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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『デアラピス』小瀬木 麻美 

デアラピスデアラピス
(2012/07/21)
小瀬木 麻美

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譲と真梨亜は、数奇な運命に生まれ落ちて、成長して再会するまで離れ離れで暮らしてきた兄妹。
この世ならぬ美貌と才覚、能力を持ち合わせた兄の譲、そして妹の真梨亜には、人が纏う「色」が見えるという、血族の中でも特殊な力があった。
能力を用いて「小田桐静聴ルーム」を営む兄妹、その親しい人に、ひっそり魔の手が忍び寄る。
大切なひとを救うために真梨亜は、譲に助けられながら、自らの新たな「力」を得ることに――。


『かつくら』のブックレビューで存在を知ってずっと気になっていたお話。
切なくて美しいラブストーリーを読みたい気分になったので、このタイミングで手にとってみました。

『デアラピス』というタイトルがまず美しい響き。
そして友風子さんの表紙イラストが、本当にため息がもれるほどにきれいです。
繊細でやわらかな青色がとてもいいなあ。
耳にそっと手をあてる仕草と表情と髪の流れが、素敵です。

このお話で私が何より好きだったのは、静謐で気高くて美しい、作品全体の雰囲気でした。
特に真梨亜が見る人が纏う「色」の描写がそれぞれとても美しく、心に残りました。
ストーリー自体は最後まで読んでもあれこれちょっと謎なままだったのですが、この幻想的な物語の世界には、曖昧さもよく合っていて、かえっていいのかもしれない、と思いました。

あとはやっぱり、真梨亜と譲の、けして報われないお互いへの思い。
譲の出生の秘密は、最初思っていたよりも読んでいくと一層ハードなものでしたが……。それでも、お互い、今生ではけして結ばれない。それでも愛おしく思う気持ちが美しくて胸がきゅっとなりました。
普段すかした顔しているのに、真梨亜に分かりやすく焼きもちの色を纏う譲さんが、けっこう可愛らしいのです(笑)。
譲さんが「マリー」と妹の名を呼ぶところが、何度読んでもきゅんきゅんして好きです!

真梨亜の元彼くん、伸司が、読んでいくごとに兄妹の世界に近づいてきて。
彼は未知の世界もやがて順応して受け入れて、人として、とても成長したなあと思いました。
彼の恋もまた叶わず切ないのですが、それでも愛する人の幸せを真に願う心が、美しいです。誰にでもできることじゃないよ。

そして真梨亜の施設時代からの友人・天才ピアニストで美人さんの祐未が、またいい味出していました。
真梨亜と祐未の密な友情がまた素敵です。
祐未の過去が真梨亜たちとこうつながってくるとは思わなかった、暗い過去を抱えてそれでも美しく才能を花咲かせる姿は、憧れてしまいます。

いつか結ばれる日のために、時をいつまでも旅している。
恩田陸さんの『ライオンハート』や北村薫さんの『リセット』や、思い浮かべてしまいました。

それにしてもやっぱり宝石のなかでいちばん高貴なものは、アメジスト、ラピスラズリなのでした。

ラストは正直ちょっと時の流れが早すぎると思ってしまいましたが(笑)、ほろっときました。良かったです。


夏の夜に、ロマンティックな作品を読んで作品の世界に存分にひたりたい、そういうときにとてもいい読書でした。


土日とそれぞれの記事に拍手くださった方々、どうもありがとうございました♪


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カテゴリ: ファンタジー(和風)

タグ: 小瀬木麻美 

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