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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『サエズリ図書館のワルツさん 2』紅玉 いづき 

サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)
(2013/08/20)
紅玉 いづき、sime 他

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紙の本が一般には入手困難になったひとつの未来の世界にあって、本を無償で貸し出している珍しい図書館・サエズリ図書館に集う人々の物語、シリーズの二巻目。
今回の主人公は、就職活動中の女子大生・千鳥さん。
ままならぬ就職活動と体調に悩みうなだれていた彼女にある日さしのべられたのは、老いたひとりの「図書修復家」の手だった――。


(本は、効く)
確かにそうかもしれない。一人きりの心に。漠然とした不安に。逃げ出したい心を、逃げ出させてくれる。

端末は、データは結局、繋がるためのツールであり、本は、断絶のためのツールなのだと唐突に思った。
触れるのはひとりで、読むのもひとりだ。
それは人を、もっと孤独にする。
けれどそれで、癒される心だって確かにあるのだろう。  (182頁)


『サエズリ図書館のワルツさん』新刊、一年前からずっと待ってましたー!
一巻目、本当に今でも大好きな一冊で、心が折れそうな夜などに何度も読み返しては元気をもらっています。
新刊情報をキャッチしてから、ワルツさん達サエズリ図書館の常連メンバーとの再会を心待ちにしていました。

今回の表紙は、セピア色、おだやかであたたかみがある感じなのが、素敵。
各扉のカラーイラストも、ステンドグラス風で、美しいです。

実際に読みはじめて、最初の頁から、書物への愛が文中のすみずみにまで満たされていて、とても心地がよかったです。
本当にこんな未来がやってきたら……やはり現実的にもかなり不安ですが、そういうのをとりあえず置いておいても、この作品の世界が、ただただいとおしい。
ひとつひとつのメッセージに、読んでいて胸をぎゅっとつかまれます。
何度も読み返して、この世界の居心地の良さを、存分に味わいつくしたい。

今回のお話だと、メインの主役は、図書修復家にあこがれる女子大生・千鳥さんになるのかな。
彼女の境遇は、個人的に重なるものがとても多くて、読んでいて思い切り共感してしまいました。
本当に体調が悪いのに、病院へ行っても原因不明で薬を飲むしかないって、しんどいです。
まあ私は千鳥さんみたいな手先の器用さすら全く持ちあわせていなくて、毎日苦しんでいますが(笑)。
千鳥さんみたいな真面目さ成分も不足しているしな……。

読み返してみてようやく気づいたのですが、降旗先生への千鳥さんの気持ちは、恋心のような。
ワルツさんに少し複雑な感情を持つのも、理解できる。
確かにふたりは出会うのが遅すぎたのかもしれない、けれど、そこからきちんと仕事につなげられた千鳥さんには、よかったなと。
はじめのうちは千鳥さんにとことんつれなかった降旗先生でしたが、あのラストシーンは、素敵でした。ふたりで仕事をする姿にほっとしました……。
降旗先生の過去の絶望も、相当なものだったのでしょう。

相変わらず有能で優しい司書のワルツさんでしたが、そんな彼女にも、我を忘れて泣いてしまうほどに苦手なもの、あるんですねえ。
私もそんなワルツさんの姿に、ぐっと親近感がわきました。良かったです(笑)。
苦手を克服しようとポルカを飼うことに無理して決めたワルツさんも、ちょっとかわいらしい(笑)。
紙の本は美味しいって、小学校の修学旅行で奈良に行ったとき、同級生が旅行のしおりを鹿に食われていたことを、思い出してしまいました(笑)。
それにしても本当に、ワルツさんのまわりに集まる人々は、優しい人たちばかりだなあ。
「優しい人のそばに集まるのは、大概が、優しい人だ」って、その通りだと思います。
ついでに図書館の司書なら、やっぱり人間も好きにならないと。ダメですよね。

岩波さんにタンゴくんに古藤さん、上緒さんに森屋さん、前巻に登場したキャラたちと、少しですが再会できたのも、とても嬉しかった!皆本当にいい人なんですもの!
無口で無愛想なタンゴくんがそれでも自分の言葉で色々語ってくれて、嬉しかったです。
あと、とても自然にペアで行動しているっぽい上緒さんと森屋さんも、読んでいて微笑ましくて。
前巻からこのふたり、何とか進展しないのかな……ずっと思い続けている私です。本文に書いてある以上のこと、想像してしまいますよ?(笑)
上緒さんの育ちのよい人懐っこさや明るく元気な笑顔に、森屋さんたちは、大分、救われているんだろうなと思いました。

ボランティアとしてのお仕事、書架への納架に書架整理、その辺りも興味深く読みました。
本の補修も。
私は本当にレベルの低い簡易補修しかできませんが、それでも傷んだ本を上手く補修できると、とても達成感がありますものね。
あと、ハンドクリームは必須ですよね(笑)。

自分にとっての天職ってなんだろう。働くことは、生きること。
真摯に考える千鳥さんの姿を読んでいて、私ももっと努力しないといけないなーと、改めて身をひきしめました。

最後の『サエズリ図書館のサトミさん』、意外なオチでした(笑)。
全く想像もしていませんでした。


本当は、もっと読み返してまだ作品の世界にひたっていたい。
ついでに一巻目もまた通しで読み返したいです。

サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)
(2012/08/17)
紅玉 いづき

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それでは私もワルツさんの真似をして、「良い読書を!」


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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 紅玉いづき 

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