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『リリー骨董店の白雪姫 ラプンツェル・ダイヤモンドの涙』白川 紺子 

リリー骨董店の白雪姫 ラプンツェル・ダイヤモンドの涙 (コバルト文庫 し 17-2)リリー骨董店の白雪姫 ラプンツェル・ダイヤモンドの涙 (コバルト文庫 し 17-2)
(2013/05/01)
白川 紺子

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舞台はヴィクトリア朝のロンドン。
何百年も前から続く伝統ある貴族・マーチ伯爵家には、代々ある「呪い」がかかっていた。
両親と死別し、17歳にして伯爵家の跡継ぎである少女クレアは、その呪いを解いてくれるジュエリーを探すため、ロンドンで骨董店を開く決意をする。
ただ骨董品の「声」を聞くことができる彼女のことを誤解して、呪いのこともあり、ロンドンの人たちはクレアの店にさっぱり寄り付かない。
肩を落とす彼女の元に、ある日、宝石商のオーナーを名乗る青年・ジェレミーが、伝説のジュエリー「ラプンツェル・ダイヤモンド」の鑑定をしてほしいと訪ねてきて――。


コバルト文庫の新人作家さん・白川紺子さんの2作品目。
タイトルがおとぎばなし風味、ロマンティックで美しい響きで、また今回の作品もヴィクトリア朝が舞台ということで、発売前から楽しみにしていました。
ヴィクトリア朝のコバルト文庫、もう私にとってはそれなりに馴染みのある世界で(笑)、かえって気楽に読めていいです。各作品で重なっているところや違うところや発見するのも楽しみのひとつです。
表紙イラストも、ブルーの色味が上品で透明感も美しく、真ん中のヒロインがまたとびきり可憐な美少女でしてね!吸い込まれるように、購入を決定しました(笑)。

この作者の書かれる文章は、相変わらずていねいで品があって、すらすらとなんのひっかかりもなくとても読みやすいです。
そして作者さんの少女小説のセンスは、私の個人的好みと、ほとんどぴったり重なってる気がします。
そうそう、これくらいのさじ加減のロマンティックさを私は読みたかったのー!!読んでいて至るところでとても嬉しくなってしまいました。
お話自体はもうあと少し何かがほしいかなあ、とは正直思いましたが、それを差し引いても十分満足できました。
本当、今後にとても期待の作家さんです。

「リリー骨董店」という店の名前からして、私自身の名前と少しつながりがあって、個人的に嬉しくなったり(笑)。
ラプンツェルや白雪姫、おとぎばなしのお姫さまの名前の盛り込み方も素敵です。
読んでいくと、ヒロインはまさに可憐な「白雪姫」でした♪

この作品でなんといっても魅力的だったのは、アンティークジュエリーや美しく凝ったドレスや、乙女好みのアイテムの、ふんだんでていねいな描写の数々でした。
ジュエリーの細工の細部や模様の意味やレースの種類や色々、他作品ではそこまで書かれていないよねという細かなところまで力を入れて書かれていて、読んでいて楽しかったです。
仮面舞踏会用の時代が違うドレスの描写も面白かった。
せっかくイラスト付きのコバルト文庫なんだし、そういう系のイラストがもっとたくさんあると、よりイメージがしやすくてよかったかな。

ヒロインのクレアは、素直で健気で可愛らしくて、まっすぐに好感のもてる女の子。
伝統ある貴族のお嬢様で世間知らずの箱入り娘、でも芯は強くて、こういう女の子もいいよね。
対するヒーローのジェレミーは、最初ちょっとプレイボーイでどうかなー?みたいな感じだったんですが、最初から最後までずっとクレアに優しくて、辛い過去を語ってもマーチ家の影をかいまみても、湿っぽくならずに楽観的で自信家な姿勢を崩さないところが、好きだなと思いました。実際頼り甲斐あるしね。
百戦錬磨なプレイボーイの顔して(?)、無垢なクレアにあっさり惚れてしまうところとか、可愛いじゃありませんか。従僕のピーターとの会話がなにげに面白かった。ピーター、もっと出てきても良かったのに(笑)。
あとクレアの異母兄セドリック、彼も最初は正直つんつんしすぎであんまり好きじゃなかったんですけれど、彼なりに妹のことを真摯に案じているのがだんだん分かってきて、これはこれでいいなと思いました。
クレアのことをバカにしつつも、実際彼はそれだけ勉強していて頭もきれるので、まあ許せます(笑)。
クレアとジェレミーとセドリック、わいわい三人でかけあっている姿が、なんだかんだ言って仲良しで面白いなと思いました(笑)。三角関係といってもマイルドです。

自分の髪の色にコンプレックスをもって縮こまっていたクレアを、ジェレミーがあの手この手で飾り立てて褒め称えて、彼女がしだいに自信を持てるようになって。王道パターンはやっぱり美味しいです。この辺りは白雪姫というよりシンデレラかな?
クレアの珍しい髪の色に合うジュエリーや装飾品、色合わせがとてもていねいに描かれていて、読んでいて自然にイメージができて楽しかった。

呪いのジュエリーにまつわるエピソードは、思いがけないところにつながっていって。
敵のひとたちの思惑もそうだったし、レディ・アン・ジュエルの正体も、予想外でした。
この巻だけで完結していなかったし。思っていたより壮大なストーリーになっていきそう。
敵役ふたりのあっけらかんとした残酷さがなんとも……、愛情の裏返しとはいえ(多分)、歪み具合にひやっとします。

ラプンツェル・ダイヤモンドの恋人たちの想いが解き放たれたラストは、とても良かったなと思いました。
描写が素敵です。
悲しくも、美しい結末でした。

マーチ家の呪いは、考えてみれば相当シビアですよね……。
クレアとジェレミーの距離がこれ以上縮んだら、何らかの影響なしにはいられないんじゃないでしょうか。
想像すると、今から切ないです。
でもそういう系の切ない展開こそが私の好みなので、この続きがとても楽しみでもあります。
え、続き、読めますよね??

ジェレミーもセドリックも素敵なクレアの騎士でしたが、いつも一番美味しいところをもっていき一番クレアの助けになっていたのは、オーガストだったような気がして(笑)。
なんというか、『伯爵と妖精』のエドガーや『英国マザーグース物語』のジュリアンとくらべてしまうからかもしれませんが、ジェレミーもセドリックも、正直に言うと、現時点ではまだちょっと甘いというか、詰めが足りないというか。
影をかかえて育っているものの、結局のところ、ふたりともお坊ちゃんだから、無理ないか。
将来的に、オーガストに負けないくらいのいい男に成長してもらいたいですね(笑)。

初回限定のミニストーリーも、ほのぼのしていて良かったです。
ピクニックのごちそうが美味しそうで、食べ物がおいしそうなお話はとても好き!
レモンサンド・ビスケットも食べたくなりました。

前作の『嘘つきなレディ』の感想で私、もとなおこさんの漫画の雰囲気に似ていると書いたと思うのですが、今回のお話を読んでいて、やっぱりもとさんの『悠かなり愛し夢幻』シリーズのウェンスタイン伯爵家を、いちばんにイメージしていました。
少年公爵バーナードくんも、ビジュアル的に、重なるんですよね(笑)。

悠かなり愛し夢幻(ロマン) (1) (Princess comics)悠かなり愛し夢幻(ロマン) (1) (Princess comics)
(1992/09)
もと なおこ

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ここ何日かの間にそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪
コメントもくださった方、嬉しいです、ありがとうございます!
返信、もう少々お待ちくださいませ。

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カテゴリ: コバルト文庫

タグ: 白川紺子 

この記事に対するコメント

はじめまして。

ゆりさん、はじめまして!
いつもブログや読書メーターなど、楽しく楽しみに拝見させていただいてます、マユリと申します。

このシリーズ(新作総選挙で当確してシリーズ化決定したみたいなので、シリーズと言ってもいいですよね)、ゆりさんのコメントを拝見して、気になり読書しました。これからも楽しみで、ドレスも食べ物も描写が素敵で、とっても面白かったです。

実は、少女小説を本格的に読み始めたのが最近で、ゆりさんの感想はいつもとても参考にさせていただいております。(というより、ゆりさんのブログを拝見して少女小説に更なる興味が、といった感じなのです)

ゆりさんの感想や、お勧めの本は面白いものが多くて、読書の幅を着実にひろげてくださっております。
この度、勇気を持って、ありがとうございました! という気持ちを伝えたくて、コメントさせて頂きました。

また、ゆりさんのブログを読んでから、前々から気になっていたヴィクトリアン・ローズ・テーラを、ついに今日から読み始めました!
こちらもとっても面白くて、続きが楽しみです♪

そして、ここからはご報告です。
わたしも読書ブログをやっていて、ゆりさんのブログにはいつかリンクをさせていただきたいなと思っていたのですが、「ヴィクロテ」を読み始めた記念に、勇気を出してリンクさせて頂きました!
どちらかというと淡白で短文な感想ですが、これからも、少女小説の感想なども(普段はファンタジー多めですが)書いて行きたいと思います。
ご報告まで♪

いつも、ゆりさんのブログ本当に楽しみに拝読しています。
ゆりさんのおかげで、読書の幅も広がって、感謝してもしきれません。
ゆりさんのブログの記事から、わたしも好きなものを好きということの大切さを教えてもらった心地です。
ありがとうございます! これからもブログの更新を楽しみに、はなのみ亭さんを応援しています♪

長々コメント失礼いたしました。

URL | マユリ #mlE3/J9Y
2013/06/02 18:43 * 編集 *

Re: はじめまして。

> マユリさん
コメントありがとうございます。

こんばんは。こちらこそ、はじめましてです♪
私のブログを読んでくださってるとのことで、とても嬉しく思います。ありがとうございますー!!
リンクの件も、とても光栄です。ありがとうございます♪

さて『リリー骨董店の白雪姫』は、ステキなお話でしたよね。
マユリさんのおっしゃるように、食べ物がおいしそうなところとか、良かったです(笑)。
そうそう、私ははじめ気づいていなかったのですが、この作品、今後もシリーズ化するんですよね。
私も選挙のはがきをひっそり出した一人です(笑)。続きが読めるのはとても嬉しいです。

な、なんだかとても褒めていただいて……そんな大したブログでは全然なくって恐縮なんですけれど(汗)、いつもそれなりに時間をかけて記事を書いている甲斐があります。感激です!
そして『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズも読み始められたのですね~。
マユリさんのブログに行かせていただいて、感想、うんうんうなずきつつ読ませていただきました。
本当に、あのラストのふたりの恋のはじまりの部分は、とてもいいですよねえ♪
続きからも本気で面白いので(笑)、機会があれば、ぜひぜひ!(←ファンのひとを増やしたい。笑)

私の方こそ、ブログにコメントや拍手をくださる皆さまに、日々、元気をわけていただいて生きています。
自分の好きなものをあつめたネット上の夢の世界ではありますが、こうやって人さまに読んでいただけていることが、幸せです。

私の方こそ長々と語ってしまいましたが、それでは気が向いた時にでもまたいつでもお越しくださいませ。
私もマユリさんのブログや読書メーターのご感想、楽しみにしています♪

URL | fallclover #iygLVseE
2013/06/04 22:38 * 編集 *

お詫び

はじめまして、パンドラと申します。
先ほど、ゆり様のブログに通り魔的にコメントを入れてしまったコトに今さら気付き…お詫びしたく、改めてコメント欄を使わせて頂きます。すみませんでした。
作品を読んで、何だかとても楽しくなったので他の方のコメントを見てみたいと検索したのですが…あまり好意的でないものばかりで、せっかくの気分が台無しになりかけていました。…そんな中、ゆり様のブログにはとても楽しまれた様子が書かれていて、嬉しさのあまり「会話のマナー」すら忘れて、投稿してしまいました。
ゆり様はじめ、このブログを楽しく拝見されている方々に不快な思いをさせてしまった事と思います。本当に申し訳ありませんでした。

URL | パンドラ #-
2013/06/06 08:06 * 編集 *

Re: お詫び

>パンドラさん
再びのコメント、ありがとうございます。

そんな、お気を遣わせてしまいましたね……ていねいなコメントをどうもありがとうございます!
私は全然気にしてなどいないので、大丈夫ですよ~。
私も過去に、他のブログさまにコメントを残すときに、色々失敗したことがありますしね……慣れないと特に、ついうっかりやってしまいますよね(笑)。
私のブログの感想は、基本的に、好きな作品の好きなところをひたすら語り尽くす!がモットーのようなものなので(笑)、パンドラさんが読んでくださって少しでも楽しい気分になってくださったのなら、(一応)書き手として、とても嬉しいです♪

URL | fallclover #SvKcs0as
2013/06/09 19:27 * 編集 *

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