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『伯爵と妖精 祈りよアルビオンの高みに届け』谷 瑞恵 

伯爵と妖精 祈りよアルビオンの高みに届け (伯爵と妖精シリーズ)伯爵と妖精 祈りよアルビオンの高みに届け (伯爵と妖精シリーズ)
(2012/12/28)
谷 瑞恵

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伯爵と妖精』シリーズ、第31作目。
もう一度のプロポーズを経て、再び結婚を決めたリディアとエドガー。
しかし同時にエドガーの記憶が戻りそうな気配に、身重の状態でリディアは気をもんでいた。
そんなとき、ロンドン橋で魔力を感じたとの知らせを受けて橋へ向かうふたりだったが、そこに待ち構えていたのはテランだった……。
一方、妖精国に再び訪れたフランシスの前に、正体不明の少年が現れる。
彼はまだ生まれる前の状態で、両親の危機を救うために、ある人の体を借りてふたりの元へと向かうのだが――。


伯爵と妖精』シリーズ、クライマックス目前、ということで。
というか、まさかこの次の巻で、完結だとは。正直予想していませんでした。
このシリーズ、途中からではありますが(リディアとエドガーが本当の婚約者になった辺り)、リアルタイムで何年もずっと新刊を追いかけて読んでいる私。
振り返るといつの間にかとても長いシリーズになってきていますが、終わりがとうとう具体的なかたちで示されてしまうと……うん、寂しいな。

今回のお話、実際に読んでみると、やはり、完結に向けて色々な事態が一度に動き出してきてる……そんな印象を持ちました。一冊の中にぎゅっとつまっていて、読み応えがありました。
懐かしい面々が色々登場したり、レギュラーメンバーの微笑ましい場面もたくさん見られたり。嬉しかったです。
そしてなんといってもエドガーとリディア夫婦、ようやくここに来て、最近の辛い展開に、決着が。
リディア、良かった、もう本当に良かった(涙)。シリアスな中に甘々な場面もけっこう読めて嬉しかったです。
そして私もずっと気をもんでいたあのキャラが、まさか、こんなかたちで登場してくるとは!(笑)

それでは、いつもの通りに追記以下で、ネタばれありの語り風感想です~。
読みづらさはどうぞご容赦ください(笑)。


表紙、わあ、ラブラブな構図で素敵です~♪
高星麻子さんのカラーイラストはやはりとても素晴らしいです。夫婦の瞳の色が、とりわけ美しい。薔薇の色味も好き。
そして背景にいるのは、ダネルさんかな?バイオリンケースっぽいものを持ってますしね。
目次の各章タイトルも素敵でした。言葉から、こみ上げてくるものがあって。

まずは、エドガーとリディア夫妻に、カールトン教授とパトリックも交えて、ヘブリティーズ諸島の妖精と宝石の話をする場面。
ここは皆基本的に和やかな雰囲気で良かったです。パトリックさんが味方といってもいい存在になってくれて、心強いです。
カルセドニーにあるじの泉のしずくに、懐かしいなあ。『誓いのキスは夜明けまでに』の内容を思い出して、ちょっとうるうるして読んでいました(笑)。あの巻、本当に辛かったけどとても好きで、何度も読み返しているんですよね。
色々な伏線はもう正直すべて追いきれていないために、雰囲気で読んでしまってるのですが……(汗)。
あ、そしてカールトン教授がお元気な状態で、改めて、本当に良かったです!

そしてフランシスが妖精国で会った少年。
正体に本当に、びっくり仰天でした(笑)。しかもまさか、ユリシスの体で登場するとは!
彼が生まれる前にこうして登場してきた理由が切なくて、胸が締め付けられました。
まだ生まれてもいない子がこんなに淡々と自分の使命を語るなんて……。

また不気味に待ちぶせてきたテランとその子関連もあって、ついにエドガー、記憶が戻ることに。
どうなることか本当に心配だったのですが、思っていたよりエドガーはずっと落ち着いていておだやかで、読んでいてほっとしました。
なぜだろう、と読んでいって、今までのリディアや彼女の子との関係の葛藤と、それを乗り越えた過程で、彼は過去の憎しみの呪縛から、もうすっきり解き放たれたからなんだなあ、と。現実的に未来だけを見据えられるようになったからなんだなあ、と。
そうか、そういうことだったのか……。今まで何巻か続いた長く辛い過程も、けして無駄じゃなかったんだなあ。
そのエドガーに、リディアがしがみついて涙する場面が本当に良かったです。
「ごめんね、リディア。大変だったね」…とのエドガーの台詞に、読んでいて私の目もうるみました。
私がエドガーに言って欲しかった台詞を、深い愛情を込めて言ってくれたのが、良かった!
ここの挿絵もお気に入りです。見守るケリーとレイヴンの表情も良い感じです!
で、記憶が戻ったのと同時に、エドガーのどうしようもないタラシ本性も、復活(笑)。さくらんぼの場面とか、際どすぎです(笑)。
過酷な過去を経てこその彼が見せる凄みも復活で、やっぱりこれがエドガーらしさなんだなと。

そしてちょっとびっくりの、親子の対面(笑)。
アルヴィンかわいいなあ。エドガーの複雑な葛藤がおかしかったです(笑)。いきなり大きな少年(しかもユリシス!)の姿で最愛のリディアに甘えてるのを見て内心穏やかならず、でも自分のことも父として慕ってくれるんだもんね。
なんだかんだでお父さんになっているエドガー、良かったですよ。「アルヴィン=妖精の友」って、いい名前だなあ。
ケリーはリディアと同じく、女性陣はわりかしあっさり受け入れてるけど、レイヴンはやっぱり複雑なんだな……ユリシスを知っているかいないかも大きいんでしょうけど。レイヴンの葛藤を少し軽減してくれたニコのシーンが好きでした。
それにしても、ユリシスの好みってミルクだったのね……我慢してお酒を飲んでいたとは。まあ本来の彼の実年齢を考えると当然か(笑)。
犬好きを受け継いでいるというのも、今になって読んでいると、なんだかほのぼのします。

高星麻子さんの259頁のイラストのアルヴィン、ユリシスの姿でかつかわいくて無邪気なふたりの息子らしい表情と雰囲気で、お上手だなあと思いました。

まあ、考えなきゃいけない問題山積みみたいですけどね……。自分の中では色々悩みつつも、アルヴィンの父親として愛情を持って接するエドガーの姿が、とてもお気に入りでした。
それにしてもやっぱり、リディアの無事は、とても気がかりです。静かに覚悟を決めて、アルヴィンやエドガーに微笑んで接する彼女の姿が、ただただ切なくて、泣きそうです。
母は強し、なんですけれど、そりゃエドガーは特に割りきれるわけないですよねえ。なんとかならないのかなあ……ううう。
かつて似たような経験をしたカールトン教授に、話をしにいくエドガーの場面も良かったです。この父子の場面はいつもとても心和みます。
聖地にリディアを取り返しにいったことで命を縮めたアウローラさんのことを、教授がどう思っていたのかは、私もずっと気になっていたので、ここで彼のおだやかで愛情あふれる語りを読めて、良かったなと思いました。
本気でリディアを愛することを試されている。か。そっか……。
最終的には決意をして、「最後まであきらめない、全力で守るつもりだよ。きみと、僕たちの子を」と微笑んで宣言するエドガーが、とても格好良くって、また泣きそうになりました。

敵の方は、邪悪なフェアリードクターにテランに、思惑が微妙に違いつつもどちらも本当に手ごわくって、読んでいてはらはらします。
特に純粋無垢なアルヴィンを、巧みな言葉で罠にはめていくのは許せない。ラストとか、どうなるかなあ……。まだこんなことを生まれてもない子に教えるんじゃないよー!!
あ、チェンバレン主教が再び登場するとは思っていませんでした(笑)。まあテランたちに比べればちょろいものかもしれませんが、読んでいて気分が悪くなります……。

追跡のために恋人同士を演じるロタとポール、またぐっと距離が縮まった感じで、読んでいてきゅんきゅんしました。
元気のいいロタと穏やかで心優しいポールがいいコンビだなあ……。
サンドイッチを分けっこしているふたりが特に好きでした。
そのあとでリディアと女の子のお話をしている場面も好き。そしてリディアの取り合いをするエドガーとロタの関係も相変わらずで楽しいです(笑)。

ニコを間にはさみつつの、レイヴンとケリーの仲もますます和みました。アルヴィンが無邪気にいい具合にひっかきまわしてくれて……。
レイヴンの成長がまた実感できて、嬉しくなりました。
あとレイヴンといえば、アーミンとの姉弟の場面も印象的でした。
姉を思うレイヴンの姿はもう普通の少年そのもので、ああ、変わったよなあ。彼は。

そしてアルモニカのマーメイドに妖精国のジェット、思いがけない人魚の美人さんの共演が見られて、盛り上がってよかったです(笑)。
アーミンの身の上もさりげなく気にかけてくれているローザさんがよかった。
男嫌いのアーエスの影響を受けた?ローザさんが人魚の男性をこきおろす場面とか、面白かったです。
人魚の男性……えーと、たしかトムキンスさんが、メロウの血を引いてるんですよね。私はけっこう好きですが(笑)。
「きみは妖精に囲まれているときが、最高に魅力的なんだ」とのエドガーの言葉に、なるほどー!と(笑)。
美女の人魚たちに囲まれていてもまったくかすまないほどリディアは美人さんになっているのがさりげなく読み取れて、うふふとなりました。
リディアに悪い虫がつかないよう、守っているジェットもよかった(笑)。グラディスさまは、お気の毒でした……(フランシスの脳天気な笑顔を思い浮かべつつ。)

懐かしい面々は、セイルズ夫人やアローやスティーブンや、再び会えてよかったな。
アローが前登場時よりも好印象で、新しい伯爵家をきちんと認めている姿に嬉しくなって、最後は切なかったです。同じ事はマーメイドやジェットたちにも言えますか。


繰り返しですが、次でいよいよ、完結。
信じていますが、どうか、皆が無事で笑っていられる、幸せなラストでありますように!!!


以下は、おまけというか。
思わず笑ってしまった微笑ましい場面を、私が特にお気に入りのものを選んで抜き出したものです。

「レイヴン、僕たちの、今の状況をどう思う?」
「大変めでたいことです」
彼は即答したが、エドガーとは違うことを考えていたようだ。 (120頁)

レイヴンが予想外に微笑ましくて和みました。エドガーも和んだことでしょう(笑)。


「生まれる前からませてないか?もしかしてそれ、ユリシスの願望か?」
「これは私自身の気持ちです」
「自分の性別もわからないくせに」
「誰に似たのかしら」
もちろんみんな一斉に、エドガーに注目した。 (197頁)

――もちろん、そうに決まってますよね!(大笑)


「ええ、でも、どちらかというと私は、あなたにキスをもらったニコさんをうらやましく思ったのです」 (217頁)

――まさか、レイヴンが、こんな台詞を言うようになるとは!
恋愛感情にはレイヴンはまだほど遠そうですが、ケリーを女性として認識して親しみを持っているのがほんのり読み取れて、とてもいいなあと思いました。
動揺したケリーが逃げ出さないように、彼なりに考えて動かないようにするレイヴンも可愛い。

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カテゴリ: 『伯爵と妖精』シリーズ

タグ: 伯爵と妖精  谷瑞恵 

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