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『上海恋茶館 アール・グレイは琥珀のくちづけ』青木 祐子 

上海恋茶館 アール・グレイは琥珀のくちづけ (上海恋茶館シリーズ)上海恋茶館 アール・グレイは琥珀のくちづけ (上海恋茶館シリーズ)
(2012/08/31)
青木 祐子

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『上海恋茶館』、シリーズ二作目。
楠木龍之介が上海にやって来て、ふた月弱。
リリアン・ミルドレッドのもとに、行方不明中の貿易商の父・ロバートから木箱が届く。中身は全葉の紅茶と白い花。
ところがこの積荷、航海中何度も盗難騒ぎにあったといい曰くつきのもののようで、リリアの屋敷にも、メイファという少女が探りを入れに現れる。
彼女を差し向けた者の正体と目的を探るべく、龍之介は怪しげな妓館・花彩酒店に内偵を試みるが……。


青木先生の新シリーズ『上海恋茶館』、さっそく二作目が出ました。
毎度毎度思っているのですが、今回も青木先生、刊行ペースがお早いです!
ついこのあいだ『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』の短編集を読んだばかりのような気がするのに……。ファンとしては嬉しい限りです(笑)。

さてこちらのシリーズでは、相変わらず、和洋中入り混じったエキゾチックで華やかな街・上海で、皆が表面上はにっこり笑顔で、裏では命をかけて腹黒い駆け引きをくりひろげつつ、美味しいお茶で一服して平和な日常を営んでいる。……終始そんな感じでした。
誰が正義で誰が悪役なのか、読めば読むほどよく分からなくなってくる。
ヒロインとヒーローのふたりさえ、真っ白に善人とは言いがたい感じです(笑)。まだ腹に一物持っていそうな。過去もますます謎ですし。
気を抜けばすぐに足元をすくわれそうな、緊迫感のある日常で、表面上はあくまで涼しげに微笑んで生きている人たちが、だんだん不思議と格好良く思えてきます。
そこにときどき意外なくらい純粋な感情が見え隠れしてくると、ときめくのです……♪

今のところ、リリアと龍之介を見比べていると、リリアの方が、強かで優位かなー。
わたしは弱い限りは強くいられるんだわ…(240頁)……そんな感じです。はい。自分でわかってるあたりが彼女の強さでしょうか。
龍之介の方も、慣れない地で健気に色々頑張っていて、格好いいんですけどねー。リリアとあとフェイのかたい守りがある限り、彼の立場は上昇しづらいだろうな…。気の毒に(苦笑)。
理不尽な痛い思いをしても「女性を守るのは男の勤め」みたいな感じでさらっと流して、その後も相変わらず女性にやさしい態度を変えない姿が、格好いいなと思いました。
うーんでも、恋愛に関しては、龍之介の方が優位かな。場数を踏んでる(っぽい)分だけ。
リリア、ヒロインなのに、キャラの中でいちばん本心がつかめない不思議ちゃんなところは、クリスに似てなくもないかな(笑)。

あと、フェイが、前巻以上にあちこちでリリアのために大活躍してて、格好良かったです!
フェイの方がリリアより、行動基準がシンプルで真っ直ぐで分かりやすいです(笑)。ややこしい陰謀劇の中で彼女のようなひとがいると、バランスが取れて良い感じ。
フェイにいつの間にかすっかり懐いていたメイファちゃん、分かるよ、確かにフェイは格好いいです。
そして前巻に引き続きフェイにやたらと絡んできたルパート、まさか、そういう魂胆だったなんて!
……フェイと一緒にあたふたし、そのすぐ後の、多分はじめて見た格好悪いルパートのシーンにちょっと笑ってしまいました。メイファちゃんよくやった!(笑)


上海の人間が、人の言うことに無条件に従うとしたら、その理由はいくつかしか考えられない。
阿片か、金か、野心か――。
あるいは、恋である。  (240頁)

……結局のところ、これにつきるお話だったなと思いました。リリアと龍之介も、白蓮と風も、ルパートも。
こうして改めて読んできたお話を思い返してみると、黒いけど、ロマンティックで素敵な場所でもあるなあ。上海。

青と白の組み合わせのカップに清涼さを見出して、日本人、龍之介はこういう色をきっと好むのだ……みたいな53頁あたりの箇所が、印象深くてお気に入りでした。
落ち着いた深みのある青木先生の文章に、相変わらず読んでいてうっとりです。

リリアの淹れるお茶あれこれも、期待通りに魅力的に書かれていて楽しかったです。
アールグレイのお茶を飲みたくなってきました。
紅茶は、私も正直そこまで詳しいわけではないので(ブログでときどき一緒にアフタヌーンティー巡りしている友人の方がずっと詳しいです)、大体はああすごいなー、感心してるだけですが(笑)。
何が起ころうとも落ち着いてお客にぴったりのお茶を淹れ続けるリリアの姿がなんというか、ますますただ者じゃない(笑)。
白い花は、リリアのご両親の慣れそめ話がロマンティックで、ずっとそのイメージがほわんと漂っていたのですが……、うーん。

あとは、龍之介と明のやりとりに妙に和んだり。なついてくれれば可愛い子だな、明。
龍之介の友人との会話、過去の女の話に複数の名前があがってきて、思わずがくっときて突っ込みたくなったり(笑)。百合さんだけじゃないのね。

恋のはじまりは予想以上に早くてちょっとびっくりした(笑)ふたりですが、これからどういう展開になるか、楽しみです。何より龍之介の過去や素性がとても気になる。それによってふたりの恋の行方も変わっていくのかな?
今のところ、まだ雰囲気で読んでいるような気がします。お話、ロマンスに深みが出てくるのは、これからに期待、でしょうか。

(ところで、ライオネルにこの先活躍の場はあるのかな……。実はけっこう好きなキャラだったんですよね。笑)

(そして夏のキャンペーンのヴィクロテの短編が、今から楽しみすぎて!クリスはいつまでたっても私の最愛のヒロインです。笑)


一昨日と昨日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 青木祐子 

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