ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。
『異世界でカフェを開店しました。』甘沢 林檎
2013/01/28 16:00:44 Mon. [edit]
![]() | 異世界でカフェを開店しました。 (レジーナブックス) (2012/11) 甘沢 林檎 商品詳細を見る |
ある日突然異世界にトリップしてしまった、ごく普通のOL・黒川理沙。
フェリフォミア王国の王宮魔術師・ギルフォード夫妻に拾われて子どものない夫妻に養女にと請われ、その世界でおおむね快適に暮らし始めることに。
が、理沙がひとつだけ我慢できないのは、この世界の料理が、とにかくまずい!ということ。
養父母の家で異世界の食材を工夫して料理して、屋敷の皆を感激させたリサ。彼女の料理の評判は次第に外へ広がってゆき、リサはこの世界の食文化を発展させる一環として、自分でカフェを開店することに……。
レジーナブックスからの一冊。元はネットに掲載されていたお話なのかな?
カフェも料理もヒロインが活躍するお話も好きな私、発売当初から本屋さんで見かけるたび、なんとなくずっと気になっていた本でした。
ネット上での他の方の感想を読んでいると賛否両論といった感じで、ちょっとどきどきしつつ、手にとって読んでみることに。
うん、これは、面白かったです♪帯の文句の通りに、まさに、レッツ・クッキング!
いかにもネット小説な展開のお話でしたが、そういうものだと思って読めば全然問題なく楽しかった。毒のまったくない優しいストーリーに安心して読むことができました。
そしてとにかくお料理の描写に力を置いて書かれていて、ストーリーの方がむしろ添えもののように感じましたが、これはこれで、私的にはとても楽しかったのです。
私も本当、リサと同じくらい食い意地がはっている人間です。いつでもその場その場で美味しいものを食べたいと思ってます。レシピの本は愛読書です。発酵食品の作り方とか楽しいです。
彼女とは、いいお友達になれそうよ。(実際には彼女の十分の一もレパートリーありませんが……。)
リサが異世界の食材を工夫して、食べ慣れたパスタやパンやケーキ、次第に発展してカフェのメニューに王宮のごちそう、色々作っていく過程が、わくわくしてとても楽しかった。
異世界の卵の味に合わせてプリンのカラメルをちょっと苦めにしたり、なんだかこういうささやかな工夫が書かれていて、いいなあ。
リサの料理の工夫は専門的なものとかはあまりなくこの辺さらっとしているのですが、まあリサはOLさんだし、私自身別に料理の専門の知識があるわけでなし、かえって良かったと思います。
異世界の人たちが、リサの作る料理にいちいち感激して美味しそうに食べている様子も、楽しかったです。
ちょっと上手く行きすぎかなあと思わないでもなかったですが、料理を美味しそうに幸せそうに食べている人間の姿は、やっぱり読んでいてこちらも幸せになれます。
そうそう、現代日本の料理はこんなにバリエーション豊富で美味しいんだよー!と、私まで得意気分になれましたし(笑)。
酵母で作るふわふわのパンや甘くさっくりしたクッキー、見たことも食べたこともない人にとっては、夢のように美味しい食べ物なんだろうなー。
出てくるキャラクターもなかなか良かったです。皆例外なくいいひとで、個性的で。お約束にリサに優しくて。安心して読めました。
私はスイーツ男子のジーク君がお気に入りでした。本当に美味しそうにスイーツを食べる人だな!
彼のスコーンの味わい方(ホイップクリームとジャムの配合を一口一口工夫して……)に、わかるわかると一気に親近感。
子煩悩なギルフォード夫妻にも和んだし、王宮に乗り込んでいったあとでは、料理長が何気にお気に入りでした。美味しい料理のためにプライドを捨てて小娘のリサに教えを仰ぐ姿が好もしいです。
バジルちゃんも、かわいらしいなあ。
本編の最後には、リサとは別視点の番外編が、みっつ。
『可愛い娘ができました。』
ギルフォード夫婦のラブラブっぷりに、読んでいてすっかりあてられました(笑)。
『彼女はこうやってやってきました。』
神さまと女神さまのお話。えええっ、こんなのってありなのか。神さまって一体……。でもこの神さまたちにも何気にときめきました。
『ある少年の邂逅』
あ、チョコレート、やっぱり登場するんですね!
美味しいカフェでケーキをいただく至福の時間に、とても共感してしまいました。
リサが王宮に呼ばれて料理を作りに行って、王子さまと親しくなったり、世界が広がったところでお話が終わっているので、きれいに終わってはいるんですが、できればこの続きも読んでみたいかな。
そして格好いい男性陣がそろってきたので、ロマンスも、あるのなら読んでみたいです。(でもなくてもそれはそれで問題ないと思います。あるとしても、個人的にはほんのりで十分だと思います。)
この作品、イラストも、可愛らしくてきれいで、なかなか私好みで良かったです。
うーん、やっぱり127頁のジークくんの微笑みの表情が、格好良くて、好きだなあ(笑)。バジルちゃんもかわいい。
あと、レジーナブックスのサイトの番外編も読みました。
リサが仕込んでいた味噌や醤油はどうなったんだろう……気になっていたので、こちらで読めて良かったです。
- 関連記事
-
- 『道果ての向こうの光』シリーズ 秋月 アスカ (2013/03/04)
- 『詐騎士 第5巻』かいとーこ (2013/03/01)
- 『異世界でカフェを開店しました。』甘沢 林檎 (2013/01/28)
- 『詐騎士 第4巻』かいとーこ (2012/09/29)
- 『夢の上 サウガ城の六騎将』多崎 礼 (2012/05/21)
カテゴリ: ファンタジー(西洋風)
タグ: 甘沢林檎« 拍手メッセージ返信・1月その2 | 『かつくら vol.5 2013冬』 »
この記事に対するコメント
異世界でカフェ…
異世界でカフェを開店しました…は、書店で初めて手に取りました。最近コミックスしか読んでなかったので、この本が置かれてるコーナーに足を止めたコト自体不思議なのに、数ある新刊をすり抜け、この本を手にとり…表紙と目次を見て…さっさとレジに向かっていました。こーゆーのも「女神様の思し召し」なんでしょうか?(笑)
読み始めて、ラストまで一気!でした。ホントにたのしかった。ラスト三本で更にニンマリで…ここまで徹底してご都合主義な話だとココロが癒されます。
続編でてくれないかなぁ~…
URL | パンドラ #-
2013/06/06 06:22 * 編集 *
Re: 異世界でカフェ…
>パンドラさん
コメントありがとうございます。
こんにちはー。どうも、はじめましてです♪
『異世界でカフェをはじめました』読まれたのですね。
本当に、読んでいて楽しくて、心癒されるお話でした。
確かにここまで徹底してネット小説的展開だと、かえって気持ちがいいですよね。安心して読めました。
私はこういうお話こそ読みたい!という気分になることがときどきあるので(笑)。
書店での本との出会いも、「もしかして、運命?」とか思ってしまうようなこと、ありますよね!
その本が自分好みピンポイントだと、私も本当に嬉しいです。
続編……どうなんでしょうねえ。出るならぜひ読んでみたいのですが(笑)。
URL | fallclover #SvKcs0as
2013/06/09 18:45 * 編集 *
トラックバック
トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1202-26d18c84
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| h o m e |