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ようこそいらっしゃいました。すてきな書物と美味しい食べ物をどうぞ。

『食堂つばめ』矢崎 存美 

食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)
(2013/05/15)
矢崎 存美

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乗り合わせた列車にて、謎の女性ノエに導かれ、とびきり美味しい玉子サンドを食べる、という奇妙な体験をした柳井秀晴。
目覚めると自分はどうやら生死の境をさまよっていたようで、自らの食い意地のおかげで命拾いしたらしい。
しかし秀晴は、その後も美味しかった玉子サンドを再び食べたい一心で、死の世界との境目にある「街」に迷い込む。
そして料理上手だがどこか謎めいたノエに「食堂」を開くことを提案するのだが――。


美味しそうなタイトルと表紙とあらすじ、書店で見かけた時からずっと気になっていた本でした。
作者さんの別作品『ぶたぶた』シリーズを二冊ばかり読んで、ぶたぶたさんの魅力と同時に出てくる美味しそうな食べ物にすっかりとりこになってしまい、この本もきっと美味しそうな食べ物が出てきて楽しいに違いない!と、読みはじめることにした次第です(笑)。

主人公の秀晴さんの食い意地の張りようが、私自身とあまりに重なっていて、読んでいて各所各所で思い切り共感できて、とっても楽しかったです!(笑)
たしかに私も、ノエさんの玉子サンドを食べるためなら、少々の?命の危険には目をつぶって出かけてしまいそうです(笑)。
たしかに私も「なんでもいいから美味しいものを食べたい」と常に考えているし(ポイントは「美味しいもの」!なんでもいいわけじゃないのよ)、いちばん好きなのはお料理のレシピを図書館とかで借りてきてのシュミレーションだし、小説に出てくる料理の味を想像するのが大好きで記憶の糸口はそういうシーンばっかりだし、一応自分でも作るし好きだけれど、人が作ってくれる料理(私の場合は特に料理上手の母ですね)がなにより大好き。

生と死の境目の「街」まで、美味しいものが食べたいがため何度も足を運んでいる秀晴さんでしたが、読み心地はけして重たくなかった。死の世界へ向かう人達とのやりとりあり、シリアスじゃないわけではないのですが、不思議と明るくほのぼのとした感じでした。
秀晴さんのゆるぎない食い意地の張りっぷりにどうしても脱力してしまうのかもしれない(笑)。

それに本当に、ノエさんのこしらえる料理の数々が、美味しそうで美味しそうで。
衣がまださっくりしているカツ丼にぴりっとジンジャーエールに卵の味もいきているパイナップルプリンに唐揚げに、どれもこれも美味しそうだよー。
何より魅力的だったのはやっぱり、表紙にもある玉子サンドでしたけどね!
半熟のオレンジ色したマヨネーズではなく玉子の味で食べさせるふんわりしっとり玉子サンド、私も食べたーい!!(じたばた)
そして卵をフライパンに入れる音って確かに本当にいい音ですよねえ。

ノエさんという女性がまた不思議な魅力を持つ女性で、彼女自身にも惹きつけられるものがありました。
時折出る古風な言い回しも魅力的で。お名前も素敵です。
結婚も間近の恋人もいるのにノエさんとこんなに親しくしてもいいのかな秀晴さん……と読んでいてつい余計な心配をしてしまっていたのですが、ラスト近くになって人間関係が明かされてみると、ああ……そういうことかあ。
なんとも優しくあたたかい気分になれるラストでした。
玉子サンドがそうつながってくるとは。
私自身のおじいちゃんおばあちゃんをも読んでいて思い出して、ほろっときてしまいました。
ノエさんのことをちゃんと理解してそばでさりげなく支えているりょうさんも素敵なおひとでした。

秀晴さんの年下の恋人の柊子さんがとてもいいポジションにいる女性だったので、欲を言えば、彼女の出番がもっとたくさんほしかったかなー。
食の趣味が合って、外でのごはんや美味しいレシピ開発につきあってくれる伴侶って、理想的です。
あまり出番がなくても、秀晴さんが柊子さんをとても大切に思っていることは端々から伝わってきて、それも良かったんですけどね。

この一冊でほぼきれいに終わっている気がしますが、どうもこれはシリーズものの第一作目らしいので、続きを読めるのならそれはとても楽しみです。
また次はどんな美味しいものを読ませてくれるのかしら……わくわく。

それにしてもノエさんの玉子サンドは本当の本当に食べたいです。
こればっかりは、パン屋さんで買うより自分で玉子をゆでて作るほうが近い味になる気がします(笑)。

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カテゴリ: 日常のお話

タグ: 矢崎存美 

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