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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『あまからカルテット』柚木 麻子 

あまからカルテットあまからカルテット
(2011/10)
柚木 麻子

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ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子は、中学生のころからの親友四人組。
性格も容姿も職業も全然違う四人だけれど、二十代後半になった今でも定期的に集まり、仲の良いひとときを過ごしている。
ある日、引っ込み思案で大人しい咲子が、なんと初対面の男性に一目惚れしたと報告してきた。
彼が咲子にくれた美味しいお稲荷さんを手がかりに、皆はなんとかして、彼女の恋を実らせてあげようと奔走する……。


はじめましての作家さんのお話を手に取ってみました。
今の私とちょうど同年代の女性四人組の友情と恋愛メイン、あと美味しい食べ物がたくさん出てくるという評判を聞いて、この設定はとても私好みっぽい、読んでみたい!ということで(笑)。
美味しそうな食べ物いっぱいでかわいらしく楽しい雰囲気の表紙に、わくわくしながら、頁をめくって読みはじめました。

『あまからカルテット』というタイトルと言い雰囲気といい、レトロ感があるというか、かなり昔祖父母の家で切れ切れに見ていたNHKの連続ドラマをなんとなく思い出しつつ読んでました。

何もかもが違っているけれど学生時代からずっと友情を築きあげてきた四人、仲良くわいわいやっている空気が、読んでいて終始とても心地良かったです。
時にはお互いの違いに複雑な思いを抱いたり羨んだり、いらいら諍いを起こしたりもするのだけれど、長年培ってきた四人の絆は、ちょっとのことではびくともしない。
ひとりが困難に陥っていたら、残る三人がそれぞれ違う長所や特技を補いあい協力し、何倍ものパワーでもって、一緒に解決して乗り越えちゃう。
まあちょっと上手くいきすぎかな……とか思わないでもなかったですが(笑)。物語の世界だからこそ、これくらい何もかも友情で乗り越えて上手くいってほしいの、皆よくやった!とすっきり気持ちよくなれるのも、また事実。

女性四人組、楽しくティーパーティー、ということで、『アンシリーズ』の『アンの愛情』に出てきた「パティーの家」のエピソードを思い出したりしました。あれ、学生時代に本当に憧れた理想の下宿だったなあ、懐かしい(笑)。
四人組といえば、『若草物語』もそうでしょうか。個性が全然違うメンバーが揃ってるところが、『若草物語』っぽかったです。
特に編集者で自立心の強い薫子さんはジョーのイメージ。ピアノが得意で大人しい咲子さんはベスかなあ。それでいくとお洒落好きでちょっとワガママな満里子さんはエイミー。家庭的な由香子さんはメグね。わあ、なんだか皆ぴったり!おもしろーい。

……話を戻して(笑)、私が一番立場的に共感できたのは咲子さん、一連の恋のお話が良かったのは満里子さん、生き方に憧れたのは薫子さん、でした。美味しそうな料理を次々生み出す由香子さんはまた別格。
ひとりだけ、恋の結末が切なかったのですが……ラストのどたばた劇の末になんだかんだで出会いがあって、よかったー!

出てくる食べ物がやっぱりどれもこれも本当に美味しそうで、それぞれがお話の中で大切な役割を担っていたのも、ポイント高かったです。
描写は一見さりげないのだけれど、ひとつひとつの食べ物の描写がていねいで、美味しさの工夫のポイントが、読んでいる私にも身近に手に取るように伝わってくるのが素敵。
特に「はにかむ甘食」のエピソードがお気に入りです。序盤のマドレーヌからはじまる回想が、まさか、このオチにつながるとは!(笑)懐かしい友情にお母さんのほっこり感も入り混じってとても好きでした。
あと、田作りのアレンジも美味しそうだなあ。なるほど、その手がありましたか!これは私もお正月に作ってみたい(笑)。
「胸騒ぎのハイボール」、器が味わいにそんなに影響をおよぼすこともあるのか……と発見する思いだったり。

それぞれが主役をはる四つのエピソードも良かったし、ラストの「おせちでカルテット」のどたばたエピソードも面白かったです。皆どうなることかとはらはらしましたが!(笑)
あの場でメイクのレッスンをする満里子さん、格好良かったなあ~!
あと、お節のためにテレビ局で奔走する由香子さんも輝いてました。すべての工夫が素晴らしいです。堀井君の報われなさは正直気の毒でしたが……(苦笑)。
薫子さんとお義母さんがようやく分かり合えた場面にじんときたり。咲子さんの複雑な思いに……切なくなったり。でも別れ際の彼のひとことは素敵でした。うん、きっと悪い人ではないのね。

とても読みやすい文章でさらさらっと楽しめた、大人の優しいおとぎ話みたいな、そんな一冊でした。
苦味も混じってはいるけれど、私の中ではそんなに後を引かなかったなあ。
ふんわり女性的な優しい雰囲気は、瀧羽麻子さんのお話を彷彿とするものがありました。
彼女たちそれぞれのお相手の深いエピソード、恋のはじまりとか詳しいあれこれももっと読めると、より良かったかなと思いました。皆こんなに素敵なんですもの(笑)。

読み終えて、美味しいお稲荷さんと、あと甘食を食べたくなりました。そういえば、どちらも最近食べてない……(笑)。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 柚木麻子 

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