Admin   *   New entry   *   Up load   *   All archives

ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『竜宮ホテル』(徳間文庫版) 村山 早紀 

竜宮ホテル (徳間文庫)竜宮ホテル (徳間文庫)
(2013/05/02)
村山 早紀

商品詳細を見る



あやかしを見る左目を持つ作家・水守響呼は、その能力と「呪い」ゆえに、世界に心を閉ざして孤独に生きてきた。
ある雨の夜、住まいのアパートが崩壊して宿なしになった響呼は、訳ありの猫耳の少女を拾ったことをきっかけに、クラシックホテル『竜宮ホテル』に暮らすことに。
一風変わった住人達とのふれ合いの日々は、美しい魔法と奇跡に満ちていて。
f-clan文庫『竜宮ホテル 迷い猫』の加筆修正版。書き下ろし短編『旅の猫 風の翼』も収録。


村山早紀先生の『竜宮ホテル』、新しく、徳間文庫版が出ました。
以前のf-clan版もすでに読んでいましたが(感想→こちら)、事前情報で、加筆修正あり、そしてやはり書き下ろしの短編というのに心惹かれまして、再び購入するに至りました。
表紙、店頭で見かけて、相変わらずの素敵にキュートなひなぎくちゃんにときめきつつ、少し「あれ?」と思ったのですが、旧版と並べてみて、納得。
お着物の色が、違うんですねえ。デザインも少し変わってる。
これからの季節にぴったりな紫陽花との取り合わせも、素敵です。

これはもう、癒しの物語だということが、事前に分かっていたので(笑)、おつとめの行き帰りの電車で読むことに、最初から決めていました。
ちょうど個人的にストレスフルな時期に重なっていたので、癒しは必要だったのです(笑)。
お話の筋はもう分かっているわけで、すこしずつ読み進めていくのにもちょうど良かったです。
期待通りに、ほんっとうに、癒されました。
美しく優しい物語に、緊張でがちがちだった心が、夜の電車の中で、ゆるゆるほどけていきました。

このお話、一度目に読んだ時も好きだなあと思いましたが、今回読んでみて、より一層、大好きになったような気がします。
なんだろう。自分自身が、響呼さんの立場に、以前よりほんの少し、近くなったからなのかな。
二冊同時に比べて読んでいたわけではないので、旧版との違いとか実はほとんど気にしていないのですが(笑)、こちらの方が、少しすっきり読みやすくなったような、私はそんな印象を受けました。

やっぱりヒロインが私とほぼ同年代の女性なので、村山先生の他作品に比べても、より感情移入がしやすかったです。
響呼さんってていねい語が標準なのね……以前読んだときはあまり気にしてなかったな。

読み返していてもやっぱり私は、響呼さんと寅彦さんの、幸せと不幸せについての雨夜の会話シーンが、物語の中でいちばん大好きで。
崩れてしまったアパート、ふたりの考え方で幸と不幸と見事にまったく逆になっていて。なるほどなーと思いました。
そしてやっぱりこのふたり、お似合いなんだよなあ。くっつけばいいのに……。番外編の最後まで、なによりいちばん気にしていたのでした(笑)。
読み返していて気づきましたが、寅彦さんって、物語の後半部分に実はほとんど出番がなかったんですね……。あらら、残念な。
今回のあとがきを読ませていただいていると、続編にはほんの少しのロマンスのときめきもあるかもしれないということで!わーい、これは、楽しみですー!!

寅彦さんのお母さまが雪女だったのかもというエピソードについて。
このブログで書いたことがあったかどうか忘れてしまいましたが、実は私も、大昔の文芸部時代に、雪女の二人姉妹がいて妹の方が人間の男性と恋に落ちて娘をさずかって……みたいなお話を書いていた、なんてことがあったので、寅彦さん一家、個人的に、他人のような気がしません(笑)。

響呼さんに、竜宮ホテルの皆はひたすら優しい手を差し伸べて包み込んでくれるのですが、それはまず、響呼さん自身が、優しく美しい癒しの物語をひたすら孤独に書き続け、世の皆を救ってきたからこそで。
私はちょうど、響呼さんの孤独な努力の向こうにある、ご褒美の部分の物語を読んでいるんだなあと、今回読んでいて思ったことでした。
それは確かに、癒しの物語じゃなければ、いけないですよね。

そして私自身途中からちょうど旅行にでかけることになっていて、本当にホテルに泊まるタイミングで読むことができたのも、嬉しい偶然でした。
竜宮ホテルの描写は隅々までロマンティックでそれでいてほどよく現代風で、憧れてやみません。
温泉もいいですよねー!!

一度目に読んだ時点では正直完全に消化できていなかった気がする日比木くんのこと、今回ようやく、上手くすとーんと落ちた気がします。
短編で、あこがれの作家さんの手料理にはしゃぐ姿が、歳相応の少年にようやく見えて、ほほえましかったです。
あーあ、純真なひなぎくちゃんをそんなにからかっちゃって、悪い子……(笑)。

前後してしまいましたが書き下ろしの短編、ひなぎくちゃん視点の小エピソードでした。
ひなぎくちゃん視点で見上げる響呼さんが、とびきりの美人さんで素敵なおねえさんで、なんだか嬉しいな(笑)。
しろ子さんとひなぎくちゃんのペアも良かったです。
しろ子さんが語るみっちゃんのロマンスがとてもお気に入りでした。ふわふわ幸せなだけでなく、影を帯びているところが、よけいに魅力的で。恋に落ちた相手の魔法は悲しいもので、羽衣のような翼を見てひなぎくちゃんが怖くなっちゃったのも、ああ、そうなのかと。
風になって旅して行きたい、ブログでも何度も繰り返して書いている『はるかな空の東』のサーヤさんやナルたちを、また思い浮かべてしまいました。
ひなぎくちゃんも、ある意味彼女たちの同類だったということかあ。意外なような、しっくりくるような。
お留守番はきらいよ、としろ子さんの最後の言葉が印象的でした。

星塚さん、素敵なお方で、あと月村さんもなんだかんだでいいひとそうです。
続編でまた活躍されるのかなあ。漫画家さんということで、響呼さんの今後のお仕事にも、関わってくるのかも。
今後のお仕事といえば、響呼さんと寅彦さんが作家と編集者としてペアでお仕事している様子も、読んでみたいです。

サンドイッチとケーキとクッキーとオムレツを食べたーい!と思いつつ、満ち足りた心で読了。

あとがきを読ませていただいてて、この物語がたどってきた道も、なんと言いますか、数奇なものだったんだな、と単なる一読者として感じたりしました。
今度こそ、続きが本当に読めそうなので、とても楽しみです。
個人的に、ささやかなロマンスの行方を、特に期待しています(笑)。


再読の感想なので、みじかく簡単に……と思っていたはずが、書きはじめるとやっぱり色々語りたくなって、長くなってしまいました(笑)。


昨日それぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪

関連記事

カテゴリ: 村山早紀さん

タグ: 村山早紀 

この記事に対するコメント

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://hananomi691.blog10.fc2.com/tb.php/1241-b8cd0c8a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)