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『夢の上 3 光輝晶・闇輝晶』多崎 礼 

夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NOVELSファンタジア)夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NOVELSファンタジア)
(2011/05/25)
多崎 礼

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夢売りが夜の王に「彩輝晶」に秘められた夢を語り続ける物語、三冊目にして本編最終巻。
最後の物語の語り手は、光と影に生きた、ふたりの王子たち。
身に秘密を抱えて生まれて王宮を追われ、騎士団にかくまわれて苦労をしつつもやがて仲間を得て、救国軍を率いて王都に戻ってきたアライスの物語『光輝晶』。
そしてアライスとは対照的に、王宮内で息をひそめて孤独な戦いを続け、物語の最後までの道を影で支え続けたツェドカの物語『闇輝晶』。
サマーア神聖教国の動乱の時代に生きる人々の戦いと愛と夢の物語、最後に語られるのは――。


ああ、夢は、どうしてこんなに美しいのだろう。
叶わないとわかっていても、こんなにも心を掴んで離さないのだろう。  (322頁)


『夢の上』シリーズ、完結編。一巻目からほぼ一気読みしてしまいました。
ひとつの物語を何人もの登場人物の視点から光をあてつつ語られてゆく物語。読み込むごとにこの世界が愛おしくてすっかりひたりきってしまい、とても満ち足りた気分で読書していました。
実際に最後まで読み切って、ああ、ひとことでは言い表せない読後感。
なんといったらいいのかな、ひとつの「物語」を、何重にも読み味わいつくすというのが、こんなに素敵なものだとは。
主要キャラクターのひとりひとりがまた本当に魅力的で皆大好きで、何回も視点を時系列を変えて登場してくるごとに、また出会えて嬉しい!といちいち笑顔になりつつ読んでいました。
私のお気に入りはやっぱり、一巻目の『蒼輝晶』の語り手の美貌の最強騎士アーディンと、彼の主人のイズガータ様でした。
自分でもなんで?と不思議なくらい、アーディンに心惹かれます(笑)。

以下、ネタばれの感想、追記に収納します~。
書いている内に自分でも訳が分からなくなってきた……この良さを表現するのは難しいです(苦笑)。


『光輝晶』前編は、女の身で血のにじむような努力を重ね英雄と祭り上げられつつも、太陽を求めることを捨てられなかったアライスの物語『見果てぬ夢』。
過去を悔いるように物語を語るアライスと歴史学者、場所とかタイミングとかちょっと重苦しい感じで、アライスどうなっちゃうの…と不安になりつつ読んで行きました。(前巻のラストは、この時点では私の頭の中で消化しきれてなくて…笑)
なんというか、複雑な立場に生まれた彼女、見えないところでやっぱり、子どものころから色々悩み傷ついてきたんだな…と、改めてやるせない気持ちになりました。
そりゃ、母親が父の妃になったのは、復讐のためだった…なんて知ったら、子どもとしては、ねえ。
ハウファ様の愛情はもちろん強くて本物だけど、立場が特殊すぎますものね…。
ツェドカをかばうハウファ様の姿に複雑な気持ちを抱かずにいられないアライスも切なかった。兄弟って難しい。

そして憧れのイズガータ様の元へ、ケナファ騎士団の元へやってきてかくまわれることになったアライス改めシアラ。
本当に、厳しい環境で努力し続けてきたんだなあと、改めて思いました、シアラ。
努力が報われない状況が続いても、それでも色々な人に助けられながら最終的にくじけずに騎士としてものになった彼女の姿が…貴い。
(そしてアーディンのことを全然覚えてなかった彼女がちょっと面白かった!笑)
戦いに向けて物語が動き出しはじめてから、「太陽姫」とまつりあげられて期待にこたえつつ、やっぱり非情になりきれず、ひとりで迷い続ける彼女には、なんともいえない気分になったのでした。
それでも進むのをやめない彼女の姿が……うん、やっぱり、まぶしいです。
ダカールへの秘めた想いがね、また切ないですね!(それにしても、ダカールの想いが報われていたのは…良かったな。笑)
父親との対峙、うわあ、痛いです…。
彼女の中で(うながされた)変化があっての、火刑場でのあの場面とあの台詞は、私も熱にうかされて、胸が熱くなりました。

その後の、ケナファ騎士団の皆との再会と、共に最後の戦いに挑みにゆく一連の場面が、私、この巻の中でいちばん好きだったかもしれません。
特に戦いがはじまってからはシアラにときに冷酷な接し方をしているように見えて、実は彼女に惜しみない親愛の情と仲間意識を持ち合わせていた皆の姿に、安心したというか、本当に温かい気持ちになりました。
イズガータ様の涙に、私もほろり。
光神王に戦いに挑みにゆく彼らが、最強すぎて格好良すぎました。特にイズガータ様とアーディンが(笑)。
相変わらずのデアバにもほっとし、ダカールの寡黙で献身的な愛情を改めて感じてじーんとし…。

そしてクライマックス、ええっどういうこと……!と叫びたくなりつつ、いったんアライスの『見果てぬ夢』はお終い。
ここへきてようやく「夜の王」の正体が明らかに。なるほどね…。
アライスのこの「夢」の決着がお上手だなあと。なんというか。

そして『暗輝晶』後編は、アライスの影に孤独に戦い続けた王子ツェドカの物語『最後の夢』。
ちょっとひねくれてるけど賢くて実は良い奴なツェドカ、とても好きでした!サファルとのコンビも重たくなくて楽しかったです。そしてツェドカの報われない恋もまた……切なかった。
アライスをまばゆくうらやみつつ、ハウファの残したものを大切に胸に抱きつつ、影に徹して、アライスにはできない彼自身の戦いを最後までやりきった彼、かっこいいですよ!読んでいる私としては大拍手をささげたいです。というか。やすらかに。
エズラ将軍の例のあれが、まさかそういうからくりだったとはね……。
歴史学者のことも。改めて読み返してみると、なんというか、優しい気持ちになりました。

あとエシトーファ様も再登場で、嬉しかったです!
結婚しても、当の奥様をはじめとして、アクの強いというか我の強いキャラクター達に翻弄され続けてる感のある、人のいいエシトーファ様が不憫……でも好きです。
彼が出てくると、重たい物語がほんわり癒されます(笑)。
私の中での一番は、やっぱりアーディンなので、そういう点からも不憫なエシトーファ様……いえ、だから、そんなエシトーファ様が好きなんですよ?(笑)

アライスと最後に向かい合ったラストシーンのツェドカが何とも言えない。

そして夜の王と夢売りのからくりが、ようやく明らかに。
私が事前に勝手に想像していたのより、重たくないシンプルな真相でした。でもほっとしました。こっちの方がいいですよ(笑)。
ツェドカのことはあったけど、とにかくあれ以上人死にがなくて、皆が元気に生きていて、本当に良かったです!(また誰かの犠牲があるんじゃないか、ずっとひやひやしていたんです……)
このいくつもの夢の物語を胸に宿して、アライスは新しい王になる。
うーん、私のつたない言葉では、何と言ったらいいのかよく分からないんですが(笑)、最初から最後まで丹念に作り込まれたこの物語が、本当に素晴らしいなあと思いました。
「夢の上」「イエーツ」でネットで検索した詩も、素敵だな。

改めて表紙のイラストを眺めていると、こみ上げてくるものがあります。まなざしと色づかい、素敵だな。
ふたりの物語を重ね合わせて光と闇、読んでいて、そんな感じがしたので。
イラストと言えば、頁を開いたところのツェドカのカラーイラストも雰囲気あってきれいで好きです。

欲を言えば、イズガータ様視点の物語も、読んでみたかったなー。とか。
シアラ視点のダカールへの想いがそこまで深く書かれていなかったので、その辺ももう少し読んでみたかったな。とか。
要するに、この物語にもっともっとひたっていたいんです。まだ読みたいんです。そんなわがまま(笑)。

実はこの後の外伝も、すでに読んだ後だったりします。
だって、アーディンがいるんですもん。我慢できませんでした(笑)。
また感想も、書くと思います。

普段の私はこの手のファンタジアノベルスの本は滅多に読まないので、ネットをしていて皆さまの感想を読ませてもらったりおすすめいただいたりしなければ、きっと読むことはなかったんじゃないかと思います。
何度も読み返したくなる素敵な物語を読めたのと同時に、出会いにも、改めて感謝です。

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カテゴリ: ファンタジー(西洋風)

この記事に対するコメント

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 |  #
2012/11/18 00:29 * 編集 *

Re: タイトルなし

>コメントありがとうございます。

返信が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした……。
「彩輝」の別名ということですが、また申し訳ありません、私にもちょっとわからないです(汗)。
『夢の上』シリーズを読み返してみたら、どこかにふさわしい説明があるかもしれませんが、ちょっと今、読み返している時間がなくて……。

URL | fallclover #SvKcs0as
2012/11/28 07:49 * 編集 *

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