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『夢の宮 ~王の苑囿~』今野 緒雪 

夢の宮 ~王の苑囿~ (夢の宮シリーズ)夢の宮 ~王の苑囿~ (夢の宮シリーズ)
(2012/08/01)
今野 緒雪

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今野緒雪さんの中華風オムニバスストーリー『夢の宮』シリーズの新作。
七歳の春、翔志(しょうし)は父に連れられ鸞城に入り、「夢の宮」へ通される。
そこで翔志を待っていたのは四人の少年。彼らは、家に帰ろうとする翔志にそれはできないと告げる。「我々は、王の供物なのだ」と。
事情も分からぬまま「夢の宮」で少年たちと慣れない共同生活をはじめた翔志。
そんなある日、次に新しく仲間として連れてこられたのは、麗婀(れいあ)という美しい少女で――。

『夢の宮』シリーズ、『始まりの巫女』に引き続いて新作が読めるようになって、とても嬉しいです。
久下じゅんこさんのイラストは大人っぽくて美しいし、装丁も洗練されて今風になったというか、格好いいなあ。前の感じのもとてもとても好きなんですけどね。

さて今回のお話は、『夢の宮』、少年たちの寄宿学校に。なんて斬新な(笑)。
そんなびっくりな設定を除けば、本当にいつものシリーズらしいお話を楽しめました。
家系図がなかなかややこしくて、読んでいてこんがらがって仕方ありませんでしたが(笑)。まあそこはよく分かっていなくても、ストーリーを追うのに特に大きな支障にはならなかったです。

今回の主人公は、七歳で親元を離されて鸞城にやってきた、翔志くん。
まっすぐ裏表ない性格で、真面目な頑張りやで熱くって、そしてなんだか色々なところで抜けていて、ひっくるめて可愛らしくていいヒーローくんでした(笑)。将来大物になりそうな。(ってラストには本当に「大物」になっちゃうわけですが。笑
夢の宮での少年たちの共同生活、皆なんというかふつうの悪ガキといった風情で、でもなんだかんだで皆根はちゃんといい子っぽくて、だんだん馴染んでいくごとに個性も出てきたし、良かったです。
あれですね、翔志は性格的にからかわれずにはいられないんですね……(笑)。
王宮を脱出した翔志が連れ戻された時、事情を知らされていなかった少年たちが、翔志の気持ちをちゃんと思いやってあれこれ世話をやいてくれてた場面が好きでした。
少年たちの世話役の女官もいいひとだな。

そんな少年たちの世界に突然連れられてきた、麗婀ちゃん。45頁の挿絵がかわいすぎます♪
翔志と麗婀のほのぼのとはじまった淡いロマンスも、王道ながらに微笑ましくってとてもよかったです。
翔志のためにお菓子を作ってきたのに肝心の彼が食いっぱぐれてしまって麗婀がすねちゃう場面がかわいい(笑)。

そんな幼き頃から、しだいに、皆の関係は変化せずにはいられなくて。少年たちの微妙な関係がリアル。
色々なものが危うげな方向に容赦なく落ちていって、どうなることかとはらはらしましたが……後半からは、予想外に明るい方向に持ち直してきて。
鸞王と正妃様、翔志をはじめとする少年たち、皆まとめてきちんと家族っぽい雰囲気になってきて、あたたかくて良い感じでした。
中でも、駆け落ち事件の後日談には、本当にほっとしました!あれっきり最悪の事態になったものだと思っていたので……。夢の宮でひっそり苦労していた侍女が幸せになれたようで、よかったよかった。
過去の色々なこと、実はしっかり反省していて翔志たちはきちんと気遣って幸せにしてやろうとする王様、好きでした。
未来の決め手が「蝶」だった彼が、少年たちの中でいちばん好きだったなあ。マイペースさが。

麗婀の正体もでしたが、翔志の正体も、そういうことだったのか!言われてみれば……確かに。全然気づきませんでした。
今回のお話は、きちんと気持ちのいいハッピーエンド。
主人公の恋が成就すると、皆に祝福されていると、本当に嬉しいですねえ。いいですねえ。ふたりで幸せになるんだよ。
(そしてラストではじめて明かされた王子様の想いにびっくりし、じんとしました……。不器用で、やさしいひとだったのですね。)

翔志の育ちのいいおぼっちゃんっぽさや正体不明のおしゃまな女の子麗婀、あとストーリー構成も、『竜のみた夢』の後編に収録されていた『眠りの妃』っぽいお話だったかな。
あと、お話の本筋とは関係ない部分でしたが、「夢の宮」への侍女による書物の出張貸し出しサービス、図書室に通う王子様、……なんだかとても『月下友人』の某カップルを思い出してしまう設定で、ひとりにこにこしてしまいました。

それとこのお話、少年たちが「夢の宮」でご飯を食べている場面が、なんだか美味しそうでよかったな(笑)。この食べっぷりは育ち盛りの少年だからこそ、ですねえ。

『夢の宮』シリーズ、今後も新作、楽しみに待っています!


そういえば、『夢の宮』シリーズではないし少女小説でもないのですが、最近読んだ今野緒雪さんのお話。

いつか、君へ Girls (集英社文庫)いつか、君へ Girls (集英社文庫)
(2012/06/26)
ナツイチ製作委員会

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この短編集の最後に収録されていた今野緒雪さんの『眠り姫の星』が、私、すごく好きでした。この短編集の中でいちばんお気に入り。
今野さん、SF書かれるのか!びっくりして読み始めましたが(笑)、ほどよくロマンティックで可愛らしくて素敵なおとぎ話でした。
淡々とサバイバルに精を出す、朴念仁の王子さまが格好良くってきゅんときました(笑)。
安定の文章に、さすが今野さんだなあ、と。
他の作者さんのお話は、ちょっとほろ苦い学園青春ものがメインでした。

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 今野緒雪 

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