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『王子とワルツと懐中時計 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』青木 祐子 

ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 王子とワルツと懐中時計 (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 王子とワルツと懐中時計 (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)
(2013/05/01)
青木 祐子

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ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、29冊目。シリーズ7作目の短編集。
クリスとシャーロックの結婚生活二年目、お得意様の舞踏会におよばれするエピソード『二年目の舞踏会』、シャーロックの忠実な従僕アントニーが頑張るお話『彼の懐中時計2』、謎多きジャレッドの過去がちらりと垣間見える『青い弾丸の騎士』、「薔薇色」の昔から変わらない仲良しメンバーのひとこまをフリル視点から『おにいさまと秘密の写真』、そして巻末のあきさんのおまけ漫画、すべてが書き下ろしの一冊。


私が愛をささげる『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ、新しい短編集がついに出ました!
しかもオール書き下ろしとか!夢のように嬉しいです。嬉しすぎてうまく言葉にあらわせません(笑)。
発売日前に、ネットでアップされた表紙イラストをチェックし、コバルト文庫のブログで試し読みをのぞいてみて……そのたびそのたび、幸せのあまりに打ちふるえていました。大げさではなく。
このひとかけらだけで、こんなに幸せになれるなら、本物の文庫の完成度は、もう、間違いないではありませんか!

そして、発売日にはりきっていつもの書店に出かけて行き、無事に新刊を入手。
家に帰るまでにやっぱり我慢できずに途中まで読んでしまいました。
短編集なので、読むときに区切りをつけやすくて、その点では読みやすかったかな。
特に最初のお話は、一言一句に至るまで幸せいっぱいで素敵すぎてもったいなさすぎて、少し読んでは顔を上げてうっとり本の世界に浸り、また少し読んではうっとり……みたいな感じで、長々と繰り返してました。(←電車の中で。笑)

もう、本当に私、このシリーズ好き過ぎます~!!この歳になって、こんなに夢中になれる少女小説がこの世に存在していることが、奇跡です(笑)。
前回の短編集と違ってオール書き下ろしで、まるで本編のような読み応えと満足度。
お話自体も、前回の短編集に比べて好みのものが多くて、すっごく良かったです!!
ここぞという場面をまったく外さず挿入されるあきさんのイラストが、また素晴らしくって。

前書きだけですでに語っていますが(笑)、以下は、いつもの通り、ネタばれありの好き放題の語り感想の頁です。


まずは表紙、今回も夢見心地に美しいです。仲睦まじく寄りそうふたりの姿に、うっとり。
クリスはシャーリーでなくても見惚れるほどの清楚な美人さんだし、そんな妻の美しさに得意げなシャーリーの目線が、絶妙なんです!
いつもながらになんて偉っそうなシャーリー……でもこれがまた、悔しいほどに、格好いいのです(笑)。
偉そうでいて同時に、この上なく優しげな表情でもあるのも、素敵です。
シャーロック、周りから雰囲気が変わったと言われるのも、うなずけます。
(そしてクリスにとっては昔から変わらないというのもうなずけます。昔はクリスとふたりきりのとき限定で見せていた優しくやわらかい雰囲気や態度を、常の姿にも自然と反映させられるくらい、変わったんですね。いい男になったんですねシャーロック!私も母親のように嬉しいです。)
クリスのシャーリーの背にまわした手も、優しく夫を包み込むような愛情を感じて、とてもいいです。
そして何気にとてもお気に入りなのが、ふたりのバックのお花です。
あきさんの表紙イラストのお花は、いつも本当に素敵ですねえ……。まるでクリスが花をも抱きしめているかのような構図。
薔薇のクリーム色が個人的にかなりお気に入りです。
ソールズベリ家の舞踏会の場の、薔薇のアーチのイメージなのかしら。

はっ、表紙だけでこんなに(笑)。

『二年目の舞踏会』
「ワルツ」パートのお話。
クリスとシャーリーの二年目に入った新婚生活、ソールズベリ家の舞踏会へのおよばれ、それと並行して、薔薇色の馴染みの顧客・ソールズベリ家の令嬢パトリシアの微笑ましい恋の行方も補足されていました。
結婚後少し時が経って、前に比べて落ち着きがプラスされたクリスとシャーリーのラブラブ加減が、読んでいてもう、幸せすぎて最高でした。癒されます~(笑)。
クリスはいつまでも初々しくはにかみやさんでかわいすぎますし、シャーリーの心の狭さも相変わらずで、あちこちで吹き出してしまいました。こんなに格好いいのにどうしてこんなに残念な人なんでしょう……不思議です(笑)。

でも実際、クリスは誰もが見惚れる、吸い込まれるようにきれいな若奥さまですよ。101頁のイラストのクリスのあまりの美しさに、はじめ思わず、息をのみましたよ。
いったん気づいたら、目をはなせない美しさ。昔誰かが評していたのが、すごく納得できました。
あきさんの描かれるクリス、とくに瞳のたゆたう美しさが、素晴らしいです。(あとこのイラスト、シャーロックのふてくされたようないつもと違う表情も、たまらないですー!)
シャーリーが心配でたまらないのも、妻のこの美しさでは、確かに、分からないではないのです。
あと、クリスは、嫉妬してくれないものね……クリスなりの謙虚な愛情のかたちなんでしょうけれど、確かにシャーリーにとってみれば物足りないというか、かえって不安でしょう(笑)。
結婚しても、クリスのすべてが理解できるわけではなく、いつか誰かが自分以上にクリスを理解してしまうのではないか……そういう不安も、言われてみれば、分かるなーと思いました。シャーリーの心の狭さもそう考えるといくらか納得。

ソールズベリ家の舞踏会を抜けだして、シャーリーがクリスの美しさと無防備さに言いがかりをつけて(理不尽!笑)、その後に仲直りする場面が、すごーく好きです。
そんなこと言ってたら、どの場面もラブラブで、全部大好きなんですけどね!!
シャーロックの過剰な愛情表現に、困惑はしつつもけして怒らず、すべてを優しく包み込むクリスの愛情が、素晴らしいです。(みつあみをほどかれたらあみなおすのは結構面倒だと思うのですが……。)
シャーロックのカリカリした気持ちを上手くなだめて落ち着かせるクリスは、やっぱりなんだかお母さんみたいだな……クリスが六歳年下だとは思えない(笑)。

ところで、シャーロックはクリスに、あいさつのように日々キスをしていると書かれていましたが、シャーロックのおうちでは、アルフさんとソフィアさんも、そんな風にしていたのかしら……なんだか、上手く想像できない(笑)。

ええと、今回嬉しかったことのひとつは、パメラ!
パメラがクリスとシャーロックの生活の中に自然に溶け込んでいて、母親になってもやっぱりパメラはパメラのままで、クリスの良き相談相手で。一緒においしいお菓子でお茶したり、変わらない仲良しのふたりに、読んでいて、とても嬉しくなってしまいました。赤ちゃんの縫い物でパメラを助けているクリスもいかにもふたりらしい。
サラちゃんも、描写から判断するに、性格はイアン先生似なんですね。かわいい~♪
妻をおだやかな愛情でつつんでいるイアン先生もいいものでした。
(ただ、イアン先生、また戦地に行くのか……それは心配だな……。)
サラちゃん命のアントニーも楽しいです。

そして、このお話のもう一組の主役カップルは、パトリシアとライ。
本編ではほんのり予感で終わっていたこのふたり、どうやら収まるべきところに収まりそうで、良かった良かった♪さらに幸せをわけてもらえました。
パトリシアは、読めば読むほどいいお嬢さんだなあと思います。クリスの悩みを吹き飛ばしてしまえるような、あっけらかんとした明るさがとても良いです。育ちのせいでちょっとわがままなのはご愛嬌です。クリスへの悪口にいつも果敢に戦ってくれているようで、クリスの味方としては、同志のように思えます。
ライも、前々から思っていたけれど、包容力のあるいいひとだなあ。
甘いパンケーキを頬張るパトリシアに「いっぱい食べなよ。パトリシアはそのままでいいんだって。」(30頁)……こんな風に言ってもらえるなんて、甘いものをやめられない乙女の理想です(笑)。読んでいてとても和みました。
クリスとは違った角度からパトリシアにアドバイスするパメラも、やっぱりいい!

宮廷舞踏会本番の様子も、できれば少し読んでみたかったなと思いつつ、こういう場でこそシャーロックがクリスを完璧にサポートしてくれるんでしょうし、まあ、大丈夫でしょう。信頼してます。

できればコーネリアさまやバーンズ家の姉妹たちも、ちらりと会話とかほしかったな。


「宮廷舞踏会に出るまえにほかの小さな舞踏会で慣れておくというのは、シャーロックさまにしてはいい案だと思います。」(38頁)
――「シャーロックさまにしては」って、アントニーやっぱりさりげなく失礼です……(笑)。

「シャーロックさまが、独身で恋人のいない男をミセス・クリスティンに紹介するわけがない」(67頁)
――再びアントニー。ものすごく納得してしまいました!真理ですね!


『彼の懐中時計 2 従僕には従僕のやり方がある』
アントニーの横向きの表情が格好良くて素敵!
あとこのサブタイトル、イラストと相まってそこはかとなく笑いをさそうのは、私がこれまでのあきさんのおまけ漫画の影響をひきずっているんだと思います(笑)。
「懐中時計」パート、今日も頑張れアントニー!のお話でした。
いつもと違う、アントニーのちょっとブラックな一面も、垣間見れたりして。
まあそれはそれとして、いつでもどんなときでも相変わらず、シャーリーに課された激務を、命令されたこと以上に先回りして気遣って東奔西走するアントニー……。本当、いつか過労で倒れるじゃないかと心配になってきます。
たまの息抜きに、由緒正しき貴族社会とは対極な柄の悪い酒場で賭けをしつつも、アントニーが合間に思い巡らすのはひたすら愛すべき主人の進退のことばかりで、(あといつの間にか勝ちまくっていて)、読んでいておかしかったです。
でもまあ確かに、誰も彼もアントニーに面倒な仕事を押し付けて当然な顔してますよね……。アントニーがあそこでふっつり切れたのも、無理ないです。特にレナードとバリーさんは、ねえ。
シャーロックとレナード。アントニーの立場で、そういう「賭け」をしていたとは!
読み返してアントニーの賭けの意味を理解して、おおお、アントニー格好いいーー!!思わず叫びたくなりました。
不遇でもいざというときの勝負にとことん強いアントニーと、立場も能力も最高なのにいざというときに外してしまうシャーロック、ふたりペアなら、お互い補い合えて最強なんじゃないか、と思いました。
シャーロックのそばに、これからもクリスがいて、アントニーがいてくれるなら、ハクニール家、イギリスの未来はきっと明るいんじゃないかと。

もうひとつ、アントニーとクラウドさんの会話シーンも、すごく好きでした。
冷静さをあくまで崩さず、心のなかでは常にシャーロックへのあたたかな忠誠心を秘めている切れ者使用人・クラウドさんが、いつもとても格好いいです。
クラウドさんが、いったんはそこまで決意していたなんて!正直、私もショックを受けましたが(笑)。

レナードはもう本当に何をやってるんだか……みたいな感じでしたが、年下の格上の従兄弟がシャーロックみたいな人だったら、確かに嫌だな。相当比べられて性格もねじまがっちゃいそう。
そこはまあ、同情の余地があるというか。息子に厳しいアルフさんと比べちゃうからよけいに感じるのかもしれませんが、両親の教育方針も、まずかったんだろうなあ。
バリーさんもいいひとなんだけど、アントニーの優秀さに比べると、やっぱりちょっと残念な。

ローレンス氏みたいな年代と立ち位置の人は、これまでのシリーズの中にほとんどいなかったような気がします。新鮮な感じを受けます。
やっぱりほだされない忠実なアントニーは、いい従僕です。

ジャレッドとアントニーふたりの挿絵、どちらもきりっと美しくて格好いいなと思いました!

大好きな恋人とやっと結婚できるのだから、ゆっくりしたいのは当然である。
ようやくホテルの部屋をばらばらにする手間も省けて、アントニーとしてはありがたいくらいだ。(125頁)
――最後の手紙といい、ほんっとうに、苦労しているな、アントニー。吹き出してしまいました。

「昔は、おにいさまは完璧すぎてつまらない、レナードさまのほうが面白いって言ってたんですけど」
「シャーロックさまの面白さは深くつきあわないとわからないですから……」(132頁)
――シャーロック、まさかアントニーにまで、そんなふうに思われていたとは……。


『青い弾丸の騎士』
「王子」パート、でしょうか。王子さまがこの人だとは、予想外でした。
ジャレッドの生い立ちが明らかになるお話。ついでにアルフさんとの過去のつながりも。
まあジャレッドは、読めば読むほど謎のひとだなー。深くつかもうとすると、さらっとかわされてしまう。
うーん、ジャレッドはつまり、失恋したってことなのかなあ、クリスに。(直接プロポーズして断られたという意味か、それともリンダを撃って彼女の記憶から抹消されたという意味?)それで色々傷心で(と言うと違う気もするけど)ふらふらしていたのかな、とか。
クリスと純粋に結婚したかったのは事実なのだけど、恋愛感情ではなく、クリスを命をかけて救い出してシャーロックの元に戻してやり、で、結局クリスに救われるのを拒否して(?)去っていった……どういうことだ、わからないです!(笑)
というか、クリスは今も、ジャレッドのこと、思い出せていないままなのかな。それは何か、さみしいものがある。
いつか、クリスの赦しで、ジャレッドは吹っ切れるということ?だめだ、やっぱりわからない……。
アルフさんとジャレッドの両親の過去のつながりが、ようやく明らかになって、すっきりしました。
ジャレッドの父上は、名前も掴みどころのなさげな性質も(ジャレッドが父親と似ているなら容姿も?)、別の某少女小説シリーズの誰かさんとかぶってるような(笑)。
湖の岩で、過去と現在がジャレッドの中でふっとつながった感じなのが、良かったです。
ジャレッドでも、見抜けなかった事実。ジャレッドが思っていたより、世界は少し、優しかったということかな。
キールさん、ミルカシリーズに出てきたクレア・キールさんの親戚なのかしら。クレアがどんな役回りをしていたのかほとんど覚えていないのですが(苦笑)。
オシアンの親は、確かに、言われてみれば気になります!
なんだかあまり少女小説っぽくない、緊張をはらんだ、でもあくまで静かでおだやかなお話でした。

『おにいさまと秘密の写真』
個人的に待ってましたの、リルちゃん主役のお話!
扉絵の美少女リルちゃんに大満足です。勝気で生き生きした瞳と頬杖の姿勢が可愛すぎます。
ドレスもリボンも可愛らしい♪
そういえばアントニーのお話で描写がありましたが、リルちゃんの髪、金色がかってきたのだとか。

お話自体は、リルちゃん視点で語られる、「薔薇色」の昔からの仲良しメンバーのほのぼの同窓会みたいな感じで。とても和みました。
この歳になってまで自分から女装してみようと言い出すエドもすごいし、全く動じず自然に受け入れている皆もすごいです。ここばっかりは、シャーロックの反応が正しいんだと思うんですが(笑)。
何がすごいって、女装の心得を、当たり前のように穏やかに優しくエドに語るクリスの姿が……ああ、やっぱりクリスも単なる美人の若奥さまじゃないです。
クリスになだめられつつも(笑)、結局常識を押し通してエドに普通の格好をさせたシャーリーも、楽しかった!
リルちゃん達のプランに完全に乗せられてた格好ですが、なんだかんだいって、シャーリーも愛するクリスの写真を新しく手に入れられたんですし、良かったんじゃないでしょうかね。

で、リルちゃんは、エドと将来いい雰囲気になるのかなー?
深読みすれば、何か、予感っぽいものもあるかなあ。


そして、巻末の、あきさんのおまけ漫画集。(これも全部描き下ろしで素晴らしい!)
シャーリーのダサくて貧困な想像力に爆笑し、アントニーとパメラにぐさっとやられるシャーリーにまた笑い……。あきさんは本当に、コミカルパートのシャーリーがお得意ですねえ。ツッコミ役のパメラもいい!
ジャレッドとマーロンのひとこまは、本当に、そんな感じで流れていきそうです(笑)。
やっぱりベストはなんといってもエドの女装しかないでしょう。忘れずばっちり描いてくださったあきさん、ナイスです。エドが普通に中性的な美女で、普通に見惚れてしまいました。
シャーリーの面白顔も……うふふふふ。
私もこの場の写真、デジカメに欲しかったですよう。リルちゃん!


そしてまだまだ気になるキャラばかりで、短編、もっともっと読みたいのが、ファン心理です(笑)。
モアティエ家のお話は、シリーズの外伝的な感じで、文庫一冊分かそれくらいでじっくり読めたら理想なんだけどなと思いました。
ヘンリーとラヴィニアの過去の大恋愛と、アップルとブライアンの恋の決着(メイン)と、コーネリアさまとビアードの新婚生活のひとこまもやっぱり読んでみたいです。
バーンズ家のひとたちのお話も、できれば。


ふう、こんなに長文の感想を書くのは、久しぶりでした(笑)。
とっても楽しかったです~!
最後までお付き合いいただいたあなたさま、どうも、ありがとうございました♪


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カテゴリ: 『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

タグ: ヴィクトリアン・ローズ・テーラー  青木祐子 

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