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『神様のカルテ 2』夏川 草介 

神様のカルテ2 (小学館文庫)神様のカルテ2 (小学館文庫)
(2013/01/04)
夏川 草介

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『神様のカルテ』シリーズ第2作目。
4月以降も本庄病院に残る決意をした栗原一止。わずかな休暇に愛妻と山でのひとときを楽しみ、再び戦場のような日常に戻る。
そんな4月に、東京の大病院から新任の医師・進藤辰也がやってくる。
一止と大学の同級生で親友であった彼は、かつて「医学部の良心」と呼ばれたほどの男。
だが着任後の進藤の姿は、かつて一止が知っていた彼とはどうも違う風に見えて――。


前回の記事(→こちら)にも書いた通り、1巻目を読んだのとほぼ同時にこの続きの文庫版が出ているのを発見。新年早々のラッキーを噛み締めつつ、即購入してきて読みはじめました。

ああ、なんて、心地の良い物語。
電車の中などで少しずつ読んでいって、ときどき頁からふっと顔を上げて、心地よい空気をじんわり噛み締める。
とても贅沢な読書の時間をすごせました。本当に、いつまでも読んでいたかった。この世界にひたっていたかった。
扱っている素材はけして優しいものだけではないはずなのですが……、癒されまくりました。
優しく誠実な人たちの心の交流や自然の美しさ、言葉で上手く表しきれないのですが、一止の古風でユーモア漂う語りで読むすべてが、愛おしい。

プロローグの夫婦の山登り、ふたりの仲が微笑ましくて、山々の描写が生き生きと美しくて、とても良かったです。

さて今回の物語での新キャラクター、進藤辰也先生。
彼と関わっての一止の過去話が意外すぎて、読んでいてえええっとなりました(笑)。普段女っ気がまったくなく奥さん以外には目もくれない彼、そんな甘酸っぱい青春時代を過ごしていたとは……。カレー屋さんのエピソードが可愛かったです。
そんな過去もありつつ、進藤先生と一止(プラス、砂山先生)の友情と信頼関係が、なんだかんだで良かったです。
コーヒー事件、まさか両方向からやってくるとは思いませんでした(笑)。
進藤先生のさらっとナチュラルな誠実さ、生真面目さは、一止とはまた別な感じに読んでいて好もしかったです。
進藤先生がようやく口を開いた事情には、なんとも重たいものが残りましたが……。日本の医療って、本当、なんだかなあ。色々思ったのですがここではちょっと書けないかな。いいこな夏菜ちゃんが不憫だなと思いました。

そんな進藤先生の事情に気を取られていたところで、別方向から、まさかの展開が。古狐先生。
ここからは、読んでいてとにかく続きがどうなってしまうのかが気になって仕方なくなり、もったいないとは思いつつもぐいぐい一気読みしてしまいました。
古狐先生と大狸先生、そして古狐先生と奥さんの千代さん、それぞれ交わす想いが辛く切なくて、そしてあたたかくて、胸にぐっときました。見守る一止たちの気持ちも。
最後まで穏やかな雰囲気で、一本芯が通った姿勢で生きた古狐先生の姿が、とても印象的でした。
激務に携わる夫に一生寄り添った千代さんのひかえめで奥ゆかしい姿も、なんとも言い表せない思いがしました……。内面はいかばかりか。
それでもこの夫婦の仲睦まじさも、読んでいてとても救いでした。ふたりの出逢いの学生時代の山登り、星空を眺めてのふたりの会話が、とても素敵な恋人たちだなあ……きゅんとして、憧れてしまいました。
大狸先生の慟哭も、印象的でした。

病院のスタッフたちや御嶽荘の住人達、前巻も登場してきた面々も、読みこむごとに味が出てきて良い感じ。
去っていく者と新しくやってくる者がいて場にゆるやかに馴染んでいって、自然に時が流れている感じが……寂しさもあるけど、いいな。
ファンクラブ、実は私、『かつくら』の特集を読んで事前に知っていたのですが(笑)、そりゃあ、やっぱりできますよねえ。いいですもんね、一止さんは。
進藤先生といい、素敵なお医者さんは、ちょっと罪作りだなーと思いました(笑)。
砂山先生の出番が少なかったのが、ちょっと残念だったかな。
砂山ブレンドを差し出された進藤先生の反応に、思わず笑ってしまいました。

患者さんの、トヨさんとマゴさん夫婦も、とても素敵な夫婦でした。ゆるゆると年を重ねてきた自然に仲睦まじい夫婦愛に、ほっと心が洗われるかのようでした。最期まで。
あと、会田さんと四賀さんのふたりも、意外だったけれどとてもよかったなあ!食事の場面と、一止と進藤先生が見守っていた朝の場面に、思わずにっこりでした。

そしてエピローグでは、再びハルさんとの山登り。
やっぱりハルさんと一止の夫婦のやりとりの場面が、この作品の中で、いつでも一番好きなところです。
愛情深く夫を支えるかわいらしいハルさんが、とにかく素敵すぎます。
ハルさんは、なんというか理想をつきつめたような奥さんだけど、この作品の場合、だからこそ、いいんだと思います!
(イチさんも、理想の旦那さんですしね。)
お互いがお互いの仕事を素直に尊敬して、その姿を励みに毎日頑張るふたり、憧れてやみません。
「我が細君は森の人である」という122頁の一止の表現が好き。
ちょっとやきもちをやくハルさんも可愛らしかったです(笑)。

花が順番に咲いていき、次第に春らしさがましていき、あたたかくなってゆく信州の自然の描写も、素敵でした。山桃の花を見てみたい。
そしてまた山が恋しくなってきました。
私も春になったら、地元の鈴鹿山脈にお出かけしようかなあ。

三巻目はどうしようかな。
このまま待っていて、いつかの楽しみに大切にとっておくか……、うーん、でも多分、そのうちに待ちきれなくなって、読みはじめてしまいそうです(笑)。


一昨日と昨日にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 夏川草介 

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