Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と虹の後継者』三川 みり 

シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と虹の後継者 (角川ビーンズ文庫)シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と虹の後継者 (角川ビーンズ文庫)
(2012/07/31)
三川 みり

商品詳細を見る



『シュガーアップル・フェアリーテイル』シリーズ第9作目。『銀砂糖妖精』編のお終い、三冊目ということで。
「銀砂糖妖精」を実際に育てていくために、ついに、妖精の選定がはじまった。
アンとシャル、キース、キャットたちが協力しあって彼らの素質を見極めるために取り組むのだけれど、片翼を取り上げられた妖精たちは、当初の懸念通り、簡単には人間を信じない。計画は進まず、アンたちは窮地に立たされることに。
その一方で、アンとシャルとずっと一緒だった妖精・ミスリルの様子もおかしい。問い詰めてもミスリルはとぼける一方で、アンは不安を覚える……。


楽しみにしていた『シュガーアップル』の新刊、早速手に入れてきて読みました。
今回の表紙は、おおっ、ミスリルのアップですね!表情と腕を組む仕草がかわいいなあ。
パステルカラーのお花がちりばめられているのもかわいいです。夏らしくてさわやかな。

さて内容は、今回も、このシリーズらしい読み応えがありました。
「銀砂糖妖精」を選び出し育ててゆくというのは、口で言う以上に実際にはすっごく大変だろうな……と前巻の時点でもぼんやり思っていたのですが、案の定というか。予想以上に妖精の方の意識はかたくなでした。
まあ、無理もないでしょうけどね。妖精と人間のこの関係、五百年の年月は、あまりに大きくて重い。
最善と分かっていてもそれをできないって立場、苦しいな。単純には乗り越えられないものがある。

普通のひとならすっかり挫けそうな困難な状況に陥っても、それでも、やっぱりあきらめないんですよねえ、アンは。
砂糖菓子を作り出す以外に特別な力はない年若い娘の身で、ただまっすぐ妖精たちに対峙し、真心をこめて、なんでもする。不可能と言われてもあきらめない。がんばる。けして逃げない。
このどこまでもぶれのないアンの姿勢が、いつもながらに読んでいて本当に貴く、格好いいなあアン……惚れ惚れして、こちらの背もぴんと伸びる思いでした。
キースやキャット、シャル、ヒュー、そしてノアたち、困難に共に立ち向かえて、現時点ではまるで夢の様な理想を分かち合えて、実現を目指せる仲間たちの存在が、またすごくいいです。皆それぞれ格好いいこと!

でも理想だ、夢だって誰も実行しなければ、いつまで経っても理想のまま。
だから私は、実行する。 (158頁)

アンたちのがんばりと真心、そして妖精たちと同じ過去を持つシャルからの、妖精と人間との現実――なんとも重く切ないメッセージを受け取った彼らが、彼らの中でそれをゆっくり飲み込んでゆき、そして自分たちから「帰ろう」と言い出した場面が……読んでいるこちらもなんだか切なくて、でも心が静かにあつくなりました。
アレルさんも、嫌いじゃないんですよ。妖精の彼に使うのは変かもしれませんが、すごくあたたかくて人間臭い(笑)。
皆で工房に戻ってからの砂糖菓子作り作業は、これは読んでいて楽しくてよかったです。
選ばれなかった皆の場面でまた切なかったけれど……エメレさんも、本当にいいひとだったのになあ……。
はるかな未来に気負いなく自由をかけられる彼らの姿が、切なくも素敵だなあとしみじみしました。

アンとシャルの関係も、ますます微笑ましくってとても良かった♪
今回のストーリーの妖精と人間の未来のあれこれを経て、初恋について、ようやく!ようやく前向きに考え始めたシャルに、おおっとなりました。
なんか、正直これまで、アンとシャルの恋って、幸せな未来をどうも想像できなかったんですけれど……、今回のシャルの決意を読んでいると、もしかすると、そうでもないのかもしれないなあと思えてきました。ある意味理想のかたちなのかもしれない。まだぼんやりとなのですが。
アンにとうとう自分の想いをストレートに告白したラスト直前の場面、ときめきましたー!アンのいつもどおりの勘違いにがくっとしつつも(笑)、そこも乗り越えて、一歩踏み出したよ!シャルにしてはよくやった!
妖精と人間が共に生きるのが不幸でも、その不幸を補うほどの幸福を。素敵な口説き文句ですねえ。
まあそこからそれどころでない事態になってゆくのですが……。

そう、そのミスリル、今回のお話では終始元気がない感じで、読んでいて寂しかったです。
話のメインに直接はからんでこなくても、ミスリルっていつも、にぎやかにアンを元気づけてくれたり力をかしてくれたり、大活躍していたんだなあ、改めて実感してしまいました。
恋に悩めるアンに、シンプルな言葉でアドバイスして彼女の迷いを拭ってあげたあのシーンが、すごく好きでした。大人だあ、ミスリル。
これまでのお話の積りがあるからこそ、ラストの皆のなんとかしてミスリルを……という想いが、染みる。
そしてそっか、ここでラファルに結びついてゆくのですねえ。
今回のお話では沈黙を保っていた彼らでしたが……次は、どこへ転がってゆくことやら。かなり気がかりです。

キースは相変わらず、とてもまっとうで気持ちのいい恋のライバルだなあと思いました。好きですねえ。
アンに告白を忘れ去られていたのはさすがに少々気の毒でしたが……(苦笑)。確かにアンは、どこまでも銀砂糖菓子命の女の子だから。シャルのことがなかったとしても、難しい恋になってたんじゃないかな。
キャットもますますお人好しで有能なお人で大好きです。
ノアの再登場もよかった!かわいくって今回のお話の中ではとても和みました。

銀砂糖の虹と妖精たちの歌、素敵な見せ場でした。
銀砂糖妖精、可能性に溢れているんだなあ。明るい期待ができそうで、良かったよかった。
願わくば、元気になったミスリルのさらなる活躍も、読みたいです……。

あきさんのイラスト、今回もじっくり堪能しました。
一番最初の仲良しシャルとキースの場面のイラストと、あとなんといっても235頁のイラストが、お気に入りです。髪を下ろしたアンが大人びていてきれいで、シャルと並ぶといつになくふたり艶っぽくて、どきっとしましたー(笑)。
アレルさんのイラストも、できれば見てみたかったな。カラーで!

次回からの『砂糖林檎編』も、待ち遠しいです!


昨日記事に拍手くださった方、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: ビーンズ文庫

タグ: 三川みり 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1126-907adca1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)