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『夢の上 2 紅輝晶・黄輝晶』多崎 礼 

夢の上〈2〉紅輝晶・黄輝晶 (C・NOVELSファンタジア)夢の上〈2〉紅輝晶・黄輝晶 (C・NOVELSファンタジア)
(2011/01)
多崎 礼

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夢売りが夜の王に語り続ける「彩輝晶」に込められた夢の物語。
次に語られるのは、愛する者を奪われ復讐のため光神王の後宮に進んで入った、アライスの母・ハウファの物語『紅輝晶』。
そして内に影を抱えて夢みることを恐れていた騎士・ダカールが、恋を知りやがて夢の果てまでたどりつく物語『黄輝晶』。
重なり合いつつ別視点からの光があてられつつ、サマーア神聖教国の新しい時代への物語は語られてゆく――。


『夢の上』シリーズ、二巻目も読みました。
今回のお話の語り手は、イズガータの元家庭教師で光神王の妃でアライスの母である女性・ハウファ。
そしてケナファ騎士団に所属してそこに飛び込んできたシアラ(アライス)と行動を共にすることになった騎士見習いの男・ダカール。
時系列が前後しつつ語り手が変わりつつ、つづられてゆく物語の流れは前の巻と同じもの。
登場人物もそんなに増えないので、新しいカタカナ語の名前を覚えなくてすんで、楽で良かったです(笑)。

前巻からの期待をまったく裏切らない、完成度の高い物語でした。ものすごく良かった!面白かった!
本は一巻目よりもさらに厚みを増していましたが(笑)、長さなんて全然苦じゃなかったです。ぐいぐい引き込まれて、物語の世界にうっとりひたり、読み終えるのが惜しくなってくるくらいでした。
読み込むごとに、この世界や主要な登場人物ひとりひとりが魅力的を増してきて、愛しくてたまらない。
厳しい世界に生きて夢を追いかけ戦い続ける、彼らの覚悟が、人を愛する心が、格好良くてまばゆくて、読んでいて何度も泣きそうになりました。
同じ出来事や台詞でも、別の人間視点から語られるとまるで違った印象だったり重なっていたり、そういうのを味わうのが、予想以上に楽しいです。

特に、物語の主役の座を降りてなお、アーディンとイズガータ様のふたりの絆がますます好きすぎて……どうしましょう(笑)。

『紅輝晶』前編は、ハウファの『復讐者の遺言』。
物語はいったん過去へと。
なんというか、人を愛するのには、ひとくくりにできない色々なかたちがあるんだなあ……と読んでいて圧倒されつつ思いました。ハウファ様とサフラの絆、イズガータのハウファ様への想い、そしてツェドカの想い。
復讐のために後宮に進んで行くことにしたハウファ様、ケナファ候やイズガータ達周りの人を巻き込んでもかまわない、思いを貫くのをやめられない……という情熱に、ただただすごいなあと思い、同時に空恐ろしいものも感じてしまいました。
そんな彼女でしたが、アライスを身ごもり大切な存在がだんだん増えていくにつれて、ゆるやかに変化していって。持ち前の強さや賢さやしたたかさの中に、母の慈愛を溶け込ませてゆく彼女の姿は、読んでいて、ああなんて素敵なんだろう…と思いました。
アルティヤとの絆も良いし、アライスを育てるお母さんとしての姿も良いなあ!こんな特殊な環境の下で、アライスがここまでまっすぐに優しい心を保ったまま育ったのが納得です。
ツェドカに対する態度も慈愛に満ちていて素敵。彼がハウファを慕うようになるのも良く分かる。それにしても彼は良い子で…切ない。
およばれした晩餐会、メニューが本当に美味しそうで豪華で楽しかった分、その後の展開はやるせないものがありました。
ラストの展開は、あらかじめ分かっていたとはいえ……(沈黙)。
なんというか、彼女の幕引きのやり方が鮮やかで格好良すぎて、こんな場面なのに惚れ惚れせずにはいられませんでした。
そしてアルティヤの正体にはびっくり。何かあるんだろうなと思ってはいたのですが、私はうかつにも最後まで結びつけられませんでした……。

エシトーファとハウファ様の前半部分の冒険?も好きな部分でした。地下書庫ってわくわくしますね!
エシトーファの謙虚すぎる想いが切なすぎました。
そしてハウファ様をまっすぐ追いかけてきたイズガータとの再会も、改めて彼女視点で読むと切なかったです。
イズガータもアーディンもそんなことは思っていないだろうけれど(実際あそこではハウファ様が後宮に行く以外に上手い道はなかったですしね)、彼らの人生を巻き込んで狂わせてしまったと言うハウファ様の罪悪感も、分かるな。たまらないな。
イズガータとアーディンの淡い恋を、姉のような優しい視点で見守ってくれていたらしいハウファ様に、またぐっとなりました。

『黄輝晶』後編は、ダカールの物語『夢の果て』。
イラストのダカールが読んでいるイメージ以上に色っぽい……(笑)。
再び舞台はケナファ騎士団。お馴染みの場所とキャラクターで嬉しくなりました。
アーディンが大活躍で嬉しいな!騎士団皆に恐れられているアーディンの最強っぷりが読んでいて愉快でした。氷の笑顔って(笑)。ダカールについている影には死影よりもタチが悪いとまで言われてる……。そして所々で透けて見える秘めた想いが切なすぎ。
ただ石のように静かに目だたぬよう生きるばかりだったダカールが、主にシアラとの関わりを通じて、だんだん人間らしくなってゆく過程が、良かったです。恋をして嫉妬も一人前に覚えて、でもやっぱりこちらの彼の方が魅力的。
ダカール視点で眺めるシアラは本当に光り輝いていてまぶしくて、読んでいる私もちょっと泣きそうになりました。
シアラもダカールも、大人なイズガータとアーディンのふたりと比べると、やっぱり若いと言うか未熟さをどうしても感じたのですが、このふたりは、これがあるから魅力的なんだよね……むしろこの若くて不完全な部分にこそ、未来をかえる可能性を信じたい。上手く言えないんですが、そんな気分になりました。
そんな子どもたちを危なっかしく思いつつ見守っている大人たちもやっぱりとても好き。
太陽姫としてまつりあげられるシアラ、その道を進むことを選んでしまった以上仕方ないとはいえ、なんだか無理している感じの彼女の姿は辛かった。ダカールが、アーディンが、そんな彼女を見てくれていて良かったな。
アーディンのことがあるからこそ、ダカールには、シアラを諦めて欲しくないなあと、個人的には思っちゃいます。

イズガータの旅立ちの夜の酒盛りのシーンのアーディンは、第三者視点で読んでいるとまた本当に切なかった。
さらにアーディンの父親のこと……なんともいえない気分に。だからアーディンの父親は息子がケナファの騎士になるのに反対していたのか。そっか…。イズガータの側にいるためになんでもやるアーディンの想いの深さを改めて感じてぞくりとしました。
ところでシアラの初恋の君は、アーディンなんでしょうか(笑)。
デアバはちょっといらいらするキャラクターでしたが、悪い人間じゃないことは分かる……ラスト近くのダカールとのやりとりは好きな部分。

ダカールに語りかけるアイナの台詞が、すごく好きです。

いつだって恋は求めるもの
けれど愛は与えるもの
たとえ願いがかなわなくても、愛する人のためにすべてを捧げることが出来たなら、それで幸せと思える日がくる  (273頁)

――このシリーズに出てくる何人ものキャラクターたちの顔を思い浮かべてしまいます。

ラストの予想以上の激動の展開、この先いったいどうなるのー!!
夜の王の正体もおぼろげに見えてきたような、本編につながりつつあるような。
もしかするとツェドカ?でもアイナを知っているような口ぶりには、アライスのような感じもする……うーん。
そしてこのふたりの空間は時系列的にどのあたりなんでしょう?

二回読み返してこうして感想も書いたことですし、三巻目も、心して読み始めようと思います。
最後のふたりの王子の物語、ものすごーく楽しみです!!
そしてできることなら、すべてのキャラクターに、もうこれ以上悲しい思いをしてほしくない。幸せに生きてもらいたい……どうなることやら。


昨日それぞれの記事に拍手下さった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

タグ: 多崎礼 

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