしい、朴訥で、強く格好良く素敵な男性でした。
ふたり合わせて理想の夫婦です。

後半、静かに終わりを迎えようとしていたふたりの生活に、突然飛び込んできたアライス。
アライスの初登場シーンが好きでした。幼くても秘密を持つ身でも誇り高い王子様で、めちゃくちゃいいこなのです。アイナにこんな子どもができてよかった。
アライスを通して、もう一度物語の本流に巻き込まれていったアイナとオープ様、最期のシーンがとても美しくて素晴らしかったです。余韻まで、心地よさに身をゆだねて、涙しました。ズラアもよかった!
エシトーファ様の想いが切なかった。

『蒼輝晶』後編は、流民出身の最強の騎士・アーディンの『沈黙の誓い』。
前編でもちらりと登場してきたケナファの人々の物語でした。
こちらのアーディンの一人称は、くだけた口調。軽さが絶妙で読みやすかったです。
天賦の才能を持ち強くて何でもできて、力を抜いてひょうひょうと生きている感じのアーディン、格好良いなあ!
自分の身分はきっちりわきまえつつ。
イズガータとアーディンのふたりの物語は、ふたりの信頼の絆がとても素敵で、そしてけして実らない恋が、切なくてたまらなかった。
最初の方の子ども時代のエピソードがほのぼの幸せで好きです~。出会いのシーンもかわいいし、砂糖菓子のシーン、カラーイラストもとても良いです。ふたりの表情もいいし、イズガータの瞳の色がとってもきれい。
アーディンだけに普通の娘としての姿を見せられるイズガータ。けして踏み込み過ぎず彼女を支えるアーディン。

アライスの到着がこのタイミング……何と言ったらいいのかなあ。
それでもそれ以降のイズガータやアーディン達の戦いの物語も、これでこそ彼らだよね!という感じで、やっぱりとても格好良く素敵でした。
あぶなっかしいアライスを見守り支えるアーディン達が良いです。
ツァピール候への求婚には、度肝を抜かれたり(笑)。
そしてラストのアーディンとイズガータの別れの場面は、読み返すごとに泣ける……うう、こういうお話弱いのです私(涙)。
その後の酒盛りも、良かったな。
アライスに向けるアーディンの台詞がまた切なくてこみ上げてくるものがあってね。アーディンみたいなひとが口にするとよけいにぐっとくるよ……。

多分この後も物語の中心で活躍してくれるのであろうアライス、成長が楽しみです。
そしてダカールの淡い想い?はどうなるのか……ダカールも複雑な立場に生きる人間のようですし。
夜の王の正体も気になります。台詞の端々から、何らかの関係者なのか。
そして「夜明け」とはどういうことなのか。


気がすむまで読み返して、第二巻も読みたいと思います。また皆さまの評価が高い感じで、わくわくです。
でも、この第一巻だけでも評判の通り、極上のファンタジー小説で、大満足です♪
うーん、素直にもっと早く読めば良かったです……(笑)。
ロマンスの入り具合がまた予想以上に私好みで、良かったです。特に後編は。

関連記事

カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 多崎礼 

この記事に対するコメント

面白そうですね♪

お久しぶりです。
面白そうな小説ですね♪
今日は時間があったので、探してみましたが……残念ながら短編集しかなかったです。
…私…短編集だけ買って、どうするんだっ(苦笑)
やっぱり、本編を読んでから、短編を読んだ方が良いのでしょうか?

URL | 明都 #-
2012/05/13 23:07 * 編集 *

Re: 面白そうですね♪

>明都さん
コメントありがとうございます。

どうも、こちらこそお久しぶりです~♪
はい、最近読みはじめた作品なのですが、どっぷりはまってしまいました(笑)。
そうなんですよね、短編集が出たばかりで。今日私が行った書店にも、短編集しか置いてなかったですよ(笑)。
一応短編集だけでも読めることは読めるのですが……私的にはやっぱり、読まれるなら、本編からをおすすめしたいです(笑)。
一巻目の前編と後編にはまったら、続編もぜひぜひ(笑)。

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/05/15 21:30 * 編集 *

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1087-dd740e8e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)