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『花咲く丘の小さな貴婦人』シリーズ 谷 瑞恵 

花咲く丘の小さな貴婦人 寄宿学校と迷子の羊 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)花咲く丘の小さな貴婦人 寄宿学校と迷子の羊 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
(2006/12/22)
谷 瑞恵

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イギリス人の父親と日本人の母親の間に生まれたエリカ。両親を亡くした彼女は、唯一の肉親である祖母をたずねて父の故郷イギリスへやってきたのだが、孫とは認めてもらえずすぐに会わせてもらえない。
途方にくれたエリカだったが、祖母の知り合いが校長をつとめているという寄宿制の女子校を紹介してもらい、レディとしての教育を受けることになる。
落ち込みつつも祖母のため決意を新たにするエリカだったが、実際に入学してみると、この女子校は男子校と隣接しており、少々風変わりなシステムで学習するところで……!?


谷瑞恵さんのコバルト文庫、19世紀末のイギリスが舞台、全五巻のシリーズ。
かなり前から積み本になっていたシリーズでした、ツイッターでのフォロワーさんたちのオススメもあって、ようやく手をつけてみました(笑)。
読む前はあらすじから勝手に違うイメージで想像していてなんとなくためらいがあったのですが、実際に読んでみると何も問題なくするすると読めました(笑)。

どこか懐かしさ漂う、きっちり正統派少女小説だなあ、と読んでいて思いました。
挿絵も一昔前の少女小説……みたいな雰囲気で、いっそう懐かしい感じが。きらきら派手な挿絵よりはこちらの方が私はほっとします、どちらかというと。
こじんまりとしつつも地に足がついた英国もの少女小説、基本的に重たくなくふんわり可愛らしいお話でした。こういうのもいいですね!
少年少女の成長と友情とロマンス、しっかり楽しむことができて、満足です。
そしてマザーグースの唄が、どの巻でも使われ方がお上手でした。ロマンティックでかわいらしい雰囲気に一役買っていた感じ。
生意気で格好つけな男の子が、恋心をマザーグースの唄を借りて伝えているところとか、きゅんとします!

主役カップルふたりのすれ違いっぷりがシリーズが進むごとにとにかく見事で、ああ、『伯爵と妖精』の作者さんのお話だ……と、読んでいて変な所で納得してしまいました(笑)。エドガーとリディアのふたりとはまた違うタイプのすれ違い(笑)。
特に後の二冊のふたりは……まあ、『赤毛のアン』シリーズのミス・ラベンダー達とかに比べると、まだましとも言えなくない……かな。

ヒロインのエリカの、異国育ちの自分なりのポリシーで頑張っているんだけど、やっぱり英国育ちの周りとは異質で馴染めず浮いてしまって……その辺りの描写が読んでいてリアルでした。
そして、お年ごろの男の子と女の子のささやかな違いやそこから生じる戸惑いやいさかいも、リアルにていねいに描かれていて、なんといえばいいのかな、読んでいて微笑ましくもありました。
そういうので苦労しつつも、くじけずに頑張るエリカが、いつしか周りに受け入れられていき、確かな友情を手に入れていく過程が、読んでいてとてもいいなあと思いました。ほっとしました。
エリカを間にはさんでイザベラとドロシーがなんだかんだセットで仲良くなっていく様が好みでした(笑)。
エリカの祖母も、はじめは立場も分かるけどあんまりに冷たい……と少々憤慨していたのですが、事情が分かってみると、ああ、そういうことかあ。良かったです。

二巻目以降も少しずつ感想を語ってみます。ネタばれご注意を。

『林檎と花火とカエルの紳士』

花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
(2007/10/01)
谷 瑞恵

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読む前は、カエル?変わったタイトルだな……と思っていたのですが、マザーグースの唄の使われ方がお上手で、何とも言えずにロマンティックな読み心地でした。
ガイ・フォークス・デイ、『英国マザーグース物語 裏切りの貴公子』で読んだばかりだったので、重なっていてちょっと楽しかったです。女の子同士のジャム作りが楽しそう。
好きな子だからこそいじめてしまうジェラルドと、それに気づかないエリカのすれ違いが、読んでいてなんとも微笑ましくもどかしい(笑)。
あとこの巻では、事故にあったおばあさまとエリカとのふたりの場面が、本当に良かったなと思いました。祖母と孫、どちらも初心者で、ぎこちなくも歩み寄ろうとしている様子が心温まりました。

『それは青いすみれの季節』

花咲く丘の小さな貴婦人 それは青いすみれの季節 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)花咲く丘の小さな貴婦人 それは青いすみれの季節 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
(2008/07/01)
谷 瑞恵

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『伯爵と妖精』のふたりに比べてロマンスの展開が早くて、読んでいて驚いてしまいました(笑)。
好きな女の子に素直になれないままに、周囲にはまるわかりな涙ぐましい努力を続けるジェラルドが、読んでいてだんだんくせになってきました……(笑)。
真紅の薔薇をエリカに贈るジェラルドが、なんだかんだいって格好良くって紳士で、読んでいてときめきました……♪105頁のふたりの場面のイラストがとてもいい。
想いが通じたら通じたで、ふたりの間には難しい立場の差が。
でも未来への確かな希望を感じさせるエピローグで読んでて胸があつくなりました。ジェラルド、格好良かったなあ。
そしてロジャーは、やっぱり本心はそういうことだったのか……切なくなりました。

『荒野へ、心に花束を抱いて 前編』

花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて-前編- (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて-前編- (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
(2010/01/29)
谷 瑞恵

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学校を卒業したその後のエリカたちの物語。
自転車でひとりさっそうと荒野をかける若き女領主エリカ・の姿が、格好良くて好きでした。
ジェラルドの身の上に、まさかそんな災難が降りかかるとは、予想外でした。
それでもお互いどんなにつらい状況でもお互いの存在を支えに頑張ってきたのに、ラストでのあのすれ違い……なんてタイミングが悪いの!
特にエリカに感情移入して読んでいたので、ジェラルドには正直かなりの憤りを覚えてしまいました。なんて馬鹿なひとなんだ!もう少し深く考えようよ!(笑)
エリカに近づくヴィクターは正直なんともうさん臭く、逆にローレンスはかなり好印象でした。この巻の男性陣で一番ポイント高かったかも(笑)。ユージーンもロジャーもよかったですけどね!
もうすっかり普通の仲のいい祖母と孫の関係を築けているエリカとおばあさまのふたりに、ほっこり。経済的には難しいこともあるようですが。

『荒野へ、心に花束を抱いて 後編』

花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて-後編- (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて-後編- (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
(2010/03/02)
谷 瑞恵

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ユージーンの一喝で、ようやくジェラルドが目を覚ましてくれたと思いきや……、それでそう単純にうまくいくわけでもなく。結局最後の最後までふたりのすれ違いがもどかしすぎました。なまじジェラルドが身をひくことを覚えただけに、ふたりをつなぎとめるものがあまりに危うくて、はらはらし通しでした。
同時進行で、イザベラが、まさかこんな波瀾万丈の人生を歩むことになるとは……全くの予想外でした。でもやっぱり彼女らしくもあるのですが。
ユージーンとの仲も、もどかしかったです。上手くいくといいんだけれどなあ。うむむ。
あと前巻にひき続いてのドロシーの人生の選択も、これまた意外でしたねえ。なんだかんだで三人の友情は変わらずに続いているようで、ラスト近くのあの皆の仲良しの場面がとても好きでした。自分の恋や領地のことと共に友人のためにこんなにも親身に頑張れるエリカがやっぱりいいなあ!
ノーラさんも、意外なところからエリカのピンチを救ってくれて、女としてもとてもいいひとで。ジェラルド、本当に馬鹿なんだから……(苦笑)。
あ、あとロジャーのことはあまりに突然で、悲しかった。彼の存在が皆の中にずっと生き続けていてときにつなぎとめていてくれている様に、胸があつくなりました。

ラストのエリカとジェラルドのふたりのやりとりは、とても好きで和みました。
「そうだったの、ごめんなさい、もうしないわ」「バカ言うな、それじゃあ何のために帰ってきたんだ!」のやりとり、さすがにジェラルドが不憫に思えました……(笑)。
で、ヴィクターは、やっぱり普通にいいひとだったみたいですね。ごめんね疑ってしまって……(笑)。
でもやっぱりエリカと隣並んで歩いていける男の人は、やっぱりなんだかんだ問題はありつつ、ジェラルドただひとりなんだろうなー。


ラスト、エリカ周辺の皆のエピソードが色々語り終えられていない感じで、そこは正直ちょっと残念でした。
特にイザベラとユージーンのふたりは。もう一冊番外編で読めるといいくらいじゃないかな。
レディ・カレッジのキャロルやレベッカやスーザンのその後も、できれば読みたかったな。
エリカはじめとして、出てくる女性キャラ皆、新しい時代の女性として、それぞれのかたちで凛々しくて素敵なひとばかりでした。


またひとつ読んだ英国ヴィクトリア朝少女小説、基本可愛らしく読み心地いいお話で、こういうのも素敵ですね。
全五巻と短めで気楽に読めたのも良かったです。『伯爵と妖精』の読み応えとはまた別のよさが。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 谷瑞恵 

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