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『英国マザーグース物語 哀しみのロイヤル・ウエディング』久賀 理世  

英国マザーグース物語 哀しみのロイヤル・ウエディング (英国マザーグース物語シリーズ)英国マザーグース物語 哀しみのロイヤル・ウエディング (英国マザーグース物語シリーズ)
(2012/09/29)
久賀 理世

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『英国マザーグース物語』シリーズ三作目。
ロンドンの有名な都市伝説「恐怖の殺人床屋スウィーニー・トッド」伝説絡みの取材をすることになったセシルとジュリアン。取材を続けていく内に、次第に怪しげな事件の影が見え隠れしてきて……!?
一方、セシルたちアッシュフォード一家は、皇太子妃アレクサンドラからお茶会に招待される。
美しくあたたかな人柄の皇太子妃のもてなしに、四兄妹は思いがけず楽しいひと時を過ごすが、セシルはアレクサンドラのけして幸せでではない結婚生活を知ってしまい……。


『英国マザーグース物語』、嬉しい第三巻目です。
タイトルに「ウェディング」とあったもので、はじめセシルとジュリアンのふたりのことかと思い込み、もしかしてこれでシリーズ完結……?とか先走って想像してしまったのですが、よくよくあらすじを読んでみると、違ったみたい。
よかったですー、まだまだこのシリーズの世界を楽しんで読んでゆけそうです(笑)。
それはともかくとして、今回もあきさんの表紙の素晴らしいこと。
はじめて女の子の姿でおめかしして、ジュリアンと背中合わせで並ぶセシル、の図に、胸が高鳴りました。
しっとり憂いを帯びた色づかいと表情が雰囲気あって素敵です。毎度のことながらうっとりながめてしまいます。

今回のお話も、序盤のたわいないほのぼの系の謎解きから次第につながっていき、お話全体にわたるシリアスな事件が明かされてゆき……みたいな流れで。
哀しみのロイヤル・ウェディング、政略で嫁いできた美しく高貴なお姫様の秘め恋の行方。シリーズの中ではいちばん私好みなスタイルのお話で良かったです。(事件自体はとても重たかったですが……。)
そしてセシルとジュリアンの偽装パートナー関係も、相変わらずほのぼの可愛らしくて和みます。さらに今回は、精神的に、ふたりの距離がぐっと縮んだ感じ!とてもきゅんきゅん心ときめきました。特にモールス信号!
セシルが内に抱える事情も、読者やジュリアンの前に、次第に明かされてきました。
久賀理世さんの文章の言葉づかい、私的には結構合うみたいです。ひらがなわりと多めなのも、童謡っぽい雰囲気で可愛らしいなと読んでて思いました。

(マダム・コルベールと聞いて、某シリーズのキャラを真っ先に思い浮かべる私。きっと私と同じ方もいらっしゃるんじゃないかと。笑。)

まずは「恐怖の殺人床屋・スウィーニー・トッド」伝説絡みの事件を追うことになったセシルとジュリアン。
怪しげな都市伝説をジュリアンに嬉々として解説したり、伝説を逆手にとって商売している床屋さんに行ってはしゃいだりするセシルが、本当に彼女らしくてかわいらしくて、読んでいてほのぼの。
殺人床屋にミートパイ、いやいくらなんでもそれはないでしょう……と思いつつ(でも食べるのためらっちゃうセシルの気持ちも分かる!笑)、種明かしされてみれば、また思いがけずにほっこり心あたたまる事件でしたねえ。
猫のイラストがかわいらしかったです。
そしていかにもグルメで食い意地がはってるセシル達の先輩・ポールさんもなかなか好きなキャラでした。
ミートパイがそれにしても美味しそうです。日本ならコロッケとか肉まんとかの感覚なのかな。
そして今回もまた恒例のダニエルとジュリアンの秘密会議の場面が楽しすぎます!
「わたしは麦ではなく人間だ!」「知っているよ」あたりがかなりつぼにはまりました(笑)。

次に、皇太子妃のお茶会に招かれるアッシュフォード四兄妹。
実はあんまり世界史に明るくない私、アレクサンドラ皇太子妃が出てくるお話をはじめて読みました。なんというか……、この時代の英国王室も、複雑なんだな。ロイヤル・ミストレスって、そんなのあったんですねえ。
まあ、このお茶会でいちばん輝いていたのは、なんといってもアッシュフォード次男・ジェフリーでした。
ああ、すごいなー、噂に違わぬ破天荒っぷり(笑)。ケーキにケチをつけたのはまあともかく、その後の壮大な計画には度肝を抜かれました。サミーも何気に巻き込んでるし。
ダニエル兄様の真面目で全てにおいてそつのない立ち居振る舞いも素晴らしかったのに、ジェフリーの言動を読んでいたらかすんじゃいますよ、かわいそうに……。
そしてお茶会のケーキが豪華で美味しそうです。ミートパイといい、読んでいてお腹がすいてくる巻だったな。

お茶会の前に、セシルにみっちり講義をさずけてくれたアメリア嬢とセシルの友人ソフィの場面も好きでした。可愛い女の子達がきゃいきゃい仲良くしているお話は大好き。もっとあってもよかったのにな(笑)。
アメリアの存在って本当に心強いですねえ。セシルもソフィもいい友人を持ったものです……。(棒)
セシルのドレスはセシルに本当にぴったりで、それを選んだというダニエル兄様が、何気にすごいなと感心しました。妹大好きは伊達じゃないですね!
お兄様への不満をまくしたてるソフィも可愛らしかった。

そして謎多き貴公子と接触した余韻を引きずりつつ、事前に計画されていた通り、マダム・コルベールの降霊会に、ジュリアンと兄妹といつわって共に参加するセシル。
はじめて女の子の格好でジュリアンに接するセシル、お互いに相手に惚れなおす(?)場面に、思わずにっこり。
そうでしょうジュリアン、セシルの美しさは思っていた以上でしょ!惚れ込むでしょう!(なぜか私が自慢気)
ダニエル兄様との別れ際も笑えました……。ジュリアン確信犯ですね!
降霊会、波津彬子さんの漫画『うるわしの英国シリーズ(『猫は秘密の場所にいる』シリーズ)』(感想→こちら)の中の一話にもあったので、ああいうイメージで読んでました。あれは笑っちゃうくらい胡散臭さがにじみ出ていたなあ。
そのあとで、ふたりきりで過ごすセシルとジュリアン。
セシルが話してジュリアンが謎解きしたちょっとしたお話、これもロマンティックで可愛らしかったです。
膝枕にきゅんとして、そしてモールス信号。ネットでちょちょっと解読法を調べて、出てきたジュリアンの思いがけずストレートな言葉にどきどきしました。あきさんの挿絵もナイス。
「ただただこころがくすぐったくて」……、いい歌詞だなと思いました。

そして明かされる、レディ・ルイーゼの、哀しみのロイヤル・ウェディングの真相。
胸にずっしりくる恋でした……。本当に、誰がいちばん悪いのか、分からないですね。ため息。
レディ・ルイーゼを救おうと必死なセシルとそんな彼女を完璧に守り通してサポートするジュリアンが良かったです。ジュリアンって本当に有能で格好いいなあ。セシルの思いが届いて良かったです。

お願いですから、そんなふうにわたしを見つめないで。
だってわたしは困ってしまうんです。
もしも本気で、あなたと離れたくないと思ってしまったら。
どうしたらいいか、わからなくなってしまうんです。 (270頁)

――セシルのジュリアンへの想いが、すごく切なかった。
無自覚ながらジュリアンに惹かれていき結婚にますます気が沈むセシルに、自分が婚約者だと明かせないためセシルの悩みに深く踏み込めないジュリアン。
ふたりとも、読者的には本気でもどかしすぎますー!
事情を知りふたりを見守るダニエル兄様の兄心も、複雑ですよねえ。

ラスト、マダム・コルベールの正体には、本気でぞっとしました。
セシルがお茶会で会った彼の正体や思惑が、気がかりです。今後どう関わってくるのか……。セシルを口説いていたのは、完全な演技なのか、あるいは本心も混じっているのか。むむむ。

少し戻って、アッシュフォード兄妹の一家団欒のラスト、あたたかで愛情にあふれていてとても良かったです。
ジェフリー兄様が最後の最後でずるいなあ、すごくステキな兄上じゃないですか!

思っていたより複雑なお話になりそうかな?ますます続きが楽しみなシリーズになってきました。
今回はほとんど触れられなかったジュリアン側のエピソードも、もっと読んでみたいです。彼はまだまだ謎の男ですもん(笑)。
ういういしく可愛らしい主役二人のロマンスの行方も、とっても楽しみです♪
プラス、どこまでも不憫な役回りのダニエル兄様も(笑)。
アッシュフォードのご両親のなれそめ話とかもちょっと読んでみたいなと思いました。


一昨日と昨日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 久賀理世 

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